IT人材開発フォーラム 第 7 回「IT エンジニアのリーダーシップを開発する」 議事録 日時: 平成 22 年 6 月 11 日 18 時 30 分~21 時 00 分 場所: 東京 品川区大井町 「きゅりあん」 プログラム 1. 開会 2. あいさつ 座長 石井真司 3. テーマ 「ITエンジニアのリーダーシップを開発する」 話題提供者:上田雅美 氏 4. 意見交換 5. 次回の連絡 6. 閉会 ©OICOS Corp. 1 あいさつ 座長・石井真司より フォーラムの趣旨について 20 年以上 IT 業界にいて、若い人に人気がないと感じている。IT 業界は 4K とも言われ、元気がない姿を 見せていることもあるのではないか。フォーラムを通じて、IT 業界で働く人に元気になってもらいたい。ま じめな雑談の場、個人を大切にする場、この時間が終わっても人の輪を広げていきたいと考えている。 第7回テーマ「IT エンジニアのリーダーシップを開発する」 話題提供者:上田雅美氏(Ueda Masami) ■ プロフィール 総合商社総務部、OA インストラクターを経て、システムエンジニアとして勤務。SE 時代は大規模開発 のプロジェクトディレクターのアシスタントとして、プ ロジェクト管理などを行い、社内システムの開発チ ームリーダーも兼任。1999 年よりコーチとして活動し、2005 年に独立。現在はビジネスコーチ、パーソナ ルコーチとして経営者、マネージャーやチームに対してチームコーチングを行う。そのほか、コーチ育成や ビジネスセミナーの講師などにも精力的に活動している。 ©OICOS Corp. 2 ■ フォーラムダイジェスト ◆ 講師の自己紹介 ・社名「アネゴ企画」の由来 1999 年からコーチングを始め、女性向けにビジネスをしたいと考えていた。26 歳のアパレル店長とのコ ーチングで、彼女が「お局」と言われるという話を聞き、「ギャル」と「お局」の間にあたる存在はないかと 考え、「アネゴ」を思いついた。 ・コーチングとの出会い 1999 年、ソフトウェアのシステム開発の現場にいたが、何をどうしたら役に立てるのかわからなかった。 プロジェクトディレクターである上司の下、プロジェクトマネジメントのサポートを行い、プロジェクトマネ ジメントに興味を持つようになった。 好川哲人さんのプロジェクトマネジメントのメールマガジンで、リーダーになりたい人が減っているという 記事を読んだころに、社内でリーダーを断るという話が聞こえてきて、気になっていた。『日経コンピュー タ』の記事で、欧米ではコーチ型リーダーがスタンダードになっているという記事を読み、コーチングに興 味を持った。 現在は、エグゼクティブやリーダー向けコーチングと組織開発支援を中心に活動している。 ◆ エグゼクティブコーチングの事例紹介 ・エグゼクティブコーチングの背景は、組織内でエネルギー漏れが起きていること(人間関係、縦割り組 織、組織の不透明さ等) ・事例 1:現場提案により、顧客の信頼獲得 会社の業績悪化というところからスタート。開発の事業部長に、現場でやればよいのにできていないこ とは何かを聞いた。常駐の SE が提案できないことがある。社内で自主的な勉強会がスタートした。 ・事例 2:事業部長の連携により業績の向上 全国各地で女性が仕事をしている。広島と鳥取の営業成績がよくない。現場からお客様の声を拾う。 →いずれもトップマネジメントにコーチングを行い、意思決定をサポートした。 ©OICOS Corp. 3 ◆ コーチングについて ・1840 年代、学生の個人教師のことをコーチと呼ぶようになる。自然発生的に生まれ、スポーツやビ ジネスの世界に広がっていった。 ・1990 年代、アスリート、GE のジャック・ウェルチ氏、カーター大統領、ダイアナ妃がコーチを雇う。 ・『リフレクティブ・マネジャー』(中原淳・金井壽宏 著)を読み、人を牽引するリーダーから、コーチ型の リーダーがよさそうと思っていた。 ニューヨークでは、人をモチベートするスタイル、知恵を引き出すスタイルになっている。 ・日本では、1997 年からコーチングのインストール期。2007 年から実践期、企業内でのコーチが増え る。エグゼクティブ向けのコーチングが広がる。 ◆ 問い1~あなたの思うリーダーは、誰ですか? 下記、参加者の回答 ・自分の意志で決めて動ける、納得して責任を負える人。意思決定できる人。 ・カエサル(ローマ帝国を作った):任せる、結果の責任を自分でとる。 ・宇宙へ行きたいという夢を実現させた人。 ・原監督:強い、調和、ビジョンが明確、ぶれない。人を活かせるバランスのとれたリーダー。 ・松下幸之助さん ・自分:自分自身がリーダーシップをとれるようになった。段取り、役割分担を明確にする、コミュニケー ションの3つが大切。 ・小沢一郎さん:結束の高いグループができている。 ・稲盛和夫さん:一人一人が情熱を持っている、そういうチームを作りたい。 ・古田敦也さん:プレイングマネージャー、現場にいて現場を知っている。 ・プーチン氏:調和型が求められているが、強いイメージがある。 ・カエサル、ナポレオン、キング牧師:夢、情熱が大事。向かっている方向にもっていく。 ・サッカーのブラジル代表監督パレイラ:最後は自分で責任をとる。 ・オバマ大統領:夢がある。周囲の人が生き生きとしているリーダー。 ・アーネスト・シャクルトン(イギリスの探検家):南極大陸で遭難するも、隊員全員を無事イギリスに帰 還させた。目的を明確にして、理解させ、同じ目的に邁進させる。正しいことをする人。方向性を示す 人。 ©OICOS Corp. 4 ◆ リーダーシップは開発できる ◆ 問い2~あなたの知っているリーダーのやっていることは? 下記、参加者の回答 ・話を聞く ・方向性を示す ・ぶれない ・現場のステークホルダーを大切にする ・根回し上手 ・相手をよく見る、行動、表情、様子を見る ・現場を見る、社員、元気があるか? ・段取りをつけている ・役割分担をしている ・自分もみんなも楽しくする ・強みを引き出す ・自らの言葉で発信し続ける ・未来への意味付けを行う、やることの意味合いを伝える ・べき論とやりたいことの両方を示す ・率先垂範、やって見せる ・やる気と能力を個別に把握する ・相手に応じて使い分ける ・成果に対してほめる ※上田さんの元上司 A さん ずっと社内をぶらぶらしている。やることがないわけではない。言いづらいことは言ってこないので、自分 から聞きにいっている。 いざという時、問題になる前に吸い上げる名手と言われていた。「A さんのぶらぶら理論」 ◆ コーチ型リーダーの要素~日本コーチ協会「コーチのコンピテンシー」より 参加者より ・リーダーは、どの位いい質問ができるかが大事。 ・コーチング的な「ぶらぶら」だったらいいが、普通の人はただの世間話になってしまう。 ・質問ができるレベル、現場をみる。会議室で話した内容と現場では、次元が違う。 現場を見て、見識を深めてからコミュニケーションしないとだめ。 ・コーチングでの傾聴、承認はブレストでは出てこなかった。ほめることと承認(相手の存在を認める)は 全く違う。 ©OICOS Corp. 5 上田さんより ・リーダーが技術的なことを知っているといいのか、引き出せばいいのかという議論があった。 質問は中立の立場で行う。育児でも同じ。 ・自ら省みて、繰り返し行う。 ・コーチングのトレーニングでは、自分に関するものが多い。 何をやるか=Doing も大事だが、誰がやるか=Being も大事。 リーダーが一生懸命になることは、いいモデルになる。 ・落合監督のファンはあまりいない。効率のよいことをやっている。嫌いな人にも目を向ける必要がある。 ◆ アセスメントの紹介 「21 世紀のマネージャーのためのプログラム」(コーチユニバーシティ) 10 分野のうち、「パーソナルバランス」を実施。 プライベートなことが仕事や人間関係にも影響を与えている。 ◆ コーチ育成の現場で行われていること 学習のステップの 4 段階 1. できないを知らない 2. できないを知っている 3. 意識すればできる 4. 意識しないでできる アセスメントや対話、ワークショップなどのサポートがある。 ◆ 最後に その人それぞれのリーダーシップがある。続けていくものである。 リーダーシップは、開発できるもの。開発するためのパートナーの存在(誰かと話をするなど) 話し、考え、自ら行動し、起きたことから学ぶ。 ◆ リーダー塾、アネゴ塾の紹介 2008 年よりリーダーのための塾を主宰。現場をどう変えていくのか、自分がどう行動するのか、仲間と 共に切磋琢磨しながら考える場を提供している。寺子屋風の塾のイメージ。 ◆ 石井さんより リーダーシップは開発できる。 黙って俺についてこいスタイルではなく、自分で開発できる。 以上 ©OICOS Corp. 6
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