工業熱力学演習問題

工業熱力学演習問題
平成 26 年 1 月 22 日
各問題は 10 点。
【問題 1】
直径 30.0 cm 一定のパイプの中を毎秒 1.59 kg の気体が等温で流れている。パイプ
◦
の入口で、圧力 110kPa, 温度 42.1 C, 速度 18.0m/s であり、出口で 107kPa である。
この気体はパイプの中で仕事のロスはないものとすると、一秒間にどのくらいの熱を
受け取ったか。気体の比熱を cp =1.02kJ/kgK ガス定数を 278J/kgK として求めよ。
【問題 2】
◦
容器内にある温度 30.0 C, 圧力 250kPa の空気 (cp = 1.02kJ/kgK, R = 287J/kgK)
◦
を小さな穴を通過している。出口温度が 18.0 C であるとき、入口の流速をないもの
とし、流れは定常で損失のないものとして、出口速度は何 m/s となるか。
【問題 3】
◦
温度 16.9 C、圧力 320kPa の空気がノズルを通して、速度 270 m/s で噴出している
◦
時、出口の温度は何 C か。ノズルに流入速度はゼロとし、空気は理想気体とし、その
比熱とガス定数はそれぞれ cp = 1.02kJ/kgK, R = 292J/kgK である。ノズル流れで
は熱の授受はなく、仕事も取り出さない。さらに渦や摩擦などの損失は無視できるも
のとする。
【問題 4】
直径 50.0mm の円管から密度 1.20kg/m3 の気体が流速 40.0m/s で噴出している。こ
の時の気体の噴出エネルギ W と噴出力 N を求めよ。問題は高等学校の物理のレベ
ルである。
【問題 5】
◦
壁に重さ 50.0g の球が毎秒 100 個ぶつかっている。この球は速度 10.0m/s,角度 45.0
で衝突し,反対側に同じ速度で跳ね返る。このとき壁に垂直に働く力を計算せよ。
【問題 6】
◦
のど部の直径が 10.0mm である理想先細ノズルに圧力 0.580MPa,60.0 C の空気を流し
た.出口圧力を変化させていったとき,出口の速度が音速となった.この時のノズルを
通過する流量 kg/s を求めよ.ただし、空気の性質は (cp =1.021kJ/kgK,R=287J/kgK)
とする。
【問題 7】
◦
飛行するジェット機が高度 4.00km(気温 -11.0 C,気圧 89.0kPa) を飛行するとき,先
◦
端の淀み点温度が 80.0 C であった。このジェット機の速度 km/h を求めよ。ただし,
定圧比熱 cp =992J/kgK, 比熱比 κ =1.38 とする.
【問題 8】
直径 300 mm の円管内を、気体が平均流速 2.50 m/s で流れている。一秒間に管を流
れる気体の体積 L/s を求めよ (単位を守ること)。また、この気体の密度が 1.13 kg/m3
のとき、一秒間に管を流れる気体の質量 を求めよ。
【問題 9】
◦
圧力 0.160 MPa で温度、240 C の空気タンクから出口直径 5.00mm の損失のないノ
ズルを通して、圧力 120 kPa の外部に高速に (可逆断熱変化して) 空気が噴出してい
る。毎秒の質量流量 kg/s を求めよ。ただし、ノズルに流入速度はゼロとし、空気は
理想気体とし、その比熱とガス定数はそれぞれ cp = 1.02kJ/kgK, R = 287J/kgK で
ある。
【問題 10】
◦
周囲が圧力 101kPa, 温度 17.0 C、の空気中に浮かんでいる熱気球がある。この気球
◦
内の平均温度は 118 C とした時気球部の体積 870m3 であるとき、気球の上昇力を求
めよ。ただし、この気体のガス定数は R = 287J/kgK である。
【問題 11】
◦
大気温度が 20.0 C,大気圧 101kPa であるとき 重さ 110kg,体積 1.20km3 の熱気球
◦
を温め、温度を 280 C にあげたときの,正味の上昇力 N を求めよ.ただし,ガス定
数は 287J/kgK とする.正味の上昇力とは、実際の浮力から気球の重さを減じたもの
である。
【問題 12】
◦
◦
1気圧 30.0 C(飽和蒸気圧 31.8mmHg),相対湿度 80.0%の空気を 24.0 C(飽和蒸気圧
22.4mmHg) まで冷却したところ、除湿された。除湿量を求めよ。また、冷却に要し
た熱量は幾らか
【問題 13】
◦
温度 26.0 C,相対湿度 85.0% の湿り空気で,除湿器で乾き空気 1kg’ あたり水を 5.00g
取り除いている.この除湿後の気温は除湿前に等しいとして、除湿後の相対湿度%を
求めよ.
【問題 14】
◦
大気圧 Patm の下で初めの温度 T1 C、相対湿度 φ1 の湿り空気を冷却調湿したら、温
◦
度 T2 C、相対湿度 φ2 となった。乾き空気 1kg ’あたり調湿で脱水した水量はいくら
か。計算方法を記述せよ。
【問題 15】
◦
1気圧 30.0 C(飽和蒸気圧 31.8 mmHg) で、相対湿度 65.0% の湿り空気の絶対湿度
g/kg’ を求めよ。
【問題 16】
◦
◦
電気ヒーターで温度 12.0 C 相対湿度 85.0% の湿り空気の温度が温度 24.0 C に暖まっ
た。空気の圧力は 101kPa であり、この間、水添加がないものとして、加熱後の空気
の相対湿度を求めよ。
【問題 17】
◦
大気圧が 101kPa で温度 35.0 C, 相対湿度 60.0%の湿り空気 (飽和蒸気圧 5.62kPa) を
露点温度まで冷却した。この温度を求めよ。
【問題 18】
◦
1気圧で温度 35.0 C, 相対湿度 60.0%の湿り空気 (飽和蒸気圧 42.2mmHg) の露点温
度を答えよ。
【問題 19】
◦
アンモニア (NH4 ) を冷媒として用いているサイクルで、10.0 C の飽和蒸気を 2.00MPa
まで圧縮した。この時、圧縮後の温度、比エンタルピを巻末のアンモニア (NH4 ) 蒸
気線図から読み出せ。
【問題 20】
◦
温度 250 C、圧力 100kPa の過熱蒸気のエンタルピ、比容積、比エントロピを教科書
の表からページ数や何行目というように読み取る方法を文章で記述して読み取りなさ
い。どれがエンタルピなどわかるように書くこと。
【問題 21】
◦
圧力 2.50MPa,温度 500 C の過熱蒸気 (エンタルピは 3.46MJ/kg, エントロピは
7.32kJ/kgK) を 10.0kPa まで可逆断熱膨張させた。この膨張後の蒸気の乾き度 x を
求めよ。
【問題 22】
◦
◦
圧力 2.00MPa,温度 450 C の過熱蒸気がタービン内部で復水器で温度 34.0 C まで膨
張する。この時の断熱熱落差を求めよ。
【問題 23】
◦
温度 80.0 C で、乾き度 0.800 の蒸気がある。この蒸気 1kg 当りの容積とエンタルピ
を求めよ。
【問題 24】
放射性物質のヨウ素 131 は 8 日の半減期がある。この物質の放射線量が現在、6000
ベクレル (Bq) であった。この放射線量が 1000Bq になるまでの時間は何時間である
か。半減期とはある変化をするときに初期値のちょうど 1/2 になる時間をいう.
ある経過時間 t の放射線量は,初期値を N0 、半減期 τ として下の式である.
N = N0 e− τ
t
【問題 25】
厚さ 150mm の耐火物 (熱伝導率 0.800W/mK) でできた壁のの表面と裏面の温度を
◦
◦
測ったところ表面は 200 C であり、裏面温度は 40.0 C があった。このとき,壁 1m2
の表面から逃げてゆく熱量 W を求めよ。
【問題 26】
A
A,B 同じ厚さ ℓ の二枚の板を貼りあわせて遮熱板を作った。
A の熱伝導率 λ は、1.25W/mK である。定常状態で A の
◦
板の外側の温度 TA が 140 C で、B の板の外側の温度 TB
◦
が 55.0 C のとき、A と B の貼りあわせた間の温度 Tm が
◦
85.0 C であった。B の板の熱伝導率を計算せよ。
B
TA
Tm
λA
TB
λB
【問題 27】
ステンレス板の熱伝導率は、24.0W/mK である.最も大きな熱伝導率を持つ物質は
銀で 418W/mK である.この2つの材料の厚さ 12.0 mm の板があり、板の表から裏
に同じ熱流束 2.50kW/m2 が流れているとき、この2つの板の表裏の温度差を求めよ。
【問題 28】
◦
熱容量 C =120J/K で表面積 A =0.0850m2 の温度 T1 =120 C の金属塊を,温度
◦
Ta =15.0 C の空気が流れている。金属面と空気との熱伝達率は h =6.45W/m2 K とす
◦
るとき、金属塊から放熱し温度が変わる。金属塊の温度が T2 =40.0 C になるまでの
時間を求めよ。
【問題 29】
同じ厚さ 150mm で2つの板がある。1つは熱伝導率の大きな板 A、もう1つは熱
伝導率の小さな板 B である。この板を同じだけの熱が流れているとき、板の裏表の
温度の差はどちらが大きいか。理由を沿えて答よ。理由のない場合には採点しない。
【問題 30】
厚さ 7.00mm,熱伝導率 35.0W/mK の板を用いた燃焼ガスと水との熱交換器がある.
◦
◦
ガスの温度が 1.05k C,水の温度が 150 C であり,ガス側の熱伝達率を 300W/m2 K,
水側を 6.00kW/m2 K とするとき,伝熱面積 1m2 あたりの伝熱量 W/m2 と板の両表
面温度を求めよ.
工業熱力学演習問題解説
平成 26 年 1 月 22 日
【解説 1】
問題から、
1
Q̇
1
h1 + w12 +
= h2 + w22
2
ṁ
2
である。等温であるので h1 = h2 である。つまり、cp は使わない。出口の速度はパ
ρ1
イプの直径は一定であるので、ṁ = ρ1 w1 S = ρ2 w2 S という関係から、w2 = w1
=
ρ2
P1 RT2
w1
である。これを上の式に代入して、
RT1 P2
)
1
1 (
Q̇ = ṁ w22 − w12 = ṁw12
2
2
{(
w2
w1
)2
}
−1
1
= ṁw12
2
{(
P1
P2
)2
}
−1
熱量は、14.7W.
【解説 2】
定常流れのエネルギーバランスで考える。容器内の気体の流速は w1 = 0 である。
1
1
h1 + w12 = h2 + w22 、この式から出口を求める。
2
2
√
w2 =
2(h1 − h2 ) =
√
2cp (T1 − T2 )
この式から計算する。
流出速度は 156m/s である。
【解説 3】
流れのエネルギーバランスで考える。容器内の気体の流速は w1 = 0 である。また、
1
与えられ熱はないので、h1 = h2 + w22 である。理想気体であるので、エンタルピ
2
dh = cp dT である。温度差はエンタルピ差 (熱落差) であるので、
T2 = T1 −
1 2
w
2cp 2
で求められる。
◦
出口温度は-18.9 C
【解説 4】
πD2
であ
与えられた数値から噴出する気体の質量 ṁkg/s を最初に求める。ṁ = vρ
4
1
る。すると,エネルギー E は,E = ṁv 2 であり,運動量 M は M = ṁv であり,
2
これを計算すれば良い。式の形とちがって,エネルギー E は,v 3 に,運動量 M は
v 2 に比例する。単位に注意しなければならない。エネルギー E は,[kg/s m2 /s2 =
Nm/s = W] であり,運動量 M は [kg/s m/s = N] となる。
噴出エネルギ 75.4W,噴出力 3.77N
【解説 5】
1つの球は衝突運動量 M = mv である。この式の v は壁に垂直な成分であるので,
v = V cos θ である。跳ね返っていく運動量の衝突する運動量に等しいので,壁は,
2M の運動量を球に与えることになる。一秒間の衝突個数を n として,すべてをまと
めると,Mt = nmv cos θ となる。これも単位に注意しなければならない。なぜ,答
が N であるかは自分で考えること。
壁にかかる力 70.7N
【解説 6】
√
√
√
音速は出口で, κRT2 であるので,w2 = 2cp (T1 − T2 ) = κRT2 これより,
2cp
T2
T2 =
T1 であり,圧力は P2 = P1 ( )cp /R 流量は
κR + 2cp
T1
√
Sw2 P2
πD2 P2 κ
√
m=
=
RT2
4 RT2
通過流量 101g/s
【解説 7】
淀み点でのエネルギーバランスは h1 +
度は,
1 2
w = h2 である。これより,淀み点の温
2
T2 = T1 +
w2
2cp
√
であるので、これから w を求めると、w =
2cp (T2 − T1 ) とできる。
速度 425m/s で、1.53km/h
【解説 8】
管を流れる質量流量は体積流量を V̇ 、管断面積を S 、気体密度を ρ、流速を w とす
ると、
πD2
w
ṁ = ρV̇ = ρSw = ρ
4
この式に値を代入して計算する。
体積流量 V̇ = 0.177m3 /s = 177 L/s,
質量流量 0.200kg/s
【解説 9】
教科書に書いてある長い式を覚えるのもいいが、元のエネルギバランス式から解く
ほうが理解しやすい。毎秒の噴出量は、ノズルの出口で、ṁ = ρ2 w2 A で計算できる。
P2
この式の密度 ρ2 は気体の状態方程式 ρ2 =
である。さらに出口速度はエネルギー
RT2
バランス式から求める。仕事も加熱もなく、入口速度が無視できるので、エネルギバ
ランス式は、
1
h1 = h2 + w22
2
√
である。これから w2 =
2(h1 − h2 ) =
√
2cp (T1 − T2 ) となる。この式は出口温度
(
)
P2 R/cp
T2 が分れば全部解ける。出口温度は変化が可逆変化であるので、T2 = T1
P1
という断熱の関係式を使えば良い。これを計算すると
T2 =473 K、代入して、w2 =
√
2 × 1020(513.15 − 473) = 285.302258425523、この 2 つを用いて、ṁ = ρ2 w2 A2 =
P2
w2 A2 を計算すれば良い。途中計算では有効数字は要求されない。途中計算で四
RT2
捨五入して丸めるとどんどん誤差になり、この問題のように答えが異なる場合も出て
くるので 途中計算では決して丸めない。
ガスの流量は 4.95 g/s;
【解説 10】
浮力は、物体が占める体積での周囲の流体の重量であるので、周囲圧力、温度を P0 、
P 0 V0
g であり、気球に詰まっている気
T0 という状態とすると上昇力は Fup = mg =
RT0
体の重量は、Fdown = m0 g であるので、トータルで F = (m − m0 )g で計算できる。
上昇力は 2.68k N
【解説 11】
全体の上昇力 F は熱気球の重さ m と上昇力 Fup であるので F = mg + Fup となる.
P0 V 1
1
つまり,上昇力は Fup =
( − )g − mg となる。
R T0 T
気球の上昇力は 5.58kN
【解説 12】
脱水量は、∆x = x1 − x2 である。はじめの絶対湿度 x1 は,
x1 = 0.622
φP s1
= 0.0216 kg/kg’
P − φP s1
冷却後は相対湿度 100%になるので,同じように,x2 を算出する.
x2 = 0.622
P s2
= 0.0189 kg/kg’
P − P s2
である。これから脱水量を,x1 − x2 と求める.冷却に要した熱量は、エンタルピの
計算をして求める。初めのエンタルピは、教科書の式 (10.7) から
h1 = cpa t1 + x1 (cpw t1 + r0 ) = 85.2 kJ/kg’
である。cpa = 1.005kJ/kgK, cpw = 1.865kJ/kgK, r0 = 2501kJ/kg である。終りのエ
ンタルピ h2 =72.1kJ/kg も同じように求める。すると、冷却の熱量は ∆h = h1 − h2 =
13.1kJ/kg’ である。
脱水量 2.69g/kg’, 冷却の熱は 13.1kJ/kg’
【解説 13】
単純な問題。はじめの状態で含まれていた水分 (絶対湿度 x1 ) を少し除湿する (xd ) と
絶対湿度 x2 はどうなるかという問題。つまり、x2 = x1 − xd を計算すればよい。
◦
表より,26.0 C の飽和蒸気圧は 25.2 mmHg である.絶対湿度は,
x1 = 0.622
φ1 P s
= 0.0180
P − φ1 P s
除湿量を xd として、除湿後の絶対湿度は, x2 = x1 − xd kg/kg’ であるので、上の
式と同様に
φ2 P s
x2 = 0.622
= 0.0130
P − φ2 P s
から相対湿度 φ2 を算出すると φ2 =
x2 P
= 0.619 となる。
(0.622 + x2 )P s
相対湿度 61.9%
【解説 14】
初めの絶対湿度を x1 、調湿後の絶対湿度を x2 とすると、脱水量は ∆x = x1 − x2 で
ある。この式を計算すればよい。
x1 = 0.622
φ1 Ps1
,
Patm − φ1 Ps1
x2 = 0.622
φ2 Ps2
Patm − φ2 Ps2
となる。この Ps1 と Ps2 は、湿り空気表の温度 T1 と T2 の飽和水蒸気圧から得る。こ
の値から x1 と x2 を計算し、∆x を計算して答えとする。
【解説 15】
温度 t の最終状態の絶対湿度は,飽和蒸気圧を ψ として
x = 0.622
φPs
kg/kg’
P − φPs
である。P = 760mmHg, Ps = 31.8mmHg を代入して計算するとよい。
絶対湿度 17.4 g/kg’
【解説 16】
変化において絶対湿度は変化しないことに注意する。どのようにして解くかを考え
る。まず、はじめの状態の絶対湿度は大気圧 P = 101kPa として、はじめの温度での
飽和水蒸気圧を求めると湿り空気表から ps1 =188kPa となるので、
x = 0.622
φ1 ps1
= 742 × 10−5 kg = 7.42g
P − φ1 ps1
とある。一方、加熱後の温度では、飽和水蒸気圧は ps2 =399kPa であるので、これを
用いて、上の式の φ について解くと
φ2 =
P
x
0.622 + x ps2
として計算すると求められる。
湿度は 39.9% と乾燥した空気になる。
【解説 17】
露点温度は、相対湿度が 100%になるとき時の温度である。問題で与えられた湿り空
中の絶対湿度 x を求めると。
x = 0.622
φPs
= 0.0214kg/kg’
P0 − φPs
である。この絶対湿度 x は冷却しても変らないので、φ = 1.0 の時の絶対湿度がこの絶対
湿度 x に等しくなるような Ps となるような温度を求めればよい。表から x = 21.4g/kg’
となる温度を探すと答えになる。2つの温度の間にある時には補間する。
◦
温度は 26.1 C となる。
【解説 18】
露点温度は、相対湿度が 100%になるとき時の温度である。問題で与えられた湿り空
気中の絶対湿度 x を求めると。x = 0.622ϕPs /(P0 − ϕPs )=26.1kg/kg’ である。この
露点温度は、巻末の表から求める。
◦
絶対湿度は 21.4g/kg’ で、露点温度 26.1 C
【解説 19】
図を参照
◦
図より圧縮後の温度は 97 C、比エンタルピは 1870kJ/kg。
【解説 20】
巻末の過熱蒸気表を見る。該当する圧力と温度の項をみて、適切な文章を書けばよい。
エンタルピ 2.97kJ/kg、比容積 2.41m3 /kg、エントロピ 8.03kJ/kgK
【解説 21】
可逆断熱変化ではエントロピ変化しないので、s2 = s1 となる。また、10.0kPa のと
きの状態 (h′ ,h′′ , s′ , s′′ ) を圧力基準の表 p.190 より読み出す。湿り蒸気のエントロピ
は s2 = (1 − x)s′ + xs′′ であるので、この式を変形して x を出すと
x=
s2 − s′
7.32 − 0.649
= 0.890
=
s′′ − s′
8.15 − 0.649
で乾き度 x を求めることができる。
蒸気の乾き度 0.890
【解説 22】
◦
圧力 2.00MPa,温度 450 C の過熱蒸気のエンタルピは,h1 =3.36MJ/kg,エントロピ
◦
は s1 = 7.28kJ/kgK である。この蒸気が可逆断熱膨張して,34.0 C になると、s2 = s1
◦
であるから 36 C での飽和蒸気表を用いて,乾き度は
x = (s2 − s′ )/(s” − s′ )
で計算する。計算すると x =0.862 となり、この x を用いて,h2 = (1 − x)h′ + xh”
として、膨張後のエンタルピを求める。
断熱熱落差は 1.13kJ/kg である。
【解説 23】
◦
そのまま飽和蒸気表から,80.0 C での v ′ , v ′′ m3 /kg, h′ , h′′ kJ/kg を読み出し、
v = (1 − x)v ′ + xv ′′ ,
h = (1 − x)h′ + xh′′
で計算すれば良い。
比容積は 2.73m3 /kg, エンタルピは 2.18MJ/kg
【解説 24】
半減期の定義式があるので、与えられた数値を代入するだけの問題となる。題意か
ら N0 = 6000、N = 1000、τ = 8 × 24 であり、これを代入して、t を求める。ここま
で来たら、数値を代入せず式での変形を試みること。
t = −τ ln
N
N0
これに値を代入して,
半減時間 344 時間、すなわち 14 日と 8 時間
【解説 25】
熱移動量 q は,定常では保存されるので等しく次のようになる。厚さ ℓr 、熱伝導率
λ とすると、
t1 − t2
q=λ
ℓ
と求められる。ここで、t1 , t2 はそれぞれ壁の表裏の温度である。これを計算すれば
良い。
熱の移動量 853W/m2
【解説 26】
A,B の板は同じ厚さ ℓ であるので、単位面積あたりの通過熱量 q はそれぞれの板の
外側の温度を TA , TB 、貼りあわせた間の温度を Tm とすると、
q=
λB
λA
(Tm − TA ) =
(TB − Tm )
ℓ
ℓ
である。これより、λB を求めると、
λB = λA
Tm − TA
TB − Tm
である。
B の板の熱伝導率は、2.29W/mK
【解説 27】
熱はフーリエの法則で、板の厚みを D とすると、
q = −k
dT
δT
= −k
dx
D
である。この式に2つの金属の厚みと熱伝導率を入れると、
δT = −
qD
k
となり、これに代入して計算する.
◦
◦
ステンレスの温度差 1.25 C、銀の温度差 0.0718 C
【解説 28】
ニュートンの冷却の法則は、単位表面あたり q = h(T − Ta ) である。金属塊の保有
熱量は CT である。
dT
C
= −Ah(T − Ta )
dt
である。これを解くと,
ln
T − Ta
Ah
=−
t
T1 − Ta
C
であるので、
t=
T1 − Ta
C
ln
Ah
T − Ta
を計算する。
時間は 4.00sec
【解説 29】
熱移動量 q は,フーリエの法則から求められる。熱伝導率 λ、熱移動量 q を用いて、
厚みが ℓ の板では
板 A : q = λA ∆tA /ℓ
板 B : q = λB ∆tB /ℓ
となる。q が同じであるので、λA /λB = ∆tB /∆tA であり、∆tB の方が大きい。
B の方が大きい。
【解説 30】
ガス側の熱伝達率 α1 ,水側 α2 ,板のガス側温度 T1 ,水側
T2 ,板の熱伝導率 λ とする.単位面積あたりの通過熱量 q
はどこでも同じであるので
T1 − T2
板とガス :q = α1 (Tf 1 − T1 ) 板 :q = λ
d
水と板 :q = α2 (T2 − Tf 2 )
Tf 1
となる.3つの式を連立して,
q=
ガス
T1
Tf 1 − Tf 2
d
1
1
+ +
α1 λ α2
水
T2
Tf 2
として求められる。
◦
◦
伝熱量 243kW/m2 とガス側表面温度 239 C, 水側表面温度 191 C