住宅ローンのリスク管理 - クレジット・プライシング・コーポレーション

NSSOL & CPC プロダクト・フェア 2008 参考資料
住宅ローンのリスク管理
【抜粋版】
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Credit
Pricing
Corp.
@
2008年2月
新日鉄ソリューションズ株式会社
(株)クレジット・プライシング・コーポレーション
資料の要旨
„
住宅ローン債権のリスク管理にとって重要な側面についての
解説
‒ デフォルト確率(PD)
‒ デフォルト時損失(LGD)
‒ 期限前償還リスク(Prepayment)
‒ データの整備について(全般)
„
„
より発展的な手法のご紹介
‒
時間依存変数の導入(PD)
‒
勤務先の信用力の反映(PD)
‒
状態遷移確率の考え方(LGD)
住宅ローン債権管理システムのご紹介
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※ 当日のセミナー内容は予告なく変更することがあります。
2
当該分野に関する弊社の実績
1. 政府系金融機関における住宅ローンポートフォリオALMのフ
レームワーク構築
2. 住宅ローン審査用モデル(居住用、投資用)の構築
3. 機関投資家におけるセカンダリーマーケットにおける住宅
ローン買収のプライシングアドバイザー(評価対象債権オリジ
ネーター:都市銀行、外銀、生保等)
4. アパートローンを含む個人向けローンの時価評価
5. BaselⅡに対応した住宅ローンPDおよびLGDの推定
6. MBSプリペイメントモデルの構築(外資系投資銀行向け)
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3
PD:住宅ローン債権の特徴のまとめ
„
財務諸表のような詳細かつ毎年更新されるような資料は無く、
通常は申込時に一度だけ取得できる情報が材料の大半を占
める。
申込み審査時に重要な項目は何か?
‒ プール区分(信用ランク)は適切に設定されているか?
‒
„
融資期間が長い。
‒
„
時間によるPDの変化をどのようにリスク管理に反映しているか?
データベースの整備が遅れている。
‒
最適なデータベース設計はどのようにすれば良いか?
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4
PD:期間構造について
経過年数ごとの限界デフォルト率
大前提:
3.5%
3.0%
2.5%
限界DF率
「信用力に関わらず、経過時間に
沿ってPDに共通した変化が観察でき
る。」
2.0%
1.5%
Now Printing…
1.0%
0.5%
時間に沿った共通の特徴を抽出し
て信用力と別立てに考える。
PDの振る舞いを、時間による共通の
効果とそれを除いた純粋な個別属性
(純粋な信用力)の2つの側面から捕
える。
0.0%
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
経過年数
適切な信用ランクの設計が可能。
将来の正確なPDの推定が可能。
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5
PD:生存解析という考え方
„
手術後の経過や生誕から老後までの死亡率など。
‒ 処置方法や健康状態に関わらず、経過時間に対して共通の特徴が
見られる状況についての解析手段。
„
住宅ローン債権の経過年数とPDの関係に応用。
‒ 申込時の信用力(DTIやLTVなど)に関わらず、経過時間に対して共
通の特徴が見られる場合。
モデル式の例
t 年目の限界デフォルト率 = 1 − α
Now Printing…
exp( βxT )
t
全ての債権に共
通の時間効果
時間によらない個別
債権の信用力
βxT = β1 x1i + β 2 x2i + L β n xni (いわゆる共変量ベクトルの積)
例)
x1i :i 番目の債務者のDTI
x2i :i 番目の債務者のLTV
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6
PD:生存解析の実際
プール別実績限界DF率
プール別生存カーブ
8.000%
100%
実
績
限
界
4.000%
D
F
2.000%
率
6.000%
80%
生
60%
存
確
率
40%
プール1
プール2
プール3
プール4
Now Printing…
Now Printing…
プール1
プール2
プール3
プール4
0.000%
1
2
3
20%
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
経過年数
10
11
12
13
14
適切に設定されたプール区分において
は、年限を追ってリスクの格差が顕著に
識別されていることが確認出来ます。
7
8
9
適切なモデルからの推定限界DF率
は実績値と良くマッチします。
15
こうした予測性能を生
かすことにより、事前
審査モデルとして有効
な活用をすることが可
能になります。
5
6
経過年数
4
プール別推定限界DF率
8.000%
推
定
限
4.000%
界
D
F
2.000%
率
6.000%
Now Printing…
プール1
プール2
プール3
プール4
0.000%
1
2
3
4
5
6
経過年数
7
8
9
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PD:スコアリングと信用ランク
以下のチャートは、元となるデータベースからスコア管理表を経て、信用ランクが
決定される過程を示しています。
Now Printing…
デフォルトモデルの活用により、ローン単位に信用スコアを設定することが可能になり
ます。申込時の情報からは審査用のスコアが、毎年の更新情報を併用することで、常
に最新の情報を反映した信用スコアが算出され、精緻なリスク管理を支援します。
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8
PD:実務上のトピックス
„
観測期間と実際の融資期間
‒ 20年の生存解析を行うには、20年分のデータが必要か?
„
複数回デフォルトの扱い
‒
„
欠損データについて
‒
„
延滞デフォルト、格付遷移デフォルトは、一つのローンに複数回発生
する可能性がある。
申込書には、項目によってバラバラの欠損がくまなく散らばっている
がこれを適切にハンドルする方法がある。
日本版サブプライムへの対応
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9
PD:より発展的な手法のご紹介
„
時間依存変数の導入
‒ 預金残高を変数として毎年更新する方法。
‒ LTV(特に土地価格)を活用する方法。
„
勤務先の信用力の活用
‒ 勤務先の内部格付を変数として活用する方法。
‒ 勤務先のモデル格付を変数として活用する方法。
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10
LGD:基本的な考え方
„
定義例
‒ 代位弁済へ移行する場合
LGD = 1 −
回収額(PV)-経費
デフォルト時残高
Now Printing…
‒ 代位弁済へ移行しない場合
LGD = 1 −
回収額(PV) − 経費 + 正常復帰時の残高(PV)
デフォルト時残高
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LGD:発展的な考え方
„
状態遷移確率を考える。
代位弁済DF
(5%)
正常状態
回収履歴からLGDを算出
過去データから状態遷移を追跡
Now Printing…
1年後 2年後 3年後
延滞DF
格付遷移DF
(95%)
正常化
代位弁済
状態継続
10%
10%
80%
18%
25%
57%
・・・
25%
38%
37%
「いつどのような状態で損失額が確定するかという確率×その時の損失額」
を計算して期待値を求める。
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期限前償還について
„
期限前償還(プリペイメント)を考える必要性
‒ 生涯収益の計算
„
正確な推定残高を求めることの重要性
‒ 商品ごとの採算性の把握
„
ポートフォリオに合ったモデル選択の重要性
‒ ストレスシナリオ分析
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期限前償還モデルの紹介
CPRの推移
CPR
Now Printing…
1
21
41
61
全体月次cpr
„
„
„
81
101
121
経過月数
全部償還
141
161
181
一部償還
全部償還と一部償還を分けることの重要性
裕福層に潜む一部償還のリスクの重要性
金利差、住宅ローン減税期間、実行年、キャンペーン期間の扱い方。
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生涯収益計算のイメージ
収支項目
予定残高
期限前償還率
期限前償還後残高
スプレッド
資金収支
保証料
団信保険料
直接経費
(保証会社経費)
デフォルト率(PD)
LGD*
期待損失
収支
„
„
„
(計算式)
a
b
c = a × (1 - b)
d
e=c×d
f
g
h
i
j
k
l=c×j×k
e + f - g - h -i -l
経過年数
1年
2年
3年
10,000,000 9,460,000 8,920,000
0.30%
0.50%
0.80%
9,970,000 9,412,700 8,848,640
2.00%
2.00%
2.00%
199,400
188,254 176,973
299
282
265
50
47
44
3,000
3,000
3,000
1,500
1,500
1,500
0.01%
0.02%
0.05%
25%
25%
25%
249
471
1,106
194,900 183,518 171,588
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
・・・
Now Printing…
35年
0
0%
0
2.00%
0
0
0
0
0
0.50%
25% 通年合計
0 (生涯収支)
0
XXXXX
期限前償還
モデル
デフォルト
モデル
生涯収益の計算には、期限前償還率の推定値が重要な役割を果たす。
期限前償還率、及びデフォルト率にストレスをかけることで、ストレス・シミュレーションが
行える。
明細単位、プール単位でパラメータを設定し、結果を集計することが可能。
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データ作りについて:概要
申込書データ
債務者属性
(勤務先、年齢、
年収など)
生存解析データ
勘定系データ
取引属性
(残高、預金情報、
延滞など)
回収データ
別会社に存在する
場合もある。
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データ作りについて:収録期間
„
収録期間
最低4年(出来れば5年)のデフォルト観察期間が確保できれば、適切な処置を
施すことによって、全年限の期間構造を再現することが可能です。
観測期間
2002年3月
2007年3月
(完済)
実行時点
(申込情報)
(延滞)
(通常返済中)
(観測期間開始は実行時)
(観測期間終了は代位弁済時)
(格付遷移)
( ) 内=イベント情報
(代位弁済)
※ 全てのイベントが観測出来る期間を観測期間という。
全てのデータについて、実行当時からの情報が無くとも分析が可能です。
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データ作りについて:複数DFの扱い
初回DF
2回目のDF
観察終了
元のデータ
※ 実線部分は観察対象期間。
分割データ ①
分割データ ②
分割データ ③
※ 2回目のDFが代弁DF で無い場合、
非DFデータとして継続する部分が残る。
代弁DFの場合は残さない。
複数回デフォルトについても、生存解析上で適切な「観察期間」を設置する
など、適切な対処を取ることが可能です。
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住宅ローン債権管理システム
プール区分
パラメータ推定
営業
推進
時価
評価
共通基盤
デフォルトモデル / プリペイメントモデル
︵実現する機能︶
審査
モデル
アプリケーション
証券化
支援
Basel II
対応
管理プラットフォーム(共通データベース)
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19
住宅ローン債権管理システム
貴行の様々なデータベースのデータを統合的に管理します。
蓄積したデータを元に、BaselⅡに対応したPDやLGDの推定や
各種データ検索/分析を自由に実施できる環境を提供します。
審査システム など
¾住宅ローン統合管理
他システムからのデータ取り込み
日次/月次データ更新
各種条件によるローンデータ検索
勘定系
¾BaselⅡ対応(信用リスク管理)
BaselⅡ対応
プール区分別 推定DF率算出
¾属性分析機能
日次/月次
分析、リスク評価
住宅ローン
統合データベース
延滞分析
デフォルト分析
地域別構成
年収別構成など
¾価値分析、生涯収益分析
*シナリオシミュレーション機能
*モンテカルロシミュレーション機能
¾証券化サポート機能
各種帳票
(+分かり易い画面イメージ)
住宅ローン管理システム
I/Fファイル
譲渡対象債権抽出
登記データ作成
譲渡債権管理
サービシングレポート作成など
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住宅ローン債権管理システム
データ管理機能
信用リスク管理機能
時価評価/将来収益計算機能
属性分析機能
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まとめ
„
住宅ローン債権のデフォルト確率は、一般に強い期間構造が認められており、リスク管理上では期間構
造の適切な把握が必須です。
„
デフォルト確率の期間構造は、適切な処置を施すことによりモデル上で精度よく表現することが可能です。
„
その際、「個別ローンによらない共通の時間効果」と、「時間効果を除いた個別ローンの信用力」のファク
ターを分離して表現することが可能になります。
„
「共通の時間効果」は、将来の推定値を考える際に重要で、「個別ローンの信用力ファクター」は、一歩進
んだ信用ランクの設計に威力を発揮します。
„
途上管理が可能な変数(預金残高、地価など)は、時間依存変数としてモデルに組込むことが可能で、一
般に強い説明力を有します。
„
期限の利益が喪失しないデフォルトに対するLGDは、状態遷移確率を考えることでPDの定義との整合性
をもたせることが可能です。
„
一方で生存解析に必要なデータベースの構築は、申込書データ、勘定系データ、回収履歴データなど、
複数の場所(場合によっては法人)にまたがるデータを統合する必要があり、一定の作業量が前提となり
ます。
„
長期間の期間構造を再現するために必要な過去データは、必ずしも同じだけの長い期間が必要なわけ
ではなく、適切な処置をすることでより短い期間から全体の期間構造を再現することも可能です。
„
新日鉄ソリューションズ(株)と共同開発した「住宅ローン債権管理システム」は、データベースの構築から
モデル化まで、生涯管理を支援するための必要十分な機能を備えており、将来のどのようなニーズにも
柔軟に対応することが可能なシステムサービスです。
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本件についてのお問い合わせ
株式会社クレジット・プライシング・コーポレーション
担当 久保
電話:03(3524)7220、FAX:03(3524)7221
Email: [email protected]
※ 希望者へは、本資料の完全版を無料でお送りしています。
希望の旨をお知らせ下さい。
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簡易用語解説
„
※ より詳細については専門書をご参照下さい。
DTI : Debt to Income
一般に、年間返済金額を年収で割った比率のことを指す。
„
LTV: Loan to Value
一般に、融資金額を担保物件価格で割った比率のことを指す。
„
限界デフォルト率
本資料では、一定年数経過した後の翌年のデフォルト確率を意図して
いる。例えば5年目の限界デフォルト率とは4年間デフォルトしなかった
債権が5年目にデフォルトする確率のことを指す。同一の債務者であっ
ても、経過年数によってデフォルト率に大きな違いが生じる場合に、そ
の構造を把握するための指標の一つ。
„
CDR / CPR
本資料では、それぞれ限界デフォルト率(CDR)、限界期限前償還率
(CPR)の意味で用いている。
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(株)クレジット・プライシング・コーポレーション
„
信用リスクおよび企業価値測定モデル設計が発祥業務
‒ 金融系総合研究所における経験を生かし、中立的な立場から、付加価値
の高い業務の提供をおこなう、独立系企業です。
„
設 立 :
システム開発:
顧 客 :
„
URL
„
„
„
2001年
新日鉄ソリューションズ㈱と提携
総合商社、大手銀行、地銀、生命保険、損害保険、
ノンバンク、証券会社、投資銀行、ファンド、
公的機関などを中心に約150社
: http://www.credit-pricing.com
コーポレート・ミッション
‒ 「日本における金融インフラ高度化への貢献」
‒ 「時価概念=Pricing の普及」
„
金融工学と現実の取引の融合
‒ 金利やディリバティブだけでなく、あらゆる金融取引、企業業務に金融工
学の手法を適用しつつ、理論に走りすぎることなく、現実的な問題解決を
図ります。
‒ 単なるモデルの設計ではなく、企業戦略(企業再生、優先株発行、M&A、
株投資運用など)の策定に深く関わるコンサルティングを実施しています。
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