平成25年6月発行 6月から抽出指導と定期相談がスタートしました。私が担当するセクション3では自立活動6区分の 中の「コミュニケーション」や「人間関係」に焦点を当て授業を行っています。まだ授業が始まったば かりで子どもたちも私もまだいい意味での緊張感の中で楽しく取り組んでいます。今回の抽出だよりで は、コミュニケーション手段の1つである「ことば」の発達について、その推移や大切にしていきたい こと等みていきたいと思います。 ◎ことばの発達の推移 赤ちゃんの時からどのようにことばが発達していくのか、時期をおってみていきたいと思います。 子どもによってもちろん発達の個人差はありますが、おおよその目安として参考にしてください。 ①生後2か月頃 鳴き声以外に、 「アー」 「うー」やご機嫌な時に喉を鳴らすような音(クーイング)を出し、そ れに合わせて大人が話しかけると、それに反応するように声を出します。 ②3か月頃 話しかけたりあやしたりすると、それに応える様に「満面の笑み」を見せてくれます。「はは は」と声を出して笑うことで発音の練習になり、次の喃語に繋がっていきます。 ③4~6か月頃 発声が増え、泣く、唸る、叫ぶ等で、発声のメカニズムを発達させていきます。過渡期の喃語 といわれる「あーあーあー」のような音は連続していても、 「子音+母音(あいうえお) 」の音 はまだ不明瞭な喃語が表れます。 ④6か月頃 「ばばば」 「ままま」 (子音+母音)のように同じ音を繰り返す基準喃語が出てきます。特にお 母さんなど身近な人がそばにいる時に、周囲の言語刺激を受けて更におしゃべりしているかの ように声を出している様子がよく見られます。 ⑤9か月 音声模倣が始まり、「ええー」「あ~あ」等の声を聞いてそれらしく真似します。 ⑥1歳頃 「パパ」 「ママ」 「わんわん」等初語(初めての言葉)が聞かれるようになります。喃語に近い 発音や身近なものの名前等よく聞いていることばから出てきます。この頃になると約10数語 程話すようになります。 ⑦2歳頃 300語程話すようになり、この頃「ブー、いく」「ママ、ちょーだい」等二語文で話すよう になります。 二語文は50~100語以上の言葉を話すようになると出現するといわれています。 ⑧3歳頃 1000語程話すようになり、この頃から助詞が使われ始めます。三語文はこの頃からです。 *早く獲得する音群とゆっくり獲得する音群* パ行、バ行、マ行、タ行、ダ 早く獲得する音群 行、ナ行、カ行、ガ行、 「ワ」 サ行、ザ行、ラ行、「ツ」 、 ゆっくり獲得する音群 「ハ・ホ・ヘ」「ヒ」ヒャ行 早く獲得する音は、唇を閉じて作 られる音です(常に口を開いてい る子には難しいですが)。その後、 舌先の動きの巧緻性や舌が平ら な状態で維持できること等が必 要な音が獲得されていきます。 ◎ことばは全体発達の一部 ことばの発達に欠かせないことは、「この人とお話がしたい」という大人や友だちが近くにい るということです。自立活動室で「さぁ、話してみましょう」と子どもに促したところで、私が 子どもにとって話したい人でなければ授業は成り立ちません。大人は上手な「聞き役」になるこ とが大切です(毎日しゃべりすぎて反省している私が言うのもなんですが…)。 またことばを覚えて使っていくには、経験したことと言葉を繋げていくことが大切です。絵カ ードを使ったり、発音練習をしたりしても、子どもたちの頭の中にその物や状況がイメージされ ていないと生きたことばは育ちません。中川信子先生の著書「ことばをはぐくむ」の中に「こと ばのビル」という絵があり、その絵にことばの成長に大切なことがとてもわかりやすく凝縮され ていますのでご紹介させていただきたいと思います。 抽出指導と定期相談はスタートして間もないですが、頑張っている子どもたちの姿を是非いつでも見に来 ていただけたら嬉しいです。また定期相談とは別に「随時相談」をいつでも受け付けております。どんな ことでも一緒に考えていけたらと思いますので、お気軽に声をかけてください。 文責:鈴木しのぶ ※参考文献:『ことばをはぐくむ』 『子どもの発音とことばのハンドブック』 『言語聴覚士テキスト』
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