ユニークな国際理解教育のパイオニアとして 「ことばと文化をとおして若者の相互理解を」という旗印の下に、日本 と海外の小中高校生を対象に、ユニークな活動を展開してきた財団法人 国際文化フォーラムも、昨年設立15周年を迎えました。 当フォーラムは、1993年以来、国際理解を進める上で、海外の小中 高校生への日本語教育と、日本の高校生への隣国のことば――中国語、 韓国朝鮮語――の教育が大切であるという問題意識の下に、教材・教科 書の作成、教師の研修・組織化を中心とした活動を展開してきました。 これらの分野の重要性がそれまで必ずしも注目されていなかっただけに、 国際理解教育の一パイオニアの役割を果してきたのではないかと自負しております。 とくに、フォーラムは、その重点活動の一つとして、1996年以来、毎年、中国の中高校の日本 語教師を対象に研修会を開催し、そのための教材を開発してきましたが、昨年は、黒龍江省ハルビ ンで、中国東北三省と内蒙古自治区の教師を対象に第7回日本語教師研修会を開催しました。この 7回の研修会を通じて、これら地域の教師の実に約半数にあたる、合計550名が研修を受けたこと になります。 さらに、指摘いたしたい点は、国際理解教育の教材として、視覚にアピールする写真を活用する というユニークな手法であり、その代表作が、3年の月日をかけて一昨年完成した、日本の高校生 の生活写真教材『であい:7人の高校生の素顔』です。実在する高校生の生活や生き方を紹介する 写真、文章、動画による素材集と、教師向けの授業案から構成された教材は、米国、カナダ、イギ リス、オーストラリア、ニュージーランドで日本語教育を実施している全ての中高校を対象に、申 請に応じて配布してきました。 また、1997年以来、フォーラムは、毎年、日本の高校生による生活フォトメッセージコンテス トを実施してきています。日本の高校生の生活や生き方を、友人の高校生が写す5枚の写真と文章 で、海外の同世代に紹介するという、他に例のないコンテストに、昨年は318作品の応募があり、 年々応募作品には質の向上がみられます。 「他者と自己の発見」を目的とする、このフォトメッセー ジコンテストは、写真教材「であい」の構想と根底において共通するものであります。 このような日本紹介活動と並んで、フォーラムは、日本の高校における、中国語、韓国朝鮮語教 育の振興のため、研修会の開催支援、カリキュラムや教材の作成協力等、多大な努力を払ってきま した。これは、隣国のことばであるにもかかわらず、日本の高校においては、この二つのことばの 教育について、正式の教科書もカリキュラムも存在せず、教師の立場も弱いものだったことに着目 してのことでした。近年、日中、日韓関係の進展にともない、わが文教当局の理解も進み、また、 中国、韓国両政府関係部門からの支援と協力の姿勢も強化されつつあります。わがフォーラムのパ イオニアとしての役割が報われつつあるのではないかという感慨を覚えます。 今後とも、東アジア・コミュニティーのため、また、若者の国際理解のための、地道な努力を 続けて参りたいと思いますので、皆様の変わらぬご理解とご協力を心からお願いいたします。 2003年8月 財団法人国際文化フォーラム 理事長 渡邊幸治 1 財団法人国際文化フォーラム 事業報告2002−2003 海外の小中高校生への日本語教育 ..........................................................................................................................................................3 中国中高校日本語教師研修会開催 ............................................................................................................................................................3 日本の高校生の生活写真教材「であい」制作................................................................................................................................8 中国中高校日本語教師研修会教材出版 .............................................................................................................................................11 中国中学校日本語教科書編集協力.........................................................................................................................................................11 日本語教育情報交流:『ひだまり』発行.........................................................................................................................................13 日本語教育TJFネット......................................................................................................................................................................................13 日本の高校生への中国語教育 ....................................................................................................................................................................14 高等学校中国語教師研修会開催協力...................................................................................................................................................14 中国語教育助成 ......................................................................................................................................................................................................15 高等学校中国語教科書編集・出版協力 .............................................................................................................................................15 中国語教育情報交流:『小渓』発行 ....................................................................................................................................................16 日本の高校生への韓国朝鮮語教育 ......................................................................................................................................................17 JAKEHS全国研修会開催助成........................................................................................................................................................................17 JAKEHS地域ブロック活動協力・助成.................................................................................................................................................17 高等学校と大学等の韓国朝鮮語教育調査 .......................................................................................................................................18 韓国朝鮮語教育TJFネット ..........................................................................................................................................................................19 小中高校生への国際理解教育と交流 ...............................................................................................................................................20 高校生の生活フォトメッセージコンテスト開催 ......................................................................................................................20 高校生の生活フォトメッセージコンテスト作品集発行 .....................................................................................................25 友好クラス・学校交流 .....................................................................................................................................................................................25 国際理解教育TJFネット................................................................................................................................................................................26 教材・一般図書寄贈.................................................................................................................................................................................................26 広報出版・ホームページ...................................................................................................................................................................................27 機関誌発行..................................................................................................................................................................................................................27 事業報告(和英)発行........................................................................................................................................................................................28 TJFホームページ制作運営...........................................................................................................................................................................28 TJFフォトデータバンク制作運営..........................................................................................................................................................29 設立15周年記念特別事業...............................................................................................................................................................................30 日中教師セミナー「日中の高校生に隣国のことばと文化を教えることの意味」.........................................30 収支計算書 ...........................................................................................................................................................................................................................32 理事・監事・顧問・評議員一覧 ............................................................................................................................................................34 ※国際文化フォーラムでは、財団の略号としてTJF(英文名The Japan Forumの頭文字をとったもの)を用いています。 ※※本文中の肩書は事業実施当時のものです。 海外の小中高校生への日本語教育 海外の小中高校生への日本語教育 各事業名の後にある数字は事業支出額(単位は円) 。収支計算書(pp.32−33参照) では、複数の事業をまとめて掲載している事業項目もあり、以下の各事業項目と必ず しも一致していません。 中国中高校日本語教師研修会開催 10,367,153 TJF支出 189,135; 国際交流基金支出 2,304,498; 国際交流基金特定助成 (原資は講談社)5,873,520; 三菱銀行国際財団助成 2,000,000 4地域合同の研修会の開催 1996年度に開始した研修会は、 2002年8月ハルビンで、中国東北三省(遼寧省、吉林省、黒龍江省) と内蒙古自治区にある中高校の日本語教師を対象に、第7回中国中高校 日本語教師研修会を開催しました。2002年度の研修会は、日中の関係者 全員でこの6年間を総括し、今後の研修会のあり方や新たな課題について 協議するために、4年ぶりに4地域合同で実施しました。 当初の3年は長春、大連、ハルビ ンで三地域合同で実施され、99 年度からは各省の独自性を重ん じ、遼寧省、吉林省、黒龍江省 (2000年度からは内蒙古自治区 が加わった)において省別に同時 開催してきました。6年間で合計 550 名の中高校の日本語教師お 転換期を迎えた研修会 7年にわたる研修会の開催を通じて、まず第一に日本語教師の日本語力 よび日本語教研員が研修を受け たことになり、これは、研修会対 や日本語教授力が向上したこと、研修会のために TJF が制作した教材 象地域である東北三省、内蒙古 ( 「漢語話者のためのわかりやすい日本語シリーズ」全5冊、p.11参照)が 自治区の教師の約半数にあたりま 完成したことで教師研修の基盤がつくれたことのほか、日本語教師研修 す。省別の参加率で見ると、遼寧 の拠点づくり、現地における研修会企画・運営体制の確立、日中関係者 間のネットワークができたことなど、当初の目的を相当程度達成するこ とができました。 省の約1/3、吉林省の約半数、黒 龍江省の約2/3、内蒙古自治区の ほぼ全員です。日本語教育の拠点 となる学校の中心的な教師がほぼ また、中国中高校日本語教師研修会を始めた当初は、中等教育におけ 全員参加したことになります。 る日本語教育に対する日本の公的支援はあまりありませんでしたが、こ の6年間に国際交流基金は北京事務所に日本語教育アドバイザー、各省の 日本語教師研修会開講式 閉講式で、キングレコードから寄贈された日本の歌のテープを 研修生代表に渡す 3 事業報告 2002―2003 教育学院に青年日本語教師をそれぞれ長期派遣するとともに、中高校教 師訪日研修プログラムを開設しました。国際協力事業団(JICA)は青年海 外シニア協力隊員および一般の協力隊員を中等教育関係機関へ積極的に 派遣するようになりました。これらの日本語教師が中国の各拠点に常駐 するようになり、中国側は自主企画による小規模な研修会や研究会を日 常的に実施するようになってきました。 以上の事情から、教研員を中心とする中国側関係者をはじめ日中の関 係者全員で協議した結果、今回をもって毎夏開催してきた大規模な日本 語教師研修会は終了することになりました。 本研修会に関連して、97年度よ り、日本の高校中国語教師が数 人交流会に参加し、日中友好ク ラスの礎をきずいてきましたが、 2002年度のように両者が8日間 研修生参加による日中教師間の対話の場の設定 今回の日本語教師研修会の開催にあわせて、TJFの長年の目標であった 中国での日本の高校中国語教師研修会を同時期、同会場で開催しました。 二つの研修会の研修生、講師、関係者を合わせ、参加者は130名にのぼ にわたって生活を共にしたのは初 り、日中の教師は会期中交流会に参加したり、合同授業を受けたり、寝 めてのことでした。日中教師セミ 食を共にして語り合いました。 ナーを含むこうした試みが、中国 東北部の日本語教育関係者と日 本の日本語および中国語教育関 係者をつなぐ新たな事業として、 TJFは、設立15周年記念事業として、この二つの研修会後、日中教師 セミナーを開催しました(pp.30−31参照) 。セミナーには、日本の高校 中国語教師研修会の研修生21名と中国の中高校日本語教師研修会の研修 今後どのような展開を見せるか注 生79名が参加し、互いの言語を中高校生に教えることの意味、方法、内 目されます。 容および今後の交流のあり方について活発に意見交換しました。 各省の日本語関係者間の交流の促進 研修会の現地化を図るという方針により、TJFのスタッフは事前準備と 立ち上げの4日間の業務を中心に関わり、その後の運営は実施主体である 黒龍江省教育学院に委ねました。そのため、同教育学院の教研員の負担 はいつにも増して大きいものがありました。しかし、遼寧省、吉林省、内 蒙古自治区通遼市の教研員が事前の講師オリエンテーションから協力し、 自省の日本語教育状況、研修生の日本語レベルなど講義方針を立てるた めの情報を提供したり、クラス分けテストの監督や採点、クラス分け作 日本語教師研修会参加者、関係者一同 4 海外の小中高校生への日本語教育 業に関わったり、研修生の生活状況や学習状況を把握して問題や要望を 講師や事務局に伝えて調整を図ったりするなど、積極的に運営に関わっ たことが印象的でした。 研修会の実施概要と実施内容は次のとおりです。 実施目的 日本語教育の拠点校において中心的な役割を果たしている日本語教師 の日本語力および日本語教授力の向上と、日本文化への理解を深めるこ とによって、中国の中等教育における日本語教育の水準を向上させるこ と、また、中国国内の日本語教育関係者間および日本の日本語教育関係 者や中国語教育関係者とのネットワーキングを図り、相互理解を促進す ることを目的として開催しました。 実施概要 期間:2002年8月2日(金)〜8月15日(木) 会場:中国共産党ハルビン市委党校(黒龍江省ハルビン市) 主催:黒龍江省教育学院、国際交流基金、TJF 後援:中国教育学会外国語教学研究会、中国課程教材研究所、内蒙古 教育学会外国語教学研究会、吉林省教育学院、遼寧教育学院、 内蒙古教育庁、吉林省教育庁、黒龍江省教育庁、遼寧省教育庁、 国際協力事業団、在瀋陽日本国総領事館、在中国日本国大使館 助成:国際交流基金特定助成(原資は講談社の寄付金) 、三菱銀行国際 財団 協賛:キングレコード、講談社、全日空、文化学園文化外国語専門学 校、凡人社 研修生 参加者:79名(東北三省および内蒙古自治区の小中高校日本語教師) 地域別:遼寧省28名、吉林省24名、黒龍江省26名、内蒙古自治区1名 民族別:朝鮮族56名、漢族16名、蒙古族7名 講師オリエンテーションで指導する主任講師加納陸人氏(右か ら2番目) コミュニケーション表現の講義風景(稲田登志子氏) 5 事業報告 2002―2003 中学と高校の日本語教育が連続 教育段階別:中学校担当38名、高校担当32名、小学校担当9名(特別参加) している朝鮮族集住地域の小学 校において、日本語実験クラスの 設置が2001年にスタートするな 研修生の選考条件: 各省内の日本語教育の拠点校(中高校)に勤務し、所属学校長の推 ど、小学校への日本語教育の導 入に積極的な黒龍江省では、小 薦を受けた者を対象に、各省教育学院が中心となって研修生の選考を 学校の日本語教師の養成が緊急 行いました。原則として各拠点校から1名の参加としましたが、1校よ の課題でした。初中等の日本語教 り2名以上参加の要望が出た場合、日中間で協議の上、その参加を認 育を管轄する同省の日本語教研 員の強い要望に応じ、他省の日本 語教研員にも諮った上で、小学校 めました。研修生の選考にあたっては、以下の条件を優先し、初級中 学と高級中学および民族、地域のバランスも考慮しました。 の日本語教師9名の本研修会への ①日本語教研室の主任など各校の中心となる教師であること。 参加を認めることにしました。 ②日本語教師歴が3年以上またはそれに相当する実力を有すること。 ③日本人講師の日本語による講義を理解する聴解力を持つこと。 講師 参加講師数:19名 主任講師:加納陸人(文教大学文学部助教授) 副主任講師:有馬淳一(国際交流基金北京事務所日本語教育アドバイザ ー) 、泉文明(龍谷大学国際文化学部助教授) 、本田弘之(杏林大学外 国語学部助教授) 、谷部弘子(東京学芸大学留学生センター助教授) 講師:稲田登志子(遼寧教育学院青年日本語教師、国際交流基金派遣) 、 田邊知成(黒龍江省教育学院青年日本語教師、国際交流基金派遣) 、 中新井綾子(吉林省教育学院青年日本語教師、国際交流基金派遣) 、 飯野令子(大連市金州区教師進修学校教師・青年海外協力隊シニア 隊員) 、大舩ちさと(国際学友会日本語学校非常勤講師) 、鈴木今日子 (東京城北日本語学院専任講師) 、松本朝子(日中学院専任講師) 、天 野貴介(江西省旅遊学校日本語教師・青年海外協力隊員) 、加藤悦子 (長春市第八中学日本語教師・青年海外協力隊員) 、杉山充(大連市 第一中学日本語教師・青年海外協力隊員) 、辻聖子(長春市朝鮮族中 学日本語教師・青年海外協力隊員) 、東香世(北寧高級中学日本語教 師・青年海外協力隊員) スイカを食べながら交流する日中の研修生 6 海外の小中高校生への日本語教育 客員講師:唐磊(課程教材研究所外語室主任) 、黎雲華(上海市甘泉中 小学校における日本語教育 学日本語教師) 中国における小学校の日本語教 育は、国家教育部が2000年に打 カリキュラム 講義内容: ち出した小学校への外国語教育 の導入を掲げた教育改革政策を 受けてスタートしたばかりの分野 研修会では、研修生の日本語能力の向上と教授法の指導に重点を置 であり、シラバス、教材、教師研 きました。現職教師にとって授業をより良くするには、日本語力をつ 修の機会のすべてにおいて白紙に けることが急務であることから、特に研修生の要望が強く、現場の教 育で必要な発音、コミュニケーション表現、聴解・口頭表現、作文指導、 教授法を中心に講義を行いました。 等しい状況にあります。 英語教育が圧倒的に優勢な中で、 中学高校での日本語学習者の激減 を食い止め、初等中等教育段階に 講義にあたっては、以下の方針を講師の共通の認識としました。 おける外国語科目の多様性を掲げ ①研修生のレベル差を十分に考慮する。 る政策を支えるためにも、小学校 ②普段の教室で使える内容を心がける。 ③研修生が主体的に取り組めるように工夫する。 ④講義の運営や研修生の状況など、担当講師間で意見交換を密に行う。 における日本語教育への支援が緊 急な課題であるといえます。 小学校の日本語教育は、そのほと んどが東北部に集中しています。 なかでも遼寧省が最も進んでいま 教材: 教材は、 「漢語話者のためのわかりやすい日本語シリーズ」 、 『楽しく 聞こう』Ⅰ、Ⅱ(文化学園文化外国語専門学校) 、中級聴解教材『毎日 す。大連地区を中心に、80年代 から小学校の日本語教育が実施 されています。2002年夏に遼寧 教育学院制作の新しい小学校日 の聞き取り』上(凡人社)などを使いました。教授法の講義では、実 本語教科書が出版され、蒙古族 際に中高校で使用している教科書も使用しました。研修会で使用した 自治県の小学校などで新たに日本 教材や資料を学校に持ち帰ることで、自分や生徒の勉強に役立たせる 語が導入されました。遼寧省全域 ことができるようです。今回も上記教材のほか、国際交流基金より『教 科書をつくろう』『写真パネルバンク』、キングレコードより日本の歌 では約40校、教師数約70名の規 模にのぼっています。 のテープが、それぞれ研修生に寄贈されました。 総括と展望 今後TJFは、中高校の日本語教育に対して、各地域別のミニ研修会・研 究会の開催を助成するとともに、中高校日本語教師のための情報誌『ひ だまり』 (p.13参照)を年4回、全員に送付したり、各種日本語教育関連 教材・素材や情報を提供することなどを通して、引き続き支援を続けて いきます。また、2003年度から中国側のニーズに応える新たなプログラ ムとして、小学校の日本語教育支援事業に本格的に取り組むことにしま した。 2002年度には、その皮切りとして、遼寧教育学院の制作による中国の 小学校向け教科書(3、4年生用)に出版助成をしました。2003年度は、 新規事業として、全中国小学校日本語教師研修会を開催するとともに、 2002年度に続いて、小学校向けの教科書(5、6年生用)の出版に助成す ることなどを計画しています。 7 事業報告 2002―2003 日本の高校生の生活写真教材「であい」制作 26,037,810 TJF支出 1,606,657; 米日財団助成 16,597,800; 国際交流基金特定助成 (原資は講談社) 7,833,353 『であい: 7 人の高校生の素顔』 (「であい」)は、実在する高校生 の生き方、考え方や生活に触れな がら、自己理解・他者理解を深 めたり、コミュニケーションのた 1999年11月から2003年3月までの3年5ヵ月間にわたる米日財団の助 成(合計約6,800万円)を得て、 「であい」の制作、広報、寄贈ならびに ワークショップなどの活動を行ってきました。今後はプロジェクトの成 果を定着させることが課題となります。 めの日本語を学んでいくことを目 2002年度は、米国、イギリス、オーストラリア、カナダ、ニュージー 的に制作されました。さまざまな ランドで日本語教育を実施している中高校を主な対象に、各学校からの 背景をもつ日本の高校生7名のプ 申請に応じて、であいキットを寄贈しました(2003 年 3 月末までに約 ロフィールや生活を紹介する写 真、文章、動画からなる素材集 (であいキット)と、教師向けの 2,000セットを配布) 。配布にあたっては、オーストラリア、ニュージー ランドの教育省、イギリスのJapan Festival Education Trustの全面的な 授業案、補足データ、資料を収集 協力を得ました。また、各地で教師向けのワークショップを開催すると した、教師のためのサポート情報 ともに、であいホームページやメールマガジンを活用し、ユーザーとの (であいホームページ)から構成 ネットワークをつくりながら、教案など教師向けサポート情報を提供し、 されています。ホームページには、 であいキットのすべての素材が掲 情報交流を図りました。 載されています。 教師向けワークショップの開催 米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで、州や地域の日 本語教師会、教育省などの協力を得て、のべ28回のワークショップを開 催しました(p.9参照) 。ワークショップでは、 「であい」の趣旨・内容に ついて説明したほか、その使い方について実践例を紹介しながら参加教 師同士で意見交換を行いました。TJFが関わったワークショップ以外に も、各地域のセミナーやワークショップにおいて、 「であい」のユーザー が自主的な発表等を行うケースが増えています。 であいキット 8 海外の小中高校生への日本語教育 2002年度「であい」ワークショップ開催一覧 2002年 ◆ ◆ 開催日:4月1日(月) 開催日:7月12日(金) 開催地:米国カリフォルニア州サンディエゴ 開催地:米国ロードアイランド州プロビデンス (日本語教育支援システム研究会第3回国際会議に参 協 力:同州教育庁 ◆ 開催日:4月4日(木) 加) ◆ 開催地:米国ワシントン州タコマ 開催地:米国ワシントンD.C. 協 力:同州日本語教師会 (CTA/Council of Teaching about Asia社会科ア ドバイザー会合に参加) ◆ 開催日:10月11日(金)〜12日(土) ◆ 開催日:10月18日(金) 開催地:米国フロリダ州 開催日:4月7日(日) (同州外国語教師会に参加) 開催地:米国テキサス州ダラス 協 力:同州日本語教師会 ◆ ◆ 協 力:同州教育省 開催地:米国フロリダ州マイアミ 協 力:同州日本語教師会、在マイアミ日本国総領事館 ◆ ◆ 協 力:同州日本語教師会 開催地:米国カリフォルニア州サンフランシスコ ◆ 開催日:11月6日(水) 開催地:米国オレゴン州ポートランド 開催日:4月24日(水) 協 力:在サンフランシスコ日本国総領事館 開催日:11月4日(月) 開催地:オーストラリア西オーストラリア州パース 開催日:4月13日(土) ◆ 開催日:11月9日(土) 開催地:米国インディアナ州インディアナポリス 開催日:4月27日(土) (同州外国語教師会に参加) 開催地:米国ワシントン州シアトル 協 力:同州日本語教師会 ◆ ◆ 協 力:米国北東部日本語教師会 開催地:米国イリノイ州シカゴ 協 力:同州日本語教師会、在シカゴ日本国総領事館 ◆ 開催日:11月16日(土) 開催地:ニュージーランドオークランド 開催地:米国ミシガン州イプシランティ 協 力:ニュージーランド日本語教師会 ◆ 開催日:11月21日(木) 開催日:5月25日(土) 開催地:ニュージーランドウェリントン 開催地:米国マサチューセッツ州ボストン 協 力:ウェリントン地区日本語教師会 (米国北東部日本語教師会総会に参加) ◆ ◆ 開催日:5月4日(土) 協 力:同州日本語教師会、イースタン・ミシガン大学 ◆ 開催日:11月16日(土) 開催地:米国ニューヨーク州ニューヨーク 開催日:5月2日(木) ◆ 開催日:12月7日(土) 開催日:6月1日(土) 開催地:米国ハワイ州アイエア 開催地:米国ワシントンD.C. 協 力:同州日本語教師会、同州教育省 (ミッドアトランティック日本語教育法ワークショッ プに参加) ◆ 開催日:6月30日(日) 2003年 ◆ 開催地:米国オレゴン州ポートランド 開催地:カナダ オンタリオ州トロント 協 力:同州日本語教師会 協 力:カナダ日本語教育振興会(同会年次大会に参加) ◆ 開催日:7月4日(木) ◆ (米国南東部教師会大会に参加) 協 力:同州教育省 開催日:7月6日(土) 開催地:カナダ ブリティッシュ・コロンビア州バンクーバー 協 力:同州高校日本語教師 Benkyokai 開催日:3月8日(土) 開催地:米国ノースキャロライナ州ダーハム 開催地:カナダ アルバータ州エドモントン ◆ 開催日:3月1日(土) ◆ 開催日:3月18日(火) 開催地:米国ウィスコンシン州アップルトン (同州社会科教師会大会に参加) 9 事業報告 2002―2003 授業案等の収集と共有化 日本語教育関係者に「であい」を使った授業案の作成を依頼し、完成 した授業案をであいホームページに掲載しています。また、ユーザーか ら寄せられたアイディアや感想、質問やそれに対する答えなどを、ほか のユーザーと共有するためのコーナーをホームページ上に設けました。同 時に、ユーザー向けのメールマガジンを定期的に配信し、ホームページ の更新や、ワークショップの案内などの情報提供を行っています。 「であい」を日本語以外の教科で 使うケースも増えています。米 国、オーストラリアの社会科で は、「であい」の主人公の生活を 通して、文化のステレオタイプ化 「であい」を使ったさまざまな授業での取り組み 現在、 「であい」はそれぞれの教室のニーズに合わせ、さまざまな方法 で使用されています。日本語の文型や語彙の練習に「であい」の写真や 文章を使うだけでなく、例えば、 「であい」の主人公について勉強したあ の問題や、個人と文化の関係につ と、主人公の考えや生活について自分たちと比較しながら話し合ったり、 いて考えたり、日米の文化を比較 主人公に手紙やメールを書いたり、自分を紹介するフォトエッセイを制 して文化の基本的要素について学 作したりと、相互理解や自己表現にもつながる広がりのある使われ方を ぶなどの授業例が報告されまし た。日本でも、相互理解や国際理 しています。 解、社会科や「産業社会と人間」 (総合高校で実施)の授業などで、 「であい」を使った取り組みが行 われています。 であいホームページ「教師のためのサポート情報」 10 海外の小中高校生への日本語教育 中国中高校日本語教師研修会教材出版 3,119,106 TJF支出 1,365,106; 東京倶楽部助成 1,754,000 「漢語話者のためのわかりやすい日本語シリーズ」:①『発音』 、②『コミュニケー ション表現』 、③『類義表現の使い分け』 、④『助詞の使い分け文例集』 、⑤『発音 指導の手引き』の全5冊、B5判、計約1,000頁、①②⑤はテープ付、2002年7 月、3,000部発行 本教材は、中国中高校日本語教師研修会のためのオリジナル教材とし 1996年から2002年にかけて実 て、TJFが5年をかけて改訂を重ねて制作したものです。同シリーズは、 施された中国の中高校日本語教 中国の中高校日本語教師研修の実践を通じて生まれたものであり、現場 の教師の声やニーズを反映した問題解決型の教材です。漢語話者の日本 語力および教授力の向上のための自習教材、参考書としても役に立つも のです。 師研修事業の成果の一つに、「漢 語話者のためのわかりやすい日本 語シリーズ」の制作があります。 中国の国家教育部が制定する中 高校日本語教育の学習指導要領 中国中高校日本語教師研修会で、従来多かった文法関連の講義に対す る要望が少なくなったのも、同シリーズの完成によるところが大きいと いえます。期間が限られた研修会では、教材さえあれば勉強できること は教師の自習に委ね、むしろ講師から直に教わりたい内容を重視したカ ( 「日語大綱」 、現在は「課程標準」 ) を踏まえて言語材料を選び、その 問題点の整理と教え方(新しい教 授法も導入)を漢語話者の立場 に立って解説しています。 リキュラム編成が求められるようになりました。音声テ ープを付けたのも、定着しにくい音声面を補強し、シリ ーズ全体の自習教材、参考書としての利便性を高める ためでした。 本教材は、2002年中国中高校日本語教師研修会で使 用し、研修生全員に寄贈したほか、中国の中高校の現 職日本語教師全員(約1,600名)および若干の日中大学 日本語教育関係者に寄贈しています。2003年3月現在、 約8割の寄贈を終えており、2003年上半期を目途に寄 贈作業を完了する予定です。同シリーズは、日本国内で も頒布しています。 「漢語話者のためのわかりやすい日本語シリーズ」 中国中学校日本語教科書編集協力 3,513,138 TJF支出 414,538; 国際交流基金支出 3,098,600 中国の国家教育部が2001年に制定した中等教育の「課程標準」 (日本 各冊の巻頭のカラーグラビアは3 の学習指導要領に相当) に基づき、教育部直属の課程教材研究所が、2001 ページを使って、学校の施設、給 年度より3年計画で中学校向けの日本語教科書(全6冊)の編集制作に着 手しました。教科書制作は日中双方の編集委員会が共同で進めています。 2002年度は2年生用2冊の制作が行われました。 食、クラブ活動など学校生活の様 子を紹介しています。グラビア用 の写真撮影は、日本の二つの中学 校の協力を得て実施しました。 TJFは、日本側事務局として、日中の編集委員会間の連絡、中学生の生 活を紹介する巻頭のカラーグラビアおよびコラムに関する助言、資料・ 11 事業報告 2002―2003 写真の収集、教科書に掲載される歌や写真の著作権使用許可の交渉など を担当しました。教科書は教育部の検定を経て2003年7月に出版され、 9月の新2年生から使用されます。 教科書制作体制 中国側 編集委員会 顧問:顧海根(北京大学教授)、厳安生(元北京外国語大学日本学研 究センター主任教授) 編集責任者:唐磊(課程教材研究所外語室主任) 中学2年生用教科書(上) 編集委員:張国強、張敏、劉粉麗、李家祥(以上、課程教材研究所) 、 趙華敏(北京大学助教授) 、彭廣陸(北京大学教授) 、朱京偉(北京 外国語大学助教授) 、続三義(北京外国語大学教授) 、何琳(首都師 範大学助教授) 事務局:課程教材研究所 日本側 編集委員会 顧問:水谷修(元国立国語研究所所長) 編集責任者:加納陸人(文教大学助教授) 編集委員:大舩ちさと(国際学友会日本語学校非常勤講師) 、鈴木今 日子(東京城北日本語学院専任講師)、松本朝子(日中学院専任講 中学2年生用教科書(下) 師) 事務局:国際文化フォーラム 協力・助成:国際交流基金 日本の中学生の学校生活をカラー写真で紹介する巻頭のページ 12 海外の小中高校生への日本語教育 日本語教育情報交流:『ひだまり』発行 625,449 A4判、12頁、年4回、1,800部発行 中国の中高校の日本語教師向けの情報誌『ひだまり』の第11号から第 1999年に創刊した『ひだまり』 14号を発行しました。中国の中高校の日本語教師全員(約1,600名)お は、2002 年度で 14 号を数え、 よび中高校日本語教育に興味・関心のある大学の日本語教育関係者、中 国の中高校の日本語教師と友好クラス交流を行っている日本の高校の中 国語教師に配布しています。 毎回の発行部数は 1,800 部に達 しています。中国東北部を中心と する中高校の日本語教師一人ひ とりに送付しています。インター 『ひだまり』は、中高校の日本語教師間のネットワークや情報交流を強 ネットによる情報の送発信がいま 化し、日々の日本語の授業に役立つ情報を日本語教師に提供することを だ困難な中国の日本語教師との 重要なパイプになっています。 めざしています。 誌面は、現場教師の声の紹介、日本語学習と文化理解の統合をめざし た授業案の紹介、教師の質問に答える「日本語問答」のほか、日本語に 磨きをかけるためのコラムや豆知識、日中同世代間の相互理解を促進す るための「日本の中高校生活」などのコーナーから構成されています。ま た、広く一般の日本語教師も見ることができるように、PDF版をホーム ページに掲載しています。 『ひだまり』 日本語教育TJFネット 904,095 日本語教育の研究促進と振興を支援するため、日本語教育学会に対し 春季および秋季大会の開催助成を行ったほか、国内外の日本語教師との 情報交流、ネットワーク形成を図りました。 13 事業報告 2002―2003 日本の高校生への中国語教育 高等学校中国語教師研修会開催協力 156,156 10の提言 1. 第二外国語としての中国語教 育を積極的に推進する。 2. 高校中国語のガイドラインを 作成する。 3. 高校中国語の標準テキストを 編纂する。 4. 資格をもった中国語担当教員 を確保する。 5. 教員を養成するとともに再研 修の機会を提供する。 6. 教員主導の研鑽の機会を充実 させる。 7. 教員の海外研修の機会をつくる。 8. ACT招致を実現させる。 9. 教員間のネットワークを構築 する。 10.中国語教育関連の情報共有 TJFは、1996年発行の報告書『いま高校の中国語教育を問い直す』の 中で、日本の高校の中国語教育発展のための10の提言を行いました。そ の一つが中国で中国語教師の研修を実施することでした。日本の高校の中 国語教師が主体的に運営している高等学校中国語教育研究会でも、中国 での研修は長年の課題となっていました。2002年8月、同研究会は第1回 の研修会を中国国家対外漢語教育領導小組、三菱銀行国際財団をはじめ 日中諸機関の協力を得て中国で開催することができました。TJFは、事務 局として、研修会の企画から実施にいたるまでをバックアップしました。 研修会には、全国13の都道府県と北京から計21名の高校教師が参加し ました。今回の研修の目的は、新たな教材や教授法について学ぶことや 中国語力を向上させることに加え、中国語教育に携わる教師同士、さら に中国の日本語教師と研鑽しあい、日中の教師間ネットワークを形成す ることにありました。 この研修会が契機となり、2003年度には、中国国家教育部と日本の文 部科学省主催で高等学校中国語教師研修プログラムが実施される予定で す。TJFは、カリキュラム作成や事前研修の面でこの研修に協力します。 日本の高校の中国語教師たちの中 期間:2002年8月10日(土)〜8月15日(木) 国における研修事業は、これまで 会場:中国共産党ハルビン市委党校(黒龍江省ハルビン市) 個人的に行われてきました。2002 年8月に初めて組織化され、TJFは 企画段階から関わり、中国の日本 主催:高等学校中国語教育研究会 後援:中国国家対外漢語教育領導小組、黒龍江省教育学院、TJF 語教師研修会(pp.3−7参照)と 助成:三菱銀行国際財団 の連携にも力を入れました。 参加者:日本の高校中国語教師21 名 講師:劉富華(吉林大学国際言語文化交流学院副院長)、任玉華(吉林 大学国際言語文化交流学院副教授) 研修生全員での記念撮影 14 朝8:30から夕方4:00に及んだ毎日の授業 日本の高校生への中国語教育 中国語教育助成 449,590 高等学校中国語教育研究会助成 2003年度からは、高等学校中国 TJFは高校の中国語教師を対象とする中国での研修会開催に協力すると ともに、日本の地域ごとに開催される高校中国語教育関連の各種研修会 や研究会、高校生を対象とした朗読・暗誦・弁論大会などの活動に対し 語教育研究会の事務局をTJFに置 き、研究会主催事業の企画立案 と運営に参画していきます。 て助成や協力をしています。2002年度は、高等学校中国語教育研究会の 九州・沖縄支部が主催した研修会開催を助成するとともに、関東支部、 関西支部、東海支部、北陸支部、九州・沖縄支部が主催した朗読・暗 誦・弁論大会に対し副賞として書籍を寄贈しました。 中国語教育研究会助成 中国語教育研究会(代表 西川優子・日本大学専任講師)は、1987年 から15年にわたって、初級段階の中国語教育担当者を対象とした研究会 を年2回開催してきました。同研究会には高校の中国語教師も参加してお り、TJFは会場の提供等で活動に協力してきました。研究会は2002年度 をもって活動を終了することとなり、過去の研究発表の記録『研究会報 告記録集』 (352頁、100部)をまとめて出版し、関係者に配布しました。 その出版費用はTJFが助成しました。 高等学校中国語教科書編集・出版協力 270,108 『高校生からの中国語』 、B5判、96頁、CD付、2002年6月、初版2,000部発行、 定価1,600円 関東地方の高校等で中国語を教える教員有志によるプロジェクトチー 小渓教材研究チームは、日中学 ム(小渓教材研究チーム)が、2000年度から編集していた高校生向け中 院講師(元関東国際高等学校教 諭)の胡興智氏を中心に、TJFと 高校中国語教師のネットワークで ある「小渓ネット(xiaoxi-net)」 が母体になって編成されました。 TJFは教科書制作の企画段階から 関わり、編集協力、買い上げ助成 を行いました。2003年3月、第 2版が発行され、2003年度には 全国の高校約90校で採用されて います。 チームメンバーのアイディアを生 かした内容 教師用指導書 15 事業報告 2002―2003 国語教科書が、2002年7月に白帝社より出版されました。これは、文法 積み上げ方式ではなくコミュニケーション志向の中国語学習をめざし、高 校生が自己(自分・家族・学校)について語ることができるようになるこ とと、中国の高校生を理解し交流するために必要な中国語を習得するこ とを目標においた教科書です。TJFは、編集協力を行うとともに、教科書 が広く教育現場で使用されることを期待し、200冊の買い上げ助成を行 いました。買い上げた教科書は、地域ごとに開催される研修会等を通じ て関心のある教師に配布したほか、行政関係者や大学の中国語教育関係 者、中国の高校の日本語教師にも資料として寄贈しました。 また、本教科書の使い方を示した「教師用指導書」 (B5判、72頁)の編 集に協力しました。小渓教材研究チームは、2003年度も本教科書の普及 に力をいれ、ワークショップを開催したり、教科書の使用方法に関する 研究や教案の開発などに取り組む予定です。 中国語教育情報交流:『小渓』発行 39,019 A4判、6頁、年4回、600部発行 TJFが1999年に創刊した『小渓』の読者は、中国語教育の取り組み校 440校の教師に、日中友好クラス交流に取り組む中国の日本語教師など を加えた約600人です。その誌面は、①中国語教師や中国語を学ぶ高校 生の文章、②中国で日本語を学んでいる中高校生が書いた作文を紹介す る「中国の中高校生の生活」 、③地域ごとの教師研修会や高校生スピーチ コンテストの開催などを紹介する「中国語教育関連情報」で構成されて います。 ①は、日頃孤立しがちな中国語教師たちが、自分と同じように頑張っ 『小渓』 ている仲間がいることを確認すると同時に、高校で中国語を教える(学 ぶ)意味を考えるきっかけになることをめざしています。今後は実際の授 業に役立つ情報や中国語の指導例なども紹介していきたいと思っていま す。②は、中国語を学んでいる日本の高校生に、マスコミ等で伝えられ る中国ではなく、自分たちと同世代の中国の高校生の考 え方や生活を知ってもらうことがねらいです。③は、研 修会やスピーチコンテストの情報を提供することで、こ れらの参加者が増え、地域の教師間ネットワーク構築に つながることを期待しています。 2002年度には新たに「小渓」のホームページも立ち 上げ内容の充実を図りました。 『小渓』HP版。http://www.tjf.or.jp/jp/ij/xiaoxi.htm 16 日本の高校生への韓国朝鮮語教育 日本の高校生への韓国朝鮮語教育 JAKEHS全国研修会開催助成 1,257,930 2002年11月22日から24日まで、鹿児島で高等学校韓国朝鮮語教育ネ ネットワークが結成されて4年目 ットワーク(韓国朝鮮語教師の組織 JAKEHS、以下「ネットワーク」と に開催した全国研修会には、JET 略します)の全国研修会が開催され、TJFは参加交通費の補助等の助成を 行いました。研修会では、22日の鹿児島東高等学校と開陽高等学校(い プログラムで韓国から招聘されて いる韓語の語学指導助手4名(現 在、長崎県と大阪府に各1名、鳥 ずれも鹿児島県立)の公開授業に20名、23・24日の全国研修会に約50 取県に2名)も参加し、日本の高 名が参加しました。南日本ブロックの活性化を図るねらいを込めた今回 校の教員たちと韓語教育の問題 の全国研修会では、韓国朝鮮語(以下、団体名や事業名等を除き、 「韓語」 について意見交換しました。 と略します)教育をめぐるネットワーク運動の原点を再確認するとともに、 各ブロックの活動報告や今後の方向性等について討議が行われました。 JAKEHS地域ブロック活動協力・助成 397,150 TJFは、ネットワークの事務局として、ネットワークの活動を側面か ら支援しています。2002年度の主な活動は以下のとおりです。 教員免許取得講座 ネットワークとTJFが企画し、大学に働きかけて実現した天理大学での 朝鮮語科教員免許取得講座は、2001年と2002年の夏に開講され、受講 者約30名のうち、2002年度末までに、大阪府・鹿児島県・佐賀県・兵 庫県・広島県ほか、西日本地域の教師20名が朝鮮語の教員免許を取得し ました(すでに他教科の教員免許を持っている者だけが朝鮮語の教員免 許を取得することができる) 。 神田外語大学でも同じ趣旨の韓国語特別講座が2001年度から2003年 度まで開催され、毎年の受講者約25名のうち約15名の教師が教員免許を 取得する予定です。 高等学校の韓国朝鮮語教師研修プログラム 韓国外交通商部傘下の韓国国際交流財団(Korea Foundation)が、 2002年度から日本の高校の韓語教育に助成することになり、第1回研修 会が2002年8月5日から17日まで13日間にわたって行われました。実施 機関はソウル大学言語教育院で、日本の高校教員を中心にネットワーク の会員20名が参加しました。TJFは、ネットワークとともに参加者の選 考と韓国国際交流財団・ソウル大学との連絡調整事務を担いました。 17 事業報告 2002―2003 「韓国語を学んで韓国に行こう」高校生語学研修プログラム 韓国の教育人的資源部傘下の国際教育振興院(NIIED)が日本の高等学 校で韓語を学ぶ高校生とその教師を対象に、2001年度から実施している プログラムです。2002年度は、関西地方を中心に関東と中国・九州地方 の高校生と教員(30名)が7月24日から28日まで、ソウルでの研修に参 加しました。ネットワークが企画運営を担っています。 高等学校と大学等の韓国朝鮮語教育調査 1,703,281 TJF支出 126,481; 東京倶楽部助成 884,000; 韓国文化院助成 692,800 文部科学省によれば、2000年度現在、韓語を開設している4年制大学 は263校、短期大学は64校です。これらの機関を含む約500機関を対象 に、2002年度から調査を進めています。並行して、高等学校の現状につ いても、調査を実施しました。最終的な調査報告書は2003年度末に発行 する予定です(中間報告書は2003年6月に発行) 。 今後、韓語教育に関する情報を関係者間で共有し、大学と高等学校に おける韓語教育の連携と充実を図りたいと考えています。 2002年度大学等における韓語の言語名称(中間報告より抜粋) 全体 言語名称 2) 10 24.4 7 26.9 53 34.2 19 46.3 9 34.6 36 23.2 ハングル 31 14.0 4 9.8 コリア語 16 7.2 韓国・朝鮮語 10 4.5 70 25 16.1 12 7.7 2 7.7 8 5.2 3 朝鮮語(韓国語) 4 1 ハングル語 3 1 2 「ハングル」 2 7.3 2 1 1 3 1 1 韓国語とハングル語 1 1 朝鮮語(一部、コリア語) 1 1 朝鮮語/韓国語 1 1 朝鮮韓国語 1 1 コリア語(韓国語) 1 1 コリアン 1 1 ハングル(韓国語) 1 1 1 その他 3) 4 3) その他は、外国語と文化・韓国、韓国の言 不明 18 7.7 15.4 5 ハングル・韓国語 4) 回答率約43% 2 4 韓国朝鮮語 2) 太字は国公私立ごとの最大値。 語と文化、現代韓国 (校) (%) (校) (%) (校) (%) 28.8 韓国語・ハングル 以上の項目のみ) 。 私立 31.5 朝鮮語 割合を示した(ただし、四捨五入して5% (校)(%) 公立 64 韓国語 1) 百分率は、国公私立ごとに各項目が占める 国立 1) 4 222 4) 100.0 1 1 3 2 41 100.0 2 26 100.0 155 100.0 日本の高校生への韓国朝鮮語教育 韓国朝鮮語教育TJFネット 97,692 フォーラム2002「日本における韓国語教育の現在」開催 韓語教育関連事業と日韓間の文化交流事業の現況を整理し、複数の事 業間の連携を模索するため、関係者が一堂に会する機会は従来ありませ んでした。2002年12月に開催したフォーラム2002では、個々のプログ ラムの現状を報告し、韓語教育の概況をつかむことを試みました。 韓国文化院との共同事業である 「フォーラム2002」の参加者の 一部は、韓語教育を含む地域間 の交流事業について新たな展開を 模索しています。「フォーラム 2003」では、大学と高校の韓語 ラウンドテーブル形式で、発言者がそれぞれの事業を土台にした情報 教育に関するTJFの調査内容を踏 の提供と問題提起を行い、必要に応じてオブザーバーの発言を求め、韓 まえ、さらに議論を深めたいと考 語教育の現状と課題を探る形をとりました。駐日韓国文化院とTJFとの共 えています。 催事業として、高等学校韓国語教師研修会(1998−2000年)に続く企画 であり、今後も継続して実施していく予定です。 テーマ:日本の韓国語教育をめぐる現状と課題 期日:2002年12月7日(土) 会場:駐日韓国大使館 韓国文化院大ホール 主催:駐日韓国大使館韓国文化院、TJF 第1回初級学習者のためのコンテスト「話してみよう韓国語」開催協力 日本における韓語学習を促進し、韓語学習者を支援するため、最も学 習人口が多い初級学習者を対象としたコンテストを東京と大阪で同時開 催することを韓国文化院に働きかけ、企画段階から関与しました。実施 概要は次のとおりです。 第 2 回からは映像表現部門を設 け、より総合的な表現力を競うコ ンテストにする予定です。従来の スピーチ暗唱コンテストとは異な る身体的表現活動を含む表現力 こそ大事だと考えるからです。 期日:2003年3月8日(土) 会場:東日本大会 韓国文化院大ホール 西日本大会 大阪国際交流センター小ホール 主催:駐日韓国大使館韓国文化院(東日本) 、関西韓国文化院(西日本) 後援:TJF 参加部門は次のとおりです。 ● スキット部門: 2人または3人1組で、指定台本から一つ選択して暗記し、スキット 形式で韓語の発音や表現力などを競う。高校生と大学生・一般の部 に区分。 ● スピーチ部門: 高校生以上誰でも参加できる。個人参加で、テーマに沿ったスピー チ原稿を自ら作成して発表。韓語の発音と表現力等を競う。 19 事業報告 2002―2003 小中高校生への国際理解教育と友好交流 高校生の生活フォトメッセージコンテスト開催 4,715,628 コンテストの趣旨 過去6回のコンテストには、のべ 1997年度にTJFの10周年記念事業として始まったこのコンテストは、日 1,796 作品(写真 8,986 枚)の 本の高校生が何を考え、どんな生活を送っているのかを、高校生自身が写 応募があり、TJFフォトデータバ ンク(p.29参照)の貴重なリソー スとなっています。写真を使った した5枚の写真と短い文章で海外の同世代の若者に紹介するものです。 参加者は、作品制作を通じて身近な友だちの生活を見つめ直しながら、 高校生の自己表現の試みとして、 今まで気づかなかった友だちの一面を発見します。そして、より深く友だ また今の高校生の考えや暮らしを ちを理解しようとすることが、自分自身や社会とのつながりについて考え 知る手がかりとして、国際理解教 ることに発展していきます。海外の高校生に送る写真を撮り文章をつづる 育の関係者からも注目されていま す。 作品制作の過程は、参加した高校生にとって他者理解と自己表現について 実践的に学ぶ過程でもあります。応募作品は、海外の同世代へ向けたメッ セージとして作品集『伝えたい私たちの素顔』にまとめ、海外の中高生の ための日本語と日本理解教材として提供されています。 2002年度のコンテストには、318作品(写真1,590枚)が寄せられまし た。その内訳は、美術、日本語、倫理の時間などの授業の一環として制作 した作品が161作品、写真部や美術部などの部活動の一環として制作した 作品が147作品、個人参加が10作品でした。 年々応募作品の質が高くなっていることから、今回から新たに努力賞を 設けました。さらに、授業の一環としてコンテストに参加した学校に贈る 学校賞対象校のうち、特に優れた作品を継続して応募した学校に対しては、 学校賞特別賞を新設しました。 作品募集のチラシ より多くの高校にコンテストに参加してもらうため、教師の研究会など で広報し、高校に出向いて生徒向けワークショップを開催しました。また、 コンテストに関心をもつ高校生が個人でも気軽に参加できるように、コン テストのホームページを一新し、内容を充実させました。2003年度は、同 コンテストの英語版のページを一新する予定です。 コンテストの概要 期間:2002年7月〜2003年2月 主催:TJF 後援:外務省、文部科学省、全国都道府県教育長協議会、全日本写真 連盟、ユネスコ協会連盟、エイ・エフ・エス日本協会、朝日新 聞社 協賛:講談社、全日本空輸、凸版印刷、富士写真フイルム、富士フイ ルムアクシア 審査員:田沼武能(写真家・審査員長) 、米田伸次(帝塚山学院大学国 際理解研究所所長)、リービ英雄(作家・日本文学研究家)、金 20 小中高校生への国際理解教育と友好交流 子さとみ(月刊『ジュ・パンス』編集長) 、田所宏之(TJF常務 理事) テーマ(課題) :私だから撮れる友だちの素顔 第6回高校生の生活フォトメッセージコンテスト上位入賞作品 ■最優秀賞(1作品) 「莢えんどうの花という名前」 田中舞 自由の森学園高等学校(埼玉県) ■優秀賞(2作品) 「憧れの先輩」 江崎由佳 岐阜県立大垣工業高等学校 「さとぽん奮闘記」 小田瑠衣子 広島県立庄原格致高等学校 ■審査員特別賞(3作品) 「恋人の妹」 後尾久美子 大阪府立大手前高等学校定時制課程 「ただ今ヨネっち街道を珍道中」 佐藤里美 秋田県立横手高等学校 「日本代表高校生井川君の実態」 松尾恵美 広島県立三次高等学校 ■奨励賞(10作品) 「誰に対しても親切に振舞う友人」 岡本真弥 市川高等学校(兵庫県) 「仙ちゃんといっしょ」 植田茉莉子 奈良県立奈良高等学校 「毎日を大切にして生活している」 大崎紗綾香 市川高等学校(兵庫県) 「なっかーの日常」 佐藤香織 大阪府立大手前高等学校定時制課程 審査会の様子 「莢えんどうの花という名前」より 21 事業報告 2002―2003 応募作品は、作品集『伝えたい私 「 『タジタジくん』って呼ばれてます!」 たちの素顔』 (p.25参照)にまと 植本一子 広島県立賀茂高等学校 め、応募者や海外の日本語教育 機関等に寄贈するほか、ホームペ ージ上でも公開しています。TJF フォトデータバンク(p.29参照) の写真として授業で利用された り、海外の日本語教科書に掲載 されるなど、多くの作品が活用さ れています。 「輝け18歳! 剣道に賭ける青春」 雨宮広次 岐阜県立土岐北高等学校 「ちっちみ丸出し120%」 遠藤綾子 秋田県立横手高等学校 「ミズキのいる楽しい学校」 岡川恒輝 正則高等学校(東京都) 「現在の女子高生の一日」 魚田恵介 奈良県立奈良高等学校 「リンダ的洒落生活」 . 上田静香 大阪市立工芸高等学校 ■努力賞(10作品) 「リョータ、100万ドルの笑顔!」 阿部俊士 北海道滝川高等学校定時制課程 「SYSTEM-MORINO」 住友新隆 徳島県立城東高等学校 「EVERY DAY 愛」 竹田真理子 大阪市立工芸高等学校 「太陽の少年」 多谷亮太 大阪インターナショナルスクール 「Best Friend」 津田幸奈 大阪府立大手前高等学校定時制課程 「晴香なる青春の日々」 中才知弥 大阪府立大手前高等学校定時制課程 「おとぼけさとちゃん旅に出る!」 成田有香 北海道千歳北陽高等学校 「誰よりも尊敬するそぶ姉」 朴成尹 九州朝鮮高級学校(福岡県) 入賞者の記念撮影 22 入賞者による作品解説 小中高校生への国際理解教育と友好交流 「みんな明代が大〜好き!」 林真理子 岐阜県立土岐商業高等学校 「自然の太陽」 柚上薫 大阪インターナショナルスクール ■学校賞特別賞(3校) 正則高等学校(東京都) 、東京都立工芸高等学校、福岡インターナ ショナルスクール ■学校賞(5校) 清泉インターナショナルスクール(東京都)/東京都立八王子北 高等学校/大阪府立芦間高等学校/大阪インターナショナルスク ール/大阪府立阪南高等学校 入賞者のメッセージ 2003年2月、東京都文京区の会場で第6回コンテストの授賞式と懇親 会を開催しました。授賞式に招待した上位入賞者は、それぞれ自分の作 品の前に立ち、作品で表現したかったことや制作過程のエピソードなど を紹介しました。 ●「莢花と会えて、私はいろんな視点から物事を見るようになりま した。そうすると毎日が発見だし、なんでも楽しく考えられる ようになりました。そして日々、自分の視野が広がっているの だと思います。人と深く付き合うことは大変でもあり、その分 たくさん得ることがあり、学べるのだと思いました。そして素 直に好きと言える友だちがいて、私はとても幸せだと思います」 (田中舞) ●「15歳の美香ちゃんの第一印象は、ひかえめだけど、まっすぐ キレイな瞳の女の子だった。大阪の人ごみをを歩いた時、はぐ れないように私は美香ちゃんと手をつないで歩いた。細くて小 さめの手に、私はドキッとした。少しだけ、自分の15歳の時の ことを思い出したからだ。私の10代の後半は、自己嫌悪を克服 上田静香「リンダ的洒落生活」より できずに、他人を遠ざけて引きこもっていた。本当は普通に高 校に入って、友だちと遊んだり、恋愛をしたいと何度も思って いた。そんな変えられない過去がよぎった」 (後尾久美子) ●「ヨネっちのものまねは、見た人すべてに笑いの腹痛をもたらす ほどそっくり! 学校の先生や芸能人など、レパートリーは数 知れず(私の一押しは校長先生) 。暇さえあれば、トークともの まね芸を磨いている、おちゃらけな彼ですが、実は我が校自慢 の生徒会長なのだ! 彼が廊下を歩けば、すれ違う人みんなが 声をかけてしまうほどの人気ものであり、そしてヨネっちも全 校生徒のほとんどをインプットしているんだよ」 (佐藤里美) 23 事業報告 2002―2003 コンテストが日本の高校における 国際理解教育の取り組みとして 年々発展していることを重視し、 2003年度からは、写真集の主な 読者を日本の高校生に想定し、 審査員の講評 ●「最優秀賞は、莢えんどうの花という意味の名前の主人公を撮っ た作品です。技術的には課題がありますが、自分の感じたもの をストレートに写しており、少し荒削りですが見る人に感動を 国際理解教育の教材として位置 与える作品です。主人公の核心に触れており、その暮らしぶり づけたいと考えています。 や考え方、行動を表現しているという強さで最優秀賞に選ばれ コンテストの目的である「他者と ました。考えたとおりに撮るのではなく、考えた上で頭を真っ 自己の発見」を、より明確に作品 集に反映するため、メッセージも できるだけ手を加えず、高校生た 白にして主人公に体当たりで撮ることが大切なのですが、それ に近い撮り方をしています」 (田沼武能) ちのありのままの思いを伝えるこ ●「例年のメッセージでもそうですが、今回も、改めて友人・仲間 とをめざします。海外の教育現場 の素敵なところを再認識した、今まで気がつかなかった新しい でも使いやすい情報を提供できる 面を発見することができた、人と人とのつながり、人間関係の ようにホームページでの展開を進 めます。 大切さを実感させられたといったコメントがかなり多く見られ ました。とりわけ注目させられたのは、友人・仲間と改めて向 き合うことを通して、自分自身の生き方やあり方について考え させられた、さらに、生きる元気を手にすることができたとい った内容のメッセージに触れることができたことで、これは収 穫でした」 (米田伸次) ●「このコンテストの作品は比較文化の具体例として、研究材料に もなるように思います。ほかの国でも同じようなプロジェクト を行って、作品を比較してみると興味深いものになるでしょう。 抽象的なことになりがちな文化の比較を具体的な写真で行えれ ば斬新な試みですし、日本発信の一つの手法ともなるでしょう」 (リービ英雄) ●「生徒さんの作品を見ていると、その学校の校風を見事に映し出 していて、興味深く思いました。自由の森学園、大阪インター ナショナルスクールなど、校風が自由な学校の作品に、より伸 びやかさを感じさせられました。日本の高校は校則に象徴され るように、管理が行き届いているところが多いのですが、でも 多くの学校が参加してくださることが作品の幅を広げることに つながりますので、より一 層参加校が広がるといいな と思っております」(金子 さとみ) 佐藤里美「ただ今ヨネっち街道を珍道中」より 24 小中高校生への国際理解教育と友好交流 高校生の生活フォトメッセージコンテスト作品集発行 3,410,314 『伝えたい私たちの素顔』 /The Way We Are 2001 A4判、一部カラー、52頁、2002年6月、5,000部発行、日本語版(英語抄訳付) 第5回コンテストの応募作品497点(写真2,485枚)から選んだフォト メッセージを掲載した作品集を発行しました。高校生たちが、写真を撮 ることで気づいた、友だちの姿、将来の夢、さまざまな悩みなどを、写 真と文章で伝えています。日本語を学習している海外の高校生を主な読 者として想定し、本文中の漢字に読み仮名をふりました。海外の日本語 教育機関(日本語教師)約1,850ヵ所に、日本語学習・日本理解・国際理 解のための教材として寄贈しました。今回は、イギリスの日本紹介行事 「ジャパン2001」で開催された写真展の報告や、イギリス版のフォトメ ッセージコンテストの入賞作品もあわせて紹介しました。 『伝えたい私たちの素顔』(The Way We Are 2001)表紙 友好クラス・学校交流 80,528 日中友好クラス交流:高校生のための中国研修旅行 TJFでは、中国の日本語のクラスと日本の中国語のクラスの交流の橋渡 しをしてきましたが、その一環として、2001年度から高校生のための中 国研修旅行の実施に協力しています。生徒たちの中国語学習に対する意 欲を高めるために、中国を訪問し、日本語を学習する生徒たちと交流さ せたいという日本の中国語教師の希望を実現するためでした。2002年度 は、ハルビンと北京の研修旅行に高校生12名が参加しました。 期間:2002年7月28日(日)〜8月2日(金) 訪問先:黒龍江省ハルビン市、北京市 参加者:中国語を学ぶ高校生12名 2003年度は、高校生の日中交流事業を行っている団体とのネットワー クを築きながら、 中国語を学ぶ高校 生のための研修旅 行の拡大の可能性 を探っていく予定 です。 ことばがわからなくなったら筆談を交えて話が続く 25 事業報告 2002―2003 日米友好校交流 日米双方の外国語教育 (英語教育・日本語教育) と国際理解教育をリンク するプロジェクトとして、TJFのネットワークを生かし、日米間で友好クラ ス交流を希望する学校(小中高校、地域も含む)の橋渡しをしています。現 在7組(カナダの小学校との交流も含む)の小学校間で、生徒の作品、ビデ オ、Eメールの交換、相互訪問などを通じた交流が行われています。 各小学校は、これらの交流を国際理解教育、国際交流、コンピュータ (インターネット、Eメール)教育、外国語教育などの取り組みとして位 置づけています。2003年度も各取り組みのフォローアップを行います。 国際理解教育TJFネット 920,215 TJFは国際理解教育、文化理解教育の研究および実践活動の発展を願っ て、異文化間教育学会の大会開催、帝塚山国際教育研究所主催の国際理 解教育懸賞論文に対して、助成を行っています。 今後TJFでは、日本国内の小中高校における国際理解教育に、より積極 的に関わっていきたいと考えています。その一環として、2003年度から、 専門家や実践者との懇談および各種実践活動への参加をとおして、プロ グラムの基盤づくりを行っていきます。個々のプログラムの運営を通し て体験的に学んだ「国際理解教育的」な手法を、他の実践活動を参考に しながら理論化し、プログラムの内容を深めたいと考えています。 教材・一般図書寄贈 教材・一般図書寄贈 1,244,945 2002年度には、海外の小中高校の日本語学習者への学習奨励の一環と して、米国アイオワ大学主催の日本語スピーチコンテスト、ミシガン州 日本語教師会主催のミシガン州ジャパンボウルなどのコンテストに、日 本関連英文図書を賞品として寄贈したほか、日本語教育を実施している 海外の学校に各種の日本語の図書を寄贈しました。 また、日本国内では、高校の中国語学習者や韓国朝鮮語学習者への学 習奨励として、日中友好協会主催の中国語弁論大会、韓国文化院主催の コンテスト「話してみよう韓国語」ほかに、それぞれ辞書や事典、図書 を賞品として寄贈しました。 26 広報出版・ホームページ 広報出版・ホームページ 機関誌発行 『国際文化フォーラム通信』発行 2003年度中に、『国際文化フォ (5,654,809) ーラム通信』は 60 号、TJF Newsletter は 30号を数えます。 A4判、2色、16頁、年4回、5,000部発行 文化理解や国際理解教育をめぐ 特集テーマ: ってTJFのスタッフが模索してき 第54号(2002年4月発行):高校時代に韓国朝鮮語を学ぶ たものが何であるかをこれら定期 第55号(2002年7月発行):世界に届いた日本の高校生の素顔 刊行物を通じて伝えています。 第56号(2002年10月発行):日中の高校生に隣国のことばを教える教 師たち 第57号(2003年1月発行):『であい』を使ってみました The Japan Forum Newsletter 発行 (4,717,066) A4判、2色、16頁、年2回、6,000部発行 A4判、4色、8頁、年2回、6,000部発行 特集またはMeeting People のテーマ No.25(2002年6月発行) Meeting People: Meet Michi Japanese Culture Now: Media Characters—New Necessity of Daily Life No. 26(2002年9月発行) 『国際文化フォーラム通信』第57号 特集:The World Meets Japanese High School Students— Responses and Messages from Young People Overseas Meeting People: Meet Shun’ichi Japanese Culture Now: Young People’s Language—Mirror of Their World No. 27(2002年12月発行) Meeting People: Meet Yoo Jin Japanese Culture Now: Japanese Fast Food Part 1—Rice Dishes No. 28(2003年3月発行) 特集:Here’s How I Used Deai—Tips from Teachers Meeting People: Meet Kanta Japanese Culture Now: Young People’s—Language Part 2—I Want to Be Able to Show Everyone My True Self! The Japan Forum Newsletter No. 28 27 事業報告 2002―2003 事業報告(和英)発行 1,408,832 TJFの2001年度の事業に関し、日本語および英語の報告書を発行しま した。報告書には、TJF設立15年を振り返る特別リポート「個と個の出 会いと対話の場の創造」と、各事業のこれまでの経過と今後の展望をま とめたものも併せて掲載しました。 TJFホームページ制作運営 838,019 2002 年度を通じて、TJF のホー ムページは大幅に構成を変更しま した。定期刊行物などの印刷媒体 が伝えてきたものを、よりダイナ ミックで身近に伝えるため、今後 トップページのリニューアルとプログラムごとのホームページ活用 2002年11月に、TJFトップページのリニューアルを行い、事業ごとに 情報の提供と広報のためのサイトをつくりました。また、教案作成の素 材となる写真や生活文化紹介のページを充実させたほか、掲示板とチャ ともホームページの内容を更新し ットを廃止し、メールによるTJFとユーザー、ユーザー間の意見・情報交 ていきます。 換を積極的に呼びかけ、メールの内容を整理して公開できるようなサイ トづくりを行いました。 ・「TJFとは」更新:財団の事業概要、事業内容の掲載と、出版物の PDF版による配信( 『国際文化フォーラム通信』 、TJF Newsletter) 。 ・「小渓」新設:高校の中国語教育取り組み校リストの更新や研究会等 の情報提供、情報誌『小渓』PDF版の掲載。 ・「ひだまり」新設:中国中高校日本語教師研修会の報告、情報誌『ひ だまり』PDF版の掲載。 ・「高校の韓国朝鮮語教育」更新:取り組み校リストの更新。 ・「日本人の生活と文化」更新:「携帯電話」 「デフレ」 「若者ことば そ の1、2」 「日本のファーストフード」を追加。 ・「高校生の生活フォトメッセージコンテスト」更新: 第5回コンテストの英語版を作成。また、第6回コンテストの募集、 入賞作品掲載に合わせて、日本語版サイトをリニューアルオープン TJFホームページ http://www.tjf.or.jp/jp/indexj/indexj.htm 28 高校生の生活フォトメッセージコンテスト http://www.tjf.or.jp/photocon/index.htm 広報出版・ホームページ し、高校生が見て楽しいページをめざしています。 ・「であい」更新: 写真教材「であい」に関するレッスンプラン、文化関連情報や写真、 ビデオを掲載するページを充実させるとともに、 「であい」に関する 情報交換を行いやすくするために、メールマガジン「TJF DEAImail」や投稿フォームを導入しました。また、集まった質問やアイ デアを公開する場として、 「Voices」 (Eメールで寄せられた疑問や意 見を整理して、スタッフのコメントをつけて掲載)、「アイデア・コ ーナー」 (ちょっとした工夫、単発のアクティビティやタスクなど、 教師の実践の中から出てきたアイデアを掲載)、「日本語学習者向け 『マイ・ストーリー』と『キャプション』 」 (マイ・ストーリーや写真 キャプションを、日本語学習者向けに書き直したものを掲載)の三つ のコーナーを新設しました。 TJFフォトデータバンク制作運営 592,248 フォトデータバンクは、海外の小中高校の日本語教師や社会科教師など が、日本の若者の生活文化に関連する写真を教室で使用したいときに、目 的にあった写真を迅速かつ無償で入手できるシステムです。2001年5月末 よりホームページで公開しています。2002年度には、教科書等での写真使 用についての問い合わせが国内外から寄せられるようになりました。 日本語と英語でキーワード検索することができます。サンプル画像を クリックすると、オリジナルの写真を参照でき、ダウンロードすること もできます。データバンクへのアクセスはTJFホームページ上でメンバー 登録をした人に限られ、外国語教育・国際理解教育など教育目的での利 用に限定しています。2002年度には、日本の年中行事関連の写真やフォ トコンテストに新しく届いた写真などを追加更新しました。2002年12月 現在、2,614枚の写真が掲載されています。 フォトデータバンクの画面 29 事業報告 2002―2003 設立15周年記念特別事業 日中教師セミナー「日中の高校生に隣国のことば と文化を教えることの意味」 2,364,211 TJF支出 23,731; 国際交流基金特定助成(原資は講談社) 2,340,480 1987 年に設立された TJF は、 TJFは、これまで日中友好クラス交流を中心に、日本の高等学校におけ 2002年に15周年を迎えました。 る中国語教育と中国の中高校の日本語教育との連携を試みてきました。こ 当初より、中国における日本語教 育の関連事業に取り組んできた TJFにとって、日中教師セミナー の開催は、事業展開における一つ の時期区分となるものです。 うした交流の核になるのは、互いのことばを教えている教師間のつなが りだと考えています。 2002年8月、中国黒龍江省ハルビン市内の同じ会場で中国中高校日本語 教師研修会と日本の高等学校中国語教師研修会が開催されました(pp.3− 7、p.14参照) 。研修会に続いて開催された15周年記念セミナー「日中の高 校生に隣国のことばと文化を教えることの意味」には、日中の教師100名 が参加しました。 期日:2002年8月16日(金)・17日(土) 会場:中国共産党ハルビン市委党校(黒龍江省ハルビン市) 主催:TJF 助成:国際交流基金特定助成(原資は講談社の寄付金) 参加者:日本の高校中国語教師21名、中国の中高校日本語教師79名ほか ワークショップからセミナーへ議論を継続 教師の実践報告に続いて10のグループに分かれて開催した討論会では、 高校時代に中国語や日本語を学ぶ意義、ことばの学習と交流を連携させ る意味について意見交換しました。 双方の参加者は、日中の高校生が相手側のことばを学び、互いの理解 を深めてこそ、多文化共生時代に応じることができることを確認しまし た。ことばの学習と交流事業の連携については、 「日本語や中国語学習の 動機づけを高め、運用能力を向上させるためには交流が最も効果的だが、 経済的に難しい。現実的には文通から始めるのがよい」という点で一致 しました。 また、日々の授業の中での実践方法について討議する時間が十分なか ったので、高等学校中国語教育研究会の全国大会(2004年6月)に中国の 日本語教師を招聘し、会期中に「日中の高校生に隣国のことばと文化を 教える授業」と題したセミナーを実施する予定です。セミナーでは、前 回確認した中国語・日本語を学ぶ意義を授業の中でどのように実践して いくかについて議論します。 30 設立15周年記念特別事業 ◇日中の高校生に中国語・日本語を教えることの意義 ・中国と日本は、隣の国同士なのだから、相手のことをよく知ること が必要である。またお互いの国のことについて理解を深めることは、 ひいては世界のことを知ることにつながり、生徒たちの視野を広げ ることができる。 ・それぞれのことばの背景にある気持ち(相違点・共通点)を知ること で、相手に対する思いやりを持つことができる。 ・日本語・中国語教育を通じて、隣国さらには世界の人々との共生が 課題となる新しい時代に対応する人材育成ができる。 ◇ことばの学習と交流を連携させる意味と交流のあり方 ・外国語学習の最も大切な目的であるコミュニケーションのための言 語運用能力を身につけるには、相手を知る必要がある。その手段と して交流はとても効果的である。 ・ 個人レベルの交流を通じて、 「中国(人)は〜」 「日本(人)は〜」と いう、ステレオタイプの見方を修正することができる。 ・修学旅行などによる直接交流が理想だが、経済的な面から困難。近 い将来、Eメールの交流も可能だろうが、現段階で現実的なのは文 通。まずできるところから始めよう。 ・手紙のやりとりは半年に1回でもいいくらいの気持ちでゆったりと構 え、決して急がない。続けることが大事。 ・交流を持続するために、教師が生徒たちに声をかけていく。語学力 の問題ではない。お互いに母語を使ってもいい。大事なのは自分た ちのことを表現することである。 グループディスカッションの結果を模造紙に書いていく 各グループの日中の教師代表が話し合いの結果を発表 31 事業報告 2002―2003 収支計算書 2002年4月1日―2003年3月31日 (単位:円) 科 目 予算額(a) 決算額 差 額 Ⅰ 収入の部 1 寄付金収入(b) 93,952,647 93,952,647 0 2 基本財産運用収入 14,858,416 15,249,226 △ 390,810 3 補助金等収入(c) 43,389,151 44,105,951 △ 716,800 4 会費収入 22,959,790 23,859,790 △ 900,000 5 雑収入 925,236 955,956 △ 30,720 当期収入合計(A) 176,085,240 178,123,570 △ 2,038,330 前期繰越収支差額 18,840,934 18,840,934 0 194,926,174 196,964,504 △ 2,038,330 139,013,253 141,480,021 △ 2,466,768 事業費計(A−D) 79,743,663 82,263,731 △ 2,520,068 A 言語教育・文化理解プログラム 60,062,829 61,033,811 △ 970,982 A-1 日本語教育 46,411,197 47,200,814 △ 789,617 (1)2002年中国中高校日本語教師研修会開催 10,250,270 10,367,153 △ 116,883 (2)日本語教案教材開発 32,170,706 32,670,054 △ 499,348 624,457 625,449 △ 992 2,473,530 2,634,063 △ 160,533 892,234 904,095 △ 11,861 4,671,049 4,706,312 △ 35,263 (1)高等学校中国語教師研修会開催協力 147,688 156,156 △ 8,468 (2)中国語教育助成 340,840 449,590 △ 108,750 1,830,731 1,774,041 56,690 271,120 271,218 △ 98 39,019 39,019 0 1,685,435 1,703,281 △ 17,846 356,216 313,007 43,209 8,980,583 9,126,685 △ 146,102 7,878,086 8,125,942 △ 247,856 172,399 80,528 91,871 0 0 0 930,098 920,215 9,883 図書関連プログラム 1,227,227 1,244,945 △ 17,718 一般図書寄贈 1,227,227 1,244,945 △ 17,718 16,089,396 17,620,764 △ 1,531,368 収入合計(B) Ⅱ 支出の部 1 事業費(A−E) (3)日本語教育情報交流:『ひだまり』発行 (4)米国連絡員活動 (5)日本語教育TJFネット A-2 アジア言語教育 (3)高等学校韓国朝鮮語教育ネットワーク事業 (4)中国語教材開発 (5)中国語教育情報交流:『小渓』発行 (6)高等学校と大学の韓国朝鮮語教育調査 (7)アジア言語教育TJFネット A-3 国際理解教育 (1)高校生の生活フォトメッセージコンテスト (2)日中友好クラス交流 (3)日米友好校交流 (4)国際理解教育TJFネット B C 広報出版・ホームページ (1)機関誌発行 32 10,222,662 10,371,875 △ 149,213 (2)事業報告(和英)発行 1,414,363 1,408,832 5,531 (3)TJFホームページ制作運営 4,452,371 5,840,057 △ 1,387,686 収支計算書 (単位:円) 科 目 決算額 差 額 2,364,211 2,364,211 0 予算額(a) D 設立15周年記念特別事業(日中教師セミナー) E 事業人件費 59,269,590 59,216,290 53,300 2 管理費 41,378,145 40,767,982 610,163 (1)管理人件費 18,548,700 18,536,200 12,500 (2)臨時雇人費 1,621,600 1,605,275 16,325 50,000 61,111 △ 11,111 (4)福利厚生費 12,432,688 11,958,210 474,478 (5)旅費交通費 909,557 1,136,835 △ 227,278 (6)接待交際費 120,000 0 120,000 (7)図書研究費 104,285 97,410 6,875 (8)会費 128,112 128,112 0 72,500 72,500 0 (10)リースレンタル料 1,586,936 1,516,136 70,800 (11)通信運搬費 1,163,764 1,082,783 80,981 212,590 188,175 24,415 (3)諸謝金 (9)租税公課 (12)会議費 3 4 5 (13)水道光熱費 1,458,651 1,283,484 175,167 (14)事務用消耗品費 1,545,434 1,766,198 △ 220,764 (15)雑費 1,423,328 1,335,553 87,775 固定資産取得支出 1,523,000 340,389 1,182,611 什器備品購入支出 1,523,000 340,389 1,182,611 特定預金支出 5,000,710 6,000,841 △ 1,000,131 退職給与引当預金支出 5,000,710 6,000,841 △ 1,000,131 0 0 0 186,915,108 188,589,233 △ 1,674,125 △ 10,829,868 △ 10,465,663 △ 364,205 8,011,066 8,375,271 △ 364,205 予備費 当期支出合計(C) 当期収支差額(A) − (C) 次期繰越収支差額(B) − (C) (a)2002年度第2回理事会・評議員会で承認された変更後の予算額 (b)講談社の寄付金(当初予算110,000,000円)のうち16,047,353円は、国際交流基金の特定助成金として入金 (補助金等収入に計上) (c)補助金等収入の内訳は以下のとおり(金額順) 米日財団助成:「であい」教材 16,597,800 国際交流基金特定助成(原資/講談社): 「であい」教材、中国研修会、日中セミナー 16,047,353 国際交流基金共催:中国日本語教科書編集制作 3,098,600 国際交流基金共催:中国日本語教師研修会講師派遣 2,304,498 三菱銀行国際財団助成:中国日本語教師研修会 2,000,000 東京倶楽部助成:中国研修会教材日本語シリーズ 1,754,000 東京倶楽部助成:高等学校と大学の韓国朝鮮語教育調査 884,000 国際交流基金委託:中国日本語事情調査 777,847 韓国大使館助成:高等学校と大学の韓国朝鮮語教育調査 692,800 国際交流基金(ACE JAPAN)助成:「であい」教材 △ 50,947 33 事業報告 2002―2003 理事・監事・顧問・評議員一覧 (任期2003年4月1日―2005年3月31日) 会長 野間 佐和子 (株)講談社代表取締役社長 理事長 渡邊 幸治 (社)日本経済団体連合会特別顧問 常務理事 田所 宏之 理事 伊夫伎 一雄 評論家 北島 義俊 大日本印刷(株)代表取締役社長 黒沼 ユリ子 ヴァイオリニスト 富士ゼロックス(株)代表取締役会長 鈴木 正一郎 王子製紙(株)代表取締役社長 鈴木 孝夫 慶應義塾大学名誉教授 凸版印刷(株)代表取締役会長 三角 哲生 新国立劇場運営財団理事長 山地 進 (株)日本航空システム名誉顧問 山本 正 (財)日本国際交流センター理事長 横山 至孝 (株)講談社取締役 小田倉 正典 公認会計士 (株)講談社監査役 黒田 瑞夫 元国連大使 高嶋 伸和 前常務理事 平岩 外四 東京電力(株)顧問 饗庭 孝典 青木 保 政策研究大学院大学教授 足立 直樹 凸版印刷(株)代表取締役社長 猪口 邦子 軍縮会議日本政府代表部大使 上野 田鶴子 東京女子大学教授 梅田 博之 麗澤大学学長 江淵 一公 放送大学教授 北見 鐐三 大日本印刷(株)専務取締役 草場 宗春 大谷女子大学学長 輿水 優 日本大学教授 小林 克郎 日本製紙(株)専務取締役 小宮 秀之 (株)トーハン海外事業部長 佐藤 國雄 (財)ユネスコ・アジア文化センター理事長 佐藤 郡衛 34 (株)資生堂取締役名誉会長 藤田 弘道 楢原 泰信 評議員 (株)日本ユニパックホールディング代表取締役会長 小林 陽太郎 福原 義春 顧問 (株)東京三菱銀行相談役 ドナルド・キーン 小林 正夫 監事 常勤 東京学芸大学教授 鈴木 和夫 (財)ユネスコ・アジア文化センター会長 田代 忠之 (株)講談社専務取締役 理事・監事・顧問・評議員一覧 鶴田 尚正 日本出版販売(株)代表取締役副社長 長岡 剣太郎 王子製紙(株)代表取締役副社長 奈良 久彌 (株)三菱総合研究所取締役相談役 C.W.ニコル 作家 畑野 文夫 (株)講談社インターナショナル社長 浜田 博信 (株)講談社副社長 鮑 啓東 人材派遣健康保険組合理事長 松岡 紀雄 神奈川大学教授 水谷 修 名古屋外国語大学学長 茂木 友三郎 キッコーマン(株)代表取締役社長 諸橋 泰 全日本空輸(株)専務取締役執行役員 吉田 研作 上智大学教授 (敬称略 五十音順 2003年8月現在) ■財団事務局 事務局長 中野佳代子 事務局主任 水口景子 職員 相原里麻 飯野典子 小栗章 長江春子 原島陽子 藤掛敏也 張春暉 辻本京子 室中直美 専門員 千葉美由紀 米国代表連絡員 伊藤幸男 ●国際文化フォーラムとは 財団法人国際文化フォーラムは、 (株)講談社を中心に王子製紙(株) 、大日本印 刷(株) 、 (株)東京三菱銀行、凸版印刷(株) 、日本製紙(株)の6社が1987年に外 務省の許可を得て設立した民間の事業型財団です。財政的には基本財産20億円 の運用とこれら企業からの寄付金のほか、賛助会費(法人と個人)や事業収入など によって運営しています。事業規模は年間141,480,021円(2002年度)です。 ●賛助会員制度 国際文化フォーラムは、その使命とする国際文化交流事業を遂行するための経 済的基盤を強固に確立するために、賛助会員制度を設け、広くご賛同ご加入を呼 びかけております。賛助会員の年会費は、個人会員が1口1万円、法人会員が1口 5万円です。賛助会員の方がたには、国際文化フォーラム主催の行事などをご案内 するほか、 『国際文化フォーラム通信』など、当財団が発行する出版物をお送りい たしております。多くの方がたのご理解とご後援をいただければ幸いに存じます。 35 事業報告 2002―2003 財団法人 国際文化フォーラム The Japan Forum 〒 163-0726 東京都新宿区西新宿 2-7-1 新宿第一生命ビル 26 階 Shinjuku Dai-ichi Seimei Bldg. 26F 2-7-1 Nishishinjyuku, Shinjyuku-ku, Tokyo 163-0726 tel. 03-5322-5211 fax. 03-5322-5215 e-mail: [email protected] http://www.tjf.or.jp/ ©2003 by The Japan Forum, Printed in Japan
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