原価管理テキスト 目次 1.製造業の原価管理 1-1 製造原価の体系 1-2 損益管理 2.原価管理 2-1 直接原価計算 2-2 原価管理の実際 2-3 事業損益の管理 作成・編集 作成・編集 2013年3月 編者 青田 義久 注.本テキストの著作権は上記の編者にあります。 注.本テキストの著作権は上記の編者にあります。 本テキストは製造業の 本テキストは製造業の工場運営の仕組みづくりと、 製造業の工場運営の仕組みづくりと、社員教育を念頭において 工場運営の仕組みづくりと、社員教育を念頭において、 社員教育を念頭において、 作成・編集したものです。 自社の社員教育に使用していただいて結構ですが、社外販売を目的として、 全部または内容の一部抜粋を利用されることは禁止いたします。 1.製造業の原価管理 製造業の企業活動は、原料を仕入れて加工し、それを販売することで行われます。製造業の経営は、 製品設計担当が製造原価を見積って予定原価を決め、工場が予定原価で製造し、営業所が計画された利 益が得られる売価で販売することで成り立っています。今日では、売価は需要によって決まりますが、 原価と販売管理費は絶対にカバーしなくてはなりません。 経理用語でいえば、企業が存続していくためには、損益計算書で 収益(総収入)-費用(総支出)=利益 が継続的に生み出されなければなりません。利益を生み出すための工場部門の責務は、製造工程での費 用、すなわち製造原価を管理し、目標に向けて低減していくことにあります。 1-1 製造原価の体系 (1)原価の分類 企業の経営状況や経営実績を表す財務諸表を作成する上で、製造業では売価と製造原価、利益の関係 は図表1-1のようになります。 図表1-1 製造原価の位置づけ 販売価格 総原価 製造原価 販売費 一般管理費 直接製造原価 直接材料費 直接労務費 直接経費 原料、購入部品 製造人件費 動力費、補材費、外注費 製造間接費 品質保証・技術部門人件費、試作費、減価償却費*1 荷造・運送費、広告宣伝費、特許料、営業部費 本社費、研究部費 利益 注.*1 減価償却費で、特定の製品を製造するために作った専用の設備は、原価計算では その特定製品の直接経費として計上されることもある。 また、製造原価の中の直接原価は、計算の仕方によって図表1-2に示す3種類に区分されます。 図表1-2 原価計算の種類 原価の種類 目的 計算方法 実際原価 財務諸表の作成 予定原価×補正率*2 見積原価 予算編成、受注価格の決定 実際消費量を見積もり、予定価格をかけて計算 標準原価*3 原価管理用 科学的に算出し、目標とする予定消費量×予定価格で計算 注.*2 補正率=実際発生額/予定発生額 *3 標準原価は、予定原価ともいう。 原価計算は、製品の受注形態によっても異なり、次の2種類に分かれます。 ①個別原価計算 種類の異なる製品を個別に受注生産する場合に用いられます。 船舶、大型機械、プラントや金型・治具など。通常、在庫生産は行われません。 ②総合原価計算 同種製品を連続・大量生産する場合に用いられます。一般の消費財や自動車、家電製品、部品など。 通常、在庫生産の形態を取ります。 工程別に原価管理するために、一般に工程別総合原価計算が採用されます。 (2)変動費と固定費 製造原価は工場の操業度によっても異なります。財務会計で費用や収入の分類を表す単位を費目とい い、原価の分析、管理は、費目毎におこなわます。 製造原価を構成する費目別の発生金額は、工場の操業度(生産量)の増減により異なり、 図表1-3の種類に分類されます。 図表1-3 変動費と固定費 名称 説明 費目の例 変動費 操業度に比例して増減する原価 固定費 操業度に関係なく、常に一定額発生す る原価 操業度がゼロであっても一定額発生 し、操業度の増加と共に増加する原価 原材料、製造人件費、機械動力費、 補助材料費 間接人件費、減価償却費、保険料 準変動費 通信費、事務用品費、電灯電力費、 間接人件費 一般に原価計算や原価管理は、変動費と固定費に2分しておこなわれることが多い。 (3)原価計算の手順 製造業では、製品の製造工程は多いため、それぞれの部門(工程)で原価を明確にして管理する責任 があります。経営管理は一般に月単位で行われるので、原価計算は月次で、図表1-4の手順で行われ ます。 図表1-4 製品別原価計算 費目 部門 A 部門 B 部門 C 材料費 人件費 動力費 外注費 ・ ・ 材料費 人件費 動力費 外注費 ・ ・ 材料費 人件費 動力費 外注費 ・ ・ 製品別 製造費用 製造原価を計算する上で、図表1-1に示す直接材料費、直接労務費、直接経費は、各製品毎にかか った金額を算出して各製品の原価とします。一方、間接製造費は製品毎にかかった費用が分からないの で、一定のルールに基づいて各製品に配分します。 直接費を製品毎の原価として配分することを「賦課」 (直課ともいう) 、製造間接費を一定のルールで 製品毎に配分することを「配賦」といいます。 (4)財務会計における原価計算のフロー 財務会計の計算処理の各段階で、原価計算の数値は次のように反映されます。 図表1-5 財務会計における原価計算のフロー 日本では、原価計算の手順・詳細ルールを定めるものとして、昭和37年11月8日に当時の大蔵省 企業会計審議会から公表された「原価計算基準」があります。 1-2 損益管理 (1)損益分岐点 大量生産品を製造する事業において、利益を上げて事業を維持していくためにはある一定以上の売上 数量が必要です。すなわち、一定額発生する固定費を、製品1単位当たりの(売価-変動費)を積み上 げて回収しなければなりません。製品の売上数量と固定費の回収がバランスする点を損益分岐点といい、 図表1-6にその関係を示します。 損益分岐点の売上数量 = 固定費 ÷ 製品1単位当たりの(売価-変動費) 損益分岐点の売上金額 = 損益分岐点の売上数量 × 製品売値 図表1-6 損益分岐点 売上金額 金額 利益が出ない 利益が出る 総原価 利益 貢献利益 固定費 損失 変動費 損益分岐点 売上数量 また、損益分岐点の売上金額は次の式でも計算できます。 損益分岐点の売上金額 = 固定費/(1-(変動費/売価) ) = 固定費 /(1- 変動費率) 企業はその利益の中から、借入金の金利や税金、株主への配当金を支払って経営を維持しなければな りません。 【例題】次の製品(例えばノック式ボールペン)の損益分岐点を求める。 売価 150 円/本 製造費用 変動費 100 円/本 固定費 500,000 円/月 解答 1本当たり(売価-変動費) =150-100 =50 円/本 損益分岐点売上数量(本/月) =500,000/50 =10,000 損益分岐点売上高(円/月) =10,000×150 =1,500,000 又は =500,00/(1-(100/150) )=1,500,000 (2)損益分岐分析 企業として、目標利益を獲得するために売上高、販売数量、原価の関係を分析することを損益分岐分 析、またはCVP分析(Cost-Volume-Profit analysis)といいます。 図表1-6で、売上金額から変動費を引いた金額を貢献利益(または限界利益)といいます。貢献利 益が固定費を上回らなければ企業は利益が出ない状況(赤字)にあり、売上を伸ばすか、あるいは固定 費や変動費を下げなければなりません。 売上が落ち込むと赤字経営になるので、現在の売上がどの程度余裕があるのかを見るための指標とし て、次の安全余裕率や損益分岐点比率が使われます。 安全余裕率=(現在の売上高-損益分岐点の売上高)/現在の売上高 ;+で大きいほうが良い。 損益分岐点比率=損益分岐点の売上高/現在の売上高 ;100%以下で小さい方が良い。 【問題1】前ページの例題の製品について、損益分岐点分析を行い、問①~②を計算しなさい。 売価 150 円/本 製造費用 変動費 100 円/本 固定費 500,000 円/月 問① 今月の売上本数は 8,000 本であった。次の指標を計算しなさい。 安全余裕率(%)= 損益分岐点比率(%)= 問② 100,000 円の利益を得るための売上数量(本/月)は? 2.原価管理 2-1 直接原価計算 (1)直接原価計算 船舶や橋梁設備などは、1件ごとに製作仕様が異なったものを受注するので、個別原価計算が用いら れ、原価目標に沿って製造工程で費用管理が行われます。 一方、自動車、電気・電子機器、機械部品などは在庫生産方式を取っており、総合原価計算が採用さ れます。 特殊な光学機器や建設機械などのように、1 台ごとに設計仕様は異なるが、部品の多くを共通化して 在庫生産しているものは、両方式を融合させて原価計算が行われます。 同じ規格品の量産ではなく、規格の異なる多種多様な製品を製造している場合は、総合原価計算にお いてその個々の製品毎の原価を計算するのは非常に煩雑であり、製造間接費を各製品に適正に配賦する ことはきわめて難しい。 原価管理の最終目的は利益管理にあるので、大きな事務負担をかけずに各部門・各工程の損益を管理 できることが望ましい。 そのような目的に使用される計算法に直接原価計算があります。直接原価計算は、 「変動原価計算」と もいい、製造原価には変動費のみが集計されます。従って、固定費は含まれないため、本来の製品の原 価とは異なります。 このように一部の原価のみをとらえて計算する原価を「部分原価」といい、固定費まで配賦して本来 の原価を計算したものを「全部原価」といいます。 直接原価計算の目的は、損益計算を合理的におこなうことにあるので、原価(製造原価と販売費・一 般管理費)を変動費と固定費とに分解し、売上高から変動費を差し引いて貢献利益を計算し、貢献利益 から固定費を差し引いて営業利益を計算するという期間損益計算の一方法です。 直接原価計算の考え方を図表2-1に示します。 変動費は工場で管理しなければならない費用であり、工場の生産活動の目標は、予め予定された貢献 利益を生み出すことにあります。一般に工場の利益管理では、変動費を月次管理対象として、生産活動 が運営されます。 図表2-1の変動費、固定費の費目にどのようなものがあるか、例として機械部品を製造販売する場 合の例を図表2-2に示します。 図表2-1 直接原価計算 図表2-2 直接原価の項目の例 名称 変 直接材料費 動 費 直接労務費 直接経費 間 接 費 製造間接費 販売費 主な項目(費目)の例 鋼材、合成樹脂、機械部品、電気部品、 補助材料費 作業人件費、外注加工費、保全部費 動力費、荷造費、運送費、販売手数料、 特許権使用料 技術部門人件費、試作費、減価償却費 営業部費、広告宣伝費、倉庫保管料 一般管理費 本社費、研究部費 (2)歩留その他の指標について 製造工程では、通常は加工屑や不良品が発生します。原価管理を行う上で、各工程の加工屑や不良品 を減らし、無くするための活動では一般に歩留、不良率の概念が使われます。 不良や歩留を考える場合に用いられる各種の指標(用語)の意味を図表2-3に示します。 図表2-3 歩留に関連する用語 原材料 製造結果 投入量 A 良品出来高 B 不良品 C 各指標のうち、どれを使うかは製造工程の特性によって選択されます。一般に不良が多い場合は歩留 が使われ、不良が少ない場合は不良率が使用されるようです。また、ロス率は金属の切削加工など、必 ず一定のロスが出る工程で工程改善を行う場合に使用されます。 所要率は、ロスの管理以外に、目標の生産量を確保するために原材料をいくら手配するか、といった 生産資材調達計画でも使用されます。所要率と歩留、ロス率は次の関係があります。 所要率 = 1/歩留 = 1+ロス率 (3)予定原価制度 工場の損益管理として、直接原価計算を採用して原価の管理・低減活動を行う上で、目標とする原価 が必要です。そのような場合に採用されるものとして、予定原価があります。予定原価は、製造計画時 点や、年度初めに目標とする原価を科学的に算出し、それにもとづいて月次の工場業績を分析して問題 点の摘出や改善効果の評価を行なう場合に使用されます。 予定原価は、例えば各製造工程・各部品毎に次のように各費目について計算します。 直接材料費(鋼材)=設計重量(kg)×所要率(%)×原料単価(円/kg) 直接労務費=標準時間(MH)×所要率(%)×部門単価(円/MH) 直接経費=(直接材料費+直接労務費)×直接経費率(%) 予定原価(変動費)=直接材料費+直接労務費+直接経費 予定原価は、毎年度末にそれまでの原価諸元の実績を元に、年度末の到達水準を見極め、また次年度 の設備投資や合理活動の効果を織り込んで設定します。予定原価は目標としてチャレンジしていくため の数値ですので、その努力目標分の+αを見込んだ数値を設定します。 具体的には、次年度のある製品の予定原価は、次のような流れで設定されます。 年央の 実際原価 年度末 到達水準 設備投資効果 を織り込み 目標要素 を加味 次年度 予定原価 【問題2】ある月の機械加工部品の製造販売実績は次の通りであった。各設問に答えなさい。 なお、原材料はすべて生産に使用され、不良品の価値はゼロとする。 生産量 良品 900個 不良品 100個 消費量 使用金属材料 5,000kg 購入単価800円/kg 製造MH 200MH MH単価3,000円/MH 動力費 100千円 電気、用水 工具損料 100千円 消耗品 補助材料 200千円 消耗品 保全部費 200千円 補修費、保全人件費 販売関係費 500千円 荷造費、運送費、倉庫費 間接費配賦額 500千円 製造間接費、販売費、一般管理費 売上金額 7,200千円 問1 この月のロス率、所要率は? 問2 機械加工部品1個当たりの原価、貢献利益は? 問3 作業改善により不良が半減し、製造MHも20%低減できた。改善前後の営業利益は? 2-2 原価管理の実際 (1)原価管理 予定原価制度にもとづいて、実際の原価管理活動は次のような手順でおこなわれます。 予定原価 の設定 実際原価 の計算 原価差異 の計算 原価差異 の分析 原価低減 活動 実際原価の計算は、月次で主な費目毎におこなわれ、それぞれについて予定原価と実際原価の差(原価 差異という)を分析し、その原因を調査・究明して次月の対策と管理に活用します。 原価差異は、次式のように単価差異と数量差異に分解されます。 原価差異=予定原価 - 実際原価 =予定単価 × 予定数量 - 実際単価 × 実際数量 =(予定単価 - 実際単価)× 実際数量 +(予定数量 - 実際数量)× 予定単価 単価差異 数量差異 図表2-4 原価差異の構成 原価差異=単価差異+数量差異 実際原価 実際単価 単価差異 予定単価 価格 予定原価 数量差異 数量 予定数量 実際数量 (2)原料費 原料費は、次の原因で予定原価と実際原価が違ってきます。 1)単価差異 単価差異は、予定原価で見積もられた単価と、その後実際に生産に使用された原材料単価が異なるた めに生じます。原材料は生産に先立って調達されるため、原材料在庫量を見ながら購入ロット単位で数 量を決め、購入することになります。一般に原材料は市場価格で決まるものが多い。 (商品取引市場において売買されるような商品はコモディティとよばれます) 従って、購入時期により購入単価が異なるので、帳簿価格も変動するのが常であり、予定単価と一致 しないことが多い。 単価差異を改善する(CRを出す)ために、一般に購買部門は次の点に注力しています。 ①市場価格の動向を分析し、安い時点で調達 (先物取引なども活用) ②価格交渉 (調達ロットサイズを大きくするとか、長期契約など) 単価差異を改善するために、 調達ロットを大きくするとか、 市況が安い時点で大量に調達することは、 結果として原料在庫を増やすことになります。その場合、金利負担が増加し、また設計変更等で使用で きなくなって(膠着在庫という) 、結局廃却せざるを得なくなるリスクもあるので、そのようなリスク低 減のために調達ルールを定めて、確実に運用しなければなりません。 2)数量差異 予定使用量に対して、実際の使用量が異なる原因には次のようなものがあります。 ①運転立上げ、停止でのロス ・・・試作・口出しロス、加工設備の停止時の原材料残り ②製造条件の相違によるロス ・・・製品規格内での条件設定の違い、作業スキルの違い ③不良 ・・・想定量に対する実際量、手直しロス ④歩留、加工ロス ・・・設計量に対する実際量、製造条件設定ミス ⑤設備故障、チョコ停によるロス・・・廃却損 これらはすべて工場責任であり、ロス発生原因を究明し、改善活動によりCRを図らなければなりま せん。不良やロスの低減手法として、トヨタ生産方式(TPS) 、全員参加の生産保全(TPM)等が採 用されています。TPSやTPMは、工場全体の取り組みとして数量差異を改善することに重きを置い た改善活動です。 (図表2-10 TPMの16大ロス を参照) (3)労務費管理 原価管理の中で、労務費は一般に製造工程別に実績を把握し、目標と比較することで管理されます。 その際に用いられる指標や管理手法について説明します。 1)能率 作業効率を評価する指標として、次の式で表される「能率」がよく用いられます。 能率 = 標準時間 ÷ 実際時間 ×100% ここで、標準時間(SH、Standard Hour)は製造品目毎に各工程で予め定められた時間であり、 実際時間(RH、Real Hour)は報告された実績時間です。 この時間は、機械の稼働時間(機械時間、Machine Hour)を使用する場合と、人が作業した時間 (MH、Man Hour)を使用する場合があります。前者は大規模な生産設備が主役となる生産ライン(人 が少ない)で使用され、後者は人手作業が多い生産ラインで使用されます。 能率管理に用いられる表の例を図表2-5に示します。 製造工程 第一工程 第二工程 計 図表2-5 能率表の例 10月 標準時間 実際時間 能 率 標準時間 (SH) (RH) (%) (SH) 760 1,040 1,800 730 990 1,720 104 105 105 650 1,380 2,030 11月 実際時間 (RH) 670 1,280 1,950 能 率 (%) 97 108 104 能率が 100%未満であれば、時間当たりの生産量が落ちていることになるので、原因を究明し対策を 打たなければなりません。 2)部門単価 原価管理において、工場の製造工程は、細目工程ごとに「小部門コード」を割りふられ、その小部門 毎に時間当たりの部門単価(工程単価ともいう)が予め決定されます。部門単価は、各部門の各費目毎 の発生予定金額を予定時間(機械時間またはMH)で割って算出します。部門単価表の例を図表2-6 に示します。 図表2-6 予定部門単価表 (単位 円/h) 費目 人件費 補助材料費 電力費 保全部費 ・・・ 合計 第一工程 第二工程 4,000 4,200 50 50 300 80 200 5,500 400 6,000 3)実績管理 各工程毎の損益管理資料として、変動費について予定金額と実績金額とを比較した直接部門費統計表 (図表2-7)を月次で出力し、問題点の摘出や改善活動のトレースに用います。直接部門費統計表の 予定金額の算出過程を図表2-8に示します。 図表2-7 部門費統計表 XXXX 年 XX 月度 直接部門費統計表 経理単位:XX 小部門:XXXX 組織単位:XXXX 予定 (数量) 実績 標準時間 (760) 技術職人件費 3,040 (800) 2,840 臨 人件費 45 (10) 22 *人件費 計 3,085 (810) 2,862 燃料費 補材 38 50 *補材+燃料費 38 50 電力費 61 (4,000) 62 ガス代 保全部費 500 515 ・・・ **直接部門合計 4,180 4,320 部門費集計単位:XXX 差異 200 -23 223 0 -12 -12 -1 0 -15 -140 図表2-8 予定直接部門費の計算例 出来高量 標 準 時 間 標 準 時 間 部 門 単 価 (円/h) (個) (h/個) (h) 第 一 工 程 第 二 工 程 予定直接加工費 (円) 製品B 1,500 600 0.2 0.1 300 60 5,500 5,500 1,650,000 330,000 製品C 800 0.5 5,500 計 製品A 1,400 0.3 400 760 420 6,000 2,200,000 4,180,000 2,520,000 製品B 500 0.2 100 6,000 600,000 製品C 700 0.7 490 6,000 2,940,000 製品A 1,010 計 5,060,000 (4)原価低減活動 原価差異分析により、各工程、各製造品目別に問題点を抽出し、改善に向けた具体的な活動を行いま す。各部門の主な取り組みのポイントの例を図表2-9に示します。 項目 原材料設計 原料単価 ロス率 標準時間 その他 図表2-9 改善活動のポイントの例 内容 主な推進部門 安価な代替原材料の使用 少ない量で同品質の維持 購買先との価格交渉 失敗減、端材減、作業の標準化 スタート・ラスト屑減 設備不良減(故障、性能未達) 技術、設計担当 購買担当 製造担当 設備担当 在庫量の低減(原料、製品) スキルアップ、作業標準化 段取り時間短縮、手待ち時間短縮 多能工化、多台持ち 生産管理担当 製造担当 生産速度アップ 自動化 設備担当 経費節約 全員 改善の取り組みを進める手法として、TPM活動が挙げられます。TPMでは、次式の設備総合効率 に着目して、効率 100%を目指して全員で取り組みます。 設備総合効率 = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率 TPMでは改善対象として図表2-10に示す16大ロスを取り上げます。 図表2-10 TPMの16大ロス 【問題3】合成樹脂管製造工場では、合成樹脂管を1km(重量は 500kg)製造する際の予定原価は 次の通りである。 合成樹脂の投入量 600kg 加工時間 1h 合成樹脂の単価 250 円/kg 加工単価 4,500 円/h 当月は合成樹脂を 10t購入(購入費 2,000 千円)、製造に投入した結果、合成樹脂管の良品 が 15km(7,500kg)でき、ロスは 2,500kgであった。次の問に答えなさい。 問1 合成樹脂管 7,500kgの予定原料費、加工費は? 問2 当月の合成樹脂管の実際原料費は? 問3 当月の工場の原料価格差、ロス差は? 2-3 事業損益の管理 事業経営を進めていく上では、工場の直接原価だけでなく、間接費を含めた総原価の管理を的確に行 い、各部門が担当する範囲で低減に向けて取り組むことが必要です。 間接費は直接費と同様に、各部門毎に小部門コードを設け、月次で間接部門統計表を作成して発生費 用を把握します。 各部門の間接費は通常年に2~4回、 利益計画を編成する際に予算を見直し、 発生費用を統制します。 月次の業績検討会では、次のような事業損益表を作成して業績を評価し、利益計画のトレースや、問 題点の摘出と対応策、新たな改善テーマの討議を行います。 図表2-11 事業損益管理表 XXXX 年 XX 月 XXXX 事業部 損益表 計画 実績 差異 概要 売上高 予定直接原価 売価×出荷数量 製品単位当り予定直接原価×出荷数量 予定総益 売上高-予定直接原価 直接 原価 修正 減量価格差 販売直接費差 外注差 CR VA差 (予定単価-実際単価)×購入量 予定額-実際発生額 予定額-実際検収額 使用材料の見直しによる原価差異 ロス差 直加差 動力価格差 原料単価×(予定ロス量-実施ロス量) 予定直接加工費と実際額との差 予定動力単価×動力使用量-実際支払額 廃却修理損 クレーム損 作業事故・返送品・膠着品等廃却修理損 外部クレーム費 計 実際総益 間接 費ほ か 技術部 門費 予定総益+直接原価修正 人件費 設備費 その他 計 営業部費 共 工場共通費 通 研究部費 費 情報システム部費 本社費 知財部費 計 金利 間接部門の人件費 設備の減価償却費、特別補修費など 間接経費 販売営業部門の費用 各工場費用の配賦 研究部門の費用配賦 情報システム部の費用配賦 本社の費用配賦 特許出願・維持・管理費用など 各事業部資産残高に対する金利 内部振替 計 営業外損益 社内取引に伴う振替差額 固定資産廃却損・投融資金利など 純損益 実際総益-間接費+営業外損益
© Copyright 2024 Paperzz