思い出の丘(藤岡市) 昭和の工女さん(富岡市) 清水寺の響き(高崎市)

【 入選作品 】
お正月三が日を過ぎると仕事始め
世界遺産登録を目指す富岡製糸場
が来る。暮れのうちに注文を取って
が、片倉工業の経営で操業していたこ
おいた粉を出荷するための初荷の儀
ろの写真です。当時近所に住んでい
式があった。大きなのぼりに祝初荷
た私は、製糸場が社会の教科書に出
と書き、自動車に蒟蒻粉と一緒に乗
てきたとき、誇らしくうれしかったのを
った。お祝いの酒で乾杯し、集まって
覚えています。工女さんが、8時間労
きた近所の女性や子どもたちにミカン
働や日曜休日という現代の就業規則
をまいて祝ってもらった。寒風にのぼ
の礎の中で、余暇も満喫しながら生き
りをなびかせ、駅へと向かった車。昭
生き頑張っていたであろうことが、昭
和 40 年代の風景が懐かしい。
和の女性に投影されしのばれます。
(1975 年5月撮影)
(1965 年1月撮影)
初
荷(南牧村)
昭和の工女さん(富岡市)
田村紘子さん(72)=南牧村小沢
今井清美さん(47)=下仁田町馬山
思い出の丘(藤岡市)
観音山にアジサイ寺として知られ
る清水寺があります。記憶に残る
神久文江さん(60)=埼玉県神川町肥土
初めての遠足は、小学1年生の清水
夕日がきれいで、遠くに赤城山が見える公園です。
寺でした。石段に腰かけて撮った
2010年の暮れに愛犬クロが15年の生涯を終えました。
写真には、
「戦後間もない」と一目で
亡くなる日は私が帰宅するのを待ち、私にあいさつの
分かるような子どもたちの姿が写っ
「ワン」を言い、私の見守る中で亡くなりました。悲しい
ています。今、寺にアジサイが咲く
思いを抱き、心を癒やしに出掛けたとき、丘で犬を連
ころカメラを持って出掛けます。寺
れて遠くを眺めている人に出会い、思い出に写真を撮
を建立したのが歴史に出てくる坂上
らせてもらいました。
田村麻呂と知り、感動しました。
(2011年6月撮影)
(2011年5月撮影)
県立
清水寺の響き(高崎市)
若山昭子さん(70)=高崎市江木町
56
【上毛新聞社賞】
最後の村民運動会(旧世良田村)
富岡一郎さん(80)=前橋市文京町
自分のカメラを手にしたのは、昭和 27年の歳末売り出しで買った一眼レフ。
合併祝賀「大尾島丸」パレード(旧尾島町4丁目)
増田英一さん(71)=太田市新田木崎町
独身時に住んでいた旧尾島町と世良田村
(現太田市)の合併を祝って中心街
まだ普及の初期で、持ち歩く人は数も少なく、背中に視線が注がれていたよう
をパレードした時の思い出深い写真です。お祝いの「大尾島丸」という特製の
に感じました。そのカメラで人物をはじめ、風景、特に村内の祭りや行催事な
大きな船がパレードする事を知り、思い切って初めて買ったカメラで写しまし
どを撮り歩く、正に青春の黄金期でした。写真は同28、
9年頃、世良田村内の
た。当時の町民の喜びが伝わってくるほか、自動車の形状や小学生が通う服
小学校校庭の村民運動会。平屋建ての南校舎、右に大きく高い講堂が見えま
装や町並みが写っており、歴史的価値もあると思います。
す。第一次町村合併で村は二分され、村民運動会はこれが最後となりました。
【評】当時の小学校のたたずまいと、村の方々の生き生きとした表情、割烹
着姿で参加されている元気な女性たちに好感を覚えました。
10
【太田市長賞】
【評】旧尾島町と世良田村の合併の記録です。大きな船がパレードするとい
う珍しさ、興味深さとともに地域の方々の喜びがあふれてくるようです。