豆知識「地域通貨とは何か?」

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ぶぎん地域経済研究所 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
豆知識「地域通貨とは何か?」
1.地域通貨とは?
簡単にいうと、日本円や米ドル、ユーロなど(以下「法定通貨」という)とは違うお金
です。その基本的な違いは、以下のとおりです。
①法定通貨は中央銀行が発行しているが、地域通貨は市民の手で作り出すことができる。
②法定通貨は全国で使えるが、地域通貨は国の中でも限られた範囲でしか使えない。
③法定通貨を借りる場合は利子がつくが、地域通貨を使っても利子はつかない。
④法定通貨ではどうしても貧富の差の拡大が起こってしまうが、地域通貨では必ずしもそ
うではない。
⑤法定通貨と異なり、地域に購買力を生み出すことができ、地域の活性化に役立つ。
日本ではまだ始まったばかりですが、世界では既に多くの国で使われています。例えば
イギリスやオーストラリアなどの LETS、アメリカのイサカアワー、カナダのトロントダラ
ー、フランスの SELs、アルゼンチンの RGT、ドイツの交換リングなどです。似たような
動きとして、スイスの WIR 銀行も例示できます。
2.地域通貨の必要性とメリット
①利子がつかない。
法定通貨を借りる場合は利子がつきますが、地域通貨を貸しても、借りても利子はつき
ません。普通私たちがお金を借りたら、利子をつけて返さないといけません。しかし、地
域通貨には利子がつかないので、自転車操業に陥る心配がなくなるのです。これは事業者
にとっては大きなメリットとなります。
法定通貨ではどうしても貧富の差の拡大が起こってしまいますが、地域通貨ではそのよ
うなことがないので社会が安定する可能性が高いのです。
②地域の活性化が期待できる。
地域通貨は利子がつきませんので貯蓄しないで使おうという意識が働きます。つまり、
法定通貨と異なり、地域に購買力を根付かせることができ、地域の活性化に役立つことが、
最大のメリットです。たとえばさいたま市でだけ通用する地域通貨があった場合、この通
貨を手に入れた人は当然ながらさいたま市内の店でこの通貨を使ってしまおうとします。
つまりそれだけさいたま市内にお金が残るわけで、例えば同じ本を買うにしても、八重洲
や新宿ではなくさいたま市内で買うようになれば、それだけさいたま市の商業が栄えるわ
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けです。今はどこでも商店街は大きな郊外型のショッピングモールや都心部の店に押され
て経営が苦しくなっていますが、そのような商店街を助けるのにも一役買うのです。
③新たな人間関係が生まれる。
地域通貨をさまざまな人間が使うことで、主婦と老人、高校生と商店主など、普通は関
係を持つことのないような人たちの間で新たな人間関係ができ、現代社会で失われている
共同体を新たな形で作ることができます。
④自分の知らなかった可能性を発見できる。
地域通貨によってさまざまな取引が行われますが、その中で自分の能力について考え直
し、それを伸ばす可能性が生まれます。たとえば、地域に子どもの世話をするのが好きな
おばあちゃんがいたとしましょう。隣に共働きしている若夫婦が住んでいます。奥さんも
働いているのですが、仕事が忙しく、毎日残業をこなさなければならないところですが、
保育園が夜間は子どもの面倒を見てくれないので困っています。こういうときに地域通貨
を導入することで、この忙しいお母さんはおばあちゃんに自分の子どもの面倒を見てもら
うことができます。おばあちゃんにとって子どもの面倒を見ることは何でもないことかも
しれませんが、実はそういうサービスを必要としている人は世の中にいるわけで、こうい
う見えないサービスやモノの需要や供給を地域通貨はうまく結び付けられるのです。
⑤余剰労働力が社会でうまく活用される。
今の円経済ではうまく活用されていない能力というものがあります。たとえば、子育て
経験豊富な老人の知恵や、パソコンを使える若い人の知識などがあります。地域通貨を使
うと、これがうまい形で社会の中で活かされるのです。
3.地域通貨の種類
大きく分けて以下のような 4 種類があります。
①紙幣発行型
「イサカアワー」や「おうみ」のように、お札を実際に刷って流通させるものです。今
までの日本円と同じように使えるので便利ですが、今の日本の法律では、こういったもの
が合法なのか非合法なのかはっきりしておらず、将来的には問題になる可能性があります。
②通帳記入型
LETS やピーナッツ、それにレインボーリングなどが採用している方式で、会員が通帳を
持って、その通帳に残高を記入してゆくというものです。
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③小切手型
メキシコのトラロックが採用している方式で、一見紙幣発行型なのですが、裏面に持ち
主が次々にサインをしてゆく、というものです。これによって、小切手の信用が増します。
④タイムダラー型
愛媛県関前町の「だんだん」が代表的な例です。この「だんだん」とは、この地方の方
言で「ありがとう」という意味で、30 分の仕事に対して「だんだん」と呼ばれるおはじき
を 1 枚渡し合う、というものです。サービスの交換だけを目的とするなら、このタイムダ
ラー型が一番適しています。
4.地域通貨の法律上の問題
日本政府はこの地域通貨について、はっきりとした姿勢をまだ打ち出していません。米
国では合法だという憲法判断が下されており、イギリスに至ってはブレア首相自らが LETS
を推進している。地域通貨の名前には、偽札とみなされてしまわないよう「円」以外の名
前を使うこと、紙幣発行形式よりは通帳記入型のほうが望ましいとされています。それは、
通帳記入型の場合、取引で使用しているものがお札ではなく、単なる通帳上の残高に過ぎ
ないため、いざとなれば「物々交換の延長線」というとらえ方もできるからです。
5.
「エコマネー」と地域通貨の違い
エコマネーは地域通貨の一種です。エコマネーは、経済産業省の加藤敏春さんがイギリ
スの LETS を参考にして 1998 年に本として発表したものです。環境・介護・福祉・コミュ
ニティ、文化などを媒介する21世紀のマネーと期待されています。現在このエコマネー
として行っているのは北海道の栗山町で、他にも準備中の動きはあります。他の地域通貨
と違う点は「エコマネー・ネットワーク」が提案する「正しいエコマネー」の実践が強調
されているところです。
(エコマネーのサイト
http://www.ecomoney.net/)
(平成 13 年 12 月 5 日 主席研究員 小池清一)
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