平成16年度 政策評価報告書

平成16年度 政策評価報告書
第2部 平成16年度年次評価 別冊
平成17年8月
・ 本書は、「平成16年度年次計画」で定めた戦略目標に沿った施策と活動指針に基づく
課題について、1年間の取り組み実績の評価を行ったものです。
・ それぞれの施策、課題の評価をもとに、「平成16年度 政策評価報告書」の「第2部平
成16年度年次評価」をまとめました。
・ 戦略目標に沿った施策については、実施状況及び評価と今後の課題に加え、事例を付
し、極力分かりやすくなるよう取りまとめ、また、活動指針に基づく課題については、
取り組み内容をできるだけ詳細に掲載しましたので、「平成16年度政策評価報告書」
とあわせ、商工中金に対する皆さまのご理解を深めていただくためのご参考としてく
ださい。
《 目次 》
1.戦略目標達成のための取り組み
戦略目標
① 安定した経営基盤の
整備に貢献
② 「創業」へのチャレンジ
を支援
③ 「革新」へのチャレンジ
を支援
④ 「再生」へのチャレンジ
を支援
⑤ セーフティネット機能
の発揮
⑥ 中小企業の連携・
ネットワーク化の促進
⑦ 中小企業支援のために
地域及び産業界等と連携
施策
a)中小企業の資金ニーズへの対応
b)スコアリングモデルを活用した迅速審査
c)財務コア資金の支援
a)「起業挑戦支援無担保無保証貸出制度」による
支援
b)投資事業組合による株式引き受け
c)産学官連携により事業化を図る中小企業への支
援
a)イノベーション21による支援
b)オーバーシーズ21による支援
c)その他の「経営革新等支援貸付」による支援
d)環境配慮に取り組む中小企業への支援
a)経営改善支援
b)外部機関との連携による再生支援
c)多角的な再生支援手法の活用
d)企業再建支援貸出制度、事業再生支援貸付
(DIPファイナンス)による支援
a)特別相談窓口の開設
b)セーフティネット貸付等長期事業資金による支
援
c)セーフティネット貸付短期貸出制度等短期運転
資金による支援
d)金融環境変化対応資金担保免除特例制度(貸し
渋り無担保貸出)による貸出
a)中小企業組合の個別課題の解決支援
b)共同出資会社、任意グループなど多様な連携を
支援
c)新設組合に対する中央会推薦貸出、新設企業組
合向け貸付による支援
a)地域金融機関との連携
b)
「NOX・排ガス融資」による規制車両代替支援
c)「中小企業繊維製造事業者自立事業」の助成を
受ける中小企業への支援
ページ
・・・ 01
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⑧ 金融フロンティアの開拓
a)新たな資金供給などの仕組みの開発・拡充
b)売掛債権流動化への取り組み
c)シンジケートローンへの取り組み
d)CLO(ローン担保証券)への取り組み
・・・ 30
・・・ 31
・・・ 32
・・・ 33
2.活動指針に沿った取り組み
活動指針
課題
① 機能、人材、組織を使命 a)お取引先担当の中小企業ニーズへの対応力を強
達成のために最適化
ページ
・・・ 34
化するための環境整備
b)新人事制度に基づく能力向上
② 目利きとコンサルティン a)中小企業の経営改善に対する支援強化
・・・ 35
・・・ 37
グにより、審査精度を向上 b)目利き能力の向上
・・・ 37
するとともに、リスク管理 c)信用リスクモニタリング体制の高度化
・・・ 38
を高度化し、健全な経営基
盤を構築
③ 業務運営の効率化とリス a)ローコストオペレーション体制の維持・強化
クに見合ったプライシング b)適正な収益の確保
・・・ 40
・・・ 41
で財務基盤を強化
④ コンプライアンスと説明 a)コンプライアンスの徹底
責任を徹底し、経営の透明 b)環境への負荷の少ない物品などの調達の推進
性を向上
c)アカウンタビリティの確保
・・・ 43
・・・ 44
・・・ 44
1. 戦略目標達成のための取り組み
戦略目標① 安定した経営基盤の整備に貢献 <S−サスティナブル・グロース>
a)中小企業の資金ニーズへの対応
具体的内容
ねらい
・ 中小企業の資金ニーズに応じて、長期的な視点、安定的なスタンスのもと、柔軟・迅
速に資金を供給します。
・ 8つの施策パッケージの中核的な施策として取り組み、中小企業がその企業価値を高め、
持続的に成長することを支援します。
● 長期貸・短期貸の融資実績
業績指標
長期貸
短期貸
件数
金額
件数
金額
14年度実績
35,834
18,694
1,379,805
102,349
15年度計画
18,500
97,500
15年度実績
39,642
20,359
1,356,814
103,188
(単位:億円)
16年度計画 16年度実績
41,370
21,505
18,500
1,299,986
97,500
103,356
施策実施状況
・ 全国の営業店の職員一人ひとりが、中小企業の事業、日々の資金繰り、経営者の様々
な思いや悩みをよく理解し、企業情報の蓄積と信頼関係をベースに、地域の金融機関
とも協調しながら日々必要な資金をタイムリーに供給することにより、経営者が安心
して事業に専心できる経営基盤の整備に貢献してきました。
・ さらに、中小企業の皆様とのこうした日々の接触の積み重ねを通じて、“機動的な”経
営革新計画への支援、“迅速な”業績悪化時における経営改善への支援、“丁寧な”企
業の事業内容やバランスシートの理解を通じた不動産担保に過度に依存しない多様な
金融手法による支援など、中小企業の発展・成長の段階に応じたきめ細かい支援の実
績へとつなげました。
評価と
今後の課題
・ 長期貸、短期貸ともに業務計画を上回る実績(長期貸は計画対比+16.2%、短期貸は同
+6.0%)を確保(前年実績比も増加)し、中小企業の安定した経営基盤の整備に貢献
しました。
・ そのうち例えば、個別施策等の前年度対比の実績(金額ベース)をみると、セーフテ
ィネット貸付(長期)が前期比+331億円(+8.2%)、経営革新等支援貸付が前期比+
433億円(+36.2%)とそれぞれ増加しました。
・ 営業店毎に設定した長期貸の計画値を達成した店舗数は、92店舗中、上期67店舗、下
期77店舗(上期・下期平均で78.3%)と高水準であり、中小企業の資金ニーズに円滑
に対応することが出来ました。
・ 商工中金が業務運営を行う上での中核となる施策であり、今後とも中小企業の資金ニ
ーズに対し、迅速かつ的確に対応していきます。
事例
● 資産背景が乏しい事業者に対して、制度融資などを組み合わせて支援した事例
<背景>
・ 関東甲信越地区のTV番組・ビデオ制作業のA社は、近時、急速に普及が進むハイビ
ジョンに対応するために番組編集機器を備えたスタジオ建設資金が必要となりました。
・ 当初、他の金融機関に借入の申し込みを行いましたが、担保不足を理由に断られたり、
融資条件が合わなかったりしたことから、商工中金に借入相談を行うことになりました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、当社の主要取引先からの受注実績や今後の見通しから、編集機器などの
償却期間内に借入返済可能と判断し、担保条件にとらわれず、国や地方公共団体の制
度融資、商工中金独自の貸出などの多様な商品や、信用保証協会の保証などの組み合
わせを提案しました。これにより、取引先は、事業計画に沿った資金調達が可能にな
りました。
1
b)スコアリングモデルを活用した迅速審査
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
事例
・ 決算書と日本税理士会連合会所定の「中小会社会計基準1適用に関するチェック・リス
ト」に基づくスコアリング・モデルを活用し、必要な運転資金について迅速に対応の
可否を回答する商品(原則、無担保)を提供します。
・ 審査手続はなるべく簡易に、また融資の審査期間は極力短く、という中小企業のニー
ズに応えます。また、「中小会社会計基準」の普及・定着とそれによる中小企業の会計
の質の向上に貢献します。
● スコアリングモデルを活用した迅速審査商品の融資実績
(単位:億円)
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
102
19
477
92
○ 日本税理士会連合会所定書式の活用
・ 中小企業を巡る金融・取引環境の変化の中で、中小企業の会計の質の向上が資金調達
の方途を拡大し、新たな取引先を開拓する有力な手段となることから、日本税理士会
連合会所定の「中小会社会計基準適用に関するチェック・リスト」を活用することで、
同チェック・リストを中小企業が利用し、会計の質を高めることを支援しました。
○ 融資条件の見直し
・ お取引先からの商品改善要望等を踏まえ、平成17年2月に、融資上限額の引上げなど条
件の見直しを実施しました。
○ 関係団体との連携
・ 平成17年2∼3月に、中小企業団体中央会・日本商工会議所と連携したスコアリングモ
デルを活用した迅速審査商品を開発しました。
・ 貸出件数実績は477件と大幅に増加しており、中小企業の迅速簡易審査ニーズに適切に
対応しました。
・ また、「中小会社会計基準適用に関するチェック・リスト」の活用も37件6億円(平成15
年度実績10件2億円)と相応の実績となり、「中小会社会計基準」の普及・啓蒙に貢献
しました。
・ 中小企業団体中央会・日本商工会議所と連携し、より広く中小企業者の迅速簡易審査
ニーズへ対応を図ります。
● 簡易迅速な審査を希望する事業者に対して、スコアリングモデルを活用した商品で対
応した事例
<背景>
・ 関東甲信越地区のB社は大手芸能プロダクションから独立・開業した番組企画製作会
社ですが、特に、アジア(韓国等)関連の番組制作・プロモーションに強く、近時、
売上が大幅に増加したことから、事業規模拡大に伴う必要資金について当金庫に借入
申込を行いました。
<商工中金の対応と効果>
・ 特に迅速な審査を希望するB社の意向も踏まえ、スコアリングを用いた審査について
説明し、事前了解を得て審査を実施しました。結果、4営業日で融資応諾の回答を行い
ました。なお、「中小会社会計基準適用に関するチェックリスト」の添付は行われてい
ませんでしたが、当金庫より活用方法も含め設明したところ、B社は今後活用を検討
していくこととなりました。
1 中小会社会計基準:中小会社における経営実態を明らかにし、適時・適切な情報開示を行いつつ、資金調達の多様化や取引先の拡
大に対応していくための具体的な会計基準として日本税理士会連合会が設定したもの。
2
c)財務コア資金の支援
具体的内容
施策実施状況
評価と
今後の課題
・ 中小企業の場合、事業継続に必要不可欠な資金(財務コア資金)の調達においては、
株式ではなく借入金が重要な地位を占めています。商工中金は、このようなニーズに
対し、引き続き長期資金を安定的に融資するとともに、なお一層安定的な供給につき、
金融スキームの検討も含めて取り組んでいきます。
○ 中小企業のニーズや実情等に応じた対応
・ 中小企業の場合、事業継続に必要不可欠な資金(財務コア資金)の調達においては、
株式でなく借入金が重要な位置を占めています。このようなニーズに対し、スキーム
の開発を検討してきましたが、平成16年度は、これまで同様に、個々の中小企業のニ
ーズや実情と協調金融機関の対応等に則したオーダーメイドのかたちで、長期資金に
よる財務の安定化支援、短期資金による資金繰り支援、返済緩和、そしてそれぞれの
組み合わせ等により対応しました。
・ そうした個々のお取引先ニーズへの対応、金融スキームの検討などにより、引き続き、
より安定的な資金供給に取り組んでいきます。
・ 財務コア資金を手形貸付の継続的な書替えにより調達している場合、担保を前提として、
期限一括償還型、又は期限しわ寄せ型(期中の返済額を軽減し、最終期限に軽減分を
上乗せ)の貸出商品の開発について、中長期的な課題として取り組みます。
3
戦略目標② 「創業」へのチャレンジを支援 <S−スタートアップ>
a)「起業挑戦支援無担保無保証貸出制度」の支援
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
・ 新規性の高い事業に取り組む創業間もない中小企業に、無担保で融資を行う制度です(平
成14年11月創設)。財務制限条項を含む特約(コベナンツ)を付すことで代表者などの
個人保証を免除できるようにバージョンアップします。
・ 無担保無保証融資により新事業に挑戦する起業家のリスク軽減を図ります。
● 「起業挑戦支援無担保無保証貸出制度」の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数 金額
件数 金額 件数 金額
187
19
430
44
336
41
制度実績
16
3
(うち無保証)
○ 保証免除制度の導入
・ 平成16年4月より、新事業に挑戦する起業家の創業マインドを高めるために、所定の特
約書を締結し、0.4%の上乗せ利率を加算した場合に代表者本人の保証を免除できる制
度を導入しました。
・ 平成16年度の件数実績は前期比▲22%となっているものの、同様に新規性を評価し、
第二創業を支援する制度である「新事業育成資金」との合算での件数実績は15年度522
件(288社)に対して、16年度512件(311社)とほぼ横這いにて推移しました。
・ 平成17年度は制度の簡便化を図るため、2つの制度を一本化し、創業ステージの中小企
業の発展を支援することとしました。
・ なお、平成16年度より導入した無保証を可能とする制度の取扱実績については、制度
実績(件数)の約5%の実績となりました。
(参考) 新事業育成資金の融資実績
14年度
件数 金額
1
0.8
(単位:件、億円)
15年度
16年度
件数 金額 件数 金額
92
18
176
53
3
0.5
制度実績
(うち無保証)
● 創業間もないが、他の追随を許さない技術力を持つベンチャー企業を投融資両面で支
援した事例
<背景>
・ 関東甲信越地区の創業間もないC社は、3Dグラフィック技術に秀でた有望企業でした
が、ゲームソフトの開発に対する先行投資負担が収支の足かせとなっていました。
<商工中金の対応と効果>
・ 平成15年2月、商工中金は、迅速に、「新事業審査委員会」にて、当社が持つ技術の新
規性、市場性などを評価し、「起業挑戦支援無担保無保証貸出制度」にて長期運転資金
を融資し、創業支援を行いました。また、平成17年3月、当社の第三者割当増資に対し
事例
て、投資事業組合による株式引き受けを行い、投融資両面で、技術力があるベンチャ
ー企業の資金調達を支援しました。
・ 商工中金の投融資実績が呼び水となり、他のベンチャーキャピタルからも資金調達を
行うことができました。
・ 国内3キャリアに公式サイトをオープンしたほか、海外へのコンテンツ配信にも成功す
るなど、事業面も順調に推移しています。
・ E社社長からは、「商工中金に技術力を高くご評価頂き、担保などのない中でのこれだ
けのご融資をいただけた事は、わが社にとって事業の大きな助けなりました」との声
が寄せられています。
4
b)投資事業組合による株式引受け
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
事例
・ 株式公開を目指す中小企業の株式等を引き受けます。
・ 資本調達窓口の確保・拡大を実現し、事業の安定化に貢献します。
● 投資事業組合による株式引き受け実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
13
1
17
2
22
3
○ 「商中第2号投資事業組合」の組成
平成12年12月に組成した「商中第1号投資事業組合」が投資枠を消化したことから、平
成17年2月、従来以上に創業支援、産学官連携支援に重点を置いた「商中第2号投資事
業組合」を、
「商中第1号投資事業組合」に比べて金額倍増となる20億円で組成しました。
○ 営業店を通じたニーズ調査
創業支援、産学官連携支援につながる案件について、営業店から126件のVC案件情報
連絡表を受付け、その中から投資案件の発掘を行いました。
○ 「新事業審査委員会」案件からのニーズ調査
毎月の新事業審査委員会に付議された案件の中から、成長が見込まれる新規性のある
投資案件の発掘を行いました。
○ 営業店内研修や本部研修によるVC(ベンチャーキャピタル)投資への意識向上
VC投資の知識、理解を深めると共に、投資による創業支援の事例を還元し、お取引
先担当の投資案件に対する意識向上を図りました。
○ VC投資による創業・革新支援等の対外説明
個別投資案件や商中第1号投資事業組合の内容紹介、第2号投資事業組合立上げ等のプ
レスリリースを行い、商工中金のVC投資に関する取り組みを開示することによって、
VC投資ニーズのある中小企業が相談しやすい環境の整備に努めました。
・ 上記施策により、積極的に案件発掘に努めた結果、前年度を投資件数で29%、金額で
70%上回りました。
・ 個別には22件の内、11件が創業支援、8件が産学(官)連携、7件が新事業審査委員会案
件(重複を含む)で、資産や事業実績には乏しいが、独創的な技術・アイデアにより、
成長が見込まれるアーリー段階の企業の資金調達を支援しました。
・ 第2号投資事業組合を組成し、従来以上に創業支援、産学官連携案件等に取り組みます。
この取り組み方針を研修や社内LAN等を通じて営業店に周知し、成長が見込まれる
企業に関する情報の収集に努めていくことに加えて、本部の担当部室も他のVC等との
情報交換を通じて、創業・革新支援につながる案件の発掘を行っていきます。
・ また、新連携に対応する投資案件や、地域金融機関のVCファンドとの協調案件の発
掘に努めます。
● 商工中金の投資事業組合による投資が他のベンチャーキャピタルからの投資の呼び水
となった事例
<背景>
・ 関西地区のD社は、E大学医学系研究所を母体とする大学発バイオベンチャー。研究
開発資金の調達が必要となっていました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、「新事業審査委員会」での認定を受け、事業実績は乏しいものの、将来性
がある有望な企業と判断し、「起業挑戦支援無担保無保証貸出制度」での融資を行うと
ともに、投資事業組合による投資も実行しました。政策金融機関として、投融資両面
で支援したことは、D社の信用力アップに貢献、他のベンチャーキャピタルからの円
滑な資金調達につながりました。
5
c)産学官連携により事業化を図る中小企業への支援
具体的内容
・ 大学などの技術研究成果を活用して事業に取り組む中小企業に対し投融資や各種情報
提供などを行います。
ねらい
・ 適時に資金の供給、情報の提供を行うことで事業の実現と中小企業の経営の安定化に
貢献します。
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
● 産学官連携により事業化を図る中小企業への融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
34
8
82
16
133
34
※14、15年度は「起業挑戦支援無担保無保証貸出制度」により産学官連携を支援した実績。
16年度は同制度を含めた全ての融資における支援実績。
○ TLO(技術移転機関)や大学との情報交換
・ 産学官交流イベントである「ベンチャーイノベーション2004」(9月)を通じて、全国約
30にのぼるTLO・大学と情報交換を行いました。また、さらに東京大学、東北大学、
九州大学、東京工業大学、電気通信大学、慶応義塾大学、東京理科大学の各TLO、
政府系団体である情報処理推進機構(IPA)、ベンチャーエンタープライズセンター
(VEC)と情報交流を行い技術情報のヒヤリングや個別企業の技術ニーズの紹介、
先進的な技術を持つ企業に関する情報交換を実施しました。
・ 大阪支店、岡山支店では、地元のTLOに加入し情報交流促進を行っています。
○ お取引先担当の取り組み強化
・ 産学官連携の枠組みや商工中金の取組事例を記載したレポート「産学官連携を活用す
る中小企業への取り組み」を新事業支援室が作成して、社内LANを通じてお取引先
担当に掲示し、産学官連携支援に対する取り組みを周知しました。
・ 本部はSBIR(中小企業技術革新制度)等補助金採択者リストをお取引先担当に周
知し、お取引先担当はそのリストを参考に産学官連携ニーズの調査を行いました。
・ 営業店の業績を評価する項目として、「産学官連携」に関する融資実績を追加し、営業
店にインセンティブを付与しました。
・ 平成16年度は社内LANを活用して営業店に産学官連携に取り組む企業のリストや取
組事例を還元したり、産学官連携支援の取り組みの重要性についての周知徹底を図っ
た結果、年度間133件と前年度を上回る実績となりました。
・ 平成17年度についても、営業店への事例還元・補助金採択者リストの還元などを継続
するとともに、TLO・大学、IPA・VEC等との交流を継続し、個別案件での取
り組みが可能なレベルへの関係緊密化を図るなど、産学官連携企業への取り組みを強
化します。
● 大学発ベンチャー企業を無担保で支援した事例
<商工中金の対応と効果>
・ 九州地区のF社はG大学の研究成果であるLSI検査技術の事業化に取り組む大学発
ベンチャー企業。F社が持つ技術は既存製品と比較して大幅なダウンサイジングが可
能な技術であることから、商工中金は将来の事業性が見込まれるものと評価し、販売
実績がほとんどない段階でしたが、当金庫独自の無担保の融資制度である「起業挑戦
事例
支援無担保無保証貸出制度」による融資を実行しました。
・ その後、株式公開に向けての第三者割当増資に応じる形で、投資事業組合による株式
引き受けを行い、創業ステージ段階にある大学発ベンチャーに対して融資・投資の両
面で支援を行っています。
・ F社代表からは、「担保の無いベンチャー企業に対して、技術力を重視した評価に基づ
いて無担保融資と株式引き受けの両面で支援してもらったことに大変感謝している」
との声が寄せられています。
6
戦略目標③ 「革新」へのチャレンジを支援 <S−イノベーション>
a)イノベーション21(商工中金独自の総合支援策)
具体的内容
・ 新規性のある事業に取り組む中小企業に対し、投融資(国の制度融資「新事業育成資金」
や「経営革新等支援貸付」(経営革新資金)を含む)や情報提供を行います。
ねらい
・ 事業内容を適正に評価し、適時に資金を供給することで事業の実現や中小企業の経営の安
定化に貢献します。
業績指標
● イノベーション21の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
959
477
1,209
751
1,369
909
施策実施状況
○ お取引担当のニーズ対応力、情報力の強化
・ 「新事業審査委員会」付議事例の営業店への還元や研修等を通じ営業店職員の取組意識の
向上に努めました。その結果、
「新事業審査委員会」への付議件数は310件(前年度273件)
となりました。
・ SBIR(中小企業技術革新制度)の補助金採択者リストや、技術・サービスの新規性を
認定要件とする公的機関の制度一覧を社内LANに掲示し、営業店が地元企業へのニーズ
調査を行う際の参考資料としました。
評価と
今後の課題
・ 平成16年度年度間実績は1,369件となり(前年同期比+160件)、中小企業の新事業展開に
係る資金ニーズに対して適切な対応を行っています。
・ 営業店に向けて社内LANにより、各種ターゲットリストを還元したことや産学官連携事
業への取組み等についての周知を図ったこと、研修を通じてお取引先担当者の意識の向上
に注力したことが、実績の増加に結び付いています。
事例
● 新事業に進出する企業の事業計画策定をアドバイスし、資金調達を支援した事例
<背景>
・ 北海道の食肉卸売業主体のH社は加工品製造進出に係る資金調達を行うべく計画資料を作
成したものの、事業内容・投資効果の説明が不十分であり、地元金融機関の理解が得られ
ず資金調達に苦戦していました。
<商工中金の対応と効果>
・ 事業計画案の策定について商工中金が主体的にアドバイスを行ったところ、地元金融機関
の理解を得ることができ、協調融資が実現しました。
7
b)オーバーシーズ21(商工中金独自の総合支援策)による支援
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
・ 海外展開により事業の発展を計画されている中小企業に対し、融資(国の制度融資「経営
革新等支援貸付」(海外展開資金)を含む)や外国為替に関する各種サービス及び情報の
提供を行います。
・ 適時に資金の供給、情報提供を行うことで、海外進出に伴う各種リスクの軽減を図り、海
外での円滑な事業展開に貢献します。
● オーバーシーズ21の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
260
121
252
115
271
130
○ 上海駐在員事務所の開設
・ 平成17年3月、上海駐在員事務所を開設し、中国華東地区の進出取引先企業および今後進
出を検討している取引先に対する支援体制を強化しました。
○ 現地の投資環境情報等の提供
・ 商工中金貿易・投資支援センターによるお取引先訪問(84件実施)、営業店課長等の海外
実査研修(2回、計26人)などを通じて、お取引先の海外展開ニーズに対し、現地におけ
る金融や投資環境等のアドバイスを実施し、円滑な事業展開に貢献しました。
○ 現地の金融ニーズへの対応
・ 取引先海外現地法人の現地通貨建て資金の借入ニーズなどに対し、スタンドバイクレジッ
ト2により対応しました。(平成16年度新規取引開始先3先・保証額3億円、平成16年度末
残高26先・保証額35億円)
・ ニューヨーク支店を通じ、現地法人の資金ニーズに対応しました。(平成16年度新規取引
開始先8先・融資額 5百万ドル、平成16年度末残高40先・融資額139百万ドル)
○ 現地の経済金融動向・諸制度に関する情報提供
・ 「中金アジアニュース3」を毎月発行、「同 トピックス」を16回発行(中国 12回、マレ
ーシア 2回、ベトナム 1回、北米 1回)し、投資環境や制度に関する最新情報を提供
しました。
○ 現地事務所や派遣出向者を通じた取引先支援
・ 現地の事務所や派遣出向者が、アジアに進出している取引先に対して情報提供等の支援を
行いました。(訪問・来訪先は、香港駐在員事務所が241先、上海派遣者が68先、大連派
遣者が165先、バンコク派遣者が55先、クアラルンプール派遣者が70先)
・ 海外中金会等を通じた取引先相互のネットワーク強化を図りました。
(開催場所は、香港、
上海、バンコク、クアラルンプールで延べ参加取引先数106社、129名)
・ オーバーシーズ21実績は昨年度を上回る実績となっており、ニューヨーク支店による現
地法人貸付やスタンドバイクレジット等を通じて取引先中小企業の海外展開における資金
需要に対応しました。また、中国の投資環境に関する講演の実施や「中金アジアニュース」
の発行を通じて、必要な情報提供を行いました。中小企業の海外展開が引続き活発化して
いる中で、進出取引先や進出を検討している取引先中小企業に対して、一層きめ細かな支
援対応を行うために、中国華東地区においては上海駐在員事務所、中国華南地区・アセア
ン諸国においては香港駐在員事務所を有効に活用することが求められています。
・ 自動車産業をはじめ、進出日系中小企業の資金需要が堅調な米国においては、邦銀撤退後
の日系中小企業の資金ニーズに対応するという政策性発揮の観点からも、政策金融機関と
して、現地取引先の資金需要に対し、適切に対応する必要があります。
2 スタンドバイクレジット:海外現地銀行から融資を受ける際の保証。
3 中金アジアニュース:アジア各地の投資環境・制度に関する最新情報を提供する資料。
8
事例
● 商工中金が為替リスクの解消および海外での安定的な資金調達を提案し、事業者の課題を
解消した事例
<背景>
・ 九州地区の射出成型・金型製造業者であるI社は、米国現地法人に対し、100万ドルの貸
付を行っていましたが、円高が進むに伴い為替差損が発生していました。
<商工中金の対応と効果>
・ 為替リスクの解消および現地での安定的な資金調達が当社の課題でしたが、商工中金のお
取引先担当がニューヨーク支店から当社への融資による問題解決策を提案し、融資実行を
しました。
・ 親会社の為替リスクの解消、現地法人の現地での資金調達の安定化等当社の課題に効果的
な解決策を提供し、取引先にとってメリットが大きい取り組みとなりました。
9
c)その他の「経営革新等支援貸付」による支援
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
・ 情報技術(IT)活用、雇用の増加につながる事業の拡大などに取り組む中小企業に対し、
必要な資金を国の制度融資である「経営革新等支援貸付4」(IT活用促進資金、事業展開
支援資金など)により供給します。
・ 適時に資金を供給することで中小企業の経営革新に貢献します。
● その他の「経営革新等支援貸付」の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
788
363
1,053
585
1,330
816
○ 経営革新に必要な資金の供給
・ 情報技術(IT)活用、雇用の増加につながる事業の拡大などに取り組む中小企業に対し、
国の制度融資である「経営革新等支援貸付」(IT活用促進資金、事業展開支援資金など)
により必要な資金を供給しました。
○ お取引先への情報提供力の強化
・ お取引先担当が地元企業に対して、施策の周知と推進を図るため、施策の内容に加え、雇
用増加に関連する助成制度、税制優遇措置等の各種情報提供を行いました。
評価と
今後の課題
・ 情報技術(IT)活用、事業拡大への取組みなど中小企業の革新マインドを惹起し、さらな
る挑戦と飛躍を着実な成功へと結びつけるため、こうした企業に対して、資金需要を聞き
取りし、金融面の支援を行うとともに費用対効果に対するアドバイスなども行いました。
・ 国の制度融資である「経営革新等支援貸付」により、必要な資金を供給した結果、融資件
数は1,330件(前期比+26.3%)、融資金額は816億円(同+39.5%)となりました。
・ 内訳をみると、
「戦略的情報技術活用促進資金」が725件(前期比+21.0%)
、282億円(同
+36.9%)
、
「中小企業事業展開支援資金」が344件(同+31.8%)
、348億円(同+126.0%)
となっています。
事例
● 日常の訪問により事業計画を把握したお取引先担当者の提案により、事業者が設備調達を
行った事例
<背景>
・ 東北地区のJ社は、各種機械・部品製造業者。当社はCNC自動旋盤加工機械を3台導入
する計画を持っており、リース調達にするか、金融機関借入による買取とするか検討して
いました。
<商工中金の対応と効果>
・ 日頃から訪問し、事業計画を聴取している中で、この設備計画が国の制度融資「IT活用
促進資金」に該当することが判明していたため、商工中金は当該制度融資の利用を提案し
ました。
・ J社は、制度融資とリースを組み合わせて、自社のニーズに合った形で、設備調達を行う
ことができました。当金庫からの紹介により、同資金が制度対象になるとわかり、リース
と買取を組み合わせることで効率的な投資に繋がりました。
4 経営革新等支援貸付:長引く景気低迷や産業構造の変化に対応するため、新製品の開発や新役務の開発等の新たな取組み、情報化
投資、海外進出投資等を支援することを目的とした国の制度融資。
10
d)環境配慮に取り組む中小企業への支援
具体的内容
・ 地球環境問題に取り組む中小企業への情報提供と融資を行います。
・ 平成16年度は特に次の2項目について重点的に取り組みます。
1. 省エネに取り組む中小企業に省エネルギー促進支援策
(省エネ診断の紹介、省エネルギー促進無担保貸出制度)を提供します。
2.自動車NOx・PM法に基づく排出基準適合車への買い替えに係る資金について無担保
で融資します。
ねらい
・ 環境問題への対応は中小企業にとっても重要な課題であり、適時な支援を行うことで事業
の円滑化に貢献します。
業績指標
施策実施状況
● 環境配慮に取り組む中小企業に対する融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
1,337
354
2,487
555
2,577
527
○ 「環境配慮に取組む事業者に対する総合支援策」の創設
・ これまでも環境配慮に取組む事業者に対し、積極的に環境問題への対応に係る情報提供お
よび金融支援を実施してきましたが、今回、
「環境配慮に取組む事業者に対する総合支援策」
を創設し、環境配慮に対する支援をさらに拡充・強化しました。具体的には、従前の環境
配慮型投資を行う事業者に加え、環境に配慮した設備を製造する事業者についてまで支援
対象を広げるとともに、当金庫独自の融資制度である「環境配慮型経営支援貸付」を創設
するなど、更なる金融支援を図りました。
○ お取引先への情報提供
・ 株式会社日本商工経済研究所との連携のもと、環境にかかる小冊子(「CSRと環境経営」)
を作成する等、積極的な情報提供にも努めております。
評価と
今後の課題
・ 平成17年2月に、「環境配慮に取組む事業者に対する総合支援策」を創設するとともに、
積極的な情報提供を行った結果、融資件数は増加傾向にあります。
・ 土壌汚染対策、有害化学物質対策、トラック排ガス規制対策などといった環境にかかる課
題が注目されており、商工中金の重点課題として、これまで以上に環境配慮に取組む事業
者を積極的に支援します。
事例
● 省エネに関する情報提供及び融資の提案を行った事例
<背景>
・ 関東甲信越地区の団地組合であるK組合は、従来から共同受電事業を実施していました。
商工中金は組合および組合員の省エネルギーによる経費削減、および国が積極的に推進す
る省エネルギー施策を金融面でバックアップすることを目的に、省エネルギー促進支援策
の一環として財団法人省エネルギーセンターが無料で実施する「省エネ診断」の受診を提
案しました。
<商工中金の対応と効果>
・ 組合主導の下、各組合員が財団法人省エネルギーセンターの「省エネ診断」を実施し、診
断の結果、組合の共同受電設備等において年間約5百万円の経費削減が見込まれました。
商工中金は、速やかに経費削減によるキャッシュフローを返済原資と見込んだ無担保制度
である「省エネルギー促進無担保貸出制度」を提案し、組合の省エネにかかる設備投資に
繋がりました。
11
戦略目標④ 「再生」へのチャレンジを支援 <S−リバイバル>
a)経営改善支援
具体的内容
・ 業況悪化の早期段階にある中小企業に対し、経営改善計画の策定や実行の支援、必要とな
る資金の融資を行います。特に、業況・将来見通し、支援の有効性などの観点から重点的
に経営改善支援に取り組むべき先を「経営改善支援先」として選定し、本部の専門部署と
営業店が一体となって支援します。
ねらい
・ 経営改善への早期着手と着実な実行を支援することで企業の業績好転と自立的存続の実現
に貢献します。
● 経営改善支援先数・貸出残高
(単位:先、億円)
15年度
16年度
17年度見直し後
先数
金額
先数
金額
先数
金額
期初
654
5,140
707
6,110
583
4,604
期末
688
5,626
753
6,183
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
(参考)経営改善支援先の収支状況
(単位:百万円)
経常利益
総借入金
キャッシュフロー
平成14年度決算
12
3,037
87
平成15年度決算
47
2,834
104
増減
+35
▲203
+17
※ 平成15年度経営改善支援先の1社当たり平均値
○ 本部と営業店が一体となった支援
・ 業況の厳しい中小企業の中でも、特に、商工中金が主体的に経営改善支援に取組む先を「経
営改善支援先」として選定し、経営支援室を中心とした本部セクションと営業店が一体と
なって支援に取り組みました。具体的には、抜本的な経営改善計画の策定・実行の支援、
必要資金の融資等を地域金融機関等と連携しつつ実施しました。
・ お取引先の経営改善計画の進捗状況については、定期的にフォローを行っています。計画
の進捗が思わしくない場合には、改善項目の見直しを含め、計画の達成に向けた提案を行
っています。
○ コベナンツ5の導入
・ お取引先との間で経営改善に向けた認識を共有化するための仕組みとしてコベナンツの締
結を進めています。経営改善計画の進捗状況・業績・資金繰りのモニタリングにより、情
報の共有化・改善の実効性向上等を目的に、平成16年度は8先のお取引先と新たにコベナ
ンツを締結しました。
・ お取引先の改善に向けた努力、本支店一体の支援サポートにより、平成15年度経営改善支
援先の財務内容は改善基調となっています。具体的には前々期と前期を比較した場合、1
社当り経常利益は35百万円増加、1社当り総借入金は▲203百万円減少、1社当りキャッシ
ュフローは17百万円増加と、それぞれ改善しました。
・ 平成17年度に入り、経営改善の目途がついた企業については、「経営改善支援先」指定の
解除を行いました。このようなお取引先についても、改善計画のフォローを中心とした支
援を引き続き行っていきます。
5 コベナンツ:借り手が融資を受ける際に、貸し手に対して一定の行為を行う、または行わないことを誓約する条項
12
事例
● お取引先と商工中金が問題点と改善策を共有して経営改善に取り組んだ事例
<背景>
・ 関東甲信越地区のL社は、複写機部品の切削加工を行っていましたが、主要販売先の生産
拠点が中国等海外に移転し、受注が減少、収支悪化を招いていました。L社の経営者から、
商工中金に対して経営改善についての相談がありました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、抜本的な経営改善計画策定を支援。あわせて、経営上の課題の洗い出し等に
ついて、外部機関(コンサルタント)の導入を勧奨しました。 ・ L社の経営陣は速やかにこれに対応し、収支悪化の原因を究明するとともに、改善策を立
てて、経営陣を筆頭に迅速な対応を行った事から、計画着手後2ヶ月で、収支が黒字転換
しました。
・ 問題点・改善策等をL社と共有し、経営改善の方向性が示されたことにより、経営改善が
進捗したことが呼び水となり、今後は他行の支援(新規与信等)が見込まれます。
13
b)外部機関との連携による再生支援
具体的内容
ねらい
業績指標
・ 中小企業再生支援協議会や整理回収機構(RCC)などと積極的に連携して再生を支援しま
す。
・ 各機関の有する機能の活用により効果的な支援を行い、早期再生に貢献します。
● 外部機関との連携による再生支援実績
(単位:件、億円)
15年度
16年度
連携先
件数
金額
件数
金額
中小企業再生支援協議会
40
18
81
19
整理回収機構(RCC)
21
38
16
11
※既往貸出金の条件変更を含む
施策実施状況
評価と
今後の課題
事例
○ 経営支援室における再生支援
・ 経営支援室では、各外部機関と行った情報交換の結果を営業店に還元するとともに、お取
引先が策定した経営改善計画を検証することにより、本支店一体となってお取引先の事業
再生を支援いたしました。
○ 中小企業再生支援協議会との連携
・ 協議会が再生計画を策定した81件について融資や返済緩和等を主体とした金融支援に取
り組みました。
○ 整理回収機構(RCC)との連携
・ RCC本部や各支店と情報交換等を密に行った結果、RCCに借入金が譲渡(信託)され
た再生事業者への融資を中心に、16件、11億円の再生案件に取り組みました。
○ 産業再生機構との連携
・ 産業再生機構から要請があった8件について債権放棄や債権売却に応じました。累計実績
は、同機構の支援決定41社のうち18件に関与し、うち9件について継続して同機構と協調
し再生支援に取り組んでいます。
・ 各地の中小企業再生支援協議会との連携を密にし、地域の実情に応じた中小企業の再生支
援を本支店一体となって取り組んだ結果、同協議会と連携した再生支援実績は、金額は横
這いながら件数は増加しました。融資や返済緩和に加え、DDSやDES、地域再生ファ
ンドと連携するケースなど再生手法が多様化しています。
・ 地域経済活性化を目的に、RCCとの連携内容を拡充しました。平成16年度は、RCC
の健全金融機関等からの資産買収実施額が変化していること(平成14年度約20,900億円
→平成15年度約4,100億円→平成16年度約1,700億円)などから再生支援実績は減少しま
したが、今後は再生計画の策定着手の段階から関与し、融資の可能性を見極めつつ、受け
皿金融機関としての役割も担います。
・ 地域金融機関の事業再生への取り組みは、今後本格化することが予想されます。引き続き、
中小企業再生支援協議会、RCC、地域金融機関等との連携を強化し迅速再生に貢献しま
す。
● 商工中金が銀行団に参加することで協調支援体制が確立された事例
<背景>
・ A社は老舗の卸売業者で、債務超過状態でした。RCC主導で再建計画を立案し、中小企
業再生支援協議会も関与し、債権者の調整が行われました。
<商工中金の対応と効果>
・ 当初は、既往取引金融機関のほとんどが、RCC・サービサーに債権売却を行ったためそ
の影響を少なからず懸念していました。
・ 商工中金は、当社からの再生支援要請を受け、新たな協調銀行団の構築が不可欠と判断し、
地元地方銀行に働きかけて、肩代り、運転資金等協調支援を実施。地元行を中心とした新
たな金融体制の確立により、資金繰りの安定化が実現しました。
・ A社は、RCC関与のもと作成された実現可能性が高い経営改善計画にて過剰債務を解消
し、今後の安定推移が見込まれます。
14
c)多角的な再生支援手法の活用
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
・ DDS(債務の資本的劣後ローン化)、DES6(債務の株式化)などの新しい金融手法を
活用した再生に取り組みます。
・ 過剰な債務負担解消により財務再構築を実現し、早期再生に貢献します。
● 多角的な再生支援手法を活用した再生支援実績
(単位:件)
15年度
16年度
DDS
1
5
DES
1
1
※再生支援を決定したプロジェクト件数
○ DDSスキームの創設
・ 平成16年3月、商工中金は「金融検査マニュアル別冊(中小企業融資編)
」に沿ったDDS
を、我が国で初めて取り組みました。
・ 事業見通しや地域経済への影響等を十分検証したうえ、16年度は5件のDDS案件に対応
しました。
・ さらに、DDSのスキームや契約書を公開するとともに、地域金融機関を中心に説明の要
望に応える等、その普及に向けた活動を精力的に行いました(16年度307行)。
評価と
今後の課題
・ 再生可能と見込まれるお取引先に対し、DDS、DES等の手法を用い、迅速な再生に取
り組みました。
・ 地域金融機関の呼び水となり、また雇用確保による地域経済の活性化にも貢献しました。
・ 引き続き、事業再生が必要なお取引先ごとに、多様な再生手法の中から適切な具体策(DDS、
DES等)を選定し、積極的に迅速再生に貢献します。
・ 再生企業の自己資本拡充策として、出資機能を有する地域再生ファンド(中小企業基盤整
備機構出資ファンド含む)との連携も強化します。
事例
● 商工中金がDDSに関するノウハウを提供し、再生スキームが確立された事例
<背景>
・ 県内の温泉ホテルを運営する関東甲信越地区のN企業グループは、過去の債務負担が重く、
再生に向けた早期の取り組みが必要とされていました。
<商工中金の対応と効果>
・ 地域金融機関、商工中金、整理回収機構(RCC)の主要取引4機関が協調し、債権放棄
と債権の劣後ローン化(DDS)を含む金融支援を実施しました。
・ 商工中金は、再生スキーム全体及び金融債権者間の意見の調整役として各行を取り纏め、
私的再建が実現しました。また、DDS等のスキームや契約関係について、他行にノウハ
ウを提供し、スムーズな事務手続に貢献しました。
・ 地域一番館の大型ホテルグループの再建策がまとまったことで、約800名の地元雇用が維
持されるとともに、納入業者250社の業務の安定にも寄与しました。
・ 当社代表者からは、「再建計画のスタートを切ることができたのは、商工中金の再生支援
によるものであり、深く感謝している」との言葉が寄せられています。
6 DES(Debt
Equity Swap):債務の株式化。企業の債務を資本に振り替え、債務削減を図る手法。債権者にとっては、保有資
産の種類が債権から株式に変更される取引。
15
d)企業再建支援貸出制度、事業再生支援貸付(DIPファイナンス)による支援
具体的内容
ねらい
業績指標
・ 過剰債務を抱えているものの、自主努力により企業再建を図ろうとする中小企業(企業再
建支援貸出制度)や法的再建手続などを進める中小企業(事業再生支援貸付)の再生を支
援します。
・ 企業再建、事業再生に必要となる資金を適時に供給することで、中小企業の円滑な再建、
再生に貢献します。
● 企業再建支援貸出制度、事業再生支援貸付の融資実績
(単位:億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
企業再建支援貸出制度
4,379
235 47,332
1,614 38,659
1,178
事業再生支援貸付
19
9
58
54
49
45
施策実施状況
○ 企業再建、事業再生に必要な資金の供給
・ 再生計画の進捗フォローとともに、企業再建・事業再生に必要な資金ニーズに対して、
「企
業再建支援貸出制度」「事業再生支援貸付」を活用し、適切に供給しました。
○ Exit Financeの推進
・ さらに、「DIPファイナンス」の一つであるExit Finance7の推進に努めました(実績:
1件3億円)。
評価と
今後の課題
・ 事業の継続とともに再生計画に沿ったリストラ等の実施による再生の促進を目的に、事業
再生に必要とする運転資金(リストラ資金含む)や設備資金を適時に供給し、迅速再生に
貢献しました。
・ ABL8(アセット・ベースト・レンディング)等、キャッシュフローに着目した新しい
融資スキームも活用しつつ、円滑な資金供給に努めます。
事例
● 民事再生法を申立てた企業につなぎ資金を融資した事例
<背景>
・ 四国地区のO社は、環境重視の製法を先駆的に取り入れた企業として知名度が高い繊維製
造業者ですが、主力取引先が自己破産したことから、連鎖的に民事再生法を申立てました。
「中小繊維製造事業者自立化事業」の対象業者であり、助成金交付までのつなぎ資金が必
要になりましたが、民事再生法申立により新規の資金調達が困難となり、商工中金に対し
て「事業再生支援貸付」(DIPファイナンス)による無担保借入の申込がありました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、O社の再生計画の内容を吟味した結果、実現性が高く、メイン銀行、主要取
引先の支援を得ており、事業見通しが十分にあると判断し、融資実行しました。
・ 結果、助成金交付が実現し、自立化事業の計画が進捗する等、当社の再生に向けた取り組
みを支援しています。
7 Exit
Finance:民事再生や会社更生手続を開始した企業が法的再生手続を早期に終結する目的で、民事再生法における再生債権
および別除権債権等、または会社更生法における更生債権および更生担保権等を一括返済するために受ける融資
8 ABL(Asset Based Lending)
:流動資産一体担保型融資。売掛金や在庫など企業の保有する流動資産を担保にした貸出。
16
戦略目標⑤ セーフティネット機能の発揮 <S−セーフティネット>
a)特別相談窓口の開設
具体的内容
ねらい
業績指標
・ 金融機関の破綻や再編、企業の倒産、突発的災害の発生などにより、影響を受けた中
小企業を対象に各地に特別相談窓口を設置し、適時に金融相談を受け付ける体制を確
保するとともに、金融相談に対しては、懇切・丁寧・迅速な対応を行います。
・ 適時に適切な初期対応を行うことで、経営の安定化に貢献します。
● 特別相談窓口相談実績
(単位:件)
14年度
15年度
16年度
1,430
680
730
【参考】特別相談窓口開設状況
平成17年3月31日現在 全20窓口
平成16年度新規開設窓口 全14窓口
施策実施状況
○ 自然災害に対する相談窓口の開設
・ 平成16年度は全国的に災害が多発しました。主な災害関連相談窓口としては、平成16
年7月に梅雨前線による豪雨災害関連窓口(新潟、福井県内の支店)、平成16年10月に
台風23号災害関連窓口(西日本各地の支店)、同月新潟県で発生した中越地震相談窓口
(新潟、長岡両支店)を開設しました。
・ 被災した中小企業からは大変多くの相談を受け、無担保での新規融資や、既往貸出の
返済条件緩和を弾力的に行いました。
評価と
今後の課題
・ 本支店一体となった相談窓口対応を適切かつ迅速に行える体制を確保します。
・ 支店では、休日出勤や、地元公的機関からの要請を受け外部相談窓口を開設するなど、
懇切・丁寧・迅速な対応により、地域への貢献を果たしてきました(金融相談から融
資まで、既往のお取引先は概ね1週間、新規のお取引先は概ね3週間程度)。
・ 中小企業金融の円滑化に向けて、中小企業に対する金融相談に関し、懇切・丁寧・迅
速な対応に努めることなどについて、必要に応じて中小企業を対象とした特別相談窓
口を設置するなど、引続き適時適切な施策を行っていきます。
事例
● 台風の被害を受けた組合に対して迅速な支援を行った事例
<背景>
・ 中国地区の台風18号の影響により、西日本の主に自動車整備関連業者で構成されるP
組合及び組合員が大きな被害を受けたため、迅速な資金繰支援が必要となっていました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、台風の翌日から、被害状況を確認するとともに、当組合理事長・専務理
事に対して、組合員の災害復旧資金について組合でニーズを取り纏め、組合の金融事業
での対応を提案しました。結果、組合及び組合員9社に対して融資を行いました。
17
b)セーフティネット貸付等長期事業資金による支援
具体的内容
・ 外的要因から一時的に業況や資金繰りが悪化した中小企業に対し必要な設備資金・長期運
転資金を融資します(国の制度融資「セーフティネット貸付」、独自の融資制度「セーフ
ティネット支援貸付」、「経済再生改革対応緊急貸出制度」)
。
ねらい
・ 適時に適切な資金を供給することで、経営の安定化や連鎖倒産の未然の防止、ひいては雇
用の維持に貢献します。
業績指標
● セーフティネット貸付等長期事業資金の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
8,237
3,161
9,413
4,039
10,290
4,361
施策実施状況
○ 平成16年度に取り組んだ制度融資の概要
・ 外的要因から一時的に業況や資金繰りが悪化した中小企業に対し、必要な長期運転資金(一
部設備資金を含む)を融資する制度です。平成9年11月の緊急経済対策の一環として「金
融環境変化対応資金」より取扱いを開始しました。以後経済情勢等を勘案しながら、順次
制度拡充を行ってきました。 ・ 支援対象者の状況に応じ、「経営支援資金」、「運転資金円滑化資金」、「金融環境変化対応
資金」、「倒産対策資金」により対応しました。
評価と
今後の課題
・ 一時的な業況悪化による経営不安定化要因を抱えた中小企業を対象に、中長期的な業況回
復の見通し等を十分見極め、目利き機能を活かしつつ、制度趣旨に則ったセーフティネッ
ト機能を十分に発揮しました。お取引先に対しては、既存の担保の有効活用により、安定
した条件、スタンスで対応することができました。
・ 中小企業を取巻く経済環境は依然として厳しいことに変わりはなく、個々の中小企業が予
測不能な不安定要因に直面する不安は解消されていないことから、商工中金はこれまでの
スタンスを維持しながらセーフティネット機能を発揮します。
事例
● 商工中金が策定支援した経営改善計画が他の金融機関に評価され、お取引先の資金調達が
円滑化した事例
<背景>
・ 景気低迷、価格競争激化の影響により、収支が低迷した関西地区の中堅卸売業者Q社に対
して、商工中金は在庫圧縮等の財務リストラを継続的に提案してきましたが、経営改善計
画書を作成し、抜本的な改善を図ることが不可欠な状態となっていました。
<商工中金の対応と効果>
・ 当社は経営改善計画を独力で作成することができないため、商工中金が作成支援を行いま
した。当社と商工中金がともに納得できる内容とした上で、資金繰り安定化のために当面
必要な資金をセーフティネット貸付を適用し、実行しました。
・ 経営改善計画書の作成により、課題とその解決への方向性について、当社・商工中金とも
に共通の認識を持つことができました。また、この計画が他の金融機関にも評価され、当
社はスムーズに資金調達を行うことができました。
18
c)セーフティネット貸付短期貸出制度等短期運転資金による支援
具体的内容
・ 外的要因から一時的に業況や資金繰りが悪化した中小企業に対し必要な短期運転資金(手
形の割引を含む)を融資します(独自の融資制度「セーフティネット貸付短期貸出制度」
、
「経済再生改革対応緊急貸出制度」)
。
ねらい
・ 適時に適切な資金を供給することで、経営の安定化や連鎖倒産の未然の防止、ひいては雇
用の維持に貢献します。
業績指標
● セーフティネット貸付短期貸出制度等短期運転資金の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
110,296
6,802
226,995
9,606
281,220
11,056
施策実施状況
○ 平成16年度に取り組んだ制度融資の概要
・ 外的要因から一時的に業況や資金繰りが悪化した中小企業に対し、必要な短期運転資金(手
形割引を含む)を融資する制度で、デフレ対応策の一環として、主務省の要請を受け、平
成14年3月より取扱いを開始しました。
・ 支援対象者の状況に応じ、「経営支援資金」、「運転資金円滑化資金」、「金融環境変化対応
資金」、「倒産対策資金」により対応しました。
評価と
今後の課題
・ 一時的な業況悪化による経営不安定化要因を抱えた中小企業を対象に、中長期的な業況回
復の見通し等を十分見極め、目利き機能を活かしつつ、制度趣旨に則ったセーフティネッ
ト機能を十分に発揮しました。
・ 中小企業を取巻く経済環境は依然として厳しいことに変わりはなく、商工中金はこれまで
同様セーフティネット機能を発揮し、中小企業の経営安定化に貢献していきます。
・ セーフティネット貸付短期貸出制度は、長期貸付を主体とする国の特別貸付に準じて、当
金庫が独自に措置した制度です。証書貸付、手形貸付のみならず、商手割引も対象とし、
短期資金ニーズにも柔軟に対応することができました。
事例
● 商工中金の貸出が呼び水となり、お取引先の金融機関との取引関係が安定化した事例
<背景>
・ 中部地区の弁当販売業者S社は近時は、安定した収益を確保していましたが、過年度の退
職金支払いや有価証券売却損により債務超過であったことを理由に取引金融機関R行から
貸出の一括返済を求められたことから、安定した調達窓口として新たに商工中金との取引
を期待するようになりました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金では、S社の業況推移をフォローの上、収支が安定しており、業績改善の見通し
が立つこと、先に取引開始した地元信用金庫の支援が厚いことから、資金繰り安定化のた
め、セーフティネット貸付短期貸出制度での融資を実行しました。
・ 結局、当社は取引金融機関R行に対する一括返済に応じましたが、セーフティネット貸付
短期貸出制度をきっかけとして、地元信金と当金庫の2行取引体制となり、安定した資金
供給源を確保したことから、業績も順調に推移し、債務超過解消に向かっています。
19
d)金融環境変化対応資金担保免除特例制度(貸し渋り無担保貸出)による支援
具体的内容
・ 金融機関との取引状況の変化により一時的に資金繰りに困難をきたしている中小企業に対
し、必要な運転資金(手形の割引など短期運転資金を含む)を無担保にて融資します(独
自の融資制度です)。
ねらい
・ 適時に適切な資金を供給することで、経営の安定化、ひいては雇用の維持に貢献します。
業績指標
● 金融環境変化対応資金担保免除特例制度(貸し渋り無担保貸出)の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
24,804
1,515
49,022
2,171
65,220
2,419
施策実施状況
○ 平成16年度に取り組んだ制度融資
・ 「デフレ対応策(平成14年2月、経済財政諮問会議)」におけるセーフティネット貸付の
制度拡充の一環として、平成14年3月、「金融環境変化対応資金」について無担保での対
応を可能とする商工中金独自の「金融環境変化対応資金担保免除特例制度」の取扱いを開
始(「金融環境変化対応資金」の別枠)しました。
・ これにより、担保が不足する企業であっても、一時的な資金繰り悪化を迅速に支援する体
制を整備しました。
評価と
今後の課題
・ 過度に担保に依存しない融資を促進する観点から、制度要件に該当する企業については、
この制度を優先的に適用することで、積極的に対応してきた結果、中小企業の無担保借入
のニーズを反映し、融資実績は増加傾向にあります。
・ 平成17年度より、全ての国の特別貸付について、当金庫独自に「無担保特例制度(担保
免除割合75%超)」を創設しました。これにより、資産背景に乏しい企業等に対して、よ
り幅広い資金ニーズに対応していきます。
事例
● 資産背景に乏しい工事業者の資金繰りを無担保融資で支援した事例
<背景>
・ T社は、関東甲信越地区の中堅規模の電気工事業者。業種特性上、支払いが先行すること
から、工事つなぎ資金を必要としていました。資産超過で事業の見通しにも特段の問題は
ないものの、資産背景に乏しく、既往の取引金融機関は保全面を理由に支援スタンスがや
や消極的でした。
<商工中金の対応と効果>
・ 既往取引金融機関のスタンスに変化が見られない中で資金需要が発生したことから、本制
度の趣旨に沿って支援を行いました。
・ 商工中金は、T社の工事受注先が安定的な継続取引となっていること等営業基盤が確立し
ている点に着目し、工事つなぎ資金についてこの無担保融資制度を適用して取組みました。
資産背景に乏しい企業に対して、セーフティネット機能を発揮し、資金繰りを支援しまし
た。
20
戦略目標⑥ 中小企業の連携・ネットワーク化の促進 <S−ネットワーク>
a)中小企業組合の個別課題の解決支援
具体的内容
・ 例えば、工場団地組合や卸団地組合が抱えている諸課題の克服に向け、金融面を中心と
した解決策を提案します。
ねらい
・ 組合運営の健全化、体質強化を通じて、組合員である中小企業の連携強化や成長に貢献
します。
● 組合役員保証の軽減ニーズに対する支援実績
業績指標
施策実施状況
保証軽減ニーズがあった組合
88組合
うち、商工中金が保証軽減を行った組合
82組合
○ 保証軽減ニーズへの対応
・ 組合役員であることにより他の組合員の借入に対して多額の保証責任を負うことは大き
な負担であり金融事業、共同事業のネックとなっているとの声が寄せられました。その
ようなニーズを踏まえ、組合貸にかかる組合役員の保証免除基準を明確にし、組合の実
態に応じた弾力的な運用を実施しました。保証軽減の要請を受けた88組合の中から82
組合に対して、組合・組合員間の保全措置や返済の見通し、金融規約などの適正運営状
況を確認の上、保証人減免の対応を行いました。
○ 団地組合に対する支援
・ 工場団地組合や卸団地組合が抱えている高度化9終了後の一体化維持、団地内余剰地処
分問題、オーバーローン問題10等の諸課題の克服に向け、余剰地を買い取る組合員に対
する金融面での支援(平成16年度融資実績:2件/1億7千万円)を中心とした解決策を
提案しました。また、高度化完済後の団地組合の一体性維持の有効な解決事例集などを
お取引先担当に対して還元しました。
・ 組合員の廃業、倒産等が生じた場合の余剰地問題への対応に苦慮するケースが多いこと
から、商工中金独自の融資制度である「助成団地の倒産組合員の施設にかかる緊急融資」
(平成16年度融資実績:8組合/11億円、平成16年度末融資残高:19組合/37億円)
の活用を含め、組合の課題解決に向けた対応を行いました。
・ 団地組合の支援の観点から、全国卸商業団地協同組合連合会、全国工場団地協同組合連
合会との連携、情報交換を緊密に行っています。
(各連合会のブロック会議への出席(年13回)、全国卸商業団地協同組合連合会の年2
回の事務局長会議への出席、全国工場団地協同組合連合会の全国研修会への講師派遣な
ど。また、昭和51年以来全国の団地組合のトップを対象とした「団地トップセミナー」
を各連合会と共催。)
・ 団地組合の課題解決について商工中金の支援機能を一層強化するため、「大口団地担当
者連絡会議」(平成16年度全国36組合の担当課長を対象)の毎年の開催とともに、平成
16年度は団地組合を取り巻く環境変化を踏まえ「団地金融Q&A」を作成しました。
9 高度化:中小企業者が共同して経営体質の改善、環境変化への対応を図るために工場団地・卸団地、ショッピングセンター等を建
設する事業や第三セクターや商工会等が地域の中小企業者を支援する事業に対して、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下中
小機構)がコンサルタント面および資金面から支援する制度。
10 オーバーローン問題:転貸残高>団地内資産価値となること。組合にとっては最終回収リスクの増大を意味する。土地価格が下落
する現状では、その解消は大きな課題となっている。
21
評価と
今後の課題
事例
・ 平成16年度は団地組合等を中心として、組合役員保証の軽減ニーズに応えましたが、
今後は、より広範囲な組合を対象としてニーズを把握し、それぞれの組合の実情に応
じた解決策を講じます。
・ 団地組合の余剰地、オーバーローン問題については、団地余剰地の買取資金支援とい
う成果が現れました。団地問題への対応に係る円滑な運営のための提案書などのツー
ル整備により、今後、個別事案への活用が期待できます。団地組合の余剰地等の有効
活用を促進する事業融資スキームを検討します。
・ 高度化終了後の一体性維持、団地内余剰地処分問題等の課題を有している組合も多く、
そうした課題解決に向け、本支店でフォローを行います。また、問題解決事例等の有
効事例をとりまとめ、職員の共通認識とすることで、より迅速で質の高い組合支援に
役立てます。
● 中小企業組合の金融事業開始にあたって、商工中金がスキームの構築を支援した事例
<背景>
・ 大企業U社を主要得意先とする印刷業者で構成される北海道地区の同業種組合V組合
から、金融事業を開始したいとの相談がありました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は当組合に対し、組合から組合員への貸付限度を組合員のU社に対する売掛
金の範囲内とするなどとした金融事業スキームを提案し、組合のリスク管理体制の構
築を支援しました。
・ 組合が金融事業を開始したことで、組合員の資金調達手段が拡充され、特に担保不足
から銀行借入に支障のある組合員の資金繰り安定化に役立ちました。
22
b)共同出資会社、任意グループなど多様な連携を支援
具体的内容
・ 多様な連携を試みる中小企業の取り組みに対し、必要となる資金の融資や各種情報提
供を行います。
ねらい
・ 中小企業の多様化するニーズの受け皿としての多様な形での連携への支援を通じて、
中小企業の成長に貢献します。
施策実施状況
○ 資金面、情報面での連携支援
・ 中小企業が経営資源(設備、技術、個人の有する知識及び技能など)を補完し合いな
がら連携し、新しい事業活動を行うことに貢献するため、必要となる資金の融資を行
うとともに、補助金や組合設立支援などの各種情報を提供しました。
・ それぞれの案件について、本支店一体となって最善の対応ができるように有効事例の
還元や、本部職員によるお取引先訪問などに取り組みました。
・ 商工中金のお取引先やその若手経営者で組織された中金会・ユース会が行う講演・研
修の実施、会員企業の経営やビジネス交流など経営に役立つ情報の提供等の支援を行
いました。
評価と
今後の課題
事例
・ 新たな連携・ネットワーク化を通じて新事業創出を図ろうとする中小企業に対し、新
設企業組合向け融資制度などを活用し、下記の事例のように金融面を中心に支援を行い、
事業の円滑なスタート及び今後の成長・発展に寄与しました。
・ 平成17年度中小企業施策である「新連携」(異業種に属する複数の中小企業が、従来の
取引形態や組織形態にとらわれず、それぞれの事業分野で蓄積したノウハウ・技術な
どの経営資源を提供し合い、それらを融合させた事業活動を行うことで新たな需要の
開拓を行う企業グループ。)は事業体ごとの連携という新しい動向に対応した中小企業
の組織化の一類型であり、商工中金は、組織金融機関として培ったノウハウを活用し
積極的に対応します。具体的には以下の推進を行います。
①経済産業局等との密接な連携による案件発掘とフォロー
②広域連携にも対応できる本支店一体となった円滑な審査体制や案件情報の共有化の
整備
● 担保が十分でない新設の共同出資会社に対して、事業内容に着目し、資金面の支援を
行った事例
<背景>
・ 関東甲信越地区の複数の文具卸売業者が、近時の厳しい経営環境に危機感を抱き相互
補完による経営効率化のため、共同仕入、共同在庫、共同配送を目的とした共同出資
会社を設立しました。
<商工中金の対応と効果>
・ 新設会社であり実績や担保とも不足していましたが、商工中金は事業内容に着目し、
システム構築・移転費用等、運転資金枠を設定しました。
・ また、事業拡大に伴う運転資金需要に対し、商工中金より各種制度融資の利用を提案し、
当該取引先にとって資金面での安定化を図ることができました。
23
c)新設組合に対する中央会推薦貸出、新設企業組合向け貸付による支援
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施内容
評価と
今後の課題
・ 中小企業団体中央会と連携し、新設の組合・企業組合に対し、金融面を中心とした支
援を行います。
・ 組合の形での創業、新事業進出への支援を通じて、中小企業の成長に貢献します。
● 新設組合に対する中央会推薦貸出・新設企業組合向け貸付の融資実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
新設組合に対する中央会推薦貸出
46
2
90
5
112
6
新設企業組合向け貸付
18
0.7
25
1
○ 新設組合に対する中央会推薦貸出による支援
・ 新設組合は創業や経営革新に対する取り組みの一環として設立されIT関連、環境リサ
イクル、介護サービス等今日的テーマの事業に取組むケースも多く、資金ニーズも多様
化しています。新設組合の小口資金ニーズに対応するという目的で創設された新設組合
向け中央会推薦貸出について中小企業団体中央会と密接に連携しながら推進しました。
(支援概要)
・中小企業団体中央会から推薦された設立5年以内の組合を対象としました。
・融資金額は最大10百万円。組合の設立若しくは設立後の事業の拡大に必要な設備
資金・運転資金を対象としました。
・原則、無担保での取扱いとしました。
○ 新設企業組合向け貸付による支援
・ 企業組合制度は他の組合制度と比較し、女性や高齢者・技術者・学生らが「自らの働
く場の創出・確保」ができる制度として従事比率や組合員資格が緩やかな制度です。
こうした企業組合の特長を一層活用することによる創業・開業や新事業創出を促進す
るという目的で創設した新設企業組合向けの貸付制度について中小企業団体中央会と
連携強化を図りつつ、推進しました。
(支援概要)
・中小企業団体中央会が設立に関与した、設立3年以内の企業組合を対象としました。
・融資金額は最大10百万円。組合の設立若しくは設立後の事業の拡大に必要な設備
資金・運転資金を対象としました。
・原則、無担保での取扱いとしました。
・ 両制度合算で平成16年度も前年度対比26%増と、制度取扱開始以降取扱実績は堅調に
推移しています。新設組合向け中央会推薦貸出については、全国48の中小企業団体中
央会のうち、33の中小企業団体中央会から推薦を受け、当制度は広く周知されています。
・ 新設組合向け中央会推薦貸出については、新設組合の小口資金ニーズに対応するため
に、引き続き中小企業団体中央会の機関誌による紹介などにより、今後も推進してい
きます。
・ 新設企業組合向けの貸付制度については、企業組合制度を活用することによる創業・
開業や新事業創出を促進するために、設立間もない企業組合を対象に、引き続き制度
を推進していきます。
24
事例
● 事業見通しに着目し、新設の企業組合を資金面で支援した事例
<背景>
・ 社寺の修復に長年携わってきた関西地区の技術・労働者が、多様化・高度化する伝統
文化財の保存・修復ニーズに対応するため、細分化された伝統工芸職人の技術・技能
が最大限発揮できるよう、組合形態での創業(職人間のコーディネートが主な事業)
を企図しました。
・ 中小企業団体中央会から組合設立に関する総合的な指導を受ける中で、資金面につい
ては、中小企業団体中央会を通じて商工中金に相談を行いました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、設立計画、事業見通し、過去の修復実績の調査などを行ったうえで、組
合としての事業実績はないものの成長が見込まれると判断し、新設企業組合向け貸付
により、事業立ち上げに必要な資金を融資しました。
・ 個々の技術・技能を組織化することで、様々なニーズに即座に対応できる体制が整い、
計画どおりの受注が入るなど事業は順調に推移しています。
25
戦略目標⑦ 中小企業支援のために地域および産業界等と連携 <S−ビジネスリンク>
a)地域金融機関との連携
具体的内容
ねらい
・ 情報交換などリレーションを強化し、個別の協調融資や取引先経営改善への協調支援
などを行います。
・ 情報面、機能面の相互補完を行うことで、地域の中小企業の金融安定化に貢献します。
● 地域金融機関との業務協力文書締結先数
15年度
16年度
267機関
351機関
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
● 地域金融機関との協調融資実績(注1)
(単位:件、億円)
15年度(注2)
16年度
件数
金額
件数
金額
1,289
1,082
7,304
5,552
(注1)シンジケートローンなど契約書等により地域金融機関と共通の協調認識のある案
件に限定したもので、この他の融資においても原則協調して行っております。
(注2)平成15年12月から平成16年3月までの4ヵ月間の数値です。
○ 研修会や情報交換会の開催
・ 業務協力文書締結先351機関を中心に、研修会(参加金融機関398先)、情報交換会(上
期83先、下期105先)を開催する等、地域金融機関とノウハウや情報の共有を図りまし
た。
○ 地域金融機関との連携事例の収集
・ 連携実績について、月次で各営業店が作成する業務概況報告書等により本部が情報収
集を行うとともに、その事例を体系化したうえで営業店に還元し、より効果的な連携
を目指しました。
○ 連携事例などの対外PR
・ 地域金融機関と連携した取組みについて、より多くの中小企業の経営等に活かしても
らうため、対外PRを行いました。(協調案件等の新聞等での掲載件数15年度3件⇒16
年度20件)。
・ 地域金融機関と連携して地域の中小企業の金融安定化を図るという目標に対して、以
下の取組みを行いました。
① 地域金融機関とノウハウや情報の共有化を図ることで、当金庫の取り組み姿勢
について徐々に各地域金融機関の理解を得られたことから、業績指標の各項目
は増加傾向にあります。
② 例えば、新潟県では再生に関するシンジケートローン、岐阜県では外為に関す
るDIPファイナンス等を地域金融機関と協調して行いました。これらの事例
では当金庫が早々に融資に前向きな判断を示したことが呼び水となり、他の地
域金融機関からも円滑に資金調達を行うことができたり、商工中金が持つ金融
フロンティアに関するノウハウを地域金融機関に提供することで結果としての
中小企業の資金調達が円滑化しました。
・ 各地域金融機関は「地域密着型金融の機能強化の推進に関するアクションプログラム」
に基づき「地域密着型金融推進計画」の公表・実行を求められていますが、政策金融
機関である商工中金に対してもこうした地域金融機関と連携して、中小企業を支援す
る役割が期待されています。
・ 各地域金融機関は上記推進計画について地域の特性を踏まえた個性的な計画の策定が
求められていることから、商工中金にとっては各地域金融機関との間で、地域特性を
踏まえた協調支援策の具体化が課題です。平成17年度は各地域金融機関の「地域密着
型金融推進計画」を確認し、より地域に密着した具体的な協調方針を個別に検討し、
構築します。
26
● メインバンクが支援している企業を協調支援した事例 ・ メインバンクの地域金融機関が経営改善支援に取り組んでいる関東甲信越地区の中堅
建設会社W社について、他の既往取引金融機関の支援が消極スタンスであったため、
地域金融機関から商工中金に対して協調支援の打診がありました。
・ 商工中金は経営改善計画等を総合的に判断し、長期運転資金による協調支援を行いま
した。その結果、資金繰り等が改善されました。
事例
● 新規創業企業を地域金融機関と協調して支援した事例 ・ 関西地区の創業まもない食料品製造業者Y社への支援スキームについて、地域金融機
関より商工中金に対して情報連絡会で相談がありました。
・ 当該地域金融機関を中心に設備資金を融資し、商工中金は事業性を評価し運転資金を
融資するなど、それぞれ役割分担しながら効果的な資金提供を行いました。
● 再生手法への取組み∼研修会の実施∼ ・ 商工中金が講師となり、複数の地域金融機関又は業界団体とDIPファイナンスをテーマ
に研修会を実施しました。
・ それを契機に、地域金融機関から具体的な案件の相談があり、同機関と審査、契約書
作成、実行後のモニタリング等広範な連携の下でDIPファイナンスの協調融資を実行し
ました。
27
b)「NOx・排ガス融資」による規制車両代替支援
具体的内容
・ 自動車NOx・PM法に基づく排出基準適合車への買換えに係る資金について引き続き積
極的に融資を行うとともに、平成16年度からは無担保で融資する制度を新たに提供し
ます。
ねらい
・ 環境対策(排ガス規制)に関し、業界が抱える課題の克服と運送業者の経営基盤強化
に貢献します。
業績指標
● 「NOx・排ガス融資」の取扱状況
(単位:件、億円、台)
14年度
15年度
16年度
件数
1,593
2,268
2,605
金額
228
355
408
車両代替台数
4,013
3,949
施策実施状況
○ 「NOx・排ガス無担保融資」の創設
・ 平成16年5月、担保不足から排ガス排出基準適合車への買換えが困難な事業者を対象と
して、当該適合車への買換え資金を無担保で融資することを内容とする「NOx・排
ガス無担保融資」を創設しました。
○ 「トラック近代化基金融資Q&A」の改正
・ 営業店の融資事務手続きを円滑化し、利用者の利便性を高めるため、平成16年度制度
改正を踏まえた「トラック近代化基金融資Q&A」を改正しました。
評価と
今後の課題
・ 平成16年度は「NOx・PM法」に基づく車両規制により、車両代替台数は引き続き
過去最高水準で推移しました。「NOx・排ガス融資」も前年度実績を大幅に上回って
おり、環境規制に対応する事業者の資金繰り円滑化に寄与しました。
・ 「NOx・排ガス無担保融資制度」については制度創設初年度ながら、公募枠30億円
に対して申込23億円(利用率約80%)という実績でした。
・ 平成17年度も「NOx・PM法」に基づく車種規制により車両代替は引き続き高水準
で推移する見込みであり、「NOx・排ガス無担保融資制度」を継続します。
・ 同制度利用率の引上げのために、平成17年度は、社団法人全日本トラック協会と連携
して、制度融資のPR強化や公募期間の延長等の対応を検討します。
・ 「トラック近代化基金融資Q&A」の改正により、融資事務手続きが円滑に行われ、
融資申込から融資実行までの迅速化が図られました。
28
c)「中小企業繊維製造事業者自立化事業」の助成を受ける中小企業への支援
具体的内容
ねらい
業績指標
・ 事業に必要となる資金の融資(助成金交付までのつなぎ資金など)や各種情報提供を行い
ます。
・ 川中11の中小繊維製造事業者の円滑な事業遂行と自立化、経営革新に貢献します。
● 「中小企業繊維製造事業者自立化事業」の助成を受ける中小企業への融資実績
(単位:件、億円)
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
46
8
47
8
施策実施状況
○ つなぎ資金の融資等による支援
・ 経済産業省及び独立行政法人中小企業基盤整備機構は「川中」にある中小繊維製造事
業者が下請け賃加工形態から脱却し、自らマーケティングと商品企画・販売を行う等、
繊維産業の構造改革に資する新たなビジネスモデルとなる自立に向けた前向きな取組
に対して、平成15年度から助成事業を開始しました。
・ 商工中金は経済産業省等から、①助成金の交付が事後であることから、助成金交付ま
でのつなぎ資金融資の要請を、また、②外部審査委員就任(財務審査担当)の要請を
受け、本事業の円滑な進捗をサポートしました。
○ 相談コーナーの設置
・ つなぎ資金融資について、採択企業所在地の全国52店舗に相談コーナーを設置して対
応しました。相談コーナーにつきましては、経済産業省等が交付決定企業に対して設
置状況を説明するとともに、商工中金からも新聞発表を行い周知しました。
評価と
今後の課題
・ 今年度の採択企業169社のうち、約2割に当たる36社(うち新規取引開始18社)が商工
中金のつなぎ資金を利用しました。この中で、民事再生を申立てたタオル製造販売業
者に対する事例では、商工中金がDIPファイナンスを融資したことが地域金融機関
への呼び水となり、当社の資金調達が円滑化しました。
・ 今後の課題は、つなぎ資金利用率を更にアップし、採択企業の資金繰りの安定化を一
層促進することです。また、助成金交付が2年間にまたがる場合、現状では、各年度と
も同様の融資申込み手続きが必要となっており、お取引先のご負担となっていましたが、
今後2年目のつなぎ資金については、手続きの簡素化を徹底します。
事例
● 「中小企業繊維製造事業者自立化事業」の助成を受ける中小企業に対して助成金交付
までのつなぎ資金等を融資して支援した事例
<背景>
・ 関東甲信越地区のZ社は、早くからニット製品自動編み機(ホールガーメント機)を
導入し、海外製造業者とコスト面で互角に競争する基盤を築いてきました。
・ 今般、下請からの脱出を図るため、Z社自身の企画力、販売力や新型機械での製造ノ
ウハウを活かした独立企業体を、同業の1社と共同で立ち上げることとしました。
<商工中金の対応と効果>
・ ホールガーメント機へのデータ作成、入力のためのCG導入及びCG技術者と販売担
当者の新規採用に必要な経費について助成金を申請しました。
・ 助成金交付までのつなぎ資金及びホールガーメント機の追加導入に伴う設備資金につ
いて、商工中金が融資を行うことで、繊維事業者の自立に貢献しました。
11 川中:一般的に、商製品の製造から販売までの各工程を、
「川上」、「川中」、「川下」と称している。繊維産業の場合、「川上」は原
糸メーカー、「川下」はアパレル・小売業者で、その中間が「川中」。具体的には、染色、織物、ニット製造業者、縫製業者で、大
半が中小企業。
29
戦略目標⑧ 金融フロンティアの開拓 <S−フィナンシャルフロンティア>
a)新たな資金供給などの仕組みの開発・拡充
具体的内容
施策実施内容
評価と
今後の課題
事例
・ 引き続き資産の流動化や企業間決済に関する新たな仕組みを開発し、中小企業の資金調達
の円滑化に貢献します。
○ コミットメントラインの対象企業拡充
・ 特定融資枠法適用対象外企業に対して当金庫単独によるコミットメントラインの取組を開
始しました。
(取扱開始:平成16年5月、利用企業4件11億円)
・ メンバーの海外現地法人との相対型コミットメントラインの取組を開始しました。
(取扱開始:平成16年11月、利用企業1件2億円)
○ 商工中金保証付私募債の対象企業拡充
・ 小ロットによる募集形式の私募債の商品開発を行いました。
(拡充:平成16年11月、対象企業の利用状況189先94億円)
○ 不動産流動化への取組み
・ 財務体質改善を主目的とする中小企業の不動産流動化を実施しました。(平成16年8月)
○ 在庫担保融資への取組み
・ 在庫を流動集合物譲渡担保とした融資を実施しました。(平成17年2月) ○ デリバティブへの取組み
・ 中小企業のリスク管理手段として、金利スワップ、クーポンスワップなどを提供しました。
・ 地域金融機関の市場における安定的な取引相手として、
様々なリスクヘッジ手段を提供しています。
・ コミットメントラインの対象企業を、特定融資枠法適用対象外の中小企業や中小企業の海
外現地法人にまで拡充し、機動的な資金調達枠確保のニーズに対応しました。
・ 商工中金保証付私募債の対象企業拡充により中小企業の私募債起債ニーズに応えました。
・ 不動産流動化への取組みにより、中小企業の資産オフバランス化による財務体質の改善に
貢献しました。
・ 在庫担保融資への取組みにより、不動産以外の未活用の保有資産に着目した資金調達手法
を提供し、資産背景に乏しい中小企業の資金調達ニーズに対応しました。
・ 今後もコベナンツによる経営規律の維持を図りながら、過度に不動産担保・個人保証に依
存しない金融手法の開発に取り組み中小企業の資金調達手法の多様化に貢献します。
・ 中小企業が金利・為替変動等の市場リスクに煩わされることなく本業に専念できる環境の
実現を主眼として、中小企業のデリバティブ取引ニーズに対して、その目的と妥当性を見
極めつつ、適切なリスク管理手段の提供を行いました。また、地域金融機関に対しても、
平成16年度末時点で32行とデリバティブ取引の基本契約を締結し、市場での安定的な取引
相手として様々なリスクヘッジ手段を提供しています。
● 在庫担保融資により、資金調達の円滑化に貢献した事例
<背景>
・ 「ワイン産業振興特区」認定により、ワイナリーのぶどう栽培が認められましたが、ぶど
う栽培からワイン完成までに数年を要することから、資産背景に乏しいワイナリーにおい
ては資金調達がネックとなり、特区のメリットを十分に活用できていませんでした。
<商工中金の対応と効果>
・ 農産品の在庫は通常管理が難しく、金融機関の担保になりにくいと言われていますが、熟
成中のワインは一定期間、倉庫から出し入れができないという特性を考慮して、ワインを
担保とした運転資金の融資を関東甲信越地区のワイン製造業B社に対して行いました。
・ 特区のメリットの活用を検討していた同社に対して、新たな資金調達手法を提供すること
により、資金調達の円滑化に貢献しました。
30
b)売掛債権流動化への取組み
具体的内容
・ 中小企業が保有する売掛債権(手形・売掛金)を信託方式により流動化することやファクタ
リング方式により直接取得することで、中小企業の売掛債権を資金化します。
ねらい
・ 不動産以外の資産に着目した資金調達手法を提供することにより、中小企業金融の円滑化
を図るとともに、新しい金融手法の普及に貢献します。
● 売掛債権流動化スキームの取扱実績
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
事例
12
14年度
先数
金額
34
521
15年度
先数
金額
57
869
(単位:先、億円)
16年度
先数
金額
63
1,272
○ 中小企業が有する売掛債権等で組成される信託受益権・ABCP12の購入
・ 短期債権プール型の取得限度を引上げました(平成16年8月)。こうした改正等を通じて、
弾力的な対応が可能となり、63先 1,272億円(平成15年度 869 億円)の購入となりまし
た。
○ 売掛債権等アセットを活用した新たな金融手法への取組み
・ 信託ABL、中長期債権プール型の債権流動化の取組みを開始しました。(平成16年8月)
・ 多様な流動化スキームに対応できるようになり、信託ABL2件(うち1件は中長期債権プ
ール型)の取組みとなりました。
・ 中小企業のオフバランスニーズの高まりを受け、利用企業が拡大しており、取組実績が増
加しています。
・ 商工中金は、中小企業のオフバランスニーズへの対応、不動産以外の資産を活用した資金
調達等の各種ニーズを踏まえ、債権流動化の対象債権、手法を拡充し、中小企業の資金調
達多様化とともに金融フロンティアの発展支援に貢献できました。
・ 中小企業金融分野において不動産以外の資産に着目した資金調達手法のあり方が求められ
ており、知的財産権・在庫等を活用した資金調達方法のニーズが高まっていますので、今
後は評価手法の明確化ならびに流動性を図るための外部機関との連携等についての検討を
します。
● 商工中金が提案した売掛債権流動化スキームにより、負債を増やすことなく資金調達が図
られた事例
<背景>
・ 北海道地区のリース会社であるC社は財務改善に取組んでおり、負債を増やすことなしに
新規リース物件購入資金の調達を行いたいと考えていました。
<商工中金の対応と効果>
・ 商工中金は、金融機関の足並みを揃えるための有効な手法として信託ABLに着目し、地
域金融機関及び信託銀行との共同アレンジで、売掛債権(リース料債権・割賦販売代金債
権)を裏付けとする信託勘定への貸出による流動化スキームを提案し、C社のニーズを踏
まえた資金調達手法を提供することができました。
ABCP(Asset
Backed Commercial Paper):売掛金や貸付金などを裏付けに発行する資産担保のCP(企業が短期資金を調達す
るために発行する無担保約束手形)。
31
c)シンジケートローンへの取組み
具体的内容
ねらい
業績指標
施策実施状況
評価と
今後の課題
事例
13
・ 自らシンジケート団をアレンジし、また地域金融機関等のアレンジ案件が円滑に組成され
るようにシンジケート団に参加して、中小企業に対するシンジケートローンを行います。
・ 地域金融機関などとの協調での取り組みにより企業の資金調達窓口を確保し、地域の中小
企業金融の円滑化を図るとともに、資金調達手法の多様化、新しい金融手法の普及に貢献
します。
● シンジケートローンの取扱実績
(単位:件、億円)
14年度
15年度
16年度
件数
金額
件数
金額
件数
金額
93
310
187
493
276
889
○ 商工中金が自らアレンジするためのエージェント体制の整備
・ 主幹事でのコミット型シンジケートローン案件組成に向けて、エージェント13 事務の体制
を整備し、中小企業のシンジケートローンの円滑な組成を図ることを可能としました。平
成16年度のアレンジ実績は、15件、組成額271億円(平成15年度は3件、組成額47億円)
と大幅に増加しました。
○ 他行アレンジ案件への参加のための体制整備
・ 中小企業金融分野におけるシンジケートローンの急速な普及を背景として、参加案件への
適切な対応を図るために内部手続きの簡素化等を実施しました。また、参加招聘から契約
に至る一連の流れを説明した営業店向け参考資料を発信し、営業店の知識向上にも努めま
した。そうした取組みもあり、参加案件は、276件・889億円(平成15年度 187件・493
億円)と大幅に増加しました。
・ シンジケートローンは効率的な資金調達機会の確保を主目的とする中小企業の調達手段と
して定着しており、商工中金は、アレンジ案件、参加案件の両面から、中小企業の資金調
達の円滑化に貢献しました。
・ 中小企業の資金調達多様化を支援するとともに、地域金融機関に対してノウハウを提供し、
新しい金融手法の普及に貢献しました。
● 商工中金の参加が呼び水となり、円滑にシンジケートローンが組成された事例
<商工中金の対応と効果>
・ 地域金融機関がアレンジャー(主幹事)、商工中金がコ・アレンジャー(副幹事)として、
東海地区の梱包荷役業E社が行う廃プラスティックリサイクルパレット製造事業に対しリ
サイクル施設建設の推進を支援するため、シンジケートローンを組成しました。商工中金
の参加が呼び水となり、円滑な組成が図られ、本件融資を通じて、今後、廃棄物の再資源
化による環境負荷の低減、循環型社会形成の推進が図られることが期待されています。
エージェント:シンジケートローンにおいて、契約調印後、貸付人の代理人として、借入人と参加金融機関の間の資金決済、連絡
等の事務を行う。アレンジャー行が担当することが一般的である。
32
d)CLO(ローン担保証券)への取り組み
具体的内容
ねらい
・ 地方公共団体CLO、広域連携型CLOなど、引き続きCLOの普及に取り組みます。
・ 市場型間接金融であるCLOを提供することにより、担保が十分でない中小企業の資金調
達の円滑化を図るとともに、地方公共団体などとの連携により新しい金融手法の普及に貢
献します。
● 広域連携型CLO取組状況
(単位:社、億円)
15年度
15年度
参加社数
金額
参加社数
金額
631
172
業績指標
● 地方公共団体CLO取組状況
施策実施状況
評価と
今後の課題
事例
(単位:社、億円)
15年度(参加4回)
16年度(参加5回)
参加社数
金額
参加社数
金額
101
33
357
123
○ 広域連携型CLOの組成・支援への取組み
・ 地理的に離れた複数県が連携して取り組む全国初の広域連携型CLOのスキーム全般をア
レンジし、融資金融機関としても参加しました。(平成16年7月)
・ 広域連携型CLOを題材に地方公共団体CLO及び広域連携CLOの勉強会(13 地公体
等)を実施し、CLOの普及に取り組みました。
○ 地公体CLOへの参加
・ 中部CLO(平成16年7月)、政令指定都市CLO(平成16年12月)、第2回千葉県CL
O(平成17年2月)、第6回東京都CLO(平成17年3月)に融資金融機関として参加し、
CLOの組成に協力しました。
・ 広域連携型CLOについては、商工中金がスキーム全般のアレンジに加え、融資金融機関
として参加することで、当該地域における資金調達多様化ニーズに対応しました。スケー
ルメリットによりコストが低減し、中小企業にとって利用しやすい金利設定となりました。
利用企業のうち6割が第2回目の実施を要望しており、当該地域におけるCLO普及に貢献
しました。また、商工中金におけるノウハウ蓄積にも繋がり、引き続き地方公共団体CL
O、広域連携型CLOのスキーム構築等を検討します。
・ 地方公共団体CLOへ参加することにより、メンバーの資金調達多様化ニーズに貢献しま
した。地方公共団体CLOの組成が検討される場合、組成に際しては、地方公共団体及び
地域金融機関との連携を図り、メンバーの資金調達多様化ニーズに積極的に貢献します。
● 商工中金が日本初の広域連携型CLOをアレンジし、担保が十分でない中小企業の資金調
達円滑化に貢献した事例
<商工中金の対応と効果>
・ 成長力のある中小企業が無担保で必要な事業資金を確保できるように、宮城県・和歌山県・
鳥取県・佐賀県の4県が連携して取り組む日本初の広域型CLOに対して、商工中金はス
キーム全般のアレンジに加え、融資取扱金融機関としても地元金融機関とともに参加しま
した。
・ これにより、中小企業は無担保で安定的な事業資金を確保することが可能となり、金融機
関は地元中小企業に対して新たな金融手法による資金供給を行うことができました。また、
スケールメリットが活かされたことで、コストが低減し、中小企業にとって利用しやすい
金利設定とすることができました。
33
2. 活動指針に沿った取り組み
活動指針① 機能、人材、組織を使命達成のために最適化します
【 課題 】 a)お取引先担当の中小企業ニーズへの対応力を強化するための環境整備
【実施内容】
● システムインフラの強化
・ お取引先担当は、審査事務の効率化のため、営業支援系システム(=営業店職員のりん
議作成など審査業務を効率化するためのシステム)を用い、企業調査、融資審査、りん
議作成等を実施しています。
・ このシステムの機能を拡充することにより、お取引先担当がりん議作成等に要する時間
を短縮することが、お取引先と接する時間を増やし、ニーズへの対応力を強化すること
から、以下のような取り組みを行いました。
・ また、インターネットバンキングを開発し、お取引先の決済事務の効率化に努めました。
<具体的取り組み>
○ 社内LANのレスポンス向上
・ 営業支援系システムのレスポンスを向上させました。例えば、お取引先の必要運転資金
額を推計する際に使用する計表のレスポンスについて、従来46秒要していましたが、改
善後は15秒に短縮しました。
○ りん議作成システムのチェック機能を強化
・ 入力必要項目を明確化し、登録漏れなどをチェックする機能を強化しました。
○ 自己査定システムの強化
・ 財務情報が自動入力される帳票を増やし、入力負担を軽減しました。
○ 過去に作成したりん議をもとに新しいりん議を作成できる機能を拡充
・ 同機能を使えるりん議の種類を増やしたことにより、転記時間や作成検討時間の軽減に
つながりました。
○ インターネットバンキングの開発
・ お取引先の決済手続き効率化などのため、インターネットバンキングの開発をすすめま
した(平成17年5月に導入しました)。
● 業務分担の見直し
・ お取引先担当は、金融サービスから経営コンサルティング、企業調査や担保評価など様々
な業務を行っていますが、そのうち、担保評価業務については、専門の職員への集約化
を進めました。
・ お取引先担当の事務サポート等のため、人材配置を見直しました。
<具体的取り組み>
34
○ 担保評価業務の一部を担保評価集中センターに集約化
・ 担保評価集中センターの専担職員が担保評価を行うことにより、お取引先担当の業務か
ら担保評価に係る負担を大幅に削減することができました。
・ また、専担職員が複数物件をまとめて調査することができるようになり、お取引先担当
者の負担軽減に加え、効率化も図られました。
○ お取引先担当の事務作業をサポートする職員を全店的に配置
・ お取引先担当の事務作業をサポートする職員を各営業課に1人配置し、お取引先担当が中
小企業ニーズによりきめ細かく対応できる体制が強化されました。
○ 新規のご相談者が多い営業店には、専門的に対応する担当者を配置
・ これまで新規のご相談者にはすべてのお取引先担当者で対応してきましたが、専門の担
当者を配置することにより、迅速かつ的確な対応が可能となりました。
● 権限委譲
・ 融資審査に当たっては、各営業店長の権限で決裁できる金額を、企業信用力などに応じ
て決定し、それ以外のものを本部決裁としていますが、中小企業ニーズに対するクイッ
クレスポンスを図るため、営業店長の決裁権限を拡大しました。
<具体的取り組み>
○ 営業店長の決裁権限の拡大
・ 貸出審査の本部申請件数が減少し、個別案件に対するクイックレスポンス、営業店審査
と本部審査の役割分担によるリスク管理の効率化が図られました。
(参考)「個別貸出案件の本部申請件数推移」
(単位:件)
平成15年
平成16年
平成17年
1月
1,224
968
887
2月
1,584
1,160
1,080
3月
1,813
1,846
1,615
合計
4,621
3,974
3,582
平均
1,540
1,325
1,194
【 課題 】 b)新人事制度に基づく能力向上 【実施内容】
● 新人事制度定着のための研修等の実施
・ 新人事制度は、職員が高い職務執行能力を身に付け、その持てる力を最大限発揮し、高
い成果に結びつけることにより、商工中金全体の政策的機能の一層の向上を目指すもの
です。
・ 成果主義の考え方を取り入れ、目標管理制度により職員個々人の役割を明確にするとと
もに、それぞれの役割を果たすために求められる能力についても「コンピテンシー」と
いう基準で明確にしました。
35
・ 新人事制度に基づき、職員の職務遂行能力向上を図るためには、上司(考課者層)、
部下(被考課者層)の双方に本制度に対する正しい理解を定着させるため、繰り返
し指導することが不可欠です。この観点から、以下の取り組みを実施しました。
<具体的取り組み>
○ 集合研修時に、制度の趣旨説明等を実施 ・ 新任課長研修(受講者59名)において、能力開発を中心とした制度の趣旨説明及び
考課訓練を実施しました。
・ お取引先担当直前研修(受講者92名)並びにお取引先担当中堅研修(同36名)にお
いて、役割責任及びコンピテンシーについて説明しました。
○ 本部・営業店を訪問し、定着状況をチェック
・ 人事の諸問題の実態把握のために行っている臨店(平成16年度実施48支店10部室)
において、制度の定着状況のチェック、管理職宛て趣旨説明等を実施するとともに、
制度に対する意見・要望事項等を聴取しました。
○ 制度改正 ・ 職員の意見・要望事項等を踏まえ、一部ツールの様式改定(目標管理シートと能力
開発シートの統合、コメント記載欄の削減等)など、制度の本質を維持しつつ、極
力運用面で作業負担軽減につながる見直しを実施しました。
36
活動指針② 目利きとコンサルティングにより、審査精度の向上、リスク管理の高度化
を果たし、健全な経営基盤を構築します
【 課題 】 a)中小企業の経営改善に対する支援強化
【実施内容】
● 経営改善支援体制の整備
・ 専務理事を本部長とする中小企業再生支援本部や経営支援室を中心に、全国の営業店と
本部が一体となって経営改善支援・再生支援を行いました。
<具体的取り組み>
○ 「経営支援室」の創設
・ 再生支援の強化に向けた体制整備の一環として、平成16年に、本部の経営改善支援専門
セクションを統合・新設する形で審査本部内に「経営支援室」を創設し、集中的な経営
改善支援が必要な先、債権放棄等の再生手法が必要な先を中心に担当する体制にしまし
た。貸出審査を行うとともに、経営改善計画の策定支援、コベナンツ導入による経営へ
の関与、中小企業再生支援協議会等の外部機関との連携により営業店をサポートしまし
た。
・ 「経営支援室」と中小企業再生支援協議会、RCC、産業再生機構等の外部機関との連
携が深まり、お取引先の経営改善・事業再生に寄与しました。
○ 経営改善支援・再生支援に係るノウハウの共有
・ 経営改善支援・再生支援に係る実践的なノウハウの共有化を目的に、『平成15年度経営
改善支援事例集』(平成16年7月)としてお取引先担当者に還元しました。
・ 課長層を対象とし、外部機関(中小企業再生支援協議会、RCC、産業再生機構)と連
携した取り組み等をテーマとする「経営改善支援研修」を実施しました。
【 課題 】 b)目利き能力の向上
【実施内容】
● 人材の育成
・ 中小企業への資金供給は情報不足による不確実性ゆえに敬遠されがちになる場合があり
ます。その場合重要となるのが、成功の可能性がどれほどあるかを見極める「目利き」
の機能です。
・ 商工中金は、多くの中小企業とお付合いをしてきた豊富な経験とノウハウを職員が共有
し、「目利き」機能を発揮できるよう、人材育成に取り組みました。具体的には、以下
の取り組みを実施しました。
37
<具体的取り組み>
○ 新入職員向け研修の実施
・ 入庫1年目の職員向けに、審査能力の強化に主眼を置いた集中研修を実施しました(受
講者91名)。
・ 研修の内容は、①企業の実態把握等、審査能力の基礎の習得、②与信実務の手続き・
流れの習得、③工場の見方と取引先企業へのヒアリングの仕方等。 ○ その他各種研修の実施
・ 2年目職員を対象とした業界動向、企業の見方等に対する研修(受講者76名)、新任課
長を対象とした与信判断、経営改善支援、企業再生等に関する研修(同56名)をはじめ、
各層の営業店職員に対して、審査能力向上のために研修を行いました。
○ 業種別の審査情報交換会議を開催
・ 業種別の「目利き」能力の向上、不動産流動化等新たに増加しつつある資金需要への
円滑な対応、地域情報の共有化などを目的に各地区ごとに営業店の営業担当次長が参
加して情報交換会を実施しました。
・ 商工中金の基盤である団地組合に対する取組を強化するため、団地組合が直面してい
る問題を掘下げ、情報の共有化を図り、具体的な支援策についての切り口・考え方を
示し課題解決のための一助とすることを目的に36店舗の営業担当次長が参加して情報
交換会を開催しました。
・ 国内繊維産業の市場規模の縮小と環境変化への対応を支援することを目的に42店舗の
営業担当次長が参加して情報交換会を開催しました。
● 審査ツールのバージョンアップ
業種特性・業界に関する審査ノウハウの共有・定着化と共通の審査ツールによる適切か
つ効率的な審査手続きを目的に、「業種コンパス」を新設しました。
<具体的取り組み>
○ 「業種コンパス」を新設
・ 特定業種について、審査書類の様式を標準化し、定性面の審査及び財務分析のポイン
トを明確化。標準化書式については、事業内容、収支・財務、資金需要、資金使途の
審査項目と現在の取引状況等を勘案した審査判断を示すものとしています。
・ また、審査本部・営業店における貸出審査の役割分担を考慮し、業界動向・全体的な
経営環境・取組状況の調査に関しては、審査本部が作成し、個別企業の審査に関しては、
営業店が作成することとしました。
・ 今後は、「業種コンパス」の活用状況をフォローし、審査ツールとしての一層の定着
化を図ります。
【 課題 】 c)信用リスクモニタリング体制の高度化
【実施内容】
● 「信用リスク管理委員会」を中心とした信用リスク管理への取り組み
・ 経営陣による「信用リスク管理委員会」において、与信ポートフォリオの状況に対し、
38
信用、業種など、さまざまな角度から分析を加え、信用リスクの分散などの取り組みを
行っています。引き続き、このような体制のもと、債権の健全化、信用リスク管理の高
度化を図ります。
<具体的取り組み>
○ 信用判定制度の検証を実施 ・ 平成15年5月に信用判定制度(信用リスク評価モデル)を改正し、財務判定指標の変更
などを行ったことから、改正後1年間の実績に基づき、モデルについて統計的に検証を
行い、その適格性を確認しました。
○ 自己査定システムの高度化
・ 担保評価システムのデータを活用し、より精緻な債権の保全状況の把握が可能となりま
した。
○ 信用リスク量のモニタリング方法の検証と活用の方向性を検討 ・ 信用リスク量の計量化の手順(プロセス)を明確化しました。計量したリスク量と過年
度の不良債権処理額との比較により、計量結果の検証を行い、今後の大口与信のリスク
量モニタリング等に活用していきます。
○ 新BIS規制への対応 ・ 新BIS規制への対応については、新基準に基づく自己資本比率算定をはじめとして、
信用リスク管理のプロセス、評価、体制にかかるさらなる高度化、改善が必要と考えま
す。今後、必要な業務要件の定義を行い、システム開発に取り組みます。
39
活動指針③ 業務運営の効率化とリスクに見合ったプライシングで、財務基盤の強化に
努めます
【 課題 】 a)ローコストオペレーション体制の維持・強化
【実施内容】
● 事務の本部集中処理体制による効率化促進 ・ 営業店で個別に行っている事務処理のうち、標準化できるようなものや特殊なものは、
本部で集中的・専門的に行った方が、商工中金全体として効率化が図られることとな
ります。
・ こうした観点から、外国為替事務部門を本部に集約化するとともに、全国3ヶ所に設置
していた「事務集中センター」(営業店の事務代行を行う部署)を1ヶ所に統合しまし
た。 <具体的取り組み>
○ 外国為替に関する事務処理の本部集約化
・ 外国為替に関する事務処理の本部集約化を進めた結果、集約前に比べて、当該事務に
携わる人員を58名から37名に21名削減いたしました。取り扱い量は、以前とほとんど
変わらず、全体として効率化が図られました。 ○ 事務集中センター機能の集約化
・ 平成12年度以降順次、大阪・名古屋の事務集中センターの機能を東京事務集中センタ
ーに集約化した結果、集約前に比べて、当該事務に携わる人員を206名から179名に27
名削減いたしました。取り扱い量は、以前とほとんど変わらず、全体として効率化が
図られました。
● 営業店事務部門の効率化
・ 営業店で個別に行っている事務処理についても、事務水準の向上を図るとともに、業
務運営体制を見直すことにより一層の効率化を図ることで、人員・経費の削減や必要
分野への資源の集中化を図ることが可能となります。
・ そこで、営業店の組織の見直しと、業務の平準化を推進しました。
<具体的取り組み>
○ 営業店の業務運営体制の見直し
・ 業務運営効率化の観点から、預金窓口と債券窓口を集約化し、これまで窓口を担当し
ていた職員をバックオフィス部門にシフトしました(平成16年度は新たに30店舗で実
施しました)。
・ 平成16年度に、盛岡、函館、佐世保の3店舗で、営業部門・預金債券部門をワンフロア
とし、効率的な業務運営体制を構築しました。 ・ お取引先担当が融資りん議を作成すると、自動的に融資契約書が作成される貸出商品
の数を増やし、契約書作成事務の効率化を図りました。
○ 事務処理の平準化
40
・ これまでも月末事務の前倒し処理を推進するなどして事務処理の平準化を図ってきた
ところですが、特に平成16年度は貸出条件変更処理に的を絞った前倒し処理の推進を
行い、月末に集中しがちな事務処理の平準化を図りました。営業店表彰項目としたこ
ともあり、月末3営業日の貸出条件変更実施件数は平成15年度の701件から平成16年度
は609件に減少しました。 ● システム部門の効率化 ・ 従来のシステム開発はホスト系開発中心でしたが、情報系システムや新規業務につい
ては、導入コストが低く柔軟で機動性のある分散系(オープン系)の開発中心にする
ことでシステム部門の効率化を図ります。
<具体的取り組み>
○ 情報系システムの分散系移行
・ 情報系システムの分散系(オープン系)移行を進め、平成19年度を目処にホストコン
ピューターを1台削減するなどを目標として、システムインフラの整備を進めています。
● 業務の外部委託
・ 事務処理について、本部集中処理に加え、例えば、事務量がさほど多くないもののシ
ステム開発に多額のコストがかかるものなどについては、外部委託により効率化を図
っています。
<具体的取り組み>
○ 外国為替業務の一部を外部委託
・ 平成13年度より、外国為替業務のうち銀行間取引の一部の外部委託を始めた結果、外
部委託前に比べて、当該事務に携わる人員を10名削減いたしました。
● 経常経費の削減
・ これまで、中小企業政策において期待される役割を果たしながら、経営に必要な収益
は自ら確保しつつ、健全で効率的な業務運営に努めてきたところです。
・ その結果、職員数はピーク時の7,122名から、4,480名まで37%減少し、経費もピーク
時の1,120億円から777億円まで31%減少しました。
・ 平成16年度においては、引き続き、全般的な経費見直しを行いつつ、人件費を中心に
前年度対比20億円の経費削減を実施しました。
【 課題 】 b)適正な収益の確保
【実施内容】
● 適正な貸出スプレッドの確保 ・ 政策金融機関であっても、リスク管理の強化を図り、必要なコストは自ら吸収し、健全
で効率的な組織を実現していくことが極めて重要です。
・ 民間金融機関以上に幅広い資金供給(信用リスクテイク)が求められる政策金融機関と
して、安定・継続的に良質なサービスを提供していくためには、お取引先の状況に応じ
41
た貸出スプレッドを求めていくことが必要であり、信用リスクに応じたプライシング(金
利設定)の考え方を明確にし、適正な収益の確保に努めています。ただし、機械的・
一律的に実施することなく、総合的な取引関係や地域性等も含め、お取引先の事情を
十分踏まえながらプライシングを行うよう心掛けています。
・ なお、「政策金融改革について」(平成14年12月経済財政諮問会議)においても、「融
資条件の適正化の徹底」として、「民間に準拠した、リスクに見合った金利設定の導入
を引き続き促進する」とされたところです。
<具体的取り組み>
○ 信用リスクに応じた適正な貸出スプレッドの確保
・ 引き続き、平成16年度においても、適正な収益を確保するという観点から、信用リス
クに応じたプライシング(金利設定)に努めました。
● 手数料収入の確保
・ 私募債、シンジケートローン等の手数料については、他の金融機関の適用水準等を参
考としつつ、適正な収益を確保します。 <具体的取り組み>
○ ソリューション機能の発揮による手数料収入の確保
・ シンジケートローンや私募債など高度化するニーズに対し、ソリューション機能を発
揮しつつ、適正な手数料収入の確保に努めました。
・ 中小企業にもシンジケートローンによる資金調達の動きが広まっていることから、商
工中金が主幹事、あるいは地域金融機関との共同主幹事を行った案件が増加し、主幹
事手数料収入は下表のとおり増加しました。
(参考)シンジケートローンの取扱い(商工中金の主幹事案件のみ)
14年度
15年度
16年度
3
3
15
組成金額(億円)
61
47
271
16年度手数料(億円)
0.2
0.3
2.4
組成件数(件)
42
活動指針④ コンプライアンスと説明責任を徹底し、経営の透明性を向上します
【 課題 】 a)コンプライアンスの徹底
【実施内容】
● コンプライアンス・プログラムの策定と実施
・ 商工中金は、政策金融機関として、より高い公共的使命を持ち、かつ社会的責任を求
められており、予てより、自らの使命を自覚し、公正な職務を行い、社会の信頼の維持・
向上に努めてまいりました。
・ 1990年代に入ってから、証券会社による損失補填問題、アメリカにおける邦銀の不正
取引事件、総会屋への利益供与問題など金融機関の企業不祥事が相次ぎました。こう
した中、全国銀行協会は、平成9年に「倫理憲章」を発表し、社会からの信頼の回復と
確立に向け、不断の努力を行うことを内外に示しました。
・ こうした状況を踏まえ、商工中金においても更にコンプライアンスを徹底する必要が
あると考え、平成10年に体制の見直しを行い、また平成11年には具体的な手引書を作
成し全役職員に配布しました。
・ 平成16年度は、コンプライアンス・プログラムを策定し、以下の取り組みを行いました。
<具体的取り組み>
○ コンプライアンス研修の実施
・ 新任支店長、次長、課長等を対象とした職階別の集合研修を11回実施しました。
・ 本部各部室や各営業店のコンプライアンス担当者による職場内研修を実施しました。
・ 平成16年度からは各営業店のコンプライアンス担当者を対象とした連絡会議を開催し、
職場内研修の推進等について再度徹底しました。
・ 平成17年4月1日の個人情報保護法の施行に当たり、本部各部室や営業店の担当者を対象
に研修を実施しました。
○ コンプライアンス・ハンドブックの整備
・ 職場内研修や自己啓発の充実を目指し、具体的な手引書として全役職員に配布している
コンプライアンス・ハンドブックについて、法令等の制定や改廃等を踏まえて改訂を実
施しました。
○ 与信取引に関する商品説明の徹底
・ 与信取引に関する顧客説明の実施に関する方針を定め、金融手法が多様化・複雑化す
る中で、個々の取引に応じた適切な説明の実施に努めました。
○ 自店監査を通じ、コンプライアンスの徹底状況をチェック
・ 営業店が毎月行う自店監査の項目の中に、コンプライアンスにかかるチェック項目を
設定しました。
○ 監査部によるコンプライアンスチェック
・ 他のセクションから独立した監査部が、すべての営業店、本部各部室の業務運営状況
について、実地監査を実施し、コンプライアンスが徹底される体制となっているかを
確認しました。
○ 今後の取り組み
・ 今後も「コンプライアンス・プログラム」への取り組みを従来以上に徹底し、コンプ
ライアンス違反の未然防止に努めます。
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【 課題 】 b)環境への負荷の少ない物品等の調達の推進
【実施内容】
● 環境物品等の調達推進を図るための方針の策定と実施
・ 商工中金では「グリーン調達推進本部」を設置、毎年度環境物品等の調達方針を作成・
公表しています。
・ この方針により物品の調達を行い、年度終了後その実績概要を取りまとめ、報告・公
表しました。
<具体的取り組み>
・ 調達目標に沿って国内全部室店が参画し、環境に配慮した業務運営に努めました。
・ 重点的に調達を行う品目ごと(平成16年度は、紙類・文具などの16分野・199品目)
の調達目標を定め、調達方針として策定しました。
・ 平成16年度の調達実績は、①紙類∼4品目中3品目で100%達成、②文具類∼75品目中
70品目で100%達成、③機器類∼10品目中10品目で100%達成、④OA機器∼12品目中
12品目で100%達成、⑤家電製品∼6品目中6品目で100%達成、⑥自動車∼全4品目の目
標達成、⑦役務∼目標を設定した2品目の目標達成となりました。
・ 平成16年度は、全体としては概ね目標を達成しています。特に可能な限り調達に努め
るとした努力目標の品目の推進を図りました。(フォーム紙:78%→85%、蛍光管:74
%→79%)
【 課題 】 c)アカウンタビリティの確保
【実施内容】
● 政策評価導入
<具体的取組>
○ 平成16年度より政策評価を導入
・ 平成16年度より政策評価を導入しました。詳細は、「平成16年度政策評価報告書」の
第1部をご参照下さい。
● 監査法人による会計監査導入
<具体的取り組み>
○ 平成16年度より監査法人による監査を導入
・ 従来から、財務諸表の適正性確保のため、主務大臣が任命した監事の監査を実施して
います。
・ また、貸出金等資産自己査定及び金融商品等会計処理に関し、監査法人による検証を
受けてきました。
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・ 平成16年4月、監査法人と監査契約を締結しました。
・ 平成16年度における財産目録(会計に関する部分に限る)、貸借対照表、損益計算書、
事業報告書(同)、及び剰余金処分案並びに所属明細書(同)について、監査を受け、
適法に作成されている旨の意見を監査法人より受領しました。
● 広報活動の強化
<具体的取り組み>
○ 広報活動の基本方針を策定
・ 商工中金の活動状況や成果を対外的に発信する体制を強化し、広報誌やディスクロー
ジャー誌などの広報ツールで発信すべき情報を明確化していくため、広報活動全般の
課題を整理し、広報ツールの見直し、広報体制の見直し等、効果的な広報活動に向け
た基本方針を策定しました。 ○ 広報ツールの見直し
・ 商工中金について一層ご理解いただけるよう、「ディスクロージャー誌」、「ちゅうきん
だより(広報誌)」に商工中金の活動状況や成果をより具体的に記載したり、「営業の
ご案内」に、政策金融機関としての当金庫の役割や特徴について、より詳しく掲載す
るなど、広報ツールの見直しを実施しました。
○ 広報体制の見直し
・ 商工中金の活動状況や成果をタイムリーに対外的に発信(広報)していくために、対
外発表すべき情報について検討し、フォローを行うパブリシティ会議を定期的に開催
することとし、積極的な広報活動を行う体制を強化しました。
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総務部 広報室
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