日本消化器外科学会 - My Schedule

日本消化器外科学会 第 67 回日本消化器外科学会総会【2012 年 7 月】
1
要望演題 2 : NOTES
司会:中島 清一(大阪大学大学院消化器外科学)
日時:2012年7月18日(水)9:30∼10:30
会場:第3会場(富山国際会議場2F 203)
RS-2-1 大腸癌に対する経肛門標本摘出・機能的端々吻合による完全腹
腔鏡下手術
RS-2-2 Transvaginal NOTES Partial Liver Resection in porcine
model
富沢 直樹:1 小川 哲史:1 安東 立正:1 荒川 和久:1 長谷川 智行:1 小
林 克己:1 須藤 雄仁:1 五十嵐 隆道:1 須納瀬 豊:2 竹吉 泉:2 1:前橋赤十字病院消化器病センター 2:群馬大学大学院臓器病態外科学
片桐 敏雄:1,2 道躰 隆行:2 合川 公康:2 Horgan Santiago:2 金子 弘
真:1 1:東邦大学医療センター大森病院消化器外科 2:University of California, San Diego
緒言:大腸癌手術のほとんどの手技は腹腔鏡下で可能となったが, 標本の摘出に体壁の破
Introduction: Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery (NOTES) is an
evolving field of minimally invasive surgery. Laparoscopic liver resection is getting common procedure now, however NOTES liver resection is still challenging
field. This presentation demonstrates NOTES partial liver resection in porcine
model.Methods: We performed hybrid transvaginal NOTES liver resection in four
porcines. A dual lumen 15mm transvaginal trocar was placed under laparoscopic
direct vision. The flexible endoscope and a long flexible grasper were placed via
the vaginal trocar. Using long flexible grasper, the gallbladder was retracted and
provided stable retraction via the vaginal trocar. The laparoscopic flexible linear
staplers were inserted through the umbilical trocar under the vision of flexible endoscope. The edge of liver was partially transected with the flexible linear stapler.
An endobag was inserted through the vaginal trocar. The specimen was placed into
the endobag through the vaginal trocar. Results: The hybrid transvaginal NOTES
partial liver resection was successfully performed in all poricine models. The liver
resected line were fine and there were no bleeding and bile leak after resection in
each cases. The specimens were easy to take out from vaginal trocar.The average of
specimens were 5.4 × 3.6cm.Conclusion: The hybrid transvaginal NOTES partial
liver resection was feasible and safe. Further data will be needed to determine the
true safety and efficacy of clinical NOTES liver resection.
壊を必要とすることが多い. 当院は標本の摘出を経肛門的に行い, 吻合を腹腔鏡下の機
能的端々吻合にすることで小開腹を省略する術式を行っているので報告する. 対象と方
法:対象は腫瘍の存在する腸管が郭清された腸間膜とともにその肛門側の腸管を通過可
能で, なおかつ腹腔鏡下の機能的端々吻合が可能な症例である. 現時点では標本の摘出
が簡単にできる上部直腸,S 状結腸の症例に行っている. ただし術中内視鏡等で安全に標
本の摘出が可能と判断されれば, 理論上は全大腸の病変が対象となる. 内視鏡による術
中腸管洗浄を行うため播種・感染の危険は少ないと考えているが, 現在は腫瘍は奨膜浸
潤のないリンパ節転移のないものを対象としている. 好適応は小腫瘍,LST, 内視鏡切除
後の追加切除等である. 肥満症例や肛門側腸管の細い症例は手技的な問題から非適応
である. 手技:機能的端々吻合を行うため腸管血流には十分留意し郭清を行い, 口側腸管
を自動縫合器で切離する. その前に口側吻合予定部の腸管まで内視鏡を進め water jet
機能で洗浄し, 十分内容を吸引し腸管内を空虚にしておく. 肛門側腸管を切離した後,
さらに肛門側の洗浄を追加する. 肛門側腸管のステイプラー部のみは implantation の
リスクが残るので切除し, 解放された腸管経由で標本を内視鏡等を用いて摘出する. 肛
門側腸管を吻合する際の縫合器の挿入口を残して縫合器で半閉鎖する. 口側腸管に小
孔を開け, 腸間膜対側を縫合器で吻合を行い, 挿入口を縫合器で内視鏡で切離線の正当
性を確認した後閉鎖する. 結語:大腸癌に対する経肛門標本摘出・機能的端々吻合によ
る完全腹腔鏡下手術を経験した. 本法は自動吻合器を使用しないため,Anvil head 挿入
の必要がなく定形化が比較的容易である.NOTES への bridging technique としての
NOSE(Natural orifice specimen extraction) の一つと思われ, 手技を中心に報告する.
RS-2-3 経腟腹腔鏡を用いた hybrid NOTES による大腸切除術
RS-2-4 剛性デバイスを用いた hybrid NOTES の臨床応用
蛭川 浩史:1 小林 隆:1 佐藤 洋樹:1 河合 幸史:1 多田 哲也:1 1:立川綜合病院外科
和田 則仁:1 田邉 稔:1 片岡 史夫:2 北川 雄光:1 1:慶應義塾大学一般・消化器外科 2:慶應義塾大学産婦人科
経腟腹腔鏡を用いた hybrid NOTES による大腸切除術を経験した.症例は 87 歳,女
背景:Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery (NOTES) は究極の低侵襲
性.便通異常と血便に対する精査で上行結腸の 2 型進行癌を指摘された.当院の倫理
手術として期待されるが,技術的・制度的制約により臨床応用は進んでいない.我々は
委員会の承認を受け,かつ慎重なインフォームドコンセントを行い患者と家族の同意を
近年欧州で普及している剛性デバイスのみで行う hybrid NOTES を 2 例行い良好な
得たうえで手術を行った.【方法】臍に開腹法で 12mm のトロッカーを,左上腹部に
結果を得たので報告する.対象と方法:虫垂切除例は 50 代の女性,主訴は右下腹部痛.
5mm のトロッカーを挿入した.5mm フレキシブルカメラを用い,鏡視下に骨盤内の
当院倫理委員会および NOTES 研究会の審査を受けたプロトコールに従いを IC 取得
腸管を圧排し,かつ恥骨上部から刺入したミニループリトラクターで子宮を牽引しダ
した.臍の尾側半分を 2cm 切開し open 法により開腹し 5mm の第 1 トロッカーを
グラス窩の視野を確保した.婦人科医師が経腟的に径 12mm,長さ 150mm のトロッ
留置し,臍内右下方に 2.3mm のポートを留置した.腹腔鏡下に観察しながら後腟円蓋
カーを挿入した.腹腔鏡は経腟トロッカーから挿入した.臍と左上腹部の 5mm のト
に 12mm のトロッカーを留置した.2.3mm の鉗子で虫垂を挙上し経腟的に虫垂間膜
ロッカーからの鉗子操作を行い,D3 リンパ節郭清を伴う結腸右半切除術を行った.臍
をベッセルシーリングシステムで処理し,虫垂根部をリニアーステープラーで切離し
の 12mm トロッカーからのステープラーにて鏡視下に機能的端々吻合を行った.切除
た.パウチに虫垂を回収し腟から摘出し,腟部創は直視下に縫合閉鎖した.胆嚢摘出術
標本は標本バックに回収し経腟的に摘出した.腸間膜の閉鎖は吻合部に緊張がかかるた
例は 60 代女性,婦人科にて腟式卵巣嚢腫摘出術を施行した後,胆石症に対し胆嚢摘出
め行わなかった.標本の摘出と膣切開創の縫合閉鎖は婦人科医師が経腟的に行った.術
術を施行した.臍部および後腟円蓋に 5mm のポートを 2 本ずつ留置した.経腟ポー
後合併症はなく第 6 病日に退院した.【結語】当科の方法では,経腟的に挿入した腹腔
トから腹腔鏡および胆嚢挙上用鉗子を挿入し,術者は臍部ポートより単孔式腹腔鏡下胆
鏡の視野は通常の腹腔鏡下手術と変わらず,かつ手術操作は充分に離れた 2 本の鉗子
嚢摘出術の手技で胆嚢を切除し,胆嚢は経腟的に摘出した.結果:2 例とも保険適応の
による手術となり,単孔式手術より安全で容易と考えられた.単孔式内視鏡手術などの
ある剛性の内視鏡外科用器具のみで実施可能で,短期的合併症は認めなかった.胆嚢摘
Reduced port surgery で,腹壁の創を最小限にしても摘出する標本が大きい場合は創
出術では腟から胆嚢までの距離が長く手技的に困難であった.一方虫垂切除では既存の
が大きくなってしまう.経腟的に標本を摘出する事は,腹腔内感染や癌の散布の有無な
器具でも術野へのアプローチや triangulation が容易であった.創は臍部に完全に隠れ
ど検討すべき項目はあるものの低侵襲性,整容性に優れた有用な方法で,今後検討され
変形も認めなかった.虫垂切除例では硬膜外麻酔および鎮痛剤を必要としなかった.考
るべき方法と考える.
察:本手技でより確実に胆摘を実施するためには長尺・屈曲の器具が必要であると考え
られた.本術式は臍部の整容性と疼痛の軽減に関して単孔式内視鏡手術に優る有用性が
期待された.今後,症例集積により安全性と有効性の評価を進める必要があると考えら
れた.
第67回 日本消化器外科学会総会
日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
日本消化器外科学会 第 67 回日本消化器外科学会総会【2012 年 7 月】
2
RS-2-5 NOTES における新しい誘導システムの開発
仲 成幸:1 村山 浩之:1 村上 耕一郎:1 塩見 尚礼:1 来見 良誠:1 ハッ
ク ハスナイン:3 森川 茂廣:2 谷 徹:1 1:滋賀医科大学消化器外科 2:滋賀医科大学 MR 医学総合研究センター 3:GE ヘル
スケア
【はじめに】NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery) が新たな
低侵襲手術手技として期待されている.しかし,NOSCAR による White Paper には
いくつかの問題点が指摘されている.とりわけ空間における内視鏡位置の把握(spatial
orientation)はファイバースコープを日常に用いない外科医にとって困難な場合があ
る.そこで,我々は MRI(磁気共鳴画像装置)を用い,磁場を利用した位置センサー
および MR 断層画像により内視鏡のナビゲーションを行い,NOTES 手技を行うシス
テムを開発してきた.今回さらに,内視鏡画像内に内視鏡の位置・姿勢,腫瘍などの
ターゲットを重畳表示し,外科医が容易に治療を行うことが可能な内視鏡誘導システム
を開発した.【方法】独自開発の MRI 対応ファイバースコープを用いた.クローズド
ボア(通常型)1.5TMRI 内で,30kg のブタを全身麻酔下に気腹し,臍部にポートを
置き,ファイバースコープを挿入する.ブタの肝臓内にターゲットとして仮想腫瘍を設
定した.内視鏡先端部に内蔵している位置センサにより内視鏡先端部の 6 自由度の位
置・方向のデータを取得する.これらのデータにより,内視鏡画像上に内視鏡の位置・
方向,腫瘍までの距離などを表示し,さらにリアルタイム MR 断層画像も表示し,内
視鏡を誘導する.ブタ肝臓内の仮想ターゲットをマイクロ波手術デバイスにより処置す
る.【結果】内視鏡誘導ステムにより,ファイバースコープを体腔内にて自由に誘導・
操作することが可能であり,ブタ肝臓内の仮想ターゲットを,鉗子孔より挿入したマイ
クロ波手術デバイスにより処置することに成功した.【まとめ】一般に診断用として普
及しているクローズドボアタイプの MR 装置において,位置センサと画像を組み合わ
せた内視鏡誘導システムにより NOTES 手技が施行可能であった.
第67回 日本消化器外科学会総会
日本消化器外科学会
The Japanese Society of Gastroenterological Surgery