使える「バッテリー知識」をお届けする 【作成】 ㈱ジーエス・ユアサ バッテリー 営業企画部 2012年1月16日 第28号 充電したのに比重が上がらない現象について 充電器でバッテリーを充電したのに、比重が上がらずインジゲータの色が変わらない・・・ この様な不思議な現象が稀にあります。今号ではその理由と解決方法についてお話します。 ●充電されるとバッテリー電解液の比重は上がるけど・・・。 バッテリーは充電されると端子電圧に比例し、電解液の比重が上がります。 しかし実際には、電解液の比重は下部から徐々に上昇し、その後上部の比重も徐々に上昇します。 右のグラフはバッテリーの放電・放置・ 充電時に於いて電解液上部・中部・下 部それぞれの比重値の変化を示したも のです。 (参考)放電および普通充電時の比重変化 放電時及び放置状態に於いては電解 液の上部と下部の比重値の差は、それ ほどありません。 しかしグラフの充電時210分目の比重 値を比較すると上部では1.200に対し下 部は1.280弱と大きな差が出ています。 比重計やインジゲータは、どうしても 電解液の上部で計測するため、この状 態では「充電したのに比重が上がらな い」といった現象になるのです。 ●比重を均一化させるには 充電が進み、端子電圧が上がると極板からガス(気泡)が発生し始めます。(グラフで約210分目以降) これをガッシングポイントといいます。更に充電を続けるとこの気泡により、電解液が攪拌(かくはん) され比重が均一化されるのです。 乗用車用バッテリーの主流であるカルシウムタイプのバッテリーは、満充電時に充電電流が 小さくなる特性があり、発生ガスが少なくなるためバッテリー内部の電解液の攪拌がゆっくりと 進みます。このため充電しても比重計の数値が上がりにくいと言われています。 Point ・充電時の比重は、下部から徐々に上昇し、その後上部の比重も徐々に上昇します。 ・ガッシングポイント以降から電解液が攪拌され、比重が均一化されます。 ・カルシウムタイプのバッテリーは、電解液上部の比重の上がりが遅い傾向にあります。 充電をする際は、気泡が発生した後も暫く充電を続け、電解 液が充分攪拌した後に比重を計ることにより、正確な比重値 が測定出来るようになります。
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