ソロモン諸島の首都近郊農村に居住する子供の成長と栄養状態 高橋英章1) 前田千明1) 古澤拓郎2) 大前比呂思3) 亀井喜世子4) Pitakaka Freda5) 中澤港6) 山内太郎1) 1)北海道大学保健科学院 北海道大学保健科学院 2)東京大学国際連携本部 東京大学国際連携本部 3)国立感染症研究所 国立感染症研究所 4)帝京平成大学 帝京平成大学 5)Solomon Islands Medical Training Research Institute 6)群馬大学大学院医学系研究科 群馬大学大学院医学系研究科 【調査地域】 調査地域】 【研究背景】 研究背景】 対象地域における環境要因の特徴 ソロモン諸島 伝統社会 【調査時期と測定項目】 調査時期と測定項目】 ガダルカナル島 ●調査時期 首都 2006, 2008, 2009年 年(計 計6回 回) 近代化 ●測定項目 2歳 歳 3歳 歳 4歳 歳 5歳 歳 6歳 歳 7歳 歳 8歳 歳 9歳 歳 10歳 歳 11歳 歳 12歳 歳 13歳 歳 14歳 歳 15歳 歳 16歳 歳 17歳 歳 18歳 歳 合計 身長、体重 ・イモなどの食習慣 ・食生活の西洋化 ・現金収入の増加 ・農作業や漁労 ・首都への通勤 BMI 【対象者】 対象者】 オーストラリア 公衆衛生上の問題 2~ ~18歳の子ども 歳の子ども マラリア 対象地域(首都から東へ約 男子(延べ 対象地域 首都から東へ約50km) 首都から東へ約 人) 男子 延べ271人 延べ 人) 女子(延べ 女子 延べ257人 延べ 環境要因は子どもの成長や栄養状態に影響を及ぼす 環境要因・・・ ①近代化と伝統社会の共存 ②マラリアの公衆衛生問題 【研究目的】 研究目的】 ソロモン諸島の首都近郊農村に居住する年齢別の 子どもの成長と栄養状態を明らかにすること cm 160 ソロモン (n=271) 120 【男子のBMI】 】 男子の cm 24 p75 24 p50 p25 p10 p5 p3 p50 22 p25 20 p10 p5 p3 18 ソロモン (n=257) 14 p50 20 p25 p10 p5 p3 18 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 ソロモン (n=257) 14 ソロモン (n=271) 12 80 22 16 16 100 80 26 p75 p75 160 120 100 米国基準集団*1との比較 【女子のBMI】 】 女子の 26 180 140 140 合計 18 27 38 40 43 44 43 39 34 41 24 39 21 23 12 15 18 528 結果2. による男女の栄養状態 結果 BMIによる男女の栄養状態 米国基準集団*1との比較 【男子の身長】 【女子の身長】 男子の身長】 女子の身長】 p75 p50 p25 P10 p5 p3 女子 10 17 22 16 16 20 25 15 16 25 13 16 13 7 7 9 10 257 対象地域の風景 対象地域の子ども 結果1. 結果 身長と体重による男女の成長状態 180 男子 8 20 16 24 27 24 18 24 18 16 11 23 8 16 5 6 8 271 12 16 17 18 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (歳 歳) 60 60 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 【男子の体重】 男子の体重】 2 (歳 歳) 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (歳 歳) 【女子の体重】 女子の体重】 80 p75 kg 70 p50 ●15歳以降 歳以降→女子 歳以降 女子(50以上 女子 以上)>男子 以上 >男子(25パーセンタイル >男子 パーセンタイル) パーセンタイル ●全年齢→身長・体重と異なり、男女とも 身長・体重と異なり、男女とも3パーセンタイルを下回ることはなかった ●全年齢 身長・体重と異なり、男女とも パーセンタイルを下回ることはなかった 70 kg p75 【男子の体格判定】 男子の体格判定】 60 p50 p25 60 p10 P5 p3 50 IOTF *2による体格判定 【女子の体格判定】 女子の体格判定】 100% p25 50 90% p10 p5 p3 30 標準 (normal) 60% やせ (thinness) 40% 30 ソロモン (n=271) 80% 40 過体重 (overweig ht) 40 20 (歳 歳) ソロモン (n=257) 20 過体重 (overweig ht) 70% 標準 (normal) 50% やせ (thinness) 30% 10 10 20% 0 10% 0 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (歳 歳) 0% (歳 歳) 2 ●14歳までの身長・体重 歳までの身長・体重→男女ともに 歳までの身長・体重 男女ともに3パーセンタイル未満 男女ともに パーセンタイル未満 ●15歳以降の身長 歳以降の身長→男女ともに 歳以降の身長 男女ともに10パーセンタイル未満 男女ともに パーセンタイル未満 ●15歳以降の体重 歳以降の体重→女子 歳以降の体重 女子(25以上 女子 以上)>男子 以上 >男子(5パーセンタイル >男子 パーセンタイル) パーセンタイル 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (歳 歳) 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 (歳 歳) ●思春期前期(11~ 歳)→男女ともに「やせ」の割合が多かった 男女ともに「やせ」の割合が多かった 思春期前期 ~14歳 ●思春期後期(15歳以降 歳以降)→女子では「やせ」に分類される者がいなかった ●思春期後期 歳以降 女子では「やせ」に分類される者がいなかった ●全年齢→過体重の割合は少なかった ●全年齢 過体重の割合は少なかった 【まとめ】 まとめ】 成長→男女の身長はどの年齢も米国基準集団と比較して低値であった。女子の体重は男子と比較して、 成長 男女の身長はどの年齢も米国基準集団と比較して低値であった。女子の体重は男子と比較して、15歳以降上昇していた。 男女の身長はどの年齢も米国基準集団と比較して低値であった。女子の体重は男子と比較して、 歳以降上昇していた。 栄養状態→男女とも思春期前期 男女とも思春期前期(11~ 歳)では「やせ」の割合が多いが、 では「やせ」の割合が多いが、15歳以降の女子ではやせに分類される者がいなかった。 栄養状態 男女とも思春期前期 ~14歳 では「やせ」の割合が多いが、 歳以降の女子ではやせに分類される者がいなかった。 *1 本研究で用いたリファレンスデータについて アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention : CDC)が が アメリカ疾病予防管理センター 2000年にまとめたデータをリファレンスとしている 年にまとめたデータをリファレンスとしている。 年にまとめたデータをリファレンスとしている *2 IOTFとは とは{International Obesity Task Force}の略 の略 とは IOTFが提案している小児の性別・年齢別カットオフ値 が提案している小児の性別・年齢別カットオフ値(Cole, 2000, 2007)を使用して、体格 を使用して、体格 が提案している小児の性別・年齢別カットオフ値 判定を行った。 今後の展望 ①低身長・低体重がみられた環境要因として、食事や身体活動を調査する ②環境要因と遺伝要因の相互作用から、成長と栄養状態を評価する
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