子どもの病気について②(発熱している場合)

子どもの病気について②(発熱している場合)
子どもの病気は一時的なものが多く、治療により、あるいは治療をしなくても治っていくもの
です。中には生涯にわたる慢性の病気や死に至る病気もあります。
ここでは子どもが「発熱」している場合で、他の症状などから疑
われる病気について示しました。尚、ここで説明することは、
あくまでも参考です。医師の確定診断が必要です。
主な症状
特徴的症状
急に発熱、目の充血とのどのはれ、痛み
疑われる病気
軽いかぜ(感冒)
夏季熱
尿路感染症
ヘルパンギーナ
咽頭結膜熱(プール熱)
頭皮、顔、体などにかゆくて赤い水疱が出て、喉が
水ぼうそう(水痘)
軽い熱だけで治ることもある。
熱があって 微熱が続く
も比較的
元気
のどが痛い
軽い熱だけで治ることもある。
風邪の症状はなく、機嫌が悪いことが多い。
のどや扁桃に口内炎ができ、そのため食欲不振。
痛く、舌にも赤いボツボツが出る
発熱と発疹が
同時に出る。
高熱、扁桃腺のはれが出る
高熱が出る。不快感で機嫌が悪い。
赤い発疹が顔、耳の後ろ、体内に広がり、首や
発疹が出る
溶連菌感染症
ヘルペス口内炎
風疹
首近くのリンパ節がはれる。
手のひら、足の裏、口の中に赤いボツが出る。
熱が下がってか
高熱がいきなり出て、3,4 日後に下がってから
ら発疹が出る。
発疹が出る。
発熱のあと
2,3 日で出る。
高熱が続き、2,3 日後、胸やお腹を中心に全身に大小
手足口病
突発性発疹
川崎病
の発疹、目の充血もある。
高熱、鼻水、くしゃみなど風邪症状のあと発疹。
はしか(麻疹)
高熱、鼻水、くしゃみ、咳など風邪症状のあと発疹。
声がかすれてケーンケーンという咳。
咳が苦しそう。
咳が出る
鼻水、発熱の風邪症状、呼吸が荒くなる。吐く息が
クループ(喉頭炎)
細気管支炎
ヒーヒーと呼吸困難になることもある。
熱が続く。食欲もなく、呼吸が苦しそう。
ゴホン、ゴホンと湿った咳が出る。タンがからむ。
咳が続く
鼻水、くしゃみなどが伴う風邪症状。
高熱が出て、はき気、関節の痛みなど。
ぐったりして
下痢をする いる。
高熱が出て、はき気、関節の痛みなど。
⇒
嘔吐する。 水様の便、又は
血便が混じる
嘔吐やけい ぐ っ た り し て
れんを起こ いる。
す。
熱は 3,4 日で下がり、急に発疹が出る。
急に熱が出た
熱、鼻水、鼻づまり、咳、下痢など様々。
吐き始め、白い水のような下痢便が出る。
食後しばらくして、腹痛、嘔吐、下痢など。
動かなくなり、意識がないなどの症状。
高熱が出て、頭痛のため機嫌が悪い。首が突っ張る。
日当たりの所や熱い所に長くいた。急に高熱が出る。
急にぐったりして全身を震わせ、手足を突っ張る。
高熱と耳の痛み、不機嫌になる。
耳を痛がる
耳の下からほっぺたにかけてはれる。熱は様々。噛
むと痛い。
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肺炎
気管支炎
かぜ症候群(感冒)
インフルエンザ
かぜ症候群(感冒)
突発性発疹
白色便性下痢症
食中毒
急性脳症/脳炎
髄膜炎
日射病/熱射病
熱性けいれん
中耳炎
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
【疑われる病気】
・夏季熱
乳児の体温は周囲の温度に左右されやすい。周囲の温度が異常に高いと体温も高くなり、発熱
することがある。
・尿路感染症
尿道炎や膀胱炎など腎臓から尿道までのどこかで大腸菌などの細菌による炎症を総称して呼
ぶ。重症になると慢性化して腎臓の機能障害を起こすので完全に治療することが必要。
・ヘルペス口内炎
アフタ性口内炎とも言う。38~40℃の高熱が出て、歯肉が赤く
はれ、ほお、唇の内側、舌、歯肉に水疱や潰瘍ができる。ヨダレ
が多くなる。過労、発熱時にヘルペスウィルスに感染して起こる。
うがいをして口の中を清潔にし、口の中が痛いので食欲がなくな
るので、流動食をあげ、水分補給をする。
・川崎病
4歳以下に見られる。急に 39℃前後の高熱が5日以上続き、
発熱後 2~3 日後に全身に発疹が出る。首のリンパ節がはれ、
目が充血、唇が赤くなり、舌にイチゴのようなブツブツがで
きる。発病後 4~5 日で手足が赤くはれてくる。かかった子
どもの 10%くらいに心臓血管障害が残る。
・仮性クループ
急性の喉頭炎。声帯が炎症を起こしてはれる。日中は比較的元気、夜、急に呼吸困難になるこ
とがある。主に風邪が原因で喉の炎症を起こす。空気の乾燥はのどに良くないので、部屋では加
湿器を使い、甘い暖かい飲み物を与え、大きな声を出さないで静かに休ませる。
・細気管支炎
生後まもなくから6ヶ月までの乳児に起こりやすい病気。1~3 日の軽い風邪症状のあと、急
速に症状が悪くなり、気管支ぜんそくのようなゼイゼイとした激しい咳をして、呼吸困難、チア
ノーゼを起こす。気管支の末端にある毛細気管支にウィルスが感染し、炎症をおこす。月齢が小
さいほど重症になりやすいのですぐに病院へ行く。呼吸困難になると入院することもある。
・肺
炎
原因によってウィルス性肺炎、細菌性肺炎、マイコプラズマ肺炎がある。
ウィルス性肺炎:
RSウィルス、インフルエンザウィルスなどの感染が原因で肺におこす炎症。血液検査やX線
検査で診断する。細菌性肺炎を合併しなければ、1~2週間で治る。安静、保温、水分補給で体
力の回復を待つ。
細菌性肺炎:
溶連菌などの細菌が原因で肺におこす炎症。重い症状が突然にあらわれて、早急に進行する場
合がある。
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マイコプラズマ肺炎:
細菌でもウィルスでもない微生物による飛沫感染する。特効薬がある。中耳炎、気管支炎、皮
膚の湿疹、髄膜炎、心臓障害を起こすこともある。
・気管支炎
気管支に炎症が起きる病気。乳幼児は気管支が広く、短いために気管支炎になりやすい。初め
はコンコンという乾いた咳もやがてタンのからまったゴホゴホに変わり、ほこりなどの刺激で咳
が出てなかなか止まらなくなる。咳ともに吐くこともある。熱は出たり、出なかったりする。
・白色便性下痢症
冬に多く見られる。冬期下痢症ともいう。初めは鼻水、咳など風邪の症状があり、やがて激し
い嘔吐と下痢を起こす。1日に 10 回以上も白っぽい下痢便が出て、1週間近く続く。脱水症を
おこしやすい。ロタウィルスの感染で起こるウィルス性胃腸炎である。
・急性脳症/脳炎
急性脳症はライ症候群、脳炎は日本脳炎がよく知られている。急な高熱、嘔吐、けいれん、意
識障害がおこる。急性脳症の原因はよくわかっていない。脳に炎症がないのにけいれんや意識障
害を起こす。脳炎の原因は脳が細菌やウィルスによって炎症を起こすためである。髄液を取り、
検査する。後遺症を残すことが多く、命に関わる病気である。
・髄膜炎
脳を包んで保護している髄膜を中心に炎症を起こす病気。突然発熱とともに吐き、頭痛から機
嫌が悪くなる。やがてけいれんを起こしたり、意識がなくなることもある。脳圧が上がるので大
泉門がふくらむ。首のうしろが固くなり、光をまぶしがることがある。髄膜が細菌やウィルスの
感染により起こる。髄液を取り検査する。重症になると命に関わる病気である。
・日射病/熱射病
長い間、外にいると頭やうなじが強い直射日光にさらされて日射病になってしまう。又、閉め
きった部屋や車の中に長時間いると熱射病になる。いずれも暑さのために体温を調節できなくな
り、体の中に熱がたまってしまうからである。高熱が続き、けいれんを起こし、意識を失ってい
る場合は応急手当をしながら大至急病院へ行く。ほうっておくと脱水症状を起こす。
・熱性けいれん
急な発熱が刺激なり全身性けいれんを起こす病気。熱の上がり始めに起きることが多い。全身
を突っ張り、歯を食いしばり、目はつりあがって、唇が紫色になる。5分以内でけいれんがおさ
まることが多い。原因はよくわかっていない。遺伝的な要素があるようです。後遺症などはあり
ませんが、脳の異常によるけいれんと区別しなければならないので、始めてけいれんを起こした
直後には必ず病院へ行き、けいれんの続いた時間や様子を医師に伝える。
・ 中耳炎
生後6ヶ月からかかることが多い急性中耳炎は、風邪をひいた後、のどや鼻についた細菌が耳
管を通って中耳に入って炎症を起こすので、風邪のあと、機嫌が悪く泣いてばかりいたり、耳だ
れが出るようでしたら耳鼻科へ行く。
しんしゅつせい
他に 2,3 歳頃にいつも鼻汁が出ている子どもがかかりやすいのに滲 出 性 中耳炎がある。痛み、
耳だれや熱が無く、見つけにくい病気です。呼んでも返事をしないなど耳の聞こえが悪くなって
気づくことが多い。中耳に滲出液がたまって炎症を起こす。
(参考書籍:「赤ちゃんと子どもの医学事典」梧桐書院)
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