工業熱力学秋期末試験問題

工業熱力学秋期末試験問題
平成 28 年 1 月 28 日 (木)
各問題は 10 点。
【問題 1】
◦
容器内にある温度 30.0 C, 圧力 250kPa の空気 (cp = 1.02kJ/kgK, R = 287J/kgK)
◦
を小さな穴を通過している。出口温度が 18.0 C であるとき、入口の流速は無視でき
るほど小さいものとし、流れは定常で損失のないものとして、出口速度は何 m/s と
なるか。
【問題 2】
質量 4.00ton となるロケットが垂直に地上から打ち上げられる。このロケットは毎
秒 850kg の燃料・酸化剤をロケットに対して毎秒 1750m/s で 20.0 秒間噴出できる。
このロケットが速度 1000m/s に到達した時の推力を求めよ。
【問題 3】
◦
体 積 0.0200m3 の 真 空 の 断 熱 さ れ た 容 器 に 圧 力 1.00MPa, 温 度 127 C の 空 気
(cp =1.02kJ/kgK, R =287J/kgK) が流入して圧力 1.00MPa となった。この気体の
流入した容器内の温度を求めよ。
【問題 4】
◦
入 口 圧 力 800k MPa,温 度 15.0 C で 無 視 で き る ほ ど 小 さ い 速 度 で 空 気
(cp =1.01kJ/kgK,R=287 J/kgK) を先細ノズルを通して圧力 580k MPa の空間に噴
き出した.先細ノズルの穴の直径を 15.0 mm としたとき,流れが不可逆断熱で空気
1kg あたり,45.0 J/kgK のエントロピが増した.この先細ノズルを流れる空気量 g/s
を求めよ.
2cv
)cp /R 以下では出口で音速であり,出
2cp − R
T2
P2
口圧力は P c 一定である.エントロピの変化の式は ∆S = m{cp log( ) − R log( )}.)
T1
P1
( ヒント:先細ノズルでは臨界圧力比 P c = P1 (
【問題 5】
◦
飛行するジェット機が高度 4.00km(気温 -11.0 C,気圧 89.0kPa) を飛行するとき,先
◦
端の淀み点温度が 80.0 C であった。このジェット機の速度 km/h を求めよ。ただし,
定圧比熱 cp =992J/kgK, 比熱比 κ =1.38 とする.
【問題 6】
質量 24.0kg, 体積未知の物体がある。この物体を密度未知のの液体 A に沈めたとこ
ろ、重さが 22.5kg になった。また、この物体を密度 1150kg/m3 の液体 B に沈めたと
ころ、重さが 22.3kg になった。この物体の体積 V と、液体 A の密度 ρA を求めよ。
【問題 7】
◦
温度 28.0 C(飽和蒸気圧 28.4mmHg),相対湿度 30.0%の湿り空気に対して,一定の
温度で乾き空気 1.00kg あたり,水を 8.00g 添加している.この湿り空気の相対湿度を
求めよ。ただし,大気圧は 760mmHg とする.
【問題 8】
◦
1気圧 28.0 C(飽和蒸気圧 28.4mmHg),相対湿度 75.0%の空気を 3.00 気圧まで等温
◦
で圧縮して脱水し,20.0 C(飽和蒸気圧 17.5mmHg),1.00 気圧に戻した.このときの
相対湿度%と脱水量 kg/kg’ を求めよ.
【問題 9】
◦
1気圧 30.0 C で、相対湿度 64.0% の湿り空気の絶対湿度 g/kg’ を求めよ。また、付
録の図より露点温度を求めよ。
【問題 10】
3.00MPa の湿り蒸気で、エンタルピが 2.66MJ/kg であるとき、この蒸気の比容積 v
とエントロピ s を求めよ。ただし、3.00MPa の湿り蒸気の値は
温度
◦
tC
圧力
P MPa
234
3.00
比容積 m3 /kg
v′
v ′′
0.0012
0.0667
エンタルピ kJ/kg
h′
h′′
エントロピ kJ/kgK
s′
s′′
1008.9
2.65
2802.6
6.18
【問題 11】
◦
真空の 1.00ℓ の容器に水を 4.00g 入れて,加熱した.何 C で飽和蒸気だけになるか。
【問題 12】
ステンレス板の熱伝導率は、24.0W/mK である.最も大きな熱伝導率を持つ物質は
銀で 418W/mK である.この2つの材料の厚さ 12.0 mm の板があり、板の表から裏
に同じ熱流束 2.50kW/m2 が流れているとき、この2つの板の表裏の温度差を求めよ。
【問題 13】
◦
内面が 110 C の加熱された直径 20.0mm の管内を流速 2.00m/s で水が流れている.
◦
◦
水の入口温度を 10.0 C として,出口を 90.0 C にしたい.水と管との間の熱伝達率 h
は,流速 v m/s,直径 D m の関数として,
h = 870v 0.800 D−0.200
W/m2 K
で表される.管の長さはいくらにすればよいか.ただし,水の比熱は 4.18kJ/kgK,比
重量は 992kg/m3 である.
【問題 14】
◦
幅と長さがそれぞれ 1m の板の表面が 500 C から放射される熱エネルギー (射出能)W
を求めよ。板の表面の放射率は 0.800 とする。ただし、ステファンボルツマン定数は
5.67×10−8 W/(m2 K4 ) である。
【問題 15】
密度 1.22kg/m3 の気体が流速 340m/s で噴出している。この運動エネルギーは、温
度差何度に相当するか。ただし、比熱は cp = 1.02kJ/kgK とする。
【問題 16】
◦
ある軸流送風機で毎秒 0.800kg の空気を送風している.送風機入口で空気は 15.0 C,
速度は 0.800 m/s であり,出口で温度が 0.0100K 増え,速度 16.0 m/s であった.こ
の送風機からの熱損失は無視でき,出入口の圧力差は無視できるほど小さく送風機動
力を求めよ.ただし,空気は cp =1.00kJ/kgK, R=287J/kgK 一定とする.
【問題 17】
入口の直径は 20.0mm で、出口の直径は 36.0mm の断面が変化するパイプがある。
このパイプの入口の流速は、4.60m/s であった。定常流れで出入口の温度と圧力が同
じであるとすると、出口での流速はいくらか
【問題 18】
直径 314 mm の円管内を、気体が平均流速 2.50 m/s で流れている。一秒間に管を流
れる気体の体積 L/s を求めよ (単位を守ること)。また、この気体の密度が 1.13 kg/m3
のとき、一秒間に管を流れる気体の質量 を求めよ。
【問題 19】
◦
◦
気温 10.0 C,気圧 101kPa のときボイラからきた温度 240 C の燃焼ガスが高さ 45.0m
の煙突から排出されている。煙突内のわずかな圧力変化と温度変化を無視できるもの
として煙突の通風力は何 Pa か。ただし,煙突上端の圧力は気圧に等しく,燃焼ガス,
空気のガス定数はそれぞれ 289,287J/kgK とする.
【問題 20】
水蒸気についての次の問題を解け.
(a) 蒸気とは何かを記せ.空気の酸素や窒素と何が異なるか?.キーワードで採点する.
(b) 真空の容器に,液体の水を入れたところ,容器の底には蒸発していない水が確認で
きた.蒸発した水を○○○蒸気という.○○○蒸気か
【問題 21】
◦
真空にした体積 5.00L の容器に水を入れて全体を 35.0 C にしたところ,液体のまま
で残った水の体積が,75.0mL あった.入れた水の質量は何 g か
【問題 22】
◦
圧力 2.00MPa,温度 400 C の過熱蒸気のエンタルピ h、比容積 v 、エントロピ s を
巻末の水蒸気の h-s 線図を用いて求める方法を示し、その値を単位と有効数字に気を
つけて書け。表から求めよ。
【問題 23】
理論熱効率 η の理想ランキンサイクルで,復水器の圧力 p3 Pa,タービン出口の乾
き度 x である時の膨張前の蒸気の圧力 p2 と温度 T2 を飽和水蒸気表と過熱蒸気表を
用いて、求める方法を書きなさい。ただし,ポンプ仕事は無視するものとする。
【問題 24】
◦
温度 6.00 C,相対湿度 90.0%の湿り空気がある。この湿り空気1分間あたり 20.0kg
◦
取り込んでヒータで暖めて温度 26.0 C の室内に送り込んでいる。この暖めた空気の
湿度を 65.0% にするには毎分、どのくらいの水をこの空気に蒸気として入れなけれ
ばならないか。ただし、この蒸気の温度は空気と同じとする。
【問題 25】
◦
1.00 気圧で温度 35.0 C のおける絶対湿度 5.21g/kg’ の湿り空気 (飽和蒸気圧 5.62kPa)
の相対湿度を答えよ。
【問題 26】
◦
1気圧, 温度 28.0 C(飽和蒸気圧 3.78kPa),相対湿度 75.0%の空気を 1.80 気圧まで等
温で圧縮して脱水したときの脱水量 kg/kg’ を求めよ.
【問題 27】
◦
温度 32.0 C,相対湿度 70.0%の湿り空気がある。この湿り空気を除湿器にいれたと
◦
ころ、乾き空気 20.0kg’ あたり、除湿器で 150g の除湿をして、温度 26.0 C で除湿器
から出てきた。この除湿器から出てくる空気の相対湿度を求めよ。
【問題 28】
次の文章の空欄を埋めよ。
熱は静止した物体内を伝わる。これを a)
といい、熱流束は、 b)
例する。一方、熱は運動する物質とともに移動する。これを c)
束は、 d)
e)
に比
といい、熱流
に比例する。もう一つは、熱が物質の介在なしに伝わる。これを
といい、熱流束は物体の f)
に比例する。
【問題 29】
厚さ 7.00mm,熱伝導率 35.0W/mK の板を用いた燃焼ガスと水との熱交換器がある.
◦
◦
ガスの温度が 1.05k C,水の温度が 150 C であり,ガス側の熱伝達率を 300W/m2 K,
水側を 6.00kW/m2 K とするとき,伝熱面積 1m2 あたりの伝熱量 W/m2 と板の両表
面温度を求めよ.
【問題 30】
高温のガスから熱交換して水を加熱する向流熱交換器がある.高温のガスは 230kg/h
◦
◦
◦
の流量で入口 750 C で熱交換器に流入し,100kg/h の水を 20.0 C から 95.0 C に加熱
する.ガスの定圧比熱を 1.02kJ/kgK,水の比熱を 4.18kJ/kgK とし,この熱交換器
の熱通過率を,45.0kW/m2 K とするとき熱交換器の伝熱面積 m2 を求めよ.
工業熱力学秋期末試験問題解説
平成 28 年 1 月 28 日 (木)
【解説 1】
定常流れのエネルギーバランスで考える。容器内の気体の流速は w1 = 0 である。
1
1
h1 + w12 = h2 + w22 、この式から出口を求める。
2
2
√
w2 =
2(h1 − h2 ) =
√
2cp (T1 − T2 )
この式から計算する。
流出速度は 156m/s である。
【解説 2】
噴射量 ṁ で、噴射速度を u0 として、速度 u で飛行するロケットの推力 F は F =
ṁ(u0 − u) である。
推力は、638kN
【解説 3】
容器において、仕事はなく、熱も外部とのやり取りがない。また、流入速度も考え
ないとする。流入速度は容器外部の気体が圧力によって入り込むものであるので、流
入した気体の体積は容器に等しく、その押し込む仕事は外部の圧力になるから、押込
み仕事 P v になる。つまり、u1 + P1 v1 = h1 = u2 のように流れているときのエネル
ギー h1 と容器内で静止したエネルギ u2 が等しい。よって、cp T1 + u0 = cv T2 + u0 で
あるので、T2 を求めることができる。
◦
温度は、556K or 283 C
【解説 4】
先ず臨界圧力比 P c を求める.
P c = P1 (
2 K/(K−1)
2cv cp /R
)
= P1 (
)
κ+1
cv
先細ノズル内ではこの圧力で音速となり,この圧力以下には下がらないので出口は音
速となっている.そこで,P2 = P c として,エントロピの式より温度を求める.
∆s2 = G{Cp log(
T2
P2
) − R log( )}
T1
P1
この式を変形して,T2 を求めると,
T2 = T1 exp(
∆s2 P2 R/cp
)( )
cp P1
√
これより,出口速度は, w2 =
m = Sw2 /v2 = SP2 w2 /RT2
2cp (T1 − T2 ) 空気の量は,ノズル断面積を S として,
先細ノズルを流れる空気量 205M g/s
【解説 5】
淀み点でのエネルギーバランスは h1 +
度は,
1 2
w = h2 である。これより,淀み点の温
2
T2 = T1 +
w2
2cp
√
であるので、これから w を求めると、w =
2cp (T2 − T1 ) とできる。
速度 425m/s で、1.53Mm/h
【解説 6】
物体の質量を m、体積を V とすると、
FA = (m − ρA V )g
FB = (m − ρB V )g
が成り立つ。この式で、V と ρA を未知数と考えて解けばよい。第 (2) 式から V =
ρA
(mg − FB ) この式で、
(mg − FB )/(ρB g) として、第 (1) に代入すると FA = mg −
ρB
ρA について解くと、
ρA
mg − FA
=
ρB
mg − FB
ρA
=
計算では、FA , FB は kg という力の単位であり、重力加速度が入っているので
ρB
m − FA′
で計算する。
m − FB′
体積は 1.50L、液体 A の密度 1020 kg/m3
【解説 7】
◦
表より,28.0 C の飽和蒸気圧は 28.3mmHg である.絶対湿度は,
x1 = 0.622
ϕPs
= 7.04g/kg’
P0 − ϕPs
加湿後の絶対湿度は, x2 = x1 + mw kg/kg’ であり,同じ温度であるので,
ϕ=
x2 P
Ps = 0.633%
0.622 + x2
相対湿度 63.3%
【解説 8】
はじめの絶対湿度は,
x1 = 0.622
φP s
kg/kg’
P0 − φP s
圧縮後相対湿度 100 する.脱水量は,x1 − x2 となる.再び圧力を下げたときは,最
終圧力 P2 に代えて逆算して,φ を求める.
相対湿度 53.9%と脱水量 10.1g/kg’
【解説 9】
温度 t の最終状態の絶対湿度は,飽和蒸気圧を ψ として
x = 0.622
φPs
kg/kg’
P − φPs
である。P = 760mmHg, Ps = 31.8mmHg を代入して計算するとよい。露点温度は、
この絶対湿度が 100% の時であるので、図より求める。
◦
絶対湿度 17.1 g/kg’、露点温度 22.4 C
【解説 10】
湿り蒸気の乾き度を求める問題である。湿り蒸気のエンタルピは、h = (1−x)h′ +xh′′
である。この式で、x を求める。x = .... と変形する。これを用いて、
v = (1 − x)v ′ + xv ′′ s = (1 − x)s′ + xs′′
比容積は 0.0614m3 /kg、エントロピ 5.90 kJ/kgK
【解説 11】
容器内の比容積は水を mw 、体積を V とすると、v = V /mv である。この値に相当
する数値が v ′′ にある温度を温度基準の飽和蒸気表から求めればよい。
◦
温度は 169 C.
【解説 12】
熱はフーリエの法則で、板の厚みを D とすると、
q = −k
dT
δT
= −k
dx
D
である。この式に2つの金属の厚みと熱伝導率を入れると、
δT = −
qD
k
となり、これに代入して計算する.
◦
◦
ステンレスの温度差 1.25 C、銀の温度差 0.0718 C
【解説 13】
与えられた量 v, D を用いて,熱伝達率 h kW/m2 K を求める。また,水の流量は,
πD2
m=ρ
v
kg/s となる.ある短い距離 δx を通過したときにもらう熱量は,水温
4
を T ,管内面温度を Tw として,πDδxh(Tw −T ) である。一方,この熱をもらうと水の
保有熱は,水の比熱を c として,mcδT 増加する.つまり,GcδT = πDδxh(Tw − T )
となるのでこれを積分して
∫
Tout
Tin
である。解いて,
log
dT
=
Tw − T
∫
ℓ
πD
0
h
dx
mc
h
Tw − Tout
= −πD
ℓ
Tw − Tin
mc
これより,管の長さは
ℓ=−
mc
Tw − Tout
log
πDh
Tw − Tin
m
管の長さ 20.1 m
【解説 14】
教科書の式 Q = AσεT 4 に代入し求める。
放射される熱エネルギー 16.2kW
【解説 15】
運動エネルギーがエンタルピとなると
1
1
h1 + w1 = h2 + w2
2
2
1
1 2
h1 − h2 = w2 である。これから、T1 − T2 =
w である。
2
2cp
温度差 56.5 K に相当
【解説 16】
エネルギバランス式で,
1
Q̇
1
Ẇ
h1 + w12 +
= h2 + w22 +
2
ṁ
2
ṁ
から,外にする仕事 W を求める.題意から W < 0 であることに注意する.また,加
熱・冷却や熱損失がないので,Q̇ = 0 であり,変形には h2 − h1 = cp (T2 − T1 ) を用
いる.
{
)}
1( 2
2
w1 − w2
Ẇ = ṁ cp (T1 − T2 ) +
2
送風機動力は 110W
【解説 17】
定常流れでは流れのどこをとっても質量流量は同じであるので、密度を ρ、断面積を
A、流速を u とすると、入口1と出口2の断面で、ρ1 A1 u1 = ρ2 A2 u2 である。出入口
P
で圧力と温度が同じであると、ρ =
は同じになるので、ρ1 = ρ2 である。また、
RT
2
πd
断面形状は円であるため、A =
である。これを用いて、
4
(
u2 = u1
A1
d1
= u1
A2
d2
)2
となる。これを計算すれば良い
出口流速は 1.42 m/s
【解説 18】
管を流れる質量流量は体積流量を V̇ 、管断面積を S 、気体密度を ρ、流速を w とす
ると、
πD2
w
ṁ = ρV̇ = ρSw = ρ
4
この式に値を代入して計算する。
体積流量 V̇ = 0.194m3 /s = 194 L/s,
質量流量 0.219kg/s
【解説 19】
原点に戻って考えること。通風力は秤の重力の差であるので、煙突と同じ高さの空
P0 Sh
気柱重さは断面積を S, 高さを h とすると ma = ρa Sh =
である。一方、煙突内
Ra Ta
P Sh
(ma − mg )
のガスの重さは mg = ρg Sh =
であるので、通風力 ∆P は
g となる。
Rg T
S
∆P =
(ma − mg )
P0
P
g=(
−
)hg
S
Ra Ta Rg T
となる。問題から煙突の中の圧力 P と大気圧 P0 は等しいとするので上の式は計算で
きる。
煙突の通風力 249Pa
【解説 20】
(a) 蒸気とは 単一物質 の液体が蒸発した気体.蒸発現象を取り扱うため気体とせず蒸気
と区別する.非理想気体
(b) 液体状態の水と共存しているので,飽和蒸気である.
【解説 21】
液体に L,蒸気に S の添字を付ける.全体の体積は V = VL + VS である.題意から
V と VL は与えられているので,簡単に蒸気の占める体積 VS も分かる.与えられた
温度での液相と気相の比容積はそれぞれ,v ′ , v ′′ であるので,質量は
m = mL + mS =
VL V S
VL V − V L
+ ′′ = ′ +
′
v
v
v
v ′′
として求められる.飽和蒸気表 (温度基準) から 35.0 C での状態をみると,v ′ = 10.1 ×
10−3 m3 /kg,v ′′ = 25.2m3 /kg であるので,
◦
m=
0.0750 × 10−3 5.00 × 10−3 − 75.0 × 10−6
VL V − VL
+
=
+
′
′′
v
v
1.01 × 10−3
25.2
水の量は 74.7 g
【解説 22】
◦
圧力 2.00MPa,温度 400 C の点は、右上がりの圧力線と水平に向かう温度線を探し
てその交点で知ることができる。
蒸気のエンタルピは h =3.25MJ/kg,比容積は v =0.151 m3 /kg,
エントロピは,s =7.13kJ/kgK
【解説 23】
復水器入口の湿り蒸気の状態 P2 から飽和蒸気表を用いて、h2 = (1 − x)h′ + xh′′ を
h2 − ηh′
求め、ヒントの式に代入して、膨張前のエンタルピ h1 を求めると、h1 =
=
1−η
3.25kkJ/kg である。また, エントロピ s1 は、理想タービンが可逆断熱変化であるの
で、s1 = s2 = (1 − x)s′ + xs′′ kJ/kgK で求められる。このエンタルピとエントロピを
持つ過熱蒸気の状態を過熱蒸気表か、蒸気線図から求める。この求め方は表からエン
タルピとエントロピの両方が範囲に入るような表の場所を探し、間を補間して求める。
【解説 24】
始めの絶対湿度を x1 、加熱後の絶対湿度を x2 とし、一分間
1気圧
x1
6℃,90%
の乾き空気量を ṁ として、ṁ(x2 − x1 ) が分当りの当りの水
の量になる。しかし、問題は入口空気 1kg 当りの水の量であ
∆x1
るので、水分も含んだ湿り空気の量が ṁa =20.0kg/min を計 蒸発・加湿
算しなければならない。入口では、乾き空気 1kg’ に対して、
湿り空気 (1 + x1 ) kg であるので、ṁa (x2 − x1 )/(1 + x1 ) が
1気圧
26℃,65% x2
答となる。
◦
そこで、6.00 C の加熱前の絶対湿度は,
x1 = 0.622
φPs
= 5.21g/kg’
P0 − φPs
である。そして、暖房後の絶対湿度は,
x2 = 0.622
φPs
= 13.7g/kg’
P0 − φPs
であるので、これを用いて計算する。
水の量は 171 g/min
【解説 25】
問題で与えられた湿り空中の相対湿度 φ を求める。教科書の式を変形して、
φ=
P
x
Ps 0.622 + x
である。ここで P は大気圧であるので、 101.3kPa を用いる
相対湿度 15.0%
【解説 26】
はじめの絶対湿度 x1 kg/kg’ は,x1 = 0.622φP s/(P0 −φP s) である。P1 に圧縮後、相
対湿度 100%になるので,上と同じように,x2 を算出する.x2 = 0.622φP s/(P1 −φP s)
すると、脱水量は,x1 − x2 となる.再び圧力を下げたときは,最終圧力 P2 に代え
て逆算して,φ を求める.
脱水量 4.74g/kg’
【解説 27】
◦
表より,32.0 C の飽和蒸気圧は 35.7mmHg である.除湿前の絶対湿度は,
x1 = 0.622
φPs
= 21.1g/kg’
P0 − φPs
である。問題から除湿量は乾き空気 1kg’ 当り、mw =7.50 g/kg’ である。加湿後の絶
◦
対湿度は, x2 = x1 − mw kg/kg’ である。除湿後の温度は 26.0 C であるので,
φ=
x2 P
1
= 0.457
0.622 + x2 Ps
相対湿度 45.7 %
【解説 28】
完成した文章にする。
熱は静止した物体内を伝わる。これを a) 熱伝導 といい、熱流束は、 b) 温度勾配 に
比例する。一方、熱は運動する物質とともに移動する。これを c) 熱伝達 といい、熱
流束は、 d) 温度差 に比例する。もう一つは、熱が物質の介在なしに伝わる。これを
e) 熱放射 といい、熱流束は、物体の f) 温度の 4 乗 に比例した熱の放出と吸収とい
熱交換で決まる。
a) 熱伝導, b) 温度勾配, c) 熱伝達, d) 温度差, e) 熱放射, f) 温度の 4 乗
【解説 29】
ガス側の熱伝達率 α1 ,水側 α2 ,板のガス側温度 T1 ,水
側 T2 ,板の熱伝導率 λ とする.単位面積あたりの通過熱量
q はどこでも同じであるので
板とガス
:q = α1 (Tf 1 − T1 )
水と板 :q = α2 (T2 − Tf 2 )
板
:q = λ
Tf 1
T1 − T2
d
T1
水
T2
Tf 2
となる.3つの式を連立して,授業で示したように解くと
q=
ガス
Tf 1 − Tf 2
d
1
1
+ +
α1 λ α2
として求められる。この q を用いて、T1 = Tf 1 − q/α1 、T2 = Tf 2 + q/α2 である。
◦
◦
伝熱量 243kW/m2 とガス側表面温度 239 C, 水側表面温度 191 C
【解説 30】
ガスの出口温度は,Q = mgas cgas (Tgas1 − Tgas2 ) = mw cw (Tw1 − Tw2 ) から算出する.
向流熱交換器では,
∆t1 = Tgas2 − Tw1 , ∆t2 = Tgas1 − Tw2
であるので,対数平均温度差は,
∆tm = (∆t1 − ∆t2 )/ log
∆t1
∆t2
伝わる熱量は,熱通過率 K ,伝熱面積 A とすると,Q = AK∆tm から,A =
Q/(K∆tm ) で求められる。
熱交換器伝熱面積 0.924m2