報 告 書 - 一般財団法人ニューメディア開発協会

平成19年度
IT利活用による都市の基盤整備・活性化に関わる調査研究
「上越市の地域資源を活用した地域活性化のためのビジネス構築」
−IT利活用による上越市のまちづくりと地域活性化のための 健康・食・観光関連新産業の創造 −
報
告
書
平成20年3月
財団法人ニューメディア開発協会
この事業は、競輪の補助金を受けて
実施したものです。
http://ringring-keirin.jp
はじめに
近年、国民の「健康・食・運動等に対する関心」は著しく高まり、あらゆる面で重要なキーワードにな
っている。また、少子高齢化、若年層の流出による人口減少などを背景に、地域の活性化を促進する施策
が必要である。そこで、ITを利活用し「健康・食・観光」を軸としたアプリケーションサービスによる
地域づくり、新産業振興等の具体策を講じて、まちづくりと地域活性化を促進していくことが必要である。
本調査研究では、
「健康・食・観光」、
「IT活用」
、
「まちづくりと地域活性化」等に、積極的に取り組んで
いる新潟県上越市を対象地として選定した。1971 年に高田市と直江津市が合併して上越市が成立し、2005 年
には更に13の町村が合併した。陸上、海上交通の要衝である直江津と城下町として栄えた高田という2つの
歴史的な中心市街地があり、上越市を初めとする地元自治体では、官民が参加する直江津及び高田それぞれ2
つの中心市街地活性化協議会を立ち上げ、
「上越市中心市街地活性化基本計画」の検討を進めている。また、
平成26年には北陸新幹線の延伸開通の予定もあり、現在新駅周辺開発計画が進んでいる。
財団法人ニューメディア開発協会では、前記の経緯や検討状況を踏まえながら、以下を目的とした調査研究
を行った。
目的1 ITを活用し、健康・食・観光を軸にした新産業の提案をすること。
上越市の活性化に資するため、北陸新幹線の新駅周辺開発計画と、新幹線新駅に近い中心市街地である高
田駅周辺との連携、並びに直江津周辺エリアをはじめとする上越市全域を視野に入れ、IT利活用による健
康・食・観光を軸としたまちづくりと地域活性化を目的とし、その施策を明らかにする。
目的2 成果の公表・配付を通じて、会員企業と地元関係者の連携を促すこと。
本調査の成果は、財団法人ニューメディア開発協会や会員企業を通じて、関係各方面に向けて広く公表・
配付し、会員企業と官民双方の地元関係者との連携の契機とすること。
目的3 多様な事業主体と会員企業双方の新たなビジネスを創出すること。
平成 20 年度以降、本調査の成果を地元自治体、企業、NPOなど関係主体による事業推進体制の構築、
国他の各種支援施策による助成制度の活用等を通じて、地元の多様な事業主体と財団法人ニューメディア開
発協会会員企業双方にとっての新たなビジネス創出につなげていくこと。
本報告書は、上越商工会議所 染谷浩専務理事を委員長に、上越商工会議所、上越教育大学 戸北凱惟副学
長を副委員長に迎え、えちご上越農業協同組合、上越地域活性化機構(NPO)
、食の工房ネットワーク(NPO)、
イーク丸の内(診療所)
、地元企業、財団法人ニューメディア開発協会会員企業を委員とし、オブザーバーと
して上越市にもご協力頂きながら「上越新産業創造推進委員会」を設置し、委員長を初め関係者のご指導・ご
助言を頂きながら取り纏めを行ったものである。
最後に、染谷委員長をはじめ、各委員、オブザーバーの皆様には心より感謝の意を表するとともに、本検討
成果が上越の「まちづくりと地域活性化」に貢献するとともに、全国のモデルとなることを祈念するものであ
る。
平成 20 年 3 月
1
財団法人ニューメディア開発協会
平成19年度IT利活用による都市の基盤整備・活性化に関わる調査研究
「上越市の地域資源を活用した地域活性化のためのビジネス構築」
目
第1章
次
調査研究の主旨と概要
1−1.
調査研究の背景と目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
1−2.
調査実施体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
5
1−3.
調査項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
6
1−4.
調査対象地域・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
1−5.
調査対象地域に関連する計画等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12
第2章
上越市のポテンシャル顕在化
2−1.
上越市の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
15
2−2.
活用可能な地域資源・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
24
2−3.
外から見た上越( WEB アンケート )・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
2−4.
関連する国の新規施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
39
2−5.
上越市の強みと弱み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
40
第3章
都市拠点整備の方針
3−1.
中心市街地の整備の方向・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
42
3−2.
まちづくりへの展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
43
3−3.
都市機能の整備方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
3−4.
新産業推進のための活動拠点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
47
第4章
有望なビジネスの検討
4−1.
活用すべき地域資源の考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
50
4−2.
有望なビジネスの考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
4−3.
ビジネス抽出のプロセス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
52
4−4.
具体的なビジネスの内容・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
59
第5章
実施すべき事業の提言
5−1.
実施すべき事業のキーポイント・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
64
5−2.
ITを利活用した「食・健康・観光ビジネス」の構築・・・・・・・・・・・・・・・・・
65
5−3.
平成20年度以降のアクションプラン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
66
5−4.
IT利活用の活動拠点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
68
資
料
70
2
第1章
調査研究の主旨と概要
3
第1章
調査研究の主旨と概要
1−1.調査研究の背景と目的
1−1−1.背景
近年、TV・雑誌はもとより、IT活用によるモバイル(携帯電話)、インターネット等のマスメ
ディアの多様化による情報伝達の波及効果は著しい成長を遂げている。様々なコンテンツの中でも、
とりわけ「健康・食・運動等 からだ に対する関心」は著しく高まり、あらゆる面で重要なキーワ
ードになっている。
これに対して国では、食育、健康対策、医療制度改革など、さまざまな面から対策を行っているが、
行政制度の限界もあって、有機的連携が不十分な点もみられる。少子高齢化を背景に、国民の「健康・
食・運動等」に起因する様々なニーズが高まる中、「単なる健康ブーム、食育ブーム」に終わらせる
ことなく、国家レベルの視野に立ち、産官学住民が知恵を出していく局面にあると思われる。そこで、
このような実情を基に、ITを利活用し、「健康・食・観光」を軸とした具体アプリケーションサー
ビスによる地域づくり、新産業振興等の具体策を講じ、まちづくりと地域活性化を促進していくこと
が必要である。
1−1−2.目的
平成26年に延伸開通が予定されている北陸新幹線〔長野∼金沢間〕の新駅周辺開発計画と上越市の中
心市街地である高田駅周辺との連携を視野に入れつつ、ITの活用による健康・食・観光を軸としたまち
づくりと地域活性化を目的とし、本調査研究によってその施策を明らかにする。
具体的にはITを活用して、健康・食・観光を軸にしたビジネスの構築を行うとともに、ネットワーク・
インフラの整備を行い、まちづくりと地域活性化を促進するための調査研究を行う。
更に調査の範囲を観光、交通、流通等にまで広げ、IT情報のネットワーク化により、地元はもとより
首都圏を含む広域及び海外(アジア等)からの利用者、観光客をも含めた来訪者を募り、その交流人口の
増大により地域活性化を促進する。
以上のような骨子に基づき、まちづくり、地域活性化、市街地活性化等、地域の特徴に根ざした継続的
かつ実態的なビジネスの展開を目指す。
なお、本調査研究では、平成 20 年度の国の支援施策の受託を視野に入れ、上越市が取り組む都市再生整
備計画における整備方針等と連携して行う。
4
1−2.調査実施体制
本調査は、財団法人ニューメディア開発協会より株式会社UG都市建築に委託し実施した。そして、調査
の実施にあたって委員会を設けて調査内容の検討を行った。委員会では、上越商工会議所 染谷浩専務理事を
委員長に、上越商工会議所、上越教育大学、えちご上越農業協同組合、上越地域活性化機構(NPO)、食の工
房ネットワーク(NPO)、イーク丸の内(診療所)
、地元企業、財団法人ニューメディア開発協会会員企業を委
員とし、オブザーバーとして上越市にもご協力頂きながら「上越新産業創造推進委員会」を設置した。当初
は、下記の図表1−1の実施体制で本調査事業を推進する計画であったが、委員会での検討の結果2つのW
Gは設置せず、個別のヒアリングによって対応した。
調査事業
実施体制
(資料 1.2.参照)
財団法人ニューメディア開発協会
委託
㈱UG都市建築
設置
上越新産業創造推進委員会
健康関連WG
まちづくりWG
WG は必要に応じ適宜設置 → 個別ヒアリングにて対応
〔委員会メンバー〕
上越市、商工会議所、農協、医療関係機関、地元企業等
図表1−1
本調査の実施体制
5
1−3.調査項目
本調査は、下記の図表1−2に示すとおり、はじめに上越市の「健康・食・観光」に関する現状と課題、
及び関連する国の新規施策等に関する動向を把握した。次に、IT利活用の拠点となるべき中心市街地の
検討を行い、基本的な方向性を整理した。そして、ビジネスの展開イメージを提示するとともに、次年度
以降において実施すべき事業の提言を行った。
関連する国の
新規施策の動向把握
上越市の現状把握
・上越市の現状
・活用可能な地域資源
・外から見た上越
( WEB アンケート )
・関連する国の新規施策
・上越市の強みと弱み
上越市活性化
IT利活用の拠点
・中心市街地の整備の方向
・まちづくりへの展開
・都市機能の整備方針
・新産業推進のための活動拠点
上越市活性化
ビジネスの内容
・活用すべき地域資源の考察
・有望なビジネスの考察
・ビジネス抽出のプロセス
・具体的なビジネスの内容
実施すべき事業の提言
・実施すべき事業のキーポイント
・ITを利活用した「食・健康・観光ビジネス」の構築
・平成20年度以降のアクションプラン
・IT利活用の活動拠点
図表1−2
本調査の全体フロー
6
1−4.調査対象地域
1−4−1.上越市の概況
・上越市は、新潟県の南西部に日本海に面して位置する。
・ 北は柏崎市、南は妙高市、長野県飯山市、東は十日町市、西は糸魚川市に隣接。
(図表 1-3 及び資料 3.4.参照)
図表1−3
上越市の位置図(出典:新潟県万能地図)
・人口は、208,082 人(平成 18 年度)。
・1971 年、高田市と直江津市が合併して、上越市(∼平成 16 年)が成立。
・2005 年(平成 17 年)1 月 1 日、上越市と、近隣 13 の町村(安塚町、浦川原村、大島村、牧村、柿崎
町、大潟町、頸城村、吉川町、中郷村、板倉町、清里村、三和村、名立町)が合併。
(下記図表 1-4,1-5
及び資料 5.参照)
・合併により、面積 973.32k㎡、人口 21 万都市となる新しい上越市が誕生。
図表1−4
町村合併の経緯(出典:上越市資料)
・上越市は古代以来、越後国都として栄え、直江津を中心に陸上、海上交通の要衝の地位を確立した。
・上杉謙信が春日山を居城にしていた頃は、京都に次ぐ大都市であった。
7
・高田は近世を通して城下町高田として軍都として繁栄した。
・モータリゼーションの発展等に伴い、他市への企業・人口の流出、物流形態や移動手段も鉄道から車
へと変化し、人々の活動範囲や各種施設も郊外へと広がり、中心市街地の賑わいがなくなっていった。
・今後は、北陸新幹線が延伸開通(平成26年開通予定)するなど新たな交通幹線の計画があり、上越
市全域への変化が予想される。
図表1−5
中心市街地周辺地図
8
1−4−2.地勢・気候
・平野部、山間部、海岸部と変化に富んだ地形を有する。
(資料 6.参照)
・市の中央部には、関川、保倉川等が流れ、この流域に高田平野が広がる。
・高田平野を取り囲むように、米山山地、東頸城丘陵、関田山脈、南葉山地、西頸城山地などの山々が
連なる。
・直江津地域など海岸線には砂丘が続き、砂丘と平野の間には天然の湖沼群が点在する。
・佐渡弥彦米山国定公園を始め多くの県立公園など美しい景観と多様な自然に恵まれた地域。
・四季の変化がはっきりしており、冬期に降水量が多く快晴日数が少ない典型的な日本海型である。
・冬期には大陸からの季節風の影響により大量の降雪があり、海岸部を除いた地域は全国有数の豪雪地
帯えあるが、近年では地球規模の温暖化の影響からか降雪量が少なくなり、冬季における除雪関連な
どの地場産業に影響を及ぼしている。
1−4−3.人口と世帯数(図表 1-6-1,2 及び資料 7.参照)
・13 区の人口は減少の一途をたどる。
・市域全体としては、昭和 60 年代から減少が続く。
・年齢別人口比は、平成 17 年の国勢調査では、0∼14 歳が 14.4%、15∼64 歳が 60.8%、65 歳以上が 24.2%
となっている。
・世帯数は上昇を続けており、それに伴い世帯当たりの人員数が減少。
・人口が減少し、世帯数が増加するという典型的な核家族化傾向がみられる。
・0∼14 歳の人口比率が減少し、65 歳以上の高齢者比率が増加する少子高齢化傾向にある。
合併前の上
13 区合計
越市の人口
の人口
(人)
昭和 60 年
世帯当たり
総人口
世帯数
(人)
(人)
(世帯)
(人)
130,659
85,689
216,348
58,703
3.68
平成 2 年
130,116
82,132
212,248
59,662
3.56
平成 7 年
132,205
79,855
212,060
63,402
3.34
平成 12 年
134,751
77,119
211,870
67,654
3.13
平成 17 年
134,313
73,769
208,082
69,160
3.01
図表1−6−1
9
世帯数・総人口の推移
の人員数
(国勢調査)
■人口推移
■世帯数と世帯当たりの人員数
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
昭和60年
平成 2年
平成 7年
合併前の上越市の人口 (人)
総人口 (人)
平成12年
4.00
70,000
68,000
66,000
64,000
62,000
60,000
58,000
56,000
54,000
52,000
平成17年
3.50
3.00
2.50
2.00
1.50
1.00
0.50
0.00
昭和60年平成 2年平成 7年平成12年平成17年
13区合計の人口 (人)
世帯数 (世帯)
図表1−6−2
世帯当たりの人員数 (人)
世帯数・総人口の推移
(国勢調査)
1−4−4.産業(資料 8.9.参照)
・上越市は、古くから陸上・海上交通の要衝として栄え、多彩な産業技術を持つ企業が集積。
・重要港湾直江津港の整備と高速交通網の充実により、対岸諸国を視野に入れた物流の拠点。
・地場産業の技術である基盤の生産を活かしたハイテク素材や半導体、電子部品等のエレクトロニクス産
業が集積し、製品は世界の市場へ輸出。
・越後山里農業特区に指定され、企業が農業に参入。
・豊かな自然や美しい景観・伝統文化等、地域の特性を活かした体験交流型観光に取り組む田舎体験事業
を行う。
・もみ殻等でプラスチックを作るバイオマス樹脂の開発を行う。
1−4−5.憲章・宣言(図表 1-7 参照)
・新潟県上越地域の中心都市を目指し、旧高田市、旧直江津市の合併により上越市が誕生(昭和 46 年 4
月 29 日)。
・歴史や特性の異なる 2 つの都市を「ひとつの都市」として、いかに融和・協調していくかということが
合併当初からの課題。
・直江津地区と高田地区の中間に位置する春日地区に、市役所新庁舎、文化会館、総合体育館等の公共施
設を整備し、新たな都市核の形成を図った。
・真に「ひとつの都市」となるためには、街の構造のみならず上越市民としての市民性を高められる街に
すること。
・市の発足 10 周年を記念し、街がより明るく、より住みよい街となるよう願いを込めた市民憲章を制定。
10
上越市市民憲章
一
育てよう
豊かな緑が語りかけてくるまちを
一
守ろう
笑顔があふれる温かい家庭を
一
広げよう
心と社会に助けあいの輪を
一
ともそう
仕事に学問にたゆまぬ努力と創造の灯を
一
築こう
希望に輝くあすの上越を
(昭和 56 年 8 月 8 日制定)
図表1−7
上越市市民憲章
11
1−5.調査対象地域に関連する計画等
1−5−1.
「21世紀新潟県都市政策ビジョン」(図表 1-8 参照)
上越市が存する新潟県では、平成15年度に県独自の任意計画である「21世紀新潟県都市政策ビジョ
ン」を策定した。当該計画では、21世紀の中ごろを展望し、これまでの拡大・拡散傾向の都市づくりか
ら大きく方向転換し、すでに都市化した市街地を有効に使いコンパクトな都市づくりを進めることを掲げ
ている。そして、下記の5つの観点から要件を設定している。
5つの観点
求心性
自律性
持続性
文化・
地域個性
安全・安心・
防火性
要
件
・多くの人が集まり、活力と賑わいがある
・快適な交通サービスが提供されている
・居住者や地域のニーズにあった産業が活発で、雇用の場が創出されている
・地域コミュニティを形成し、住民が主体的にまちづくりに取り組んでいる
・住民の多様なライフスタイルに応じた住宅が供給されている
・将来にわたり都市が適切に世代循環し、持続的に発展している
・豊かな自然を取り込んだ市街地が形成されている
・住民が誇れる地域の個性が発揮されている
・安全に安心して暮らせる生活環境が整っている
図表1−8
21世紀新潟県都市政策ビジョン
1−5−2.「上越市第5次総合計画」
上越市では、県の策定した任意計画である「21世紀新潟県都市政策ビジョン」を視野に入れ、市にお
けるまちづくりの最上位計画である「上越市第5次総合計画」を策定し、平成19(2007)年度から平成26
(2014)年度までの8 年間で目指す市の将来像や、それを実現するための政策を総合的・体系的に明示し
た。そして、以下の項目を、まちづくり重点戦略として取り組んでいる。
・地域コミュニティでの交流による「ご近所の底力」の向上
・自然の持つ価値を引出し、市街地と農山漁村地域の関係を作る「地産地消」の推進
・上越市を訪れる人々の出会いや交流を深めることによる市の印象づけ
・まちとまちの交流による、上越市のファンやサポーター、パートナーの増員
・各地区が個性を活かし、にぎわいを生み出すまちの中心的空間をつくる
・まちの中心的空間を交通ネットワークとつなげる「まちの陣形」の強化
・上越市に関する様々な知識を楽しみながら学べる環境をつくり、地元への愛着と誇りを育むことのでき
るような「上越学」の確立
1−5−3.中心市街地活性化基本計画(図表 1-9 及び資料 10.11.参照)
12
上越市では、前述のまちづくり重点戦略を掲げて継続的な取組を行っているが、中心市街地活性化計
画の策定に関し、合併市の特例により2地区において中心市街地活性化計画の検討を進めている。上越
市には、陸上、海上交通の要衝である直江津地区と、城下町として栄えた高田地区という2つの歴史的
な中心市街地があり、市を初めとする地元自治体と、民間によるまちづくり会社が参加する直江津及び
高田それぞれ2つの中心市街地活性化協議会を立ち上げ、
「上越市中心市街地活性化基本計画」の検討を
進めている。
上越市
高田地区中心市街地活性化協議会
計画の作成
・関係機関、
団体と連携
直江津地区中心市街地活性化協議会
計画に対する
意見・計画の進
行管理
構 成 員
・市民の意見
都市機能の
増進を図る者
・関係課連携
経済活力の
向上を図る者
法定必須構成員
まちづくり会社
図表1−9
その他まちづ
くり関係者
任意構成員
上越商工会議所
中心市街地活性化協議会のイメージ
1−5−4.地域ICT利活用モデル構築事業(資料 12.参照)
総務省では、地方公共団体等が地域経済の活性化や少子高齢化への対応等、地域の具体的提案に基づき
設定した課題等について、ICTの利活用によって解決するための取組を委託事業として実施した。これ
により、地域のユビキタスネット化とICT利活用の普及促進を図るものである。これは、地域の抱える
諸課題に対処するため、
「地域ICT利活用モデル」(情報通信システムの企画・設計・開発、継続的運用
及びそれに必要な体制づくり等、ICTを利活用した課題解決のための一連の取組)の構築・運用を地方
公共団体等に委託するもので、総務省はその成果物を広く他の団体に周知・提供することにより、
「地域I
CT利活用モデル」の全国展開を促進するものである。なお、上越市は、総務省より指定を受け、平成1
9年度より取り組んでいる。
13
第2章
上越市のポテンシャル顕在化
14
第2章
上越市のポテンシャル顕在化
2−1.上越市の現状
2−1−1.中心市街地(直江津・高田)
上越市には、直江津と高田という2つの中心市街地がある。古くから陸上・海上交通の要衝として栄
え直江津地区には、JR直江津駅をはじめ北陸自動車道、上信越自動車道のジャンクション及び直江津
港があり、 海陸交通のまち としての機能が集積している。駅を中心にホテルハイマート、ホテルセン
チュリーイカヤ、旅館等のホテルや宿泊施設をはじめ、上越水族博物館、イトーヨーカドー、直江津図
書館、商店街などがある。また、周辺地域には、上杉謙信が再興した五智国分寺や、親鸞聖人上陸の地
である居多ヶ浜などが点在している。さらに直江津港では、火力発電所の建設工事が進んでおり、今後
エネルギー関連産業の集積や観光の需要が期待される。
一方、江戸時代に構築された城下町である高田地区には、JR高田駅を中心に、西側には親鸞聖人の
頂骨を納めた本廟のある浄興寺をはじめ63の寺院からなる寺町が、東側には雁木通り、飲食街、商店
街及びホテル、旅館等宿泊施設、市立総合博物館、美術館、学校、病院、高田公園、高田城三重櫓など
があり、市街地一帯に歴史・文化資源が分布している。このように、高田地区のまち全体が江戸時代か
らの都市骨格を継承していること、雁木通りという回遊ルートを有しているなど、人が回遊するまちと
しての潜在能力を持っている。
上越市の中心市街地である直江津地区及び高田地区は、全体的に著しい衰退傾向にある。人口は平成
11 年から平成 19 年の8年の間に、1割程度の減少をしており、市の動態人口を大幅に上回る人口の減
少が続いている(直江津:5,476 人、高田:7,494 人/平成 19 年)。年間の商品販売額は、直江津では4
割5分程度の減少となり 190 億円(平成 16 年)、高田も4割程度の減少で 242 億円(平成 16 年)である。
原因は、商店街の活力低下や商業集積地の拠点性の低下と思われる。また、地価公示額については、
土地価格の下落に伴い直江津で約5割5分(91.5 千円/㎡)、高田では6割程度(144 千円/㎡)の下落
がみられる(平成 19 年)。更に、休日の歩行者・自転車交通量も賑わいの喪失を理由に、4割から5割
以上減少している(平成 17 年)。
こうした減少を背景に、空き店舗数は直江津で6割以上、高田でも3割の増加となり、まちの連続性
の低下、にぎわいの喪失の影響が浮き彫りとなっている。
駅の乗降者数は、直江津で1割程度、高田
で2割ほど減少しており、公共交通の利用者が少なくなっていることがわかる。
(図表 2-1 及び資料 13.
参照)
そこで、上越市の活性化の為には、中心市街地である直江津や高田が賑わいを取り戻さなくてはなら
ない。それには、直江津の商店街が活力持ち、高田では商業集積地としての拠点性を高めることが重要
である。
15
指標
地区
直江津
人
口
高 田
直江津
年間商品販売額
高 田
直江津
地価公示(㎡)
高 田
休日の歩行者・自
直江津
転車交通量
高 田
直江津
空き店舗数
高 田
駅の1日当たり
直江津
乗降者数
高 田
衰退状況
6,094 人
平成 11 年
8,392 人
平成 11 年
347 億円
平成 9 年
407 億円
平成 9 年
200 千円
平成 9 年
375 千円
平成 9 年
1,054 人
平成 7 年
17,017 人
平成 7 年
18 店舗
平成 11 年
13 店舗
平成 11 年
6,246 人
平成 7 年
6,314 人
平成 7 年
図表2−1
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
→
5,476 人
平成 19 年
7,494 人
平成 19 年
190 億円
平成 16 年
242 億円
平成 16 年
91.5 千円
平成 19 年
144 千円
平成 19 年
617 人
平成 17 年
7,495 人
平成 17 年
30 店舗
平成 19 年
17 店舗
平成 19 年
5,506 人
平成 17 年
5,024 人
平成 17 年
増減率
状況
△10.1%
△10.0%
市の動態人口を大幅
に上回る人口の減少
が続く。
△45.2%
商店街の活力低下
△40.5%
商業集積地の拠点性
低下
△54.2%
△61.6%
土地の価格下落
△41.5%
△56.0%
66.7%
30.8%
にぎわいの喪失
まちの連続性低下、に
ぎわいの喪失
△11.8%
△20.4%
公共交通利用者の減
少
直江津地区及び高田地区の現状
2−1−2.健康、食、運動等(資料 14.15.16.参照)
①
健康
上越市の平均寿命は、男性79才、女性85才で全国平均と同年である。日本は現在世界一の長寿国
であり、上越市は世界で最も平均寿命が高い市町村であると言える(資料参照)。また高齢化率は平成
12(2000)年時点で 23.5%であり、国と比較して約5%高い。また、平成 32(2020)年には 30%を超える見
込みである。
死亡原因では、1位がん、2位心疾患、3位脳卒中となっており、人口10万人対では国と比較して
いずれも高値である。しかし65歳未満の死亡率は低率であることから高齢者の死亡が多く、中高年の
自殺率も高い。
介護保険認定者については、重傷度を示す3,4,5の要介護者が多く、市民一人当たりの介護給付
費が全国比より約4万円程度高くなっている。中でも、重症な要介護者の原因疾患は脳卒中が50%を
占めており、認知症も脳卒中発症者に多い様である。なお、国保の医療費では、一人当たりの医療費が
平均43万円であり全国の39万円に比べて4万円高くなっている。ことに一般国保(若年者)が高額
である。このような状況から上越市では「健康シティ・上越2010年計画」の施策に取組み、糖尿病の予
防、自殺対策の推進、健診受診者の増加の3つを掲げ生涯にわたる健康づくりを推進している。
16
②
食
上越市は、海と山に囲まれ広大な高田平野に位置している。その自然豊かな地形から、豊かで美味し
い食材に恵まれるため、魚、大豆、野菜や果物の摂取が多く、血中コレステロールが高くなっている。
そして、脂質異常、耐糖能異常から糖尿病、血管病(循環器疾患)へと重症化している。
健診データの分析から肥満者やメタボリックシンドローム該当者が若年層に多く、中高年層は肥満に
起因しない耐糖能異常や血中脂質異常が多い。特にLDLコレステロール値の異常者が多い。この背景は食
の過剰摂取が原因と思われる。中でも魚、肉類、飲酒、果物、等の摂取が多いなどの特徴があげられる。
これに対して市は、「健康シティ上越・2010計画」によって生活習慣病予防に取り組んでいるが、こ
れは市民が健診結果を読み取りながら、個人の生活習慣予防対策を学習し解決していくことの支援であ
る。
③ 運動
介護保険認定者の原因疾患は1位脳血管疾患、2位は筋・骨格系の疾患であるが、筋・骨格系疾患の
背景として、50 歳代からの腰痛症、関節症、骨折者の増加が挙げられる。また、就職後に運動習慣が減
少することや、事務作業等による関節や筋肉の損傷、山間地での農作業等での関節や筋肉の損傷など、
運動不足または、運動(作業等を含む)が関連する疾患が見受けられる。一般的に、筋力は加齢により
25 歳∼30 歳を 100%とすると、65 歳では 75%、80 歳では 50%に減少すると言われており、食事と運動の
バランスが肝要であることが明らかである。
上越市には、おいしい米はもちろんのこと、良質の水を活用して高い品質の酒を醸造する16の蔵元
や、新鮮な野菜類をはじめ、海の幸も豊富で、海産物の生産がさかんで独特な人気商品が多数生まれて
いる。しかし、市民の健診データ分析によると、自然豊かな環境から美味しい食材に恵まれるため、魚、
大豆、野菜や果物の摂取が多く、血中コレステロールが高い。また、脂質異常、耐糖能異常から糖尿病、
血管病(循環器疾患)へと重症化している。
こうした現状を改善するため、健康情報に適した食品・食材及び料理情報の提供や、摂取することで
健康増進を図ることが可能な料理・食材の提供を可能とする仕組みが必要である。そこでIT利活用に
よって健康・食品・食材・料理等に関する個々の情報資源を、個人が持つ健康情報にマッチングさせる
アプリケーション・サービスの構築によって、健康増進を図るためのコンテンツを用意し、手軽に希望
のものを入手・摂取できるようにする。
そして、上越市民に留まらず、全国からの来訪者がIT利活用によってサービスを享受できるように
することで上越市の更なる魅力作りを担う。ここで注目すべきはIT利活用による波及効果の広さであ
る。上越市で実施することに始まり、次のフェーズにて全国への浸透を目指し、上越市の食材市場を、
「健康」を付加価値として前面に掲げた「産地主導の市場」として機能させる。
17
2−1−3.観光、交通、流通
①
観光(図表 2-2,3,4,5 及び資料 17.参照)
上越市には様々な観光資源が点在している。それは自然環境を生かした施設及び公園、歴史的施設、
美術館や科学博物館等をはじめとする文化施設である。
その他にも、上杉謙信や親鸞聖人、平成21年度NHKドラマ「天地人」の主人公である直江兼続
など、当地に縁の深い歴史上の人物が存在した。そして、彼らに関連した歴史的・文化的施設や史跡
が数多く存在している。
上越市には様々な観光資源が点在するが、"観光"に関する全国の人々を対象に行ったWEBアンケ
ートによる意識調査(後記「2−3.外から見た上越:Q3−2」)によると、観光地であれば容易に
知り得るはずの基本的な情報を知りたい旨の回答が多数を占めた。「観光についてインターネットで
どのようなサービスがあれば良いと思いますか」との問いに関して、
「観光ガイド」と答えた人が72%、
「宿泊ガイド」と答えた人が52%である。すなわち上越市は、豊富な観光資源を有するも他府県か
らみると未だ正しい認識を得られていない、というのが現状である。そこで、市全体としてのセール
スプロモーションを図り、ITの利活用によって広くその認識を広げ、来訪者の拡大を図ることが重
要である。
野外施設・公園
高田公園
菖蒲高原緑地休養広場
吉川スカイトピア遊ランド
海水浴場
あさひの里田麦ぶなの森園
船見公園
海洋フィッシングセンター
牧ふるさと村自然と憩の森
マリーナ上越
金谷山スーパーボブスレー
ふすべ山森林施設
三の輪台いこいの広場
金谷山スキー場
弘法清水自然公園
安塚キラメキキャンプ場
くわどり市民の森
柿崎大出口公園
光ヶ原高原
交通公園
大潟キャンプ場
清里坊ヶ池湖畔公園
五智公園キャンプ場
新潟県立大潟水と森公園
櫛池隕石落下公園
南葉高原キャンプ場
泉縄文公園
シーサイドパーク名立
高田公園
なおえつ・たにはま海水浴場
図表2−2
野外施設・公園
観光施設
日本スキー発祥記念館
鵜の浜人魚館
ゆきだるま温泉雪の湯
上越市立水族博物館
坂口記念館
雪だるま物産館
上越観光物産センター
道の駅よしかわ杜氏の里
浦川原霧ヶ岳温泉ゆあみ
前島記念館
吉川ゆったりの郷
大島青空市場
18
鵜の浜温泉
吉川スカイトピア遊ランド
柿崎ハマナスふれあいセンター
旧師団長官舎
光ヶ原高原観光総合施設
三和米と酒の謎蔵
正善寺工房
ゑしんの里記念館
三和味の謎蔵
町家交流館高田小町
増村朴斎記念館
うみてらす名立
高田城三重櫓
中村十作記念館
シーサイドパーク名立
五智歴史の里会館
上越清里星のふるさと館
花立温泉ろばた館
安塚雪だるま高原
清里坊ヶ池湖畔公園
春日山城史跡広場・ものがたり館
上越市立水族博物館
高田城三重櫓
図表2−3
師団長官舎
観光施設
〔公共的施設〕
宿泊施設
スポーツ施設
くわどり湯ったり村
川上笑学館
オールシーズンプール
安塚雪だるま高原
牧湯の里深山荘
体育施設
久比岐野
柿崎マリンホテルハマナス
プール
田舎屋
ゑしんの里やすらぎ荘
上越市BMX場(金谷山公園内)
六夜山荘
フォークハウス湖畔
直江津海岸ビーチバレーコート
月影の郷
山荘京ヶ岳
大潟健康スポーツプラザ鵜の浜人魚館
文化・教育・体験施設
上越文化会館
牧歴史民俗資料館
板倉そば打ち体験交流施設板倉亭
総合博物館
川上笑学館
リージョンプラザ上越・上越科学館
雁木通り美術館
牧ふれあい体験交流施設
上越清里星のふるさと館
小林古径記念美術館
坂口記念館
清里歴史民俗資料館
小川未明文学館
はーとぴあ中郷
上越市埋蔵文化財センター
図書館
片貝縄文資料館
青少年文化センター
公文書館準備室
増村朴斎記念館
上越市環境情報センター
工房 ほその村
板倉郷土館
安塚歴史民俗資料館
横尾義智記念館
恵信尼寿廟所
かやぶき美術館
月影の郷
山寺薬師
ゑしんの里記念館
大島庄屋の家
箕冠城跡
地すべり資料館
19
リージョンプラザ上越
上越科学館
総合博物館
図表2−4
図表2−5
②
公共的施設
上越市の観光資源
交通(資料 18.参照)
上越市は、古くから交通の要衝として栄え、現在も重要港湾である直江津港や北陸自動車道、上信越
自動車道のほか、JR北陸本線、JR信越本線、ほくほく線などを有している。信越本線が長野から中
越へと南北に、北陸本線が直江津駅を起点に西に、ほくほく線が上越から魚沼方面に東西に走っている。
直江津駅では信越本線と北陸本線が交わっており、広域のターミナルとなっている。また、脇野田駅は
北陸新幹線の新駅となる。
道路に関しては、北陸自動車道が東西に、上信越自動車道が南北に走っている。インターチェンジは、
上越、上越高田、名立谷浜、中郷、柿崎インターチェンジの 5 カ所ある。さらに、上越魚沼地域振興快
速道路などのプロジェクトも進行するなど、三大都市圏とほぼ等距離に位置する中で陸・海の交通ネッ
トワークが整った地方都市である。
しかし、市内では公共交通のネットワークに支障がある。上越市は地方都市特有の車社会であるため、
自動車がないと移動しづらい。そのため地元では自動車の普及率が高いが、来訪者にとっては観光ポイ
ントが点在しているので、それぞれの間の移動には不便な立地及び交通環境となっている。
また、バスの利用者が少ないため、バスの交通も充実していない。中心市街地にて大型バスの利用が
できる駐車場も不足しており、特に、高田の中心市街地は大型の観光バス用の駐車場がなく、立ち寄る
ことが困難な状況になっている。新幹線開通後にはなおのこと、新幹線新駅と高田間をシャトル便で結
20
ぶ事はもとより、来訪者が上越市に着いてから、市内の要所へ容易に移動できる交通手段の整備が必要
不可欠である。
③
流通(直江津港)
直江津港における海上貨物の品目別貿易状況を見ると、下記の図表2−6のとおり年々減少傾向に
ある。特に他府県との取引である内国貿易は、平成13年から連続して毎年1割程度減少している。
外国貿易は、年によって1割程度の増減をもって推移している。
平成17年度の内訳を見ると、内国貿易で最も多かったのは金属機械工業品(392 万 1 千トン)、次
いで化学工業品(112 万 5 千トン)で、農水産品(8,458 トン)は低調である。また、外国貿易で最も
多かったのは化学工業品(27 万 6 千トン)、次いで鉱産物(20 万 5 千トン)で、農水産品(4 万 1 千
トン)の貿易はこちらも低調であった。
平成17年度の農水産品の内国貿易のうち移出量は 1,446 トン、移入量は 7,012 トンで移入量が移
出量の約5倍を占めている。また、外国貿易のうち輸出量は 37 トン、輸入量は 4 万 1 千 957 トンと、
輸出量は輸入量の実に 1/1000 以下である。
以上のことから、いかに多くの農水産品が市外から流入し、上越市のみならず他の地域へ流通して
いるかが明らかである。海上貨物の品目別貿易状況は、工業品の流通が過半数を占めているが、将来
的には上越で生産される安心・安全な農水産品や加工食品等を、国内への移出及びアジアやロシアな
どの海外に向けて広く輸出できるよう新たな取組を行う必要がある。
区
年
計
分
次
内
国
貿
易
(t)
小 計
移 出
移 入
外
小 計
国
貿
輸 出
易
(t)
輸 入
年
年
年
年
年
7,937,504
7,117,850
6,800,415
6,179,477
6,086,488
7,136,393
6,295,889
5,970,014
5,301,095
5,253,908
3,052,372
2,614,059
2,474,624
2,242,643
2,170,887
4,084,021
3,681,830
3,495,390
3,058,452
3,083,021
801,111
821,961
830,401
878,382
832,580
93,148
119,917
131,999
144,386
111,337
707,963
702,044
698,402
733,996
721,243
農水産品
林 産 品
鉱 産 品
50,452
154,333
325,869
3,980,076
1,401,242
68,126
10,020
95,828
542
8,458
326
120,198
3,921,548
1,125,162
44,376
725
33,115
-
1,446
326
5,689
1,919,037
171,156
40,547
725
31,961
-
7,012
114,509
2,002,511
954,006
3,829
1,154
-
41,994
154,007
205,671
58,528
276,080
23,750
9,295
62,713
542
37
18
29
15,536
32,444
9
2,631
60,633
-
41,957
153,989
205,642
42,992
243,636
23,741
6,664
2,080
542
平
平
平
平
平
成
成
成
成
成
13
14
15
16
17
金属機械工業品
化学工業品
軽工業品
雑工業品
特 殊 品
分類不能のもの
※資料 直江津港統計年報
図表2−6
海上貨物の品目別貿易状況
21
2−1−4.新幹線新駅に関連する開発計画(図表 2-7,8 及び資料 19.参照)
平成26年の開通を目指し、現在脇野田地区にて北陸新幹線の新駅開発計画が進められている。計画
面積は 376ha、工費はおよそ30億円である。計画目標では、上越の新しい玄関口にふさわしい魅力的
な都市づくりとし、土地利用の効率化、乗換円滑化の実施、交通結節機能を高めることとしている。
また、新駅周辺の都市基盤の整備として、新駅を中心に土地区画整備事業、信越本線の移設、駅前広
場、駅舎・自由通路の整備などを一体的に行う。そして、新駅周辺整備の整備効果を周辺地域へも広く
波及させるため、新駅へのアクセス道路など必要な都市基盤等の整備を推進している。
新駅建設工事に伴い釜蓋遺跡が発掘された。そこで、釜蓋遺跡を遺跡公園として保全整備し、周辺の
吹上遺跡、斐太遺跡などと連携をしながら、遺跡文化に対する理解を深めるためのシンポジウム等を開
催し、将来に向かって来訪者の増大につなげるための文化的・歴史的資源として活用する。なお、新駅
の整備に伴い多額の費用を投じる必要があるため、地域振興のための国の支援施策等を活用し地域活性
化を促進することが重要である。
図表2−7
新幹線新駅整備計画全体図
図表2−8
工事工程表
2−1−5.IT環境のインフラ整備状況
上越市における情報通信基盤は、各地域によって整備状況が異なり、情報格差が顕在化している。一
方、全国の情報通信基盤は「生活基盤」として必要性が高まりつつあるとともに、
「産業基盤」としても
22
重要な要素となっている。
平成18年3月には「上越市情報格差解消インフラ整備検討委員会」が設置され、情報通信基盤の総
合的な整備方針について提言がなされた。それによると、合併前の市町村において、各地域のニーズや
地理的状況などから様々な情報通信基盤を整備することとしている。
整備の状況を種類別にみると各利用可能世帯率は、ブロードバンドが 94.1%(5,000 世帯で利用不可)、
テレビ(地上デジタル放送)が 95%(4,000 世帯で視聴不可)、携帯電話が 98.8%(1,000 世帯で利用不
可)となっており、未だサービスを利用できない世帯が多く見受けられる。
ブロードバンドは、一般家庭における利用率は 43.9%であったが、学校教育などにおける利活用が進
み、利用率は着実に増加している。しかし、ADSLでは通信速度が落ちて、満足なサービスを受けら
れない地域が存在している。FTTHは利用料金が他のサービスと比べて高額であり、ケーブルテレビ
も施設整備費や維持管理経費が高額になる傾向にある。
テレビについては、現段階で視聴できない地域の世帯の多くは共同受信施設を利用しており、施設を
改修することにより視聴が可能となる見込みである。しかし、地上デジタル放送への対応は急務な課題
であり、共同受信施設で受信している場合は、施設の改修費が過大な負担となる恐れがある。
また、携帯電話ついても、集客施設において利用できない地域や、電波状況等により部分的、断片的
に利用できない箇所がある。事業者の採算が厳しい地域では事業実施が困難であり、移動通信用鉄塔施
設の整備にあたって、事業者が建設位置の選定に苦慮している状況である。
以上のように様々な課題が表面化しているが、上越市では財政的な制約もあり、インフラの情報通信
基盤整備を民間事業者に委ねている状況である。国の支援施策等を模索し、早急な対応策が必要である。
23
2−2.活用可能な地域資源
2−2−1.企業活動のシーズとニーズ
上越では地域資源やIT技術を利用した様々な取組が見られる。上越の人々によるこれまでの取組
を、将来の新産業の種(シーズ)と捉えて個々の取組による情報資源を活用し、ITの利活用によっ
て発展させる。そのため、下記の食、健康、観光に関連する取組を参考にビジネス構築を図る。
①
NPO 法人食の工房ネットワーク
正善寺工房の管理運営を上越市から委託され、体験交流施設の管理運営や商品の開発等を行って
いる。地場物を使った料理等の体験教室を年間 100 回程度、地域活性化イベントを年 4 回行ってい
る。体験教室として、味噌づくり等を開催(年 50 回程度)している。
課題は地域リーダーや人材を育てること及び情報の伝達システムが確立していないことなので、
特定の情報を必要な人に迅速且つ正確に伝わるシステム構築を行う必要がある。
②
JAえちご上越
農作物重点品目をあげて普及に取組んでいる。上越市産の米の販売も行っている。様々な農産物
があるが、1品目1億円の生産額を目指して努力している。
また、生産地と消費地の交流を行うグリーンツーリズムにも取り組んでいる。
管内には、28箇所の直売所(その内JA直営は2箇所)があるので、それらのネットワーク化を図り、県
外の直売所とも連携を進める。JAでは、農業全般について柱となるもの、目玉となるものは米と
捉えている。
③
NPO上越地域活性化機構
上越市の情報化戦略会議から発足した。上越市の小中学校では、Webで風邪の流行などの情報
を交換できるようになっている。そのプログラム構築を行った方が中心メンバーにおり、高精度位
置情報・GIS利活用の推進や除雪支援などのサポート等を行っている。
上越では観光にはまだGISは使われていないため、様々な検討を行って今後は地図が使えるよ
うな取組を行う。
④
上越市食の安全を考える市民会議
上越市健康づくり推進課では、「上越市食の安全を考える市民会議」を事務事業として取組み、
健康シティ上越市 2010 事業の一環として推進している。そこで「食育ポータルサイト」の構築を検
討している。
これは地元住民に対するサービスを提供するもので、地域ICTを活用した食の安全に関する地
域情報の発信をテーマにしている。本調査事業により提案するビジネスは、将来的には上記の食育
ポータルサイトとの連携が考えられる。
⑤
上越商工会議所
「謙信 e あきない」というポータルサイトを運営しており、商工事業者の情報発信を行っている。
今後更なるポータルサイトの充実を図り、商工事業者の発展寄与に取り組むことが重要である。
24
⑥
NPO法人かみえちご山里ファン倶楽部、(財)雪だるま財団
スローライフ・田舎体験等の取り組みを行っている。これまでの情報資源を活用し、将来の二地
域居住も踏まえた日本型スローライフの実践∼定着へと発展させる。
⑦
上越市市民プラザ
施設内に「ITコーナー」があり、一般に開放しているが、交通便が車かバス利用となるため利
用率が低く、運営コストも課題となっている状況である。
アクセスが良く多くの人がITに気軽に触れられる場所に移設する必要がある。
⑧ その他
・宅配及びケータリングによる高齢者向け食事提供を行う民間業者がある。
・高田の寺町に介護付き老人ホーム、並びにショートステイが出来る施設を民間業者が運営してい
る。
・過去に「わんぱくラリー」という子供達を対象に上越市の名所旧跡を訪ね歩くという企画をJC
が行い、市に移管されている。ノウハウの活用が可能である。
・直江津地区において建設中の火力発電所及びLNGガス基地等によって、近い将来、エネルギー
観光への取組が可能となる。(資料 20.参照)
25
2−2−2.一次産品の生産状況(図表 2-9,10,11 及び資料 21.参照)
米どころ
として知られる高田平野は、米や野菜、果物の産地でありまた、米菓等の名産地でもあ
る。また新潟県の日本酒のおいしさは全国でも著名である。海産物は日本海の海の幸が豊富であり、
新鮮な魚やかまぼこ等の加工品の生産も行っている。これらの多様な食の地域資源をもとに、上越の
活性化を促すための素材として活用する。
米
上越米:コシヒカリ、きんしゃり、ぎんしゃり、新雪米、雁木通り
新潟米:こしいぶき専科、胚芽精米
もち米
新潟米:こがねもち
もち
酒
ワイン
麺
こがね姫、餅丸長者(共にこがねもち100%使用)
上越雪餅、おひなもち、耕太郎もち、田舎もち、等
米、水、自然、人が相互に作用して初めて高い品質の酒が生まれる。
上越には16の蔵元がある。
川上善兵衛氏が 1890 年(明治 23 年)初めてワインの製造をして以来、
3 世紀に亘り高品質の国産ワインを造り続けている。
越のしゃりそば:米をつなぎに使用
越の長者そば:山芋粉、コシヒカリ、海藻をつなぎに使用
自然芋そば、尾神細打ちうどん、はす麺、朴ノ木そば、光が原高原霧
下そば、
野菜
みょうが、棚畑みょうが、じゅんさい、ヤーコン
果実
ぶどう、イチジク
肉
なごみ豚、頸城牛
海産物
岩もぞく、甘エビ、鯛、幻魚
図表2−9
一次産品の生産状況
謙信公の
謙信が勝利のかちどきを挙げることを願って用意した料理を、当時の
かちどき飯
文献にのっとり、当時の食材、調理法でつくったもの。
くびきの
謙信の時代から伝わるという郷土料理。地元産のコシヒカリに、エビ
押し寿司
とみそ漬、卵などを三層に重ねた押し寿司。
のっぺ、たけのこ汁、つけ菜の粕汁、紅白なます、深ざめの煮こごり、上越のごっ
つぉ、自然箸そば・自然箸うどん、押し寿司、てらの笹すし、等
図表2−10
郷土料理
ちまき、笹餅、笹団子、水飴、米菓、飴・笹飴(歴史ある飴で、粟飴とも言われる。)
、
継続だんご、みょうが団子、大杉ようかん、等
図表2−11
26
伝統的菓子
2−3.外から見た上越(WEBアンケート)
平成 19 年 12 月 19 日∼平成 20 年 2 月 20 日迄の2ヶ月間、全国の人々を対象とした「食・健康・観
光及びIT」に関する意識調査として、インターネットによるWEBアンケート調査を実施した。
対象:全国
回答者数:320名(男女比率:50:50)
回答者を出身地別に見ると61名が新潟県出身者、次いで東京都が38名、神奈川県が22名であっ
た。また、現在の居住地別に見ると東京都と神奈川県がそれぞれ42名、新潟県が32名であった。い
ずれも、上越市に関する関心の高さ、或いは、興味を持たれている人々によるアンケート結果が得られ
た。
(図表 2-12∼2-22 及び資料 21.参照)
質問では、上越市の「健康、食、観光」及びITに関連する事項を設定した。
Q1.あなたの知っている上越市の"食"の特産品を教えてください
Q2.あなたは上記の特産品を購入する場合、どのようなことを求めますか
Q3.あなたは 上越市の"食"と"観光"について、インターネットを利用したどのようなサービスが
あったら良いと思いますか
Q4.あなたはQ3のようなサービスがあった場合、どこで利用したいですか
Q5.あなたは、そのサービスを主に何を使って利用したいですか
Q6.健康診断についてお聞きします
Q7.あなたはレストラン、スーパー等で次のような新しいサービスがあったら役に立つと思います
か
Q1.あなたの知っている上越市の"食"の特産品を教えてください
回答結果は、1位お米:84%、2位地酒:63%、3位笹もち:33%であった。地
元でも何が特産品なのかが不明確なところがあり、回答者コメントを見ても思い浮かぶも
のがないとの答えが見受けられた。こうした背景には、上越の特産品に対するPRが不十
分、或いは曖昧な状況である様に思われる。お米、地酒を特産品として明確にPRする必
要性がある。
品目
お米
地酒
ワイン
お麩
味噌
のっぺ
たけのこ汁
つけ菜の粕汁
押し寿司
深ざめの煮こごり
紅白なます
回答人数
269
202
48
35
64
67
26
13
48
19
19
%
84%
63%
15%
11%
20%
21%
8%
4%
15%
6%
6%
回答者コメント
・謙信公かちどきめし、蓮御膳、幻魚
・新潟県人ですが、正直上記のどれが特産
なのかは知りません。 けれど以前何かの雑
誌でエスニック料理(タイ料理など)のレス
トランが充実しているという記事を見た覚
えがあり、機会があったら寄りたいなとは思
っていました。
・上記の特産品については、殆ど知りません
でした。
・するめいか ゲンギョ ラーメン
・かまぼこ
27
ちまき
おぼろ
たら汁
十全なす漬け
継続だんご
笹もち
粟飴・笹飴
45
16
26
19
38
106
38
14%
5%
8%
6%
12%
33%
12%
13
4%
その他
90%
・のっぺ汁は聞いた事がある程度で、上越市
とは知りませんでした。
・きくらげかまぼこ
・かんずり
・きのこなど
・よく知りません。
・正直思い浮かぶものはありませんが、地理
的にお米と思います。
・ありません
84%
80%
70%
63%
60%
50%
40%
33%
30%
21%
20%
20%
15%
15%
11%
14%
8%
10%
6%
4%
12%
6%
8%
5%
12%
6%
4%
図表2−12
Q2.あなたは上記の特産品を購入する場合、どのようなことを求めますか
特産品の購入に関しては、1位価格:49%、2位味47%、3位安全性:35%
で、次いで産地:30%であった。1位及び2位の価格と味は、世相を反映して価値
に見合った適正な価格=バリューフォーマネーの意識が反映されていると言えよう。
3位には昨今の社会現象となっている食の安全性に関する関心の高さが反映されてい
る。また、特産品が一箇所で買物できたり、都内でも百貨店などで買える等、買い物
時の便利さが求められている。そこで、ITの利活用による特産品の購入が可能なサ
ービスの提供が必要である。
項目
価格
ブランド
生産者
産地
安全性
味
その他
回答人数
157
4
35
96
112
150
3
%
49%
15%
11%
30%
35%
47%
1%
回答者コメント
・特産品を街中で一箇所で販売しているとこ
ろが欲しい。
・都内での買い易さ(百貨店の催事場での販
売など)
・そこでしか買えないもの
・クチコミや美味しいと評判のものを購入す
る
28
他
の
飴
Q1
そ
・笹
ご
もち
粟
飴
笹
だ
漬
す
続
継
な
十
全
紅
ん
け
ら汁
た
ぼ
ろ
き
お
す
ま
ち
白
煮
の
深
ざ
め
な
こご
ま
り
司
汁
の
つ
け
菜
押
粕
こ
の
け
た
し寿
汁
っぺ
噌
味
の
麩
お
ン
イ
ワ
酒
地
お
米
0%
図表2−13
Q2
Q3.あなたは 上越市の"食"と"観光"について、インターネットを利用したどのようなサ
ービスがあったら良いと思いますか
Q3−1.食について
Q1.の特産品を反映してか、特産品の紹介が73%と大方を占めた。お取り寄せ、通
販の仕方が47%、郷土料理レポートが39%と手軽に入手でき、且つ実際に料理すると
いう意向が読み取れる。そこで、ITを利活用して料理教室や料理の作り方をはじめ、地
域の伝統的食文化の分析や紹介など、様々な情報サービスを提供する。
Q3−1.食について
項目
回答人数
特産品の紹介
234
店舗の紹介
112
注文や配達の方法
74
お取り寄せ、通販の
仕方
150
生産者の声
70
食材の紹介
93
栄養表示(カロリ
ー、栄養素)
29
郷土料理レポート
125
食材の健康・安全・
安心レポート
80
食育の事例
32
味噌や酒などの作
り方
42
料理教室の開催予
定やレシピなど
45
その他
10
%
73%
35%
23%
47%
22%
29%
9%
39%
25%
10%
13%
14%
3%
回答者コメント
・食材とともにレシピを掲載があるとよいと思い
ます。
・料理教室やら講演会にしても、昼間ではなく夜
にもどんどんしてほしい。
・特産品のプレゼント
訪問者が増えますよ
・郷土料理のレシピ、お店紹介
・郷土料理の作り方
・割引・セット販売・
・郷土料理のレシピ、食文化の歴史など(例えば
上越市の場合、日本海の食文化のほかに信州方面
からの食文化の影響や、北陸方面を経由しての京
文化の影響も受けていると考えられます。このよ
うな観点からの地域の伝統的食文化の分析や紹
介を期待します。)
・特産品の豊作、不作(豊漁、不良)の情報
・特産品を利用したレシピ掲載
・郷土料理の作り方
・特産品にしても観光場所にしても人気ランキン
グ、お勧めランキングを作ってもらいたい
29
80%
73%
70%
60%
47%
50%
40%
39%
35%
29%
30%
23%
25%
22%
20%
14%
13%
10%
9%
10%
3%
他
の
開
味
催
噌
予
や
定
酒
や
な
レ
ど
シ
そ
な
ピ
作
の
育
の
室
の
料
理
食
教
材
栄
ど
り方
例
事
の
ー
食
ポ
レ
心
・安
全
・安
康
健
表
養
お
ト
ト
レ
理
料
土
リー
ロ
示
(カ
郷
材
、栄
の
養
ポ
素
ー
)
介
紹
声
食
産
取
注
り寄
文
せ
生
、通
者
仕
の
販
達
配
や
の
方
法
方
の
の
舗
店
特
産
品
の
紹
紹
介
介
0%
図表2−14
Q3−1
Q3−2.観光について
観光ガイドのニーズが72%、宿泊ガイドが52%と大半を占めた。次いでイベント情
報43%、レストラン情報42%となり、上越の観光に関する認知度が低い事を反映した。
現状では、全国には上越について知らない人が多いことがわかった。綿密なセールスプロ
モーション計画やITを利活用した情報サービスの提供により、全国からの注目を集める
地方都市として発展を目指す必要がある。
Q3−2.観光について
項目
レストラン情報
観光ガイド
歴史・文化遺産情報
伝統文化・芸術
イベント情報
クーポン
宿泊情報
お土産情報
予約サービス
名産品の取り扱い
店舗
その他
回答者コメント
回答人数
134
230
122
106
138
118
166
125
58
%
42%
72%
38%
33%
43%
37%
52%
39%
18%
74
10
23%
3%
・そこそこには案内板が有りますが、もっと詳し
く市全体を見れる見える案内紙などがあると良
い。
・アクセス
・地元の居酒屋情報
・上越=○○という目玉があれば知りたいと思い
ます。
・交通アクセス情報と観光名所のお得な廻り方
・一人で宿泊できる宿の紹介
・プレゼント
・駐車場情報の詳細
・郷土料理などの体験情報
・お勧めのランキング
・おすすめ観光ルートを入れた観光ガイド、くわ
しい交通手段や立ち寄り温泉情報もほしい
30
80%
72%
70%
60%
52%
50%
42%
43%
38%
40%
39%
37%
33%
30%
23%
18%
20%
10%
3%
図表2−15
そ
の
他
お
土
産
情
報
予
約
サ
名
ー
産
ビ
品
ス
の
取
り
扱
い
店
舗
宿
泊
情
報
ン
ク
ー
ポ
観
光
ガ
歴
イ
史
ド
・文
化
遺
産
情
報
伝
統
文
化
・芸
術
イ
ベ
ン
ト情
報
レ
ス
トラ
ン
情
報
0%
Q3−2
Q4.あなたはQ3のようなサービスがあった場合、どこで利用したいですか
情報サービスを利用する場合、使い勝手の良さから自宅での利用が87%と大半を占めた。
次いで駅などの交通施設:31%、レストラン、飲食店などで:22%である。また、その他
にホテルや宿泊施設、公共施設、温泉施設、高速道路のサービスエリア等、より手軽に、気軽
に、というコンビニエント感覚での利用が望まれている。
項目
自宅で
駅などの交通施設で
レストラン、飲食店等で
病院で
スーパーマーケット、コ
ンビニエンスストア等で
図書館で
郵便局、銀行などで
レクリエーション施設で
その他
回答人数
278
99
70
6
%
87%
31%
22%
2%
42
19
13
29
13
13%
6%
4%
9%
4%
回答者コメント
・ホテルや宿泊施設から無料で(複数回答)
・公共施設(観光案内所など)
・温泉施設
・高速道路のサービスエリア
・移動手段の自動車の車中で。
・自宅で、が主ですがネットカフェなど出先でも
確認できるのがいいと思う
・当地を訪問した場合は、無料の公共無線 LAN ア
クセスから
4%
その他
9%
レクリエーション施設で
4%
郵便局、銀行などで
6%
図書館で
スーパーマーケット、
コンビニエンスストアなどで
13%
2%
病院で
22%
レストラン、飲食店などで
31%
駅などの交通施設で
87%
自宅で
0%
10%
20%
30%
40%
図表2−16
31
50%
Q4
60%
70%
80%
90%
100%
Q5.あなたは、そのサービスを主に何を使って利用したいですか
サービスを利用する際の端末について、「非常に役立つ」として大半を占めたのが、パ
ソコンを使って自宅でじっくり利用する:90%、次いで、駅・博物館等でタッチパネル
やパソコンで情報を閲覧する:35%であった。また、「少しは役立つ」として、お店や
レストランでタッチパネルで情報を見る:56%、携帯電話を使ってお店で情報を読み取
ったり利用したい:44%であった。自宅でのパソコン利用度の向上には、最近の光通信
の発展に伴い、自宅のITインフラ環境が整ったことがあげられる。情報の収集やネット
上の買い物などITの活用度が高まると共に、出先で簡単に得る事の出来る情報と、自宅
で時事前に収集すべき情報などと、情報ソースの種類によっても情報収集の仕方や使用端
末に用途が分かれる傾向が見受けられる。
①
携帯電話を使ってお店で情報を読み取ったり利用したい
項目
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
回答人数
%
90
141
74
28%
44%
23%
② 駅・博物館等でタッチパネルやパソコンで
情報を閲覧する
項目
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
回答人数
%
112
147
42
35%
46%
13%
③ パソコンを使って自宅でじっくり
利用する
項目
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
回答人数
%
288
26
3
90%
8%
1%
④ お店やレストランでタッチパネル
で情報を見る
項目
回答人数
%
図表2−17
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
64
179
54
20%
56%
17%
32
Q5
Q6.健康診断についてお聞きします
健康診断に「定期的に行っている」と答えた人は全体の60%で、
「あまり行かない」が
18%、
「ほとんど行かない」が16%、
「全く行かない」が5%であった。 また、
「診断
結果によって食事を変えるように努力している」と答えた人が56%、「食事に気をつけ
るように言われても具体的にどうして良いのか解らない」が24%となり、アンケート結
果からも明らかなように、健康診断の結果によって知り得た情報を食事に反映させるとい
う健康づくりは、全国的に見ても関心が高いことが判明した。健康づくりは各人の自助努
力によるところが多大であるため、まず地元市民が地産地消をもとに食事による健康作り
を意識し、全国に発信するということが重要であることが判明した。
Q6.健康診断についてお聞きします
Q6−1.健康診断には行かれますか
項目
定期的に行っている
あまりいかない
ほとんど行かない
全く行かない
回答人数
192
58
51
16
%
60%
18%
16%
5%
図表2−18
Q6−1
Q6−2.あなたは健康診断の結果をもとに毎日の食事を見直されていますか
(複数回答可)
項目
%
回答者コメント
回答人数
診断結果によって食事
・結婚したので今まで以上に食には気を使
を変えるように努力し
いたいと思っていますが、具体的な方法と
179
56%
ている
言われると思いつかないのが現状です。
食事に気をつけるよう
・食事に注意すると同時に、有酸素運動を
に言われても具体的に
毎日実行している。
どうして良いのか解ら
・健康診断を受けなくても食事には気をつ
77
24%
ない
けています
体に良い食事を取りた
・食材には常に注意をしている
いが、どうすればよい食
・野菜中心に食べているが制限は特にあり
材を入手できるのか情
48
1%
報がない
ません
いそがしくて診断に合
・悪い結果が出ないように日々努力してい
うような適切な食事が
ます
48
15%
取れない
・一応普段から添加物などをあまり取らな
診断結果を守ると制限
い生活を心がけております。
が多くて食事が楽しく
・健康診断に行っていないので分からない
29
9%
ない
です
その他
13
4%
・診断結果の数値が適正値の範囲のため、
これまでどおり食べている(複数回答)
・見直さない(複数回答)
33
診断結果によって食事を
変えるように努力している
56%
食事に気をつけるように
言れても具体的にどうして
良いのか解らない
24%
体に良い食事を取りたいが、
どうすればよい食材を入手
できるのか情報がない
1%
いそがしくて診断に合うような
適切な食事が取れない
15%
診断結果を守ると
制限が多くて食事が楽しくない
9%
4%
その他
0%
10%
20%
図表2−19
34
30%
Q6−2
40%
50%
60%
Q6−3.次の情報をあなたの健康診断結果に載せた場合、毎日の献立に役立つと思いま
すか
「健診結果に基づき、各自に適したメニューや食材が示される」という設問に対して「非
常に役に立つ」と答えた人は全体の55%を占め、「少しは役に立つ」が41%、「必要
ない」と答えた人は3%に過ぎなかった。その他にも「食事・食材の効果が具体的に解り
易く示される」、「好きなメニューを選択できるように多くの情報が示される」、「楽し
い食事が取れるような具体的な方法が示される」などの具体例には、60%程度の回答者
が「非常に役に立つ」と答えている。そこでITを利活用し、食と健康情報が連携したサ
ービスの提供を行うことで、生活習慣病予防の効果を促進することが明らかである。
①
健診結果に基づき、各自に適したメニューや
食材が示される
項目
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
②
55%
41%
3%
182
125
10
57%
39%
3%
処方にある食材、食事を手に入れる
方法が具体的に示される
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
④
176
131
10
%
食事・食材の効果が具体的に解り易
く示される
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
③
回答人数
128
170
19
40%
53%
6%
好きなメニューを選択できるよう
に多くの情報が示される
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
192
118
10
60%
37%
3%
図表2−20
⑤
楽しい食事が取れるような具体的
な方法が示される
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
189
115
13
59%
36%
4%
35
Q6−3
Q7.あなたはレストラン、スーパー等で次のような新しいサービスがあったら役に立つ
と思いますか
レストラン、スーパー等での新しいサービスとして下記の5つの事例をあげた。
①医学的・栄養学的に健康に良いメニューや食材が提供され、解り易く解説されている②
各自の健診結果や生活スタイルに応じて、メニューの選択や、食材の購入が出来る、③健
診結果を入力すると、それに適したメニューや食材が提示され、細かな数値や制限
を気にせず好きなものを手軽に注文できる
④レストラン等での注文履歴が各自のカード等に保存される
⑤家族やパーティーなど多人数の場合にも、各自の健康データに基づいたメニューや食
材の選択が可能である
①から③の質問では、約95%の人が必要性を感じており、④、⑤の質問では、80%
以上の人が役立つことを認識している旨の回答が得られた。こうしたサービスを盛り込ん
だビジネスのアプリケーション・サービスをプランに反映する。
①
医学的・栄養学的に健康に良いメニューや食材が提供され、解り易く解説されている
項目
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
回答人数
154
150
13
%
48%
47%
4%
② 各自の健診結果や生活スタイルに
応じて、メニューの選択や、食材の購入
が出来る
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
154
147
19
48%
46%
6%
③ 健診結果を入力すると、それに適し
たメニューや食材が提示され、細かな数
値や制限を気にせず好きなものを手軽
に注文できる
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
179
125
13
56%
39%
4%
④ レストラン等での注文履歴が各自
のカード等に保存される
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
115
141
58
36%
44%
18%
⑤ 家族やパーティーなど多人数の場
合にも、各自の健康データに基づいたメ
ニューや食材の選択が可能である
非常に役立つ
少しは役立つ
必要無い
90
176
48
図表2−21
28%
55%
15%
36
Q7
〔WEBアンケートの総括〕
全国の人々を対象に行ったWEBアンケートによる結果を総括し、上越における新しいビジネスの構
築に必要な要素を抽出する。
①食について
上越市の"食"の特産品の認知度は、米、地酒、笹もちの順であったが地元でも何が特産品なのかが不
明確なところがあり、全国の回答者も思い浮かぶものがないとの答えが見受けられた。また、購入に関
しては、価格、味、安全性、次いで産地についての関心が高かった。世相を反映して価値に見合った価
格=バリューフォーマネーの意識と食の安全性に関する関心が高い。インターネットを利用したサービ
スについては、特産品の紹介、お取り寄せ、通販の仕方、郷土料理レポートの順に高く、手軽に入手で
き、且つ実際に料理するという意向が反映された。
↓
↓
↓
・上越の特産品に対するPRが不十分なので、特産品である米、地酒を明確にPRする。
・特産品が一箇所で買物できたり、ITの利活用による購入が可能なサービスの提供。
・ITを利活用し、料理教室や料理の作り方をはじめ地域の伝統的食文化の分析や紹介など、様々な情
報サービスを提供する。
②健康について
健康診断に「定期的に行っている」人は全体の6割程で、「あまり行かない」が2割弱、
「ほとんど行
かない」が1割強、「全く行かない」が1割未満であった。また、「診断結果によって食事を変えるよう
に努力している」人が5割強で、「食事に気をつけるように言われても具体的にどうして良いのか解ら
ない」が2割強となり、健康診断の結果によって知り得た情報を食事に反映させるという健康づくりは、
全国的に見ても関心が高いことが判明した。そこで、「健診結果に基づき、各自に適したメニューや食
材が示される」という質問をしたところ「非常に役に立つ」と答えた人は6割弱を占め、「少しは役に
立つ」が4割程度、「必要ない」と答えた人はほとんどいなかった。更に、「食事・食材の効果が具体
的に解り易く示される」等の具体例には、6割程度の回答者が「非常に役に立つ」と答えている。
そして、最後にレストラン、スーパー等での新しいサービスとして事例をあげ、役に立つかどうかの
調査を行ったところ、約9割以上の人が必要性を感じており、8割以上の人が役立つことを認識してい
る旨の回答が得られた。
↓
↓
↓
・健康づくりは、各人の自助努力によるところが多大であるため、上越の地元市民が地産地消をもとに
食事による健康作りを意識・実践し、その取組を全国に発信する。
・ITを利活用し、食と健康情報が連携したサービスの提供を行うことで、生活習慣病予防の効果を促
進する。
・医学的・栄養学的に健康に良いメニューや食材を提供する。
・各自の健診結果や生活スタイルに応じたメニュー選択や、食材購入を可能にする。
・健診結果を入力すると、それに適したメニューや食材が提示され、数値や制限を気にせず好きなもの
を手軽に注文できるサービスの提供を行う。
・レストラン等での注文履歴が、各自のカード等に保存可能なサービスの提供を行う。
・家族やパーティーなど多人数の場合にも、各自の健康データに基づいたメニューや食
37
材の選択が可能なサービスの提供を行う。
③観光について
インターネットを利用したどのようなサービスのニーズが高いかを質問したところ、観光ガイドのニ
ーズが7割、宿泊ガイドが5割と大半を占め、次いでイベント情報4割、レストラン情報4割となり、
上越の観光に関する認知度が低く現状では、全国には上越について知らない人が多いことが判明した。
更に、情報サービスを利用する場合、どこで利用したいかを質問したところ、自宅での利用が9割弱と
大半を占めた。次いで駅などの交通施設が3割、レストラン、飲食店などが2割程度であった。
↓
↓
↓
・綿密なセールスプロモーション計画やITを利活用した情報サービスの提供により、全国からの注目
を集める地方都市としての発展を目指す。
・情報サービスの利用場所として、交通施設及び高速道路のサービスエリア等、ホテルや宿泊施設、公
共施設、温泉施設等に端末の整備を行う。
④ITによるサービスの利用について
サービスを利用する際の端末については、パソコンを使って自宅でじっくり利用するが9割と圧倒的
に多かった。ITの活用度が高まると共に自宅で事前にじっくり情報収集を行う場合と、出先で必要に
応じて情報を得る場合及び情報ソースの種類によって、情報収集の仕方や使用端末の種類が分かれる傾
向が見受けられる。
↓
↓
↓
・駅・博物館等で、タッチパネルやパソコンによって情報収集を可能にする。
・お店やレストラン等で、タッチパネルによって情報収集を可能にする。
・携帯電話を使って、お店で情報を読み取ったり利用できるようにする。
38
2−4.関連する国の新規施策(図表 2-22 参照)
政府は、内閣官房を中心に従来から都市再生、構造改革特別区域、地域再生及び中心市街地活性化
の取組を進めており、平成 20 年度には、持続可能な地方再生の取組を進めるため、包括的・総合的に
支援する「地方の元気再生事業」を創設した。この事業は、地方再生の取組を進める上で最大の隘路
となるプロジェクトの立ち上がり段階を対象として、専門的な人材の派遣、社会実験の実施などのソ
フト分野を中心に、国が集中的に支援を行う。
・平成20年度予算額は25億円
・国が予め支援メニューを示すことをやめ、地域固有の実情に即した先導的な地域活動等幅広い取組
に関する提案を公募
・立ち上がり支援開始時に民間有識者・公共団体代表等からなる第三者の目を入れて、支援対象プロ
ジェクトを公平中立に選定
・選定されたプロジェクトの立ち上がり段階における取組に対し、国からの委託による調査を1∼2
年間実施。地域づくりの専門家派遣や社会実験などを中心に、シンポジウム、説明会等ソフト分野を
柱とした様々な取組を支援
・平成20年度から3ヶ年度を予定
※継続して本格的に支援すべきであるとされたプロジェクトには、交付金等により全省庁を挙げて重
点的かつ継続的に支援
図表2−22
地域振興のための新規施策
(出典:内閣官房地域活性化統合事務局資料)
39
2−5.上越市の強みと弱み(図表 2-23 参照)
上越市の強みを鑑みると、直江津には日本海に面する港があり、鉄道や高速道路の分岐点でもある
ことから交通の要衝であることがあげられ、周辺には文化施設なども存在している。また、高田には
歴史的資源、歴史的建造物の存在をはじめ、高田公園、寺町、小売店舗の集積等、豊富な観光資源が
あり、病院、福祉施設も多い。周辺には上越教育大学、県立看護大学も存在する。また、上越市全域
に渡って、豊富な食材、豊かな自然環境に恵まれている。
一方、上越市の弱みは何かといえば、観光資源の有効活用が不十分であること、高田、直江津とい
う2つの中心市街地の空洞化及びにぎわいの喪失をはじめとし、産業の集積が不明確であることや上
越教育大学、県立看護大学の活用方法、文化施設の整備状況、市域全域における公共交通ネットワー
クの未整備等があげられる。
こうした実情を背景に、全体の方針としては、各エリアの位置づけを明確にし、役割分担・連携を
進めていき、エリアごとの方針で「活かす・解消する」策を考える。また、各エリアごとで機能は様々
であるが、全体で「健康タウン上越市」としてアピールする。
図表2−23
40
上越市の強みと弱み
第3章
都市拠点整備の方針
41
第3章
都市拠点整備の方針
3−1.中心市街地の整備の方向(図表 3-1 参照)
上越市における都市構造の推移を見ると、直江津市と高田市が合併し上越市が誕生した。そして、合併
に際してその中間に位置する春日山に、行政機能の拠点である新市役所を設置した。新市役所の誕生に伴
い、上越市の都市構造は2つの中心市街地である直江津、高田という2極構造から、春日山を加えた3極
構造へと展開した。
その後、区画整理事業が推進された関川東地区では、モータリゼーションの発展に伴い、ロードサイド
型エリアとして一定の集積が見られるようになり、これにより4極目の都市構造が形成された。
そして、今後は北陸新幹線の延伸開通(平成26年開通予定)によって、新幹線の新駅が脇野田にでき
るなど、新たな交通幹線の計画がある。
このままでは中身の薄い5極構造が形成される懸念があるが、新駅周辺地域では新幹線の結節機能に特
化し交通の利便性を目指すこととなっている。
そこで、製造業、港湾、流通、在来JR線の結節点であり、建設中の火力発電所を中心としたエネルギ
ー産業等、明確な特徴を有する直江津地区と、コンパクトシティとして都市圏全体の商業・サービスを行
う中心市街地である高田地区という2つの中心市街地を拠点とし、直江津、高田の2極構造を考慮したま
ちづくりの展開を進めることが重要である。
上越市
◎直江津市
◎高田市
上越市
◎直江津
◎直江津
・新市役所
◎高田
上越市
上越市
●春日山
◎直江津
●関川東
●春日山
◎直江津
○関川東
○春日山
◎高田
◎高田
◎高田
●新駅周辺
2極から
上越市
◎直江津
○関川東
○春日山
◎高田
○新駅周辺
高田、直江津の2極
他はサブ拠点
→
3極
→
4極
このままでは
中身の薄い5極構造に
・直江津:製造業、港湾、流通、在来JR結節点、エネルギー産業等明確な特徴
・関川東:ロードサイド型エリアとして一定の集積
・春日山:行政機能の拠点
・高田:コンパクトシティとして都市圏全体の商業・サービス中心市街地
・脇野田:新幹線との結節機能に特化
◇製造・生産・流通機能の高度化。専門家が目的を持って訪れる「直江津」
◇賑わい、界隈製、商業サービス集積。人々が集い・憩い・楽しむ「高田」
◇新幹線結節点に特化し、交通利便性を目指す「新駅周辺」
図表3−1
都市構造の推移:2極構造回帰へ
42
3−2.まちづくりへの展開
・直江津と高田は、その成り立ちから都市機能まできわめて特徴的な性格の違いを有する。
・この特性を最大限に活かし役割分担を明確にし、他市にはない2極構造を目指す。
①【プロが訪れる「直江津」】
歴史は高田より古い・・・諸説あるが直江津港は上杉謙信の時代から利用されている。
律令時代には越後国の国府と国分寺が置かれた。親鸞が配流された地。
直江津港は環日本海拠点。港湾機能、交通結節機能を活用し、製造業の立地が活発な産業都市として
発展してきた。近年では、平成19年より火力発電所の建設工事が着工、平成20年には液化天然ガス
(LNG)基地建設工事の着工など、エネルギー産業立地としての機能が加わり、見学コース等の整備
によるエネルギー観光の可能性も期待される。更に、周辺地域には市営の海洋水族博物館、上越科学館
などの観光施設、文化施設がある。
以上のように、直江津地区には、港湾機能、海、鉄道、製造業、エネルギー産業、観光施設等が集積
しているため、当地を訪れる来訪者は専門性の高いプロや観光客等であり、来訪の目的が明確である。
また、高田地区を訪れる人々についても、直江津に存在する各施設等に関する専門知識に興味を持ち、
技術や最先端の成果に接するために直江津に来訪するよう誘導する。
明確な目的を持った「プロが訪れる」都市拠点としての直江津を目指す。
技術の集積、生産機能の充実、流通拠点、
港湾や在来駅・ヤードの活用。
⇒
全国の「プロ」が集まる専門家の街。
②【日本国の本家「高田」】
全国に「高田」の名を持つ都市が4市存在する。陸前高田、大和高田、安芸高田、豊後高田がそれで
ある。それらは、いずれも「越後の高田」に知名度がかなわない為に、旧国名をつけたといわれる。と
ころが本家の高田市は、現在の上越市にその名を変えたため市としては既に消滅している。
「高田といえば越後である」という風潮が残っているうちに、本家高田としての活性化が必要である。
高田地区には、小売店舗の集積等に見られる商業・サービス機能、情報拠点機能、界隈性・回遊性のあ
る町並み等があり、周辺には歴史的資源、歴史的建造物の存在をはじめ、高田公園、寺町等及び病院、
福祉施設、上越教育大学、県立看護大学等の医療機関及び大学も存在する。
そこで、「高田」の本家として、その名にふさわしい都市の集積、及び賑わいや活気を向上させるべ
43
く、直江津地区を訪れる人々が、楽しさや憩い、賑わい、歴史・文化等を求めて高田に来訪するよう誘
導する。
全国から一般の人が訪れる「ジェネラルな」都市拠点としての高田を目指す。
商業・サービス機能、情報拠点機能、
界隈性・回遊性のある町並み。
⇒
市内、全国から人々が集うコンパクトシティ
44
3−3.都市機能の整備方針
上越市では、合併都市の特例として2地区(直江津地区と高田地区)の中心市街地活性化基本計画
を示し、中心市街地活性化の取組を行ってきた。(資料 10.11 参照)
また、中心市街地活性化協議会も直江津、高田の2つの協議会があり活動を行っている。そこで、
直江津、高田の各地区における事業展開を基に、都市機能の整備の方針を確認する。
3−3−1.直江津地区での事業展開
① 直江津駅の強化
鉄道やバスといった公共交通による来街を重視する。このため、直江津駅を再評価し、新幹線開業後
のローカル3線の活性化も視野に、直江津駅の交通結節性の強化を図る。
② 拠点の形成∼駅とまちをつなぐ拠点∼
駅とまちの間に、 駅とまちをつなぐ拠点
を配置する。これは、上越市全体のまちづくりに寄与す
るよう中核的公共施設を中心とした複合施設とする。商業やサービス業の導入を視野に入れ賑わい空間
としていくほか、住宅も導入し土地の高度利用を図る。
③ 核の形成∼「イトーヨーカドー周辺」∼
イトーヨーカドーは、地元の日常生活に必要不可欠な店舗であり、連続する安国寺通り商店街にとっ
てもその存在は絶対である。
「イトーヨーカドー周辺」は、水族館や海水浴客も含め、車やバス利用者のための環境を整えるとと
もに、駅から安国寺通り方面から来訪する徒歩・自転車にも対応できるようにする。
直江津地区では、歩行者向きの空間を確保するためのモールを形成し、イベントの開催などを実施
することによって賑わい空間を創出し、商店街の活性化を図る。
また、高齢者向けや、ファミリー世帯向けの都市型住宅、企業向けの寮・社宅等、街なか居住の推
進によって人口の大幅な減少に歯止めをかけることが重要である。更に、跡地、空き施設等も存在し
ているので、その有効活用をはかることは勿論、直江津地区を巡る都市観光の創造を行うことがあげ
られる。
3−3−2.高田地区での事業展開
①
公共サービス機能
長い歴史のなかで、いくつかの行政施設が地区から転出した。中心市街地施策に関連する身近な
行政サービスは、本来地区内にあるべきである。
②
交通サービス機能
鉄道やバス、自動車、自転車、徒歩などの交通手段が円満に共存し、接続できる交通環境が重要
である。また、商店街における駐車・駐輪の利用のしやすさが求められる。
45
③
居住サービス機能
高齢者や団塊世代、共働き夫婦などが高田地区で快適に生活できるよう、時間延長など利用意向
にそった商店街サービスや福祉サービスの施策が望まれる。
④
商業サービス機能
商店主の顔がみえ、
「気遣い」や「もてなし」のある商店街であることが必要である。商店街で楽
しい時間を過ごせるよう、娯楽や文化にうったえる施策が必要である。
⑤
インキュベート機能
若くて元気な新しい商業や街なか産業創出が重要である。そのため、創出がしやすい位置でのイ
ンキュベート施設の設置が望まれる。
⑥
歴史・景観機能
市民や観光客が、城下町高田の歴史・文化を感じながら回遊するための、魅力的な拠点施設の整
備や景観形成、仕掛けづくり(回遊ルートなど)が必要である。
⑦
その他
・商店街独自の情報発信が望まれる。買い物情報だけでなく、生活や文化的な趣味に必要な情報発
信などを施策として展開する情報発信機能が望まれる。
・冬期でも快適に歩ける街なかや商店街であるバリアフリー機能。交通バリアフリー基本構想を中
心に、施策を推進する。
・コミュニティ活性化機能
以上のように、高田地区では、中心市街地に存在する小売店の集積をはじめ、来訪者の回遊が可
能な環境が形成されている。また、歴史的、文化的建造物、高田公園等の観光施設をはじめ、医療
機関、大学等の教育施設が集積している。そこで、高田地区は、歴史と文化、回遊性と賑わいのあ
る情報拠点として整備する。
46
3−4.新産業推進のための活動拠点
新産業の推進のため、上越市の2つの中心市街地である直江津地区、または高田地区のいずれかに
活動の拠点を設置する必要がある。そこで、
「食、健康、観光」をキーワードにして、IT利活用によ
る上越市の活性化を考えた場合、その活動拠点となり得る中心市街地は高田地区であると考えられる。
なぜなら高田地区は、駅、商業、学校、公園、寺町などを有しており、また、歴史的・文化的施設
や観光施設をはじめ、周辺地域には医療機関、大学等の教育施設が集積している。更に、新幹線の新
駅からも直江津に比較して近いこと等があげられる。つまり高田地区は、
「コンパクトシティ」の概念
である以下の要件を備えているためである。
「コンパクトシティ」とは、公共交通が整備されており、中心市街地として商業・文化活動が盛ん
であり、街としてのコミュニティが存在していること、観光地として成立しうる資源を持ち、人々が
流入する要素がある街ということである。
3−4−1.高田地区の都市機能(図表 3-2 参照)
高田駅を「食・健康の駅」と位置付け、高田地区において、歴史と文化、回遊性と賑わいのある情
報拠点として整備する。それには基盤となる情報システムにより、下記6つのファクターによるサー
ビス等を提供することが必要と考えられる。
・医療機関
健診・診察・治療、食・運動支援プログラム、健診データ、健康情報
・福祉サービス
有料老人ホーム、介護・福祉施設、通所リハビリ、訪問介護、ヘルパー派遣
・食の施設
健康食レストラン、ケータリング、食材ワンストップ機能、地産地消モール
・食の知識・体験
食育修学旅行、生産活動実体験、食品製造流通情報、調理・レシピ・食づくり
・観光・集客
長期滞在型、体験、知識、実践、歴史文化資源の活用、リピート顧客の拡大
・文化・教育・生活
公共施設、教育機関、事業所、民間施設、フィットネス、運動施設、住宅、コミュニティ施設
47
直江津
春日山
高田
港湾機能
海、鉄道、
製造業、
エネルギー、水
族館等
食・健康の駅
歴史と文化
回遊性と賑わい
情報拠点
南高田
新駅
【製造・流通・技術・観光】
・専門性の高い現業・現場・観光施設の情報発信
・海、港、鉄道、エネルギー、水族館等・・・目的の明確な来訪
【医療機関】
・健診・診察・治療
・食・運動支援プログラム
・ 健診データ
・ 健康情報
【食の施設】
・健康食レストラン
・ケータリング
・食材ワンストップ
・地産地消モール
基盤となる
情報システム
【食の知識・体験】
・食育修学旅行
・生産活動実体験
・食品製造流通情報
・調理・レシピ・食づくり
交通結節点
【福祉サービス】
・有料老人ホーム
・介護・福祉施設
・通所リハビリ
・訪問介護、ヘルパー
【観光・集客】
・長期滞在型
・体験、知識、実践
・歴史文化資源の活用
・リピート顧客の拡大
【交通結節機能に特化】
・駅が都市の中心機能を果たす条件:乗客数1万人
・上越市の駅乗客数:直江津2千7百、高田2千5百
⇒交通結節機能の基盤を整備し民間の自由な活動に任せる
図表3−2
高田地区の都市機能
48
【文化・教育・生活】
・公共施設、教育機関
・事業所、民間施設
・フィットネス、運動施設
・住宅、コミュニティ施設
第4章
有望なビジネスの検討
49
第4章
有望なビジネスの検討
4−1.活用すべき地域資源の考察
食、健康、観光にかかわる新しいビジネスを検討するための上越の主要な地域資源は、次のとおり
である。
【地域資源①食】
上越市の食の生産は、米と酒が突出している。アンケート調査における上越市の"食"の特産品の認
知度においても、回答者全体のうち、米が84%、酒が63%と突出している。
また、米の生産額は175億6千万円で、野菜が18億3千万円と他の農産物を大きく上回ってい
る。このほかに、生産額は少ないものの、雑穀豆類が4億2千万円、いも類が1億7千万円、果実1
億1千万円の生産額である。すなわち、上越の特産品といった場合の一次産品は米である。
上越の食に関する地域資源は何かというと、上記の米、野菜、雑穀豆類、いも類、果実等の一次生
産品やその食品加工品、及びその食品加工・製造業等である。
【地域資源②健康】
健康に関する地域資源として、医療機関、大学研究機関、教育機関などをあげることができる。
地域医療を担う医療機関は、救急医療と高度先進医療を提供している新潟県立中央病院や、上越市
の保健医療福祉ゾーン基本計画にて、「医療ゾーン」と定めた上越地域医療センター病院、診療所が
ある。
当該センター病院は、新幹線の新駅から2km の距離にあり、敷地内に特別養護老人ホーム、老人保
健施設が開設され、今後、コミュニティプラザを有する福祉関連施設、ケアハウス、グループホーム
などの居住関連施設等を整備する予定である。
また、上越市には上越教育大学と新潟県立看護短期大学という2つの大学研究機関、教育機関が存
在する。
上越教育大学は、大学院修士課程と,初等教育教員を養成する学部を持ち,理論的・実践的な教育
研究を推進する国立の教育大学である。新潟県立看護短期大学は、看護学と看護ケアの質の向上のた
めに、実践的・実証的教育研究の開発を行い、社会に寄与することを目指している。こうした医療機
関、大学研究機関、教育機関等を上越の健康に関する地域資源と定義する。
【地域資源③観光】
上越市の観光資源は、全国でも有数の人気を誇る高田公園の夜桜をはじめ、金谷山、高田公園、信
越トレイル、鍬取り市民の森等の野外施設・散策コース・公園等がある。
歴史的な施設としては、五智国分寺、高田城三重櫓、寺町や神社・仏閣等があり、また、文化的な
施設として上越科学館、上越市立水族博物館、美術館等といったものが主要であるが、全国一、ある
いは、広域からの集客力が強いものはあまり見受けられない。また、国立公園等はなく観光資源とし
ては、周辺市町村に比較して特に優れているというわけではない。しかし、一方で、参加型とも言う
べきイベント、集客を目的とした活動は、高田城百万人観桜会や謙信公祭、謙信公のSAKE祭り、
食の宝石箱等に見られるように活発に行われている。こうした観光、集客、イベントならびにイベン
トに際して活用される食育の実績等が、上越の観光に関する地域資源となる。
50
4−2.有望なビジネスの考察
第2章2−3.に記載の、総括に基づく新しいビジネスの構築に必要な要素及び前述の地域資源を活用
したビジネスとして、次に示す内容が必要な要件と考えられる。
・特産品に特化したビジネス展開は難しいことから、一見平凡ともいうべき一次食材を、加工して最終
消費者に「食品」として提供する。
・参加型、体験型の観光資源との組み合わせによる「食」のビジネス。
・ITを利活用し、料理教室や料理の作り方をはじめ、特産品や地域の伝統的食文化の分析や紹介など、様々
な情報サービスの提供。
・充実した医療機関を活用し、病気予防、健康増進、といったこれからニーズの高まる健康志向の「食」
の提供。
・米、酒、その他の上越の食は、いわばどこにでも生産されるものである。したがって競争力を保持す
るために、消費者への訴求力の強化、マーケットの素早い把握が必要。
・特産品が一箇所で買い物できたり、ITの利活用による購入が可能なサービスの提供。
・情報サービスの利用場所として、交通施設及び高速道路のサービスエリア等、ホテルや宿泊施設、公共施
設、温泉施設等に端末の整備を行う。
・新幹線開通後、中核都市、首都圏からの時間距離が大きく短縮されるため、市外からの二地域居住を
含めた定住者の獲得を目指し、そのために居住機能の向上が必要である。単に居住空間だけ提供する
のでは限界があり、農業生産、食品加工などの生活体験を通じた自然環境、歴史・文化の理解を深め
る日本型スローライフの実現など、付加価値をつけた居住空間の提供がポイントである。
・優れた医療機能、自然環境、観光・歴史資源等を組み合わせることにより、上越に滞在しながら健康
増進を図るというビジネス展開を図る。例えば、上越で取れる新鮮な食材を活用し、来訪者が身体の
健康状態に応じた食事を摂取できるというもの。
51
4−3.ビジネス抽出のプロセス
下記図表4−1に示すとおり、食、健康、観光にかかわる有望なビジネスを抽出するにあたり、
「上
越の特徴」、「食、健康、観光」
、「従来の取組等」を検証し、将来の有望なビジネスを抽出する。
食、健康、観光
上越の特徴
有望なビジネス
従来の取組
図表4−1
有望なビジネス抽出のプロセス
4−3−1.上越の特徴
第2章2−5.に記載のとおり、上越市の強みは、直江津では、陸海交通の要衝であること、及び周
辺に点在する文化施設等の存在である。高田では、歴史的資源、歴史的建造物をはじめ、高田公園、寺町、
小売店舗の集積等の観光資源、病院、福祉施設、周辺に存在する上越教育大学、県立看護大学等である。
そして、上越市全域に渡って、豊富な食材、豊かな自然環境に恵まれていることがあげられる。また、各
エリアごとで機能は様々であるが、全体で「健康タウン上越市」としてアピールする。
4−3−2.従来の取組
上越では地域資源やIT技術を利用した様々な取組が見られる。これらを将来における
上越の新産業の種と考え、食・健康・観光に関連するこれまでの個々の取組や情報資源を生かし、ITの
利活用によってビジネス構築を図り個々の取組を発展させる。
①
市
・「上越市食の安全を考える市民会議」を事務事業とする食育の取組み、健康シティ上越市 2010 事業
の一環として推進
・過去にJCが行い子供達を対象に行った「わんぱくラリー」という上越市の名所旧跡を訪ね歩く
企画があり、ノウハウの活用が可能(市に移管済)
・上越市市民プラザでは施設内に「ITコーナー」があり、一般に開放
・高田、直江津の2つの中心市街地活性化協議会による計画検討
②
上越商工会議所
・「謙信 e あきない」というポータルサイトを運営しており、商工事業者の情報発信を行っている。
③
JAえちご上越
・農作物重点品目をあげた普及に取組む
・上越市産の米の販売
・様々な農産物があるが、1品目1億円の生産額を目指して取組中
52
・生産地と消費地の交流を行うグリーンツーリズムの取組
④ NPO 法人等
〔食の工房ネットワーク〕
・体験交流施設の管理運営、商品開発等。
・地場物を使った料理等の体験教室(年間 100 回程度)
・地域活性化イベント(年 4 回)
・地元農産物を使った加工品等の製造販売
・加工品の製造体験教室:味噌づくり(計 50 回程度)
〔上越地域活性化機構〕
・小中学校における、Webで風邪の流行などの情報の交換プログラム構築
・高精度位置情報・GIS利活用の推進
・除雪支援などのサポート等の推進
〔その他〕
・上越後山里ファン倶楽部及び(財)雪だるま財団
スローライフ・田舎体験等の取組
⑤
地元企業等
・宅配及びケータリングによる、高齢者向けの食事の提供
・介護付き老人ホーム、並びにショートステイが出来る施設の運営(高田の寺町)
53
4−3−3.有望なビジネス
以上のような取組、あるいは検討されたものがあるが、いずれも地域の新産業として根付いている
わけではない。その原因として、生産者と消費者のコミュニケーションや情報発信、事業者間の連携
が十分でないことが考えられる。これらは、ITの利活用によって、解消することが可能なものであ
り、解消すると同時にビジネスの発展性が拡大するものと思われる。
そこで、活用すべき地域資源とこれまでの様々な取組を、先行的なビジネスの種として捉え、その
発展型を考えると、以下のビジネスが抽出できる。(図表 4-2∼8 参照)
・「上越市食の安全を考える市民会議」による食育の取組
上越市
・ 健康シティ上越市 2010 事業
新潟県立
・救急医療と高度先進医療の提供
中央病院
・コミュニティプラザを有する福祉関連施設、ケアハウス、グループ 上越地域医療セ
ホームなど、居住関連施設等を整備する予定
ンター病院
・理論的・実践的な教育研究を推進する国立の教育大学
上越教育大学
・看護学と看護ケアの質の向上のために、実践的・実証的教育研究の 新潟県立看護短
開発を行う
期大学
・農作物重点品目の普及、上越市産の米の販売
JAえちご上越
・様々な農産物の1品目1億円の生産額を目指す取組
食の工房 ネ ット
・地元農産物を使った加工品等の製造販売
ワーク
・宅配及びケータリングによる、高齢者向けの食事の提供
↓
↓
地元企業等
↓
・食事・食材提供サービスの実施
図表4−2
54
食事・食材提供サービスの実施
・「上越市食の安全を考える市民会議」による食育の取組
上越市
・ 健康シティ上越市 2010 事業
新潟県立
・救急医療と高度先進医療の提供
中央病院
・コミュニティプラザを有する福祉関連施設、ケアハウス、グループ 上越地域医療セ
ホームなど、居住関連施設等を整備する予定
ンター病院
・生産地と消費地の交流を行うグリーンツーリズムの取組
JAえちご上越
・地場物を使った料理等の体験教室
食の工房 ネ ット
・加工品の製造体験教室:味噌づくり
ワーク
上越地域 活 性化
・高精度位置情報・GIS利活用の推進
機構
上越後山里ファ
ン倶楽部、(財)
雪だるま財団
・スローライフ・田舎体験等の取組
・宅配及びケータリングによる、高齢者向けの食事の提供
・介護付き老人ホーム、並びにショートステイが出来る施設の運営
↓
↓
地元企業等
↓
・滞在型健康増進サービスの実施
図表4−3
・「上越市食の安全を考える市民会議」による食育の取組
・ 健康シティ上越市 2010 事業
滞在型健康増進サービスの実施
上越市
新潟県立
・救急医療と高度先進医療の提供
中央病院
・コミュニティプラザを有する福祉関連施設、ケアハウス、グループ 上越地域医療セ
ホームなど、居住関連施設等を整備する予定
ンター病院
・農作物重点品目の普及、上越市産の米の販売
・様々な農産物の1品目1億円の生産額を目指す取組
食の工房 ネ ット
・地元農産物を使った加工品等の製造販売
ワーク
・Webによる小中学校での情報交換プログラムの構築
↓
JAえちご上越
↓
上越地域 活 性化
機構
↓
・ドクターズレストランの創設
図表4−4
55
ドクターズレストランの創設
・「上越市食の安全を考える市民会議」による食育の取組
上越市
・ 健康シティ上越市 2010 事業
・ポータルサイト「謙信 e あきない」の運営による、商工事業者の情
報発信
・農作物重点品目の普及、上越市産の米の販売
上越商工会議所
JAえちご上越
・様々な農産物の1品目1億円の生産額を目指す取組
・商品開発による新商品の販売
食の工房 ネ ット
・地域活性化イベントの情報伝達
ワーク
・地元農産物を使った加工品等の製造販売
↓
↓
↓
・産地アンテナショップの設置
図表4−5
・「上越市食の安全を考える市民会議」による食育の取組
産地アンテナショップの設置
上越市
・ 健康シティ上越市 2010 事業
新潟県立
・救急医療と高度先進医療の提供
中央病院
・コミュニティプラザを有する福祉関連施設、ケアハウス、グループ 上越地域医療セ
ホームなど、居住関連施設等を整備する予定
ンター病院
・理論的・実践的な教育研究を推進する国立の教育大学
上越教育大学
・看護学と看護ケアの質の向上のために、実践的・実証的教育研究の 新潟県立看護短
開発を行う
期大学
・農作物重点品目の普及、上越市産の米の販売
JAえちご上越
・様々な農産物の1品目1億円の生産額を目指す取組
・地場物を使った料理等の体験教室
食の工房 ネ ット
・加工品の製造体験教室:味噌づくり
ワーク
・スローライフ・田舎体験等の取組
上越後山里ファ
ン倶楽部、(財)
雪だるま財団
・宅配及びケータリングによる、高齢者向けの食事の提供
・介護付き老人ホーム、並びにショートステイが出来る施設の運営
↓
↓
地元企業等
↓
・高付加価値型居住施設の配備
図表4−6
56
高付加価値型居住施設の配備
・上越市の名所旧跡を訪ね歩く企画のノウハウを活用
・「ITコーナー」の移設、来訪者を含む一般に開放
上越市
・高田、直江津の2つの中心市街地活性化協議会による計画検討
新潟県立
・救急医療と高度先進医療の提供
中央病院
・コミュニティプラザを有する福祉関連施設、ケアハウス、グループ 上越地域医療セ
ホームなど、居住関連施設等を整備する予定
ンター病院
・理論的・実践的な教育研究を推進する国立の教育大学
上越教育大学
・看護学と看護ケアの質の向上のために、実践的・実証的教育研究の 新潟県立看護短
開発を行う
期大学
・ポータルサイト「謙信 e あきない」の運営による、商工事業者の情
報発信
上越商工会議所
・生産地と消費地の交流を行うグリーンツーリズムの取組
JAえちご上越
・地場物を使った料理等の体験教室
食の工房 ネ ット
・地域活性化イベント
ワーク
・Webによる小中学校での情報交換プログラムの構築
上越地域 活 性化
・高精度位置情報・GIS利活用の推進
機構
・スローライフ・田舎体験等の取組
上越後山里ファ
ン倶楽部、(財)
雪だるま財団
・宅配及びケータリングによる、高齢者向けの食事の提供
・介護付き老人ホーム、並びにショートステイが出来る施設の運営
↓
↓
地元企業等
↓
・観光型健康増進サービスの実施
図表4−7
観光型健康増進サービスの実施
これらをまとめると、次に示す図4−8のようになる。この中で重要なポイントは、産地の情報を
円滑かつ効果的に消費地に発信すること、消費者の実態をすばやく把握しニーズをフィードバックす
ることである。そのためには、情報システムを構築し、ITを利活用してコミュニケーションの充実
そのものを図ることが重要である。また、有望なビジネスの推進を図る上で、IT利活用の拠点が必
要となる。これについては第5章に記載する。
57
【地域資源①食】
・一次生産品
・食品加工、製造業
[上越における従来の取組]
【食事・食材提供サービス】
【滞在型健康増進サービス】
【総合連携】
【地域資源②健康】
・大学、研究機関
・医療機関
【ドクターズレストラン】
・サービス提供
・食材供給
【産地アンテナショップ】
・ 情報システム
【地域資源③観光】
・観光、集客、イベント
・食育の実績
【高付加価値型居住】
・IT利活用の拠点
【観光型健康増進サービス】
図4−8
有望なビジネス
58
4−4.具体的なビジネスの内容
① 食事・食材提供サービスの実施
(1)「食事・食材提供サービス」
・個々人の健康情報に適した食品・食材・料理情報を提供
・摂取することで健康増進を図ることが可能な料理・食材を提供
・注文時や購入の際に健康情報を活用し、タッチパネル、携帯端末等で選択が可能
本サービスを上越の
食のインフラ
として普及させ、上越市全体を「健康タウン上越」とし
てイメージづける。
(2)「国際健康食=新しい輸出産業」
・上越の食材(生鮮∼加工∼最終製品)に関する情報を、健康情報と連動させ、IT利活用によっ
て情報発信
・科学的根拠に基づく「上越健康食ブランド」を確立して、消費マーケットをリードする。個別の
商品だけではなく、健康・食の提供サービス全体を上越ブランドにして取り組む(上越市ブラン
ド化戦略)
・上越市における一次産品の生産状況を、IT利活用によっていち早く消費者に提供し、新鮮で、
安心・安全な食材を提供する
・IT利活用により、将来的には日本国内から世界のマーケットでの取引が可能である。使用言語
は日本語に限らず、上越市の友好都市の言語をはじめ多様な言語(英語、中国、韓国、ロシア等)
に対応出来るような取り組みを行う
*上越市の友好都市:リリエンフェルト市(オーストリア共和国)、琿春市(中華人民共和国)、浦項市
(大韓民国)
以上のように、「日本食」及び「日本生鮮品」のブームを一過性に終わらせることのないよう、
健康を付加価値として上越から世界に向けて発信する輸出食材産業を確立する。
「健康」を付加価値とし、上越の食材市場を前面に掲げた「産地主導の市場」として機能させ、
「国際健康食=新しい輸出産業」への進化を目指す。
② 滞在型健康増進サービスの実施
(1) 地産地消型健康プログラム、ヘルスケアプランの実践
・ITを利活用し、医療機関、食品関連産業、流通が連携した、健康情報に基づく食事・メニュー
等の処方
・前述の「食事・食材提供サービス」を活用し、地産地消型食材や食事が入手可能
・地域レベルでの健康増進、生活習慣の改善、健康寿命の向上を目指す
*健康寿命は、WHOが提唱。 健康で自立していられる年齢の目安
・高齢者介護施設、福祉施設等とも連携し、在所者の生活の質の向上を目指す
59
(2) 滞在型メタボ改善ツーリズム
・上越への一週間程度の滞在により、メタボ、生活習慣病関連の数値を正常化に向けて改善させる
・自然環境等をアピールし、国内のみならず海外からの集客を目指す(国際健康食のリピータ醸成
を図る)
・「健康タウン上越」に来訪者を募る事をきっかけとして、居住人口の増加を目指す。対象は大都
市及び海外の居住者
来訪者が、上越市を目指して滞在の為に訪れるためには、上越市の魅力に惹かれ、 上越に行きた
い
という強いモチベーションが必要である。そこで、上越市に滞在して健康増進を図る事が可能
なサービスを提供する。
これは、先に(1)、(2)に示すようなサービスの他、上越市の歴史・伝統・文化・環境の中で、農
業などの生産体験を通して健康増進が可能なものが考えられる。これによりリピーターの増大をは
かり、長期・短期を含め滞在時間の拡大を実現する。
(実施形態)
地産地消の一環として、上越市民の協力のもと、来訪者が一次産品の生産に参加する。例えば大
豆の種を蒔き、収穫し、とれた大豆を加工して味噌をつくる。更にこの地元で取れた食材を地元の
レシピで料理する。
これにより、1年を通して数回の来訪及び滞在時間の増大が生じ、かつ、子供から大人までが共
に上越市民との交流を深めながら心身共に健康増進を図ることが可能である。本サービスの実施に
より、日本型スローライフ*の実現をはかる事が出来る。
また、滞在施設に関しては、上越市に点在する既存の宿泊施設の活用を中心に行う。また、将来、
本サービス利用者の需要が増えた場合には、廃校や廃屋等の遊休施設を再利用(コンバージョン)
し宿泊施設としての再生利用を図る。
* スローライフのキーワードは、「生産・生活体験」、「待つことをいとわない」、「自然・地球環境の重視」、
「文化・伝統の理解」
③ ドクターズレストランの創設
健康づくりプログラムの導入により以下のサービスを実施する。
・個々人の健康状態、体調、嗜好などに応じたメニューの提供を行い、健康情報の数値や制限を気
にせずに食べたいものの注文が可能。
・すべての食事の履歴は保存され、健康情報とリンクすることで、過去に摂取した食事と健康状態
を時系列分析することができ、よりきめ細かな健康増進アドバイスを受けることが可能となる。
・科学的根拠に基づく安心で安全な食材、料理の提供を行う。
・個人の嗜好、健康状態、生活パターンに対応した選択が可能で、家族やパーティー等、多人数の
場合の選択にも対応する。
④ 産地アンテナショップの設置
道の駅、サービスエリア、ターミナル駅はもとより、IT利活用によるインターネット上にお
ける上越産地アンテナショップを設置し、健康タウン上越の安心・安全な産品を全国並びに海外
に向けて販売する。
60
・アンテナショップ活用により上越市の知名度の向上を図る
・情報発信による波及効果を促進し、販売収益の増大、生産量の拡大を図る
⑤ 高付加価値型居住施設の配備
・生活習慣の改善やリハビリを上越で過ごし、健康の回復や増進を図る
・主として経済的にゆとりのある層に向けた居住態様及びサービスの提供
・介護を必要としない者や介護が必要な高齢者も対象とする
・住居をはじめ医療から食事の提供、身体活動の指導までを行う
⑥ 観光型健康増進の実施
食と健康が、上越の観光資源とリンクした「バカンス型」滞在を実施
・上越市の中心市街地や名所旧跡等の既存の回遊ルートに加えて、新しい回遊ルートもつくり、歩
行・運動による健康づくりを行う。これには上杉謙信、直江兼続、親鸞聖人といった歴史上、上
越市にゆかりの深い偉人達に関するツアーの実施及び、教育機関等によるセミナー開催等を行い、
心身ともに健康増進の向上に寄与する。
・上越教育大学等、教育機関の協力による食・健康・医療関連教養講座等を実施
・中心市街地の核となる施設内に大学のサテライト設置を想定し、以下の取組を行う。
(1)食・健康・医療に関する知識・技術体得、資格取得、実体験等
(2)来訪者が誰でも受講できるセミナー等の開講など、上越市を舞台に日本の歴史や文化を学べる
講座等を配備
(3)学校教員向けの食育に関する教育を図り、先生方が上越の食の良さを学び広める
(4)食育修学旅行、生産実体験、食品加工流通知識、工場見学の実施
(5)人材育成・資格取得を奨励し、健康食マイスター、健康食料理人、健康食ソムリエ等を創出す
る
・中心市街地の核となる施設内に、生涯学習センターを設置し、以下の取組を行う。
(1)PCを30台程度設置し、住民や来訪者等、誰でも無料で利用することが出来る環境を提供す
る(制限時間:上限を1,2時間に設定、混雑状況により継続利用が出来る)
(2)PCと同様にマガジン閲覧コーナーを併設し、新しい雑誌による情報収集ができるようにする。
(3)サロン的な利用や、会議室的な利用ができるスペースを提供し、滞留しやすい場所を設けるこ
とで、上越に訪れる人々が気軽に滞留できる場所を確保する。
61
図表4−9
有望なビジネス
62
第5章
実施すべき事業の提言
63
第5章
実施すべき事業の提言
5−1.実施すべき事業のキーポイント
上越市のまちづくりと地域活性化を促進するために、平成20年度に実施すべき事業のキーポイントを
整理する(図表5−1参照)。最初に、上越市が持つ地域資源を、最大限に生かした継続的な取組でなけれ
ばならないことが挙げられる。
そして、食・健康・観光という3つのキーワードを基に、来訪者が上越市を訪れた際に、楽しく、おい
しく、継続的な健康づくりへの仕組みが整っていることが重要である。それには、医学的根拠や各自の健
康情報に基づいた科学的処方の実践ができる環境整備がなされている必要がある。これらはITの利活用
によって整合され、サービスとして具現化できるものである。
また、ITの利活用により、産地と消費者が直接結びつく食・健康マーケットを提供することで、来
訪者の増大を図ることが有効である。更に、上越の郷土料理等を医学的に分析して全国に情報発信し、
上越は健康タウンであるというイメージ付けを行い且つ定着させる。以上のように、上越の地域資源と
IT利活用によって
食・健康・観光
連携による地域活性化を行うことが肝要である。
キーポイント
・上越の地域資源を最大限に生かした継続的な取組
・楽しく、おいしく、継続的な健康づくりへの仕組み
・医学的根拠、各自の健康情報に基づく科学的処方の実践
・産地と消費者が直接結びつく食・健康マーケットの提供
・上越の郷土料理を医学的に分析して全国に情報発信
・ 食・健康・観光
連携による地域活性化
図表5−1
実施すべき事業のキーポイント
64
5−2.ITを利活用した「食・健康・観光ビジネス」の構築(図表 5-2 参照)
ITを利活用した「食・健康・観光ビジネス」の構築を図るために、まず「食」における生産から消費
までの体系を考察する。これには一次産品として、新鮮な食材や安心できる食材の生産が不可欠である。
そのために、企業型農林水産業として生産状況等の管理により安全性・信頼性を高める必要がある。また、
生産された一次産品は、加工食品として加工を行うものと、そのまま食品として販売するものの2つに大
別される。加工するものに関しては、健康食工場として食品加工、総菜製造等を行い、通常の食品として
販売するものに関しては、スーパーや道の駅等をはじめ、新しいコンセプトの売場を設定する。このよう
にして生産された食事を、住民をはじめ来訪者や全国の消費者が、手軽に摂取できるようにする必要があ
る。
そのためには、一次産品の生産者である農協漁協はもとより、病院や診療所などの医療機関、教育機関、
上越市に点在する観光資源や流通システムを、IT利活用によってネットワーク化(以下、新産業推進ネ
ットワーク)することが本ビジネスの基盤となる。新産業推進ネットワークは、受発注システム機能を配
備した情報ネットワークとし、食品情報、健康情報、産地情報、観光情報等の発信を行う。
【一次産品】
新鮮食材、安心食材
<企業型農林水産業>
【加工】
食品加工、惣菜製造
<健康食工場>
【食品】
スーパー、道の駅等
<新コンセプトの売場>
【食事】
料理、調理、ケータリング
<自宅で、レストランで>
住民、消費者、来
訪者、全国
医療機関
流通・観光
教育機関
農協漁協
観光情報DB
産地情報DB
新産業推進ネットワーク
情報・ネットワーク
健康情報DB
食品情報DB
受発注システム
図表5−2
ビジネス構築の概念図
65
5−3.平成20年度以降のアクションプラン
第4章で提示した6つの事業である「食事・食材提供サービスの実施」、「滞在型健康増進サービスの実
施」、「ドクターズレストランの創設」、「産地アンテナショップの設置」、「高付加価値型居住施設の配備」、
「観光型健康増進サービスの実施」の中から、具体的なアクションプランを選び、その具体化に必要な費
用の捻出方法として平成20年度の国の新規施策である「地方の元気再生事業」を受託し、社会実験やシ
ンポジウム、イベント等、上越市のPRを兼ねた調査研究を実施する。
アクションプランの提示については、上越市を全国に向けて効果的にPRするのに適したものであるこ
とを前提に、比較的取り組み易く、且つコストを抑えられると思われるものから抽出した。そして、上越
市民並びに観光客を対象とした「上越の食による健康づくり」及び「上越の観光資源による上越学体験」
という2つのテーマを掲げてアクションプランを提示する。(図表 5-3 参照)
第4章で提示した6つの事業
アクションプランの2つのテーマ
「食事・食材提供サービスの実施」
「滞在型健康増進サービスの実施」
「ドクターズレストランの創設」
→
「上越の食による健康づくり」
→
「上越の観光資源による上越学体験」
「産地アンテナショップの設置」
「高付加価値型居住施設の配備」
「観光型健康増進サービスの実施」
図表5−3
アクションプランの2つのテーマ
アクションプランに揚げた2つのテーマのうち、「上越の食による健康づくり」は、「食事・食材提供サ
ービス」、「滞在型健康増進サービス」等の各サービスの実施、及び「ドクターズレストランの創設」に関
して軸となる
健康づくりシステムを基盤とするプログラムの実証実験 、 健康情報のデータベース化の
実証実験 、 滞在型メタボ改善ツーリズムの社会実験
提供及び試食会の開催
及び
健康状態、体調、嗜好等に合わせた食事の
といった実証実験や社会実験を行う。
また、「上越の観光資源による上越学体験」では、「産地アンテナショップ」、「高付加価値型居住施設」、
「観光型健康増進サービス」に関する
大学、教育機関等の協力による食・健康・観光関連セミナーの開
催 、 歴史上の人物の足跡を辿る健康増進ツアーの開催 、 平成21年放送NHKドラマ天地人関連イベ
ントの開催
といったセミナー、体験学習型観光ツアー、イベント及び上越の特産物や加工品等の展示即
売会等を行う。
更に、アクションプランに関する情報を全国に情報発信し、将来においてはビジネスの推進並びに情報
の一元管理を行うIT利活用の活動拠点が必要である。そのため、IT利活用の活動拠点として(仮称)
ビジターセンターの構築を併せて推進する。(図表 5-4,5 参照)
66
〔アクションプラン〕
①「上越の食による健康づくり」
・健康づくりシステムを基盤とするプログラムの実証実験
・健康情報のデータベース化の実証実験
・滞在型メタボ改善ツーリズムの社会実験
・健康状態、体調、嗜好等に合わせた食事の提供及び試食会の開催
②「上越の観光資源による上越学体験」
・大学、教育機関等の協力による食・健康・観光関連セミナーの開催
・歴史上の人物の足跡を辿る健康増進ツアーの開催
・平成21年放送NHKドラマ天地人関連イベントの開催
③「IT利活用の活動拠点」
・(仮称)ビジターセンターの構築
図表5−4
図表5−5
アクションプラン
アクションプラン
67
5−4.IT利活用の活動拠点(図表 5-6,7 参照)
前項5−3.に記載したアクションプランのうち、③IT利活用の活動拠点について検証するため、第3
章で活動の拠点と位置付けた高田地区の状況を判定する。高田地区には高田地区中心市街地活性化協議会が
あり、市、商工会議所、地元まちづくり会社が一体となって、中心市街地活性化基本計画策定のための協議
を行っている。高田駅からほど近く、小売店舗の集積である五番街商店街の起点に位置する「旧高田共同ビ
ル」には、高田地区の中心市街地活性化の核となる施設の再開発計画がある。
これは、商業施設、公共施設、住宅等を備えた高層の複合施設として再開発を行う予定のものである。そ
こで、IT利活用の活動拠点の候補地として、当該施設が考えられる。当該施設に(仮称)ビジターセンタ
ーを設置し、ビジネスの推進並びに情報の一元管理を行うことが理想的である。
本調査結果に基づき、再開発ビルに必要と考えられる施設及び機能等を考察すると、以下の通りとなる。
・住居部分:食事や料理の提供、健康関連や介護福祉のサービスを受けられる高付加価値型の宿泊・居住施
設の設置。
・教育的機能:教育、研究・実習、実地研修等を行う大学サテライトの設置。
・公共的機能
①「ITの駅」
上越の街のコンシェルジュとして観光案内サービス、マーケッティング、プロモーションを行う。
②「シビックコア的機能」
文化施設を含む広域行政サービス及びワンストップ機能(分散しているサービスを集約する)を持つ行
政サービス拠点の設置。
③ 実体験の空間
地域の食、運動、フィットネス、健康診断、検査、測定が可能
④ 健康食を提供する機能
コミュニティレストラン、食材・レトルト物販、健康食ケータリング等
高付加価値型居住施設
・食事、料理提供
・健康関連サービス
・介護福祉サービス
高田駅
卍
卍
卍
駅
広
P
P
P
上越市本町付近
徒歩圏エリア
大学サテライト
・教育
・研究・実習
・実地研修
ITの駅(街コンシェルジェ)
・観光案内サービス
・マーケッティング
・プロモーション
実体験空間
・地域の食
・運動、フィットネス
・健康診断、検査、測定
健康食提供
・コミュニティレストラン
・食材、レトルト物販
・健康食ケータリング
行政サービス拠点:合併後20万都市の中心
・シビックコア的機能(文化施設を含む)
・広域行政サービス
・ワンストップ:分散しているサービスを集約
図表5−6
IT利活用の活動拠点
68
IT活用の活動拠点
・ビジターセンター
・情報の一元管理
図表5−7
活動拠点の候補地位置図
69
資
料
70
1.上越新産業創造推進委員会メンバー
所 属
職 名
氏 名
上越商工会議所
専務理事
染谷 浩
上越商工会議所
主事
大瀧 伸一
上越商工会議所(青年部)
会長
新井 康祐
地域開発
委員長
観光開発
委員長
上越商工会議所(青年部)
上越商工会議所(青年部)
大嶋 浩文
德道 茂
上越教育大学
副学長
戸北
凱惟
上越教育大学
教授
朝倉
啓爾
えちご上越農業協同組合
代表理事
専務理事
市橋 定吉
えちご上越農業協同組合
課長・審理役
小柳 孝典
えちご上越農業協同組合
総務部・企画課
山口
崇
-
齊京
貴子
上越地域活性化機構
専務理事
事務局長
曽田
耕一
上越地域活性化機構
理事
宮下
寿幸
食の工房ネットワーク
株式会社丸互
代表取締役
前川 秀樹
株式会社武蔵野酒造
代表取締役
小林 元
イーク丸の内
院長
仲 眞美子
イーク丸の内
事務長
中島
東京ガス株式会社
副部長
池田 日本電気株式会社
主任
相崎 博美
部長代理
紺野 篤志
株式会社UG都市建築
取締役
研究理事長
中村 理
株式会社UG都市建築
主席研究員
山田三千勝
株式会社UG都市建築
研究員
佐々木享子
株式会社日立製作所
久典
勉
総合調整・事務局
オブザーバー
上越市企画政策課
課長
高橋
一之
財団法人ニューメディア開発協会
理事長
岡部
武尚
財団法人ニューメディア開発協会
企画グループ長
大塚
登司
財団法人ニューメディア開発協会
部長
高橋
昌士
財団法人ニューメディア開発協会
課長
座間
弘子
71
2.調査の検討経緯
日時
場所
適用
平成 19 年 11 月 16 日
ハイマート
第1回委員会
平成 19 年 12 月 11 日
上越市市民プラザ
第2回委員会
平成 20 年 1 月 24 日
上越市市民プラザ
第3回委員会
最終報告書案の審議
平成 20 年 2 月 19 日
上越商工会議所
コアメンバー会議
最終報告書まとめ方
針の検討
平成19 年8 月∼平成20
年2 月末迄の間適時開催
上越市関係各課、
及び各委員先
WG個別ヒアリング
上越市の現状等およ
び報告書案の検討
WEB
WEBアンケート
インターネットによ
る全国の意識調査。
(320名回答)
平成 19 年 12 月 19 日∼
平成 20 年 2 月 20 日
概要
本委員会の目的及び
調査概要、上越市の現
状等について議論
中間報告、今後の進め
方検討
3.新潟県全図
(出典:新潟県万能地図)
72
4.上越市位置図
(出典:上越市役所資料)
5.町村合併の経緯
・1911 年、中頸城郡高田町が市制施行し高田市となる
・1954 年、中頸城郡直江津町が有田村・八千浦村・保倉村、諏訪村の一部を編入・市制施行し直江津市とな
る
・1971 年、高田市と直江津市が合併して、上越市(∼平成 16 年)が成立する
・2005 年(平成 17)1 月 1 日、上越市と、近隣 13 の町村(安塚町、浦川原村、大島村、牧村、柿崎町、大
潟町、頸城村、吉川町、中郷村、板倉町、清里村、三和村、名立町)が合併し、21 万都市となる新しい上
越市が誕生
6.土地利用の状況
■土地利用の状況
区分
■土地利用構成比
面積(ha)
田
17,728
畑
2,805
宅地
4,437
池沼
53
山林
22,114
原野
4,510
雑種地
1,145
その他
5
総面積
52,797
原野
9%
雑種地
2% その他
0%
田
34%
山林
42%
畑
5%
宅地
池沼
8%
0%
(資産税課)
73
7.人口と世帯数
■年齢別人口比率
70.0%
0∼14 歳
15∼64 歳
65 歳以上
60.0%
50.0%
昭和 60 年
21.9%
66.2%
11.9%
40.0%
昭和60年
平成 7 年
16.8%
66.3%
16.9%
30.0%
平成7年
平成 17 年
14.4%
60.8%
24.2%
平成17年
20.0%
10.0%
※平成 12 年までは、「合併前の上越市」の数値
0.0%
(国勢調査)
0∼14歳
15∼64歳
65歳以上
8.産業
■農業経営の概況
農家数(戸)
農家人口
販売農家数
総数
専業
第一種兼業
第二種兼業
自給的農家
(人)
平成 2 年
4,749
279
490
3,260
720
21978
平成 7 年
4,151
260
480
2,761
650
18813
平成 12 年
3,600
272
230
2,522
576
16317
平成 17 年
10,574
1,173
791
6,093
2,517
33889
※平成 12 年までは、「合併前の上越市」の数値
(農林業センサス)
■農家戸数と農家人口の推移
■農業経営種別割合
40,000
35,000
専業農
家
11%
33889
30,000
25,000
自給的
農家
24%
21978
20,000
18813
15,000
16317
第一種
兼業農
家
7%
10,574
10,000
5,000
4,749
4,151
第二種
兼業農
家
58%
3,600
0
平成 2年
平成 7年
農家数(戸)
平成12年
平成17年
農家人口(人)
■保有山林面積規模別林家数
計
平成 17 年
3,215
単位:戸
1∼
3∼
5∼
10∼
20∼
30∼
50∼
3ha
5ha
10ha
20ha
30ha
50ha
100ha
100∼500ha
240
88
16
11
1
2
2,321
536
(農林業センサス)
74
■林野面積
■林野面積の比率
単位:ha
平成 17 年
総面積
54,672
国有林
4,606
公有林
3,589
私有林
46,477
人工林
35,044
天然林
35,609
国有林
8%
公有林
7%
私有林
85%
(農林業センサス)
■漁業経営体の基本構成
漁船
経 営
体 数
最盛期の海上作業従事者数
無動力船
船外機付船
動力船
(隻)
(隻)
(隻)
計
家 族
雇用者
昭和 53 年
80
2
43
37
113
110
3
昭和 58 年
60
-
32
36
97
88
9
昭和 63 年
58
4
28
36
84
70
14
平成 5 年
58
-
31
30
104
76
28
平成 10 年
53
-
29
25
78
59
19
平成 15 年
40
-
8
33
53
50
3
118
-
69
58
220
160
60
※
※「合併前の上越市」の数値。また、「※」は現在の市域に合わせたもの。
(漁業センサス)
■海上従事者規模別経営体数
総 数
1人
2人
3・4 人 5∼9 人
10 人以
一経営体
上
平均
昭和 53 年
80
49
29
2
-
-
1.4
昭和 58 年
60
33
19
8
-
-
1.6
昭和 63 年
58
36
18
4
-
-
1.5
平成 5 年
58
40
8
4
6
-
1.8
平成 10 年
53
39
10
2
2
-
1.5
平成 15 年
40
28
11
1
-
-
1.3
118
70
24
21
2
1
※
※「合併前の上越市」の数値。また、「※」は現在の市域に合わせたもの。
(漁業センサス)
75
■経営体数と最盛期の海上作業従事者数の推移
250
220
200
経営体数
150
118
113
100
104
97
84
80
60
50
最盛期の
海上作業
従事者数
78
58
58
53
53
40
0
昭和53年 昭和58年 昭和63年 平成 5年 平成10年 平成15年
※
9.商工業
■工業の概況
事業所数
従業者数(人)
(か所)
製造品出荷額(万円)
1 事業所当たり
1 事業所当たり
平成 13 年
456
8,903
19.5
18,775,628
41,174.6
平成 15 年
263
7,986
30.4
20,294,550
77,165.6
平成 17 年
473
16,961
35.9
48,104,250
101,700.3
※平成 15 年までは、「合併前の上越市」の数値
(工業統計)
■商業の概況
商店数
従業者数(人)
(店)
年間商品販売額(百万円)
1 事業所当たり
1 事業所当たり
平成 6 年
2,651
15,627
5.9
574,541
216.7
平成 11 年
2,520
16,257
6.5
529,944
210.3
平成 16 年
2,196
14,342
6.5
393,977
179.4
※
3,076
17,707
5.8
447,568
145.5
※「合併前の上越市」の数値。また、「※」は現在の市域に合わせたもの。
(商業統計)
■平成 16 年度
卸売業・小売業の概況
商店数
従業者数(人)
(店)
年間商品販売額(百万円)
1 事業所当たり
1 事業所当たり
卸 売 業
536
4,523
8.4
224,848
419.5
小 売 業
2,540
13,184
5.2
222,721
87.7
※現在の市域に合わせたもの。
(商業統計)
76
10.直江津地区中心市街地活性化基本計画
・直江津地区では、以下の基本方針を設定している。
①「駅とまちをつなぐ」
駅を中心に歩ける範囲に多様な都市機能があると、自動車に頼ることができない市民によって極
めて便利である。駅を中心とすることで、新幹線開業後の並行在来線の活性化に寄与する。
②「資産をつなぐ」
直江津地区および周辺には、上越水族博物館、イトーヨーカドー、図書館・社会教育館、直江津
駅など、集客性にすぐれ交流の場となりうる施設がある。これらは、直江津全体のまちづくりのな
かで拠点的な施設として位置づけられるものであり、拠点としての向上を図り相互に連携すること
が重要である。
③「時間をつなぐ」
平成26年に新幹線が開業される予定である。この開業までの時間を1つの単位として、その後
の直江津のまちづくりを想定し適切な準備をしておくことが重要である。また、 はくたか が運行
されている間に、広域からの直接来街をもたらす効果を活かしたまちづくりが課題である。
④「さらに広くつなぐ」
海陸交通のまち
の特性を活かし、直江津のまちづくりに活かせる要素を、広域から模索し取り
込んでいくことが課題である。
⑤「知恵と工夫をつなぐ」
今後進められるべき各種のまちづくり事業に対しては、地元の住民や企業、銀行などが主役とな
った創意工夫があり、また、自分たちの主張と負担があることが望ましい。
11.高田地区中心市街地活性化基本計画
・高田地区では、以下の基本方針を設定している。
「歴史と文化が薫り、人が回遊するにぎわいとやさしさのまち」
①「歴史と文化が薫るまち」
「歴史・文化資源」を地域活性化のための「魅力」として位置づける。
②「人が回遊するまち」
高田市街地は、現代のような交通手段がない江戸時代に構築された城下町であることから、本来
的に回遊のための要素はそろっている。
とくに市街地一帯に歴史・文化資源が分布していること、都市全体が江戸時代からの都市骨格を
継承していること、雁木通りという魅力的で快適な回遊ルートを有しているなど、人が回遊するま
ちとしての
大きな潜在能力を持っている。
③「にぎわいのまち」
高田地区住民だけでなく上越市民全体にとって、上越市随一の「都市」としての高田市街地の「に
ぎわい」は、上越市を中心とした上越地域全体が自立した一つの地域として今後持続していくため
に不可欠の課題といえる。
このような考え方にもとづき、
「にぎわいのまち」を上越市における高田市街地の役割として解釈
し、「にぎわい」を復活させるとともに、それを持続していくことをまちづくりの目標とする。
④「やさしさのまち」
高田市街地は、現代社会において失われつつあり、また、一方で新たにその価値が見直されてい
77
る「地域コミュニティのつながり」という「やさしさ」が現在も色濃く見られるまちである。
高田は、私有地を利用した通路である雁木システムに象徴される「相互扶助・お互い様」といっ
た雪国の人々の「やさしさ」が形となって表れているまちである。このように高田のまちは、住む
人と訪れる人を包み込む「やさしさ」を有する懐が深いまちであり、このような性格は、今後も受
け継いでいくべき貴重な地域資源である。
*雁木は、私有地から庇を延長し歩道部分の屋根となる様に配慮した設備で、歩道が雪に埋もれな
いよう協力して確保しようという雪国の生活の知恵である。近年、生活様式の多様化や生活環境
の変化により雁木は減少傾向にあるが、上越市では雁木の保存・活用施策を検討している。
一方で、今後の地域活性化で重要となる観光地を推進していくためには、この「やさしさ」を高
田のまちに訪れる人を迎え入れる「もてなしの心」に一層発展させ、それをまちづくりのハード・
ソフトの両面に一層反映させることも必要である。このような考え方にもとづき、
「やさしさのまち」
を、「住む人と訪れる人にとってやさしさが感じられるまち」と解釈し、「やさしさ」というキーワ
ードを、まちづくりを進める上でのコンセプトの一つとしている。
5つの基本方針
・
コンパクトな地域に多様な施設を集約
・
歩ける範囲で生活圏を形成
・
歴史と文化の活用
・
にぎわいと魅力ある商店街づくり
・
安全で快適な暮らしの創出
78
12.地域ICT利活用モデル構築事業
(出典:総務省報道資料)
13.中心市街地:高田・直江津地区の現状(補足)
*地価公示:高田→本町 5-3-28、直江津→中央 1-9-2
*休日の歩行者・自転車交通量:
高 田→駅前通り、本町 5、雁木通りプラザ前の合計
直江津→中央 1、西本町 3 の合計
*空き店舗数:
高田→本町 3-5 丁目商店街の合計
直江津→駅前、中央商店街の合計
(参考)上越市全体の人口と年間商品販売額
・人口:212,369 人(H11)→208.223 人(H19) (△2%)
・年間商品販売額:5,980 億円(H9)→3,940 億円(H16)
79
(△34.1%)
14.平均寿命の国際比較
(単位:年)
国
アフリカ
(AFRICA)
男
女
(参考)
人口
(万人)
(Japan)
2006*
79.00 85.81
12 615
アルジェリア
(Algeria)
2000
72.5 74.2
3 236
エジプト
(Egypt)
2004*
68.4 72.8
7 122
ナイジェリア
(Nigeria)
2000-2005
52.0 52.2
12 615
南アフリカ
(South Africa)
1996*
52.11 61.60
4 659
チュニジア
(Tunisia)
2005*
71.6 75.5
994
(Canada)
2002*
77.2 82.1
3 197
(Mexico)
2005*
73.0 77.9
10 535
(United States)
2004*
75.2 80.4
29 362
(Argentina)
2000-2001*
70.0 77.5
3 823
(Brazil)
2004*
67.9 75.5
18 159
チリ
(Chile)
2001-2002
74.4 80.4
1 609
ペルー
(Peru)
1995-2000
65.9 70.8
2 755
中国
(China)
2000*
69.63 73.33 129 608
インド
(India)
1998-2002*
61.6 63.3
108 560
インドネシア
(Indonesia)
2002*
64.2 68.1
21 708
イスラエル
(Israel)
2005*
78.3 82.3
681
韓国
(Korea, Republic of) 2005*
75.14 81.89
4 808
マレーシア
(Malaysia)
2005*
71.5 76.2
2 558
シンガポール
(Singapore)
2006*
78.0 81.8
424
タイ
(Thailand)
2002*
69.9 74.9
6 418
オーストリア
(Austria)
2005*
76.65 82.24
ベルギー
(Belgium)
2002
75.1 81.1
1 042
チェコ
(Czech Republic)
2006*
73.45 79.67
1 021
デンマーク
(Denmark)
2005-2006*
75.88 80.43
540
フィンランド
(Finland)
2006*
75.8 82.8
523
フランス
(France)
2005*
76.8 83.8
6 038
ドイツ
(Germany)
2003-2005*
76.21 81.78
8 250
アイスランド
(Iceland)
2006*
79.4 83.0
イタリア
(Italy)
2003*
77.16 82.84
5 818
オランダ
(Netherlands)
2005*
77.2 81.6
1 628
ノルウェー
(Norway)
2006*
78.12 82.66
459
ポーランド
(Poland)
2005*
70.81 79.40
3 818
ロシア
(Russian Federation) 2003
58.8 72.0
14 382
スペイン
(Spain)
2005*
77.4 83.9
4 269
スウェーデン
(Sweden)
2006*
78.50 82.78
899
スイス
(Switzerland)
2005*
78.7 83.9
739
アメリカ合衆国
南アメリカ
アルゼンチン
(SOUTH AMERICA) ブラジル
ヨーロッパ
(EUROPE)
作成基礎期間
日本
北アメリカ
カナダ
(NORTH AMERICA) メキシコ
アジア
(ASIA)
名
80
818
29
オセアニア
(OCEANIA)
イギリス
(United Kingdom)
2003-2005*
76.6 81.0
5 984
オーストラリア
(Australia)
2004*
78.1 83.0
2 011
ニュージーラン
ド
(New Zealand)
2004-2006*
77.9 81.9
406
資料:UN「Demographic Yearbook 2004」,Council of Europe「Recent demographic developments in Europe 2004」
等 *印は平均寿命が当該政府の資料によるもの
注 :人口は 2004 年の年央推計人口である。ただし、日本については平成 18 年 10 月1日現在推計人口である。
ナイジェリアについては 2003 年の年央推計人口である。
15.健康・食・運動
16.健康
課目
現状
健康
食
運動
調査結果
シティ上
・上越市の平均寿命は、全国平均と同年である。
・高齢化率は国と比較して約5%高い。
・死亡原因では、1位がん、2位心疾患、3位脳卒中となっている。人口10万人
対では国と比較していずれも高値である。しかし65歳未満の死亡率は低率であ
ることから高齢者の死亡が多い。また中高年の自殺率も高い。
課題
・介護保険認定者では重傷度を示す3,4,5の要介護者が多く、市民一人当たり
の介護給付費が全国比より約4万円高い。
・重症な要介護者の原因疾患は脳卒中が50%を占めている。また認知症も脳卒中
発症者に多いと思われる。
・国保の医療費では、一人当たりの医療費が平均43万円であり全国の39万円に
比べて4万円高い。ことに一般国保(若年者)が高額である。
市の
施策
・上越市の健康づくり計画が 2000 年に策定され、2010 年までの 10 年間を「健康シ
ティ・上越 2010 年計画」として6項目の柱をすえて活動を行っている。平成 17
年度に中間評価を行い後期計画として①糖尿病の予防②自殺対策の推進③健診受
診者の増加の3つを掲げ生涯にわたる健康づくりを推進している。
現状
健診データの分析から肥満者やメタボリックシンドローム該当者は若年層に多
く、中高年は肥満に起因しない耐糖能異常や血中脂質異常が多い。特に LDL コレ
ステロール値の異常者が多い。この背景は食の過剰摂取が原因と思われる。中で
も魚、肉類、飲酒、果物、等の摂取が多い特徴がある。
課題
・自然豊かな地形から、美味しい食材に恵まれるため、魚、大豆、野菜や果物の摂
取が多く血中コレステロールが高い。
・脂質異常、耐糖能異常から糖尿病、血管病(循環器疾患)へと重症化している。
市の
施策
・健康シティ上越・2010 計画により生活習慣病予防を推進。
健診結果説明から身体メカニズムを重視し市民が健診結果を読み取りながら、個
人の生活習慣予防対策を学習し解決していくことを支援する。
・介護保険認定者の原因疾患は1位脳血管疾患、2位は筋・骨格系の疾患である。
現状 ・筋・骨格系疾患の背景として、50 歳代からの腰痛症、関節症、骨折者の増加があ
る。
・山間地での農作業等での関節や筋肉の損傷
・事務作業等による関節や筋肉の損傷
課題 ・就職後運動習慣が減る
・一般的に筋力は加齢により 25 歳 30 歳を 100%とすると、65 歳では 75%、80 歳では
50%に減少する。
市の
施策
・健康シティ上越・2010 計画により身体活動・運動及び介護予防を推進。
50 歳代からの身体のゆがみと筋力低下防止を支援する。
81
越
ニイマルイチマル
2010
計画
〔生涯現
役宣言
健康寿命
の延伸
質の高い
満足した
生活の実
現〕
期間2000∼2010年度
国の「健康日本21」をうけ、上越市独自の「健康シティ上越・2010計
基本理念
画」を策定。その人らしい生活の質(QOL)の向上を目指し、一人ひとりの
自覚と実践を基本とする生涯を通じた健康づくり計画。
事業の方
向性
健康シティ上越・2010計画は、2000∼2010年度までの10年間、
目標達成に向けた健康増進活動にとりくんでいる。計画の展開・評価について
は、市民と共に推進する。
全体スケ
生活の中での実践(2001年度)→目標・指標の中間評価
ジュール
005年度)→新たな実践→最終評価(2010年度)
計画見直し(2
「健康なまち上越市」実現のため、市民の代表であるワーキング委員会と保健・
取組体制
医療の専門家からなる専門部会、行政からみた健康課題をもとに、6つの分野
にわたって2010年度を目途とした目標達成の指針を示し、健康づくりのた
めの取り組みを進める。
■健康シティ上越・2010計画
●ヘルスプロモーションの推進による一次予防
1「栄養・食生活」
目標
(健康増進6ポイント指針)
∼みんなで楽しく、おいしく、安心できる食生活∼
◎地場の食材でバランスのとれた食事を作り、食べることができる
◎食を通してふれあいを図ることで、生活の質の向上ができる
◎環境に配慮した食生活ができる
2「身体活動・運動」
目標
∼いつまでも、楽しく動ける生活を送りたい∼
◎意識して体を動かす生活がおくれる
◎健康のために、バランスのとれた運動が行える
3「こころの健康」
目標
∼自分らしく、堂々と生きたい∼
◎ゆとりをもって充実した生活ができる
◎出会いときずなで豊かな人生がおくれる
◎ストレスと上手につきあうことができる
4「たばこと健康」
目標
∼きれいな空気を守りたい!目指そう禁煙健康都市∼
◎たばこからこどもを守る:たばこから人・環境を守る
ハチマルニイマル
5「歯と歯ぐきの健康」∼健康な毎日は、健康な歯から8020生涯保ちたい自分の歯!∼
目標
◎日頃の予防で、生涯自分の歯でおいしく食べることができる
6「介護予防」∼寝たきりにならない、なりたくない∼
目標
◎生涯現役
生き活き生活できる
82
●健康シティ上越・2010計画
事業の推進
健康増進6ポイント指針では、日常生活のなかで取り組むべき目標を掲げ、上越市が目指
す指標値を数字で表わす。
① 標準化死亡比、要介護者割合等、上越市民の健康水準の改善
② 主観的健康観の向上
③ 食生活、運動、休養等生活習慣の改善
④ 環境快適度
⑤ 市が提供できる保健サービス料の達成度
●平成17年度中間発表・計画見直し〔これまでの成果〕
・保育園、幼稚園、小中学校で敷地内禁煙実施
・脳卒中死亡率の低下
・数値目標の大多数に改善傾向
●後期の取組〔計画の方向性〕
・糖尿病予防対策の推進
・自殺予防対策の推進
●最終目標
・QOL(質の高い満足した生活)の実現
・健康寿命の延伸
(出典:健康シティ上越・2010計画)
・個人・地域の取組:6分野の実践取組
●食生活を改善して生活習慣 ●こころの健康を回復する
病を予防
●たばこから健康を守る
◎うつ病に関する知識を持つ ◎未成年者の喫煙率ゼロ
◎バランスのとれた食生活
◎ストレス解消法を持つ
◎体重の増加に注意
●歯と歯ぐきの健康を守る
◎多量飲酒に注意
◎日ごろの予防で、生涯自分 ◎家庭や人が集まる場所での禁
●運動を取り入れて、筋力・
の歯でおいしく食べる
◎乳幼児のたばこの誤飲事故ゼ
ロ
煙・分煙の推進
体力づくりと内臓脂肪を減
●介護予防で、生涯現役
らす
◎転倒に注意して骨折を予防
◎日ごろから意識して体を動
◎活動的な生活で認知症を予防
かす
◎生活習慣を見直し脳卒中を予
◎ひとつの運動だけでなく、
防
複数の運動に挑戦
・行政の取組:糖尿病をはじめとした生活習慣病予防等の各種講座を開催。こころの健康相
談をはじめとした各種相談窓口の開設。
(出典:健康シティ上越・2010計画)
83
17.自然環境、歴史、文化などの観光資源及び歴史上の人物等
〔自然環境関連〕
尾神岳
自然を生かしたハイキングコースやキャンプ場、紫陽花園、展望台、ス
ーパースライダーなど、アウトドア派向けの施設が数多くある。
ふるさと村自然
14ha の敷地内に、遊歩道・ロッジ・バンガロー・レストランが整備され、
と憩の森
豪農の館を移築した「ふるさとの家」では、手打ちそばを味わえる。
あさひの里「庄
昔ながらのふる里の暮らしを体験できる「ふるさと体験村」
。農業体験や
屋の家」
民芸品づくり、雪国体験、農作業体験など自然とふるさとに触れられる。
海水浴場
上越市の長い海岸線の各所には、絶好の海水浴場がある。
朝市
高田地区、直江津地区、柿崎区で開かれ、市民の台所をうるおしている。
うみてらす名立
健康交流観、地場物産館のほか、宿泊研修センターの3施設から構成さ
れており、「食べる、遊ぶ、くつろぐ」をテーマに建設された複合施設。
シーサイドパー
シンボルの風車展望台や風力発電用風車が小高い山腹に位置する公園。
ク名立
ビッグボブスレーやローラースライダーなど家族で一日楽しめる。
光ヶ原高原
金谷山
越後田舎体験
雪だるま高原
キューピッド
バレイ
菖蒲高原
標高 1000mの高台にある。遠く佐渡まで見渡せる雄大なパノラマの中、
大自然を満喫できる。ふれあい広場では動物とふれあうことができる。
日本スキーの発祥の地。家族で楽しめるスキー場で、日本スキー発祥記
念館がある。スーパーボブスレーなど大人も子どもも楽しめる憩いの場。
日本の原風景の中、自然と共に生きてきた人の暮らしと文化、農耕の姿
を次の世代へ大切につなげてゆく。感動し、学び、理解と交流を深める。
霊峰菱ヶ岳のふもとに平成 2 年にオープン。夏はアウトドアスポーツ、
冬は本格的スキー場として人気が高い。
日本海や佐渡ヶ島を臨む菖蒲高原。コテージ、オートキャンプ、林間キ
ャンプなどのアウトドアも人気。
県立大潟水と森
潟町砂丘に後背する 5 つの湖沼群のうち最大の朝日池・鵜の池を中心に
公園
整備が進む。朝日池は冬期間に渡り鳥の越冬地として広く知られている。
山本ぶどう園
山本山の山頂近く、上越地域随一の規模を誇るぶどう園。豊富な品種が
栽培されており、妙高連山から日本海まで見渡す眺望も格別。
〔歴史的施設等〕
高田城三重櫓
虫川の大杉(国
指定文化財)
顕聖寺
せんきょうじ
専敬寺
天守閣と石垣は築かれなかったが、越後最大の雄藩にふさわしい三重櫓
がシンボルであり、1993 年史実に基づき復元された。
通称「千年杉」と呼ばれるこの大杉は、1,200 年と推定される樹齢の持
ち主。
1467 年に開山した曹洞宗の寺。閑寂な境内の池には、かつて竜神が棲ん
だという伝説が残る。
親鸞と恵信尼の間に生まれた、小黒女房ゆかりの小黒の地にある真宗の
名刹。総ケヤキの造りで、大きさでは県内でも指折。
84
りょう ご ん じ
楞厳寺
山寺薬師
浄興寺
高田別院
常敬寺
性宗寺
居多ヶ浜(親鸞
聖人上陸の地)
林泉寺
岩屋堂観音堂
宮口古墳群
春日山城跡
天文 3 年に上杉四天王の一人、柿崎和泉守景家が建立した禅寺。景家は、
ここに謙信の師僧・天室光育を招き、柿崎の学問・文化を築きあげた。
東山寺にある恵信尼ゆかりの地。また山岳仏教の拠点。境内には新潟名
水百選の一つ「延命清水」が沸き出ており、三尊像が安置されている。
親鸞聖人が浄土真宗を開いたことに由来する名刹。国指定文化財の本堂
は平成 16 年に大修理を終えた。聖人の頂骨を納めた本廟の彫刻は必見。
真宗大谷派の別院が置かれている。「おたや」と呼ばれる報恩講では多
くの人でにぎわう。
親鸞の孫唯善を開基とする寺で、「赤門さん」の名前で親しまれ、木造
聖徳太子立像が残されている。
親鸞の直弟子信性が開いた寺で、
「和田御坊」ともいわれ、
「聖人配所御
真影」が伝えられている。
配流の身となった聖人が上陸したところ。越後七不思議の一つ「片葉の
葦」や記念堂がある。
上杉謙信が 7 歳で入った学問の寺で茅葺きの惣門は春日山城の裏門を移
築したといわれている。
泰澄大師が創建し、本尊の聖観音像も大師の作と伝えられる。鎌倉時代
には、越後 33 カ所観音霊場の1番札所に定めた。
面積 4.1ha の敷地に約 1300 年前の円墳が 31 基あり、国の史跡に指定さ
れている。資料が隣接する歴史民俗資料館に展示されている。
戦国時代の名将上杉謙信の居城として広く知られ、本丸からは美しい景
観と豊かな史情が味わえる。
上杉謙信がこの地に再興した。平成 9 年に鎌倉様式の純木造建築で再建。
五智国分寺
江戸時代の美しい三重塔は未完ながら県指定文化財。境内に親鸞聖人の
配所竹之内草庵がある。
行基作と伝えられる千手観音、弘法大師の作といわれる不動明王や毘沙
瑞天寺
門天などの仏像があり、樹齢数百年の大イチョウなど歴史の重みを感じ
させる名所。
風巻神社
観音寺
上杉、松平、榊原の各藩主から厚い崇敬を受けた名刹。組長津彦命・組
長戸辺命をはじめとする多くの神を祭神としている。
源義経の一代記『義経記』に登場する「花園の観音堂」跡。義経一行が
追っ手から逃れるため鎧兜を投げ込んだといわれる兜池が残っている。
〔文化的施設等〕
かやぶき美術館
前島記念館
旧師団長官舎
「かやぶき民家」をテーマとした美術館。かやぶき家屋の模型が展示
されている。
「郵便の父」前島密の誕生の地に建てられた、逓信博物館分館前島記
念館。遺品や切手、飛脚、電信、電話の歴史がわかるように展示。
旧陸軍代 13 師団の長岡外史師団長の官舎として明治 43 年に建てられ
たもの。美しい明治木造洋館として平成 5 年に移築、復元された。
85
岩の原葡萄園
明治 23 年、日本のワインぶどうの父と呼ばれる川上善兵衛が創設した
ぶどう園。ワインの試飲や文化財の石蔵見学ができる。
上越市立総合博
高田公園内にある、上越地方唯一の総合博物館。
物館・小林古径記
常設展では各部門展示を行っていて、上越地方の歴史と文化を観覧で
念美術館
きるようになっている。
日本スキー発祥
統治のスキー板、様々なスキー文献、遺族から寄贈された手記など、
記念館
日本にスキー術を伝えたレルヒ少佐に関する資料を多数展示。
ゑしんの里
恵信尼に関する絵像、書状、伝記絵、映像など様々な資料が展示され
記念館
ている。
金津桶店
雁木の母屋である
今井染物屋
空間が広がっている。
小林古径邸
町屋
の中には外観から想像ができない魅力的な
日本画壇に新境地を確立した小林古径は上越市出身。吉田五十八設計
の旧古径邸が高田公園内に移築復元された。
新潟県最大の 650mm の天体望遠鏡を設置。四季の星座や隕石落下のシ
星のふるさと館
ミュレーションが体験できるプラネタリウムもあり、太陽系の生い立
ちや、環境や自然と人間との係わりが学べる。
よしかわ杜氏
昔から伝わる杜氏の枝を大切に伝える。地酒の試飲や製造工程の見学
の郷
などを行っている。
米と酒の謎蔵
坂口記念館
米と酒の歴史や文化をパネルやレプリカ、実物を用いて分かりやすく
紹介している米と酒の不思議な魅力に出会える博物館。
「酒の博士」として知られる故坂口謹一郎博士の功績を顕彰するとと
もに、頸城杜氏の酒造り文化を伝え残すための施設だ。
上越市埋蔵文化
広い収蔵庫・展示室を持つ。また学習室には本が揃えられており、子
センター
どもから大人まで楽しく学べる生涯学習の広場となっている。
上越科学館
展示室を中心とし、工作・実験のほか、資料を利用した学習ができる。
また、エントランスロビーでは催しが開催される。
〔公共的施設〕
宿泊施設
スポーツ施設
くわどり湯ったり村
川上笑学館
オールシーズンプール
安塚雪だるま高原
牧湯の里深山荘
体育施設
久比岐野
柿崎マリンホテルハマナス
プール
田舎屋
ゑしんの里やすらぎ荘
上越市BMX場(金谷山公園内)
六夜山荘
フォークハウス湖畔
直江津海岸ビーチバレーコート
月影の郷
山荘京ヶ岳
大潟健康スポーツプラザ
鵜の浜人魚館
86
健康・衛生施設
子ども関連・子育て支援施設
行政機関
休日・夜間診療所
こどもセンター
ガス水道局
休日歯科診療センター
こどもの家
下水道センター
上越地域医療センター病院
児童館
環境情報センター
診療所・歯科診療所
こども文庫
消防署
保健センター
ファミリーヘルプ保育園
斎場
病後児保育室
雇用相談施設
クリーンセンター
放課後児童クラブ
上越パートサテライト
汚泥リサイクルパーク
通級指導教室(言語、難聴)
内職あっせんセンター
養護所
シルバー人材センター
若竹寮
子育てひろば
若者しごと館
福祉施設
総合福祉センター
安塚やすらぎ荘
浦川原高齢者生活福祉センター
春日山荘
安塚かたくりの家
清里高齢者生活福祉センター
くるみ家族園
安塚ほのぼの荘
軽費老人ホーム
シニアセンター
安塚ふれあいセンター
シニアサポートセンター
市民いこいの家
山海荘
デイホーム
フラワーセンター
牧高齢者福祉センター
ハウス道芝
老人憩の家
かきざき福祉センター
ポプラの家
老人趣味の家
大潟ふれあいセンター
みやじまの里清心荘
ケアハウス上越
くびきの里
清里開発総合センター
五智養護老人ホーム
くびきふれあいセンター
ほほ笑みよしかわの里
千寿園
地域包括支援センター
集会・研修施設
市民プラザ
白山会館
大池いこいの森ビジターセンター
教育プラザ
はまぐみ公民館八千浦分館
吉川地区公民館
上越市立公民館
ラーバンセンター
板倉農村環境改善センタ-
カルチャーセンター
ワークパル上越
きよさと会館
上越市八千浦交流館
高田駅前コミュニティルーム
三和地区公民館
芙蓉荘
町家交流館高田小町
名立地区公民館
市民活動室
雪のまちみらい館
雁木通りプラザ
高陽会館
浦川原地区公民館
上越観光物産センター
女性サポートセンター
大島多目的ホールふれあい館
勤労青少年ホーム
セミナーハウス
大島就業改善センタ-
厚生南会館
地域趣味の家
牧就業改善センタ-
社会教育館
ファームセンター
柿崎地区公民館
女性ネットワーキング・ルーム
87
ボランティアホール
大潟地区公民館
レインボーセンター
希望館
男女共同参画推進センター
〔歴史上の人物〕
◆直江兼続
平成 21 年
NHK大河ドラマ「天地人」放送決定
戦国時代から江戸時代前期にかけての武将。上杉氏の家老。父は長尾政景に仕えた樋口兼豊(木曽義仲の
重臣樋口兼光の末裔という)、母は信州泉氏の娘(直江景綱の妹説もある)。
主君である上杉景勝を上杉謙信死後から補佐し、豊臣秀吉から山城守・山形 30 万石の贈与などの引き抜き
行為を幾度も断るなど、忠義に厚い名将として知られている。 南化和尚、西笑承兌などと親交があり文化人
としても知られており蔵書家で有名であった。兼続蔵書である宋版『史記』『漢書』『後漢書』は南化和尚か
(直江版)の出
ら贈られた物でありいずれも国宝に指定されている。また日本初の銅活字といわれる『文選』
版や米沢藩の学問所である禅林寺を創立している。
「愛」は「愛染明王」又は「愛宕権現」からの由来
「愛」という字を前立にあしらった兜をかぶっていた。
といわれている。そのときの兜が米沢市上杉博物館や米沢市の上杉神社に保管されている。
◆上杉謙信
戦国時代における越後の大名。
上杉氏の下で越後の守護代を務めた長尾氏に四男として生まれる。主君であった上杉定実の正妻の甥にあ
たる。兄である晴景の養子となって長尾氏の家督を継いだ。のちに関東管領上杉憲政から上杉氏の家督を譲
られ、上杉政虎と名を変え、上杉氏が世襲する関東管領に任命される。後に将軍足利義輝より偏諱を受けて
最終的には上杉輝虎と名乗った。周辺の武田信玄、北条氏康、織田信長らと合戦を繰り広げた。後世、越後
の虎とも越後の龍とも呼ばれる。生まれつきのカリスマ性を持ち、兄から呼びもどされて元服すると長尾家
家臣だけでなく、豪族達の心もつかんだとされている。
自らを毘沙門天の化身と称したり天罰と信じて戦を行なう、短気であるなど、エキセントリックで苛烈な
一面がある一方で、よく涙を流す、戦国大名らしからぬほど非常に繊細な面もあったようである。
戦略家・戦術家としてだけではなく、和歌に通じ、達筆でもあり、近衛稙家から和歌の奥義を伝授される
など、公家との交流も深い文化人でもあった。特に源氏物語を始めとする恋愛物を好んで読んでおり、上洛
した際に開催した歌会でも見事な雅歌(恋歌)を読み、参加者全員を驚かせたと言う。琵琶を奏でる趣味も
あった。 一般には「戦上手の内政下手」という印象があるが、実際には領内の物産流通の精密な統制管理を
行い莫大な利益を上げていた。謙信が死去した時、春日山城には 2 万 7140 両の蓄えがあったという。合戦で
は情報を得ることを重視し、軒猿(担猿)という忍者集団を擁していたと言われている。
朝廷(天皇)や幕府(将軍)を尊重し自分の野心で動かない武将でもあった。 軍事に関しては、越後の龍
や軍神と後世で評されており、卓越したものがあった。謙信は天才型で、迅速な用兵と駆け引きの的確さか
ら生涯殆どの戦で勝利をおさめた、といった美化されたイメージも存在する。
上杉軍は敵と敵のぶつかりあい、直接戦闘では圧倒的な強さを誇っていた。 政治面に関しては綿密に計画
された金山運営で大きな利益をあげることに成功しており、また日本海側の海上交易の要衝としての利益も
大きかった。 謙信の義理堅さ、約束事に対する姿勢は大変有名であった。
◆親鸞 聖人
親鸞聖人は、鎌倉時代初期の日本の僧。浄土真宗の開祖とされる。没後に皇室から見真大師(けんしんだ
いし)(明治天皇、1876 年)の諡号を追贈されている。親鸞は、法然(浄土宗開祖)を師と仰いでからの生
88
涯に渡り、
「真の宗教である浄土宗の教え」を継承し、さらに高めて行く事に力を注いだ。独自の寺院を持つ
事はせず、各地につつましい念仏道場を設けて教化する形であった。
出家後は叡山(比叡山延暦寺)に登り、慈円が検校(けんぎょう)を勤める横川(よかわ)の首楞厳院(し
ゅりょうごんいん)の常行堂において、天台宗の堂僧として不断念仏(ふだんねんぶつ)の修行をしたとさ
れる。比叡山において 20 年に渡り厳しい修行を積むが、自力修行の限界を感じるようになる。法然の「専修
念仏」の教えに触れ、入門を決意する。これを機に法然より、
「綽空(しゃっくう)」の名を与えられる(「綽」
は、中国の道綽禅師より、「空」は源空〈法然〉上人より)
。親鸞は研鑽を積み、しだいに法然に高く評価さ
れるようになる。
建永 2 年(1207 年)2 月、興福寺の訴えにより、専修念仏の停止と、遵西など 4 名を死罪、法然・親鸞ら
8 名が流罪となった(承元の法難)。この時、法然・親鸞は僧籍を剥奪される。建暦元年(1211 年)11 月、
法然とともに罪を赦された。法然は翌年の 1 月 25 日に、京都で 80 歳をもって示寂、親鸞は二度と師・法然に
会う事は出来なかった。その事もあり親鸞は、京都に帰らず越後にとどまった。
「大山の草庵(茨城県城里町)
」、
「小島の草庵(茨城県下妻市小島)」を開く。稲田郷(茨
建保 4 年(1216 年)、
城県笠間市稲田)には「稲田の草庵」を開き、ここを拠点に今後 20 年間精力的な布教活動を行う。稲田の草
庵を由緒とする寺院には、浄興寺(現在は、新潟県上越市に移転)、西念寺(茨城県笠間市笠間)などがある。
62、3 歳の頃、鎌倉幕府が念仏者取締令を出した為帰京する。帰京後は恵信尼と共に暮らし、著作活動に励
むようになる。建長 6 年(1254 年)恵信尼は、親鸞の身の回りの世話を末娘の覚信尼に任せ、故郷の越後に
帰ったといわれる。帰郷の理由は、親族の世話や生家である三善家の土地の管理などであったとされる。
18.鉄道旅客の輸送状況(乗車人員)
脇野田駅
高田駅
直江津駅
総 数
1日平均
総 数
1日平均
総 数
1日平均
(人)
(人)
(人)
(人)
(人)
(人)
平成 13 年
53,300
146
1,096,500
3,004
1,054,900
2,890
平成 14 年
50,000
137
1,036,200
2,839
1,037,000
2,841
平成 15 年
47,900
131
993,700
2,715
1,047,100
2,861
平成 16 年
47,100
129
940,200
2,576
1,006,700
2,758
平成 17 年
49,300
135
916,900
2,512
1,004,800
2,753
(JR 東日本旅客鉄道㈱新潟支社総務部企画室)
89
19.新幹線新駅に関連する開発計画
面積
計画期間
目標
376ha
平成19年度∼平成23年度
上越の新しい玄関口にふさわしい魅力的な都市づくり
市街地環境を改善し、誰もがいきいきと働き、暮らせる拠点を形成し、土地利
用の効率化、乗換円滑化を実施し、交通結節機能を高め、駅を中心に様々な人
との出会い、触れあいの拠点を形成する。
新駅周辺の都市基盤の整備:市の新たな顔づくりに向け、新駅を中心に土地区
画整備事業、信越本線の移設、駅前広場、駅舎・自由通路の整備などを一体的
に行う必要がある。
魅力的な都市機能の誘導:駅周辺では賑わいのある魅力的なまちづくりを行う
ため、交通結節機能を強化しながら、商業・業務機能、情報交流機能等、多様
な都市機能等を誘導する必要がある。
課題
新駅周辺整備効果の周辺への波及:新駅周辺整備の整備効果を周辺地域へも広
く波及させるため、新駅へのアクセス道路など必要な都市基盤等の整備を推進
していく必要がある。
遺跡の保全と活用:釜蓋遺跡を保全するとともに、周辺に点在する他の遺跡と
の連携なども考慮しながら、まちづくりに積極的に活用していく必要がある。
将来
ビジョン
(中長
期)
自然と新産業・学術拠点が調和したまち
また、地域づくりの方向として、「①上越高田ICと新幹線新駅を核とした、
豊かな自然に囲まれた本市のゲートウェイの一つの形成」
、
「②背後に控える山
並みや広大な田園などの自然と調和したまちづくり」の2つを設定している。
駅 周 辺 の 都 市 「新幹線新駅地区土地区画整理事業」を中心に、新駅周辺の
基盤の整備
道路、下水道等の都市基盤の整備を図る。
交 通 結 節 機 能 北陸新幹線の建設にあわせて、信越線を移設し、一体駅とし
の強化
て整備を行い、交通結節機能を強化する。
計画区域
の
整備方針
釜蓋遺跡を遺跡公園として保全(整備)するとともに、周辺
釜 蓋 遺 跡 の 保 の吹上遺跡、斐太遺跡などとの連携に配慮しながら、遺跡文
化に対する理解を深めてもらうためのシンポジウムを開催
全と活用
する。
住民参加を積極的に推進し、地区計画、建築協定、景観協定
住 民 参 加 に よ などのまちづくりに関するルールづくりを行う。
る ま ち づ く り 多くの人に駅周辺のまちづくりに関心をもってもらうとと
もに、住民参加のまちづくりを促進するため、駅周辺のまち
の推進
づくりのPRを行う。
90
新駅断面図
新駅周辺計画図
91
・新幹線新駅開通後に周辺の市街地が発展した事例
〔新横浜駅〕
新横浜駅(しんよこはまえき)は、東海旅客鉄道(JR 東海)
・東日本旅客鉄道(JR 東日本)
・横浜市交
通局(横浜市営地下鉄)の駅である。徒歩 5 分程度のところに、大規模催事場である横浜アリーナがあ
る。また、2002 年 FIFA ワールドカップ会場の一つだった横浜国際総合競技場(現日産スタジアム)への
乗降駅でもあるが、隣の小机駅の方が至近である。現在、駅ビル新横浜中央ビル建設が進められている。
地上 19 階・地下 4 階建てで、2008 年に完成予定である。ホテルアソシア新横浜をはじめ、高島屋やビッ
クカメラなどが入居する予定。
1985 年 3 月 14 日には市営地下鉄が延伸開業し、さらに、 横浜アリーナや、新横浜プリンスホテル・
ペペの開業、2002 FIFA ワールドカップの決勝戦が横浜国際総合競技場で行われたことにより、知名度は
大きく上がり、イベントとビジネスの街として成長している。1994年頃までのビル建設ラッシュ後、
しばらく新たなビル建設は停滞し、1995年頃からは替わりに人口が急増を始めた。これは1997
年に土地利用に関する規制が緩和されてファミリーマンションが乱立しはじめたためである。
〔新大阪駅〕
新幹線の駅が大阪駅に併設されなかったのは、大阪駅(梅田地区)付近が阪急梅田駅や梅田貨物駅な
どの既存施設で埋め尽くされて再開発の余地が殆ど無かったことや、山陽方面への延伸が見込まれてお
り、在来線(東海道本線)のように淀川を二度も渡る曲線経路を避けたためである。
大阪市の北の中心地である梅田(キタ)へは約 3km の距離にあり、そこにある大阪駅までは在来線(東
海道本線 JR 京都線)で 1 駅、梅田駅までは地下鉄御堂筋線で 3 駅である。電車の本数も多く交通アクセ
スが良い。駅周辺はマンション・オフィスビル・ビジネスホテルなどが立ち並ぶビル街である。梅田の
市街地を抱える大阪駅ほどではないが、毎日多くの人で賑わっている。ただし百貨店・映画館などはな
く娯楽・商業施設は乏しい。
大阪都心はもちろん、国内各地(特に首都圏)への利便性が高く、また、その割には安価なオフィス
家賃水準のため、自然的にベンチャー企業が集積し、いまや「西日本一のベンチャータウン」となって
いる。将来はなにわ筋線(JR 難波∼新大阪:開業時期未定)の乗り入れも構想されているように、新大
阪駅と中心市街地を結ぶ需要が高く、それによって更に中心市街地が発展していくことが予想される。
・新幹線新駅開通後、周辺の市街地があまり発展していない事例
〔岐阜羽島駅〕
駅前には、
「おれはどこで降りればいいんだね?」と啖呵を切って駅を設置させたという、地元の大物
政治家大野伴睦夫妻の銅像が立つ。政治駅と言われる所以であるが、実際には、国鉄が 1958 年(昭和 33
年)∼1959 年(昭和 34 年)に岐阜県内の駅設置の必要性を認識して計画が進んでいたという。
しかし県庁所在地を通らないことが伝わると、岐阜県知事らからの猛反発に合い、知事が要請した大
野と国鉄が交渉をする際、駅を作ることをあえて伏せ、
「一駅作るなら地元を説得しよう」と大野に言わ
せて顔を立て、岐阜市への大回りを避けたのが真相であるとされる。田園地帯に建設された事が幸いし
てか周辺の土地が安かったため、パークアンドライド利用のための料金の安い駐車場が次々に建設され
た。これにより、自家用車の利用者には好評である。岐阜県内の団体旅行や修学旅行において集合場所
や貸切バスとの乗り換え拠点にもなっている。しかし、団体利用に偏った乗客構成が災いし、2005 年 6
月には駅弁業者(岐阜駅と同じ業者)が販売不振から破産した。そのため、当駅では現在駅弁の販売が
92
行われていない。
〔新尾道駅〕
1 日の乗降客数は 2,300 人前後しかいない。これは開設場所が尾道市中心部からは遠い事や、在来線・
他の鉄道線に接続してない事、停車する列車が「こだま」のみのため本数が少ない事、福山駅に停車す
・「ひかり」等への接続の悪さのためである。尾道市内中心部は東西に国道 2 号、南北に国
る「のぞみ」
道 184 号及び長江通りと栗原本通りに沿って市街地が形成されている。山陽本線尾道駅の東側には国道 2
号線に平行して、古くからの商店などが立ち並ぶが閉店しているものも多く活気は薄れつつある。尾道
駅から西は山手まで住宅が密集しており、高層マンションも立つ。また山頂を切り崩したところにはバ
イパスに直結したニュータウンがあり整備されている。東尾道駅周辺には分譲マンション、賃貸アパー
トや戸建住宅、そして郊外型量販店等や緑地公園、堤防下の並木などもある。急速に都市化が進んでい
るが、隣接する福山市松永地区と連続的な街並みを形成しており松永と関係が強く、新尾道駅との関係
は薄い。
20.直江津液化天然ガス受入基地(仮称)建設事業
事業者:帝国石油株式会社
設立:1941 年 資本金:196 億円
主な事業:石油、天然ガスその他のエネルギー資源の探鉱・開発、生産及び販売
・上越市における天然ガス事業
天然ガス供給状況(06 年度)
上越市ガス水道局:約 5800 万m3
供給地域:旧柿崎町、旧大潟町、旧上越市、旧中郷村
供給件数:約 58,000 件
その他大口需要家(直売):合計約 5,000m3(需要家数:5 件)
・LNG(Liquefied Natural Gas)基地建設事業
基地概要
建設位置:新潟県上越市直江津港荒浜ふ頭埋立地区
面積:約 22ha
LNG タンク:18 万 kL×2 其
運転開始時期:2013 年末を目標
93
21.一次産品の生産状況
(加工品)
各種山菜加工品:アリランキムチ、梨なすの文左衛門漬け、きゃらぶき、名立漬、つけも
の各種
各種みそ:朴ノ木みそ、大杉みそ、ふきんと味噌、鮭味噌漬
その他加工品:麩、おぼろ、しょうゆ、おやき、ねばねば納豆、かきもち、うらがわらん、
鮭桜いぶし等
アイス
雪太郎大根
ジャム
ハマのビーナス
米菓
コシヒカリアイス:地元産コシヒカリを新鮮な牛乳と卵に配合。
ハスアイス、そばの実ジェラート、等
本来の甘さと白さを引き立てるようワインでアレンジしたジャム。
柿崎でとれたハマナスの果肉をジャム状にしてから固め、洋かんのよ
うに仕上げたお菓子。
上越の恵まれた自然の中で育った米を原料として、独自の技術で作っ
た米菓各種。
ハマボウフウ
大潟の特産品であるハマボウフウやイチジクを主原料に、各種野草を
酒・イチジク酒
加えたハマボウフウ酒。
辛味子
ふきんと味噌
かまぼこ
中郷特産の辛味子は、有機低農薬栽培した真っ赤な唐辛子を原料とし
て寒中に仕込み製造する。
板倉の高原から流れ出る水と風がはぐくんだふきのとうを、みそ、砂
糖、かつお節と菜種油でいため、日本酒で煮詰めたもの。
良質の白身に食感のよいきくらげを練り込んだ上越名物「きくらげか
まぼこ」。
94
清里筑地産のじゅんさいは、独特のぬめりとつるりとしたのど越しが
じゅんさい
珍重される。
名立沖でとれる学名クロゲンゲの干し物。2月から3月に吹く海風で
幻魚
乾燥したものが一番とされる。
(伝統的特産物)
雪下駄、バテンレース、等
アンケート回答者のプロフィール
現在お住まいの地区
項目
北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
山梨県
静岡県
長野県
新潟県
富山県
石川県
福井県
岐阜県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
回答人
数
6
3
3
3
3
3
6
3
3
6
29
13
42
42
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6
32
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6
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3
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6
3
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出身地
%
項目
2%
1%
1%
1%
1%
1%
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1%
1%
2%
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4%
13%
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0%
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北海道
青森県
岩手県
宮城県
秋田県
山形県
福島県
茨城県
栃木県
群馬県
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
山梨県
静岡県
長野県
新潟県
富山県
石川県
福井県
岐阜県
愛知県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
徳島県
95
回答人数
10
3
3
6
6
6
3
3
6
6
13
6
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22
3
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10
3
3
0
0
3
0%
0%
0%
1%
0%
3%
1%
1%
0%
0%
1%
年齢
回答人
数
160
160
%
項目
50%
50%
320 人
96
回答人数
%
20 才未満
20 才代
10
48
3%
15%
30 才代
99
31%
40 才代
64
20%
50 才代
60 才以上
74
22
23%
7%
3
3
沖縄県
鹿児島県
0
宮崎県
0
大分県
0
3
3
3
3
3
熊本県
長崎県
6
10
0
0
佐賀県
3
福岡県
0
0
0
0
0
高知県
愛媛県
香川県
徳島県
山口県
広島県
6
3
3
3
3
3
3
3
6
6
岡山県
島根県
鳥取県
和歌山県
0
3
3
3
3
3
3
奈良県
6
13
13
兵庫県
19
大阪府
京都府
滋賀県
三重県
0
3
3
3
3
26
6
13
13
愛知県
3
3
岐阜県
0
0
福井県
石川県
3
3
富山県
3
6
新潟県
61
32
3
長野県
静岡県
6
6
6
3
3
山梨県
22
神奈川県
42
38
東京都
6
千葉県
13
13
埼玉県
群馬県
栃木県
福島県
3
3
3
3
山形県
3
秋田県
3
宮城県
3
3
3
3
3
茨城県
岩手県
青森県
北海道
29
6
6
6
6
6
6
6
6
0
42
10
10
20
30
40
50
現在お住まいの地区
出身地
60
70
97