頭痛に関する事がら

頭痛に関する事柄
15 歳以上の日本人のうち、約 3 人に 1 人は頭痛もちで、3000 万人以上が悩んでいるといわ
れます。 これほど身近ということもあって、
「頭痛くらい」と軽く考えられがちですが、
ひどくなると生活に支障をきたす場合や、背後に命にかかわる病気が隠れていることもあ
ります。
頭痛と一言で言っても、その原因は様々で、それによって予防法や対処法が大きく異なる
ため、一歩間違えればかえって痛みが悪化するなど、逆効果にもなりかねません。
〈分類〉
・一次性頭痛(特に明確な病気があるわけではないのに繰り返し起こる頭痛)
・二次性頭痛(病 気 が 原 因 で あ ら わ れ る 頭 痛 )
〈一次性頭痛〉
〇緊張型頭痛
・僧帽筋や後頭筋、側頭筋などの筋肉が収縮して血管を圧迫、血液の循環が悪くなるた
めに起こります。
・ストレス →交感神経興奮→筋・血管収縮 → 頭痛 → ストレスという悪循環が生じる。
・頭痛の原因の 7~8 割を占めます。
―原因―
・精神的なストレス(心配事や不安・悩みを抱えることなど)と身体的なストレス(無理
な姿勢・目の酷使など)
・長時間の着席といった不自然な姿勢、悪い姿勢
・枕の高さが合わない
―主な症状―
・後頭部を中心に頭全体が締め付けられるような重い痛み
・肩や首のこりを伴う
・軽いめまいを伴うことがある
・毎日のように朝から晩まで一定の鈍い痛みが続く
・パソコンを使った後に痛む
・温めると楽になる
―治療・予防―
・イブプロフェンなどの NSAIDs、解熱鎮痛薬、抗炎症薬、筋弛緩薬、抗不安薬、抗鬱
薬、漢方薬などの服用
・鍼治療
・入浴などで首や肩を温める
・マッサージやストレッチ(scapula elevation ,scapula adduction,僧帽筋ストレッチ)
・ウォーキング→適度な運動(同じ姿勢を続けない)
〇片(偏)頭痛
・は っ き り と は 解 明 さ れ て い な い が 、 頭 蓋 骨 内 の 血 管 が 広 が り 炎 症 を 起 こ し
たためと考えられています。
・ 頭 痛 の 原 因 の 約 2~ 3 割 を 占 め ま す 。
・生理学的には、低血圧の女性に多い神経学的疾患です。
―原因―
・ ストレス(ストレスから解放された週末や仕事の後、寝過ぎなど)
→ストレスを抱えた状態でホッと一息ついたときにセロトニンの過剰分泌が起きる
・人ごみや騒音
・飲酒→アルコール分解酵素(アセトアルデヒド)が血管を拡張する
・女性ホルモンの変化
―主な症状―
・脈に合わせて「ズキン、ズキン」と痛む
・両側が痛むこともまれではない
・発作の前に気分の変化や食欲不振、目のちらつき(閃輝暗点)などが起こることがある
・吐き気や嘔吐を伴ったり、音や光に敏感になることもある
・体を動かすとガンガンと頭に響く
―治療・予防―
・軽症ではアスピリン・イブプロフェン・ナプロキセンなどの NSAIDs
・中等症以上や NSAIDs が効かない人はトリプタン系薬剤を使用する
・過労やストレスを溜めないよう、こまめに気分転換をはかる
・こめかみを冷やしたり、静かな部屋で休む
・まれにカフェイン飲料が効くこともある
〈二次性頭痛〉
・頭頸部血管障害による頭痛:脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、硬膜動静脈瘤など
・非血管性頭蓋内疾患による頭痛:脳脊髄液圧の上昇や低下、非感染性炎症性疾患(サ
ルコイドーシス・SLE など)、頭蓋内腫瘍(脳腫瘍など)など
・物質またはその離脱に伴う頭痛:チラミン含有食品(赤ワイン、チーズ、チョコレー
トなど)、アルコール、グルタミン酸、亜硝酸塩など
・感染による頭痛:脳膿瘍、脳炎、髄膜炎、インフルエンザ菌感染症など
・恒常性の障害による頭痛:低酸素血症、高二酸化炭素血症、低血糖、月経、経口避妊
薬、妊娠など