Case Study: 東急目黒ビル

建築認証事業本部
Case Study: 東急目黒ビル
~準トップレベル事業所(優良特定地球温暖化対策事業所)検証
- 認定を受けるに至った経緯を教えて下さい
JR 東急目黒ビルは 2002 年 3 月竣工、地上 17 階地下 4 階塔屋 1 階
の建物であり、延床面積 52,221.089 ㎡を誇る目黒のシンボルタワー
です。JR・東急線目黒駅に隣接しオフィス・商業等が入居する複合用
途ビルとして多くのお客様に利用いただいています。当ビルは CO 等
の温室効果ガス排出削減や、エネルギー効率の高い設備の導入、
また運用管理面で積極的な取り組みを行っていました。今回の東京都
のトップレベル事業所認定を受けることで、あらためてこれら取り組み
がどのように評価されるのか確認したいとオーナーの強い要望のもと、
管理会社である弊社株式会社東急コミュニティーが、準トップレベル
事業所の認定申請への準備を進めることにしました。
当ビルは、個別空調制御による高効率な管理方式で省エネルギーを
実現したビルとして設立されており、新たな設備投資が必要ないと
判断したことも、正式な申請への一歩を決定づけました。
-実際の取り組みで苦労された点は何ですか
準備を進めると、認定ガイドラインの把握および解釈に関して難解な
部分が多くでてきました。専門用語は一語一語調べることで理解も
可能でしたが、表現に関する解釈は特に困難であり、東京都や検証
機関等へ何度も確認を行いました。またガイドラインを徹底的に読み
込むことで少しずつ理解を深めていきましたが、判断が正しいか確証
を持つことができず戸惑いもありました。
一方、不足データは、紙ベースでの情報を入力し分析を行い対応しま
した。更に、調書・評価書・認定に係る活動・根拠書類が全てリンク
されるように仕組みを作り、漏れや差異がないよう注意を図りました。
このように、初めての取り組みであったため、準備を進めていくにつれ
様々な問題が発生しました。これは、ガイドラインの読み込み不足も
大きく影響していましたが、リーダー、サブリーダー2 名に、その時々で
分担作業を依頼する 3 名といった少人数組織かつ短時間で進める中
自己の方向性を確認する術が無かったことによるものだと思いかえします。こうした問題に対して、ビューロー
ベリタスの Gap 調査を導入することにより、準備が足りない部分を第三者の目であぶり出すことを行い、設備
投資の必要性の有無およびコストのリスクを明確にし、それをオーナーへの提案へ反映させることもできました。
更に Gap 調査は、検証当日のイメージを把握することにも有効であり、事前の対策をたて検証作業をスムーズ
に進めることにとても役立ちました。
検証までのスケジュール
2009 年 11 月
…
制度の把握、認定ガイドラインの読み込みを開始
必要データおよび調書・評価書を把握
2010 年 4 月
…
認定に係る活動(会議体の設置、運用対策等)
調書・評価書の作成を開始
2010 年 9 月
…
自己評価の実施、その上で認定申請を決定
2010 年 10 月
…
根拠書類の準備
2010 年 11 月
…
オーナーへ予算提案
2010 年 12 月
…
検証の実施
今後の課題~後続企業への提案
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調書・評価書・認定に係る活動・根拠書類が全てリンクするようにすると漏れが少ない
事前に体制づくりを行い、十分に余裕を見た認定までのスケジュールを計画する
認定ガイドラインの解釈が納得できない場合はとことん協議を行う
自己評価を過剰評価しない
-企業にどのようなメリットがあるとお考えですか
準トップレベル事業所の地球温暖化効果ガス削減義務率 3/4 に軽減され
ること以外にも、取り組みが評価されることにより対外的に技術力をアピ
ールすることができると考えます。
また、企業の社会的責任においても環境への取り組みは重要視されて
いるだけに、企業ブランドの向上にもつながると言われています。
-ビューローベリタスを検査機関に選ばれた理由を教えて下さい
協力会社に紹介されたことが、ビューローベリタスを知ったきっかけです。検証機関 3 社へ話を聞いたところ、ビ
ューローベリタスからは質問に対するスピーディーで納得のいく回答をいただけ、トップレベル事業所検証に精
通していて、検証業務に対する自信を感じることができました。更に、協力会社がビューローベリタスの説明会に
参加したところ、多数の温室効果ガス排出検証手法を駆使して 行う Gap 調査や、建築・GHG・ISO 認証・CSR
レポート検証関連など幅広いサービスを提供、多数の実績がある点からビューローベリタスへの信頼を高め、
検証機関として選択しました。
-今回の検証を振り返ってみて
自己評価を過剰評価しないことを念頭においたものの、ガイドラインを読み解くためには専門知識を必要とする
項目も多く、また、初めての試みのため情報収集をすることができず不安がありましたが、ビューローベリタスの
Gap 調査により、足りない部分が明確になり、準トップレベル認定登録の準備が整い、登録ができました。今後
はより改善を行い、更なる省エネルギー化を図ってまいります。
(2011 年 7 月取材)