将来宇宙輸送系のためのロケット複合エンジン

第54回宇宙科学技術連合講演会オーガナイズドセッション企画書
1.セッション名:将来宇宙輸送系のためのロケット複合エンジン
2.オーガナイザ:宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送ミッション本部 先進技術研究グループ 複合推進
研究チーム(平岩徹夫)
3.セッションの概要:
再使用化をはじめとする将来宇宙輸送システム構築のために、従来のロケットエンジンを空気吸込み
エンジンと複合化することによる推進機関の劇的な性能向上が必要とされる。我が国では高速空気吸
込みエンジンの研究開発から、近年ではロケットエンジン複合化のための研究開発に歩を進めている
ところであり、米国等でも最近一度休止していた研究開発を再開する動きがある。
本セッションでは、エンジン複合化の意義やその結果としての将来宇宙輸送系のあるべき姿を俯瞰す
る。ついで、宇宙航空研究開発機構での活動を中心に、これまでの研究開発の流れと現在進められて
いる飛行実験等を含めた研究内容を紹介し、今後の研究開発の進め方を示す。更に海外での過去と
近年の研究開発状況を紹介する事で、聴衆に本分野の全体像を提示する。
4.セッション形式:(調整中)
講演5件(3件は各20 分、1件は30分(登壇者5名によるマシンガン方式)、1件は10分)
5.個別発表課題と発表者、所属、アブストラクト
1)表題:将来宇宙輸送系におけるロケットエンジン複合化の意義
著者:谷香一郎、平岩徹夫、富岡定毅、植田修一、齋藤俊仁、伊藤勝宏
所属:宇宙航空研究開発機構宇宙輸送ミッション本部
アブストラクト:再使用化/有人化など、将来の宇宙輸送システムへの機能要求を満たすために
は、システム重量増は避けられない。空気吸込み利用によって搭載酸化剤の消費量を大幅に低
減し、比推力を向上させることで、システム要求増に対応し、将来宇宙輸送システムの成立性実
現に大きく寄与することが期待される。本発表では、ロケットエンジンと空気吸込みエンジンを複
合化させることで達成可能と予測される推進システムおよび輸送システムについて概観し、関連
する海外での研究開発の動きを紹介する。
2)表題:極超音速空気吸込み技術からロケット複合システム技術へ
著者:平岩徹夫、富岡定毅、齋藤俊仁、小寺正敏、長谷川進、加藤周徳
所属:宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送ミッション本部
アブストラクト:JAXA 宇宙輸送ミッション本部では、ロケットエンジンと空気吸込みエンジンの複合
化を目指し、空気吸込みエンジンについては高速域で有利なラム/スクラムジェットエンジンを対
象とした。対象とする複合システムの検討結果と、これまでのラム/スクラムジェットエンジンにつ
いての研究活動の概要と、ロケットエンジンとの複合化を目指した研究計画/これまで活動の概
要を紹介する。
3)表題:ロケット複合化に向けた JAXA における研究開発の現状
著者:植田修一、富岡定毅、伊藤勝宏、平岩徹夫
所属:宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送ミッション本部
アブストラクト:ロケットエンジンと高速空気吸込みエンジンの複合化に向けた、ここ数年の研究活
動について、特に地上設備を用いた供試エンジン模型実験、および地上設備で模擬の難しい亜
音速〜遷音速域についての飛行実験等について現状を紹介する。
4) 表題:ロケット複合エンジン設計課題解決に掛かる要素研究の状況(30 分)
著者:富岡定毅(JAXA)、杉尾 隆(東工大)、野島清志(東北大)、河内俊憲(東北大)、永富晋也
(東北大)、小林輝男(慶応大)、松尾亜紀子(慶応大)
所属:宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送ミッション本部、他
アブストラクト:ロケット複合エンジンの実現に向けて、設計技術獲得のために地上実験などによ
り、課題の抽出を行って来た。抽出された技術課題に対応して行っている要素研究の状況を、特
に共同研究、連携大学院による研究を例にとって報告する。(5 分概要説明、学生4名 5 分ずつの
各論説明、全体質疑 5 分、を想定)。
5)表題:今後の研究開発の進め方−飛行実証を中心として(10 分)
著者:平岩 徹夫
所属:宇宙航空研究開発機構 宇宙輸送ミッション本部
アブストラクト:ロケット複合エンジンの実現に向けて、設計技術獲得のための課題の再整理と、
いくつかの技術項目についての飛行実証をマイルストーンとした中期的な研究計画について、飛
行実証内容と併せて紹介する。