会長挨拶 第12回日本補完代替医療学会 学術集会開催にあたって 写真 第12回日本補完代替医療学会学術集会 会長 池口 惠観 第 12 回日本補完代替医療学会学術集会の開催にあたり一言ご挨拶申し上げます.科 学技術の発展に伴い,現代西洋医学も目覚ましい発展をとげ,日本はその最も恩恵をあ ずかる国の一つになっております.数多くの検査・診断法,治療機器,新薬などの開発 により,健康を取り戻していく人々がおいでる一方,依然として疾病による様々な問題 を抱え込み,苦しんでおられる方々も数多くいらっしゃいます.私は,主として「医の 倫理」について,これまで全国の医学部で学生に講義してきました.その一方で様々な 補完代替医療の相談も受けてまいりました.それは最先端の現代西洋医学をもってして も救われない方が数多く存在するということを意味していると思います.一方,医療従 事者の方で,サプリメントアドバイザーの資格を取得している方は,すでに一万人を超 えていると聞いていますが,医療現場での位置づけは定まっていないようですし,法的 整備も急がれるように思われます.経済産業省等の統計によりますと,2004 年の国民医 療費は 32 兆円とのことですが,鍼灸を含む補完代替医療はおよそその半分の規模もあ るそうです.このことは,それだけ補完代替医療の利用者が多いことを示しています. このように補完代替医療はライフケア領域のほとんどをカバーし,規模も大きいもので すので,今後本学会の役割はますます大きくなっていくものであると考えております. 以上の観点から,今年の学会のメインテーマを, 「未病・予防医学の理論と実践―心と 体そして食を科学する―」と題して開催することに致しました.昨年の学術集会は,循 環器内科の権威である笠貫宏先生を大会長として,心身医学から見た補完代替医療を テーマに開催され,好評を博しましたが,本年はいかにして病にならないかを検討する ために,日本予防医学会・健康食品管理士・日本肥満予防健康協会などの先生方とご一 緒に,未病・予防医学を考えていきたいと存じます.会場の高野山大学は,ユネスコに - 1 - より世界遺産として登録された高野山の一角にあり,恵まれた自然に加え,俗世と隔絶 した環境下,心と健康について一考を廻らす良い機会になればと考えております. 数多くの皆様のご参加をお待ち申し上げております. 平成21年10月 大会会長プロフィール 名 前 池口 生 高野山真言宗宗機顧問 惠観 イケグチ エカン 日本補完代替医療学会理事 年 日本予防医学会相談役 1936 年生 平成医療倫理研究会代表理事 21 世紀高野山医療フォーラム理事 連絡先 〒891–0133 鹿児島県鹿児島市平川町 4850 番地 1 ロシア連邦ハバロフスク医科大学客員教授 烏帽子山最福寺 学 位 学 学 役 フィリピン大学客員講師 ロシア連邦アカデミー東洋学研究所顧問・客員教授 位 名:医学博士(山口大学) 学校法人 歴 高野山学園理事 九州三十六不動霊場会会長 昭和 30 年 3 月 県立志布志高等学校卒業 学校法人最福学園理事長 昭和 34 年 3 月 高野山大学文学部密教学科卒業 財団法人日本レジャースポーツ振興協会理事 NPO アジア地域戦没者慰霊協会名誉総裁 職 鹿児島高野山 最福寺住職 医学博士(山口大学) 鹿児島アマチュアボクシング連盟副会長 兵庫医科大学客員教授,京都府立医科大学客員教授 西日本学生相撲連盟顧問 岡山大学医学部客員教授,高野山大学客員教授 百人会会主 山口大学医学部・広島大学医学部・金沢大学医学部・ 鹿児島ロータリークラブシニア会員 広島大学医学部・高知大学医学部・福井大学医学部・ 財団法人メディポリス医学研究財団理事 産業医科大学非常勤講師 - 2 - 目 次 会長挨拶 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 目次 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 交通のご案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 会場案内図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 参加者へのお知らせとお願い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 日程表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12 プログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17 特別講演 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37 教育講演 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45 シンポジウム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49 健康食品管理士合同シンポジウム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 53 日本予防医学会講演会合同シンポジウム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55 一般演題(口演) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 57 一般演題(示説) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71 各種セミナープログラム ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103 - 3 - 概 要 1.会 期 平成21年11月21日(土)~23日(月)祝日 2.会 場 高野山大学 和歌山県伊都郡高野町高野山385 3.会 長 会 長:池口 惠観 高野山大学客員教授 4.事務局・問合せ先 学会合同事務局 〒103-0013 東京都中央区日本橋人形町3-11-8 ST ビル4階 TEL:03-3661-2570 FAX:03-3661-2571 http://www.jcam-net.jp 日本補完代替医療学会 〒920-0919 金沢市南町4-52 新ビル203号 TEL:076-265-3900 FAX:076-265-3901 E-mail:[email protected] 5.学会行事 日本補完代替医療学会理事会 11月21日(土) 15:50~16:30 302号室(校舎A棟3階) 日本補完代替医療学会幹事会 11月21日(土) 16:30~17:00 302号室(校舎A棟3階) 健康食品管理士認定協会理事会 11月21日(土) 19:00~21:00 第3会議室(校舎A棟2階) - 4 - 日本補完代替医療学会総会 11月22日(日) 8:40~9:00 402号室(校舎A棟4階) 役員合同懇親会 11月22日(日) 18:30~20:30 普賢院(高野山大学からすぐ) 住所:和歌山県伊都郡高野町高野山 605 電話:0736-56-2131 http://www.fugen-in.com/ - 5 - 交通のご案内 大阪「なんば駅」~「高野山駅」 大阪難波駅から南海高野線で高野山駅まで特急で1時間20分(1日4本) 急行で1時間40分(30分毎発車) ●関空から難波駅まで南海特急ラピートで約30分 ●新大阪から難波駅までは地下鉄で約20分 ●和歌山・奈良方面からは、JR和歌山線橋本駅で乗り換え→南海高野線 西名阪自動車道より 藤井寺 IC→国道 170 号→河内長野→国道 371 号→橋本市へ 東名阪自動車道より 奈良・天理IC→国道 24 号→橋本市へ 橋本市より 国道 370 号→国道 480 号→大門 和歌山市より 国道 24 号→国道 480 号→大門 - 6 - 会場案内図 - 7 - 参加者へのお知らせとお願い 参加者の方へ ① 受付 1)参加登録料 学会参加費: 5,000円(3日間共通) 無 料 (学生)(ただし,学生証の提示) 抄 録 集: 2,000円 2)受付場所 総合受付(校舎1階) 3)受付時間(入場) 11月21日(土) 10:30~ 11月22日(日) 9:00~ 11月23日(月) 9:00~ ② クローク 会場内にはクロークは用意していませんのでご了承下さい。 ③ 呼び出し 原則として会場内でのお呼び出しはいたしません。総合受付の伝言板をご利用ください。 ④ 会場内でのご注意 会場内での録音,写真及びビデオ撮影はご遠慮ください。また,携帯電話およびポケットベル のスイッチはお切りください。(至急の場合、携帯電話はマナーモードにし、ポケットベルは オフにして下さい。) ⑤ 企業展示(校舎A棟3階・4階) 展示会場にて開催いたします。 *開催時間 11月21日(土)12:00~11月22日(日)17:00 *一般市民の方も入場可能です。(無料) - 8 - 特別講演・シンポジウム 座長・演者の方へ 座長の方へ 1.ご担当セッション開始の10分前までに、会場内の次座長席にお着き下さい。 2.セッションの進行は座長にお任せいたしますので、演者の発表時間を厳守して下さ い。 演者の方へ 1.演者は、セッション開始の10分前までに会場内の次演者席にお着き下さい。 2.演者お一人の発表時間は事前にご案内いたしました通りです。 3.発表はPCによるプレゼンテーションです。 (1) 発表は全てPCによる発表となります。スライドやOHPは使用できません。 (2) PCによるプレゼンテーションに関してのお願い PCによる発表は、原則当日のデータ受付とし、本学会で用意したコンピュー ターを使用いたします(Windows のみ)。当日、会場にお越しになられました らPCデータ受付(試写デスク)にお立ち寄りください。 当日はバックアップデータを CD-ROM、USB フラッシュメモリーに記録して ご持参下さい(MO は不可です)。 OS は、Windows2000/XP/Vista アプリケーションは、Power point2003。 2007 バージョンで資料を作成の場合には、必ず 2003 バージョンに変換してお 持ちください。 97~2000 まで対応していますが、不具合の起こる可能性もあり、2003 で作成 しなおしていただくか、または PC にインストールしてお持ちください。 【ご注意】 Macintosh をご使用の先生方は、ご自身の PC ならびに6P 変換プラグをご持参く ださい。 - 9 - 一般口演 座長の方へ 座長・演者の方へ 1.ご担当セッション開始の10分前までに、会場内の次座長席にお着き下さい。 2.セッションの進行は座長にお任せいたしますので、演者の発表時間を厳守して下 さい。(発表7分・討論3分) 演者の方へ 1.演者は、各自の発表開始時刻の10分前までに会場内の次演者席にお着き下さい。 2.発表時間は、発表7分、討論3分です。発表時間は厳守して下さい。 3.発表はPCによるプレゼンテーションです。 (1) 発表は全てPCによる発表となります。スライドやOHPは使用できません。 (2) PCによるプレゼンテーションに関してのお願い PCによる発表は、原則当日のデータ受付とし、本学会で用意したコン ピュータを使用いたします(Windows のみ)。当日、会場にお越しになられ ましたらPCデータ受付(試写デスク)にお立ち寄りください。 当日はバックアップデータを CD-ROM、USB フラッシュメモリーに記録し てご持参下さい(MO は不可です) 。 OS は、Windows2000/XP/Vista アプリケーションは、Power point2003。 2007 バージョンで資料を作成の場合には、必ず 2003 バージョンに変換して お持ちください。 97~2000 まで対応していますが、不具合の起こる可能性もあり、2003 で作 成しなおしていただくか、または PC にインストールしてお持ちください。 【ご注意】 Macintosh をご使用の方は、ご自身の PC ならびに6P 変換プラグをご持参く ださい。 - 10 - ポスターセッション 座長の方へ 座長・演者の方へ 1.ご担当セッションにて開始の10分前までに待機して下さい。 2.演者1人の発表時間は、発表5分、討論3分です。進行は座長にお任せいたし ます。 3.ご担当の場所に、指示棒と一緒に座長用リボンがありますので、着用して下さい。 4.セッション終了後には、座長用リボン、指示棒を元の位置に返却して下さい。 演者の方へ 1.ポスターの貼付・討論・撤去時間は下記の通りです。 貼付時間 11月21日(土)12:00から貼付可能です。 撤去時間 11月22日(日)19:00までに撤去して下さい。 討論時間 11月22日(日) 9:10~10:10(A~D) 11月22日(日)13:00~13:30(E~H) 2.討論開始時刻までにご自分のポスター前にて待機して下さい。 3.ポスター(示説)発表時間は、発表5分、討論3分です。 ポスターはあらかじめ掲示しておいて下さい。 4.ポスター掲示パネルに演者用リボンがありますので、着用して下さい。 5.ポスター発表はグループに分かれており、それぞれのグループに座長を設けて おります。座長の指示に従って下さい。 6.発表終了後には、演者用リボンを元の位置に返却して下さい。 掲示要領 (1) 掲示用パネルは右図のとおりです。 20cm (2) 演題番号(20cm×20cm) ,貼付用 具(プッシュピン)は事務局にて用意いた 20cm 70cm 演題 演題名・発表者 番号 所属 します。 (3) 本文とは別に,縦20cm×横70cm の大きさに「演題名・発表者名・所属」を 発表内容 記入したものをご準備ください。 (4) 本文は縦160cm×横90cmの大き さにまとめてください。 (5) 発表内容は,目的・方法・成績・結論の 項目に分けて掲示してください。 (6) 撤去時間を過ぎても未撤去のポスターは 事務局にて処分させていただきますので, ご了承ください。 - 11 - 160 cm 日程表 9:00 11月21日(土) 302号室(校舎A棟3階) 402号室(校舎A棟4階) 403号室(校舎A棟4階) 10:00 11:00 11:45~11:55 大会会長池口惠観挨拶 12:00 ランチョンセミナー(12:00-12:50) ランチョンセミナー(12:00-12:50) アガリクス・ブラゼイ協議会 不二製油㈱ 12:50 13:00 教育講演(13:00-13:50) 「内臓脂肪とアディポサイエンス」 演者:大野 誠 日本補完代替医療学会 一般演題口頭発表 (13:00-14:00) 13:50 14:00 シンポジウム(14:00-15:30) 「鍼灸医療の現状と可能性」 座長:坂井 友実 山下 仁 14:50 シンポジスト:山下 仁 楳田 高士 15:00 福田 文彦 安野富美子 15:30 14:10 データセミナー(14:10-14:50) ドクターセラム㈱ データセミナー(14:10-14:50) グローブサイエンス㈱ 教育講演(15:00-15:50) 「アンチエイジングの現状と将来 展望」 演者:森 吉臣 データセミナー(15:00-15:40) ㈱テクノリンク 15:40 15:50 16:00 日本補完代替医療学会理事会 (15:50-16:30) 16:30 16:40 日本補完代替医療学会幹事会 16:50 (16:30-17:00) 17:00 特別講演(16:00-17:00) データセミナー(16:00-16:40) 「Investigation on the effects of ㈱リージャー taheebo concentrate on various blood parameters and quality of life in patients suffering cancer」 演者:ヘルムート・バチョフスキー データセミナー(16:50-17:30) ㈱J-オイルミルズ 17:10 17:30 17:55 特別講演(17:10-17:55) 「葉酸摂取のすすめ」 演者:水上 18:00 - 12 - 尚典 9:00 ポスター会場(校舎B棟4階) 第3会議室(校舎A棟2階) 松下講堂黎明館 第 6 回 21 世紀 高野山医療フォーラム 【今求められる学びと実践】 (21 日 11 時 50 分~ 22 日 17 時 30 分) 10:00 11:00 主催者挨拶(11:50~) 藤村隆淳高野山大学長 12:00 特別講演(12:00~13:30) 玄侑宗久 僧侶 作家 13:00 基調講演(13:30~14:45) 柳田邦男 ポスターの貼付 (12:00-15:00) 14:00 15:00 健康食品管理士認定協会 16:00 健康食品管理士認定試験 特別集中講義 (14:00-18:00) 17:00 【健康食品管理士認定試験を 翌日受ける方のための講義】 講演1(15:00~16:15) 竹内整一 東京大学大学院教授 講演2(16:15~17:15) 村上保壽 高野山真言宗教学部長 休憩(17:15~19:00) 18:00 19:00 20:00 ワークショップ (19:00~21:00) 健康食品管理士認定協会理事会 (19:00~21:00) 21:00 - 13 - 講師:鈴木秀子 国際コミュニオン学会 名誉会長 日程表 11月22日(日) 302号室(校舎A棟3階) 402号室(校舎A棟4階) 403号室(校舎A棟4階) 8:40~9:00 日本補完代替医療学会総会 9:00 日本肥満予防健康協会 特別講演 (9:00-9:50) 「メタボ解消における基礎知識普 及と動機付けについて」 演者:宮崎 健爾 9:50 10:00 日本肥満予防健康協会 日本補完代替医療学会 セミナー 教育セミナー(学識医制度) (10:15-10:40) (10:00-11:50) 【※本セミナーは学識医受験資格 として必須。ただし、健康食品管理 士認定試験を受験する方は申し出 て下さい。】 10:15 10:40 10:45 特別講演(11:10-11:50) 特別講演(10:45-11:45) 「中国保健食品における現状と薬 「わが国の循環器疾患予防の視点: 食兼用素材の活用」 NIPPON DATAの知見から」 演者:戴 昭宇 演者:上島 弘嗣 11:00 11:45 11:50 12:05 12:55 ランチョンセミナー(12:05-12:55) ランチョンセミナー(12:05-12:55) ランチョンセミナー(12:05-12:55) ㈱トレードピア、DKSHジャパン㈱、 富士化学工業㈱ 持田製薬㈱ ホーファーリサーチ社 13:30 日本補完代替医療学会 14:00 一般演題口頭発表 (13:30-15:00) 14:40 15:00 16:00 17:00 18:00 データセミナー(14:00-14:40) タヒボジャパン㈱ 健康食品管理士合同シンポジウム (15:00-17:00) 「消費者にとって有益な健康食品 情報のあり方」 司会:岩谷 良則 齋藤 邦明 シンポジスト:長村 洋一 大濱 宏文 尾崎 俊雄 18:30 役員合同懇親会(18:30-20:30) 日本補完代替医療学会、日本予防医学会、健康食品管理士認定協会、日本肥満予防健康協会、21世紀高野山 医療フォーラムほか 場所:普賢院(高野山大学からすぐ) 住所:和歌山県伊都郡高野町高野山605 電話:0736-56-2131 http://www.fugen-in.com/ 20:30 - 14 - ポスター会場(校舎B棟4階) 第3会議室(校舎A棟2階) 9:00 9:10 10:10 松下講堂黎明館 シンポジウム(9:00~11:30) 実践からの学びと展望 座長:川越厚 座長:山折哲雄 パネラー 井上ウィマラ、黒田裕子 髙田正圓、田村祐樹 袴田俊英 日本補完代替医療学会 ポスター発表(9:10-10:10) 10:20 健康食品管理士認定試験 (10:20-12:50) 主催者挨拶(12:30~12:40) 庄野光昭 高野山真言宗宗務総長 記念講演(12:45~13:45) 矢崎義雄 独立行政法人 国立病院機構理事長 12:50 13:00 日本補完代替医療学会 ポスター発表(13:00-13:30) 13:30 講演3(13:45~14:45) 帯津良一 帯津三敬病院名誉院長 講演4(15:00~16:00) 永田良一 (株)新日本科学 代表取締役社長 特別講演2(16:00~17:15) 瀬戸内寂聴 閉会挨拶(17:15~) 柳田邦男 18:30 20:30 - 15 - 日程表 11月23日(月) 松下講堂黎明館 第5回日本予防医学会講演会 合同シンポジウム テーマ:世界遺産と健康の旅 -若さ・長寿の秘訣 8:50 池口惠観 会長挨拶 9:00 講演1 (9:00-9:30) 家田荘子「四国歩き遍路と健康」 講演2 (9:35-10:05) 松﨑益德「生活習慣病から心臓を守る」 10:00 講演3 (10:10-10:40) 大内尉義「生活習慣の改善からできるアン チ・エイジングの実践」 講演4 (10:45-11:15) 11:00 新家荰平「心にもワクチンを」 講演5 (11:20-11:50) 金本知憲・新井貴浩「身体を大切に」 総合討論 12:30 - 16 - プログラム 11月21日(土) 302号室(校舎A棟3階) 14:00~15:30 ● シンポジウム 「鍼灸医療の現状と可能性」 座長:坂井 友実(東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科 教授) 座長:山下 仁(森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科 教授) -シンポジスト- 安全性からみた鍼灸治療の現状と可能性 山下 仁(森ノ宮医療大学保健医療学部鍼灸学科 教授) 麻酔科領域における鍼灸治療の現状と可能性 楳田 高士(関西医療大学保健医療学部鍼灸学科 教授) 緩和医療における鍼灸治療の現状と可能性-がん治療に伴う副作用を中心に- 福田 文彦(明治国際医療大学 臨床鍼灸学教室 准教授) 高齢者医療における鍼灸治療の現状と可能性 安野富美子(東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授) - 17 - プログラム 11月21日(土) 402号室(校舎A棟4階) 13:00~14:00 一般演題(口演) 座長:亀井 中村 勉(ヴィアドリナ欧州大学 特任教授) 浩(中村内科クリニック 院長) O-1 プロポリス吸入による気管支喘息軽減効果の研究 ○弘田 村 量二1)、Ngatu Nlandu Roger1)、Narongpon Dumavibhat1)、Musenbo Andre Basilua1)、中 裕之2)、栄徳 勝光1)、菅沼 成文1) 1)高知大学教育研究部医療学系医学部門(環境医学)、2)金沢大学大学院医学系研究科環境生態医学 O-2 好中球を用いた新規食品機能性評価法によるクルクミン類の評価 ○數村 公子1)、岡崎 茂俊2)、土屋 広司1)、大澤 俊彦3) 1)浜松ホトニクス(株)・中央研究所、2)浜松医大・光量子センター、3)名古屋大院・生命農学研究科 O-3 A Lower Molecular Weight(s) Isolated from Agaricus blazei Murill K (ABMK) as a Potent Multipotential Chemopreventive Agent(s) and the possible Molecular Mechanism(s) of Action. I.P. Lee1)、T. Ohta2)、V. E. Steele3) 1)Department of CAM Clinical R&D、2)Graduate Faculty of Natural Sciences, Kanazawa University, Kanazawa, Japan、3)Chemopreventive Agent Development Research Group, National Cancer Institute, Bethesda, USA O-4 当帰芍薬散の効果:サルモデルでのゲノミクス評価試験 ○中村 伸1)、光永 総子1,2)、後藤 博三3) 1)京大霊長類研・分子生理部門・遺伝子情報分野、2)NPO プライメイト・アゴラ、3)富山大学大学 院・医学薬学研究部(医学)・和漢診療学講座 O-5 レモンの芳香による心理学的変化と生理学的変化 ○神保 太樹1,2)、宮里 文子1)、大門 美智子1) 1)NPO法人関西アロマセラピストフォーラム、2)鳥取大学医学部生体制御学 - 18 - O-6 メニエール病へのハーブティーの効果 ○北島 尚治1)2)3)、北島 明美2)、渡邊 雄介3)、鈴木 衞1) 1)東京医科大学耳鼻咽喉科、2)北島耳鼻咽喉科医院、3)国際医療福祉大学耳鼻咽喉科 16:00~17:00 ● 特別講演 座長:徳田 春邦(金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座 客員准教授) Investigation on the effects of taheebo concentrate on various blood parameters and quality of life in patients suffering cancer Bacowsky Helmut(Zentrum Nosomi Clinic) 17:10~17:55 ● 特別講演 座長:新井 隆成(金沢大学大学院医学系研究科 周生期医療専門医養成学講座 特任教授) 葉酸摂取のすすめ 水上 尚典(北海道大学大学院医学研究科 産科生殖医学分野 教授) - 19 - プログラム 11月21日(土) 403号室(校舎A棟4階) 13:00~13:50 ● 教育講演 内蔵脂肪とアディポサイエンス 大野 誠(日本体育大学大学院 健康科学・スポーツ医科学系) 15:00~15:50 ● 教育講演 アンチエイジングの現状と将来展望 森 吉臣(統合医療 赤坂 AA クリニック 院長) - 20 - プログラム 11月21日(土) 松下講堂黎明館 ● 第6回 21世紀高野山医療フォーラム (21日11時50分~22日17時30分) 【今求められる学びと実践】 11:50~ ■ 主催者挨拶 藤村 隆淳(高野山大学長) 12:00~13:30 ■ 特別講演 玄侑 宗久(僧侶 作家) 13:30~14:45 ■ 基調講演 柳田 邦男(21世紀高野山医療フォーラム 理事長) 15:00~16:15 ■ 講演1 竹内 整一(東京大学大学院 人文社会系研究科 教授) 16:15~17:15 ■ 講演2 村上 保壽(高野山真言宗教学部長) 17:15~19:00 休 憩 - 21 - 19:00~21:00 ■ ワークショップ 講師:鈴木 秀子(国際コミュニオン学会名誉会長) - 22 - プログラム 11月22日(日) 302号室(校舎A棟3階) 13:30~15:00 一般演題(口演) 座長:生山祥一郎(九州大学生体防御医学研究所 個体機能制御学 部門 小濱 免疫病態学分野 准教授) 隆文(恵寿総合病院 産院院長) O-7 魚油,ビルベリーエキス、及びルテイン含有食品がヒトの眼精疲労症状へ与える影響~二重盲検 ランダム化比較試験による検証~ 二功1)、岸 ○川端 利弘1)、辻 1)日本水産株式会社 智子1) 生活機能科学研究所 O-9 「N-アセチルグルコサミン」は血液透析患者の皮膚性状に影響を及ぼすか? 友理子2)、太田 ○西尾 1)焼津市立総合病院 信隆1) 泌尿器科、2)焼津市立総合病院 血液浄化療法室 O-10 抑肝散の眼瞼痙攣の治療における役割 ○原 直人、大野 晃司、鈴木 裕美、向野 和雄 神奈川歯科大学附属横浜クリニック眼科学講座 O-11 オーガニックハーブパックによる新しい温罨法の有用性についての検討 匠(ท า คู ○小林 มิ โ ค บ า ย า ช )1)、岡田 1)Jae-Tu 41 Herb Institute Thailand (เ จ ตุ 昌也2)、堀江 俊裕2) 41 ส ถ า บั น ส มุ น ไ พ ร ไ ท ย )、2)さいたま柔整専門学校 O-12 食事療法の併用にて病状の改善を認めた膵癌の1例 ○徳原 朗、枝元 真、須田 竜一郎、日野原 良広、橋本 政典、安田 千速、三宅 秀光、斉藤 国立国際医療センター戸山病院・外科 - 23 - 大、竹下 惠美子、山澤 幸夫、清水 利夫 邦宏、矢野 秀 O-13 高齢者や衰弱者に対する在宅温熱療法としての進行癌に対する低温岩盤浴の有用性について 洋二1)、上者 篠崎 1)医療法人 合研究科 篠洋会 郁夫3)、佐野 俊二4) 篠崎クリニック、2)岡山大学大学院保健学研究科、3)岡山大学大学院医歯薬総 心臓血管外科 O-14 乳がん患者の健康食品利用状況 ○原田 佳子 医療法人社団 三輪 恵正会 祥子 医療事業部 高本 美和子 栄養課 - 24 - プログラム 11月22日(日) 402号室(校舎A棟4階) 10:15~10:40 ● 日本補完代替医療学会教育セミナー(学識医制度) 【※本セミナーは学識医受験資格として必須。ただし、健康食品管理士認定試験を受験する方 は申し出て下さい。】 10:45~11:45 ● 特別講演 座長:鈴木 信孝(金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学 特任教授) 中国保健食品における現状と薬食兼用素材の活用 戴 昭宇(東京有明医療大学 保健医療学部 准教授) 15:00~17:00 ● 健康食品管理士合同シンポジウム テーマ:消費者にとって有益な健康食品情報のあり方 司会:岩谷 良則(大阪大学医学部大学院教授) 司会:齋藤 邦明(京都大学医学部大学院教授) 消費者にとってのアドバイザリースタッフ -健康食品管理士認定5年間の活動を振り返って- 長村 洋一(鈴鹿医療科学大学大学院 教授) 内外の情勢から見た健康食品情報のありかたについて 大濱 宏文(日本健康食品規格協会 理事長) 消費者行政における健康食品問題について 尾崎 俊雄(消費者庁政策調整課 企画官) - 25 - プログラム 11月22日(日) 403号室(校舎A棟4階) 9:00~9:50 ● 日本肥満予防健康協会 特別講演 メタボ解消における基礎知識普及と動機付けについて 宮崎 健爾(日本肥満予防健康協会 理事長) 10:00~11:50 ● 日本肥満予防健康協会 セミナー 11:10~11:50 特別講演 座長:中村 裕之(金沢大学 医薬保健研究域医学系 環境生態医学・公衆衛生学 教授) わが国の循環器疾患予防の視点:NIPPON DATA の知見から 上島 弘嗣(滋賀医科大学 生活習慣病予防センター) - 26 - プログラム 11月22日(日) 松下講堂黎明館 ● 第6回 21世紀高野山医療フォーラム 9:00~11:30 ■ シンポジウム 「実践からの学びと展望」 座長:川越 座長:山折 パネラー 厚(医療法人社団パリアン 理事長) 哲雄(宗教学者) 井上ウィマラ(高野山大学文学部 准教授) 黒田 裕子(阪神高齢者・障害者支援ネットワーク 理事長) 髙田 正圓(唐泉寺 住職) 田村 祐樹(彦根市立病院緩和ケア 医師) 袴田 俊英(僧侶) 12:30~12:40 ■ 主催者挨拶 庄野 光昭(高野山真言宗 宗務総長) 12:45~13:45 ■ 記念講演 矢崎 義雄(独立行政法人国立病院機構 理事長) (第28回日本医学会総会 13:45~14:45 ■ 講演3 帯津 良一(帯津三敬病院 名誉院長) - 27 - 会長) 15:00~16:00 ■ 講演4 永田 良一(㈱新日本科学 代表取締役社長) 16:00~17:15 ■ 特別講演2 瀬戸内寂聴 17:15~ ■ 閉会挨拶 柳田 邦男(21世紀高野山医療フォーラム 理事長) - 28 - プログラム 11月8日(土) 11月22日(日) ポスター会場(校舎B棟4階) 9:10~10:10 一般演題(示説) 座長:平田 章二(平田口腔顎顔面外科 がんヴレッジ札幌 院長) P-A-1 日本人変形性関節症患者におけるシアの実抽出物の安全性 伊知郎1)、藤井 水島 井 隆成3)、鈴木 博1)、川野 充弘1)、加畑 多文2)、○重田 優子3)、大野 智4)、新 信孝3) 1)金沢大学附属病院リウマチ膠原病内科、2)金沢大学附属病院整形外科、3)金沢大学大学院医学系研 究科、4)東京女子医科大学 P-A-2 がん統合医療における薬用植物タベブイア・アベラネダエ(俗名タヒボ)から抽出された「NQ 801」の臨床的検討 ○平田 章二 平田口腔顎顔面外科 腫瘍内科 がんヴィレッジ札幌, P-A-3 霊芝菌糸体培養抽出物(MAK)による大腸腺腫の増大抑制作用 ○岡 志郎1)、田中 靖彦2)、吉原 信治1)、吉田 正治3)、茶山 成人1)、日山 亨3)、上野 義隆1)、伊藤 公訓2)、北台 一彰2) 1)広島大学病院 内視鏡診療科、2)広島大学大学院 分子病態制御内科学、3)広島大学 保健管理セン ター P-A-4 緑茶の喫煙者に対する血管内皮機能改善効果について ○尾山 1) 、牧野 純一1)、前田 豊樹1)、高妻 和哉2)、落合 龍史2)、時光 一郎2)、樋口 義洋 1) 直樹 1)九州大学病院別府先進医療センター 循環呼吸老年病内科、2)花王株式会社 学術部 P-A-5 還元型コエンザイムQ10・ピクノジェノール®・杜仲葉エキス配合食品によるアンチエイジング効 果の検討-加速度脈波による末梢血液循環の評価- - 29 - ○寺本 有見、長尾 小林製薬株式会社 淳二 中央研究所 座長:太田 富久(金沢大学 医薬保健研究域薬学系 教授) P-B-1 薬草温熱療法の作用機序へのアプローチ-その1:薬草中ジテルペノイドの表皮細胞における HSP70誘導促進作用- 弘子1)、八塚 ○小川 幸枝1)、許 鳳浩1)、上馬塲 和夫1)、横澤 隆子2)、趙 慶利3)、御 雅幸4) 影 1)富山大学和漢医薬学総合研究所未病研究部門、2)富山大学和漢医薬学総合研究所薬効解析部、3)富 山大学医学薬学研究部放射線基礎医学、4)金沢大学大学院自然科学研究科 P-B-2 口腔内溶解カプセル用生薬混合物の抗インフルエンザ作用 理人1)、仁井本 ○古川 徹1)、坂上 大野 剛1)、二ノ宮 創1)、中野 修身1)、水谷 勝史1)、杉本 敬之1)、 吉一2) 1)森下仁丹株式会社、2)近畿大学農学部 P-B-3 Aβ-40によって誘発される細胞障害に対する抑肝散(TJ-54)の制御効果 園英1,2)、李 ○劉 代偉2) 1)北陸大薬、2)北陸大フロンティア P-B-4 ハトムギ熱水抽出物の変異原性試験‐復帰変異試験、マウスリンフォーマ試験(MLA)、マウス 小核試験- 林 浩孝1,2),石橋 田 富久5),鈴木 範人3),太田 真弓3),新井 隆成4),○重田 優子2),徳田 春邦2),太 信孝2) 1)金沢大学イノベーション創成センター、2)金沢大学大学院医学系研究科臨床研究開発補完代替医療学 講座、3)株式会社バイオセラピー開発研究センター、4)金沢大学大学院医学系研究科周生期医療専門医 養成学講座、5)金沢大学大学院自然科学研究科生命科学専攻創薬科学講座 P-B-5 山茱萸由来成分7-O-galloyl-D-sedoheptuloseの2型糖尿病モデルマウスにおける作用 ○朴 鑽欽1)、盧 貞淑1)、上馬塲 和夫2)、横澤 隆子1) 1)富山大学和漢医薬学総合研究所薬効解析部、2)富山大学和漢医薬学総合研究所未病解析応用研究部門 - 30 - 座長:高木 厚司(九州大学大学院医学研究院 統合生理分野) P-C-1 熱処理前後の大麦若葉エキスの抗酸化能 ○高木 厚司1)、大橋 定宏2)、川越 信秀3) 九州大学医学研究院・統合生理、2)(株)TASプロジェクト、3)(株)エスアールエル・食品衛生検査部 P-C-2 瓊玉膏の遺伝子の酸化損傷予防効果 信孝1)、重田 鈴木 優子1)、○新井 隆成1)、高木 厚司2)、川越 信秀3) 1)金沢大学大学院医学系研究科、2)(株)TASプロジェクト、3)(株)エスアールエル・食品衛生検査 部 P-C-3 新潟県内に自生するヤマグワの1-デオキシノジリマイシン(DNJ)含量、ポリフェノール含量、 抗酸化性の定量 ○八並 一寿1)2)、村田 幸治2)3)、大宮 武一4)、亀井 勉2)3) 5) 1) 玉川大学農学部、2)財団法人島根難病研究所、3)金沢大学大学院医学系研究科、4)ユニオンフー ズ株式会社 5) European University Viadrina Frankfurt (Oder) P-C-4 ハトムギ原穀と同エキス末の酸化・抗酸化能の比較検証 ○高木 木 厚司1)、大橋 定宏2)、川越 信秀3)、重田 優子4)、林 浩孝4)、新井 隆成4)、鈴 信孝4) 1)九州大学医学研究院、2)(株)TASプロジェクト、3)(株)エスアールエル・食品衛生検査部、4) 金沢大学医学系研究科 P-C-5 精油成分Borneol、α-Thujone 及び1.8-CineoleのCandida albicans の発育に及ぼす効果 ○西川 明宏1)、久島 達也1), 2)、上岡 太一3)、安部 茂2)、高橋 秀則1) 1)帝京平成大学ヒューマンケア学部はり灸学科、2)帝京大学医真菌研究センター、3)株式会社アメニ ティーサービス 座長:亀井 勉(ヴィアドリナ欧州大学 特任教授) P-D-1 リフレクソロジーが生体に及ぼす生理的・心理的影響-パイロットスタディ- ○豊田 省子1)、野中 靜2)、大学 和子3)、池本 - 31 - 厚子4)、半田 直子2) 1)白鴎大学、2)山形県立保健医療大学、3)聖母大学、4)聖母看護学校 P-D-2 生活習慣病型癌患者を対象とした統合的ライフスタイル介入 遼子1)、前田 ○須見 未紀1)、真田 阪上 和久1)、大久保 泰明1)、伊藤 郁子1)、平井 啓1)、石崎 直人2)、福田 文彦2)、 壽記1) 1)大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座、2)明治国際医療大学 臨床鍼灸学教室 P-D-3 アロマセラピーにおけるコミュニケーション効果の検討 太樹1,2)、宮里 ○神保 文子1)、森田 和代1)、大門 美智子1) 1)NPO法人関西アロマセラピストフォーラム、2)鳥取大学大学院医学系研究科病態検査学分野 P-D-4 健康小児におけるサプリメント使用状況について 渚1)、濱田 ○森 生子1)*、永井 亜矢子1)、久保田 優1) 1)奈良女子大学大学院 生活環境学部 食物栄養学科、*株式会社アプリーティセサモ (現) P-D-5 内服薬は良導絡における心包経・心経・小腸の経絡の“虚”に影響する ○李 玉棟、大野 智、古谷 道子、古谷 喜幸、山本 俊至、松岡 瑠美子 東京女子医科大学・国際統合医科学インスティテュート 13:00~13:30 一般演題(示説) 座長:小濱 隆文(恵寿総合病院 産院院長) P-E-1 ミント系植物に含まれる成分の肥満防止効果 ○今井 株式会社 雄大、吉田 真実、三木敬三郎 バイオス医科学研究所 P-E-2 スイートオレンジの芳香による心理学的変化と生理学的変化 ○神保 太樹1,2)、宮里 文子1)、大門 美智子1) 1)NPO法人関西アロマセラピストフォーラム、2)鳥取大学医学部生体制御学 - 32 - P-E-3 スイートオレンジによる気分プロフィールの変化 太樹1,2),宮里 ○神保 文子1),大門 美智子1) 1)NPO法人関西アロマセラピストフォーラム,2)鳥取大学医学部生体制御学 座長:芥 直子(キッコーマン総合病院 小児科部長) P-F-1 骨盤矯正ベルトの装着によるホルモンタンパク質の産生量および筋横断面積の変化 八大1,2)、土屋 ○土屋 義弘1)、片岡 美代子1)、和田 晃1,3)、本山 貢2) 1)株式会社ユー、2)和歌山大学、3)大阪大学 P-F-2 ピクノジェノール・アルギニン含有食品の精神神経疾患患者におけるED改善作用 洋満1)、長尾 ○青木 1)小林製薬株式会社 淳二1)、吉田 聡2) 中央研究所、2)吉田医院 P-F-3 アトピー性皮膚炎患者に対する海洋療法の改善効果 ○高木 邦明、繁田 通子、石倉 靖子、高木 渉、出川 雅邦 静岡県立大学 薬学部 衛生分子毒性学教室 座長:太田 富久(金沢大学 医薬保健研究域薬学系 教授) P-G-1 コウヤマキエキスのNrf2活性化による抗老化への可能性 隆人1)、西浦 ○中井 英樹1)、田中 1)日本コルマー株式会社 克昌1) 柏原研究所 P-G-2 ピクノジェノールによる肝細胞の脂肪蓄積抑制の分子機構 ○生山 祥一郎、范 斌、谷 剣秋、西村 純二 九州大学生体防御医学研究所・免疫病態学分野 P-G-3 韓国産蚕粉末と各種桑葉粉末の1-デオキシノジリマイシン(DNJ)含量の比較と加熱殺菌時にお ける蚕粉末中のDNJの熱安定性 八並 一寿1)3)、○亀井 勉2)3)4)、村田 幸治3)4) - 33 - 1)玉川大学農学部、2)European University Viadrina Frankfurt (Oder)、3)財団法人島根難病研究所、4) 金沢大学大学院医学系研究科 座長:徳田 春邦(金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学 客員准教授) P-H-1 ブタプラセンタエキスの育毛作用 ○手計 雅彦1)、明壁 1)スノーデン株式会社 史弥1)、熊谷 道彦1) 大宮開発センター 薬品研究室 P-H-2 南米産薬用植物タヒボの生体内発がん物質、一酸化窒素誘発発がんに対するがん予防作用 ○徳田 春邦1)、金子 雅文2)、山下 1)金沢大学大学院医学系研究科 光明2)、鈴木 信孝1)、飯田 彰2) 臨床研究開発補完代替医療学講座、2)高崎健康福祉大学 薬学部、3) 近畿大学 農学部 P-H-3 ハトムギ抽出液を用いたがん予防作用の評価 ○徳田 春邦1)、新井 隆成2)、林 1)金沢大学大学院医学系研究科 浩孝1)、Jeffrey Michael Strong1)、鈴木 信孝1) 臨床研究開発補完代替医療学講座、2)金沢大学大学院医学系研究科 生期医療専門医養成学講座 - 34 - 周 プログラム 11月23日(月) 松下講堂黎明館 ● 第5回日本予防医学会講演会 テーマ:世界遺産と健康の旅-若さ・長寿の秘訣 日本補完代替医療学会・日本予防医学会 合同シンポジウム 8:50 開会 大会会長 池口 惠観 (高野山大学客員教授・兵庫医科大学客員教授・京都府立医科大学客員教授) 9:00~9:30 ■ 講演1 座長:原田 康夫(財団法人広島市文化財団 常任顧問、日本予防医学会理事長) 演題名:『四国歩き遍路と健康』 演者:家田 荘子(作家・僧侶) 9:35~10:05 ■ 講演2 座長:荻野 景規(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 公衆衛生学分野 教授) 演題名:『生活習慣病から心臓を守る』 演者:松﨑 益德 (山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学 教授、山口大学医学部附属病院長) 10:10~10:40 ■ 講演3 座長:植木 彰(自治医科大学附属さいたま医療センター神経内科 教授) 演題名:『生活習慣の改善からできるアンチ・エイジングの実践』 演者:大内 尉義(東京大学大学院医学系研究科 加齢医学講座 教授) - 35 - 10:45~11:15 ■ 講演4 座長:鈴木 信孝(金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座 特 任教授、日本補完代替医療学会 理事長) 演題名:『心にもワクチンを』 演者:新家 荘平(兵庫医科大学 理事長) 11:20~11:50 ■ 講演5 座長:松﨑 益德(山口大学大学院医学系研究科 器官病態内科学 教授、山口大学医 学部附属病院長) 演題名:『身体を大切に』 演者:金本 知憲(阪神タイガース選手)、新井 11:50~12:30 ■ 総合討論 - 36 - 貴浩(阪神タイガース選手) 特 別 講 演 特別講演 Investigation on the effects of taheebo concentrate on various blood parameters and quality of life in patients suffering cancer Bacowsky H.1, Tokuda H.2 Summary: 12 patients (8 female/4 male, mean age 50.6 years) suffering different forms of cancer and 12 healthy subjects (5 female/7 male, mean age 48.5 years) were given by daily oral ingestion 1.5g Taheebo Concentrate (TC) containing NQ801 (Naphtofurandionderivate) processed from Tabebuia avellanedae. Effects on 35 blood parameters were studied on days 0/30/120 and quality of life was assessed by standard questionnaire (EORTC QLQ-C 30). Serum levels of free NFD were determined by high-pressure liquid chromatography (HPLC) before and 5/15/20/30/40 minutes/24 hours after ingestion. A marked rise in the number of lymphocyte cell subsets was observed together with a positive stimulating effect on red blood cell parameters and liver cell metabolism. TC also seems to induce a roborant effect. Reduction of IgE levels, eosinophil leukocyte cell numbers and ECP (eosinophil cationic protein) concentration in serum in subjects with known allergy indicate an antiallergic effect for TC. Improvement of quality of life was seen in all patients, regardless of simultaneous treatment with chemotherapeutics (3 patients), as there was also a reduction of side effects and impairment due to chemotherapy. No negative side effects were observed. Keywords: Taheebo Concentrate (TC), NQ801, Tabebuia avellanedae, cancer, immunosystem, liver metabolism, antiallergic effect, quality of life タヒボ濃縮物の様々な血液パラメータおよびQOLに及ぼす効果の調査: 多様な形態とステージの癌患者 12 例と健常人被験者 12 例における比較 Bacowsky H.1, Tokuda H.2 要旨: 様々な形態の癌患者 12 例(女性 8 例、男性 4 例、平均年齢 50.6 歳)と健常人被験者 12 例(女性 5 例、男性 7 例、平均年齢 48.5 歳)の 2 群に 1.5 g のタヒボ濃縮物(TC)を毎日経口投与した。タヒ ボ濃縮物は、タベブイア・アベラネダエから処理加工して得られた NQ801(ナフトフランディオン誘 導体:NFD 誘導体)を 3.6 mg 含有している。35 種類の血液パラメータに及ぼす効果を、0 日目、30 日目および 120 日目に調査した。QOLについては、標準調査票(EORTC QLQ-C 30)を用いて評価し - 37 - た。遊離 NFD の血清濃度を、投与前、ならびに投与の 5 分後、15 分後、20 分後、30 分後、40 分後お よび 24 時間後にそれぞれ高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した。赤血球パラメータおよ び肝細胞代謝に及ぼす正の刺激効果と共に、リンパ球サブセットの顕著な数の上昇が認められた。ま た、タヒボ濃縮物は、同化作用を軽度に誘導するようである。既知のアレルギーがある被験者におけ る IgE 濃度、好酸球数および血清中 ECP(好酸球カチオン蛋白)濃度の減少は、タヒボ濃縮物の抗ア レルギー特性を示している。全患者に QOL の改善が認められ、3 例においては同時に化学療法を受け たにもかかわらず、化学療法による副作用と障害の軽減化も見られた。有害な副作用は認められな かった。 キーワード:タヒボ濃縮物(TC)、NQ801、タベブイア・アベラネダエ、癌、免疫系、肝代謝、抗アレ ルギー効果、QOL - 38 - 葉酸摂取のすすめ 水上 尚典 北海道大学大学院医学研究科産科生殖医学分野 葉酸はビタミン B 群の 1 種で水溶性である。不足すると貧血の原因になることが知られているが過 剰な場合に発症する疾患については知られていない。妊娠前からの葉酸サプリメント服用により胎児 神経管閉鎖障害の発症リスクが低減することから、2000 年 12 月に厚生(労働)省は以下のような通 達(児母第 72 号、健医地生発第 78 号、平成 12 年 12 月 28 日)を出した。 「妊娠可能な年齢の女性に 対して、当面、食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から 1 日 0.4mg の葉酸を摂取す れば胎児神経管閉鎖障害の発症リスクが低減することが期待できる旨情報提供を行なう事」。葉酸代 謝拮抗薬(トリメトプリム、トリアムテレン、抗けいれん剤等)は神経管閉鎖障害児妊娠等の危険を 押し上げる。妊娠前からの葉酸サプリメント服用はこれら奇形の危険を減少させるとともに、ダウン 症児妊娠を減少させる可能性がある。葉酸入りビタミン剤の長期服用は高血圧、大腸癌、乳癌の発症 抑制の可能性が指摘されている。高ホモシスティン血症は血栓症、心筋梗塞、痴呆、鬱血性心不全、 骨粗鬆症性骨折等の危険因子であるが、葉酸強化食品の摂取は中高年の血中ホモシスティン濃度を低 下させる。したがって、葉酸サプリメント服用はこれら疾病予防に効果が期待できる。実際、高齢日 本人において葉酸とビタミン B12 服用が骨折予防に有効であることが証明された。葉酸含有天然食品 からの葉酸摂取は赤血球内葉酸濃度上昇に関して葉酸サプリメント服用に比し有効でないことが証 明されている。葉酸状態改善のためには葉酸サプリメント服用が強く勧められる。 協力:金沢大学発ベンチャー - 39 - 株式会社 CRD、カルビー株式会社 「メタボ解消における基礎知識普及と動機付けについて」 宮崎 健爾 日本肥満予防健康協会 理事帳 厚生労働省は、平成 19 年国民栄養調査によるとメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該 当者 1,070 万人、予備軍 940 万人併せて約 2.010 万人と推定、又糖尿病患者数は、2,210 万人と急増 と発表されており、肥満やメタボリックシンドロームを上流因子とする生活習慣病がさらに深刻な状 態になる様相を見せている。又、2008 年 4 月より医療改革の中でスタートした特定健診、特定保健指 導はメタボリックシンドロームの概念を取り入れ、これの改善を今回は大きな柱として実施された。 現実は、数値目標を出し、義務化と言う強いメッセージの元実施継続中であるが、積極的支援に該 当する人達の改善が計画通り進んでいるとは言えない現状にある。2006 年にメタボリックシンドロー ムが流行語大賞を受賞、広くその名前が認知される様になった。しかし、名前そのものの認知度は 90% を越えていると言う現実の中、一般の方々は大きな誤解をしておりメタボリックシンドローム、イ コール「ただの肥満」と考えている様である。 我々の調査でも、①メタボリックシンドロームの中味を知っている人は 20%に留まり、②その冠動 脈疾患発症リスクや、内臓脂肪のサイトカインの分泌異常と病気との関係について知っている人は、 わずか1%であった。要するに、名前は知っているが軽く考えている所に問題が有る様である。 某人間ドッグセンターの調査ですが、メタボリックシンドロームの人達約 200 名に、改善指導(無 料)をする事で案内を出したところ最初、わずか 3 名の参加であった。現在においても 10%に達して いない現実がある。 以上の事を考えて見るに、多くが知識不足による危機感の無さが原因となり、動機付けの段階から 問題がある事は明白な事実の様である。 我々は現在肥満解消と言うテーマで基礎知識の普及を行っているが、ここに面白いデータが有る。 肥満や肥満解消の基礎知識を学習する事を目的に来ている人達の中で肥満傾向にある人が個別にカ ウンセリングや肥満解消の指導を受ける事無く非常に高い確率で改善をしている現実がある。 30 時間、約 3 ヶ月の学習の中で自分自身が内発的動機付けを行い、自分の意思で改善している。デー タは驚くべき数字を示している。 私は、特定の指導員が肥満や肥満解消の専門的な学習をし、改善指導やカウンセリングをするより も、広く一般の人達が一人でも多く肥満や肥満解消の基礎知識を学習する事がメタボリックシンド ローム改善の近道ではないかと考えている。 - 40 - 中国保健食品における現状と薬食兼用素材の活用 戴 昭宇 東京有明医療大学保健医療学部 准教授 中国では、1995 年に「中華人民共和国食品衛生法」が改訂され、健康食品に関する制度が定められ た。1996 年に、国家衛生部(日本厚労省に相当)から、「保健食品管理方法」および一連の行政規定や 技術基準が公布された。この制度において、効能効果を称する食品に対して個別審査を行い、一定の 基準を満たすものが「保健食品」として許可され、一般の健康食品と区別される。2003 年に、中国「国 家食品薬品監督管理局」(SFDA)が設立され、保健食品の審査・許可業務は SFDA に移行された。それ に伴って、SFDA は保健食品の審査・許可に関する新しい法規の策定も進め、2005 年 7 月より「保健 食品登録管理方法」を正式に施行することとなった。最近、中国政府は食品安全問題の重要性を強調 し、2009 年 6 月からこれまでの「食品衛生法」を廃止し、新たに「食品安全法」を発効させて、食品 安全基準の統一、リスク管理制度の構築で内容を充実させている。保健食品に関する申請登録と市場 監督なども管理が強化されている。 現在、中国で認可された保健食品は約 9800 品目、生産企業数が 3000 以上、保健食品の市場規模は 600~650 億人民元に達しており,急成長の新興産業として注目されている。また、諸外国の製品で中 国保健食品の認可を受けているのは 620 品目が数えられ、日本製品はそのうち約 30 品目に止まって いる現状だ。 中国保健食品(日本では、「特定保健用食品」と「栄養機能食品」に相当)を言えば,特定の保健 効能を有する食品、あるいはビタミン、ミネラルを補充することを目的とする食品を指している。す なわち、ある特定の人々の摂取に適し、身体の機能に対する調節作用を有するものの、疾病の治療を 目的としない、また人体に急性、亜急性あるいは慢性的な危害を及ぼさない食品である。一方、日本 の特定保健用食品は、健康が気になる人が保健の効果を期待して摂取する食品である。特定の人が摂 取する食品ではなく、誰でも摂取できるという趣であるが、両者の違いを留意すべきだ。 また、現在の中国保健食品の保健効能分類では、27 種類のヘルスクレームが認められ、製品の申請 登録時に、違う動物またはヒト実験などが課される場合がある。 更に、現在許可されている多数の中国保健食品は、食材でありながら生薬としても利用されている ものを主要原料として使用している。しかし,保健食品はまず食品でなければならないことから、漢 方薬のような処方との区別をはっきりさせる必要がある。そこで、2002 年に衛生部は保健食品に使用 される「食薬兼用」原料、あるいは生薬原料に対する管理をさらに明確にするため、それらの原料の分 類に関する規定を公布した。中国における食薬の区分リストは、日本のそれとも様々な違いがあり、 中国市場に合う製品の開発を考える時に、これも十分に配慮すべきである。 - 41 - 「薬食同源」という中国伝統医学(中医学)の理念に基づいた生薬関連素材(薬食兼用素材)の活用は、 中国保健食品の最大な特徴である。このため、中国保健食品は、長い歴史を持つ中医学と現代栄養学 や食品科学との統合体だとも言えよう。本講演は、中医学の立場から、薬食兼用素材の製品開発にお ける実例を取り上げて、その日本における活用の可能性も提示すると同時に、最近の中国の特に安全 性を最重視する取り組みや、新資源素材を導入する検討、保健食品許可の有効期限と再登録制度の導 入、広告などの誇大宣伝に対する取り締まり強化についても言及する。 ************************************************************************ * 日本補完代替医療学会よりお知らせ 日本補完代替医療学会 広報部 林 義人 写真挿入 中国保健食品については、呉 堅(日中健康科学会)、劉長喜(国家食品薬品監督管理局(SFDA ) 保健食品審査評価センター)、戴昭宇(日中健康科学会)先生らが編纂した中国保健食品ガイド ~ 法規の解説と登録申請の手引き~(日経 BP 出版センター)が参考になると思われますので、会員の 皆様に紹介します。2005 年 7 月の大改定により、許可の基準が厳格になった中国の保健食品制度。 この改定は、日本の厳しい特定保健用食品制度に則って開発された日本のトクホ商品にとって、中国 進出の大きなきっかけにもなると思われます。本書では、“中国版トクホ”とも言える新しい中国保 健食品について、法規、申請の仕方、審査のされ方を詳細に解説。中国保健商品を熟知する 3 人の専 門家が執筆を担当。新制度をいち早く、具体的に、信頼できる情報に基づいて解説しています。中国 健康食品制度を網羅した、食品企業、健康関連分野の企業のトクホに携わる開発・企画・販売担当者 をはじめ、産学連携研究者にとって役立つ情報が得られる一冊と思われます。 - 42 - わが国の循環器疾患予防の視点:NIPPON DATA の知見から 上島 滋賀医科大学 弘嗣 生活習慣病予防センター かつて、わが国は脳卒中死亡率が世界で最も高い国であった。1965 年を頂点として、その後、脳卒 中死亡率は 1990 年にかけ 80%以上減少し、懸念された虚血性心疾患の増加を見ることなく世界一の 長寿国となった。しかし、欧米に比し、脳卒中が多く虚血性心疾患が少ないわが国の循環器疾患の特 徴は、現在においても同じである。そのため、わが国の循環器疾患の危険因子は欧米と異なるのでは ないかという議論もあった。NIPPON DATA (National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease And its Trends in the Aged)は、それに対する一つの答えを与えた。 NIPPON DATA は、断面調査であった厚生労働省の循環器疾患基礎調査 1980 年と 1990 年のものを、 二つのコホートとして新たに追跡したものである(NIPPON DATA80 および NIPPON DATA90)。 NIPPON DATA80・90 は、国民を代表する大規模な集団(30 歳以上の男女、それぞれ、約 1 万人、8,000 人)について、長期間追跡している点、およびその追跡率が 90%以上と高い点において優れている。 死因は日本の人口動態統計の原死因を用いており、その意味で、真に日本人の死亡とその死因の実態、 危険因子を解明するにふさわしい追跡調査となっている。 現在までに、①血圧水準が高くなると循環器疾患死亡リスクが順次高くなること、②血清総コレス テロール値と心筋梗塞の段階的な正の関連、③低コレステロール者からの癌死亡率が高いのは肝癌・ 肝疾患によるものであること、④喫煙の肺癌、循環器疾患死亡、脳卒中死亡、心筋梗塞死亡との正の 関連、特にエビデンスの欠落していた喫煙と脳卒中リスクの関連、⑤喫煙と平均余命の短縮、⑥リス クの集積と循環器疾患との関連、⑦メタボリックシンドロームと循環器疾患死亡リスクにおいて、肥 満の有無よりも耐糖能異常の有無がより重要であること、⑧高血圧既往歴の重要性、⑨栄養の指標と しての身長と脳卒中死亡危険度との負の関連、⑩HDL コレステロールと心疾患死亡との負の関連、⑪ 随時血糖値と循環器疾患リスクとの関係、⑫男女の循環器疾患リスクの相違が喫煙、高血圧にある点、 ⑬心電図所見と循環器疾患、⑭都市農村部と循環器疾患のリスクの相違、等を明らかにした。また⑮ Framingham スコアに該当する循環器疾患リスク評価チャートを作成した。 これらの結果より、わが国の循環器疾患の危険因子は欧米のものと異なるものではないことが明ら かとなった。そして、NIPPON DATA の成果は、 「健康日本 21」作成における基礎資料として、また、 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン 2004、2009」 、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007 年版」に、重要なエビデンスとして生かされた。 - 43 - 教 育 講 演 教育講演 内臓脂肪とアディポサイエンス Visceral fat and adiposcience 大野 誠 Makoto OHNO 日本体育大学大学院 健康科学・スポーツ医科学系 Graduate School of Health and Sports Science, Nippon Sport Science University 内臓脂肪が蓄積するとインスリン抵抗性が増強し,これがメタボリックシンドロームやその予備群 の病態と密接なかかわりを持っている. 1995 年,ob 遺伝子の働きにより脂肪細胞からレプチンが 分泌されることが明らかになった.脂肪細胞はレプチンのほかにも様々な生理活性物質を分泌してお り,これらはアディポサイトカインとよばれている.内臓脂肪が増加すると,動脈硬化を促進する悪 玉サイトカインの分泌が増え,インスリン抵抗性が増強する一方で,動脈硬化の進展を抑制する善玉 サイトカインであるアディポネクチンの分泌は減少する.このように,白色脂肪細胞は単なるエネル ギー貯蔵組織ではなく,機能をもった「分泌細胞」として認識する必要がある. 飢餓との戦いに明け暮れた進化の過程で,食物を効率よく体脂肪に変えて備蓄できる能力は,きわ めてすぐれたサバイバル能力であり,生体はエネルギー効率のよい省エネ体質すなわち「倹約遺伝子」 を獲得してきた.しかし,サバイバルに不可欠なこの遺伝子も,飢餓から解放されて飽食を謳歌する 環境では,肥満や糖尿病などの生活習慣病の元凶になるという皮肉な現象が世界各地で起きている. Key Word メタボリックシンドローム,内臓脂肪,アディポサイトカイン,インスリン抵抗性,倹約遺伝子 Increased visceral fat is believed to play an important role in the pathogenesis of metabolic syndrome by increasing insulin resistance. Recent studies have revealed that adipose tissue is not only an energy-storing apparatus but also an endocrine organ secreting a wide variety of hormones, cytokines and other bioactive substances, that are designated as adipocytokines. Many of the adipocytokines have been shown to contribute to the regulation of glucose/lipid metabolism, blood vessel tone and insulin signaling and promote insulin resistance. On the other hand, the plasma concentration of adiponectin , which suppresses the development of atherosclerosis by increasing insulin sensitivity, is reduced in visceral obesity. Epidemiological,genetic and molecular studies in many populations of the world suggest that the people who have many thrifty genotypes, are more susceptible to weight gain and the development of life-style related - 45 - diseases than others. Evidence suggests that this may be due to a genetic predisposition for obesity which only becames apparent once individuals are exposed to a more affluent lifestyle. Key Words visceral fat, metabolic syndrome, insulin resistance, 連絡先: 〒158-8508 世田谷区深沢 7-1-1 日本体育大学大学院 体育科学研究科 大 野 誠 Phone/Fax: 03-5706-0814 - 46 - adipocytokine, thrifty genotype アンチエイジングの現状と将来展望 森 吉臣 NPO 法人日本アンチエイジングメディカル協会理事長 統合医療 赤坂 AA クリニック 院長 アンチエイジングの始まり:約20年前に米国から始まったアンチエイジングは、成長ホルモン補充 によって肉体が10歳から20歳若返ったという医学論文に端を発しています。今までの疾患を治療 する医療から、疾患ではない若さが研究テーマとなり、また臨床にも応用することで、急速に全世界 がアンチエイジングブームとなりました。このような背景から、国際アンチエイジング学会は医学会 の中でも有数の大規模な学会へと成長しました。 日本と世界のアンチエイジング事情:アンチエイジングの治療法は次第に多彩になり、西洋医学にこ だわらず代替医療も取り入れ、西洋と東洋の良いところを受け入れています。また外見的アンチエイ ジングも発達し、美容外科、美容皮膚科を包括し、米国、ヨーロッパ、そしてアジアへと世界的な広 がりを見せています。日本では 2000 年頃からスタートし、2 つの臨床医学会が活動し、両学会の会員 数は合わせて約 4000 名以上であり、医療関係者以外にも多彩な有・無資格者が会員となって参加し ているのが他学会にはない特徴です。 アンチエイジング療法の実際:病気や老化の原因となる危険因子をアンチエイジング検査で探し出す ことから始まり、ホルモン補充療法、デトックス・キレーション療法、深部波動療法、分子栄養矯正 療法、レドックス療法、血液クレンジング療法、点滴療法などで、先ほどの危険因子を取り除き、不 足を補いバランスを整えることで、自然治癒力を回復させオプティマルヘルスを目指します。すなわ ち積極的な病気予防治療法と言えるのです。 アンチエイジング医療の将来:DNA 配列解析によるオーダーメード医療が理想であり、遺伝子診断、 遺伝子治療も始まるでしょう。また、幹細胞を用いた再生医療も決して夢の治療ではなく、研究も進 んでいます。アンチエイジングではすでに一部でスタートしている領域なので今回紹介します。 アンチエイジングの教育と普及:「老化」が健康を害する元凶と考えるならアンチエイジングは、一 生を幸せに生き抜くために絶対に必要な手段であると考えられます。そのアンチエイジングの正しい 普及に向けて NPO 法人アンチエイジングメディカル協会認定のアンチエイジングアドバイザー制度 が発足しています。 - 47 - シ ン ポ ジ ウ ム シンポジウム 「安全性からみた鍼灸治療の現状と可能性」 山下 森ノ宮医療大学 仁 保健医療学部鍼灸学科 教授 医療において治療の選択肢となるには、利益とリスクのバランスに関するデータが必要である。鍼 灸の有効性が EBM の概念に則って検証されるようになった後も、近年まで有害事象の症例報告論文 にもとづいて鍼灸の安全性が論じられることが多かった。しかし、1990 年代後半から国内外において 有害事象の前向き調査が実施され、標準的な鍼灸施術による深刻な有害事象はまれであるというエビ デンスが提示されるようになった。そのデータを紹介する。 「麻酔科領域における鍼灸治療の現状と可能性」 楳田 関西医療大学 保健医療学部 高士 鍼灸学科・大学院 近畿大学医学部麻酔科 教授 非常勤講師 近畿大学医学部附属病院麻酔科ペインクリニックにおいての鍼灸治療について現状を紹介し、問題 点と今後の方向性について述べる。ペインクリニックにおける適応疾患は鍼灸治療の適応と重なるこ とが多い。鍼治療は主にブロックが効を奏さない痛み、自律神経が関与する痛み、不定型の痛み、耳 鳴・難聴や難治性の麻痺などの症例に対して行っているが、法的な制約、また人的、時間的な制約か ら限られた症例について行っているのが現状である。現代医療において治療が難渋する疼痛疾患に対 して神経ブロックと鍼治療との併用を行うことで有効率が高まるとも考えられるが、ペインクリニッ ク領域で鍼灸が有用な治療法として確立するためには麻酔医の理解とさらなるエビデンスの集積が 必要である。 - 49 - 「緩和医療における鍼灸治療の現状と可能性-がん治療に伴う副作用を中心に-」 福田 明治国際医療大学 大阪大学医学系研究科 文彦 臨床鍼灸学教室 准教授 生体機能補完医学講座 特任研究員 がん患者に対する鍼灸治療は、補完医療として体調管理・副作用軽減・症状緩和・緩和ケアなどに 適応があるとされている。化学療法は、がんの集学的治療の 1 つであるが、薬剤の容量に応じて有害 事象(副作用)を生じる。とりわけ、末梢神経障害に対しては現行の治療で有効なものはなく、患者の QOL を著しく低下させ、休薬を余儀なくされる。そこで我々は、この末梢神経障害に対して鍼治療の 安全性及び効果を検討し、その効果と安全性を認めている。がん治療に伴う副作用を鍼灸治療により 軽減することができれば、患者の QOL が高まるとともに必要な治療を継続することも可能になる。 このことから、鍼灸治療はがん患者の副作用の軽減に対して補完医療の視点から有効な治療方法であ ると考える。 「高齢者医療における鍼灸治療の現状と可能性」 安野富美子 東京有明医療大学 保健医療学部鍼灸学科 教授 老年期では、心身の状態は成人期とは多くの点で異なる。また、高齢者は一人で多くの疾患を持ち、 慢性のものが多く、治癒し難く、高齢者医療においては、現代医学のみでは、対処できないことも多 い。鍼灸医学は、養生医学と治療医学の二重構造である。前者の目的は、生体の恒常性や生体防御を 増強し、健康維持増進を図り、疾病予防を図ることである。後者は疾病や症状の改善を図り、QOL を向上させるところにある。しかもその視点は常に全人的であり、高齢者の健康寿命を伸延する上で、 また QOL の向上を図るうえでも適した医学であり、老年医療の分野では、その有用性が期待される。 本シンポジウムでは、これまでに我々が高齢者疾患に行ってきた鍼灸治療を中心に高齢者医療におけ る鍼灸治療の現状と可能性について述べる。 - 50 - ―総括― 「統合医療における鍼灸治療の可能性」 統合医療には今も二つの考え方があり統一されていないと感じている。ひとつは現代医療の中にエ ビデンスの強い補完代替医療の手段を組み込むという考え方、もうひとつは補完代替医療の視点を取 り入れて現代医療における医科学的思考そのものを変えてしまうという考え方である。鍼灸はいずれ の考え方においても貢献できるが、パラダイムの変換を伴う後者のほうを最終目的とすることが本来 的な統合医療の実現ではないかと考えている。 - 51 - 健康食品管理士合同シンポジウム 健康食品管理士合同シンポジウム 「消費者にとって有益な健康食品情報のあり方」 鈴鹿医療科学大学 長村 洋一 健康食品管理士認定協会理事長 補完代替医療にとって健康食品をどのように利用するかは非常に大きな問題である。そこには、ま ず健康食品の定義がなく、有効性、安全性に関しても特に規制がなく、さらには有効性に関しては薬 事法の厳しい規制の中にあることから、真面目に補完代替医療に取り組もうとする人にとってはまさ に極端な情報不足の状態にある。そのことが、いい加減な健康食品が世の中にはびこり、健康食品は 胡散臭い物、といった範疇に入れられてしまう大きな原因となっている。 そんな中で、昨年の 7 月 4 日付けで厚生労働省から「健康食品の安全性確保に関する検討会報告書」 が出された。そこにはGMP認証を含めた安全性認証、健康食品の被害情報の収集と処理体制の強化 および消費者に対する普及啓発のためのアドバイザリースタッフの活用が盛り込まれている。この報 告を受けて健康食品を巡って新しい動きが起こっている。健康食品管理士認定協会が行っているアド バイザリースタッフの養成とその活用もまさにその対象となっている。 実際に本年 4 月から 3 年間の予定で厚生労働省はアドバイザリースタッフの教育水準を一定レベル に保つシステムの構築に向けての調査研究に対する科学研究費を用意した。そして、独立行政法人国 立健康・栄養研究所の梅垣敬三先生が中心となって私もその一員として協力をさせて頂く提案が採択 された。このことで、アドバイザリースタッフの教育水準を保つための調査研究が開始された。 まず、アドバイザリースタッフの法的根拠は次のようなことにある。平成13年2月26日付けで 厚生労働省から出された“薬事・食品衛生審議会報告書「保健機能食品の表示等について」における アドバイザリースタッフの確保の必要性に関する提言”を踏まえ、平成14年2月21日付けで厚生 労働省医薬局から“保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的な考え方に ついて”が示された。この内容は、バランスのとれた食生活が重要であることを前提に、保健機能食 品やその他のいわゆる健康食品について、正しい情報を提供し、身近で気軽に相談できる人材の養成 は、過剰摂取等による健康障害の防止の観点で望ましいとの概念に基づいて、こうした知識を有する アドバイザリースタッフの養成を民間で行って欲しいという内容であった。 この提言を受けて幾つかの機関がアドバイザリースタッフの養成に名乗りをあげ、独自の講習会、 通信教育等を通して認定者を養成している。現在その認定者は教育レベルの質を問わなければ3万人 以上いると推測される。しかし、こうした認定者の中には健康食品販売をめぐって消費者とトラブル を発生させているケースもある。 そこで、こうした健康食品の有益性と被害情報を的確に消費者に伝える手段としてのアドバイザ リースタッフの在り方を考えるために、「消費者にとって有益な健康食品情報のあり方」という演題 でシンポジウムを企画させていただいた。司会は、大阪大学医学部大学院教授 - 53 - 岩谷良則先生と京都 大学医学部大学院教授 齋藤邦明先生にお願いした。両教授ともに健康食品管理士の資格をお持ちで 健康食品管理士認定協会の理事を務めておられる。このシンポジウムの概略は最初に私が 1.消費者にとってアドバイザリースタッフ ―― 健康食品管理士認定協会 5 年間の活動を振り返って ―― という演題で話させていただく。ここでは、幾つかのアドバイザリースタッフ養成機関の認定のあ り方の現状を紹介させて頂いた後、我々が平成16年に立ち上げた健康食品管理士認定協会による認 定者の現状を紹介し、アドバイザリースタッフの法的位置付けをしっかりすることにより発生する代 替医療を含めた社会における具体的な有用性と今後のあり方について論じさせて頂く。 次に日本健康食品規格協会理事長大濱宏文先生に 2.内外の情勢から見た健康食品情報のありかたについて と題して健康食品の国外の現状について、お話をいただく。日本には健康食品に関する明確な法的 位置づけがないのに対して、欧米や中国、台湾、韓国など近隣諸国はいわゆる健康食品に該当する物 に法的な位置づけが与えられている。こうした現状を比較すると、日本の健康食品行政の在り方の貧 弱さが明らかになってくる。そんな現状を比較分析してお話をいただく予定である。特に大濱先生は 日本健康食品規格協会として GMP 認証を行い日本の健康食品の品質保持に非常に力を注いでおられ る。米国では 2010 年から GMP 認証が義務付けられる中で日本の健康食品の在り方の問題についても 論じて頂く予定である。 最後に、消費者庁の尾崎俊雄先生に 3.消費者行政における健康食品問題について と題して行政の立場から健康食品の問題に関してお話をいただく。尾崎先生は本年の 8 月末まで厚生 労働省医薬品局食品安全部 基準審査課新開発食品保健対策室室長として厚生労働省でお仕事をさ れていた。本年 9 月に発足した消費者庁は、厚生労働省が今まで行っていた特定保健用食品の審査等 を全て行うようになった。また、消費者の被害情報も消費者庁に全て集まるようなシステムが構築さ れている。そんな新しい消費者行政の中で健康食品の有効性、安全性等の問題がどう扱われてゆくの かと言ったことも含め、行政の立場から健康食品の問題を論じて頂く予定である。 以上のような 3 人の演者の話により、健康食品情報を消費者に正確に伝え、健康保持のために健康 食品をどのように用いるのが良いか、またその被害から守るためにはどうしたら良いかを多方面から 論じさせて頂く。 特に、今回の合同シンポジウムを企画した健康食品管理士会にはアドバイザリースタッフとしてか なり社会的活躍をしていると自負している方もおられる。そんな方を有効活用することは昨年の厚生 労働省の報告書にあるように健康食品の安全性を守る有用な人材として十分に利用できると判断さ れる。健康食品管理士に限らず、同じように社会的に大きく活躍している一定水準以上のアドバイザ リースタッフの方々の活躍の有用性と必要性を浮き彫りにできるシンポジウムにする予定である。多 数の皆様の積極的な討論への参加をお願いする次第である。 - 54 - 第5回日本予防医学会講演会 第5回日本予防医学会講演会 世界遺産と健康の旅-若さ・長寿の秘訣 平成21年11月23日(祝・月)、第5回日本予防医学会講演会の「日本予防医学会・日本補完代替医療 学会合同シンポジウム」開催にあたり一言ご挨拶申し上げます。日本予防医学会は、国民の健康増進 と疾病予防ための真の予防医学・予防医療の確立をめざし、毎年、講演会と学術総会をおこなってい ます。今回の公演では世界遺産と健康の旅―若さ・長寿の秘訣をテーマとして、より大きな社会的責 任を果たすべく、実践的プログラムを組み、予防医学の一層の発展を目指しております。 生活習慣病予防の観点から循環器、抗加齢、免疫の領域から数名の著名な先生に御講演をお願いし ております。また、生活習慣病予防の実践項目の1つに、適度な運動があげられますが、『運動と健 康』について学究者以上の真剣さで取り組まれておられるお二人の著名な、野球選手にお話をお願い いたしております。さらに、適正な生活習慣と、十分な栄養摂取だけが、健康・長寿を支えているわ けではありません。心に不安や怒りがあれば、たちまち身体機能は不全に陥ります。単なる長生きで ある長命ではなく、元気で健康な生き生きとした若さ・長寿の秘訣は各人の心の幸福感・自己肯定感 にあります。そこで、長年多くの社会的弱者の事例に取り組まれ、高野山大学大学院生として現在密 教を学び、真摯に日々行をされておられるルポタージュ作家・家田荘子先生に、この心の分野の御講 演を頂きます。各御講演後のセッションも興味深いものとなりそうです。 さて、昨年始まりました特定健診と保健指導ですが、問題はメタボリック症候群制圧に向けて厚生 労働省が設定した目標になかなか到達できない点です。現在わが国は、未曽有の不況です。職場では 雇用・失業不安にさいなまされ、巷では、理解に苦しむ犯罪が増加の一途。自殺、孤独死、離婚、DV、 虐待と家庭はすでに安息の場ではありません。このつらい現状を一時でも忘れたいあまりにひたる悪 癖を克服することはなかなか難しい。悪癖を断つことは大切です。しかし、目を向けなければならな いのは、何かに依存しなければ安定を保てない程、心が過酷な状態に置かれているという点です。予 防医学は人のこころの弱さを理解し、もう1度、戦略を練り直す時期かと思われます。 健康な心とは、悩みや苦しみが全くなく、元気で、バリバリ活動できることではなく、不安・悩みは あるが、無視せず、とらわれず、目の前の今、すべきことができる柔軟な心とおもいます。 今回開催の特色の1つが、自然豊かな高野山という開催地そのものであります。ぜひ深山幽谷で瞑 想し、天の気・地の気を深呼吸してみてください。些細なことに、固執しない、しなやかなこころを 回復するのにふさわしい聖地です。極めて学術的専門的学会講演ではありますが、この機会に一人で も多くの方が晩秋の神秘な高野山に登り、弘法大師空海の霊性を感受しつつ、すなおに自分を見つめ なおし、自分と他の人々のこころと体の健康を考える機会になればとかんがえます。皆様のご参加を お待ち申し上げております。 敬具 大会会長 池口惠観 高野山大学客員教授 兵庫医科大学客員教授 京都府立医科大学客員教授 - 55 - 一 般 (口 演 演) 題 O-1 プロポリス吸入による気管支喘息軽減効果の研究 Suppression of Airway Responsiveness and Eosinophilic Infiltration in Asthmatic Mice by Propolis. ○弘田 量二 1),Ngatu Nlandu Roger1),Narongpon Dumavibhat1), Musenbo Andre Basilua1),中村 裕之 2),栄徳 勝光 1),菅沼 成文 1) 1)高知大学教育研究部医療学系医学部門(環境医学),2)金沢大学大学院医学系研究科環境生態医学 We investigated four allergen-exposed groups using “Mite-DEP” as allergen agent: NAC (N-Acetyl -L-Cysteine) treatment group, Propolis pre-treatment group, Propolis post-treatment group, Mite-DEP (Diesel Exhaust Particles) group and negative control group. All mice, except the negative control group, were instilled with Dermatophagoides farinae and DEP into the lung via the trachea twelve times. After final allergen instillation, the airway responsiveness (AR) to acetyl-chorine was measured; bronchoalveolar lavage (BAL) and histological examination were carried out. AR and IL-13 in BAL decreased significantly compared to Mite-DEP group (p=0.05). Furthermore, eosinophilic infiltration to the inflammatory site was inhibited in propolis treatment groups. Propolis contains a large amount of flavonoids, vitamins and minerals. We concluded that propolis is a possible therapeutic agent in inflammatory allergic diseases. This study was granted by the Yamada bee farm for honeybee research. 【目的】 抗酸化作用を有するアルテピリン C や桂皮酸誘導体を豊富に含むブラジル産プロポリスの日常的な 吸入が及ぼす気管支喘息モデルマウスへの発症予防効果および症状の軽減効果について検討する。 【方法】 5 週齢の BALB/c マウスの雄に、ダニアレルゲンとディーゼル排ガスの同時曝露(気管支喘息群)、 暴露開始 2 週間前からプロポリスを吸入(予防群)、暴露開始 2 週間後からプロポリスを吸入(治療群)、 プロポリスのみ吸入、60%エタノール溶液のみ吸入(対照群)、曝露と同時に N-アセチルシステイン 吸入(抗酸化剤投与群)を実施した。吸入は週 5 回 10 分間自家製のネブライザーにて行った。曝露は 週 2 回連日気管内投与、投与回数は 12 回実施した。最終回投与 48 時間後に、気道抵抗測定後、肺洗 浄液中サイトカイン測定、肺病理標本観察を行った。 【結果】 アセチルコリンを使った気道抵抗性では、予防群、治療群、抗酸化剤投与群ともに気管支喘息群と 比較して有意な低下が認められた。サイトカイン測定では、IL-13 の低下、病理標本観察では、アレ ルゲン曝露プロポリス吸入した両群で浮腫部分への好酸球浸潤の有意な抑制が認められた。 【結論】 フラボノイドのもつ抗酸化作用により気管支喘息が軽減されるという報告も増えている。さらに適 度のビタミン摂取が気管支喘息を抑えるという報告もある。プロポリス吸入により、活性酸素の抑制、 Th2 型サイトカイン産生が抑えられ、気管支喘息の予防や症状軽減効果が現れたと予想された。 【謝辞】 本研究は、山田養蜂場みつばち研究助成基金で行われた。 - 57 - O-2 好中球を用いた新規食品機能性評価法によるクルクミン類の評価 Evaluation of Curcumin Using New Estimation Method of Food for Health Progress with Neutrophil Functions ○數村 公子 1),岡崎 茂俊 2),土屋 広司 1),大澤 俊彦 3) 1)浜松ホトニクス(株)・中央研究所,2)浜松医大・光量子センター, 3)名古屋大院・生命農学研究科 We investigated natural immune effects of curcumin using the new method by simultaneously measuring the generation of O2- anion radical and the intracellular Ca2+ ion concentration of neutrophils stimulated by agonists. We found that curcumin inhibited the generation of O2- anion radical by suppressing the influx of extracellular Ca2+ ion on neutrophils stimulated by fMLP. These results suggested that curcumin had an anti-inflammatory action. We concluded that this new method might be effective to evaluate foods for health progress. 【目的】 好中球の細胞内 Ca2+ 濃度・O2 - 産生を同時に測定できる実験系を確立した。この系を用いて,食 品機能性成分の生体内での働きを推定できる新たな評価方法を構築することを目的とし,その一例と して、クルクミン類(抗腫瘍作用等様々な生理活性作用を有することが知られている)が自然免疫系 に及ぼす影響を検討した。 【方法】 クルクミンとその体内代謝物であるテトラヒドロクルクミンを,培養細胞より得た好中球様細胞懸 濁液(1×105 cells/1000ul)に 0.06~1.8mg/l 添加し,好中球刺激誘引物質で刺激した際に現れる細胞内 Ca2+ 濃度上昇と O2 - 産生を、蛍光と化学発光にてそれぞれ検出した。刺激誘引物質は,活性化経路 が異なる3種類(fMLP,PMA,Ca2+ イオノフォア)を用いて,それぞれの刺激による細胞内 Ca2+ 濃度上昇と O2 - 産生の特徴より,クルクミン類の抗炎症活性の作用機序を推定した。 【結果】 クルクミン,テトラヒドロクルクミンを添加した好中球様細胞懸濁液を fMLP,Ca2+ イオノフォア で刺激した際,細胞内 Ca2+ 濃度上昇,O2 - 産生ともにコントロール(クルクミン類無添加の好中球 様細胞懸濁液)と比較して濃度依存的に抑制が見られ,Ca2+ イオノフォア刺激で特に顕著であった。 しかし,Ca2+ イオンの関与なしに O2 - 産生を惹起する PMA 刺激においては,高濃度のクルクミンで のみ O2 - 産生抑制が見られただけであった。 【結論】 クルクミン類は,刺激による O2 - 産生を抑制する作用,即ち抗炎症作用を有していることが示唆さ れた。さらにそれは,主に細胞外液からの Ca2+ 流入の抑制により O2 - 産生が抑制されていることが推 測された。 以上より,細胞内 Ca2+ 濃度・O2 - 同時測定法が,食品機能性評価法として利用できる可能性が示唆 された。 - 58 - O-3 A Lower Molecular Weight(s) Isolated from Agaricus blazei Murill K (ABMK) as a Potent Multipotential Chemopreventive Agent(s) and the possible Molecular Mechanism(s) of Action. アガリクス茸より抽出された低分子フラクションによる複合的がん化学予防及び分 子メカニズムの可能性について I.P. Lee1), T. Ohta2),V. E. Steele3) 1)Department of CAM Clinical R&D, 2)Graduate Faculty of Natural Sciences, Kanazawa University, Kanazawa, Japan, 3)Chemopreventive Agent Development Research Group, National Cancer Institute, Bethesda, USA アガリクス・ブラゼイ・ムリル(ABM:以下略してアガリクス茸)は日本では“ヒメマツタケ/カ ワリハラタケ”として幅広く知られており、特に生活習慣病に罹患している中高年層において非常に人 気の高いサプリメントである。我々は協和アガリクス茸から抽出された分子量~500 の1SY16フラ クションを用いて齧歯動物の肺がん、結腸がん、乳がんに対する発がん抑制効果を評価した。1SY16 の発がん抑制効果は劇的であり、NNK/AOM/MNU といった発がん物質によって引き起こされるさま ざまな分子イベントを有意に抑制した。DNA マイクロアレイを用いた分析においても1SY16は NNK による多数の発がん遺伝子の発現阻止を含んだ複合的なメカニズムを示唆している。 Agaricus blazei Murill (ABM), widely known as “Himematsustake” in Japan, has been one of the most popular dietary supplements, especially among the aged-population with age-related disease. Chemopreventive effects of 1SY16, a low molecular fraction (∼500D) isolated from ABMK was evaluated against carcinogen-induced pulmonary adenoma, ACF/colon tumors, and mammary tumors in rodents. Anticarcinogenic effects of 1SY16 were dramatic, and various relevant molecular events of NNK AOM and MNU-induced carcinogenesis were inhibited significantly. Possible mechanisms of 1SY16 actions were to counteract NNK-induced increase of up and down-regulated genes associated with inflammation, cell proliferation, apoptosis, and transformation, differentiation, activation of a variety of immune cells. These complex combinations of actions on relevant genes may be the basis of significantly reducing NNK-, AOM, and MNU-induced lung, colon, and mammary cancers, respectively. The chemopreventive effects of 1SY16 (a low molecular weight isolated from kyowa’s Agaricus blazei Murill) was evaluated against three chemical carcinogen- induced experimental rodent models: NNK [4-(methylnitrosoamino)-1-(3- pyridyl)-1-butanone]-induced mouse pulmonary adenoma (PA), AOM (azoxy methane)- induced rat aberrant crypt foci (ACF) and colon carcinoma (CC), and MNU (methyl nitrosourea)-induced mammary tumors (MT) in rats. The results showed that inhibition of PA, ACF/CC, and MT at their highest doses of 1SY16 was 88 (200mg/kg/7days), 85/35 (20mg/kg/10 days), and 45% (400mg/kg/40Days), respectively, and were statistically significant (p<0.001~0.05). Western blot analysis of cyclin D1, PCNA, and CDK4 in PA, and MT demonstrated that both cyclin D1 and PCNA in PA and MT were significantly inhibited by 95% each (p<0.001) in PA, and 42 and 32% (p<0.05) respectively in MT. In contrast, CDK4 gene was not inhibited either in PA or MT. In MT, a dose dependent inhibition of H-ras codon 12 transition mutation from GGA to GAA was completely inhibited after 30-days of 400mg 1SY16/kg b.w. treatment A possible mechanism(s) of 1SY16 action against NNK-induced lung tumors was investigated using DNA microarray analysis. To understand the complex interactive pathways of up- or down regulated genes in the PA, the Ingenuity Pathway Analysis (v. 6.1) was used. A total of 40,000 genes was analyzed after the end of each month following 400mg 1SY16/kg. b.w. treatment for the first 10 days of each month. The results showed that possible mechanisms of 1SY16 actions significantly counteracted NNK-induced increase of genes involved in inflammation, cell proliferation, and other cancer related effects, while decreasing apoptosis, and immune cell function. In conclusion, 1SY16 isolated from ABMK may serve as a potentially useful cancer preventive agent against human cancers. - 59 - O-4 当帰芍薬散の効果:サルモデルでのゲノミクス評価試験 Studies on Effect of Toki-Shakuyaku: Genomics Evaluation using Monkey Model ○中村 伸 1)、光永 総子 1,2)、後藤 博三 3) 1)京大霊長類研・分子生理部門・遺伝子情報分野、2)NPO プライメイト・アゴラ、 3)富山大学大学院・医学薬学研究部(医学)・和漢診療学講座 In the current study we performed RNA genomics to evaluate effect of a traditional medicine, Toki-Shakuyaku, in macaque monkeys as human model. Rhesus macaques are orally administrated with the traditional medicine for 2 months. The effect of Toki-Shakuyaku was assessed by mean of RNA genomics, in which gene expression profile of functional genes in monkey liver samples were performed by quantitative real-time RT PCR. Its effect to intestinal bacteria was also examined by quantitative real time PCR using bacterial DNA extracted from monkey feces. From these pre-clinical studies, previously unknown effect of the traditional medicine, Toki-Shakuyaku, were revealed. These genomics evaluation using monkey model give us invaluable information for clinical use of traditional drugs. 【目的】 近年、漢方薬など伝統医薬を利用した補完・代替医療が先進諸国で注目されており、近代医療と組 み合わせた統合医療の担い手として期待されている。しかしながら、漢方薬の作用・効果・毒性に関 する分子基盤情報は極めて少なく、その点が今後の大きな課題になっている。漢方薬・当帰芍薬散 (Toki-Shakuyaku:TS)は 6 種の生薬(当帰、川弓、芍薬、白朮、沢瀉、茯苓)が混合され、補血活 血・健脾利水・調経止痛の効能を示し、貧血・冷え性・血虚などに用いられる。我々は、これまでサ ルモデルを利用した前臨床試験の有用性について、機能性食品評価等で明らかにして来た。今回、TS の効果についてサルモデルでのゲノミクス評価を試み、その分子レベルでの検討を進めた。 【方法】 成獣アカゲザル 4 頭に、ヒトの通常摂取相当量(1g/日)の TS を 2 ヶ月間連日経口投与し、投与前 後で組織(肝臓)バイオプシー後、RNA 抽出し、37 種の機能遺伝子について発現量の増減をリアルタ イム RT-PCR で定量比較した。さらに、サル糞便より抽出した 11 種の腸内細菌 DNA を用い、TS の腸内 細菌叢への影響を定量的リアルタイム PCR で検討した。 【結果・考察】 今回の RNA ゲノミクス評価系で、TS によって発現亢進した機能遺伝子として、Annexin-1(抗炎症), Cox-2(炎症), および HMG-CoA(脂質代謝)が見いだされた。一方、TS 投与で発現低下した遺伝子は、 LDL-R(コレステロール代謝)と CYP1A2 & CYP2D6(薬物代謝)であった。また、腸内細菌叢への影響 では、有用菌には変動が認められなかったが、日和見(Ral)および有害菌(Dsv)が増大した個体が見 られた。サルモデルを用いた肝機能遺伝子および腸内細菌叢のゲノミックス評価試験から、漢方薬・ 当帰芍薬散の作用機序に関する有用な分子基盤情報が得られた。 - 60 - O-5 レモンの芳香による心理学的変化と生理学的変化 The psychological and physiological effects caused by lemon fragrance ○神保 太樹 1,2),宮里 文子 1),大門 美智子 1) 1)NPO 法人関西アロマセラピストフォーラム,2)鳥取大学医学部生体制御学 The subjects were 14 adult women. To research psychological and physiological effects by lemon fragrance, we treat aromatherapy that is free from body massage. Before and after aromatherapy of lemon, we examined following scales; profile of mood states, holms stress scale, Zung Self-Rating Depression Scale, calucuration test, measurement of salivary amylase and TAS9. As a result, we observed significant changes about both of psychological and physiological scale. But this result suggested that subjective symptoms about psychological fatigue is not correlated with physiological scales. In conclusion, lemon fragrance may decrease feebleness as a psychological effect. 【目的】 レモン精油には、集中力を高める働きがあることが知られている。また、これまでの報告でも、マ ウスによる実験で高い抗ストレス作用が観察されたことや、うつ病患者に対する抗うつ薬の減量に有 効であることが報告されている。また、作業効率を上昇させるという報告もある。しかし、健常者に ついて、レモン精油がストレス緩和等の心理的影響を持つかどうかについては、これまでほとんど検 討されていない。 今回我々は、レモン精油による心理的影響、生理学的影響、作業効率の変化について調査し、心理 的変化と生理学的変化についての検討を行った。 【方法】 研究への同意を得られた健常成人女性 14 名(37.14±7.58 歳)を対象に評価を行った。まず前検査 を行い、次にレモン精油(Citrus limon PRANAROM 社)を暴露しながら後検査を行った。後検査で は、疲労感等の自覚を調査するために気分プロフィール評価尺度(POMS)、ホームズのストレス反応評 価尺度、ツングの指標、計算試験を行った。加えて、生理学的指標として、唾液中アミラーゼ測定及 び TAS9 測定を行った。 【結果】 POMS では、 「怒り・敵意」 「活気」の評価項目について有意な改善がみられた(p<0.05)。また、ツン グの指標の総点が有意に減少し(p<0.05)、ホームズのストレス反応尺度の総点が減少する傾向にあっ た(p<0.1)。 TAS9 では、R-R 間隔変異度 (SDNN)が有意に減少し(p<0.01)、総心拍数/最頻数(HRV index) が有意に減少し(p<0.05)、肉体的疲労度(PSI)が有意に上昇した(p<0.05)。その周波数範囲分析では超低 周波数(VLF)が有意に減少し (p<0.01)、自律神経活性度(TP)が減少傾向にあった(p<0.1)。加えて、唾液 中アミラーゼ濃度は有意に増加した(p<0.05)。 計算問題の成績は、総解答数、正解率共に有意に向上 していた(p<0.01)。 【結論】 POMS などによるストレスに関する自覚症状は、多くの点で有意に改善していた。また、計算問題 の成績から、先行研究にあるように作業効率が向上することも示唆された。しかし、TAS9 の結果か らは、逆に前検査よりも疲労度が上昇している可能性が示唆され、唾液中アミラーゼ濃度が上昇して いることもこれを裏付ける結果となっていた。これを踏まえて、今回の結果は、レモン精油が肉体的 な疲労度がある場合でも、疲労感を減少させ活動性を向上させてくれることを示している可能性があ ると考えられた。 - 61 - O-6 メニエール病へのハーブティーの効果 Herbal tea therapy on Meniere’s disease ○北島 尚治 1)2)3), 北島 明美 2), 渡邊 雄介 3), 鈴木 衞 1) 1)東京医科大学耳鼻咽喉科,2)北島耳鼻咽喉科医院,3)国際医療福祉大学耳鼻咽喉科 The purpose of this study is to confirm effect of herbal tea therapy on Meniere’s disease. patients with Meniere’s disease who visited MITA hospital between 2007 and 2008. We studied 16 According to criteria of Japan Society for Equilibrium Research, all patients were diagnosed as having Meniere’s disease. They underwent otoneurologic and audiometric test and were asked to fill out questionnaires of functional level and tinnitus every month. Moreover, the number of vertigo was recorded. antivertigo, and relaxing effects. therapy. The herbal tea we used has diuretic, We made a comparison between those results before and after herbal tea Herbal tea therapy was effective in 11 patients, but 5 patients had relapse. However, symptom of the relapsed patients improved after using less medicine than before starting the herbal tea therapy. Our study suggests that herbal tea therapy is useful for preventing worsening of Meniere’s disease. 【目的】 メニエール病は内リンパ水腫により生じる回転性めまい・難聴・耳鳴を反復する難治性疾患である。 治療には水腫軽減を目的として利尿薬などの薬物療法が行われる。今回我々はメニエール病に対し副 作用の少ない治療法としてハーブティー療法を考案した。 【方法】 対象は平成 19 年から平成 20 年に国際医療福祉大学三田病院耳鼻咽喉科を受診し、ハーブティー療 法(Herbal Tea Therapy; HTT)を施行したメニエール病患者16名である。日本めまい平衡医学学会 の治療効果基準に基づき、HTT 開始 6 か月前から、めまい回数記録、純音聴力検査、能力低下および 耳鳴の自覚的評価に関するアンケートを毎月行い、HTT 開始以降の 12 か月間と比較した。めまい回数 は効果判定基準に基づきめまい係数を算出した。ハーブティーは利尿効果、抗めまい・耳鳴効果、リ ラックス効果を含むブレンドハーブとした。 【結果】 HTT 施行例のうち 11 症例が再発せず良好な経過をみせた。めまい係数では 77%が改善を示した。聴 力は全例で悪化を認めなかった。能力低下、および耳鳴アンケートはそれぞれ改善傾向を認めた。5 例が再発したが、より少ない投与回数で症状のコントロールが可能であった。 【結論】 HTT は効果が緩やかであるため急性発作期の治療には向かないが、緩解期の再発予防には十分な効 果を発揮し、急性期でも他の通常医療薬との併用で効果を高めることが期待された。 - 62 - O-7 魚油、ビルベリーエキス、及びルテイン含有食品がヒトの眼精疲 労症状へ与える影響~二重盲検ランダム化比較試験による検証~ Effects of Dietary Supplementation with a Combination of Fish Oil, Bilberry Extract, and Lutein on Subjective Symptoms of Asthenopia in Humans ○川端 二功 1),岸 1)日本水産株式会社 利弘 1),辻 智子 1) 生活機能科学研究所 Effects of dietary supplementation on subjective symptoms of asthenopia were studied. The study was a double blind randomized placebo controlled trial. In the experimental food group, subjects ingested a supplement, a combination of fish oil, bilberry extract, and lutein, for 4 weeks. In the placebo group, subjects ingested placebo capsules. Psychological status was not changed in both groups; however, asthenopia symptoms were improved in the experimental food group. Furthermore, index of mental fatigue was reduced in the experimental food group. These results suggest that dietary supplementation with a combination of fish oil, bilberry extract, and lutein improves subjective symptoms of asthenopia and mental fatigue in patients with asthenopia. 【目的】 眼機能に良いとされる食品成分として、魚油に含まれる DHA と EPA、ビルベリーに含まれるアン トシアニジン、マリーゴールドに含まれるルテインなどが報告されている。本研究ではそれらの成分 を組合せた食品が眼精疲労に与える影響を検証することを目的とした。また、眼精疲労は精神的な疲 労感と関連しているという報告があることから、心理状態に与える影響も検討した。 【方法】 被験食品群には DHA(784 mg/日)、EPA(162 mg/日)、アントシアニジン(59 mg/日)、及びルテイ ン(17 mg/日)を含有するカプセルを、プラセボ群にはそれらの成分を含まないカプセルを 4 週間摂 取させた。サプリメント摂取前後で眼精疲労自覚症状アンケート調査、POMS テスト、及び VAS テス トを行った。 【結果】 被験食品摂取により、眼精疲労自覚症状の有意な改善が見られた。POMS テストでは両群ともカプ セル摂取による変化は見られなかった。VAS テストで測定した精神的疲労感は被験食品群で摂取前に 比べて摂取後で有意な改善が見られたが、プラセボ群ではそのような変化は観察されなかった。 【結論】 DHA、EPA、アントシアニジン、及びルテインを含有する食品を摂取することで眼精疲労自覚症状 及び精神的疲労感を改善できる可能性が示された。 - 63 - O-9 「N-アセチルグルコサミン」は血液透析患者の皮膚性状に影響を及ぼすか? Does "N acetylglucosamine" influence on the skin of the hemodialysis patients? ○西尾 1)焼津市立総合病院 友理子 2),太田 泌尿器科 信隆 1) 2)焼津市立総合病院 血液浄化療法室 Dry skin and itch is frequent complication of the hemodialysis patients. It has been left because there are no effective measures. N-acetylglucosamine (thereafter "N-AG" and abbreviation) is a supplement made by chitin many researches, recently has reported that "N-AG" has highly moisturizing effect of skin and improves skin roughness. A similar effect was expected to be shown also to the hemodialysis patients, and the effectiveness was examined. 28 patients complaining itching and using external medicine taked orally "N-AG" 1000mg a day or the control food for the 28 days, and the effect was judged by the subjective or objective symptom before and after internal medication. By using "N-AG" , the itchy scale of the subjective symptom is significantly improved by internal medication, and frequency of the medicine for external application use has decreased. In the effect judgment, effective was 67% in total. The improvement on the skin by internal medication of 28 days was not made clear in objective symptom. But, elasticity of skin and moisture value and improved in seven patients who keep taking "N-AG" for 5 months. 乾燥肌は血液透析患者に広く見られ、発汗量低下・皮脂腺の萎縮がその原因と考えられている。ま た皮膚掻痒症も血液透析患者で高頻度に見られる合併症であり、その原因の1つに乾燥肌が挙げられ ている。これらの皮膚症状は患者の QOL を著しく阻害するものの致命的なものではなく、また有効 な対策がないことから放置されてきた。今回我々は「N-アセチルグルコサミン」に着目し血液透析患 者の皮膚性状への効果について検討したので報告する。 【目的】 「N-アセチルグルコサミン」(以後「N-AG」と略す)はキチンを原料に作られる市販食品で、そ のヒアルロン酸生合成促進による保湿効果・美肌効果・肌荒れ改善効果あると近年相次いで報告され ている。血液透析患者の皮膚性状にも同様の効果を示すことが期待され、その有効性を検討した。 【方法】 かゆみを訴え外用薬使用中の患者 28 例に 2 週間スキンケア指導をした上で「N-AG」を 1 日 1 粒 28 日間服用し、投与前後のかゆみスケール・皮膚表面のph値・水分値・弾力値・マイクロスコープに よる皮膚の観察にて効果の判定をした。対照食品群を設けて同様の検討を行った。「N-AG」投与継続 を希望した 7 例は現在 5 か月間経過している。 【結論】 28 日間の「N-AG」投与により自覚症状のかゆみスケールは 3 週目、4 週目に有意に改善し、外用薬 塗布回数は減少した。効果判定は著効+有効が計 67%だった。対照食品群では投与 2 週目まではかゆ みスケールの低下がみられたが軽度で継続しなかった。皮膚表面の他覚的所見では 28 日間投与により 皮膚性状の改善ははっきりしなかったが、5 ヶ月間投与継続中の 7 例で皮膚水分値の上昇、弾力値の 低下が見られた。「N-AG」投与による副作用・臨床検査値異常は認めなかった。 - 64 - O-10 抑肝散の眼瞼痙攣の治療における役割 A role of Yokukansan medication in patients with Blepharospasm ○ 原 直人、大野 晃司、鈴木 裕美、向野 和雄 神奈川歯科大学附属横浜クリニック眼科学講座 The effect of Yokukansan (TJ-54), a traditional Japanese medicine, on patients with 13 Blepharospasm patients was studied. All patients took for 2 weeks first. Ten elderly patients showed a decrease in the Face-Scale rating of symptoms. Improvement of irritability/lability was observed. However, significant improvements were not observed in degree of spasm. The present study suggests that Yokukansan is an effective and possibility of a treatment for patients with Blepharospasm for psychological symptoms. 【目的】 眼瞼痙攣は、運動異常であるジストニアの局所型で、現在ボツリヌス毒素(Botox®、以下 Bx)注射 が第一選択になっている。しかし、局所的な治療だけでは十分な効果が得られない改善されない症例 が散見される。一方、薬物療法における抑肝散の眼瞼痙攣に対する有効性が報告され、また近年、認 知症に伴う BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に有効との報告がある。眼 瞼痙攣の薬物療法における抑肝散の役割について報告する。 【対象・方法】 眼瞼痙攣 13 名(男 4 名、女 9 名)、平均年齢 65±10 歳(47~77 歳)である。抑肝散(TJ-54) 7.5g /日分散投与、2 週間後に評価を行った。評価方法は、自覚的症状の変化を Face-Scale により、他覚 的な評価では Jankovic の評価スケールの「頻度スコア」を用いた。効果がない場合には、Bx (12 例)あるいは眼瞼挙上手術(4 例)を行い、その後に再度評価を行った。 【結果】 抑肝散により、10 名の老年者に機能的失明によりもたらされる不安感・イライラ感また羞明感と いった自覚症状に改善が認められた。一方、中年層 2 例と抗パーキンソン薬内服している 1 例には改 善効果を認めなかった。また他覚的な痙攣頻度は全例で変化を認めず、12 名が Bx 治療を継続して行 い、眼瞼下垂症を伴う 2 例に眼瞼手術を行った。 【考察】 抑肝散は、ジストニアにおける運動制御系の抑制効果は少なく、精神的な自覚症状の改善に働くも のと考えられる。加齢による効果の差は、ジストニア発症時の脳内機構の何らかの違いが関与してい ると思われる。 【結論】 抑肝散の眼瞼痙攣に対する役割は、精神的な自覚症状の改善である。 - 65 - O-11 オーガニックハーブパックによる新しい温罨法の有用性についての検討 A Study on the therapeutic heating by Organic Herb Pack ○小林 匠(ทาคู มิ โคบายาช)1) 岡田 昌也 2) 1)Jae-Tu 41 Herb Institute Thailand (เจ ตุ 41 สถาบั นสมุ นไพรไทย) 堀江 俊裕 2) 2)さいたま柔整専門学校 Therapeutic heating is used at the medical, nursing and the other fields in order to improve the circulation, to ease and extinct the immflamation caused by activation of metabolism, and to reduce the patients' symptoms by adding heating stimulus on the body. This treat has many kinds of variations, but the materials or the effectiveness has not been controversial a little. This time we compared the effectiveness between the hot compress we've used and our new "Organic Herb Pack" originated with our laboratory to get the effectiveness of therapeutic heating with much easier way. The Organic Herb Pack could get consciously the same effectiveness on the therapeutic heating as the old one. The duration of the effectiveness could be permitted longer than the old ones. 【目的】 温罨法は身体に温熱刺激を加えることにより「循環障害の改善」、 「新陳代謝活性化による炎症消退・ 鎮静」、「患者の自覚症状軽減」等を目的に医療や介護現場等で日常的に行われている。その方法は多 種・多様であるが、素材や効果に関しての検討はあまりなされていない。今回我々は当研究所考案・ 製作の簡便な操作で温熱効果が得られるオーガニックハーブパック「AromaTune®」を用い従来型のホッ トパックとその効果に関しての検討を行った 。 【方法】 対象:健康成人男子40名(ハーブパック群20名・従来型ホットパック群20名) 研究Ⅰ:ハーブパック(以下HP)および従来型ホットパック(以下LG)による温熱刺激を行い、10 分間加温後、VASによる自覚的温熱効果を計測し、両群間での比較を行った。 研究Ⅱ:HPおよびLGを腰部へ10分間留置した後、撤去し「撤去時」 ・ 「撤去5分後」 ・ 「撤去10分 後」・「撤去15分後」の4時点での皮膚放射温度をカスタム社製放射温度計IR-302を用い計測 し、その経時的推移および群間の比較を行った。 【結果】 研究1:VAS上においてHP群はLG群と同等の値を示した。 研究2:ホットパック「撤去時」・「撤去5分後」・「撤去10分後」・「撤去15分後」すべてにおいて HPの放射皮膚温度はLGと比べ有意に高値を示した。 【結論】 オーガニックハーブを用いた温熱療法は従来のホットパックと同等の自覚的温熱効果が得られるこ とにより、温熱療法としての有用性を確認することができた。また効果持続時間においても従来型ホッ トパックと比べ有意に長く、ホットパック撤去後も持続的な温熱効果が得られることが示唆された。 - 66 - O-12 食事療法の併用にて病状の改善を認めた膵癌の 1 例 Optimal nutrition may improve outcome in medically treated pancreatic cancer patient: a case report ○ 徳原 矢野 真,須田 秀朗、枝元 竜一郎,日野原 良広、橋本 千速、三宅 政典、安田 大、竹下 惠美子、山澤 秀光、斉藤 幸夫、清水 邦宏、 利夫 国立国際医療センター戸山病院・外科 Pancreatic caner is the most difficult cancer to treat among gastrointestinal neoplasm. We repot a case of pancreatic cancer that showed marked responses to combination of chemotherapy and nutritional therapy. A 47-year-old woman was referred to our department, diagnosed with advanced pancreatic cancer. The patient was unwilling to receive chemotherapy, and chose to have nutritional therapy (modified Gelson therapy). The serum level of CA19-9 decreased three months after the diagnosis, then she has started receiving low dose Gemzar chemotherapy. FDG-PET showed no viable tumor and the level of tumor markers returned to normal range eight months after the diagnosis. 【緒言】 膵癌は消化器系の悪性腫瘍の中でも難治であり、手術、化学療法、放射線などを組み合わせた集学 的な治療が行われている。しかし、いまだに予後は不良であり、さまざまな治療法が模索されている。 今回、我々は、患者自身の希望で食事療法を行い、その後、化学療法を併用したことで病状の改善を 認めた症例を報告する。 【症例】 症例は 45 歳の女性、既往歴は 43 歳の時に肺癌(adenocarcinoma, stageⅡB)にて右下葉切除術、術 後の補助療法として化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル)を 3 クール行われている。肺癌の 経過観察中に膵癌を疑われ紹介となった。術前の画像診断より根治手術の適応とならず化学療法を予 定した。しかし、本人は食事療法のみ強く希望したため、当科では経過観察のみ行うこととした。菜 食と低塩分を主体としたゲルソン療法に準じた食事をつづけたところ、開始より 3 ヶ月後には腫瘍 マーカーの減少(CA19-9 39191→18961U/ml)が見られた。また、同時期に他院にて低容量の塩酸ゲ ムシタビンによる化学療法を開始した。食事療法開始後8ヶ月には腫瘍マーカーはすべて正常化し、 CT 上も腫瘍の縮小を認め、PET にても viable lesion を疑う集積は見られなくなった。 【考察】 膵癌の治療成績は集学的治療を行っても、まだ満足できるものではない。食事療法を行うことによ り通常の化学療法に比べ良好な治療成績を得た本症例は、今後の膵癌の治療を考える上で示唆に富む ものと思われる。 - 67 - O-13 高齢者や衰弱者に対する在宅温熱療法としての 進行癌に対する低温岩盤浴の有用性について Usefulness of low temperature- base rock bath remedy as in-home thermal medical therapy for advanced cancer of elderly and debilitated patients 篠崎 1)医療法人 洋二 1) 篠洋会 上者 郁夫 2) 篠崎クリニック 佐野 俊二 3) 2)岡山大学大学院保健学研究科 3)岡山大学大学院医歯薬総合研究科 心臓血管外科 In the 11th Japanese society for complementary and alternative medicine of last year, base-rock-bath of mild- hyperthermia (36-39℃) was reported to be safely adopted to the far elderly and debilitated patients. This new concept of therapy was effective for the advanced cancer, when the appropriate base-rock was selected. This time, we are to report of 2 cases of advanced gastric cancer and lung cancer. Of the 2 cases with advanced cancer, both showed Partial remission of tumors by base-rock-bath therapy alone. 【目的】 昨年の第 11 回補完代替医療学会において、低温岩盤浴は高齢者や心不全などの重篤な病気を抱えた 病人にも安全に適応でき、更に進行癌の治療法として有益であることを示した。今回、我々は2例の 新しい進行癌症例について報告する。 【方法】 肝転移及び大動脈周囲リンパ節転移を合併した、Stage IV の進行胃癌(94 才、女性)及び、同じく 多発性肺内転位を伴う Stage IV の原発性肺癌(61 歳、男性)について低温岩盤浴を単独で施行した。 青龍石の岩盤を用いて、36℃‐39℃、40 分程度の低温岩盤浴を原則、毎日施行し、進行癌に対する効 果を CT、MRI により判定した。 【結果】 進行胃癌症例において、肝転移が消失、大動脈周囲リンパ節も縮小していた(PR)。また肺癌の症例 において無気肺が改善した。 【結論】 青龍石や麦飯石等の適切な岩盤を選べば低温岩盤浴は高齢者や衰弱者に適応可能であり、進行癌に 対する良好な治療法として有効性が認められた。この方法は誰に対しても手軽にかつ安価に使用でき ることから、今後、後期高齢者等における進行癌の治療法及び予防法として有力な方法となると思わ れる。 - 68 - O-14 乳がん患者の健康食品利用状況 Prevalence of the supplement use in the breast cancer patient ○原田 佳子 医療法人社団 三輪 恵正会 祥子 高本 医療事業部 美和子 栄養課 Regarding to the age adjusted death rate to the part of cancer of 2005 from 1980, the breast cancer patient in Hiroshima is increasing year by year. Characteristic of the breast cancer patient is that there are much in a young women. Another side, according to the result Nationwide Survey in Japan, a youth and a woman have much use of the complementary and alternative medicine(CAM) . Therefore we performed questionnaire survey about prevalence of the supplement use in the breast cancer patient in the breast cancer patient society in Hiroshima prefecture. As a result, more than 50% patients used the supplement and more than 70% patients used it frequently, and about 60% patients answered that the expense of supplement costs suppress their family budget. We thought it is important telling of the supplement reasonable usage. 【目的】 平成 17 年広島県人口動態統計年報によると、乳がんは、広島県のがんの部位別年齢調整死亡率の6 番目である。昭和 55 年から平成 17 年の部位別年齢調整死亡率の推移を観察すると乳がんだけが増加 傾向にある。一般的に乳がんは、手術後の経過等を長期に及んで観察されるケースが多く、患者にとっ て心身的にも経済的にも大きな負担があると思われる。平成 14 年度厚生労働省がん研究助成金「我が 国のがん患者における補完代替医療の実態調査」では、若い患者ほど、また女性ほどCAMの利用は 高いという結果が出ている。乳がん患者と健康食品の利用に関しての調査研究は見当たらない。そこ で、我々は乳がん患者の健康食品利用状況を把握するためにアンケート調査を行った。 【方法】 対象者:健康食品の適切な利用を目的としたセミナーの参加者(アンケート配布数 183 枚)でアンケー トに回答した 107 名のうち、過去・現在において健康食品を利用したことがある乳がん患者 59 名。 アンケート項目:乳がん治療の種類、治療の納得度、健康食品利用の有無、頻度、種類、利用のきっ かけ、利用の目的、1 か月の平均支出額、家計への影響、効果の有無、医療者への相談、相談相手 【結果】 乳がん患者の健康食品利用は 55.1%であった。治療に納得している者よりも、納得していない者の 方が健康食品の利用が高い傾向を示した(P=0.07)。健康食品の 1 ヶ月平均支出額は 28,900 円であっ た。そのうち、家計に影響があると答えた者は 59.3%であった。健康食品を使用する前に医療者に相 談した者は 32.2%であり、医師が 69.6%、薬剤師が 17.4%、栄養士へ相談した者はいなかった。 【結論】 健康食品を利用している乳がん患者は多い。家計への影響も懸念される。しかし、医療者へ相談し ているものは少ない。医療者が適切な健康食品の利用方法を知らせることは、健康食品による被害や 不要な健康食品の利用を減らし、家計への負担も軽減すると推察される。 - 69 - 一 般 (示 演 説) 題 P-A-1 日本人変形性関節症患者におけるシアの実抽出物の安全性 Safety and Efficacy of Shea nut Oil in Japanese Osteoarthritis Patients 水島 伊知郎 1)、藤井 ○重田 優子 3)、大野 博 1)、川野 智 4)、新井 充弘 1)、加畑 隆成 3)、鈴木 多文 2)、 信孝 3) 1)金沢大学附属病院リウマチ膠原病内科 ,2)金沢大学附属病院整形外科 3)金沢大学大学院医学系研究科,4)東京女子医科大学 To determine the safety and efficacy of shea nut oil (Flex NowTM) in Japanese osteoarthritis patients, a 12-week observational study was conducted. We evaluated the safety from laboratory data and adverse events, and efficacy with Comprehensive Osteoarthritis Test (COAT). Shea nut oil did not influence laboratory data. Although some adverse events were observed, all of them were mild and reversible. In addition, COAT score tended to decrease with administration of shea nut oil. These results suggest that shea nut oil is safe for Japanese osteoarthritis patients and might provide pain relief. A large scale double blind controlled study is needed to clarify the effectiveness of shea nut oil in osteoarthritis. 【目的】 シアの実抽出物(Flex NowTM: BSP Pharma 社)には抗炎症物質トリテルペンエステルが高濃度に含 まれており、デンマークにおける臨床試験では、プラセボと比較し有意に疼痛を緩和させ、副作用も なかったとする報告がみられている。そこで今回、本抽出物の日本人の変形性関節症患者に対する安 全性や疼痛緩和効果を検証した。 【方法】 被験者は変形性関節症患者 35 名。既に他の治療(内服、関節注射、機能性食品など)が行われている 場合は最低 1 週間の Wash out 期間をおき、シアの実抽出物(Flex NowTM)を 1 日 6 カプセル(2100mg)3 ヶ 月間摂取させた。関節痛増悪時にはアセトアミノフェン 400mg の内服のみ許可した(最大 1 日 1200mg まで)。摂取開始後1ヶ月毎に、一般身体診察、血液検査、尿検査を、また疼痛緩和効果の評価として Comprehensive Osteoarthritis Test (COAT)を行った。 【結果】 25 例が試験を完遂した。有害事象として、便秘(1 例)、軟便(1 例)、下痢(2 例)、動悸(1 例)、体重 増加(1 例)、食欲亢進(1 例)、筋肉痛(1 例)が認められた。いずれも重篤なものではなく、5 例は投与 中止により回復し、3 例は投与継続下で自然軽快した。試験前後で、血液学的、生化学的マーカーに は影響は認められなかった。投与開始前の COAT score が 30 点以上の 20 例において、試験前後(0 ケ 月、3 ヶ月)の COAT score に有意な低下傾向を認めた。10 例の脱落例があり、脱落理由は便秘 1 例、 軟便 1 例、下痢 1 例、動悸 1 例、体重増加 1 例、地理的な理由による通院困難 1 例、効果不十分 4 例 であった。 【結論】 日本人変形性関節症患者におけるシアの実抽出物の安全性が確認された。変形性関節症の疼痛緩和 効果も示唆され、その効果を明らかにするために今後は、大規模二重盲検比較試験が望まれる。 - 71 - P-A-2 がん統合医療における薬用植物タベブイア・アベラネダエ(俗 名タヒボ)から抽出された「NQ801」の臨床的検討 Clinical Examination of「NQ801」Extracted from TAHEEBO in Integrative Medicine for Cancer. ○ 平田 平田口腔顎顔面外科 腫瘍内科 章二 がんヴィレッジ札幌, Clinical research of NQ801 extracted from Taheebo was tested for anti-tumor effects, dose dependence and safety of cancer patients. 4 advanced cancer patients were given daily NQ801 by oral ingestion during 3 months, and afterwards 3 times dose NQ801 were taken during more 3 months. reduce the tumor in 3 patients in 4. As a result, NQ801 made to In addition dose dependence effect of NQ801 was seen. And also no negative side effects were seen in this clinical examination. The “NQ801” is suggested from above that it is the anti-tumor effects, dose dependence and safety of cancer patients. 【目的】 南米薬用植物である天然木タベブイア・アベラネダエ(俗名タヒボ)から抽出された「NQ801」は、 抗がん作用として、がん細胞に対する①直接作用②間接作用そして③補助作用が研究・報告されてい る。そこで「NQ801」のがん患者に対する抗腫瘍効果とその Dose dependence 性、さらに安全性につい て臨床的に検討した。 【方法】 進行がん患者4例に、 「NQ801」強化エキス末 2g/day を3ヶ月間、その後3倍量(6g/day)を3ヶ月 間飲用してもらった。 【結果】 4例中3例において「NQ801」の摂取量を3倍にすることにより、より抗腫瘍効果がみられた。し かし副作用は見られなかった。また抗がん剤を使用していた3例は、副作用を軽減しながら長期間抗 がん剤治療が可能であった。(腫瘍との共存)。 【結論】 今回の臨床研究により、がん統合医療においてNQ801の抗腫瘍効果が確認され、さらに Dose dependence 性があることが示唆された。また臨床的に NQ801(6g/day)の安全性も確認された。 このことは、NQ801が今後、統合医療におけるがん治療の中で、3大治療との併用で、どのよ うな症例に、どれくらいの用量が必要なのか、さらに症例を重ね、研究する必要がある。 - 72 - P-A-3 霊芝菌糸体培養抽出物(MAK)による大腸腺腫の増大抑制作用 Suppressive Effect of a Water-soluble Extract from Culture Medium of Ganoderma lucidum mycelia (MAK) on the Development of Colorectal Adenomas ○岡 志郎 1),田中 伊藤 信治 1),吉田 公訓 2),北台 成人 1),日山 靖彦 2),吉原 亨 3),上野 正治 3),茶山 義隆 1), 一彰 2) 1)広島大学病院 内視鏡診療科,2)広島大学大学院 分子病態制御内科学, 3)広島大学 保健管理センター To confirm the suppressive effect of a water-soluble extract from cultured medium of Ganoderma lucidum mycelia (MAK) on the development of colorectal adenomas, we performed a no-treatment concurrent controlled trial. Among 123 patients enrolled in the MAK 1.5g/day treatment group, 96 patients completed. Eligible 102 patients in the no-treatment control group were selected randomly from our department’s patients. Follow-up colonoscopy was performed after 12 mo. In the control group, the number and total size of adenomas were increased at 12 mo., whereas they in the MAK group were decreased. The results suggest that MAK suppresses the development of colorectal adenomas – precancerous lesions of large bowel. 【目的】 霊芝菌糸体培養抽出物(MAK)は霊芝(Ganoderma lucidum)菌糸体抽出物の一つで,動物実験で 大腸腫瘍の増大抑制作用が報告されている。この作用をヒトで確認するため,大腸内視鏡検査で大腸 腺腫と診断された患者を対象とした,無治療対照比較試験を実施した。 【方法】 インフォームド・コンセントの後 MAK 群に登録された患者は,MAK 1.5g/日(1 回 3 カプセル,1 日 2 回)を 12 ヵ月間服用し,フォローアップ大腸内視鏡検査を実施した。対照群の患者は,大腸内視 鏡検査で大腸腺腫と診断され,12 ヵ月後にフォローアップ検査を実施した患者の中から無作為に抽出 した。大腸内視鏡検査医は,大腸に生じた全ての腫瘍の発生場所,肉眼型及び大きさを記録し,腫瘍 を切除した場合は組織学的検査を行った。 【結果】 MAK 群に登録した 123 例中 96 例が試験を完了した。対照群は 102 例を抽出した。12 ヵ月後の腫瘍 数の変化(平均値±SE)は,対照群で 0.66±0.1 個増加したのに対し,MAK 群は-0.42±0.21 個に減少 した(P<0.01,共分散分析)。腫瘍総径の変化は,対照群で 1.73±0.28mm 増大したのに対し,MAK 群 で-1.40±0.64mm 縮小した(P<0.01)。新たな腫瘍の発生率は,対照群 42% (43/102),MAK 群 11% (11/96) で,2 群間で有意な差を認めた(P<0.01)。 【結論】 以上の結果より,MAK は前癌病変である大腸腺腫の発生及び増大を抑制する作用があり,MAK の 癌予防及び治療効果の可能性が示唆された。 - 73 - P-A-4 緑茶の喫煙者に対する血管内皮機能改善効果について Green Tea Catechins Improve Human Forearm Endothelial Dysfunction in Chronic Smokers ○尾山 純一 1),前田 時光 豊樹 1),高妻 一郎 2),樋口 和哉 2),落合 義洋 1), 牧野 1)九州大学病院別府先進医療センター 龍史 2), 直樹 1) 循環呼吸老年病内科, 2)花王株式会社 学術部 Effects of green tea catechins on forearm endothelial dysfunction in smokers were studied. We investigated endothelial-dependent vasodilatation in thirty healthy male smokers divided into three groups took green tea containing three different doses of green tea catechins (GTC) daily for two weeks. Endothelial vasodilatation to acetylcholine significantly increased in the high dose group, however, no increase was observed in the other groups. These results suggested that green tea has beneficial effects for endothelial dysfunction in healthy smokers. 【目的】 多くの日本人が摂取している緑茶は疫学的には心脳血管病の危険性を軽減することが明らかに なっている。今回我々は血管内皮機能が低下している喫煙者を対象に緑茶による改善効果を検討した。 【方法】 喫煙者で健常成人男性30名を無作為に 3 群に割り付け 2 週間の間それぞれカテキン容量が異なる 緑茶飲料 340ml を摂取してもらい(カテキン量 0mg: 対照群, 80mg: 中用量群, 580mg: 高用量群)血 管内皮機能を測定した。同時に採血を行い血中窒素酸化物,非対称性ジメチルアルギニン、マロンジア ルデヒド+4-ヒドロキシノネナールを測定した。 【結果】 高用量群において、摂取後2時間で血管内皮機能は他の2群と比較して有意に改善した。慢性効果 として摂取後1週間、2週間では(トラフ値において)同様に高用量群で有意に血管内皮機能が改善 した。さらに窒素酸化物は有意に上昇し、非対称性ジメチルアルギニン、マロンジアルデヒド+4-ヒド ロキシノネナールは有意に低下した。 【結論】 緑茶は血管内皮機能を改善し血管イベントを抑制する可能性が示唆された。 - 74 - P-A-5 還元型コエンザイム Q10・ピクノジェノール ®・杜仲葉エキス 配合食品によるアンチエイジング効果の検討 -加速度脈波による末梢血液循環の評価- Antiaging Function of Dietary Supplement Containing Reduced-Coenzyme Q10, Pycnogenol®, and Eucommia ulmoides Leaves Extract ○寺本 有見,長尾 小林製薬株式会社 淳二 中央研究所 It's reported that the dietary supplement containing reduced-Coenzyme Q10, Pycnogenol®, or Eucommia ulmoides leaves extract effect on antiaging. In this study, we confirmed dietary supplement containing all these components effect on antiaging. As a result, we suggested that intake for 4 weeks is effective for antiaging and safe. 【目的】 還元型コエンザイム Q10,フランス海岸松樹皮エキスであるピクノジェノール ®及び杜仲葉エキスは 健康食品として広く利用されており,様々な学術研究がなされている。一方で,これら 3 成分同時摂 取に関する報告はほとんどない。本試験では,これら 3 成分を組み合わせた配合食品を用いて,アン チエイジング効果を調べるため,末梢血液循環機能に与える影響を検討することとした。 【方法】 被験者は,健常成人 36 名(男性 21 名,女性 15 名)とした。摂取期間は 1 ヶ月とした。被験食品は, 還元型コエンザイム Q10(60mg/日),ピクノジェノール ®(20mg/日)及び杜仲葉エキス(40mg/ 日)配合食品を用いた。評価は,摂取開始時/摂取 2 週間目/摂取 4 週間目/摂取終了後 2 週間目に おいて,加速度脈波による末梢血液循環機能を分析した。同時に,主観的効果感の指標として,Visual Analogue Scale 検査(VAS 検査),疲労蓄積度チェックリストを行った。なお,本検討はオープン試験 にて行った。 【結果】 摂取開始時に比べて摂取 2 週間目,4 週間目では,末梢血管循環機能において有意な改善が認めら れた。特に,血管老化速度及び動脈血管弾性度が顕著に改善した。また,主観的評価指標においても 有意な改善が認められた。なお,本試験期間中,被験食品に起因する副作用は確認されなかった。 【結論】 還元型コエンザイム Q10,ピクノジェノール ®及び杜仲葉エキス配合食品は,アンチエイジング効果 を有する可能性が示唆された。今後,プラセボ効果を排除した試験の実施が望まれる。 - 75 - P-B-1 薬草温熱療法の作用機序へのアプローチ -その1:薬草中ジテルペノイドの表皮細胞におけるHSP70誘導促進作用- Novel Approach to the Mechanism of Herbal Thermo-therapy -Induction of HSP70 in Human HaCat Keratinocytes by Diterpenoids in Medicinal Herbs– ○小川 弘子1), 八塚 横澤 幸枝1), 許 隆子2), 趙 鳳浩1), 上馬塲 慶利3), 御影 和夫1), 雅幸4) 1)富山大学和漢医薬学総合研究所未病研究部門, 2)富山大学和漢医薬学総合研究所薬効解析部, 3)富山大学医学薬学研究部放射線基礎医学, 4)金沢大学大学院自然科学研究科 Geranylgeraniol (GGOH), acyclic diterpenoid, is known to induce apoptosis for various tumor derived cell lines. We had reported that GGOH related compounds existed in medicinal herbs. In traditional medicine, herbal thermo-therapy (HTT), like herbal sauna, herbal bath, and herbal oil massage, is often utilized as anti-aging therapy, however, there are little reports on its effectiveness and mechanism. In this study, GGOH content in herbal essential oils was measured, and the induction of HSP70 by GGOH in human keratinocytes was examined, approaching to the mechanism of HTT. GGOH content in herbal essential oils was measured by LC/MS. The induction of HSP70 in human monocytic cell line U937 and human HaCaT keratinocyte cell line, treated with GGOH 10-30nM, farnesol 100nM, and curcumin 10-100μM, was assessed by western blotting. GGOH was contained in various herbal essential oils. GGOH induced apoptosis in U937cell lines on the order of 10 nm, while it showed the induction of HSP70 in HaCaT cell lines. These results suggested that HTT could be effective for thermal sensitization and cancer prevention by percutaneous application. 【目 的】 非環式ジテルペノイドのゲラニルゲラニオール(GGOH)は、各種の腫瘍由来細胞株に対してアポトー シスを誘導することが知られている。我々はこれまでにGGOHなどの関連物質が薬草中に含まれている ことを確認し報告した。伝統医学の抗加齢治療では、薬草サウナや薬浴、薬用オイルマッサージなど の「薬草温熱療法Herbal Thermo-Therapy (HTT)」が頻用されているが、その有効性や作用機序につい てはほとんど研究がなされていない。これまでの研究により非環式イソプレノドのなかにHSP70誘導能 が高い化合物が含まれる可能性があることから、本研究では、精油中のGGOH含量を調べ、さらに正常 表皮細胞を用いてGGOHの温熱増感作用について観察し、HTTの作用機序への関与について検討した。ま た、既にリンパ球や表皮細胞に対してHSP70誘導促進作用をもつことが報告されているクルクミンとも 比較した。 【方 法】 1) 精油中GGOH測定:約40種類の市販精油を、エタノールで希釈し、逆相C18カラムを用いたESI法によ るLC/MS分析を行った。 2) 温熱増感作用:U937細胞株(ヒトリンパ腫細胞)及び HaCaT細胞株(ヒト正常表皮細胞)を用い、 GGOH 10-30nM, ファルネソール(FOH)100nM, クルクミン10-100μM をそれぞれ処理し、温熱刺激(37℃ と41℃,30分)後、6時間培養し、HSP70産生量をウエスタンブロット法にて測定した。 【結 果】 1) フランキンセンス、ジャスミン、レモングラス、ローズなどの精油中には、1mlあたり数100μgオー ダーのGGOHが含有されていた。ただし、検出限界以下の精油も半数以上あった。 2) U937細胞株ではクルクミン10μMでHSP70誘導を促したが、GGOHは10nMオーダーでアポトーシスを惹 起したため力価を比較することはできなかった。しかし、HaCaT細胞株ではGGOHは10nMオーダーで HSP70誘導を促進した。クルクミン100μMのHSP70誘導促進作用に比べ、GGOHは約10000倍以上の力価 を持つことが示された。 【結 論】 薬草温熱療法(HTT)は、薬草中ジテルペノイドGGOHなどの経皮投与により温熱治療の増感作用、さ らには癌予防などに有効となる可能性が示唆された。 - 76 - P-B-2 口腔内溶解カプセル用生薬混合物の抗インフルエンザ作用 Antiviral Activity against Influenza Virus of Mixed Herbal Medicines for Orally Soluble Capsule ○古川 水谷 理人 1),仁井本 勝史 1),杉本 剛 1),二ノ宮 敬之 1),大野 創 1),中野 徹 1),坂上 修身 1), 吉一 2) 1)森下仁丹株式会社,2)近畿大学農学部 The antiviral activity of mixed herbal medicines was investigated against influenza A virus for development of the contents of orally soluble capsules. The mixture of herbal medicines consists of l-menthol, clove oil, peppermint oil, fennel oil, cinnamon oil, powdered gambir, a macrogol 400, etc. It is thought that this mixture of herbal medicines would be effective against influenza A virus. 【目的】 爆発的な広がりを見せているインフルエンザの予防には、うがい、手指消毒、体調管理等の他、咽 頭粘膜からのウィルスの侵入を防ぐことが重要である。森下仁丹(株)は滴下法で調製するシームレ スカプセル化技術を有しており、食品および医薬品に応用している。この技術により日常的に利用可 能な生薬混合物の香味等を考慮して配合した、携帯性並びに経口服用に適した口腔内溶解カプセル剤 を開発している。今回、その内容物の抗インフルエンザウイルス効果を検討し、知見を得たので報告 する。 【方法】 カプセルの内容物は、l-メントール、チョウジ油、ペパーミント油、ウイキョウ油、ケイヒ油およ びアセンヤク末などの生薬混合物を、マクロゴール 400 を基材に香味等を考慮して調製した。供試ウ イルスには A 型インフルエンザウイルス(H1N1)を使用した。カプセル内容物とウイルス液を混合 し、口腔内滞留時間を想定し、3 分間インキュベートした後、所定の操作を行ない、ウイルス感染価 を測定した。測定用試料の MDCK 細胞に対する細胞変性効果を確認し、Reed-Muench 法を用いてウイ ルス感染価(TCID50/mL)を求めた。 【結果】 供試ウイルスにカプセル内容物を 3 分間作用させた場合、ウイルス感染価が 104 (4log)以上の減少を 示し、強いウイルス不活化作用が認められた。 【結論】 本検討により、口腔内溶解カプセル用生薬混合物が、A 型インフルエンザウイルスに対して咽頭で の感染防止に有効である可能性が示唆された。 - 77 - P-B-3 Aβ-40 によって誘発される細胞障害に対する 抑肝散(TJ-54)の制御効果 The Protective Effect of YOCU-CAN-SAN(TJ-54)on β-Amyloid protein-induced Apoptosis in PC12 cells. ○劉 園英 1,2),李 代偉 2) 1)北陸大薬,2)北陸大フロンティア The protective effect of YOCU-CAN-SAN(TJ-54, Tsumura &Co., Tokyo, Japan)were investigated on β-Amyloid protein (Aβ-40) -induced apoptosis in PC12 cells. In our study, TJ-54 significantly inhibited the increase in LDH release following β40-induced cell injury and significantly increased MTT reduction, significantly inhibited caspase-3 activation and the increase of ROS due to β40-induced cell injury. These results suggest the pathway via caspase-3 activation is one of the mechanisms of the protective effects of TJ-54. The activation of caspose-3 and the apoptotic death is controlled due to the removal and produced troubles of ROS. 【目的】 酸化ストレスが様々な細胞でアポトーシスを引き起こすということは、よく知られている。今回わ れわれはβ-amyloid protein(Aβ-40)によって誘発される酸化ストレス障害に対する抑肝散(TJ-54) の防護効果を検討したので報告する。 【方法】 ラット副腎髄質褐色細胞腫由来 PC12 細胞を血清を含む培地で培養し、24 時間後無血清培地に交換 し、β-Amyloid(1-40,0~20μM)を添加して細胞死を導入した。細胞死は LDH release assay(LDH) と MTT reduction assay(MTT)により測定した。caspase-3 活性は Apo-ONER Homogeneous Caspase-3/7 Assay (Promega)キットを用いて測定した。H2DCFDA 検出試薬を用いて細胞内 ROS の定量を蛍光マイ クロプレートリーダーで測定した。TJ-54 を Aβ-40 添加 1 時間前に添加した。神経細胞障害の程度を 顕微鏡で観察した。 【結果】 1)Aβ-40 は濃度依存的に細胞外 LDH を増加させ、Aβ-40 処理群は、control より有意な増加が認 められた。MTT も有意に減少した。細胞形態は control に比べて細胞縮小化傾向が観察された。2) TJ-54 単独投与群は、細胞外 LDH を control に比べて有意に減少させ、MTT を control に比べて有意に 増加させた。control と同程度の細胞形態が観察された。3)TJ-54(50μg/mL)共存下では、細胞外 LDH は、Aβ-40 単独処理群に比べ、その増加は時間依存的に有意な抑制効果が認められた。MTT は Aβ-40 単独処理群に比べ、その減少は時間依存的に有意な抑制効果が認められた。細胞形態は TJ-54 共存下では、Aβ-40 単独処理群に比べ、細胞形態の縮小化の抑制傾向が観察された。4)Aβ-40 単 独処理群は、control より caspase-3 活性を有意に増加し、TJ-54 共存下では、Aβ-40 単独処理群より caspase-3 活性を有意に抑制した。TJ-54 単独処理群では control と同様の caspase-3 活性を示した。5) Aβ-40 単独処理群は、control より ROS 値は有意に増加し、TJ-54 共存下では、Aβ-40 単独処理群よ り ROS の生成を有意に抑制した。 【結論】 TJ-54 は、Aβ-40 による細胞内の ROS の生成を有意に低下させるとともに、caspase-3 の活性化を有 意に抑制したことから、TJ-54 の Aβ-40 によって誘発される細胞障害の防護作用機序の 1 つとして、 ROS の除去や産生阻害により、caspase-3 の活性化を抑制し、アポトーシス死が抑制することが考えら れる。 - 78 - P-B-4 ハトムギ熱水抽出物の変異原性試験 -復帰変異試験、マウスリンフォーマ試験(MLA)、マウス小核試験- Mutagenicity Test for Hot Water Extract of Coix lacryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf 林 浩孝 1,2),石橋 ○重田 範人 3),太田 優子 2),徳田 真弓 3),新井 春邦 2),太田 隆成 4), 富久 5),鈴木 信孝 2) 1)金沢大学イノベーション創成センター,2)金沢大学大学院医学系研究科臨床研究開発補完代替 医療学講座,3)株式会社バイオセラピー開発研究センター,4)金沢大学大学院医学系研究科周生 期医療専門医養成学講座,5)金沢大学大学院自然科学研究科生命科学専攻創薬科学講座 Coix lacryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf is a grass long used in traditional medicine as a nourishing food and reported to possess anti-tumor, anti-obesity, anti-diabetic and other pharmacological effects. In order to evaluate the possible mutagenicity of the hot water extract of all parts (husks, pellicles, and astringent skin) of the food, we performed a reverse mutation test in bacteria, a mouse lymphoma assay and micronucleus test. Results of all tests were negative. It was concluded that the extract has no mutagenicity in living bodies. 【目的】 ハトムギは伝統的に中国や日本で古くから利用され、抗腫瘍、抗肥満、抗糖尿など様々な機能をも つことが報告されている。本試験においてはハトムギの種子・渋皮・薄皮・外殻のすべての部分を含 む熱水抽出物の変異原性の有無について、細菌を用いた復帰変異試験、マウスリンフォーマ試験(MLA) およびマウス小核試験を実施したので報告する。 【方法】 被験エキスはハトムギの子実、渋皮、薄皮、外殻の全ての部分の熱水抽出物(株式会社 CRD 製) を使用した。復帰変異試験(Ames test)についてはネズミチフス菌 (Salmonella typhimurium) TA98, TA100, TA1535, TA1537 および 大腸菌 WP2uvrA が用いられ、被験食による突然変異出現が評価された (株式会社ユービーイー科学分析センターに委託・実施)。染色体異常試験の代替として行なったマウ スリンフォーマ試験についてはマウス由来リンパ腫細胞 L517Y tk+/-3.7.2c を用いて被験食による突然 変異を評価した。マウス小核については 9 週齢 ICR 雄マウスに被験食を摂取させ、多染性赤血球に占 める小核含有多染性赤血球の割合(以下、小核出現頻度)を算出した 【結果】 いずれの試験においても異常は認められなかった。 【結論】 被験食は生体に対し、変異原性を有する可能性はないと考えられた。 - 79 - P-B-5 山茱萸由来成分 7-O-galloyl-D-sedoheptulose の 2 型糖尿病 モデルマウスにおける作用 The Beneficial Effects of 7-O-Galloyl-D-sedoheptulose Isolated from Corni Fructus in Type 2 Diabetes ○朴 鑽欽 1)、盧 貞淑 1)、上馬塲 和夫 2)、横澤 隆子 1) 1)富山大学和漢医薬学総合研究所薬効解析部、 2)富山大学和漢医薬学総合研究所未病解析応用研究部門 The effect of 7-O-galloyl-D-sedoheptulose against type 2 diabetes model mice was investigated in this study. Male C57BLKS/J db/db mice were divided into three 7-O-galloyl-D-sedoheptulose 20, or 100 mg/kg body weight-treated mice. groups: control (vehicle), 7-O-Galloyl-D-sedoheptulose would act as a regulator of lipid metabolism and inflammatory reactions in db/db mice. 【目的】 2型糖尿病は、運動不足や過食などから肥満、高血糖、高脂血症等が出現する生活習慣病で、持続的 な高血糖や高脂血症は、酸化的ストレスや脂質の蓄積をきたす。7-O-galloyl-D-sedoheptulose (GS) は 、漢方医学で糖尿病によく用いられる八味地黄丸の構成生薬の山茱萸の主成分として、1型糖尿病モデ ルを用いた我々の研究より、腎保護作用を有する新知見を明らかにした (Biol. Pharm. Bull., 32, 657-664, 2009)。本報では2型糖尿病モデルを用い、GSの経口投与による作用を検討した。 【方法】 2型糖尿病モデルとして、C57BLKS/J db/db マウス (5週令、雄性、各群10匹) を、正常対照として C57BLKS/J m/m マウス (5週令、雄性、6匹) を用いた。GSは20 mgあるいは100 mg/kg体重を連日胃ゾ ンデで経口投与し、8週間後に血液と組織を採取し、各種パラメーターを測定した。 【結果】 db/dbマウスは正常対照マウスより、体重、摂食量、飲水量が増加し、血液成分では血糖と脂質の上 昇、アディポネクチンの低下、肝機能と腎機能の低下を示したが、GS投与群ではTG、NEFA、TBARS、 LDL/VLDL、アディポネクチン、肝・腎機能の改善作用が認められた。一方、db/dbマウスでは肝・腎組 織中のグルコースやTG、総コレステロール、TBARS、ROSが増加し、GSH/GSSG比が低下したが、これら パラメーターはGS投与群でTG、TBARS、ROSが低下し、蛋白発現をWestern blot解析した結果、NF-κB、 iNOS、SREBP-1、RAGE、CMLの発現が低下した。 【結論】 7-O-galloyl-D-sedoheptuloseが、2型糖尿病モデルで認められる脂質代謝異常と酸化ストレス状態 を是正し、2型糖尿病の治療に有効であることが、実験的に示された。 - 80 - P-C-1 熱処理前後の大麦若葉エキスの抗酸化能 Anti-oxidative Potential of Aqueous Extracts of Young Green Barley Leaves with and without Heat-treatment. ○高木 厚司 1)、大橋 定宏 2)、川越 信秀 3) 1) 九州大学医学研究院・統合生理、2)(株)TAS プロジェクト、 3)(株)エスアールエル・食品衛生検査部 We investigated vitamin and anti-oxidative potential of young green barley leaf extract with and without heat treatment. Though vitamin C was decomposed by dry-heat treatment (30min, 80℃), other vitamins and bio-active materials were not affected. In addition, total anti-oxidative potential was diminished by neither wet-heat treatment(10min, 90℃)nor dry-heat treatment. 【目的】 天然由来の機能性素材に含まれる有効成分は、その抽出・加工方法や滅菌処理の過程で様々な影響 (遊離、分解、酵素誘導等)を受ける。従って、素材自体よりも最終的に経口摂取する状態での有効 成分の含有量やその効能を検証する事が重要と考える。そこで、本研究では、低温スプレードライ製 法(40℃以下)によって粉末化した大麦若葉搾汁エキスに、乾燥、及び、水溶液の状態で熱処理を加 え、ビタミン等の微量栄養成分と同素材の抗酸化能を、熱処理前後で比較検証した。 【方法】 米国ユタ州で栽培された大麦若葉(LAXON CORPORATION, CA, USA)(有機 JAS 認定)の搾汁を独自 の低温スプレードライ製法(BioActive DehydrationTM)で粉末化したエキスを使用(提供:グリーン バイオアクティブ(株)、東京)。同素材を、(1)空気開放、乾燥状態で80℃30分、(2)エキス 1g/100ml 水溶液を90℃10分、の2条件で熱処理した。各種栄養成分は、粉末素材中の 100g 可 食部あたりで定量した。抗酸化能は遺伝子の素材であるグアノシンの酸化誘導性から求めた(グアノ シン酸化誘導試験、PCT/JP01/02085、http://www.tasproject.com/business.html)。 【結果】 栄養成分は、加熱によりビタミンCの含量が約 1/4 に減少した(350mg→91mg)が、他の栄養成分(ビ タミン B1, B2, B6, B12, K、ビオチン、葉酸、総クロロフィル、SOD 活性等)に大きな変動はなかっ た。また、同エキス水溶液は、(i) 酸化剤(臭素酸カリウム)による酸化誘導を抑制し、 (ii)その抑 制作用は加熱処理により若干減少したが、完全には消失しなかった。さらに、(iii)加熱処理後も保 持されるこの抗酸化作用はS9処理(肝臓代謝)の影響を受けなかった。 【結論】 本研究から、大麦若葉の搾汁エキスにおいて、80℃・30分の乾熱(殺菌)処理や90℃・10 分の熱湯(蛋白凝固)処理では、ビタミンCは減少するが、遺伝子の酸化損傷指標でみた抗酸化能は 保持される事がわかった。冬場はホットで飲用するのも合理的かも知れない。 - 81 - P-C-2 けいぎょくこう 瓊 玉 膏 の遺伝子の酸化損傷予防効果 Oxidative and/or Anti-oxidative Roles of KEI-GYOKU-KOU with Respect to DNA Damage 鈴木 信孝 1)、重田 優子 1)、○新井 隆成 1)、高木 厚司 2)、川越 信秀 3) 1)金沢大学大学院医学系研究科、2)(株)TAS プロジェクト、 3)(株)エスアールエル・食品衛生検査部 We have investigated oxidative and/or anti-oxidative roles of KEI-GYOKU-KOU using a guanosine-oxidation test to indicate mutagenic or carcinogenic risk (PCT/JP01/02085). Results showed KEI-GYOKU-KOU possesses potent anti-oxidative ability against KBrO3-induced oxidation of deoxyguanosine. 【目的】 瓊玉膏は、中国の宋代に長寿を願って考案され日本に伝わった漢方薬で、その効能は「本草綱目」 「東医宝鑑」等の古典的医書にも“養生と長寿に効能ある薬”として記載されている。主な素材は、 人参、生地黄、茯苓、天門冬、麦門冬、地骨皮、蜂蜜を加熱し、数日間熟成させて練り状(ペースト 状)にしたものである。本研究では、天然素材から成る同素材の安全性や有用性を、遺伝子の酸化損 傷指標を使って評価した。 【方法】 瓊玉膏(パナックス・ケイギョク、第2類医薬品、信州製薬(株))1gを超純水 50ml に溶解し、 これを被検原液とした。酸化・抗酸化能は、遺伝子の素材であるグアノシンの酸化誘導性を使って評 価した(グアノシン酸化誘導試験、PCT/JP01/02085、http://www.tasproject.com/business.html)。 同試験では、肝臓代謝を考慮する S9 処理(肝臓のミクロゾーム分画成分内で 37℃、1時間の酵素処 理)と、活性酸素消去能を評価する KBrO3 添加処理によって、素材自身が持つ酸化・抗酸化能評価と 共に、生体摂取後(肝臓代謝後)の酸化・抗酸化能を評価出来る。対照の漢方薬として、ヨクイニン 製剤を使用。 【結果】 (1)S9 処理なし+ KBrO3 添加なし(素材が持つ直接の酸化誘導性評価):瓊玉膏は酸化誘導性がみ られたがヨクイニンはなかった。 (2)S9 処理あり+ KBrO3 添加なし(生体摂取後の酸化誘導性評価) : パナックス、ヨクイニン共に酸化誘導性はなかった。(3)S9 処理なし+ KBrO3 添加あり(素材が持 つ抗酸化力評価) :瓊玉膏、ヨクイニン共に酸化剤による酸化誘導を強力に阻害した。さらに、ヨクイ ニンは紫外線(254nm)照射でその抗酸化力が減弱したが、瓊玉膏は減弱しなかった。(4)S9 処理 あり+ KBrO3 添加あり(生体摂取後の抗酸化力評価):瓊玉膏、ヨクイニン共に抗酸化力は消失した。 【結論】 複数の天然素材から製造され、長寿の効能がうたわれている「瓊玉膏」は、一般的な漢方生薬であ るヨクイニンと比較しても、遜色のない抗酸化力を示した。また、この抗酸化作用には肝臓代謝で失 活する成分が寄与しており、副作用の心配の少ない生薬といえるかも知れない。このように未知の天 然成分を多く含有する生薬の安全性や機能性を評価する上でグアノシン酸化誘導試験は大変有用とい える。 - 82 - P-C-3 新潟県内に自生するヤマグワの 1-デオキシノジリマイシン (DNJ)含量、ポリフェノール含量、抗酸化性の定量 Determination of 1-Deoxynojirimycin (DNJ) Content, Total polyphenols Content and Antioxidant Activity in Leaves of the Native Mulberry (Morus spp.) of Nigata Prefecture, Japan ○八並 一寿 1) 2),村田 幸治 2) 3), 大宮 武一 4),亀井 勉 2) 3) 5) 1)玉川大学農学部,2)財団法人島根難病研究所,3)金沢大学大学院医学系研究科 4)ユニオンフーズ株式会社,5) European University Viadrina Frankfurt (Oder) 1-Deoxynojirimycin (DNJ) content, total polyphenols content and antioxidant activity in Leaves of the native mulberry (NM; Morus spp.) of Nigata Prefecture (Japan) were investigated. DNJ content in the NM seemed to be almost the same level when compared to market samples in Japan. Antioxidative activity of NM is higher than that of other domestic species. NM could be useful as an anti-atherosclerotic CAM agent as well as an anti-diabetic CAM component. 【目的】 補完代替医療分野でのこれまでの研究から、桑葉成分には糖代謝や脂質代謝を改善する作用があり、 その有用性が期待されている。近年桑園は、繭の価格の低下や農家の高齢化などで栽培面積が激減し、 また市街地近郊や他の作物の栽培地に隣接する桑園では隣地からの農薬汚染や廃棄ガス等による汚染 も危惧されている。人里から離れた地域に自生するヤマグワは農薬汚染等の心配がなく、衛生的な製 品を供給するのに適していると考えられる。そこで今回、これまで分析報告がない新潟県の山間部に 自生するヤマグワについて、有効成分である DNJ 含量と総ポリフェノール含量、および抗酸化性を調 査した。 【方法】 2008 年 8 月に新潟県村山市で採集したヤマグワを使用した。桑葉に 75%エタノールを加え、攪拌後 の遠心上清をろ過し試料溶液とした。DNJ 量は 9-fluorenylmethyl chloroformate で誘導化後、逆相カラ ムにて HPLC 法で定量した。総ポリフェノールは Folin Denis 法により測定し、抗酸化性は DPPH(1,1 ‐diphenyl-2-picrylhydrazyl)を用いて測定し乾物 1g当たりの抗酸化活性に相当する Trolox (μmol)量 で示した。 【結果】 ヤマグワ(20 試料)の DNJ 含量は平均 0.122%(標準偏差 0.051%)であった。総ポリフェノール 含量は平均 56.1mg(標準偏差 13.8mg)/100g 乾燥葉であった。抗酸化性は平均 95.6μmol(標準偏差 79.3μmol)であった。また、2008 年 8 月の同時期に採取した他の桑葉国内栽培品種 11 種(京都工芸 大学で保存されている品種中の 11 種)では、総ポリフェノール含量は平均 145.5mg(標準偏差 120.8) /100g 乾燥葉、抗酸化性は平均 37.8μmol(標準偏差 15.9μmol)であった。 【結論】 今回の調査ではヤマグワの DNJ 含量は概ね 0.1~0.2%であり、他の桑葉市販品と比較して同程度と 考えられた。しかし、ヤマグワの総ポリフェノール含量については国内栽培の他品種よりも低いにも かかわらず、ヤマグワの抗酸化性はずば抜けて高いことが判明した。ヤマグワは糖尿病予防作用に加 えて、抗動脈硬化作用を展望した CAM 素材としての有用性も期待できるのではないかと考えられた。 - 83 - P-C-4 ハトムギ原穀と同エキス末の酸化・抗酸化能の比較検証 Oxidative and/or Anti-oxidative Roles of Coix lacryma-jobi in Respect to DNA Damage ○高木 厚司 1)、大橋 林 定宏 2)、川越 浩孝 4)、新井 信秀 3)、重田 隆成 4)、鈴木 優子 4)、 信孝 4) 1)九州大学医学研究院、2)(株)TAS プロジェクト、 3)(株)エスアールエル・食品衛生検査部、4)金沢大学医学系研究科 We investigated the oxidative and/or anti-oxidative roles of Coix lacryma-jobi using a guanosine-oxidation test to indicate mutagenic or carcinogenic risk (PCT/JP01/02085). Results showed that hot water extract of the grain with outer shell possessed a potent anti-oxidative power against KBrO3-induced oxidation of deoxyguanosine, but that it lacked such power when stripped of the outer shell. All anti-oxidative responses induced by any part of the grain were diminished by pre-incubation in S9 mix solution. 【目的】 ハトムギはイネ科ジュズダマ属(Coix lacryma-jobi L. var.ma-yuen Stapf)の穀物で、皮を剥いた種子 はヨクイニンと呼ばれ、イボ取り、利尿、抗腫瘍作用など薬効があるとされる。また、その抽出液は、 美肌作用等からお茶や化粧水としても利用されている。本研究では、ハトムギの酸化・抗酸化特性を、 外殻、薄皮、渋皮、胚乳(胚芽を含む)の部位別に比較し、熱湯抽出エキス末についても同様の評価 をした。 【方法】 (1)国産ハトムギ(アキシズク)の全原穀を、外殻、薄皮、胚乳(渋皮あり)、胚乳(渋皮なし)、 に分け、熱水抽出液の pH、酸化還元電位を測定した。さらに、同液の酸化・抗酸化能を、肝臓代謝 の有無を考慮したグアノシン酸化誘導試験(http://www.tasproject.com/business.html)を使って比較評価 した。 (2)熱水抽出エキス末(殻付き、殻無し) ((株)CRD提供、JJCAM, 6(2):105-110, 2009)、漢 方製剤(ヨクイニン)の水溶解液(1g/50ml)を使って同様の評価をした。 【結果】 胚乳(渋皮あり)と胚乳(渋皮なし)の熱湯抽出液の酸化還元電位は、-13、-18 mV といずれも著 明に低い値を示したが、全原穀の抽出液は 122mV だった。従って、酸化還元電位を下げる成分は、 胚乳に豊富に含まれていると推測された。また、殻付き素材のエキス末では酸化剤による酸化誘導が 強力に抑制されたが、殻無し素材のエキス末ではその作用が弱かった。エキス末は、その製造過程で 熱湯抽出(60min)や加熱殺菌処理(98℃, 30min)が施されており、外殻、薄皮や渋皮には熱処理に ても失活しない抗酸化成分が存在すると推測された。また、いずれの抗酸化作用も肝臓のミクロゾー ム分画(S9 mix)内での恒温処理(37℃、1時間)で消去された。 【結論】 ハトムギの胚乳抽出液は、中性領域でありながら大変低い酸化還元電位(強い還元力)を示し、遺 伝子の酸化損傷を抑制する効果がみられた。また、熱湯抽出エキス末では、その製造加工や滅菌過程 で有用成分が様々に変化(揮発・遊離、熱分解、酵素誘導等)しており、その主な抗酸化成分は外殻、 薄皮、渋皮部位に含有されると推測された。また、各部位で示された酸化・抗酸化能はいずれも肝臓 代謝によって減弱あるいは消失し、安全性の高い抗酸化天然素材であると推測された。 - 84 - P-C-5 精油成分 Borneol、α-Thujone 及び 1.8-Cineole の Candida albicans の発育に及ぼす効果 Effects of components in essential oil (: Borneol, α-Thujone and 1.8-Cineole) on growth of Candida albicans ○西川 明宏 1)、久島 達也 1), 2)、上岡 太一 3)、安部 茂 2)、高橋 秀則 1)、 1)帝京平成大学ヒューマンケア学部はり灸学科、2)帝京大学医真菌研究センター、 3)株式会社アメニティーサービス Several terpenoids, such as Borneol, 1.8-Cineole and α-Thujone, were mainly components of essential oil in the moxa used as moxibustion treatments. The effects of these components on growth of Candida albicans were investigated. Mycelial growth of C. albicans, which is known to give the fungus the capacity to invade mucosal tissues, was almost inhibited in the medium containing the components (Borneol; 972µM, 1.8-Cineole and α-Thujone; 1945µM, respectively). The concentration of 50 % inhibition of Candida mycelial growth was about 320 µM in the borneol and about 800µM in the 1.8-Cineole and α-Thujone. Also yeast-form growth of C. albicans was almost inhibited by the components (Borneol; more than about 2590µM, 1.8-Cineole and α-Thujone; more than about 3150µM, respectively). These results provide experimental evidence suggesting the potential value of components contained in the moxa for the moxibustion treatment of superficial candidiasis. 【目的】 近年、植物に含まれる精油成分は抗菌作用を示すことが知られてきた。灸治療に用いる艾には精油 成分が含まれるが、これまで微生物感染症に対する灸治療の効果を艾の精油成分に着目した研究報告 はほとんどない。Candida albicans は皮膚や粘膜に常在する真菌であり、皮膚、爪、口腔咽頭粘膜や 膣粘膜に発症する表在性カンジダ感染症の主な原因菌である。そこで本研究では、艾精油成分の抗菌 効果に着目し、艾に含まれる主精油成分(:Borneol、α-Thujone 及び 1.8-Cineole) が C. albicans の発 育に及ぼす抑制効果を検討した。 【方法】 C. albicans (TIMM1768) は 24 時間の前培養後、5×103cells/ml に調節し、その菌調整液 100μl と Borneol、 α-Thujone、及び 1.8-Cineole 溶液 50μl とを 96 wells plate の各 well 中で混合させ、5%CO2、 37℃の条件下で 18 時間培養した。その後、菌をクリスタル紫で染色し、その吸光度により菌糸形発育 量を評価した。 【結果】 Borneol、α-Thujone 及び 1.8-Cineole は濃度依存的に C.albicans の菌糸形発育を抑制し、Borneol は 972μM、α-Thujone と 1.8-Cineole は 1940μM にて C.albicans の菌糸形発育を完全に阻止した。菌糸形 発育の 50%阻止濃度は Borneol が約 320μM、α-Thujone と 1.8-Cineole が約 800μM であった。さらに 酵母形発育は Borneol で約 2590μM 以上により、α-Thujone と 1.8-Cineole で約 3150μM 以上によりほ ぼ阻止された。 【結論】 Borneol、 α-Thujone 及び 1.8-Cineole は何れも C.albicans の発育に対し抗真菌活性を示し、その内 Borneol に最も強い活性がみられた。 - 85 - P-D-1 リフレクソロジーが生体に及ぼす生理的・心理的影響 -パイロットスタディ- Physiological and Psychological Effect of Reflexology on Young Adult Women -A Pilot Study○豊田 省子 1),野中 靜 2),大学 和子 3),池本 厚子 4),半田 直子 2) 1)白鴎大学,2)山形県立保健医療大学, 3)聖母大学,4)聖母看護学校 We studied the physiological and psychological effect of reflexology on young adult women. The result of the study reveals the reflexology increase dermis temperature and shows tendency to activate parasympathetic nervous activities, then it helps significant improvement of feelings. 【目的】 リフレクソロジーは手掌や足裏等を刺激して健康を維持・増進する療法であり反射療法とも言われ る。リフレクソロジーが生体に及ぼす生理的影響について自律神経活動及び皮膚温を,心理的影響につ いて気分尺度を各々指標にして,安静臥床時とリフレクソロジー時との比較・検討を目的とした。 【方法】 被験者は健康成人女性 4 名とした。安静臥床およびリフレクソロジーを各々45 分間行い,その前後 に以下の(1)~(3)を実施した。 (1)自律神経活動(心拍数,R-R 間隔)はメモリー心拍計(GMS;LRR-03) で記録し,心拍ゆらぎリアルタイム解析システム(GMS;MemCalc/Tarawa)を用いて HF(高周波成分)と LF(低周波成分)/HF の周波数解析を行った。 (2)皮膚温は非接触式放射体温計(テクニメッド;サーモ フォーカス)を用いて胸部・手背・大腿および下腿の 4 箇所で計測した。 (3)日本版 POMS を用い,安静 前後及びリフレクソロジー後の得点の t 検定を行い危険率 5%未満で統計学的に有意であるとした。 【結果】 (1)自律神経活動:リフレクソロジー時は安静時に比べて HF の顕著な上昇傾向が 3 名に,若干の上 昇傾向が 1 名に認められた。 (2)皮膚温:全ての部位において安静時に比べて 4 名が上昇を示した。 (3)POMS:リフレクソロジー後にのみ「抑うつ‐落ち込み」「混乱」の尺度が有意に低下し,「活気」は 有意に上昇した。 【結論】 リフレクソロジーにより皮膚温が上昇し,副交感神経活動が亢進傾向を示し,気分が有意に改善する ことが示された。今後はさらに症例数を増やして検討を重ねる必要がある。 - 86 - P-D-2 生活習慣病型癌患者を対象とした統合的ライフスタイル介入 Integrated Lifestyle Intervention for Cancer Patients ○須見 石崎 遼子 1)、前田 直人 2)、福田 和久 1)、大久保 文彦 2)、阪上 郁子 1)、平井 未紀 1)、真田 啓 1)、 泰明 1)、伊藤 壽記 1) 1)大阪大学大学院医学系研究科生体機能補完医学講座 2)明治国際医療大学 臨床鍼灸学教室 Metabolic syndrome is related to the higher incidence of colon, breast and prostate cancers possibly through lifestyle, such as overnutrition and lack of exercise. To perform integrated intervention for cancer patients, we organize a team, consisting of doctors, dietitians, clinical psychologist, pharmacist, acupuncturists and aromatherapist aiming at the improvement of QOL and the reduction of their complications. We hope a new treatment strategy is established for the weight management in metabolic syndrome through performing the integrated intervention with using CAM tools to cancer patients. 【目的】 ライフスタイルの欧米化に伴う過栄養や運動不足が、大腸癌、乳癌、前立腺癌など多くの癌の発症 と関連することが示されている。こうした背景から今回、ライフスタイルとの関連が示唆される癌の 患者を対象に、医師、管理栄養士、心理士、薬剤師、鍼灸師、アロマセラピストがチームとなり、補 完医療をとりいれた統合的なライフスタイルの介入を行い、癌の QOL・予後の改善・合併症の軽減を 目指す。 【方法】 月 1 回、1 年サイクルの計 12 回介入を基本とする。①認知行動療法を取り入れた管理栄養士による 栄養指導(エビデンスに基づいた癌予防指針を使用)と運動指導(加速度計付き万歩計を使用。万博公 園での森林療法を含む)、②鍼灸師による、身体症状・精神的苦痛の軽減、食欲抑制調整の試みを目的 とした鍼治療、③アロマセラピストによる身体・精神症状の改善、化学療法・放射線療法の副作用軽 減を目的としたアロマセラピーを行う。栄養・運動指導を基本に、患者の治療状態に応じて、適宜ス ケジュールに組み込む。 また、癌手術時に採取された脂肪組織より脂肪幹細胞を単離培養し、メタボリックステムセルとし て代謝動態をモニターリングすることにより、機能性食品の科学的検証も併せて行う。 【結果・結論】 各専門家がチームとなり介入することや、患者にとってふさわしい段階でふさわしい治療ができる ことなどの理由から患者のモチベーションの維持につながり、体重減少の効果が期待できる。鍼灸治 療やアロマセラピーを患者が経験することにより、補完医療に関する正しい情報提供の場としての役 割も担う。 ライフスタイルの介入を行い、半年を経過した症例について報告する。 今後、補完医療を取り入れた統合的な介入を癌患者に行うことで、治療困難とされてきた体重管理 に対する新たな治療体型の確立も目指したいと考える。 - 87 - P-D-3 アロマセラピーにおけるコミュニケーション効果の検討 Effects of Consultation in Aromatherapy ○神保 太樹 1,2),宮里 文子 1),森田 和代 1),大門 美智子 1) 1)NPO 法人関西アロマセラピストフォーラム,2)鳥取大学大学院医学系研究科病態検査学分野 The subjects were 90 adult women. We divided subjects into following three groups and compared them. ; "Aromatherapy" were performed the body treatment including foot bath by essential oils with consultation, ”Non-essential oils" were performed the body treatment including foot bath without essential oils but with consultation, and “Control" were performed body treatment including foot bath without essential oils and consultation. About treatment, we examined profile of mood states (POMS) and after treatment we examined a questionnaire. As a result, aromatherapy subjects showed significant better improvement of “Vigor score” and “Fatigue score” in POMS than control subjects and non-essential oils subjects showed a significant improvement of “Fatigue score” and better improvement of “Tension-Anxiety score” and ”Vigor score”. It is suggested that a feeling of satisfaction in "Aromatherapy" and "Non-essential oils" is higher than "Control". In conclusion, it is suggested consultation leads to improvement of stress, feebleness and lifelessness in aromatherapy. 【目的】 アロマセラピーは、近年の現代社会においてストレスを和らげる効果的な方法の 1 つである。実際 に臨床現場で行われるアロマセラピーの構成要素として、トリートメントによるタッチ、及び会話に よるコミュニケーションが存在しているが、セラピストの働きかけが心身に作用し、相乗効果をもた らしていると考えられる。しかし、これまでこうした影響を検討した報告は無かった。本研究ではア ロマセラピーによる心理的効果を中心に、セラピストと対象者との関係性による影響を検討した。 【方法】 「女性の健康センター」において、インフォームドコンセントを得られた成人女性 90 名、平均年齢 50.2±11.6 を対象とした。対象に 15 分間足浴を実施し、その間に会話を行なった後、各対象者の希望 に添った精油数種類を 2%に希釈し全身トリートメントを 40 分間実施した群(以下アロマ群)とした。 足浴の際同様に会話をし、キャリアオイルのみで全身トリートメントを実施した群(以下会話群)、キャ リアオイルのみの施術をした群(以下非会話群)の 3 群をランダムに設けた。施術前後に気分プロ フィール検査(POMS)を実施した。施術終了後にトリートメントについての感想を自己記入式のアン ケートを用いて調査した。 【結果】 3 群間の比較において、アロマ群は非会話群に比べ、 「活気」と「疲労」尺度にて有意差が認められ た。会話群と非会話群の比較では、 「緊張-不安」 「疲労」尺度にて有意傾向が認められた。トリートメ ントに関する感想に対してはアロマ群では大満足 74%、満足 26%、会話群では大満足 43%、満足 46%、 やや不満 11%、非会話群では大満足 22%、満足 70%、やや不満 8%であった。 【結論】 3 群の前後比較にてトリートメント自体が心理・身体面に影響を及ぼしたと考えられる。アロマ群 と非会話群の比較では「活気」と「疲労」尺度にて有意差が認められており精油使用と会話の相乗作 用によって、影響を与えたのではないかと考える。結論として、アロマセラピー時に効果的な会話を 行うことで心理・身体面に影響を及ぼすことができる可能性を示唆した。 - 88 - P-D-4 健康小児におけるサプリメント使用状況について Prevalence of Dietary Supplement Use among Children and Adolescents in Japan ○森 渚 1), 濱田 生子 1)*, 永井 亜矢子 1), 久保田 優 1) 1) 奈良女子大学大学院 生活環境学部 食物栄養学科, *株式会社アプリーティセサモ (現) Dietary supplement use among children and adolescents was described. This is a study of 736 children aged between 3 and 17 years based on a questionnaire, conducted in Nara, Japan. The outcome measure was prevalence of use and intake of nutrients from supplements among children. Overall of 21.4% of children used dietary supplements. The type of supplement most commonly used was vitamins (28.2%), followed by calcium (26.2%) and blueberry extracts (15.4%). Supplements use was associated with sex (male gender), older age, physical status, unbalanced diet, less sleeping hours and positive family history of supplement use. However, no associations were found with BMI or breakfast intake. We have concluded that more than 20% of children take dietary supplements regularly, most often vitamins and calcium. 【目的】 成人領域でのサプリメント使用の増加に伴い, 小児におけるサプリメント使用も増加傾向にあると 考えられる。しかし, 使用率に加えて安全性や有効性などを検証したデータはまだ少なく, その実態 は明らかではでない。今回,健康小児のサプリメント使用状況を調査し, サプリメント使用と種々の背 景因子との関連を考察した。 【方法】 奈良女子大学附属幼稚園・小学校および中等教育学校の幼児・児童・生徒(年少~年長・小 3~6・ 中 2~高 2)736 名を対象にその保護者への記入式アンケート調査によって行った。アンケートでは, 学 年や性別などの基礎データを始めとし, 健康・栄養状態, サプリメント使用状況について質問した。 記入に不備があった場合を無効回答として除外し, 697 名を有効回答として扱った。統計解析には 「StatMateⅢ」を用いた。 【結果】 現在と過去のサプリメント使用者を合わせて、全体のサプリメント使用群とした。サプリメント使 用率は 21.4%で、サプリメントの種類はビタミン類(マルチビタミン, ビタミン B, C など)やカルシ ウムが使用群全体のそれぞれ 28.2%, 26.2% と最も多く, 次にブルーベリー(15.4%)が多くみられた。 使用増加と関連が見られた背景因子は、性別(男児)(p<0.05), 年齢の上昇(p<0.001), 健康状態 (p<0.001), 食生活のアンバランス(p<0.001), 睡眠時間の短縮(p<0.001)および家族の使用歴 (p<0.001)であった。肥満度・BMI, 朝食欠食はサプリメント使用と有意の関連は無かった。 【結論】 20%以上の健康小児においてサプリメント使用が見られた。サプリメント使用に影響を与える要因と しては, 成長に伴っての睡眠時間の短縮, 食生活のバランスや健康状態の悪化などが背景となってい ることが示唆された。また, 小児のサプリメントは使用の選択が保護者によってなされていることも あり, 家族の使用歴との関連が強いことも示された。 - 89 - P-D-5 内服薬は良導絡における心包経・心経・小腸の経絡の“虚”に影響する Medical Drug Use Itself May Affect Meridians ○李 玉棟、大野 智、古谷 道子、古谷 喜幸、山本 俊至、松岡 瑠美子 東京女子医科大学・国際統合医科学インスティテュート We are trying to establish a new comprehensive health check system using 130 items of blood examinations including serum tumor markers and physiological examinations including Ryodoraku. The results of Ryodoraku were scored in each meridian as followings: balanced 0 point, lost balance but can keep function 1 point, and lost function 2 point. 458 volunteers were classified into 4 groups, i.e. A; taking anti-hypertensive medicine, B; taking medicine other than anti-hypertensive medicine, C; having hypertension but no treatment, and D; no hypertension and no drug. We compared the 12 meridians’ deficiency points in each groups. Group A and B showed abnormal Heart meridian, and Group A and B also showed abnormal Pericardian meridian and affected little intestine meridian, respectively. There was no difference on the point of hypertension per se, whereas the result indicates that medical drug itself might affect the meridians. 【目的】 従来の血液検査14項目程度の一般的な健康診断では、疾患の早期診断という意味では十分な成果を上 げているとは言い難い。我々は、平成17年より、メタボリック症候群やがんを含め、未病段階で疾患を早期発 見することができる包括的な健診システムの構築に向けた取り組みを行ってきた。この包括的な健診では、簡 便さを重視したため、画像検査を廃し、30項目の血清腫瘍マーカーを含めた全 130 項目の血液検査と、脈波、 良導絡などの生理学的検査を行ってきた。このうち科学的データに乏しい良導絡について、他のどのような項 目と関連があるか解析を行ってきた。昨年の本学会において、良導絡脾と高脂血症が関連していることを明ら かにし報告したが、今回は服薬歴との関連を見出したので報告する。 【方法】 本研究における包括的な健診システムの趣旨に賛同し、自らの意志でボランティアとして参加した 458 名の 被験者を対象とした。対象を検査時の服薬歴の有無により2群に分類した。このうち服薬群を降圧剤の内服の 有無でさらに2群に分類し、降圧剤内服群を A 群(49名)、降圧剤以外の内服群を B 群(73名)とした。一方、 非服薬群については高血圧群(収縮期血圧値>130mmHg、また、拡張期血圧値>85mmHg)とそれ以外に分 類し、それぞれ C 群(72名)、D 群(253名)とした。一方、良導絡の結果については東洋医学的考え方に基づ いて数値化した。具体的には中庸の状態を 0 点、“興”即ち代償状態を 1 点、“抑”即ち失代償状態を 2 点とし、 全 12 経絡の左右の数値を合計した。対象の各群毎に数値を平均化し、病歴・現症や他の検査データとの関 連を t 検定で検証した。 【結果】 A 群は C・D 両群に比し、心包経と心経の点数が優位に高値を示した(心包経;A/C=3.0/2.3 [p=0.048]、 A/D=3.0/2.2 [p=0.001]、心経;A/C=2.7/2.0 [p=0.027]、A/D=2.7/2.0 [p=0.002])。B 群は C・D 両群に比し、 心経の点数が優位に高値を示した(心経;B/C=2.6/2.0 [p=0.050]、B/D=2.6/2.0 [p=0.002])が、心包経は D 群に対してのみ優位に高値を示した(心包経;B/D=2.7/2.2 [p=0.023])。さらに B 群は C・D 両群に比し、小腸 経が優位に高値を示した(小腸;B/C=1.8/1.2 [p=0.005]、B/D=1.8/1.4 [p=0.038])。それ以外には有意差は なかった。 【結論】 A群はB群に比し、血圧は有意に高かったにもかかわらず、12 経絡の点数の有意差は無かった。同様に、C 群と D 群の間でも有意差を示す経絡はなく、血圧そのもの差が経絡に影響しているとは考えられなかった。そ の一方、何らかの処方薬を服用しているグループであるA群・B群は共通して心経絡の点数が高いことが示さ れたが、特に降圧剤服用群である A 群は心包経で高値を示し、それ以外の薬(主に高脂血症と多血症治療用 薬)の服用群である B 群は小腸経で高値を示すことが明らかとなった。つまり各経絡の点数が高いほど東洋医 学的には“虚”を示していると考えられるが、身体の異常そのものではなく、内服薬を服用していることがこれら の経絡の“虚”に影響を与えているのではないかと考えられた。 - 90 - P-E-1 ミント系植物に含まれる成分の肥満防止効果 The Effect of Mint Components on the Prevention of Obesity ○今井 雄大,吉田 株式会社 真実,三木 敬三郎 バイオス医科学研究所 Mints have been cultivated since ancient times in Japan. Mint group, such as Mentha piperita and Mentha spicata, contains a high quantity of menthol compounds and stimulates TRPM8 receptor, one of super family TRP receptor activation channels, which causes a cool feeling on the skin. Those mint components extracted from those plants prevent adipogenesis, which was efficiently enhanced with a rolling machine (BTB treatment). The preventive effect was accelerated by the addition of capsaicin. Simultaneously, the concentration of adiponectin was significantly increased. The fat model mice showed that mint compounds used as ointment for skin treatment was effective and activated the prevention of adipogenesis. 【目的】 ミント系植物に含まれる成分によって、皮膚の冷感効果を発揮される。その結果、β―アドレナリ ンの分泌を促し、脂肪の燃焼・脂肪蓄積の抑制を行なうことが知られている。肥満状態になると、脂 肪細胞から分泌されるアディポネクチンの分泌量が低下し、脂肪燃焼効果の減少することが分かって いる。ローリングマシーンなどによる施術(BTB)により肥満を解消する事により、アディポネクチ ンの分泌量が増加し、脂肪燃焼を促進する。そこで今回は、ミント系植物に含まれるメントールなど の成分と施術によって、肥満防止にどのような効果を示すかを検討したので報告する。 【方法】 ミント系植物として、ペパーミントとスペアミントを用いた。実験は、ペパーミント及びスペアミ ントの抽出物、または成分抽出物を培養肥満細胞の培地に添加し、脂肪細胞の細胞数の変化及び、ア ディポネクチンの分泌量を測定した。また、ミント系植物の抽出物を塗布した肥満モデルマウス (KK-Ay/TaJc1)に上記の BTB 施術を用いた実験により、脂肪細胞の増殖への影響を調べ、アディ ポネクチンの分泌量を測定した。 【結果】 スイートミント、スペアミント共に脂肪細胞の増殖を 54~62%抑制することが判明し、アディポネ クチンの分泌量は増加した。肥満モデルマウスでは、ミント系植物の抽出物を塗布により、脂肪細胞 が 48~57%増殖を抑制し、アディポネクチンの分泌量の増加がみられる。また、BTB 施術を同時に行 なう事により、脂肪細胞の増殖を相乗的に抑えられた。 【結論】 ミント系抽出物エキスは、 in vitro 及び in vivo の双方の実験において、脂肪細胞の増殖抑制に大 きな効果がみられた。この効果は BTB 施術を同時に行なう事により、より高い効果が得られることが 判明した。 - 91 - P-E-2 スイートオレンジの芳香による心理学的変化と生理学的変化 The Psychological and Physiological Effects Caused by Orange Sweet ○神保 太樹 1,2),宮里 文子 1),大門 美智子 1) 1)NPO 法人関西アロマセラピストフォーラム,2)鳥取大学医学部生体制御学 The subjects were 6 adult women. To research psychological and physiological effects by orange sweet fragrance, we treat aromatherapy that is free from body massage. Before and after aromatherapy of orange, we examined following scales; profile of mood states, holms stress scale, Zung Self-Rating Depression Scale, calucuration test, and measurement of salivary amylase. As a result, we observed significant changes of the right calucuration rate and diastolic blood pressure. In conclusion, orange fragrance may lead to parasympathicotonia. 【目的】 スイートオレンジには、緊張やストレスを緩和する作用があると言われており、主に精油を用いた マッサージを行うことによってスイートオレンジオイルが気分プロフィールの改善に役立つことが示 唆されてきた。しかし、これまでの報告は、全てマッサージの要素を廃していないため、香りそのも のの効果がどのように影響しているのかについては不明であった。そこで今回我々は、スイートオレ ンジの香りを嗅ぐだけであっても、気分プロフィールを初めとする心理的評価尺度や、唾液中のアミ ラーゼ量などに変化があるかどうかを検討した。 【方法】 研究への同意を得られた健常成人女性 6 名(37.14±7.58 歳)を対象に評価を行った。まず前検査を 行い、次にスイートオレンジの精油(Citrus sinensis)を、ディフューザーによって暴露し後検査を 行った。 後検査では、疲労感等の自覚を調査するために気分プロフィール評価尺度(POMS)、ホームズのスト レス反応評価尺度、ツングの指標、計算試験を行った。加えて、生理学的指標として、唾液中アミラー ゼ測定を行った。 【結果】 POMS、ツングの指標、ホームズのストレス反応尺度の総点、唾液中アミラーゼ濃度については有 意な差は見られなかった。計算問題の成績は、総解答数が向上していたのに対して、正解割合は有意 に減少していた。(p<0.05)また、拡張期血圧が有意に減少していた。(p<0.05) 【結論】 POMS を初めとする心理プロフィールの評価に関しては、有意な差が見られなかった。これは、こ れまで言われてきたスイートオレンジの香りがストレス緩和に効果があるという報告とは矛盾するも のであるが、有意な差異こそ無かったものの、POMS を初めとする多くの尺度で改善していた例が見 られた。 また、拡張期血圧が有意に減少していることや、計算課題の正解割合が有意に減少していることな どから、ある程度スイートオレンジが副交感神経系を優位とする可能性はあると考えられた。 加えて、今回の検討では、例数が6例であり十分ではなかった。よって、今後は、より多くの例数 を検討する必要があると考えられた。 - 92 - P-E-3 スイートオレンジによる気分プロフィールの変化 Changes About Profile of Mood States by Sweet Orange ○神保 太樹 1,2),宮里 文子 1),大門 美智子 1) 1)NPO 法人関西アロマセラピストフォーラム,2)鳥取大学医学部生体制御学 The subjects were 24 adult women. To research changes about profile of mood states by sweet orange, we performed body treatment including foot bath by sweet orange oils with consultation. Before and after treatment, we examined following scales; profile of mood states(POMS), blood pressure determination and pulse rate. As a result, we observed improvement in all subscales of POMS and reduction of diastolic blood pressure, systolic pressure and pulse rate. In conclusion, agreeing with past studies, profile of mood states can be improved by sweet orange. And we may treat stressful disorders such as depressive illness. 【目的】 スイートオレンジには、緊張やストレスを癒やして、気持ちを明るくする作用や心を穏やかにさせ る働きがあると報告されている。また、緊張時などに用いることで、緊張状態を緩和する作用がある と言われている。しかし、これまでスイートオレンジについては経験則的に用いられることが多く、 その効果について、介入研究を行った例は少ない。そこで今回我々は、スイートオレンジによるトリー トメントの前後で、気分プロフィールの変化と介入前後における脈拍及び血圧の変化を検討した。 【方法】 てらのうち診療所内、女性の健康センターにて、診療所内の倫理規定に則り、研究内容と方法を説 明し、同意を得られた成人女性 24 名(42.25±11.84 歳)を対象に、前後比較によるオープンスタディ を行った。 ま ず 前 検 査 を 行 い 、 40 ~ 42 ℃ の 湯 で 15 分 間 の 足 浴 後 、 植 物 油 ( Agua Oil 、 ESSENTIAL THERAPEUTICS 製)15ml にスイートオレンジ 0.3ml(Citrus sinensis PRANAROM 製 Lot.BCSZ2) を 2%にブレンドし、下肢、背部、上肢、デコルテの 40 分間の精油使用施術(マッサージ)を行った。 その後、後検査を行った。 心理学的評価尺度として、気分プロフィール評価尺度(POMS)を用いた。POMS は「緊張-不安」 「抑 うつ-落ち込み」「怒り-敵意」「活気」「疲労」「混乱」の 6 つの下位尺度から、気分や感情の状態を測 定する尺度である。加えて、血圧及び脈拍の測定を行った。 【結果】 POMS の評価項目では、6つの下位項目全てにおいて有意な改善がみられた(p<0.001)。 また、拡 張期血圧が有意に低下し(p<0.01)、収縮期血圧も有意に低下した(p<0.001)。加えて脈拍数も低下した。 (p<0.001) 【結論】 スイートオレンジの主要成分であるリモネンには、中枢神経抑制・鎮静・血圧降下作用があるとい われている。今回の検討の POMS にみられる気分の有意な改善は、これまで経験則的にいわれたスイー トオレンジが不安を緩和すると言われていることや、先行研究にある抑うつ状態を緩和する作用があ ると言われることと合致している。また、有意に血圧や脈拍数が低下していたことから、スイートオ レンジが、気分プロフィールの改善に有効で、ストレスの緩和にも効果的である可能性が示唆された。 - 93 - P-F-1 骨盤矯正ベルトの装着によるホルモンタンパク質の 産生量および筋横断面積の変化 Changes of the Hormone Proteins-Producing and the Muscle-Crossing Areas by a Method of the Novel Belt-Attachment for Pelvic Correct ○土屋 八大 1,2),土屋 義弘 1),片岡 美代子 1),和田 晃 1,3),本山 貢 2) 1)株式会社ユー,2)和歌山大学,3)大阪大学 The novel multiple processed belt (named “KOSHILUCK” provided YOU CO., LTD: KYOTO/JAPAN and KOSHILUCK CO., LTD:LOS ANGELS/CA) for Pelvic correct, was used in this study, testing on the biologyand the exercise medicine-perspective. Concentration of human growth hormone (HGH) were determined by enzyme-linked immunosorbent assay : ELISA in the human serum of 12 subjects between the ages 52 to 71. Muscle-crossing areas were calculated on the almost 100 volunteers participated the “MOTOYAMA-SENIOR EXERCISE PROJECT” supported with WAKAYAMA-CITY. With few exceptions, HGH concentration was increased with attachments of the belt. MRI-results were indicated almost 3 to 5% increases both of the major psoas muscle-crossing areas and the class of femoral muscle-one. These results indicated that the pelvic correcting with the novel belt-attachment and its application are available method for preventing a nursing care. 【目的】 「介護保険制度」が改正され、各種の介護予防の方法が検討されてきている。今回、その具体的な 改善方法の1つとして、「骨盤矯正ベルト装着の効果およびそのエクササイズプログラムへの併用の 相乗効果」を検討した。 【方法】 骨盤矯正ベルトの装着前および装着 3 ヶ月後の健常人男女における血清中の HGH 濃度は ELISA 法 により定量した。 「本山式シニアエクササイズプログラム」に参加したボランティアの大腰筋横断面積 および大腿伸筋横断面積は、MRI の測定結果から計算した。 【結果】 骨盤矯正ベルトの装着 3 ヶ月後の HGH 濃度の増加は、約 20%強に及んだ。大腰筋横断面積および 大腿伸筋横断面積において、それぞれ 3%前後の増加を示すボランティアが多く見られた。 【結論】 骨盤矯正ベルトの装着および「本山式シニアエクササイズプログラム」へのその装着併用は、介護 予防の為の有用な具体的方法であることが示唆された。 - 94 - P-F-2 ピクノジェノール・アルギニン含有食品の 精神神経疾患患者におけるED改善作用 Efficacy of Dietary Supplement Including Pycnogenol and Arginine Against Erectile Dysfunction (ED) Patients Suspected by Mental Disorder. ○ 青木 洋満 1) , 長尾 1)小林製薬株式会社 淳二 1) , 吉田 聡 2) 中央研究所, 2)吉田医院 The health food containing Pycnogenol® and Arginine is considered effective against ED. But there are few study reports about mental disorder ED. This time, we confirmed the clinical study with that for mental disorder ED patients. As a result, we suggested that intake of Pycnogenol® and Arginine for 4 weeks is effective and safe for mental disorder ED. 【目的】 フランス海岸松樹皮エキスであるピクノジェノール ®とアルギニンの組み合わせが、器質性EDに有 効であることがこれまでに多数報告されている。しかしながら、精神性のEDに関する知見はほとん どない。そこで、今回精神神経疾患に起因すると思われるED患者に対する有効性を検証すべく臨床 試験を実施した。 【方法】 事前問診により精神神経疾患患者でEDと認められた日本人男性 7 名(35±2.6歳)を対象に 試験を行った。試験はダブルブラインドクロスオーバー法で行い、被験食品及びプラセボ食品摂取の 摂取期間は各々28日間とし、ウォッシュアウト期間は7日間とした。被験食品はピクノジェノール ® 60mg/日、アルギニン690mg/日配合の市販品(小林製薬㈱:EDICARE ®)を用いた。評 価はそれぞれの食品の摂取前後で、国際勃起機能スコア(IIEF-5)及び医師の問診にて行った。 【結果】 IIEF-5トータルスコアについて,被験食品の摂取は、プラセボ摂取と比較して統計学的有意に スコアを改善した。また、IIEF-5のすべての設問に関して改善を確認した。なお、試験期間中 に重篤な副作用は確認されなかった。 【結論】 ピクノジェノール ®とアルギニンの配合食品は、器質性のEDだけでなく、精神性のEDに対しても 改善作用がある可能性が示唆された。しかしながら、精神性EDに関して、作用メカニズムは不明で あり、今後詳細な検討が必要である。 - 95 - P-F-3 アトピー性皮膚炎患者に対する海洋療法の改善効果 Effects of Thalassotherapy on Patients with Atopic Dermatitis ○高木 邦明、繁田 通子、石倉 靖子、高木 渉、出川 雅邦 静岡県立大学 薬学部 衛生分子毒性学教室 We investigated the effects of thalassotherapy on water holding capacity of skin stratum corneum (SC) and reduction of itchy in patients with atopic dermatitis (AD). The water-holding capacity of the SC in AD was significantly increased and the nocturnal scratching in patients with AD was significantly reduced by modalities of thalassotherapy From these results, we speculate that thalassotherapy has a therapeutic effects on patients with AD. 【目的】 海洋療法(タラソセラピー)は海洋性素材や気候を利用した自然療法で、その歴史は古く治療効果 も多種の疾患で症例報告がある。しかし、その効果を科学的に検証した研究は少なく不明な部分が多 い。我々はこれまでに本学会で、タラソセラピーによる鎮静効果やリラクゼーション効果について報 告してきた。今回は一般公募したアトピー性皮膚炎患者(AD)に対するタラソセラピーの効果を検 討した。 【方法】 一般公募した被験者 98 名からアトピー性皮膚炎で通院している 19 名(AD)を抽出し、健常人と 比較検討した。被験者には海泥療法、海藻療法、気泡浴など、タラソセラピーでの一般的施術を、1 日につき、1または2の療法で、合計 5 日体験させた。この施術前後でグラビコーダーによる脊髄反 射速度、表皮水分計による角質層保水機能を測定、そして心理アンケート(POMS)による主観的な 評価も行った。さらに、施術開始前の二週間と施術期間内での睡眠中の活動量(引っ掻き量)を Mini Mitter 社製 Actiwatch で計測した。 【結果】 ADの角質層保水機能は施術の回数を重ねる毎に上昇した。また、施術を開始する前のADの引っ 掻き量はタラソセラピーの施術をすることで有意に減少し、健常人の値に近づいた。 【結論】 今回の測定結果および被験者の POMS や痒みのアンケートによる主観評価から、タラソセラピーは アトピー性皮膚炎に効果的であり、ADのQOLを改善できると推測した。 - 96 - P-G-1 コウヤマキエキスの Nrf2 活性化による抗老化への可能性 Antiaging Effect of Koyamaki Extract by Nrf2 Activation ○中井 隆人 1),西浦 英樹 1),田中 1)日本コルマー株式会社 克昌 1) 柏原研究所 Reactive oxygen species (ROS) induced by UV in human skin are involved in the occurrence of skin damages. To protect the oxidative stress, cells express the anti-oxidant enzymes mediated by transcriptional factor NF-E2 related factor 2 (Nrf2). In this study, we found Koyamaki extract has activation of Nrf2, expression of Nrf2-dependent genes and protection against stress. These results suggest that Koyamaki extract, which has Nrf2-dependent defensive response by activation of Nrf2, may have possibility to protect skin damage from oxidative stress. 【目的】 紫外線やストレスなどにより生体内に過剰に発生した活性酸素種 (reactive oxygen species:ROS)は、 抗酸化物質の消費を通してレドックスバランスを崩壊させ、この結果がシワやシミとなって肌上に表 れる。ROS に対抗するこれら抗酸化酵素群や解毒代謝酵素群の発現誘導には、転写因子 NF-E2 related factor 2:Nrf2 と抗酸化剤応答配列 (antioxidant response elements:ARE)の関与が報告されている。すなわ ち、ROS などにより活性化された Nrf2 は、ARE との結合を介して下流の抗酸化酵素群を発現誘導さ せ、亢進した抗酸化物質が ROS を消去するという、実に巧妙な生体防御機構が成立している。本研究 では、日本固有種であり、太古の生きた化石として知られるコウヤマキの抽出物が、レドックスバラ ンスを司る転写因子 Nrf2 とその制御物質に与える影響、及び酸化ストレス傷害に対する効果について 調査し、抗老化への可能性について検討した。 【方法】 ヒト表皮角化細胞 (NHEK)、またはヒト真皮線維芽細胞 (NB1RGB)にコウヤマキエキスを添加し、 Nrf2 の局在と、グルタチオン合成遺伝子である xCT、γ-GCS の mRNA 発現、及び細胞内グルタチオ ンに与える影響を調べた。さらに、過酸化水素曝露による酸化ストレス傷害に対する防御効果を評価 した。 【結果】 コウヤマキエキスによる Nrf2 の活性化と、Nrf2 制御遺伝子の発現亢進を介したグルタチオンの産 生促進、及び酸化ストレスに対する防御効果を確認した。 【結論】 コウヤマキエキスによる Nrf2 活性化は、細胞内の総合的な抗酸化レベルの亢進による、紫外線やス トレスにより過剰に発生した ROS によるシワやしみといった酸化ストレス傷害に対する防御能の獲 得へと繋がる新たなプレエイジングケア素材として期待できる。 - 97 - P-G-2 ピクノジェノールによる肝細胞の脂肪蓄積抑制の分子機構 Molecular Mechanisms on Suppression of Lipid Accumulation by Pycnogenol in Liver Cells ○生山 祥一郎、范 斌、谷 剣秋、西村 純二 九州大学生体防御医学研究所・免疫病態学分野 Fatty acids stimulate lipid accumulation in parallel with increased expression of adipose differentiation–related protein (ADRP) in mouse NMuLi liver cells. Oleic acid (OA) and specific PPAR ligands stimulated ADRP expression and ADRP promoter activity which encompasses the PPAR response element (PPRE) adjacent to an Ets/AP-1 site. When the AP-1 site was mutated, OA failed to stimulate the activity despite the presence of the PPRE, while PPAR ligands did stimulate it. DNA binding of AP-1 was stimulated by OA, but not by PPAR ligands. Pycnogenol (PYC) suppressed the OA-induced ADRP expression along with suppression of lipid droplet formation. However, PYC neither suppressed the OA-stimulated ADRP promoter activity nor DNA binding of AP-1, but instead, reduced the ADRP mRNA half-life. All these results indicate that the effect of OA on ADRP expression requires AP-1 as well as PPRE, and PYC suppresses the ADRP expression in part by facilitating mRNA degradation. PYC could be beneficial for the prevention of excessive lipid accumulation such as hepatic steatosis. 【研究の背景と目的】 細胞内への過剰な脂質の蓄積は肥満、脂肪肝、動脈硬化などを惹起する。このような病態の予防効果 を謳った健康食品やサプリメントは多数あるが、その効果に関する詳細な作用機構は必ずしも明らか とは言えない。肝において細胞内脂肪滴形成蛋白 adipose differentiation-related protein (ADRP)の発現を 遺伝子工学的に抑制すると脂肪蓄積は抑制される。そこで ADRP 発現を抑制する食品成分は脂肪肝の 発症予防効果が期待される。本研究ではマウス肝細胞を用いて脂肪酸による ADRP 発現の分子機構を 明らかにするとともに、フランス海岸松樹皮抽出物・ピクノジェノール(PYC)の細胞内脂肪蓄積に対 する効果とその作用機構を検討した。 【結果】 オレイン酸など長鎖脂肪酸はマウス肝 NMuLi 細胞で ADRP 発現を促進した。これは ADRP 遺伝子の 転写活性化によるもので、プロモーターの PPAR 応答配列(PPRE)を介する作用である。しかしオレイ ン酸は特異的な PPAR リガンドとは異なり、活性増強のためには PPRE の上流に隣接する AP-1 配列の 存在が必須であった。一方、PYC はオレイン酸による ADRP 発現を抑制し脂肪滴形成を抑制した。PYC はオレイン酸によるプロモーター活性増強効果には影響せず、ADRP mRNA の分解を促進することが ADRP の発現量を低下させる機序であると考えられた。 【結論】 マウス肝細胞におけるオレイン酸による ADRP 発現増強の分子機構と PYC による ADRP 発現抑制の 機序を明らかにした。健康食品としての PYC の摂取は脂肪肝発症予防に有用である可能性がある。 - 98 - P-G-3 韓国産蚕粉末と各種桑葉粉末の 1-デオキシノジリマイシン(DNJ) 含量の比較と加熱殺菌時における蚕粉末中の DNJ の熱安定性 Comparison of 1-Deoxynojirimycin (DNJ) Content between Korean Silkworm Powder and Various Mulberry Powders, and the Stability of DNJ in Silkworm Powder during Sterilization 八並 一寿 1) 3),○亀井 勉 2) 3) 4),村田 幸治 3) 4), 1)玉川大学農学部,2)European University Viadrina Frankfurt (Oder), 3)財団法人島根難病研究所,4)金沢大学大学院医学系研究科 Silkworm powder containing 1-deoxynojirimycin (DNJ) has α-glucosidase inhibitory activity and is a promising complementary and alternative medicine (CAM) agent in Japan. DNJ content in silkworm powder produced in Korea was higher than that in mulberry powder. DNJ in silkworm powder was stable during heating to 121°C for up to 15 min. Our findings suggest that the utilization of silkworm powder as an anti-diabetic component for CAM in Japan could be expected. 【目的】 補完代替医療分野での使用が期待される蚕粉末は、蚕が桑葉由来の1-デオキシノジリマイシン (DNJ)を生体濃縮するため、桑葉と比較して DNJ 含量が高いといわれている。今回、韓国産蚕粉末 と、韓国,中国,タイ,日本産の桑葉粉末中の DNJ 量を比較しその生体濃縮の程度を検討した。さら に、衛生的な製品を供給するためには加熱殺菌が不可欠であり、蚕粉末を 121℃で加熱した際の DNJ の熱安定性を検討した。 【方法】 ボンビックス薬品株式会社より入手した韓国産蚕粉末と、韓国,中国,タイ,日本産桑葉粉末を使 用した。粉末に 75%エタノールを加え、攪拌後の遠心上清をろ過し試料溶液とした。また、121℃で 5 ~ 60 分 加 熱 し た 後 の 産 蚕 粉 末 よ り 同 様 に DNJ を 抽 出 し た 。 DNJ の 定 量 は 9-fluorenylmethyl chloroformate で誘導化後、逆相カラムにて HPLC 法で定量した。 【結果】 蚕粉末(2種)の DNJ 量は平均 0.49%で、各種の桑葉粉末の DNJ 量〔韓国産(0.17%),中国産(4 種;平均 0.11%),タイ産(10 種;平均 0.17%),国産(8種;平均 0.12%)〕より高く、蚕の DNJ 濃 縮の程度は 2.9~4.5 倍であった。また、蚕粉末は 121℃で 15 分以内の加熱では、非加熱の蚕粉末と比 較して DNJ の残留率が 80%以上と高く、比較的安定していた。 【結論】 蚕粉末は、桑葉の有効成分 DNJ を3~4倍程度濃縮していることが判明した。また、加熱滅菌後の 蚕粉末は、加熱時間を調整することにより非加熱の蚕粉末に近い DNJ を含むことが確認された。今回 の検討により、蚕粉末は糖尿病予防作用を持つ CAM 素材として高い有効性や熱安定性を有する原料 であることが判明し、今後の利用が期待されると考えられた。 - 99 - P-H-1 ブタプラセンタエキスの育毛作用 Effect of Porcine Placenta Extract on Hair Growth ○ 手計 雅彦 1) 明壁 1):スノーデン株式会社 史弥 1) 熊谷 大宮開発センター 道彦 1) 薬品研究室 In the old literature “HONZOUMOKU”, it is reported that the placenta, known under the name of "SHIKASHA," has an effect in many illnesses as a precious animal herbal medicine. The action of placenta is reported as, "Hair becomes black" after long-term administration. 1) We studied proliferation of papilla cells in response to placenta extract and hair growth in C3H mice. Placenta extracts caused a proliferation of papilla cells and shortened the resting stage of the mouse hair cycle. 【目的】 ブタプラセンタエキスの薬理効果検索の一環として、ブタプラセンタエキス(PLE)の抗アンドロゲン 作用について検討した結果 PLE には、前立腺癌細胞増殖抑制作用と前立腺肥大抑制効果があることを 見つけ既に報告した 2)。 今回は、この PLE の抗アンドロゲン作用に基づく男性型脱毛症に対する効果を検討した結果 PLE は、人頭髪毛乳頭細胞(HFDPC)の増殖作用を示し、CH3 マウスを用いた育毛実験から PLE に育毛 効果を示唆する結果が得られたので報告する。 【方法】 PLE による HFDPC の増殖促進作用の検討は、HFDPC(東洋紡績㈱)に PLE を添加することにより、 細胞の増殖の有無を Cell counting Kit-8(同仁化学研究所)を用いて行った。 育毛促進作用の検討は、剃毛したマウスの C3H/He N Crj,SPF 雄マウスの育毛速度を陰性対照と陽性 対照の差を評価確認し、被験物質群の育毛作用をスコアで比較評価した。 【結果】 ブタプラセンタエキスは、人頭髪毛乳頭細胞の増殖促進作用試験において、用量依存的に細胞増殖 促進効果が認められた。 ブタプラセンタエキスは、マウス背部毛の休止期を短縮する効果が認められた。 ブタプラセンタエキスの最終観察日の評点の平均点は、4.2±0.4 で、20 例の陰性対照の平均点 3.4±0.8 より有意に上昇を示した。 陽性対照 20 例の平均値は、4.7±0.6 でブタプラセンタエキスより高い値 であった。 【考察】 ブタプラセンタエキスには、人頭髪毛乳頭細胞の増殖促進作用と抗アンドロゲン作用に基づく発毛 サイクル休止期の短縮による育毛作用があることを明らかにした。 人頭髪毛乳頭細胞の増殖促進作用や C3H マウスを用いた育毛試験の結果が、人の育毛にも同じ作用 を示すかの検討は今後の課題である。 - 100 - P-H-2 南米産薬用植物タヒボの生体内発がん物質、一酸化窒素 誘発発がんに対するがん予防作用 Chemoprevention of Nitric Oxide Donor-Induced Carcinogenesis by Brazilian Herb Taheebo ○徳田 春邦 1)、金子 雅文 2)、山下 1)金沢大学大学院医学系研究科 2)高崎健康福祉大学 光明 2)、鈴木 信孝 1)、飯田 彰 2) 臨床研究開発補完代替医療学講座、 薬学部、3)近畿大学 農学部 The present study was carried out to examine the chemopreventive activity of a natural source of flavonoids in an extract (Taheebo, Japan) of the herbal medicine Tabebuia avellanedae and curcumin on nitric oxide (NO) donor-induced carcinogenesis. These experiments also demonstrated that exposing the skin of SENCAR mice to natural source compounds prior to and during peroxynitrite (PN) treatment inhibits certain intermediate pathways of the PN-induced mouse skin complete carcinogenesis model. Several studies have observed these antioxidants to possess inhibitory effects against chemical-induced carcinogenesis tumor-initiating and -promoting activity in the two-stage mouse skin model. In the course of these studies, female SENCAR mice (6 weeks of age) were treated topically with a single dose of PN solution followed by TPA [12-O- tetradecanoyl phorbol-13-acetate] twice weekly for 20 weeks. Tumor incidence was 100% with 6-7 tumors per mouse in the positive control group at the end of the experiment . These results provide a basis for further development of TA in human chemoprevention. [目的] 生体内で種々の感染や炎症により通常の約1000倍量発生するとされる一酸化窒素(NO)等の活 性分子種であるパーオキシナイトライト(PN)は強い細胞毒性を示すとされている。今回我々は、マ ウス皮膚においてこの化合物が顕著な発がん性を示すことを認め、これをひとつのモデルとして、ヒ トが通常摂取している市販化合物についてのがん予防効果を検討した。 [方法] PN を発がんイニシエーションとして、TPA [12-O- tetradecanoyl phorbol-13-acetate]をプロモー ションとする系で実験をおこなった。イニシエーション過程の前後1週間の計2週間、飲水の方法で Tabebuia avellanedae(TA) のエッセンスを作用させ、発がん処理21週目において腫瘍の発生を観 察した。さらにたんぱく質レベルの検討をウエスタン・ブロット(WB)法を用いて行った。 [結果] TA 投与群では腫瘍数がコントロール群と比較して60%、腫瘍発生率は40%以上の減少を示した。 [結論] 今回は生体内で大量に発生した状態では疾患を誘起するとされる一酸化窒素(NO)による発がん誘 発に対して、ブラジル産天然薬用植物である TA の有用性を検討したところ、TA は感染や炎症状態で の発がんに対しても予防効果が認められることが示唆された。 - 101 - P-H-3 ハトムギ抽出液を用いたがん予防作用の評価 Evaluation for Anti-tumor Promoting Properties of a Health Drink Tea containing Coix lacryma-jobi L. var.ma-yuen Stapf extract ○徳田 春邦 1)、新井 隆成 2)、林 浩孝 1)、Jeffrey Michael Strong1)、鈴木 1)金沢大学大学院医学系研究科 2)金沢大学大学院医学系研究科 信孝 1) 臨床研究開発補完代替医療学講座 周生期医療専門医養成学講座 In our continuous search for anti-tumor promoting, chemopreventive active potency from a natural source material, a health drink tea containing Coix lacryma-jobi L. var.ma-yuen Stapf (CL) extract was screened using an in vitro synergistic assay indicated by inhibitory effects on the induction of Epstein-Barr virus early antigen (EBV-EA) by TPA. In this assay, CL aqueous extract and ethanol extract exhibited potential inhibitory effects on EBV-EA activation without strong cytotoxicity on Raji cells. In our experimental system, the inhibitory effects of both CL extracts were greater than that of beta-carotene, which is a known anti-tumor promoting and/or chemopreventive agent. On the basis of the in vitro assay results, the inhibitory effects of these samples were investigated in a two-stage carcinogenesis test of mouse skin papillomas using DMBA as an initiator and TPA as a potential promoter. 【目的】 ハトムギ熱水抽出物についてマウス皮膚二段階発がん抑制試験にてその生理活性を検討した。 【方法】 ICR マウス雌6週令の個体背部を剃毛し、翌日発がんイニシエーターとして DMBA アセトン溶液 100 μg を塗布し、1週間後に同部位に発がんプロモーターとして TPA1μg を塗布した。なお、TPA 塗布の1時間前に同部位にハトムギ熱水抽出物とまたはハトムギエタノール抽出物を 50μg、週2回、 20週間塗布した。一群は15匹とし、陽性コントロールは溶剤であるアセトンとし、それぞれ腫瘍 発生率、腫瘍発生数を比較した。また、実験終了後、それぞれマウスで発現した長径巾1mm 以上の 腫瘍を計測した。 【結果】 熱水抽出物はアセトン処理の結果と比較して発生率は30%、腫瘍数40%、エタノール抽出物は 同様に50%、60%減少する結果を得た。以上のことから、当モデルの皮膚腫瘍の発生にはエタノー ル分画により強い抑制作用が認められることが分かった。 - 102 - 各種セミナープログラム ランチョンセミナープログラム ● 11月21日(土) ランチョンセミナー 12:00~12:50 402号室(校舎A棟4階) テーマ: 「アガリクス・ブラゼイにおける最新研究と業界の取り組みについて」 演 者:豊田 剛史 アガリクス・ブラゼイ協議会 企業名:アガリクス・ブラゼイ協議会 12:00~12:50 403号室(校舎A棟4階) テーマ: 「古来からの食素材と21世紀型の生活様式への改良」 演 者:鄭 小偉 浙江中医薬大学 教授 大学病院院長 演 者:山口 宣夫 金沢医大大学院 代替基礎医学講座 教授 演 者:河野 光登 不二製油株式会社 フードサイエンス研究所 企業名:不二製油株式会社 ● 11月22日(日) 栄養健康室 室長 ランチョンセミナー 12:05~12:55 302号室(校舎A棟3階) テーマ: 「ピクノジェノール:近年の研究報告」 演 者:ジェフリー・マイケル・ストロング ホーファーリサーチ社 学術担当ディレクター 企業名:株式会社トレードピア、DKSH ジャパン株式会社、ホーファーリサーチ社 - 103 - 12:05~12:55 402号室(校舎A棟4階) テーマ: 「アスタキサンチン-とくに眼精疲労の臨床的研究について-」 座 長:新井 隆成 金沢大学大学院医学系研究科 周生期医療専門医養成学講座 特任教授 演 者:高橋 二郎 富士化学工業株式会社 演 者:長木 康典 一宮西病院眼科 企業名:富士化学工業株式会社 12:05~12:55 403号室(校舎A棟4階) テーマ: 「ピクノジェノール(フランス海岸松エキス)の多様な機能性について」 演 者:鈴木 信孝 金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座 特任教授 企業名:持田製薬株式会社 - 104 - データセミナープログラム ● 11月21日(土) データセミナー 14:10~14:50 402号室(校舎A棟4階) テーマ: 「シルクフィブロイン飲用による血糖値降下」 演 者:吉川 育矢 ドクターセラム株式会社 企業名:ドクターセラム株式会社 代表取締役 14:10~14:50 403号室(校舎A棟4階) テーマ:「ビルベリー由来アントシアニンの抗腫瘍作用の研究及び「水の処 理方法」で特許を取得した機能性クラスター水について」 演 者:鵜澤 正和 グローブサイエンス株式会社 企業名:グローブサイエンス株式会社 15:00~15:40 402号室(校舎A棟4階) テーマ: 「電気刺激(高い周波数成分を含む複合波 EMS)による深層の筋運 動効果と痩身効果への検討」 演 者:本名 敦夫 株式会社テクノリンク メディカル学術部 演 者:高山 成伸 大東文化大学 スポーツ・健康科学部 企業名:株式会社テクノリンク(エクスケア・ジャパン株式会社) 16:00~16:40 403号室(校舎A棟4階) テーマ: 「微量血液分離装置と微量検査システムについて」 演 者:鈴木 演 者:野村 正和 株式会社リージャー マーケティング部長 憲之 株式会社ウィズネット ヘルスケア事業室長 (元株式会社リージャー デバイス開発担当) 企業名:株式会社リージャー - 105 - 16:50~17:30 403号室(校舎A棟4階) テーマ: 「ビタミン K2(メナキノン-7)の動脈硬化、心臓病予防、骨粗鬆症 予防について」 座 長:太田 富久 金沢大学 医薬保健研究域薬学系 教授 演 者:佐藤 俊郎 株式会社 J-オイルミルズ ファイン研究所 企業名:株式会社 J-オイルミルズ ● 11月22日(日) データセミナー 14:00~14:40 403号室(校舎A棟4階) テーマ: 「ブラジル産薬用植物由来タヒボの健康維持に向けての活用」 座 長:鈴木 信孝 金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座 特任教授 演 者:徳田 春邦 金沢大学大学院医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座 客員准教授 企業名:タヒボジャパン株式会社 - 106 - ランチョンセミナー アガリクス・ブラゼイにおける最新研究と業界の取り組みについて アガリクス・ブラゼイ協議会 豊田 剛史 私たちアガリクス・ブラゼイ協議会は、アガリクス・ブラゼイをご利用者に安心してご利用いただ けるよう種々の取り組みを行っている。安全性への取り組みとして安全性自主ガイドラインを制定・ 遵守を徹底し、それを満たす製品には協議会ロゴマークを貼布することでどの製品が安心してご利用 いただけるかを消費者に分かりやすく提示している。また最新研究情報や安全性に関わる文献収集を 行い、消費者に情報発信している。 最新研究情報例として当協議会加盟企業のビーエイチエヌ㈱は、ヘビースモーカーやメタボリック シンドロームなどライフスタイルの異常等により酸化ストレスが増大している被験者45名を対照群、 BHNアガリクスエキス末(Ag-Ex)1包摂取群、3包摂取群の3群に分けてAg-Exを28日間摂取してもらい、 その安全性と免疫能やQOLなどに対する有効性について検討を行った。 その結果、安全性については、30名のAg-Ex摂取群の中で、2名で一時的な不快感を認めたが、継続 により2、3日で改善した。その他では特に異常は認められなかった。 有効性については、まずQOLのアンケート調査では、対照群でQOLが低下したのに対して、Ag-Ex摂取 群ではQOLの改善が認められた。さらに免疫能の指標として測定したNK活性についても、対照群で悪化 傾向にあるところ、Ag-Ex摂取群で改善が認められた。 本試験結果から、Ag-Exの安全性とライフスタイルの乱れている方への有効性が確認されたとの研究 成果が確認されている。 また当加盟企業の㈱エスエスアイは、協和アガリクス茸から抽出された分子量~500の1SY16フラ クションを用いて齧歯動物の肺がん、結腸がん、乳がんに対する発がん抑制効果を評価した。1SY16の 発がん抑制効果は劇的であり、NNK/AOM/MNUといった発がん物質によって引き起こされるさまざまな分 子イベントを有意に抑制した。DNAマイクロアレイを用いた分析においても1SY16はNNKによる多数 の発がん遺伝子の発現阻止を含んだ複合的なメカニズムを示唆する研究成果が確認されている。 アガリクス・ブラゼイは日々上記のように研究が進められ、先日厚生労働省からも近年3年間は健 康被害の報告は無いという通知が出るなど信用性の高い素材である。ただし、どのような素材でも正 しく管理されていないものは安心して利用できないため、業界団体として市場の健全運営に努めてい る。今後もアガリクス・ブラゼイ協議会は少しでも消費者にとって有益な活動を継続していきたいと 考えている。 (参考)アガリクス・ブラゼイの安全性に関するアガリクス・ブラゼイ協議会の自主ガイドライン 原材料の安全性基準について 1.使用部位(基原)の確認 、2.一般成分において、食品衛生法で定められた基準を満たしている事、3. 残留農薬についてポジティブリスト制で定められた基準を満たしている事、4.原材料における重金属規定 - 107 - 値を満たしている事、5.動物を用いた単回並びに反復経口投与試験(90 日間以上)、6.遺伝毒性試験(復 帰突然変異試験 染色体異常試験 小核試験)を必須試験とする。 個別商品の安全性基準について 7.原材料で 1~6 を満たし、且つ副原料(賦形剤を除く)が含まれていな い場合はヒトでの過剰摂取試験が免除される。安全性試験が行われていない、または副原料が含まれてい る場合はヒトでの過剰摂取試験を行う必要がある。8.ヒトでの過剰摂取試験 ヒト(10 名程度)による 4 週間の過剰摂取試験(3 倍量以上)、9.相互作用を引き起こす副原料が配合されていないか確認を行う。 10. 一般成分において食品衛生法で定められた基準を満たしている事。11.残留農薬についてポジティブリスト で定められた基準を満たしている事。12.個別商品における重金属規定値を満たしている事。 ● 細菌類についての規定 大腸菌群は陰性で、一般細菌数(生菌数)は 3.0×10 の 3 乗以下とする。 飲料タイプの個別製品 ・・・ 清涼飲料水の基準を満たすこと。 それ以外の製品化された個別製品 ・・・ 食品衛生法の基準を満たすこと。 ● トレースアビリティーについて 原材料きのこ栽培地を事務局へ報告すること。消費者に対し開示できる情報は全て開示すること。 ● 重金属基準について 水銀 [Hg] 鉛 [Pb] ・・・ 0.5ppm 以下 ・・・ 3ppm 以下 カドミウム [Cd] ・・・ 3ppm 以下 砒素 [As] ・・・ 2ppm 以下(無機砒素として) 共催:アガリクス・ブラゼイ協議会 - 108 - Traditional Functional Foods of China, and some Modifications for the 21 s t Century Lifestyle ~古来からの食素材と 21 世紀型の生活様式への改良~ 不二製油株式会社 鄭 小偉 浙江中医薬大学 大学院 教授 大学病院院長 山口 宣夫 金沢医大 代替基礎医学講座 教授 河野 光登 不二製油株式会社、フードサイエンス研究所 栄養健康室 室長 【要約】 21世紀に入って10年足らずの今、我々を取り巻く感染症の危機は、一向に治まる気配 がなく、むしろ新興感染症の波状攻撃に晒されているといっても過言ではありません。 細菌による感染症は抗生物質耐性菌の出現と新規抗生剤の開発との出口なき戦いが、泥沼の様相を呈 しています。感染症に対する対策は、結局、古くからの原点に帰って、宿主である人間の生理機能を 理想的に整える他はないと考えます。 このコーナーでは、宿主である人間の生理機能を整える思想を中医学的思想に求め、先ず中医薬学 の権威浙江中医薬大学 院長 鄭 小偉教授、から正統な中医学の講義を頂きます。その後、経口的ルー トから、人体の状態を調節する証拠を金沢医大/財)石川天然薬効物質研究センターの山口 宣夫教 授から大豆ペプチドを例として紹介します。第三部では、この大豆ペプチドの生化学的特長を紹介し、 21世紀の技術と紀元前世紀の思想との間の空白が有機的に繋がる実例として紹介します。 頻発する感染症に対する対策として、些か、間接的といわざるを得ないアプローチですが、最終的 に残される難治性の感染症に対して、宿主側の体制整備の提案を引き続いて継続してゆきたいと思い ます。 【 Abstract】 10 years now into the 21st century, we find ourselves beset by a host of infectious diseases that show no sign of abating – in fact, it is not too much to say that we are under attack by successive waves of emerging infectious disease. In bacterial infectious disease, the emergence of antibiotic resistant strains on the one hand, and the development of new antibiotics on the other, has taken on the aspect of a quagmire and war without end. When considering what measures to take against infectious disease, in the end we return to the old basics: ideally, it is the host – the human constitution – that must be put in order. In this meeting to address this issue of mending human physiology according to the precepts of traditional Chinese medicine, we will first hear from a p rofe s s iona l in Chin e se ph ar ma c eu tica l a cad e mia , P rofe ssor Yong- Sheng Zh ang of Zh ej iang Ch in ese Med ical Un iversity, speak ing on the top ic of or thodox trad itional Ch inese me d icine. Next we will h ear abou t qu an titativ e and qu alitative examin ation of th e effect of so yb ean-pep tid e on br ain fun c tion and hor mon e s, esp ecially as related to - 109 - emo tion and leukocyte subsets, wh ere observations ind icate th at so yb ean-p ep tide migh t work to r egu la te th e immu ne system by pro mo ting cellu lar immu n ity, ph agocytic and NK cell activ ity. In add ition, r egu la tion of emo tion-r e lated hor mon e s h as b e en observ ed, w ith simu ltan eous up-r egu lation of dopamin e and down-r egu la tion of adr enalin e. Tog e ther w ith th ese ob serv ations, th e sign if ican ce and mechan is m of soyb ean-p ep tid es on leuko cyte nu mber and fun c tion (bo th consid ered poten tial ind icato rs fo r th e evalu a tion of CAM mod a lities) will b e d is cu ss ed. 共催:不二製油株式会社 - 110 - ピクノジェノール:近年の研究報告 ジェフリー・マイケル・ストロング Jeffry Michael Strong, N.D. ホーファーリサーチ社 学術担当ディレクター フランス海岸松樹皮エキスピクノジェノールについて現在までに 240 以上の研究報告が学術誌で 報告されています。85 臨床試験で 7000 人以上の被験者に対するデータがあります。今回のプレゼン テーションでは、最近の研究報告について報告します。ピクノジェノールの抗炎症作用のメカニズム や関節炎に関する効果そして糖尿病やメタボリックシンドロームに対する効果について述べます。 Pycnogenol: A Research Update To date, there have been more than 240 research reports on French maritime pine bark extract, Pycnogenol, published openly in scientific journals. Included in these are data from 85 clinical trials involving more than 7000 patients. The presentation today will cover some of the recent research developments over the last few years. Findings related to Pycnogenol’s anti-inflammatory mechanisms and clinical efficacy in arthritis along updated reports on clinical studies related to diabetes and metabolic syndrome. 共催:株式会社トレードピア、DKSH ジャパン株式会社、ホーファーリサーチ社 - 111 - アスタキサンチン ―とくに眼精疲労の臨床的研究についてー 演者1. 高橋 二郎 富士化学工業 演者2. 長木 康典 一宮西病院眼科 アスタキサンチンはβ-カロテンと同じくカロテノイドの一種で、エビ・カニなどの甲殻類やサケ・ タイなどの魚類など、天然、特に海洋生物に広く存在する赤橙色の色素です。 近年そのアスタキサンチンが強力な抗酸化作用(特に抗脂質酸化)を有し、しかもプロオキシダント になりにくいこと、その活性は細胞膜で発揮されることが見出され、さらに眼精疲労回復作用、筋肉 疲労回復作用などの抗疲労作用、糖尿病腎症進展抑制や血圧上昇抑制など、生活習慣病予防に関する 機能性が報告されるなど、疾病予防に貢献し得るサプリメント素材として多方面から期待がよせられ ております。今回のセミナーでは、まず、アスタキサンチンの生物学的作用について、富士化学工業 の学術員が説明を行い、続いて最近行なわれたアスタキサンチンの眼精疲労に対する臨床試験につい ては、長木先生に講演していただきます。Visual display terminal (VDT)作業による調節力の低下や全身 倦怠感は、今や大きな社会問題となっています。今回、VDT 作業者に対するアスタキサンチンの調節 力改善効果が調べられたので報告していただきます。試験は、VDT作業に一日6時間以上従事し、 疲れ眼を訴える86例を対象としたもので、無作為にアスタキサンチン6mg摂取群(AX群)とプ ラセボ群(対照群)に分け、4週間、毎日夕食後に摂取。投与前後で、調節力、眼科一般検査、血液 検査を行いました。4 週間のアスタキサンチンの摂取で、AX群では、投与前後で、調節力は有意に 改善しました。このことから、アスタキサンチンは、VDT 作業による調節力の低下を改善する作用を 有することが示されました。 Effect of Astaxanthin Supplementation on VDT Syndrome Fundamental Investigation and Clinical Approach Effect of astaxanthin (Ax) supplementation on visual display (VDT) syndrome was studied. 86 subjects who complained of eye fatigue from VDT work for more than 6 hours per day were selected. A double-masked study was designed for VDT workers. They were randominized into either Ax group (AstaREAL astaxanthin 6 mg per day soft gel capsule) or a placebo group. Accommodation amplitude was examined before and after supplementation. Accommodation amplitude after Ax supplementation was significantly improved compared before Ax supplementation. Ax has improvement effect of accommodation amplitude on VDT workers. 共催:富士化学工業株式会社 - 112 - ピクノジェノール(フランス海岸松エキス)の多様な機能性について 金沢大学大学院 医学系研究科 臨床研究開発補完代替医療学講座 特任教授 鈴木 信孝 ピクノジェノール pycnogenol とは、フランス海岸松樹皮 (French maritime pine bark) から抽出 したプロアントシアニジンを主成分とする食品抽出物である。アメリカのサプリメントランキングで は常に上位を占め、世界各国で幅広く利用されている食品である。 ピクノジェノールはアメリカにおいて食品の安全性認定である GRAS 基準(Generally Recognized As Safe)を取得しており、臨床試験も数多く行われており、基礎的知見も非常に豊富である。 ピクノジェノールの作用としては、抗酸化作用が最も研究されており、そのほか抗炎症作用、末梢 血管拡張作用、血小板凝集阻止、ビタミンCの生体内作用に対する増強作用、末梢血管抵抗減弱作用、 結合組織の補強作用、皮膚に対する紫外線損傷の防止作用などが知られている。さらに、臨床医学的 には歯肉出血、老人の脳血流障害の改善、動脈硬化症による末梢血流障害、高血圧症、血栓予防、A DHD(注意欠陥多動障害)、糖尿病性網膜症、下肢の浮腫・静脈瘤・血栓症、喘息などのアレルギー 性疾患、エコノミークラス症候群、変形性関節症、男性機能の低下・精子機能の低下について改善・ 治療の報告がある。なかでも、糖尿病性網膜症に関してはヨーロッパにおいて医薬品(OTC)としても 認可されてきた。 また、最近、婦人科領域で子宮内膜症、月経困難症に対する有効性も報告されており、我が国にお いては 100 名以上の被験者を対象とした大規模 2 重盲検臨床試験も実施されている。加えて、台湾で は更年期障害に対する効果に関する臨床試験が実施され、近年、その幅広い食効に注目が集まってい る。 副作用としてはまれに胃痛や湿疹など軽微なものがみられる程度であり、機能性食品としては優れ た素材であると言えよう。 今回は、ピクノジェノールの EBM について、わかりやすく解説する予定である。 共催:持田製薬株式会社 - 113 - データセミナー シルクフィブロイン飲用による血糖値降下 ドクターセラム株式会社 代表取締役 吉川 育矢 【はじめに】 蚕が作り出すシルクは繊維でありながら、高純度のタンパク質で、フィブロインはナノレベルの多 孔性の基本構造を持ち、この複雑な隙間には吸脂性という機能がある。さらに難消化性であることか ら、体内の余分なコレステロール、脂肪を吸着し、乳化した状態で体外に排出する働きがある。 本研究ではヒトにおいて、血糖値を下降させる働きが得られるかどうかについて、シルクフィブロ インの飲用試験を実施したものである。 【方法】 被験者は、1年以上通院歴のある糖尿病患者を選び、試験はあさひ医王クリニックと保健科学研究 所(旧東京臨床検査センター)で行なった。6 ヶ月にわたって男女 10 名(男 6 名、女 4 名)(年齢 63.2±9.4)を対象に行なった。シルクフィブロインタンパク 200mg を 1 日 3 回(計 600 mg)食前 に飲用してもらった。尚、試験中は糖尿病薬を中止した。また、不特定男女 462 名(男 83 名、女 379 名)(年齢 55.6±13.3)に関しては、同様のシルクフィブロインを 1 ヶ月間飲用してもらった。 【測定したもの】 1ヵ月間隔で被験者から採血し、血中の血糖値(blood glucose)、ヘモグロビン A1c(HbA1c)値、 トリグリセライド(TG)を測定した。有意差の検定は、10 名 6 ヶ月のデータは Scheffe post hoc analysis で、462 名 1 カ月のデータは paired t-test で行なった。P<0.05 を有意と判定した。 【結果】 1)長期(6ヶ月)投与の効果 10 名の長期投与では 1 カ月目で有意に血糖値が下降し、この傾向は持続した。飲用前の値は 274.2 ±79.1 mg/dL から 6 ヵ月後は 112.1±17.7 mg/dL に下降していた(P<0.05)。 糖尿病の指標として使われている HbA1c も 1 カ月目から有意に下降を始めこれが 6 ヶ月目まで続 いた(7.7±1.0→5.5±0.2%, P<0.05)。トリグリセライド値は飲用 3 ヶ月目までは有意差が出なかった が下降傾向はあり、4 ヶ月目から下降が有意となった(178.7±55.5→95.4±20.3 mg/dL, P<0.05)。 2) 短期(1ヶ月)投与の効果 462 名の短期投与データでは1ヶ月後にデータの変化は認められなかった 462 名のほとんどは血糖 値も、HbA1c も、トリグリセライドも正常値の人が多い。そこで、これらの数値の高い人で選んで データを解析した。血糖値では飲用前>150 mg/dL(level 2)と>200 mg/dL(level 3)のグループ でシルクフィブロインの飲用による降下作用が出現した。level 3 の1ヶ月の変化は 273.3±54.5→ 200.8±64.2 mg/dL であった。HbA1c とトリグリセライドは数値の高い人を level 1 から level 3 まで 選んでも有意差の出る下降は認められなかった。level が高くなると下降の傾きが強くなるという傾 - 114 - 向は見られた。 【考察】 シルクフィブロインの飲用は長期でも短期でも、血糖高値の人に血糖降下作用を発揮した。これは シルクフィブロインの持つ多孔性構造や難消化性によって糖質の吸収をゆっくりさせたり、脂肪を吸 着し体外に排泄させる効果などのためではないかと考えている。 【謝辞】 データの解析と考察については、新潟大学大学院医歯学総合研究科、国際感染医学講座の渡辺まゆ み、安保徹に指導を受けた。ここに感謝の意を表す。 共催:ドクターセラム株式会社 - 115 - ビルベリー由来アントシアニンの抗腫瘍作用の研究及び 「水の処理方法」で特許を取得した機能性クラスター水について グローブサイエンス株式会社 鵜澤 正和 近年、先進国の間では、がん、心臓病、心筋梗塞といった生活習慣病の増加が大きな社会問題となっ ており、 特に医療費の高騰化は国民の生活にとって深刻な問題となっている。 これらの病気の病因 は多岐にわたり、種々の原因が複雑に相互に作用しあった結果発症すると考えられている。特に環境 要因・遺伝的素因は発症に重要な役割を果たしていることが知られている。最近の医学研究の進歩に 伴い、がん治療分野においても、これまで不可能と思われた新しい治療法の開発が可能になってきて いる。がんの免疫療法分野においても、これまで行われてきた療法に加えて天然物由来物質を用いる ことで、人間が本来持っている免疫活性などを強くし、がんなどの治りにくい病気になることを未然 に防ぐこと(未病療法)、また病気になった患者に対しては、これらの物質を取ることで負担の少な い(QOL)治療法の確立が望まれている。 最近の研究結果から、アントシアニンが抗酸化作用、抗腫瘍作用、さらには脂質代謝に影響を与え ているという知見が報告されている。このことは、ワイン(特に赤ワイン)の産地であるフランスにお いて動脈硬化症が少ないことからも、臨床的有用性が示唆されている。 グローブサイエンス株式会社と東京薬科大学は共同で、生活習慣病の中でも特に“がんの発症機構 解析および免疫細胞療法”に興味を持ち研究を続けてきた。そこで、この研究プロジェクトでは、ビ ルベリー由来アントシアニンの抗腫瘍作用について、臨床分子免疫学的観点から作用機序を明らかに し、細胞免疫療法および、これら主成分を含有する健康食品の開発を目的としている。ここで得られ た結果はこれまで知られている、アントシアニンの抗腫瘍効果に関する知識を深めることとともに、 健康食品としての効用についても新しい概念を導入するものである。 この結果をもとに、他の食品 との併用、新しい剤型の開発といったこれまで未知であった分野への新たな展開も期待できる。 また、一方、人体の大部分(70%以上)は水で構成されており、水は人体にとって必要不可欠で あると共に その役割は極めて重要なものとなっている。水分子(H2O)は複数の分子集団(クラ スター)によって構成されており、さらに低速から超高速ないろいろな速度によって集合、離散して いると考えられている。クラスターの大きさは直接測定することが困難であるが、クラスターが小さ くなる処理方法で特許を取得した水での最大酸素摂取量の正常化メカニズムの解説とさらに人体へ の健康維持に対する効果を検討する。 人は運動時に多くの酸素を必要とし、どれだけ多くの酸素が体に取り込まれ、どれだけ多くの酸素 を体の細胞に供給出来るかが運動能力の差になる。その運動能力の判断は最大酸素摂取量という数字 によって判断されている。したがって運動能力の向上、健康維持にとって体内細胞への円滑な酸素摂 取、供給が大切である。その酸素を体内細胞へ、また各臓器や筋肉などへ運ぶ血液の約 90%が水であ る。 - 116 - 飲用する水のクラスターが小さいことにより、最大酸素摂取量の正常化、運動時の血液中乳酸値の 変化、運動時の心拍数の変化などのデータ、血液中の赤血球のルロー状態の解除の写真映像等によっ て「最大酸素摂取正常化メカニズムと健康維持の関係」と将来の可能性を検討する。 共催:グローブサイエンス株式会社 - 117 - 『電気刺激(高い周波数成分を含む複合波 EMS)による 深層の筋運動効果と痩身効果への検討』 本名 敦夫1)、高山 1)株式会社テクノリンク 2) 大東文化大学 成伸2) メディカル学術部 スポーツ・健康科学部 メタボリックシンドロームの予防は、肥満の予防や内臓脂肪のコントロールを基本とした日常の食 生活や運動等の生活習慣が重要となる。しかし、現代人の不規則な食生活や栄養学的に偏った食事は 男女を問わず、特に仕事を持つ社会人において著しく、健康診断の際の専門家による栄養相談・指導 が導入された今もなお、個々において食生活の改善や栄養管理は難しい状況にある。 一方、適度な運動を通しての肥満予防は、単に過度な脂肪を排除するという効果に止まらず、筋力 および基礎代謝の維持によって得られるアンチエイジング的効果も期待されることから、今日、多種 多様なトレーニング法が考案され開発されている。 運動と脂肪消費の関係を示した近年の報告よれば、より深層の筋運動は効率の良い脂肪消費と密接 に関連するとされ、30 分以上の中程度運動負荷を日々継続して実施することなどがその具体例として 挙げられている。しかしながら、一定の運動負荷を実施するためには、そのための適切な運動施設や 生活環境などの種々の外的・内的要因に適わなければならず、一部の人々ではこれら諸事情を満足し て実行することができるものの、個々人が等しく運動に臨むまでには未だ至っていない。 今回、新たに開発された家庭用(高い周波数成分を含む:ホーム波形)複合波 EMS 装置「メタボ シェイプ」を用いて検討した深層の筋運動効果および痩身効果について報告するとともに、メタボ リックシンドロームの予防に対する有用性についても考察する。 共催:株式会社テクノリンク (エクスケア・ジャパン株式会社) - 118 - 微量血液分離装置と微量検査システムについて 鈴木 正和 株式会社リージャー マーケティング部長 野村 憲之 株式会社ウィズネット (元株式会社リージャー ヘルスケア事業室長 デバイス開発担当) 株式会社リージャーはエビデンスに基づく健康支援サービスを展開している企業です。我々はこれ までに微量の血液(指先末梢血 50μl)を簡易に血漿分離する装置とそれを用いた微量検査システム (サービス名:DEMECAL)を開発しました。 検査も生化学 14 項目をはじめ、P53 抗体とCEAの組み合わせによるがん検査キット、感染症、 Dダイマーとコレステロールによる血管リスクの検査などを上市してきました。本セミナーにおいて は、微量血液検査の精度の実際と検査手法、相関性などをふまえ、血液情報を時系列的に管理する事 による健康支援サービスのIT構築をテーマに発表します。さらに、健康保険組合等での導入実績と 疾患追跡調査を報告するとともに、補完代替医療分野での治験や治療効果の確認などへの微量血液検 査システム活用の可能性について述べます。 ●許認可 厚生労働省管理医療機器承認番号 21700BZZ00020000 ●特許 特許 3597827 号 特許 3445791 号 特許 3698696 号 特許 3971771 号 生体試料分離器具及びその分離法 生化学分析方法及びその装置並びに生化学分析用カートリッジ 生体試料調整方法、生体試料定量方法及び生体試料保存容器 未定量の生体試料の定量分析方法 ●株式会社リージャーの製造・検査・検査情報・物流業務管理体制、委託業務における法令、許認可 等 業務 全体監修 事業者名 医療法人 社団明芳会 橋中央総合病院 板 製 造 株式会社エノモト 場 塩山工 製 造 栃木精工株式会社 物 流 ヤマトシステム開発株式会 社 法令・許認可 財団法人日本医療機能評価機構 の認定施設 医療機器製造販売業許可番号(薬 事法第 12 条第 1 項)19B2X00001 号 医療機器製造販売業許可番号(薬 事法第 12 条第 1 項)09B1X00001 号 貨物運送取扱事業許可(法律第 82 号) - 119 - 取得日 平成 16 年 6 月 22 日 平成 17 年 4 月 1 日 平成 17 年 4 月 1 日 昭和 53 年 5 月 データ管理 株式会社NTTデータ 特別第二種電気通信事業者(法律 第 86 号)第 20 号 検査結果報告 株式会社ヴァル研究所 製造物責任法(法律第 85 号) カスタマー サービス 株式会社マスターピース 研究開発 株式会社ピー・シー・エル 諫早ラボ 販 株式会社ウィズネット 売 プ ラ イ バシー マ ー ク (JIPDEC)第 A820099(01)号 臨床検査技師、衛星検査技師等に 関する法律(第 20 条第 3 項)長崎 49 号 管理医療機器販売事業者 昭和 63 年 平成 14 年 11 月 平成 20 年 10 月 ●検査精度認証 「DEMECAL血液検査」で得られる「脂質測定値」 「HDLコレステロール測定値」は米国 CDCが認める国際基準であることが証明されています。 *CDC:Centers for Disease Control and Prevention(疾病対策予防センター) 共催:株式会社リージャー - 120 - ビタミン K2(メナキノン-7)の動脈硬化、心臓病予防、骨粗鬆症予防について Effects of vitamin K2 as menaquinone-7 on cardiovascular disease and osteoporosis 株式会社 J-オイルミルズ ファイン研究所 佐藤 俊郎 ビタミン K には、植物によって作られるビタミン K1 と主に微生物によって作られるビタミン K2 があります。ビタミン K2 は、側鎖の長さの違いにより、さらにメナキノン-4からメナキノン-15に 分類されます。発酵食品などにビタミン K2 は微量含まれていますが、納豆には納豆菌が生産するメ ナキノン-7が多く含まれています。 ビタミン K は、1929 年にデンマークの科学者 Dam によって血液凝固に必須の因子として発見され ました。Dam は、後にビタミン K の化学構造を決定した Doisy とともに 1943 年にノーベル生理学・ 医学賞を受賞しています。その後しばらくビタミン K の研究は血液凝固に関する研究が中心でしたが、 1970~80 年代に入り骨芽細胞によって作られるオステオカルシンと呼ばれるタンパク質や、血管など で作られるマトリックス Gla タンパク質の活性化にビタミン K が必要であることがわかり、新たな研 究が展開されてきました。 血液凝固系に必要な量のビタミン K は、通常不足することはありませんが、骨形成に関わるオステ オカルシンの活性化のためには、必ずしも十分ではないことが知られるようになってきました。特に ビタミン K2 が骨粗鬆症に対する効果が高いことがわかり、1995 年からビタミン K2 が骨粗鬆症の治 療薬として利用されています。 1997 年 Nature に、マトリックス Gla タンパク質を欠損したマウスが、全身の血管にカルシウムが 蓄積して死亡することが報告され、このビタミン K 依存性タンパク質が血管の石灰化を防ぐ働きをし ていることが明らかとなりました。現在、動脈の石灰化は動脈硬化を引き起こす最も重要な症状と認 識されています。2004 年 Journal of Nutrition に、欧州でビタミン K2 摂取量が多いヒトが、動脈硬化 による死亡率が低いことが報告され、ビタミン K2 の動脈硬化・心臓病予防効果が注目されておりま す。このとき、メナキノン-7 など側鎖の長いビタミン K2 摂取量の関与が最も高い一方、ビタミン K1 の摂取量とは相関が認められませんでした。動脈硬化を予防するとされる多くの健康機能素材は、抗 酸化作用によって働くことが期待されているものが多いですが、ビタミン K の作用メカニズムは、ビ タミン K 依存性タンパク質を介したビタミン K に特異的な作用である点で他の素材と異なります。 以上のように、ビタミン K2 は古くから知られる栄養素ですが、現在も新規かつ重要な研究が続い ております。特に、ビタミン K2(メナキノン-7)は、微量で効果を発揮することがわかり、骨粗鬆 症、動脈硬化・心臓病の予防効果が期待されています。 共催:株式会社 J-オイルミルズ - 121 - ブラジル産薬用植物由来タヒボの健康維持に向けての活用 徳田 Ⅰ 春邦1、金子 雅文2、山下 光明2、ヘルムート・バチョフスキー3、飯田 1 金沢大学、2高崎健康福祉大学、3ウィーン Nosomi 診療所、 4 近畿大 彰4 はじめに 今回紹介する学名 Tabebuia avellanedae、タベブイア・アベラネダエ(TA と略す)、一般使用名、タヒ ボはノウゼンカズラ科に属する植物で南米、ブラジル北部からアルゼンチン北部までいわゆるアマゾ ン地域のみに植生する樹高20~30mにもなる大木で、その幹は水にも沈むほど堅牢な樹木として 知られている。この樹木の内部樹皮、わずか表面5mmの極微小な部分は遠くインカ帝国時代より 種々の疾患に効能があると、いわゆる伝承薬用植物として用いられ、現在までその有益性の研究がよ り詳細に続けられている。私達は約20年近く前より、とくにがんを対象に効能試験を続けてきてお り、発がん抑制物質としてナフトキノン系化合物 NQ801 をこの植物より特定して報告した。わが国 でもその後、一般に飲料茶の形態で提供し、多くの方々に摂取されている。この天然物は世界中で研 究されていたが、一昨年よりその含有成分でナフトキノン系のベーターラパチョがすでに米国での臨 床試験で、がん疾患に対してフェーズ II まで進んでいる事や、その成分が大手製薬会社で大量合成さ れてことも明らかになっている。その成果は現時点では治療が困難とされるすい臓がん等に対して静 脈投与試験を行なっている模様であり、抗がん剤としての開発を目指しているもとのと推測される。 以上の知見を基にして、われわれは従来の TA にくらべ、より機能性を高める目的で、これまで実 際に市販され、試験に用いていた製品である TAHEEBO NFD ESSENCE (以下タヒボエッセンス) (タ ヒボジャパン社)に、NQ801 を必要量含有する粗抽出分画を新たに加えた形の、いわゆるデザイナー フードの形態とした X6(バイシックス)(タヒボジャパン社)とよぶ製品を作製した。さらに生理 活性がべーターラパチョより強い化合物である NQ801 の化学合成にも成功した。今回はこのように してできた食品とがんに関する試験結果を報告する。 Ⅱ 新しい食品素材バイシックスのがん細胞への作用 今回は、とくに肺がん、乳がんに注目して、ヒト由来肺がん細胞である A549、ならびに同様の乳 がん細胞 MCF-7 を用いて、バイシックスの抗増殖能を試験した。シャーレにそれぞれ細胞培養を行 い、完全に付着した状態で基礎培地1ml として被験化合物を加え、3日間反応後、特異的なトリパン ブルーにて染色、その生存細胞を計測し、その形態に関しても観察をおこなった。それぞれ3回の試 験を行ったが、これまでのタヒボエッセンスと比較して約数倍の細胞増殖抑制効果を示した。形態面 においても、通常の繊維芽細胞様から明らかな円状構造を示し、その割合はバイシックスの方が多く、 - 122 - また高濃度の状態でより多い傾向が認められたことから、がん細胞に対して、高感受性であることが 示唆された。さらにこの形態は通常の抗腫瘍剤の作用である殺細胞作用とは異なり、細胞分裂の抑制 であることから、細胞休止期の維持の状態であると推測し、このような環境では実際の生体内での影 響はこの化合物による作用としては軽度の関与であると思われ、その意味でも有用ながん予防作用と 考えている。また活性化合物である NQ801 は既存の5FU や同様なナフトキノン系のマイトマイシン C と比較してこれらヒト由来がん細胞に対する試験において、その殺細胞能は弱いが、顕著な細胞毒 性を認めない有用活性物質として、またその応用が米国でのベーターラパチョと同様に期待できるも のと考えている。 Ⅲ バイシックスによる小動物試験の成果 細胞試験において有用な作用が評価できたことから、小動物、マウスを用いた発がん抑制試験を 行った。世界的に認められた、発がん作用抑制試験として、簡便かつ明確なデーターが得られるマウ ス皮膚二段階発がん抑制試験を行なった。SENCAR マウスの背部を剃毛し、1日後、その部位に発 がんイニシエーションとして DMBA のアセトン溶液を塗布、その1週間後に発がんプロモーターと して同部位に TPA を塗布する試験系で、発がんプロモーター処理の1時間前に TPA 量の50倍のタ ヒボエッセンス、バイシックス、NQ801 を塗布し、溶剤であるアセトンのみを塗布する陽性コント ロールと比較することで評価を行う。それぞれ腫瘍の発生率、発生数でデーターを整理すると、抑制 物質を無処理の系と比較して、バイシックスはタヒボエッセンスよりも発生数において、抑制効果を 示し、NQ801 については、発生率に関しても抑制を示した。また腫瘍の発生時において遅延効果が 認められ、腫瘍の形態においても腫瘍径が減少する傾向を示した。このような実験系で遅延作用が認 められた事実はヒトにおいて、少なくとも数年間、がん発症の危険性を軽減できるものと考えられる。 また腫瘍径においても処理した群は、縮小傾向を示し、これらは非特異的免疫効果の上昇が推測され、 ここで示された種々の所見は、このものが発がん誘導抑制に対して、意義を有するものと考えている。 Ⅳ 開発と臨床的意義への評価 現時点ではこのような結果から、タヒボエッセンスは一般的な健康志向としての働きのために、バ イシックスは、がんの化学予防もしくはがんを対象として考えており、とくに今回は、バイシックス の臨床試験結果についてもその一部について言及する。 Tabebuia avellanedae, commonly called “Taheebo”, is a hardwood tree of the Bignoniaceae family that grows up to 30 meters in height and is native to a tropical area in South America between Brazil and northern Argentina. The inner-bark has been used in herbal preparations since the Incan Empire. This study was conducted to determine the effects of Taheebo essence and chemical synthetic naphthoquinone (type NQ801), known to be active against chemical carcinogenesis-induced tumor formation. Human derived tumor cell lines and mice were used as in vitro and in vivo model systems to test the effects of these samples on the cancer process. 共催:タヒボジャパン株式会社 - 123 - 出展企業一覧 出展企業一覧 アガリクス・ブラゼイ協議会 味の素㈱ グローブサイエンス㈱ ㈱J-オイルミルズ タヒボジャパン㈱ ㈱テクノリンク (エクスケア・ジャパン㈱) ドクターセラム㈱ ㈱トレードピア ㈱VIPグローバル 富士化学工業㈱ 不二製油㈱ 持田製薬㈱ ㈱リージャー (50音順) 謝 辞 第12回日本補完代替医療学会学術集会開催にあたりましては,多くの団 体・企業から御協賛を頂きました。ここに,厚く御礼を申し上げます。 第12回日本補完代替医療学会学術集会 会長 池口 惠観
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