(57)【要約】 【目的】 V結線トランスを用いたトランス契約の場合 には

(57)【要約】
【目的】 V結線トランスを用いたトランス契約の場合
には、トランス内に流れる電流値を小さくして、使用す
るトランスの容量を下げて契約電力を小さくするととも
に、実量制契約への移行をできるだけ遅らせることであ
り、また、実量制へ移行した場合には、目標の契約電力
を超過しないように、使用電力の制限を行うこと。
【構成】 トランス2を備えた受電設備1と、受電設備
1からの供給電力によって駆動する負荷4と、受電設備
1と負荷4の間の電力供給回路3と、負荷をオン、オフ
するスイッチ回路5と、電流検出器6と、電圧検出器7
と、これらの検出器の出力信号により使用電力を計算
し、算出した使用電力があらかじめ設定した設定電力を
越えた時に信号を出力する演算部9とを備えた。
(2)
1
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トランスを備えた受電設備と、この受電
設備からの供給電力によって駆動する負荷と、受電設備
と負荷の間の電力供給回路と、負荷をオン、オフするス
イッチ回路と、電力供給回路の電流値を検出し信号を出
力する電流検出器と、電力供給回路の電圧値を検出し信
号を出力する電圧検出器と、これらの検出器の出力信号
により使用電力を計算し、算出した使用電力があらかじ
め設定した設定電力を越えた時に信号を出力する演算部
とを備えた電力監視装置。
【請求項2】 受電設備がV結線トランスを備えるとと
もに、電流検出器により検出された使用電流値があらか
じめ設定した設定値を越えた場合にのみ、受電設備のト
ランス内を流れる電流の位相を変換する位相変換部を備
えたことを特徴とする請求項1に記載の電力監視装置。
【請求項3】 受電設備がΔ結線トランスを備えたこと
を特徴とする請求項1に記載の電力監視装置。
【請求項4】 演算部により算出した使用電力があらか
じめ設定した設定電力を越えた時に、演算部が出力する
信号が、スイッチ回路のスイッチをオン、オフすること
を特徴とする請求項1∼3のいずれかに記載の電力監視
装置。
【請求項5】 演算部により算出した使用電力があらか
じめ設定した設定電力を越えた時に、演算部が出力する
信号により、警報を発する警報部警報部を備えたことを
特徴とする請求項1∼4のいずれかに記載の電力監視装
置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高圧で受電し、低圧
にして構内の負荷に供給する受電設備を備えた電力監視
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電力会社から高圧で受電し、自家用の受
電設備に設置されたトランスで低圧にして、構内の負荷
に供給する場合、電気料金は、以下に示す式により算出
される。
電気料金=基本料金+電力使用料金
しかし、電力会社との契約には、トランス契約と、実量
制契約の2通りがあり、基本料金の計算方法が異なる。
トランス契約とは、使用電力がある範囲(現行では、5
0KW∼140KW)の需要家のための契約方式で、使
用しているトランス容量より契約電力を算出するもので
ある。この場合、
基本料金=契約電力×単価×力率割引×消費税
使用料金=使用電力(KWH)×単価×消費税 とな
る。
このように、基本料金が、トランス容量によって決まる
ことに着目して、負荷が必要とする電力は維持したま
ま、トランス内を流れる電流値を少なくする工夫がされ
10
20
30
40
50
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ていた。特にV結線トランスを用いた受電設備の場合に
は、特公平5−39089号に記載の発明のように、ト
ランス電流にコンデンサー電流を投入して、電流の位相
を変換するものがあった。一方、大口需要家(現行で
は、140KW以上)は、実量制契約となり、この契約
では、過去1年間に使用した最大電力を契約電力とし、
契約電力によって基本料金を決めるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このため、実量制契約
をしているほとんどの需要家は、夏の一番暑い日の最大
電力に基づいて算出された基本料金を払い続けている。
しかも、この最大電力は、年間の30分平均電力で、実
際には、いつ消費したのかもわからないのが実情であ
る。また、実量制契約の下限は現行の140KW以上か
ら、段階的に引き下げられることが、発表され、現行の
トランス契約から実量制契約へ移行する需要家がでるこ
とになる。そこで、本発明の目的は、V結線トランスを
用いたトランス契約の場合には、トランス内に流れる電
流値を小さくして、使用するトランスの容量を下げて契
約電力を小さくするとともに、実量制契約への移行をで
きるだけ遅らせることであり、また、実量制へ移行した
場合には、目標の契約電力を超過しないように、使用電
力の制限を行うことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】第1の発明の電力監視装
置は、トランスを備えた受電設備と、この受電設備から
の供給電力によって駆動する負荷と、受電設備と負荷の
間の電力供給回路と、負荷をオン、オフするスイッチ回
路と、電力供給回路の電流値を検出し信号を出力する電
流検出器と、電力供給回路の電圧値を検出し信号を出力
する電圧検出器と、これらの検出器の出力信号により使
用電力を計算し、算出した使用電力があらかじめ設定し
た設定電力を越えた時に信号を出力する演算部とを備え
たことを特徴とする。第2の発明は、受電設備がV結線
トランスを備えるとともに、電流検出器により検出され
た使用電流値があらかじめ設定した設定値を越えた場合
にのみ受電設備のトランス内を流れる電流の位相を変換
する位相変換部を備えたことを特徴とする。第3の発明
は、第1の発明の受電設備が、Δ結線トランスを備えた
ことを特徴とする。第4の発明は、上記第1∼第3の発
明を前提とし、演算部により算出した使用電力があらか
じめ設定した設定電力を越えた時に、演算部が出力する
信号がスイッチ回路のスイッチをオン、オフすることを
特徴とする。第5の発明は、演算部により算出した使用
電力があらかじめ設定した設定電力を越えた時に、上記
第1∼第4の発明を前提とし、演算部が出力する信号に
より警報を発する警報部警報部を備えたことを特徴とす
る。
【0005】
【作用】電力供給回路では、電流及び電圧を常時検出
(3)
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し、演算部では、使用電力と、これに基づいて最大電力
を予測計算する。ここで求めた予測最大電力が、設定電
力を越えた場合には、信号を出力する。この出力信号に
より、負荷を切ったり、警報を発したりする。手動また
は、自動により、負荷を切って、電力消費を控えるよう
にすれば、目的の契約電力を越えない。V結線トランス
を用いた場合には、トランス内を流れる電流が設定電流
値を越えた場合には、電流の位相を変換して電流値を小
さくする。
【0006】
【実施例】図1に示す第1実施例は、V結線トランス2
を備えた受電設備1と、負荷4と、電力供給回路3と、
スイッチ回路5と、電流検出器6、電圧検出器7と、位
相変換部8と、演算部9と、警報部10を備えている。
演算部9は、計算部11と、比較部12と、信号出力部
13とからなる。計算部11では、電流検出器6と電圧
検出器7で検出された電流値と電圧値とから使用電力を
計算し、比較部12で、使用電力の値と、あらかじめ設
定した最大電力値とを比較し、使用電力が設定値を越え
た時にスイッチ回路5を切るよう、信号出力部13が信
号を出力する。
【0007】次に、トランス2内を流れる電流値を小さ
くするための位相変換部8について図2、図3を用いて
説明する。位相変換部8は、継電器21、22と、電磁
コイル23、電磁開閉器24、コンデンサー25からな
り、図2中、符号28は電源接続線である。トランス2
は、2次側コイル26、27を持つV結線トランスであ
り、3相負荷20へ、電力を供給する。この時、電流検
出器6により検出された電流値がある設定値よりも高い
場合には、コンデンサー25の電流IC を電力供給回路
のrC 、sC に投入する。V結線トランス2では、電流I
は、電圧Eより、60゜位相が遅れているので、Eと直
角なコンデンサー電流IC によって、IはI’=(1/2))
×Iに変換される。つまり、トランス内を流れる電流値
を50%削減できることになるが、位相変換部8を通じ
て電流IC を流すので、負荷側には、電流Iが流れる。
このように、負荷に対して、供給電流が不足することは
無い。このように、トランス2内の電流を削減すること
で、使用するトランス容量を下げることができ、トラン
ス契約の場合には、基本料金を下げることができる。ト
ランス契約で無い場合にも、トランス2内の電流を削減
することによって、トランス容量に余裕を持たせること
になる。
【0008】次に、実量制契約の場合に、目標契約電力
を超過しないように、使用電力の制限を行う方法を図
1、図4、図5を用いて説明する。あらかじめ、使用す
る負荷の容量や、電気料金などから、目標とする契約電
力W0 を決め、これによって最大電力Wmax (KW)を決
める。そして、使用電力WがWmax を越えそうになった
時に、負荷の使用を控えるというものである。W
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4
は、契約電力W0 そのものである場合もあるし、余裕
を見て、契約電力より小さい値とすることもある。図5
のフローチャートに従って、説明する。先ず、電力供給
回路3の電流検出器6と電圧検出器7により電流値Iと
電圧値Eを検出する(ステップ1)。ここでは、サンプ
リング時間Δt=5(分)とする。電流値Iと電圧値E
から制御部9の電力計算部11で、使用電力Wを計算
し、比較部12でWmax と比較する(ステップ2、
3)。
【0009】W≧Wmax の時は、ステップ4へ、W<W
max の時は、ステップ1へ戻る。W>Wmax の時は、ステ
ップ1∼4を繰り返すことになる。一方、ステップ4で
は、警報部10で警報を発するとともに、スイッチ回路
5により負荷4への電力供給を一時停止する(ステップ
4、5)。再度電流値Iと電圧値Eを検出、使用電力W
を計算し、Wmax と比較する(ステップ5∼8)。ここ
で、W<Wmax となっていれば、警報を切り、スイッチ
回路5を入れる(ステップ9、10)。もし、W≧W
max の時は、ステップ4に戻り、使用電力Wが下がるま
で、負荷のスイッチは切ったままである。この時の使用
電力Wは、図4(a)に示すグラフのようになる。時刻
t1 ∼t2 の間に検出されたW=W1 がWmax 以上となった
時、負荷4を切ることで、使用電力Wが低下し、t2 ∼
t3 では、W<Wmax となっている。
【0010】電力会社が契約電力を設定するための最大
電力のデータは、30分平均電力であるので、図4
(a)のデータを30分平均電力のグラフに変換する
と、図4(b)に示すようになり、実際の使用電力の最
大値W2 が、最大電力Wmax 及び、目標契約電力W0 を越
えていないことがわかる。ここでは、サンプリング時間
を5分としたが、このようにΔtを30分より小さくす
ることで、電力会社のサンプリングと本実施例のサンプ
リングのタイミングが一致しなくても、30分平均電力
に大差が出ないようにしている。ただし、このサンプリ
ング時間や、最大電力Wmax は、負荷設備の電力消費状
態の特徴に合わせて設定することが望ましい。例えば、
変動が激しい場合には、サンプリング時間を短くし、ほ
とんど変動が無い場合には、長くする等である。なお、
スイッチ回路5を自動的にオン、オフせずに、警報部の
警報によって、手動で、負荷設備を切るようにしても良
い。
【0011】図6に示す第2実施例は、トランスがΔ結
線トランス2であり、位相変換部8を持たない以外は、
第1実施例と同様であるので、説明は、省略する。図7
に示す第3実施例は、受電設備1の漏電や、温度等の、
電気保安管理上必要なデータを検出する管理データ検出
部18と、このデータに基づいて電力供給を制御する制
御部14とを備えた以外は、第1実施例と同様である。
制御部14は、記憶部15と、信号出力部16と、操作
部17とからなり、記憶部15は、管理データ検出部1
max
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20
30
40
50
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5
6
8からの管理データや、演算部9で演算した使用電力デ
* 【図3】位相変換の説明図である。
ータ等を記憶する。そして、検出した管理データにより
【図4】使用電力のグラフであり、(a)は、5分間平
危険を察知した場合には、信号出力部16の出力信号に
均電力、(b)は30分間平均電力を示したものであ
より、警報が発せられたり、電気保安管理者19へ通報
る。
したりする。また、負荷設備の運転状態に合わせて、操
【図5】第1実施例のフローチャートである。
作部17から、演算部9で用いるサンプリング時間の長
【図6】第2実施例のブロック図である。
さや、目標契約電力及び、最大電力Wmax の値を設定を
【図7】第3実施例のブロック図である。
変更することができる。
【符号の説明】
【0012】
1
受電設備
【発明の効果】本発明により、V結線トランスを用いた 10 2
トランス
トランス契約の場合には、トランス内に流れる電流値を
3
電力供給回路
小さくして、使用するトランスの容量を下げることで、
4
負荷
契約電力を小さくするとともに、実量制契約への移行を
5
スイッチ回路
できるだけ遅らせることができる。また、実量制へ移行
6
電流検出器
した場合には、使用電力を常に監視し、契約電力を超過
7
電圧検出器
しないように、使用電力の制限を行うことができる。
8
位相変換部
【図面の簡単な説明】
9
演算部
【図1】第1実施例のブロック図である。
10 警報部
【図2】第1実施例の位相変換部の回路図である。
*
W、W1 、W2 使用電力
【図1】
【図3】
(5)
【図2】
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【図4】
【図6】
(6)
【図5】
特開平8−294232
(7)
【図7】
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