「都市における訴訟の係属状況に関する調べ」調査結果のポイント はじめに 本会では、社会経済の進展に伴い行政事務が複雑多様化し、各市において住民との間で 訴訟となる事例が増え始めた昭和 53 年以降、その実情を把握するため本調査を実施してい る。 本調査は、東京 23 特別区を含む全国 806 都市(平成 20 年3月 31 日現在)を対象とし、 市または市の機関が当事者となっている事件並びに個人たる市長または職員が当事者とな っている職務に関する訴訟事件で、 (1)平成 19 年度中に新たに提起された訴訟事件 (2)平成 19 年度中に判決等があった訴訟事件 (3)平成 20 年3月 31 日現在裁判所に係属している訴訟事件 について調査し、その結果を以下のとおり、行政事件、民事事件の種別及び類型別に取り まとめた。 第1章 係争中の訴訟事件 表1は、係争中の訴訟事件の状況を示したものである。平成 20 年3月 31 日現在、訴訟 事件(調停事件を除く。)は 2,787 件(前年度比 68 件減)で、全国 806 市(23 特別区を含 む。)の 63.6%に当たる 513 市(同7市減、行政・民事事件の両方に該当している場合は1 市と数える。)において係争中の訴訟事件を抱えている。 表1 係争中の訴訟事件(平成 20 年3月 31 日現在)の状況 該当市1市当たりの 事件数 事件総数 該当市の比率 該当市数 <該当市/全市[806 市]> <事件総数/該当市数> 行政事件 住民訴訟 900 件( 2) 2.8 件( ▲0.1) 322 市( 15) 40.0%( 1.9) 440 件( ▲20) 2.2 件( ▲0.1) 196 市( 0) 24.3%( 0.0) 405 市( ▲13) 50.2%( ▲1.7) 513 市( 63.6%( ▲1.0) 民事事件 1,887 件( ▲70) 4.7 件( 全 2,787 件( ▲68) 5.4 件( ▲0.1) 体 0.0) ▲7) (注)1 住民訴訟は行政事件の内数、( )は対前年度増減を示す。 2 「全体」の該当市に係る数値は行政・民事事件の両方に該当している市があるため、行政 事件及び民事事件の合計値とは一致しない。 - 1 - 1.係属裁判所別の状況 表2は、係争中の訴訟事件を係属裁判所別に示したものである。事件数が最も多いのは、 「地方裁判所」2,220 件で、全体(2,787 件)の 79.7%を占めている。 表2 係争中の訴訟事件における係属裁判所別の状況 事件名 訴訟事件全体(行政・民事) 行 政 事 件 裁判所名 簡易裁判所 106 件 地方裁判所 2,220 件 ( 79.7%) 696 件 ( 77.3%) 1,524 件 ( 80.8%) 高等裁判所 354 件 ( 12.7%) 157 件 ( 17.5%) 197 件 ( 10.4%) 最高裁判所 107 件 ( 合 計 2,787 件 ( 3.8%) 民 事 事 件 106 件 3.8%) 47 件 (100.0%) 900 件 ( 5.2%) 60 件 (100.0%) 1,887 件 ( ( 5.6%) 3.2%) (100.0%) (注)行政事件、民事事件は訴訟事件全体の内数。 2.係争中の行政事件及び民事事件の状況 第1図は、各市における行政事件及び民事事件の係属状況を示したものである。行政事 件及び民事事件がともに係争中の 214 市について、人口段階別にみると、該当市の比率が 最も高いのは、「10 万人以上 25 万人未満の都市」で、32.7%(70 市)となっている。 第1図 各市における行政事件及び民事事件の係属状況 行政事件のみ係争中 民事事件のみ係争中 行政・民事事件ともに係争中 係争中の訴訟事件なし 108市 (13.4%) 293市 (36.3%) 市総数 (806市) 191市 (23.7%) <「行政事件及び民事事件がともに係争中の市」における 該当市の比率(上位3つまで)> 表3 人口段階別における該当市の比率 該当市の比率 214市 (26.6%) 順位 人口段階 1 10 万人以上 25 万人未満 2 25 万人以上 50 万人未満 3 5 万人以上 10 万人未満 - 2 - (該当市数/行政・民事事件ともに 係争中の市[214 市]) 32.7% (70 市/214 市) 24.3% (52 市/214 市) 19.6% (42 市/214 市) 第2章 平成 19 年度中に新たに提起された訴訟事件 表4は、平成 19 年度中に新たに提起された訴訟事件の状況を示したものである。新たに 提起された訴訟事件は 3,151 件(前年度比 145 件減)で、全国 806 市の 53.2%に当たる 429 市(同 10 市増)において提起されている。 表4 平成 19 年度中に新たに提起された訴訟事件の状況 該当市1市当たりの 事件数 事件総数 該当市の比率 該当市数 <該当市/全市[806 市]> <事件総数/該当市数> 行政事件 住民訴訟 503 件( 12) 2.3 件( 0.2) 222 市( ▲11) 27.5%( ▲1.4) 184 件( ▲8) 1.7 件( 0.1) 110 市( ▲10) 13.6%( ▲1.3) 民事事件 2,648 件( ▲157) 7.7 件( ▲0.7) 343 市( 10) 42.6%( 1.2) 全 3,151 件( ▲145) 7.3 件( ▲0.6) 429 市( 10) 53.2%( 1.2) 体 (注)1 住民訴訟は行政事件の内数、( )は対前年度増減を示す。 2 「全体」の該当市に係る数値は、行政・民事事件の両方に該当している市があるため、行政 事件及び民事事件の合計値とは一致しない。 1.新たに提起された行政事件における事件種別の状況 第2図は、新たに提起された行政事件を事件種別に示したものである。事件数が最も多 いのは、「建設行政関係」88 件で、全体(503 件)の 17.5%を占めている。 第2図 新たに提起された行政事件における事件種別の状況(平成 19 年度中) 88 建設行政 81 租税 60 厚生福祉行政 47 環境衛生行政 41 職員 29 教育行政 5 商工・農林行政 152 その他行政 0 20 40 60 (注)新たに提起された行政事件の総数:503 件 - 3 - 80 100 120 140 160 (件) 2.新たに提起された民事事件の状況 (1)事件種別の状況 第3図は、新たに提起された民事事件を事件種別に示したものである。事件数が最も多 いのは、「土地・建物等に関する事件」1,924 件で、全体(2,648 件)の 72.7%を占めている。 第3図 新たに提起された民事事件における事件種別の状況(平成 19 年度中) 土地・建物等 1,924 損害賠償請求 403 金銭 267 その他民事 54 0 100 200 300 400 500 (件) 600 (注)新たに提起された民事事件の総数:2,648 件 (2)事件類型別の状況 表5は、新たに提起された民事事件を事件類型別に示したものである(各類型、上位3 つまで)。「土地・建物等に関する事件」のうち事件数が最も多いのは、 「市営住宅明渡等請 求事件」1,570 件で、全体(1,924 件)の 81.6%を占めている。また、「損害賠償請求事件」 のうち事件数が最も多いのは、「医療に関する事件」57 件で、全体(403 件)の 14.1%とな っている。さらに、「金銭に関する事件」のうち事件数が最も多いのは、「給付・貸付金等 返還請求事件」114 件で、全体(267 件)の 42.7%となっている。 表5 新たに提起された民事事件における事件類型別の状況 土地・建物等に関する事件(1,924 件) 順位 事 件 類 型 1 市営住宅明渡等請求事件 2 土地・建物等の明渡請求事件 3 境界及び所有権確認等請求事件 損害賠償請求事件(403 件) 順位 事 件 類 型 1 医療に関する事件 2 学校・教育に関する事件 3 施設等の管理瑕疵に関する事件 金銭に関する事件(267 件) 順位 事 件 類 型 1 給付・貸付金等返還請求事件 2 税・料金等請求事件 3 代金等請求事件 - 4 - 件 数 1,570 件 232 件 58 件 構 成 比 81.6% 12.1% 3.0% 件 数 57 件 55 件 39 件 構 成 比 14.1% 13.6% 9.7% 件 数 114 件 95 件 20 件 構 成 比 42.7% 35.6% 7.5% 第3章 平成 19 年度中の判決等 表6は、平成 19 年度中の判決等の状況を示したものである。判決等(和解、取下を含む。 以下同じ。)は 3,327 件(前年度比 237 件増)で、このうち、行政事件における判決等が 630 件(同 37 件増)、民事事件における判決等が 2,697 件(同 200 件増)となっている。 表6 平成 19 年度中の判決等の状況 新たに提起された事件 における判決等件数 判決等総数 行政事件 新たに提起された事件における 判決等件数/判決等総数 630 件( 37) 129 件( 36) 20.5%( 4.8) 251 件( ▲1) 31 件( 2) 12.4%( 0.9) 民事事件 2,697 件( 200) 1,385 件( 78) 51.4%( ▲0.9) 合 3,327 件( 237) 1,514 件( 114) 45.5%( 0.2) 住民訴訟 計 (注)1 住民訴訟は行政事件の内数、( )は対前年度増減を示す。 2 判決等総数及び判決等件数は和解、取下を含む。 1.平成 19 年度中の判決等の状況 (1)行政事件における判決等の状況 ① 事件種別の判決等 第4図は、行政事件における判決等を事件種別に示したものである。判決等件数が最も 多いのは、「建設行政関係」125 件で、全体(630 件)の 19.8%を占めている。 第4図 行政事件における判決等の事件種別の状況(平成 19 年度中) 125 建設行政 99 租税 74 職員 55 厚生福祉行政 50 環境衛生行政 30 教育行政 16 商工・農林行政 181 その他行政 0 20 40 60 80 (注)行政事件における判決等総数:630 件 - 5 - 100 120 140 160 180 (件) 200 ② 判決等のあった裁判所 表7は、行政事件における判決等を裁判所別に 表7 行政事件における判決等の裁判所別 の状況 示したものである。判決等件数が最も多いのは、 「地方裁判所」360 件で、全体(630 件)の 57.1% 事件名 行 政 事 件 裁判所名 地方裁判所 高等裁判所 最高裁判所 合 計 を占めている。 360 件 155 件 115 件 630 件 ( 57.1%) ( 24.6%) ( 18.3%) (100.0%) ③ 判決等の内容 第5図は、行政事件における判決等を内容別に示したものである。判決等件数 630 件の うち、市勝訴等件数(市勝訴及び市勝訴確定の件数。以下同じ。)は 448 件で、市勝訴率(判 決等件数に占める市勝訴等件数の割合。以下同じ。)は 71.1%(前年度比 2.1%減)となって いる。一方、市敗訴等件数(市敗訴及び市敗訴確定の件数。以下同じ。)は 93 件で、市敗 訴率(判決等件数に占める市敗訴等件数の割合。以下同じ。 )は 14.8%(同 3.0%増)となっ ている。 また、相手方が取り下げた事件は 83 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、判 決等全体(630 件)の 84.3%(同 2.0%減)が市の主張に沿った結果になったといえる。 さらに、市勝訴等件数を事件種別にみると、「建設行政関係」93 件が最も多くなっている。 同様に市敗訴等件数をみると、「職員関係」18 件が最も多くなっている。 第5図 行政事件における判決等(630 件)の内容別の状況 相手方取下 83件(13.2%) 和解 6件 (1.0%) 市敗訴及び 市敗訴確定 93件(14.8%) 市勝訴及び 市勝訴確定 448件(71.1%) 市勝訴等件数(448件) 建設 93 商工・農林 15 環境衛生 31 租税 73 厚生福祉 40 職員 51 教育 23 その他行政 122 市敗訴等件数(93件) 建設 12 租税 9 職員 18 環境衛生 9 - 6 - 厚生福祉 8 教育 5 その他行政 32 (2)民事事件における判決等の状況 ① 事件種別の判決等 第6図は、民事事件における判決等を事件種別に示したものである。判決等件数が最も 多いのは、「土地・建物等に関する事件」1,855 件で、全体(2,697 件)の 68.8%を占めてい る。 第6図 民事事件における判決等の事件種別の状況(平成 19 年度中) 土地・建物等 1,855 565 損害賠償請求 216 金銭 61 その他民事 0 200 400 600 (件) (注)民事事件における判決等総数:2,697 件 ② 判決等のあった裁判所 表8 表8は、民事事件における判決等を裁判所別に 示したものである。判決等件数が最も多いのは、 「地方裁判所」2,160 件で、全体(2,697 件)の 80.1%を占めている。 民事事件における判決等の裁判所別 の状況 事件名 裁判所名 簡易裁判所 地方裁判所 高等裁判所 最高裁判所 合 計 民 事 事 件 214 件 2,160 件 222 件 101 件 2,697 件 ( 7.9%) ( 80.1%) ( 8.2%) ( 3.8%) (100.0%) ③ 判決等の内容 第7図は、民事事件における判決等を内容別に示したものである。判決等件数 2,697 件 のうち、市勝訴等件数は 1,676 件で、市勝訴率は 62.2%(前年度比 1.6%増)となっている。 一方、市敗訴等件数は 98 件で、市敗訴率は 3.6%(同 0.3%減)となっている。 また、相手方が取り下げた事件は 87 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、判 決等全体(2,697 件)の 65.4%(同 1.1%増)が市の主張に沿った結果になったといえる。 さらに、市勝訴等件数を事件種別にみると、「土地・建物等に関する事件」1,199 件が最 も多くなっている。同様に市敗訴等件数をみると、「損害賠償請求事件」67 件が最も多く なっている。 - 7 - 第7図 民事事件における判決等(2,697 件)の内容別の状況 和解 711件 (26.4%) 相手方取下 87件(3.2%) 市取下 125件(4.6%) 市勝訴及び 市勝訴確定 1,676件 (62.2%) 市敗訴及び 市敗訴確定 98件(3.6%) 市勝訴等件数(1,676件) 金銭に関する事件 116 土地・建物等に関する事件 1,199 損害賠償請求事件 319 その他民事 42 市敗訴等件数(98件) 土地・建物等に関する事件 21 金銭に関する事件 7 損害賠償請求事件 67 その他民事 3 - 8 - ④ 事件類型別の判決等 ア.土地・建物等に関する事件 a.事件類型別の判決等 第8図は、民事事件のうち「土地・建物等に関する事件」における判決等を事件類型別 に示したものである。判決等件数が最も多いのは、「市営住宅明渡等請求事件」1,453 件で、 全体(1,855 件)の 78.3%を占めている。 第8図 土地・建物等に関する事件における判決等の事件類型別の状況(平成 19 年度中) 1,453 市営住宅明渡等請求事件 246 土地・建物等の明渡請求事件 63 境界及び所有権確認等請求事件 58 登記手続等請求事件 9 原状回復及び妨害排除等請求事件 1 工事及び売買等の差止請求事件 25 その他の土地・建物等に関する事件 0 50 100 150 200 250 (件) 300 (注)土地・建物等に関する事件における判決等総数:1,855 件 表9 b.判決等のあった裁判所 表9は、「土地・建物等に関する事件」におけ る判決等を裁判所別に示したものである。判決 等件数が最も多いのは、 「地方裁判所」1,668 件 で、全体(1,855 件)の 89.9%を占めている。 - 9 - 土地・建物等に関する事件における 判決等の裁判所別の状況 事件名 裁判所名 簡易裁判所 地方裁判所 高等裁判所 最高裁判所 合 計 土地・建物等に関する事件 80 件 1,668 件 68 件 39 件 1,855 件 ( 4.3%) ( 89.9%) ( 3.7%) ( 2.1%) (100.0%) c.判決等の内容 第9図は、 「土地・建物等に関する事件」における判決等を内容別に示したものである。 判決等件数 1,855 件のうち、市勝訴等件数は 1,199 件で、市勝訴率は 64.6%(前年度比 4.1% 増)となっている。一方、市敗訴等件数は 21 件で、市敗訴率は 1.1%(同 0.5%増)となっ ている。 また、相手方が取り下げた事件は 27 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、 判決等全体(1,855 件)の 66.1%(同 3.9%増)が市の主張に沿った結果になったといえる。 さらに、市勝訴等件数を事件類型別にみると、「市営住宅明渡等請求事件」951 件が最も 多くなっている。同様に市敗訴等件数をみると、「境界及び所有権確認等請求事件」11 件 が最も多くなっている。 第9図 土地・建物等に関する事件における判決等(1,855 件)の内容別の状況 相手方取下 27件 (1.5%) 和解 506件 (27.3%) 市取下 102件 (5.5%) 市勝訴及び 市勝訴確定 1,199件 ( 64.6%) 市敗訴及び 市敗訴確定 21件 (1.1%) 原状回復及び妨害 排除等 5 市勝訴等件数(1,199件) 登記手続等 38 土地・建物 等の明渡 147 市営住宅明渡等 951 境界及び所有権確認等 35 工事及び売買等の差止 1 市敗訴等件数(21件) その他土地・建物等 22 登記手続等 8 境界及び所有権確認等 11 その他の土地・建物等 1 市営住宅明渡等 1 - 10 - イ.損害賠償請求事件 a.事件類型別の判決等 第 10 図は、民事事件のうち「損害賠償請求事件」における判決等を事件類型別に示し たものである。判決等件数が最も多いのは、「医療に関する事件」101 件で、全体(565 件) の 17.9%を占めている。 第 10 図 損害賠償請求事件における判決等の事件類型別の状況(平成 19 年度中) 101 医療に関する事件 82 学校・教育に関する事件 47 施設等の管理瑕疵に関する事件 35 建物等工事に関する事件 22 交通事故に関する事件 16 許可・認可・決定に関する事件 11 確認・公証・受理に関する事件 9 土地等の売買に関する事件 242 その他の損害賠償請求事件 0 20 40 60 80 100 120 (件) (注)損害賠償請求事件における判決等総数:565 件 表 10 b.判決等のあった裁判所 表 10 は、「損害賠償請求事件」における判決等 を裁判所別に示したものである。判決等件数が 最も多いのは、「地方裁判所」355 件で、全体(565 件)の 62.8%を占めている。 損害賠償請求事件における判決等の 裁判所別の状況 事件名 裁判所名 簡易裁判所 地方裁判所 高等裁判所 最高裁判所 合 計 損害賠償請求事件 28 件 355 件 130 件 52 件 565 件 ( 5.0%) ( 62.8%) ( 23.0%) ( 9.2%) (100.0%) c.判決等の内容 第 11 図は、 「損害賠償請求事件」における判決等を内容別に示したものである。判決等 件数 565 件のうち、市勝訴等件数は 319 件で、市勝訴率は 56.5%(前年度比 0.5%増)とな っている。一方、市敗訴等件数は 67 件で、市敗訴率は 11.9%(同 2.0%減)となっている。 また、相手方が取り下げた事件は 42 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、 判決等全体(565 件)の 63.9%(同 0.5%減)が市の主張に沿った結果になったといえる。 さらに、市勝訴等件数を事件類型別にみると、「医療に関する事件」45 件が最も多くな っている。同様に市敗訴等件数をみると、「医療に関する事件」15 件が最も多くなってい る。 - 11 - 第 11 図 損害賠償請求事件における判決等(565 件)の内容別の状況 和解 133件 (23.5%) 相手方取下 42件 (7.4%) 市勝訴及び 市勝訴確定 319件 (56.5%) 市取下 4件(0.7%) 市敗訴及び 市敗訴確定 67件 (11.9%) 市勝訴等件数(319件) 医療 45 建設等工事 21 確認・公証・受理 9 交通事故 10 学校・教育 37 その他損害賠償 158 土地等の売買 4 施設等の管理瑕疵 24 許可・認可・決定 11 市敗訴等件数(67件) 医療 15 土地等の売買 2 学校・教育 8 交通事故 3 建設等工事 8 施設等の管理瑕疵 8 その他の損害賠償 22 許可・認可・決定 1 ウ.金銭に関する事件 a.事件類型別の判決等 第 12 図は、民事事件のうち「金銭に関する事件」における判決等を事件類型別に示し たものである。判決等件数が最も多いのは、「給付・貸付金等返還請求事件」84 件で、全 体(216 件)の 38.9%を占めている。 第 12 図 金銭に関する事件における判決等の事件類型別の状況(平成 19 年度中) 84 給付・貸付金等返還請求事件 70 税・料金等請求事件 23 代金等請求事件 9 補償金・求償金等請求事件 30 その他の金銭に関する事件 0 10 20 30 (注)金銭に関する事件における判決等総数:216 件 - 12 - 40 50 60 70 80 90 (件) b.判決等のあった裁判所 表 11 は、 「金銭に関する事件」における判決 等を裁判所別に示したものである。判決等件数 が多いのは、「地方裁判所」97 件で、全体(216 件)の 44.9%を占めている。 表 11 金銭に関する事件における判決等の 裁判所別の状況 事件名 裁判所名 簡易裁判所 地方裁判所 高等裁判所 最高裁判所 合 計 金銭に関する事件 94 件 97 件 17 件 8件 216 件 ( 43.5%) ( 44.9%) ( 7.9%) ( 3.7%) (100.0%) c.判決等の内容 第 13 図は、 「金銭に関する事件」における判決等を内容別に示したものである。判決等 件数 216 件のうち、市勝訴等件数は 116 件で、市勝訴率は 53.7%(前年度比 12.6%減)と なっている。一方、市敗訴等件数は 7 件で、市敗訴率は 3.2%(同 1.6%減)となっている。 また、相手方が取り下げた事件は 15 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、 判決等全体(216 件)の 60.6%(同 11.3%減)が市の主張に沿った結果になったといえる。 さらに、市勝訴等件数を事件類型別にみると、「給付・貸付金等返還請求事件」62 件が 最も多くなっている。 第 13 図 金銭に関する事件における判決等(216 件)の内容別の状況 和解 61件 (28.2%) 相手方取下 15件(7.0%) 市勝訴及び 市勝訴確定 116件(53.7%) 市取下 17件(7.9%) 市敗訴及び 市敗訴確定 7件(3.2%) 補償金・損害賠償金 6 市勝訴等件数(116件) 税・料金等 20 給付・貸付金等返還 62 代金等 14 その他金銭 14 市敗訴等件数(7件) 税・料金等 2 代金等 2 その他金銭 2 補償金・損害賠償金 1 - 13 - 2.訴訟係属期間 表 12 は、訴訟が提起され、判決が確定(取下、和解を含む。 )するまでの訴訟係属期間 について、事件が確定した裁判所別の平均係属期間を示したものである。 表 12 各裁判所で確定した事件の平均係属期間 簡易裁判所 行政事件 住民訴訟 - - 民事事件 2.8 ヶ月( 地方裁判所 14.5 ヶ月( ▲1.7) 18.3 ヶ月( 高等裁判所 29.1 ヶ月( ▲0.1) 30.5 ヶ月( ▲5.5) 36.0 ヶ月( 最高裁判所 36.5 ヶ月( ▲7.5) 39.5 ヶ月( ▲3.1) 41.9 ヶ月( ▲8.6) 全体 22.1 ヶ月( ▲2.0) 25.4 ヶ月( ▲1.7) 10.5 ヶ月( ▲1.2) (注)( )は対前年度増減を示す。 - 14 - 0.1) 0.0) 7.2 ヶ月( ▲1.2) 0.6) 第4章 住民訴訟 1.住民訴訟の状況 (1)係争中の住民訴訟の状況 表 13 は、係争中の住民訴訟の状況を示したものである。平成 20 年3月 31 日現在、住民 訴訟は 440 件(前年度比 20 件減)で、全国 806 市の 24.3%に当たる 196 市(前年度同数) において係争中の住民訴訟を抱えている。なお、表中の「4号住民訴訟(改正前)」とは、 平成 14 年8月 31 日以前に提起された地方自治法第 242 条の2第1項第4号の住民訴訟を 示し、「4号住民訴訟(改正後)」とは、平成 14 年9月1日以降に提起された改正後の同法 第 242 条の2第1項第4号の住民訴訟を示す(以下、文中及び表中同じ)。 表 13 係争中の住民訴訟(平成 20 年3月 31 日現在)の状況 事件総数 住民訴訟 4号住民訴訟 (改正前) 4号住民訴訟 (改正後) 事件総数/行政 事件の総数[900 件] 440 件( ▲20) 48.9%( ▲2.3) 196 市( 10 件( ▲12) 1.1%( ▲1.3) 該当市の比率 該当市数 <該当市/全市[806 市]> 0) 24.3%( 7 市 ( ▲11) 336 件( ▲10) 37.3%( ▲1.2) 151 市( 0.0) 60.9%( ▲2.9) 0.9%( ▲1.3) 3) 18.7%( 該当市/行政 事件が係争中 の市[322 市] 2.2%( ▲3.7) 0.3) 46.9%( ▲1.3) (注)1 4号住民訴訟(改正前)及び4号住民訴訟(改正後)は住民訴訟の内数、( )は対前年度増 減を示す。 2 4号住民訴訟の制度改正による区分は、平成 16 年度調査(平成 15 年度を対象)より反映。 (2)平成 19 年度中に新たに提起された住民訴訟の状況 表 14 は、平成 19 年度中に新たに提起された住民訴訟の状況を示したものである。新た に提起された住民訴訟は 184 件(前年度比 8 件減)で、全国 806 市の 13.6%に当たる 110 市(同 10 件減)において提起されている。 表 14 平成 19 年度中に新たに提起された住民訴訟の状況 事件総数 事件総数/新たに 提起された行政 事件の総数[503 件] 該当市数 該当市/新たに 行政事件が提起 <該当市/全市[806 市]> された市[222 市] 該当市の比率 住民訴訟 184 件( ▲8) 36.6%( ▲2.5) 110 市( ▲10) 13.6%( ▲1.3) 49.5%( ▲2.0) 4号住民訴訟 127 件( ▲14) 25.2%( ▲3.5) 82 市( ▲11) 10.2%( ▲1.4) 36.9%( ▲3.0) (注)4号住民訴訟は住民訴訟の内数、( )は対前年度増減を示す。 - 15 - 事件種別の状況 第 14 図は、新たに提起された住民訴訟を事件種別に示したものである。事件数が最も多 いのは、「建設行政関係」21 件で、全体(184 件)の 11.4%を占めている。 第 14 図 新たに提起された住民訴訟における事件種別の状況(平成 19 年度中) 建設行政 21 職員 20 教育行政 13 租税 12 環境衛生行政 12 厚生福祉行政 12 商工・農林行政 3 その他行政 91 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 (件) (注)新たに提起された住民訴訟の総数:184 件 (3)平成 19 年度中の住民訴訟における判決等の状況 表 15 は、平成 19 年度中の住民訴訟における判決等の状況を示したものである。住民訴 訟における判決等は 251 件(前年度比 1 件減)となっている。 表 15 平成 19 年度中の住民訴訟における判決等の状況 新たに提起された 事件における 判決等件数 判決等総数 住民訴訟 251 件( ▲1) 4号住民訴訟 (改正前) 13 件( ▲12) 4号住民訴訟 (改正後) 172 件( 18) 31 件( 新たに提起された事件における 判決等件数/判決等総数 2) 12.4%( 0.9) ( - ) - ( - ) 18 件( ▲3) - 10.5%( ▲3.1) (注)1 4号住民訴訟(改正前)及び4号住民訴訟(改正後)は住民訴訟の内数、( )は対前年度増 減を示す。 2 判決等総数及び判決等件数は和解、取下を含む。 3 4号住民訴訟の制度改正による区分は、平成 16 年度調査(平成 15 年度を対象)より反映。 - 16 - 第 15 図は、住民訴訟における判決等を内容別に示したものである。判決等件数 251 件の うち、市勝訴等件数は 193 件で、市勝訴率は 76.9%(前年度比 0.9%減)となっている。一 方、市敗訴等件数は 35 件で、市敗訴率は 13.9%(同 1.6%増)となっている。 また、相手方が取り下げた事件は 19 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、判 決等全体(251 件)の 84.5%(同 2.0%減)が市の主張に沿った結果になったといえる。 第 15 図 住民訴訟における判決等(251 件)の内容別の状況 相手方取下 19件 (7.6%) 和解 4件 (1.6%) 市敗訴及び 市敗訴確定 35件 (13.9%) 市勝訴及び 市勝訴確定 193件 (76..9%) 2.地方自治法第 242 条の2第1項第4号住民訴訟の状況 (1)平成 19 年度中に新たに提起された4号住民訴訟の状況 事件種別の状況 第 16 図は、新たに提起された4号住民訴訟を事件種別に示したものである。事件数が最 も多いのは、「職員関係」18 件で、全体(127 件)の 14.2%を占めている。 第 16 図 新たに提起された4号住民訴訟における事件種別の状況(平成 19 年度中) 職員 18 教育行政 11 建設行政 9 環境衛生行政 9 厚生福祉行政 6 租税 2 商工・農林行政 1 その他行政 71 0 10 20 30 (注)新たに提起された4号住民訴訟の総数:127 件 - 17 - 40 50 60 70 80 (件) (2)平成 19 年度中の4号住民訴訟における判決等の状況 平成 19 年度中の4号住民訴訟における判決等の状況は、表 15 を参照。 ① 事件種別の判決等 第 17 図は、4号住民訴訟における判決等を事件種別に示したものである。判決等件数が 最も多いのは、「職員関係」38 件で、全体(185 件)の 20.5%を占めている。 第 17 図 4号住民訴訟における判決等の事件種別の状況(平成 19 年度中) 38 職員 29 建設行政 厚生福祉行政 11 9 商工・農林… 租税 8 教育行政 8 環境衛生行政 6 その他行政 76 0 10 20 30 40 50 60 70 80 (件) (注)4号住民訴訟における判決等総数:185 件 ② 判決等のあった裁判所 表 16 表 16 は、4号住民訴訟における判決等を裁判 所別に示したものである。判決等件数が最も多い のは、「地方裁判所」107 件で、全体(185 件)の 57.8%を占めている。 4号住民訴訟における 裁判所別の状況 事件名 裁判所名 4 号 住 民 訴 訟 地方裁判所 高等裁判所 最高裁判所 合 計 107 件 43 件 35 件 185 件 ( 57.8%) ( 23.3%) ( 18.9%) (100.0%) ③ 判決等の内容 第 18 図は、4号住民訴訟における判決等を内容別に示したものである。判決等件数 185 件のうち、市勝訴等件数は 147 件で、市勝訴率は 79.5%(前年度比 0.7%増)となっている。 一方、市敗訴等件数は 25 件で、市敗訴率は 13.5%(同 0.5%減)となっている。 また、相手方が取り下げた事件は 10 件で、これを市の主張に沿った結果と考えれば、判 決等全体(185 件)の 84.9%(前年度同率)が市の主張に沿った結果になったといえる。 さらに、市勝訴等件数を事件種別にみると、「建設行政関係」 28 件が最も多くなっている。 同様に市敗訴等件数をみると、「職員関係」8 件が最も多くなっている。 - 18 - 第 18 図 4号住民訴訟における判決等(185 件)の内容別の状況 和解 3件 (1.6%) 相手方取下 10件 (5.4%) 市敗訴及び 市敗訴確定 25件 (13.5%) 市勝訴及び 市勝訴確定 147件 (79.5%) 市勝訴等件数(147件) 建設行政 28 租税 7 厚生福祉行政 9 商工・農林行政 9 職員 27 その他4号住民訴訟 55 環境衛生行政 6 教育行政 6 市敗訴等件数(25件) 租税1 職員 8 厚生福祉行政 2 教育行政 1 - 19 - その他4号住民訴訟 13
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