白菊通信 第25号

平成19年4月20日
下司病院アルコール家族教室通信
高知市本町三丁目5―13
088−823−3257
担当:北村幸彦・横山 幸
第25号
第372回アルコール家族教室報告
今回は9名のご家族に参加していただきました。上映し
『アルコール依存症 ―家族の病気』
下司孝麿
精神科の看板を掲げていると珍しい患者が飛び込んでくる。
た『助けを求めない人をどう援助するか』というビデオは、家
族や援助者向けに作られているので、これまでのビデオ以
Hさんはサラリーマンの妻で、頭痛がして眠れないので薬を
多用していた。薬物依存症と考えて診察を重ねているうちに本
上に共感するところも多かったと思います。次回は、実際の
介入方法に関するビデオなので、少し堅苦しくなりますが、
家族の対応方法など参考になる点もあると思います。ぜひ
ご参加下さい。次回は第2土曜日の5月12日です。
当のことを話すようになった。主人は優しくて最高の会社員です。
出世の為に頑張っています。と誉めちぎるが、私は主人が恐い
んです。酒を飲むと暴れて引きずり廻され、怪我をしたこともあり
ます。今夜飲むと聞いただけで脚が重くなって、倒れて知らなく
ある少女の詩
(断酒会のパンフレットにも載った有名な詩です)
路地のむこうから 大きなお父さんの声がする
今夜もお酒を飲んで帰ってきた
そんなとき きまったように 母さんは言う
「きょうは 服を着て寝るのよ
母さんが おこしたらすぐ目をさますのよ」
服を着て いつでも逃げられるように
ふとんにもぐりこむ
ねむっちゃだめ ねむっちゃだめ
いくら自分にいいきかせても いつかゆめをみている
どれほどねたのかな
ちゃわんのわれる音
父さんのだみ声に目がさめた
母さんの小さな小さな声も聞える
母さんが なぐられている
母さん なぜ泣いてあやまるの
悪いのは父さんよ お酒をのむ父さんなのよ
どうやって家を出たのか
どうやって父さんから逃げることができたのか
いま 母さんと私は
暗い 寒い 夜道を歩いている
母さんは一言も話さない
母さんの顔は涙でぐしゃぐしゃ
私の顔だって―-夜の汽車道はこわい
暗い運河はもっとこわい
黒い手がでて 母さんと私をひきずりこむような
そんな気がする
でも 母さんと私は朝まで歩いた
朝になってそっと家に帰ると
父さんは大いびきでねていた
この父さんのかわりに 母さんは働いているのに―-父さんはきっと最後までわからないだろう
なります。帰宅した主人が酒を飲むというと、早く眠りたくて薬を
飲みます。と訴えている。怪我した翌朝、ご主人にそのことを話
しましたかと聞くと、主人は知らないと返事するだけで、謝ってく
れない。主人は飲酒による暴力を否認し、何もなかったことにし
ているのである。
妻は主人の飲酒を止めさせようとも、暴力から逃れる為の手段
をとろうともしない。つまり夫の酒乱から目をそらし、世間体は何
もなかったことにして生活している。これも亦、夫の酒乱を否認し
たことになる。主人はアルコール依存症であり、妻はそれが原因
で一種のノイローゼとなったのである。まさにアルコール依存症
は家族の病気である。
主人は会社では模範的会社
員であり、妻に信頼された良き
夫である。しかし、夫婦共にア
ルコール依存症を否認して、
治療へのきっかけを掴めないでいる。
さて、どうしたらよいか。二つの方法がある。
一つは妻が断酒会や家族会に出席して勉強すること。もう一
つは、会社が優秀な社員の破滅を救う為に、アルコール依存症
対策を作ることである。この方法はアメリカで成功している。
(1991.8.21 毎日新聞原稿 No.1)
【第373回家族教室のおしらせ】
日時:平成19年5月12日(土)
第2土曜日です!お間違えなく
午後6時45分∼8時50分
場所:下司病院3階食堂
【 上映予定ビデオ 】
『助けを求めない人をどう援助するか②』
(6時45分から50分程度)
「 アルコールは人間を赤ん坊にする 」 (断酒カレンダー 奇数月・9日)