トルニエッリ氏の質問状への返書 ベネディクト16世―ヨゼフ・ラツィンガー アンドレア・トルニエッリ氏の質問状への ベネディクト16世聖下の 2014 年 2 月 18 日付返書 2013 年 2 月 28 日のベネディクト 16 世聖下の歴史的退位から1年、改めて退位の意義や名誉教皇と現教皇フラン シスコ聖下の関係を詮索する記事がメディアを賑わせ、ベネディクト16世聖下の教皇位放棄が無効であると論じる 記事も現れる中、イタリアの有力紙 La Stampa のヴァチカニスタ(ヴァチカン専門ジャーナリスト)である Andrea Tornielli アンドレア・トルニエッリは3つの疑問に関して名誉パパ様の見解を直接問いかけ、それに返答なさった 名誉パパ様の返事は広く報じられた。名誉パパ様は、放棄が全く御自分の自由意思によるものであること、教皇の 名前と白衣(肩衣と帯なし)の保持には何も他意がないことを単純明快に答えられる。3つ目の回答にある「キュング 教授の引用」とは、名誉パパ様のかつての先輩同僚でありながら、反ベネディクト16世の旗印のように見られている ハンス・キュング教授が、自分に宛てた名誉パパ様の簡潔な手紙の中に「今や私の唯一にして最後の務めは、フラ ンシスコ・パパ様とその教皇期のために祈ること」と書いてあるくだりをインタビューで公表したことを指す。この簡潔 な回答も私達にとっては、パパ様の謙遜で 澄み切った心の眼差しを垣間見させる新た な恵みの賜物である。ちなみに、フランシス コ・パパ様は別の有力紙 Corriere della sera のインタビュー記事の中で、名誉教皇とは博 物館に置かれる彫像ではなく生きた存在で あり、名誉パパ様とふたりで話し合って、今 後は隠れているだけでなく教会の生活にも 折々参加する事、ベネディクト16世の賢慮 は神の賜物であり、御自分も相談し助言を 得ている、と明かされている。 尊敬するトルニエッリ様 2 月 16 日付の貴殿のお手紙をありがとうございます!貴殿の3つの質問に、私は以下のよ うにお答え致します。 1. 私のペトロ職放棄の有効性については、疑いのかけらもありません。有効性の唯一の 条件は、決定についての完全な自由です。放棄の無効性に関する憶測の数々は馬鹿げ たものに過ぎません。 2. 白衣ならびにベネディクトという名前の保持は、単に実際的都合によるものです。放 棄の時点で利用できる衣服は他にありませんでした。後はパパ様の白衣とは明確に区 トルニエッリ氏の質問状への返書 ベネディクト16世―ヨゼフ・ラツィンガー 別して着用しています。こ の点でも根拠のかけらもな い憶測です。 3. キュング教授は、彼に宛て た私の手紙の言葉を文字通 り正確に引用しました。 貴殿の質問に対し、明快にして 充分にお答えできたことを希望 しております。 主において貴殿の Benedetto XVI 原文© Copyright 2005-2014 – Libreria Editrice Vaticana 邦訳© Copyright 2014 – Cooperatores Veritatis Organisation www.paparatzinger.com
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