い~な 診療所 あまみ 中 中 央 事務局 研究所 しらさぎ つなぐの さくら 大阪+知的障害+地域+おもろい=創造 知の知の知の知 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 2322 号 2015.2.15 発行 ============================================================================== 社説:生活困窮者支援 担える人材を育てよう 毎日新聞 2015 年 02 月 14 日 お金も仕事もなく、周囲から孤立して生活に困っている人を自立に導くのは容易ではな い。認知症や障害、アルコール依存、介護疲れ、家庭内暴力など多数の要因が絡まり合っ ているケースも多い。そうした困窮者を支援する制度が4月から福祉事務所のある全国約 900カ所の自治体で一斉に始まる。どうすれば実効性が上がるのか考えたい。 生活困窮者自立支援制度は、生活保護に頼らず、働いて自立できるよう困窮者を支援す る制度だ。 困窮者の相談を受けて「支援プラン」を作成し必要な福祉サービスにつなげる「自立相 談支援事業」と「住居確保給付金」が必須事業だ。任意事業としては「就労準備支援事業」 や「家計相談支援事業」 「学習支援事業」などがある。自治体が直接実施する場合だけでな く、民間団体に委託することもできる。 生活保護は受給者200万人、総額3兆円を超え、最近は若年層も増えている。働いて 自立するのは困窮者自身のためだが、労働力不足を補うことにもなり、社会にとっても必 要なことである。 問題は、この難しい仕事を誰がやれるのかである。 今年度のモデル事業を実施している254自治体を見ると、自治体直営と社会福祉協議 会(社協)への委託が全体の6割以上を占める。社協は行政区分ごとに組織され運営資金 の多くを行政からの予算措置で賄っている「半官半民」の組織だ。 24時間365日、さまざまな相談をたらい回しにせずにワンストップで受けている千 葉県中核地域生活支援センター(計13カ所)は生活困窮者自立支援制度のモデルとなっ た先駆的事業だ。困窮者を福祉サービスにつなげるだけでなく、多重債務、自殺志願者、 路上生活者の支援など警察や弁護士と連携しての活動も多い。数十匹のネコに自宅を占拠 された認知症と障害者の母子を救った例もある。県から委託を受けた民間スタッフが昼夜 なく動いている。 行政からの補助金なしに生活困窮者の雇用、貧困家庭の子の学習支援をしているNPO も少なくない。鳥取県倉吉市の柴田智宏さん(40)は高校卒業後、福祉施設で勤務した 後に独立、製麺工場やペットフード製造などで年商3億円以上に事業を拡大している。障 害者だけでなく難病、母子家庭、ニート、ひきこもりの人々を雇用している。 600億円以上の公費を投じる生活困窮者自立支援制度がこうした民間の活動を巻き込 めば、さらに多くの困窮者を救うことができるはずだ。平日の勤務時間に相談窓口で待っ ていても困窮者は来ない。官民挙げて担える人材を探し、育てよう。 社説:災害弱者支援/「協働」を言い訳にしないで 河北新報 2015 年 02 月 14 日 国連防災世界会議が1カ月後に迫った。仙台市が開催都市に選ばれたのは、東日本大震 災からの復興に掲げた理念「協働による減災」のたまものである。 しかしながら、いくら崇高な理念であっても実践の場で機能しなければ意味はない。市 の「災害時要援護者避難支援プラン」に、支援の担い手となる町内会や地区社会福祉協議 会が不満を示している。 支援プランでは、障害者や要介護認定を受けている人、家族の助けが見込めない高齢者 らの名簿を市が町内会などに配ることになっている。住民団体は受け取った名簿に基づき、 個別に支援策を練る。 要援護者一人一人の状況を行政が把握するのには限界がある。支援は地域社会に委ねる 方が確かに現実的だろう。 だが、市提供の名簿に記載されていたのは援護を必要とする人の名前と生年月日、住所、 電話番号だけ。どのような支援を望んでいるのか、緊急時に誰に連絡すればいいのか、か かりつけ医はどこなのか、という肝心の情報が抜け落ちている。 市は個人情報保護を理由に「地域の人が登録者宅を直接訪問し、詳しい情報を把握して ほしい」と理解を求めた。これが住民団体には「業務を住民に丸投げしている」と映った。 情報が不確かだったため訪問先でトラブルになったケースもある。 災害弱者の支援をめぐる行政と住民団体の不協和音は、国連防災世界会議のホストシテ ィー、あるいは「協働のまちづくり」を標榜(ひょうぼう)する仙台に、いかにも似つか わしくない事態だ。 市は知らず知らずのうちに「共助」を拡大解釈し、「協働」という好ましげな言葉にこと 寄せて住民団体を行政の下請けにしてはいないだろうか。 2月定例市議会に市は「協働まちづくり推進条例」案を提出した。条文は住民に「公共 の課題解決のために協働の必要性を理解し、パートナーシップ構築に努める」役割を求め た。 理念に賛意を示しつつも、地域課題を解決する唯一無二の手だてだと言わんばかりに「協 働」を押し付けようとする市の前傾姿勢が気になる。 やはり「協働のまちづくり」を掲げ、2000年に全国で初めて「まちづくり(自治) 基本条例」を制定した北海道ニセコ町は5年前、条例から「協働」の文字をあえて削除し た。 「主権者である住民と、住民の意思に基づいて働く行政が対等なはずはない。行政は『パ ートナーシップ』や『協働』を言い訳にして住民に責任を転嫁してはならない」というの がその理由だった。 自治基本条例発祥の町の「協働」概念に対する精緻な洞察と峻厳(しゅんげん)な自己 批判を仙台市にも求めたい。 支援プランをめぐって住民団体との間に生じた摩擦に奥山恵美子仙台市長は「名簿を配 るだけではなく、市職員が地域に入って合意形成を図る必要がある」と述べた。分かって いるのなら早く対処すべきだ。 拘束後死亡、作業所に1900万円賠償命令 大阪地裁 朝日新聞 2015 年 2 月 13 日 障害者が働く大阪府東大阪市の作業所で約5年前、当時22歳の男性が複数の職員から 押さえつけられて窒息死した。その男性の母親(58)=同府松原市=が約7360万円 の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日に大阪地裁であり、谷口安史裁判長は作業所側の 責任を認定。約1900万円を母親へ支払うよう命じた。 判決などによると、知的障害があった男性は2009年11月8日昼、社会福祉法人「創 思苑(そうしえん) 」が運営する作業所にいた際、興奮して外に出ようとした。職員5人が 男性を布団にうつぶせで寝かせたうえで頭と両手足を押さえ、体重をかけて圧迫。途中で やめた1人を除く4人は押さえ続けた。4人は業務上過失致死罪で略式起訴され、11年 12月に50万~70万円の罰金を命じられた。 男性を押さえつけた行為について、判決は「周囲に危険がおよぶことを避けるためで切 迫性があった。正当な業務と評価する余地がないとはいえない」と理解を示したうえで、 男性の腕を反対方向に反らすなどした点に着目。「必要以上の苦痛を与えて死亡させた」と し、4人の対応は過剰だったと判断した。 労政審:成果賃金導入の報告書 「健康確保」義務付け 毎日新聞 2015 年 02 月 13 日 労働時間ではなく成果に対して賃金を支払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」制 度の導入など労働基準法の見直しを検討していた労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関) の分科会は13日、同制度の対象者を労基法の労働時間規制から除外することなどを盛り 込んだ報告書をまとめた。報告書をもとに厚労省は労基法の改正案を作成し、今国会に提 出。2016年4月の施行を目指す。 労働基準法改正案の骨子 報告には、 「高度プロフェッショナル制」の名称でホワイト カラー・エグゼンプションの制度内容が盛り込まれ、「健康確 保措置」を義務付けた。他に、裁量労働制の対象となる企画業 務の拡大▽フレックスタイム制の労働時間の調整期間を1カ 月単位から3カ月に拡大−−など、労働時間に関する規制緩和 も盛り込んだ。 一方で、月60時間を超える残業の割増賃金を50%以上と する規定を、大企業に加えて中小企業にも適用するとした。ま た、有給休暇の取得を拡大させるため、年5日の有給休暇の取 得時期の指定を使用者側に義務付けることも掲げた。 同審議会は労働者、使用者、公益代表の3者で構成される。 13日の会合では労働側委員が「労働者の命と健康を守る(時 間)規制になぜ穴をあけるのか。理解も同意もできない」と厳 しい口調で反対を主張した。使用者側委員は「働き方の選択肢 を広げることは変化に対応する意味でも重要だ」と語った。労 政審は3者の合意が前提だが、労使の溝は埋まらないまま、労 働側の反対を押し切る形で報告書をまとめた。 審議会を傍聴していた東京過労死を考える家族の会の中原のり子さんは「長時間労働の 抑制に実効性のある提案はなく、この制度の下で過労死が起きたらどう対応するのか」と 話した。 【東海林智】 ◇労働基準法改正案の骨子※カッコ内は制度の対象 ■ホワイトカラー・エグゼンプションの導入(全労働者の平均年収の3倍を超え、高度で専 門的な業務に従事する人) ■有給休暇の年5日消化の義務付け(正社員中心) ■月60時間を超える残業代の割増率を25%から50%以上に(これまで割増率アップの 適用猶予を受けていた中小企業) ■裁量労働制の適用拡大(企画や課題解決型の営業業務) ■フレックスタイム制の見直し ◇過重労働、懸念消えず 今回の労働政策審議会の報告で一番の目玉は、ホワイトカラー・エグゼンプションの導 入だ。同制度は、第1次安倍政権でも検討し、労働基準法改正案の要綱まで作成したが、 2007年に国会提案を断念している。1日8時間、週40時間という労働時間規制から 除外される仕組みに対し、 「長時間労働を助長する過労死促進法だ」などの批判が高まった からだ。 今回は、長時間労働助長の批判をかわすため、制度の対象者に「健康確保措置」を義務 づけることを盛り込んだ。具体的には(1)勤務の終わりと次の勤務の開始の間に一定の 休息時間を設けるインターバル規制(2)1カ月または3カ月を区切りとする労働時間の 上限規制(3)4週で4日以上、年間104日以上の休日の取得−−の三つの選択肢を設け、 このうち一つの措置を取ることを義務化した。しかし、過労死の遺族らからは、労働時間 に関する(1) (2)と休日に関する(3)の規制がばらばらになっていることに対し、 「時 間と休日を組み合わせなければ長時間労働抑制の実効性はない」との批判が出ている。 制度の対象は、全労働者の平均年収の3倍を超え、高度で専門的な仕事に就く者とされ た。労働側は、将来、年収要件の引き下げで対象が拡大することに懸念を示している。 塩崎恭久厚生労働相は13日の会見で「より付加価値の高い産業に産業構造を転換し、 生産性を上げていくことが必要だ」とエグゼンプション導入の必要性を強調した。制度の 是非や健康確保措置の実効性について、さらに踏み込んだ議論が求められる。【東海林智】 「イクボス」はこうつくる 先進企業が事例共有 日本経済新聞 2015 年 2 月 14 日 育児や介護など私生活と仕事の両立を目指す部下の事情に配慮し、活躍を後押しする上 司を「イクボス」と呼ぶ。女性が働きやすい職場にするため、イ クボスをどうつくり、増やしていくか。 「イクボスシール」を受け取るバクスターの川本さん。カードには 12 のチ ェックリストが記されている(東京都港区) 「育児で都合がつかず会議の欠席をお願いしたとき、必要なら 後で聞くので問題ない、と言っていただき助かりました。シール、 貼っておきますね」 米製薬大手バクスターの日本法人(東京・港)でマネージャー を務める登美由紀恵さん(42)は、こう言って上司の執行役員、 川本寿人さん(56)が持つカードにシールを貼った。 カードの正体は「イクボスカード」。裏には「育児・介護など で残業が難しい部下についてパフォーマンスで公平に評価して いる」 「部下が急にひとり抜けても対応する方法を用意している」 など 12 のチェックリストがある。それに沿った行動をした上司に部下が「あなたはイクボ スです」とシールを贈る仕組みだ。 バクスターは 2014 年から、働きやすい職場づくりと生産性向上のため、「イクボスキャ ンペーン」を始めた。カードは「イクボス文化」を広めるため 14 年秋に導入した。今月、 シールの枚数も勘案して最もイクボス的だった人たちを表彰する。川本さんが集めたシー ルはすでに 14 枚と、トップクラスの多さだ。 バクスターの「イクボスカード」には 12 のチェックリストが記 されている 登美さんは 12 年に昇格の打診を受けたが、出産も真 剣に考えていた。悩んだ末「実は子どもがほしいと思 っています」と打ち明けた。 「そうなったときには両立 できる方法を考えていこう」と川本さんは助言。この 言葉に後押しされ、登美さんは管理職に就いた。 その後、妊娠し出産。現在は育児のため午後5時に は退社、インターネットを利用し自宅から海外との会 議に参加するなど、管理職と育児を両立している。 5人の孫を世話する「イクジイ」でもある川本さん。 「社員の育児も家族と同様に支援したい」と考えるよ うに。子どもが病気になった社員がいれば回復後の体 調も気遣うなど、雑談中も部下のプライベートに気を 配る。 「シールをもらうとまた頑張ろうと思う。自分も 早く帰宅し、周りの環境を変えていきたい」 社員の関係改善方法を話し合うヤフーの「上長のサポーター」 の3人(東京都港区) ヤフーでは「先輩イクボス」がイクボス予備軍の管 理職を支える。13 年に時短勤務の部下を持つ上司をサポートする制度をつくった。時短で 働く部下を持った経験が豊富で「あの人の部下でよかった」と評判が高いイクボスを選び、 サポーターに任命した。 社員の約3割が子持ち。産休・育休利用者と時短・時差勤務者は 13 年度は 286 人と、3 年前の 2.6 倍に増えた。一方で「どうしたらよいか悩む上司も少なくない。イクボスを増や すには上司をサポートする存在が必要」 。人財開発本部長の斎藤由希子さん(43)は話す。 現在のサポーター役は斎藤さんと徳応和典さん(42)、清水耕一郎さん(41)の3人。企 業サイトの制作責任者である徳応さんは、20 人ほどの時短勤務の部下の育成に関わり、社 内でも有数の経験値を誇る。清水さんは、長時間勤務になりがちな企画部門で、時間の長 さではなく成果での評価を徹底し、時短勤務の部下が働きやすい職場をつくってきた。 時短勤務の部下を持つ管理職を集めて話を聞くと「どこまで仕事を任せればいいか」な どの相談があった。それぞれの悩みに経験を踏まえ個別に助言する。「こういう窓口があっ てよかったと感じた」(清水さん) 。徳応さんも「悩みを聞き、経験や情報を共有すること が大事」と話す。 企業の人事担当者らが集まった「イクボス企業同盟」の勉強会 (東京都千代田区) 企業間で知恵を出し合おうという試みも始まった。 日本生命保険やみずほフィナンシャルグループなど 大手企業が集まり「イクボス企業同盟」を結成、今月 2日に第1回会合を開いた。現在 14 社が加盟。今後、 参加企業を増やしながら、各社の事例を共有し自社の イクボス養成につなげる。 企業同盟に参加する日立ソリューションズはイク ボスに関するフォーラムを開くなど、イクボス養成に積極的なことで知られる。ダイバー シティ推進センタ長の小嶋美代子さんは「社内で増えてきたイクボスたちに、社会的にも 価値がある大事な挑戦をしているんだ、と自信を持ってもらいたい」と話す。 企業同盟を発足させたNPO法人ファザーリング・ジャパン(東京・千代田)の理事で 三井物産ロジスティクス・パートナーズの川島高之社長は「イクボスが増えれば企業がも うかる、という流れをつくりたい」と話す。イクボスが働き方や業務のやり方を見直し、 企業に収益をもたらせるなら「イクボス養成に本気で取り組む企業が増えるはず」と川島 さんはみる。 ■育児支援にとどまらぬように イクボスは部下の育児に理解のある管理職ととらえがちだが、 「管理職に求められている のは、それだけではない」と、人事管理に詳しい中央大学大学院の佐藤博樹教授は強調す る。企業などと共同で進める「ワーク・ライフ・バランス(WLB)&多様性推進・研究 プロジェクト」の代表も務める。 プロジェクトでは望ましい管理職像として「WLB管理職」を提唱する。部下の生活と 仕事の両立を意識するのはもちろん、自らもメリハリのある働き方をし、私生活も大切に する管理職だ。佐藤教授は「女性が活躍しやすい職場づくりにつながり、仕事の成果も上 がっている」と話す。 従業員 300 人以上の企業の課長級1千人超を対象にした調査にもその傾向が表れた。 「時 間の使い方を考えて仕事をしている」 「自分の生活を大切にしている」など5条件を満たす 人をWLB管理職と定義。そうでない人に比べて職場の成果達成度、働く女性の活躍度は ともに高かった。 WLB管理職は全体の3割弱。仕事量の多さなど職場環境による差はさほどみられなか った。佐藤教授は「部下の変化に合わせて管理職に求められる役割も変わってきている。 WLB管理職は企業にもプラスになるし、社会にも必要とされている」と指摘する。 (編集委員 武類祥子、河野俊、井上円佳) 介護福祉士の試験義務化、6年先送り 厚労省案 日本経済新聞 2015 年 2 月 14 日 厚生労働省は 13 日、介護福祉士に国家試験への合格を義務付ける時期を、6年先送りし 2022 年度からとする案を、自民党の関係会議に示した。現行は、福祉系の大学や専門学校 の卒業者は試験なしで介護福祉士になれる。試験を義務付けると若者が介護の世界に集ま りにくくなるとの指摘があるため、人手確保を優先して延期する。 これまでは 16 年度から国家試験を義務付けるとしていた。義務化先送りの一方で、17 年度から 21 年度までの5年間を、義務化に向けた経過期間と位置づける。この間の卒業者 に与える介護福祉士資格は、暫定的に卒業後5年限りとする。5年以内に国家試験に合格 するか、原則5年間続けて現場で働く事を条件に、正式な資格として認める。 厚労省は 13 日、25 年度に約 30 万人が不足する介護職員の確保対策も自民党の関係会議 に示した。25 年度に向けて、都道府県単位で計画的に人手の確保に取り組む。既に決めた 職員の賃上げに加え、いったん辞めた介護スタッフの復帰の仕組み作りや、高齢者の介護 職への参入促進策を 15 年度から始める。 新潟の特養で認知症女性骨折 虐待認定、20代職員を諭旨解雇 産経新聞 2015 年 2 月 14 日 新潟県南魚沼市の特別養護老人ホーム「雪椿の里」で、20代の男性職員が、入所して いた90代女性の両脚を骨折させていたことが14日、施設への取材で分かった。職員は 「焦って介助をしてしまった」と故意の暴力を否定しているが、市は高齢者虐待防止法に 基づく虐待行為と認定した。 施設が職員に聞き取りしたところ、昨年12月31日夜、女性が大声を上げたため職員 が室内に入り、体を起こそうとして顔を手で押さえ、頬を内出血させた。さらに乱れた着 衣を整えようと体の向きを変えた際、両脚を骨折させた。 施設によると、女性は認知症で下半身を動かせなかった。骨折で入院し、施設を退所し た。 職員は施設に「帰り際で焦り、過度に力が入ってしまった」と話し、けがを負わせたこ とに気付かなかったと説明している。職員は今年1月31日付で諭旨解雇された。 障害者差別解消条例 仙台市の進め方にNO 河北新報 2015 年 2 月 14 日 仙台市役所で申し入れ書を提出する杉山代表(左)=6日 障害を理由とする差別解消条例の2016年4月施行 を目指す仙台市の制定の段取りに、疑問の声が上がってい る。市が条例案を提出する方針の市議会12月定例会まで、 残りあと10カ月ほど。障害者や支援者は「市民への浸透 が足りない」などと、議論に十分な時間をかけるよう求め ている。 身体や知的障害など25の障害者団体でつくる「誰もが 暮らしやすいまちづくりをすすめる仙台連絡協議会」(通 称・条例の会仙台)が6日、市役所を訪問。脳性まひの障 害を持つ杉山裕信代表(48)は、会が独自にまとめた条例骨子案を含む申し入れ書を鈴 木義恵健康福祉部長に提出した。 条例の会は、条例制定に向け09年から話し合いを重ねてきた。杉山代表は「障害と差 別の理解を深める議論をするには、市のスケジュールは拙速だ」と指摘した。 市は国の障害者差別解消法の16年4月施行を見据えて条例制定準備を進める。鈴木部 長は「つくるからには時期的な目標は必要。その中で十分な議論をしたい」と話す。 市は昨年6月に市障害者施策推進協議会に条例の在り方を諮問した。3年に1度改訂す る障害福祉計画の諮問も同時だったため、条例が主な議題となったのは3回だけ。健常者 と一緒に障害を考えるワークショップも既に3回開かれたが、参加者は155人にとどま る。 06年に全国初の差別禁止条例を策定した千葉県では、公募議員で構成する「障害者差 別をなくすための研究会」を年間20回開催し、条例の中身を検討。タウンミーティング も32カ所で開き、約3000人が参加した。 高齢者の生活支援などを行うシニア・ワーカーズコープ仙台の森田真理代表(65)は 「より市民参加型の議論にしないと、条例に魂が入らない。奥山恵美子市長の言う『市民 協働』は口先だけではないだろうか」と疑念を抱く。 市民の盛り上がりが感じられない事も、障害者らが制定までの猶予を望む一因だ。社会 福祉法人ありのまま舎の及川智研修センター長(36)は「障害者が何を差別と受け止め、 何で困っているか。条例は多くの人に考えてもらうための道具で、つくることだけが目的 ではない」と強調する。 知的障害者の文字を商品デザインに 劇団四季の元美術担当、福祉で奮闘 大阪 産経新聞 2015 年 2 月 14 日 劇団四季でミュージカルの小道具などを制作していた元美術担当の女性が、その技術を 生かし、大阪市内の知的障害者施設を拠点に、知的障害者たちの絵や文字などをおしゃれ なデザインにアート化し、かばんなどの商品にして販売する活動に取り組んでいる。施設 では障害者対象の美術教室を開いているほか、商品の販路拡大にも尽力しており、 「知的障 害者が社会参加する懸け橋になりたい」と目を輝かせる。 女性は、大阪市東淀川区の知的障害者施設「西淡路希望の家」職員、金武啓子さん(46)。 最近では、施設で働く知的障害者が紙に書いた文字をもとに、外部のグラフィックデザ イナー、近藤聡さんとデザインを考案し、月めくりカレンダーを制作した。 日付の数字は、筆やクレヨン、ボールペンなどさまざまな筆記用具で自由に書かれてい る。台紙の色も、パステルカラーの水色やたまご色など多彩だ。少し崩れた数字もあるが、 それが逆にアート性を感じさせる。 サイズはB3判。1000円で販売している。購入者からは「いろんな文字が出てくる のがおもしろい」と好評で、すでに約700部が売れ、現在も販売中。 金武さんは「重度の知的障害者でも、文字なら書くことができる人もいて、商品作りに 参加しやすい」と話す。 金武さんは兵庫県出身。演劇鑑賞が好きで、舞台美術の仕事を夢見て宝塚造形芸術大(現 宝塚大)に入学。芸術センスが評価され、劇団四季(横浜市)に入団した。技術部門でミ ュージカル「キャッツ」の舞台に設置されたごみ風の置物や、「オペラ座の怪人」のファン トム役のマスク、ヒロインをまねた人形など、物語で重要な役割を担う小道具を数多く手 掛けた。 約3年間活躍した後、 「ひと通りの仕事をやりきった」と感じて退団。兵庫県宝塚市に移 住した。美術関係の職を探していたところ、知的障害者に絵を指導するボランティアの募 集を見つけ、応募。知的障害者と交流を深める中で「もっと支援に関わりたい」と思い、 平成12年、西淡路希望の家にボランティアとして参加した。 西淡路希望の家では当時、美術の専門知識がある職員はいなかったため、さっそく絵に 関心のある利用者たちを集めて月3回、美術教室を開いた。 利用者の描いた絵や文字、手作りした織物などを素材に、手鏡とポーチのセットやぬい ぐるみ、髪飾り、バッジなど、アート性の高い商品に仕上げて販売した。次第に口コミな どで人気となり、商品数も10種類以上に増えた。 いまは東淀川区役所で第2、第4金曜の午前11時から販売しているほか、兵庫県と東 京都の雑貨店にも流通している。ただ、まだ府内でも販売店がないため、金武さんは販路 拡大を目指しており、21~23日には東京都内で開かれる作品展に商品の一部を出品す る予定だ。 金武さんは「知的障害者たちが日々の生活で生み出したデザインを、これからも幅広く アレンジして商品化していきたい」と意欲をみせている。 問い合わせは西淡路希望の家(電)06・6323・4991。 障害者の手作り商品紹介 事業所などがカタログ 神戸 神戸新聞 2015 年 2 月 13 日 完成した障害者の手作り商品カタログ=神戸市垂水区日向1、 レバンテ垂水2番館 神戸市垂水区内の障害福祉サービス事業所に通う 障害者の手作り商品を紹介するカタログが、このほ ど完成した。革製品やクッキーなど10事業所の商 品40点以上を紹介する。 カタログづくりは、各事業所や特別支援学校、区 役所などでつくる「垂水区地域自立支援協議会」が 企画。昨年7~12月、地元のデザイン会社と計4 回のワークショップを開き、制作した。 完成したのは、カタログ「たるみっこギフト」の初版1千部。表紙に障害者の描いた絵 を使い、さをり織りのかばんや石けん、みそなど多彩な品を写真で並べた。同協議会の中 川英治さん(37)=明石市=は「販売数が増えることで、障害者の工賃向上につながれ ば」と期待する。 神戸光生園(同区南多聞台8)でさをり織りに取り組むダウン症の男性(30)は「自 分の生地を使った商品が売れるとうれしい。たくさんの人にカタログを見てほしい」と話 している。 JR垂水駅北のレバンテ垂水2番館で毎月1回、商品を販売するバザーを開催。今後、 カタログも配布する。次回は3月13日午前10時半~午後1時半。同協議会TEL07 8・704・3340(那谷享平) 来客1万人突破/障害者支援のワゴンセール 四国新聞 2015 年 2 月 14 日 坂出市役所の玄関ロビーで、障害者が手作りした商品を自ら販売す る「ヨロコビ・ワゴンセール」の来客者数が13日、1万人を突破し た。綾市長らは、節目の来客者となった香川県坂出市林田町の奈良京 子さん(67)に記念品を贈った。 障害者の就労支援や賃金アップを目的としたワゴンセールは、県社 会就労センター協議会の運営で2013年4月にスタート。現在は、 同協議会加盟の12施設の利用者が週3回(月・水・金)店頭に立ち、 手作りの弁当やパン、雑貨など約200種類の商品を販売している。 この日、市役所で1万人突破を祝うセレモニーがあり、綾市長は「市 役所での就労支援事業も定着してきた。これからも買い物を楽しんでく ださい」とあいさつ。孫が大好きなクッキーを購入したという奈良さん は「日ごろから利用しているが、1万人目に選ばれてびっくり」と話し ていた。 月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も 大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
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