稲作農業者 G461-01 ど んな職業か 我が国の伝統的な主食である米を水田で生産し、供給する。 稲作農業者は自ら経営者を兼ねて家族農業経営の形をとっていることが多く、生産・経営・販売・資産労働管理など 幅広い仕事を行う。 水田で米を作るための具体的な作業としては、水田の耕起、育苗、田植、施肥、病害虫防除、除草、水管理、収穫、 乾燥、調整などがある。以前はこれらの作業のほとんどを手作業で行っていたが、現在では稲作技術が進歩し、水田を 耕すトラクター、苗を植える田植機、農薬散布のための防除機、収穫のためのコンバインなどの機械が導入され、重労 働は少なくなっている。 稲作作業は稲生育期間の4月∼10月に集中して行われるため、11月から3月まではほとんど作業のない農閑期で あり、この間に他の仕事に就いている人も多い。また、農道や用排水路の除草、病害虫防除の農薬散布などは、周囲の 農家との共同作業で行うのが一般的である。 機械化に伴い、稲作の大規模経営化も進んでいるが、その一方で、米の生産過剰、消費量の減少、価格の低迷などか ら、経営を安定させるため、大豆・麦・そば・野菜・花きなどを栽培し、米以外からの収入を確保する動きが多く見ら れる。 就 くには 稲作を行うには、農村に定住し、農業経営に取り組むことのでき る人であれば、特に資格・免許は必要とされない。しかし、稲作に は水田や農業機械などの大規模な経営資産が必要となるため、親や 親戚などから資産を引き継いで就業する場合と、新規に就農する場 合では条件が大きく異なる。特に、農家以外の人は、農地(水田) の購入ができないため、多くは借地で始めている。 新規に就農しようとする場合、相当の設備投資が必要になるため 、自治体等が行っている助成制度を利用したり、後継者のいなくな った農家の資産を引き継いだりして、必要な経営資産を確保する。 稲作の基本的な知識や技術は、大規模経営の農家で従業員として働 いたり、農業(者)大学校などで研修を受けて身につける。 稲作と他の作物との小規模な複合経営からはじめ、規模を拡大し て稲作だけで安定した収入が得られるようになるには、一般的に3 ∼5年はかかる。 経営者となるには、米作りの専門知識と技術のほかに、経営管理 能力も必要となる。 トラクターや軽トラックなどの運転のため「大型特殊自動車免許 」を取得していると有利である。 労 働条件の特徴 稲作農家1戸あたりの水田面積は、平均で104アールと小規模であるが、最近では300アール以上の大規模経営 の農家も増えてきている。農家一戸あたりの稲作従事者は平均1.6人で、年齢別では65歳以上が半数以上を占めて おり、後継者の入職が少ないことから高齢化が進んでいる。 稲作農家のうち、専業農家は約2割で、その他の大多数は農業以外の仕事で働きながら稲作を行う兼業農家である。 稲の生育には、大雨や台風、異常気象などに対応した管理作業や、病気の予察・防除など、常に気を配らなければな らず、決まった労働時間だけで対応できないことも多い。一方で、4月∼10月の農繁期は農作業の進み具合に合わせ て自分で休日を設定し、11月∼3月の農閑期には、他の仕事をしながら自由に休暇を設定できるという利点もある。 従来、稲作農業者の後継ぎはほぼ100%が農家の子弟であったが、最近では、非農家の人が新規に稲作経営を開始 できるようになっている。稲作農業生産法人(会社)への就業や、農村に移り住み、水田を借地契約して米づくりを始 めるなどして、地域に歓迎されている成功例が見られる。 参 考情報 関連団体 関連資格 全国新規就農相談センター http://www.nca.or.jp/Be-farmer/ 全国農業協同組合連合会(全農) http://www.zennoh.or.jp/ 大型特殊自動車免許
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