りそな 経済フラッシュ ◎注意事項をよくお読み下さい。 米国 2 月雇用統計(2014 年 3 月 10 日) りそな銀行 総合資金部 チーフストラテジスト 高梨 彰 • 2 月非農業部門雇用者数、市場予想を上回る伸び • 失業率は 6.7%に上昇、労働力人口増加を伴った失業者数増が背景 • 賃金の伸びが急速に上昇、今後に警戒 3 月 7 日米労働省発表の 2 月雇用統計は非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上 概要 非農業部門雇用者数は 回った。2 月の伸びは+17.5 万人。米労働省は引き続き天候要因を指摘しているにも関わら ず、雇用者数が伸びていたことが特徴。一方、失業率は 6.7%に上昇。また賃金の伸びが加 前月比+17.5 万人 速しており、回復基調が労働コスト増加・インフレ圧力に繋がることが無いか、警戒が必要な 水準となった。 2 月雇用者数は市場予 想を上回る 非農業部門雇用者数は前月比+17.5 万人と市場予想の+14.9 万人を上回る伸び。また、 1 月は+12.9 万人へと上方修正された(速報値は+11.3 万人)。 サービス業の伸び目立 つ 民間部門の雇用者数は+16.2 万人と 1 月の+14.5 万人から上回る伸び。内訳をみるとサ ービス業は伸びが目立つ(+8.4 万人→+14.0 万人)一方で、財の生産全般では伸びが鈍 化(+6.1 万人→+2.2 万人)した。また、政府部門は+1.3 万人と前月比増加に転換。 熟練労働者の伸び加速 サービス業の内訳をみると、小売業(▲0.41 万人)では 1 月に続き雇用者数が減少したが、 熟練労働者(+7.9 万人)の伸びが加速。教育・ヘルスケア関連でも雇用者数の伸びがみら れた。 失業率は 6.7%に上昇 失業率は 6.7%と 1 月の 6.6%から上昇。失業者数が前月比+22.3 万人と増加したことが 影響している。ただし、労働力人口も 26.4 万人増加しており、労働市場拡大の側面が大き い。また非労働力人口は▲9.4 万人、労働参加率は 63.0%と 1 月からは変わらず。失業者 数増加と同時に非労働力人口が減少しており、失業率上昇は割り引いて考える必要がある。 平均時給は前年比+ 2.2% 週平均労働時間は 34.2 時間と 1 月から 0.1 時間減少したが、平均時給は前月から 9 セ ント上昇し 24.31 ドル。前年比では+2.2%と、賃金の伸びに加速の兆しがみられる。 物価上昇率がなかなか上がらず、FRB は超低金利政策を継続しているが、賃金上昇は 労働コスト上昇に繋がり、財・サービス価格に転嫁される可能性がある。ここ数年アメリカのイ ンフレ率に対する警戒感は薄れていたが、厳冬の影響が解消される前に賃金上昇が顕在 化しつつあり、今後、この傾向が続くようだと市場における金融政策の思惑にも変化が生じる 可能性がある。失業率の数値に対する判断が困難とされる中で、インフレ指標は一目瞭然 の側面があり、賃金への重要度・注目度は増していくことになろう。 賃金への注目度が増す 図表1: 非農業部門雇用と失業率(灰色は景気後退期) 非農業部門雇用者(前月差、逆目盛) 失業率(右軸) 千人 前月差、万人 建設 耐久財製造 非耐久財製造 製造業小計 教育・医療 金融 娯楽 専門サービス うち人材派遣 卸売 小売 運輸 サービス業小計 民間部門計 政府部門 非農業雇用者 % -1,000 11 -800 -600 図表2: 非農業部門雇用者 主要業種(前月差) 10 雇用減、失業率上昇 9 -400 8 -200 7 0 6 200 5 400 4 雇用増、失業率低下 600 04/2 06/2 08/2 10/2 出所:米労働省、NBER、りそな銀行 3 12/2 14/2 出所:EcoWin、IN情報サービス、りそな銀行 13/10 1.5 1.3 0.5 1.8 3.1 0.7 6.5 5.3 0.4 -0.2 4.2 0.5 20.9 24.7 -1.0 23.7 13/11 3.2 1.9 1.6 3.5 2.5 -0.4 3.7 7.3 3.7 1.7 2.2 3.2 20.4 27.2 0.2 27.4 13/12 -2.0 0.0 0.7 0.7 0.5 0.2 1.8 1.6 3.2 1.1 5.2 0.5 9.9 8.6 -0.2 8.4 14/1 5.0 -0.3 0.9 0.6 1.0 -0.2 2.2 4.2 0.2 2.1 -2.3 1.7 8.4 14.5 -1.6 12.9 14/2 1.5 0.6 0.0 0.6 3.3 0.9 2.5 7.9 2.4 1.5 -0.4 -0.4 14.0 16.2 1.3 17.5 出所: EcoWin、IN情報サービス、りそな銀行 お問い合わせは、取引店の担当者までご連絡ください ◎注意事項 *当資料に記載された情報は信頼に足る情報源から得たデータ等に基づいて作成しておりますが、その内容 については明示されていると否とに拘わらず、弊社がその正確性、確実性を保証するものではありませ ん。また、ここに記載された内容が事前の連絡なしに変更されることもあります。 *また、当資料は情報提供を目的としており、金融商品等の売買を勧誘するものではありません。取引時期 などの最終決定はお客さまご自身の判断でなされるようお願い致します。 1
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