日本消化器外科学会 第 69 回日本消化器外科学会総会【2014 年 7 月】 1 [ME-1] 研修医・医学生・メディカルスタッフ 1:研修医 1 座長:打波 宇(秋田大学大学院医学系研究科消化器外科学講座) 日時:2014年7月17日(木) 8:30∼ 9:20 会場:ブースJ (郡山総合体育館 1階 小体育館) ME-1-1 緊急開腹手術を施行した左傍十二指腸ヘルニアの 2 例 生田 旭宏:1 1:長浜赤十字病院 外科 ME-1-2 傍ストーマヘルニア陥頓に対し小腸切除と人工メッシュ留置を 1 期的に施行した 1 例 福田 幸寛:1 1:千葉県立佐原病院 外科 【症例 1】症例は 86 歳女性.急激に発症した腹痛のため救急受診.開腹歴なく,左上 腹部に圧痛を認めた.CT で左上腹部に塊状になった腸管を認め,この塊状になった小 【はじめに】傍ストーマヘルニアはストーマ造設後の後期合併症であるが,ヘルニア門 腸によって膵体部と下腸間膜静脈が腹側に著明に偏位していることから左傍十二指腸ヘ が広いため陥頓することは稀とされている.今回,傍ストーマヘルニア陥頓により緊急 ルニアによる腸閉塞と診断,緊急手術となった.開腹下にて横行結腸間膜背部側と小腸 手術を要し,小腸切除と人工メッシュ留置を 1 期的に施行した 1 例を経験したので報 の癒着をほぼ正中位に認めた.癒着を剥離すると,十二指腸空腸曲の頭側から左側下方 告する.【症例】74 歳女性.【既往歴】51 歳 直腸癌にて腹会陰式直腸切断術 (他院で にヘルニア門を認め,十二指腸空腸曲から約 2m の空腸が膵体尾部背側から下行結腸 の定期的 follow は終了しており stage 等の詳細不明)【現病歴】夕食後から左下腹部 間膜背側に陥入しているのを認めた.陥入小腸に壊死・穿孔のないことを確認.小腸の 痛,嘔吐を自覚,翌日状態が悪化し当科を受診.身体所見上,左下腹部に S 状結腸単 整復後,膵体部下縁から下腸間膜静脈右側縁にわたる巨大なヘルニア門に対しては大き 孔式人工肛門あり,人工肛門の外側に手拳大の腫脹と皮膚の発赤を認めた.腹部は肥満 く解放した.術後 4 病日より経口摂取を開始し合併症なく経過し,第 8 病日に退院と 高度,軟,左下腹部に圧痛あり,筋性防御や反跳痛は認めなかった.傍ストーマヘルニ なった.【症例 2】症例は 42 歳男性.急激に発症した腹痛のため救急受診.開腹歴な アを疑い,用手的還納試みるも還納不能であった.血液検査所見上は生化学的検査で軽 し.腹部は左下腹部を中心に圧痛有り,腹膜刺激症状は認められなかった.CT で左腹 度の脱水兆候と炎症反応上昇を認めた.腹部造影 CT では,人工肛門外側に小腸の脱 部下腸間膜動静脈の左背側に一塊状になり液体貯留の目立つ拡張小腸を認めたことより 出を認め,一部造影効果に乏しい小腸を認めた.傍ストーマヘルニア陥頓による絞扼性 左傍十二指腸ヘルニアによる腸閉塞と診断した.疼痛強いため絞扼性イレウスの可能性 イレウスと診断し,直ちに緊急手術の方針となった.人工肛門外側の膨隆部直上 (傍正 も考え,緊急手術となった.開腹下にて左傍十二指腸にヘルニア門を認め,小腸が陥入 中切開) に皮膚切開を加え,ヘルニア嚢を露出させヘルニア門を確認,筋膜を頭尾側へ していることを確認.また陥入小腸に壊死・穿孔のないことを確認.小腸整復後ヘルニ 広げヘルニア門を大きく開放した.ヘルニア嚢を開放すると小腸は 50cm にわたり壊 ア門を縫合閉鎖した.術後 6 病日より経口摂取を開始し,第 9 病日に合併症なく退院 死しており切除を余儀なくされた.修復として人工メッシュを用いたかったため,術野 した.以上術前診断が可能であった左傍十二指腸ヘルニアに開腹手術を行った 2 例を の汚染を防ぐためできる限り開放しないように機械的端々吻合を施行した.小腸を腹腔 経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 内へ戻し,ストーマの損傷なきことを確認し,腹膜,筋膜を可及的に単純縫合した.洗 浄したのち,筋膜上に人工メッシュをストーマに合わせて U 字型に切り,敷き詰めて 固定し,創を閉鎖した.術後経過は良好で,第 12 病日退院となった.術後 6 か月,日 常生活の支障や再発を認めていない.【考察】傍ストーマヘルニアは頻度の低くない晩 期合併症であるが,陥頓による絞扼性イレウスを併発することは稀である.治療法とし ては手術しかないが,腸切除術と人工物使用の同時施行は一般的でない.しかし,再発 の可能性や 2 期的手術の必要性を考慮すると,1 期的手術のほうが望ましいと考え,1 期的に腸切除と人工物留置を同時に施行し良好な結果を得た.本症例について若干の文 献的考察を加え報告する. ME-1-3 非還納性右鼠径ヘルニアの一例 ME-1-4 初診時 CT にて診断し得た子宮広間膜ヘルニアの 1 例 末松 友樹:1 1:災害医療センター 野田 啓人:1 1:日本医科大学付属病院 【はじめに】 【はじめに】子宮広間膜ヘルニアは子宮広間膜の異常により発生する内ヘルニアであ 非還納性の右鼠径ヘルニアに慢性虫垂炎を合併した症例を経験したため報告する. る.内ヘルニアがイレウスの原因として占める割合は 1∼2% であり,内ヘルニアの中 【症例】 症例は 65 歳男性.2013 年 9 月初旬に右鼠径部の違和感を自覚.近医受診し,非還納 で子宮広間膜ヘルニアが占める割合は 1∼5% と言われている.保存的治療で改善する ケースは極めて稀であり,多くは手術となる.術中所見で腸管壊死を認め,腸切除に至 性右鼠径ヘルニアの診断を受けたが放置.4 日後当院を受診した.診察上ピンポン玉大 る報告が多い.今回我々は特徴的な CT 画像から初診時に診断でき,手術を行い腸切 の右鼠径部膨瘤を認めたが,発赤・疼痛・熱感などの炎症所見は認めなかった.検査所 除に至らず治癒し得た 1 例を経験したので報告する. 見上も WBC5900µ/l,CRP0.09mg/ml と炎症所見は認めなかったが,診断を受けてか 【症例】50 歳女性,2013 年 11 月,腹痛,嘔吐を認め近医を受診し,4 日後にイレウス ら 4 日経過していたため還納は試みず,鼠径ヘルニア嵌頓の診断で緊急手術となった. が疑われ,当院に紹介された.当院初診時 CT にて小腸の拡張と closed loop を認め, 手術所見は,精索周囲の軽度の癒着認めた.型の如く精索を確保し,ヘルニア嚢を同定 絞扼性イレウスが疑われた.炎症反応の上昇がないことから内ヘルニアが考えられ,原 した.十分に Parietalization を行いヘルニア門周囲の剥離を行った後,ヘルニア嚢を 因として手術歴がないことや子宮付近の拡張腸管に closed loop を認めたことから子 開放した.ヘルニア内容は,漿液性の腹水少量と経度腫大した虫垂であった.右外鼠径 宮広間膜ヘルニアが疑われた.炎症反応の上昇や腹膜刺激症状を認めないこと,CT 上 ヘルニア (Ⅰ-2 管内) の診断.ヘルニア門は内鼠径輪で約 1.5 横指であったため,腸管 造影効果を認めないことより腸管壊死はないと判断し,2 日間経過観察を行った.しか を創外へ出し確認することは困難であったが,CT 所見よりヘルニア嵌頓の原因は虫垂 し,症状に変化がないため手術を施行した.左子宮広間膜に 3cm 大の裂孔を認め,回 炎によるものと判断し,虫垂切除術を施行.根部処理はタバコ縫合が困難であったため 腸が 30cm にわたり陥頓していた.壊死は認めず,用手的に還納でき,腸切除を行う 機械吻合器を用いて処理をした.ヘルニア嚢は結節縫合にて閉鎖した.虫垂は穿孔し ことなく手術を終了した.術後問題なく,術後 7 日目に退院した. ておらず周囲に膿を認めなかったこと,腹膜前腔に炎症所見を認めなかったことより, 【考察】子宮広間膜ヘルニアはほとんどの症例が手術となることが多く,その中の多く UHS を用いヘルニア修復術を行った.術後の経過は良好で合併症認めず術後 7 病日 に退院した.病理所見は Chronic appendicitis with suppurative peritonitis であっ が有用であるが,初診時に造影まで行い腸管壊死の有無を確認することが腸切除を行わ た.現在まで再発所見は認めていない. ないで済んだ理由と考えられる.若干の文献的比較を行い,本症例を報告する. は腸管壊死に陥り腸切除となるため,診断後は速やかに手術するべきである.術前 CT 【まとめ】 本症例は UHS を用いて修復を行いその後合併症なく経過したが,iliopubic tract repair 法で修復している報告例も散見される.虫垂炎と鼠径ヘルニアの合併症例は 1% 未満と少なく遭遇する確率は更に低いが,術式の選択・適応を考えさせられた一例 であった. 第69回 日本消化器外科学会総会 日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery 日本消化器外科学会 第 69 回日本消化器外科学会総会【2014 年 7 月】 ME-1-5 腹腔鏡下に修復しえた S 状結腸間膜内ヘルニアの 1 例 2 ME-1-6 成人の S 状結腸間膜裂孔ヘルニアによる絞扼性イレウスの緊 急手術症例 黒田 友集:1 1:相模原協同病院 消化器病センター外科 岸 和樹:1 1:福井赤十字病院 外科 開腹既往のないイレウスの原因の一つに内ヘルニアがあり,その頻度は 1% 程度とさ れているが,S 状結腸間膜に関連した内ヘルニアはきわめて稀である.S 状結腸間膜に 【症例】40 代男性 【主訴】下腹部痛 【現病歴】夜間に急激な下腹部痛が出現したた 関連した内ヘルニアは,S 状結腸間膜窩ヘルニア,S 状結腸間膜裂孔ヘルニア,S 状結 め,当院救急外来受診.鎮痛剤にて改善せず,精査にて絞扼性イレウスと診断,当科紹 腸間膜内ヘルニアの 3 つに大きく分類される.さらに,S 状結腸間膜内ヘルニアは,外 介入院となった. 【理学所見】バイタルサインは異常なし.腹部平坦・軟,左下腹部 側の欠損である左葉欠損型と,内側の欠損である右葉欠損型に分類されており,イレウ に圧痛あり,腸蠕動音亢進.腹膜刺激徴候なし.【検査所見】血液検査で白血球の軽度 ス症状以外に特徴的な症状を欠き,術前診断は困難であるとされている.われわれは, 上昇を認めた.腹部エコーで回腸の closed loop 所見,腹部 X-p で小腸の拡張および 腹部造影 CT 検査および小腸造影検査より S 状結腸間膜内ヘルニアを疑い,腹腔鏡下 に修復しえた 1 例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する. niveau 形成,腹部造影 CT で closed loop 所見および腸管の血流低下部位を認めた. 【既往歴】過敏性腸症候群,強直性脊椎炎.開腹歴なし. 【手術所見】手術は全身麻酔 症例は 64 歳,女性.腹痛と嘔吐を主訴に,前医を受診し精査入院となった.イレウス 下で,体位は強直性脊椎炎のため半坐位で施行した.下腹部正中で開腹したところ,S の診断で外科的治療も考慮され,当院へ転送された.腹部造影 CT 検査で小腸の拡張, 状結腸間膜に長径 2cm 楕円形の裂孔を認め,間膜の外側から内側に向かって暗褐色で および骨盤内腸管の狭窄所見を認め,減圧目的にイレウス管を挿入した.第 2 病日と 浮腫を伴う回腸が約 80cm 嵌入していた.用手的にイレウスを解除し,孔を閉鎖した. 第 6 病日に行ったイレウス管造影にて,狭窄部位肛門側でループ状に小腸が造影され, 絞扼腸管は血流改善を認めず切除し,機能的端々吻合を行い,閉創し,2 時間 19 分で 腹部造影 CT 検査の所見と照らし合わせ,S 状結腸間膜内ヘルニアによるイレウスを 手術を終了した. 【術後経過】術翌日,誤嚥性肺炎を併発し,抗生剤にて 3 日で軽快 強く疑った.第 7 病日に腹腔鏡下イレウス解除術を施行した.術中所見では,S 状結 閉鎖し,手術終了とした.術後経過は良好であり第 16 病日に退院となった. した.第 2 病日に排ガス,第 3 病日に排便を認め,食事再開とした.経過良好で,第 11 病日に軽快退院となった. 【考察】一般に,腹腔ヘルニア全体の 5% 程度が内ヘル ニア,内ヘルニアの 6% が S 状結腸間膜に関与した内ヘルニアとされているが,S 状 結腸間膜に関与した内ヘルニアは Benson らによると,① S 状結腸間陥凹ヘルニア, ② S 状結腸間膜裂孔ヘルニア,③ S 状結腸間膜内ヘルニアに分類される.本邦での頻 度は,① 25%,② 19%,③ 56% と報告されている.本症例は,S 状結腸間膜裂孔ヘ ルニアと診断されたが,本邦での過去の報告例は 32 例であった.本疾患は非常にまれ 本邦での 1983 年から 2013 年 11 月までの報告例について,医学中央雑誌で「S 状結 であるが,開腹歴のない内ヘルニアの原因の一つとして念頭に置くべき疾患であると考 腸間膜内ヘルニア」, 「腹腔鏡」で会議録を除き検索したところ,自験例を含め 13 例の えられた.若干の文献的考察を加えて報告する. 腸腸間膜左葉の径 3cm の楕円形欠損孔へ,小腸が約 10cm 陥入し絞扼していた.小腸 を引き抜くと絞扼部に血流障害を認めたため,臍部 12mm ポートに 3cm の小切開を おき,絞扼部位が Treitz 靭帯から 140cm の小腸であることを確認し,損傷部を含め た 5cm の腸管切除を施行した.再度気腹し,S 状結腸腸間膜左葉のヘルニア門から内 部を観察すると右葉には貫通せず腔を形成していたため,腹腔鏡下にヘルニア門を縫合 報告があり,そのうち腹腔鏡下での修復例は 8 例であった.さらに,本例のように鏡 視下での縫合閉鎖を施行したのは 5 例であった. S 状結腸間膜内ヘルニアは,腹部造影 CT 検査と小腸造影検査により診断できる可能 性が示唆された.また,日々の診療で鏡視下縫合結紮の修練を行うことにより,腹腔鏡 下でのヘルニア修復術が可能であった. ME-1-7 胸腔鏡・腹腔鏡を併用した外傷性横隔膜ヘルニアの一例 ME-1-8 徒手整復後,鼠径法で待機手術を行った閉鎖孔ヘルニアの 3 例 村主 遼:1 1:群馬大学大学院 臓器病態外科学 木下 聡:1 1:長崎県五島中央病院 外科 【はじめに】近年の鏡視下手術の進歩により,外傷性横隔膜ヘルニアにおいて胸腔鏡や 閉鎖孔ヘルニアは高齢の痩せた女性に好発する比較的稀な疾患である.以前は緊急開腹 腹腔鏡を用いた手術の報告例は増加してきている.今回,我々は胸腔鏡・腹腔鏡を併用 手術が一般的で腸管切除されることもあった.今回我々は徒手整復後待機的に鼠径法で し,低侵襲で手術を施行できた外傷性横隔膜ヘルニアの 1 例を経験したので報告する. 手術を施行し,良好な結果を得た閉鎖孔ヘルニアの 3 例を経験したので報告する. 【症例】38 歳,女性.平成 25 年 8 月,軽自動車の助手席に乗車中,壁に激突し当院救 急部に搬送された.搬送時,軽度の呼吸困難感,前胸部痛,腰部痛を訴えていた.全身 CT にて,右第 10・11 肋骨骨折,右血胸,右副腎血腫,肝損傷 (Ⅰ b 型),および右横 隔膜の挙上を認めた.右副腎血腫,肝損傷に関しては保存的加療で経過を見ていたが, 右横隔膜の挙上が徐々に悪化し右胸水も増加したため,外傷性右横隔膜ヘルニアに対し て,受傷後第 11 日目に手術を施行した.手術は胸部 3 ポート,腹部 2 ポートの計 5 ポートでアプローチした.まず胸腔鏡を用いて胸腔内を観察すると,右横隔膜が心膜面 から胸壁面までほぼ完全に断裂しており,肝臓が胸腔内に向かって拳上していた.上記 所見より,外傷性横隔膜ヘルニアと診断し,横隔膜縫縮術を行う方針とした.横隔膜周 【症例 1】左閉鎖孔ヘルニア 79 歳女性,BMI:20.4 で 3 児の出産歴がある.平成 25 年 6 月 左鼠径部∼大腿の違和 感が出現し,さらに嘔気・冷汗認めるようになったため受診. 【症例 2】左閉鎖孔ヘルニア 88 歳女性,BMI:15.4 で 5 児を出産し,慢性心不全の既往がある.平成 25 年 10 月 胸腹部痛を自覚したため受診. 【症例 3】右閉鎖孔ヘルニア 囲に癒着は認めず,赤褐色の胸水を認めた.腹腔鏡ポートからリトラクターを使用し肝 94 歳女性,BMI:13.2 で 4 児を出産し,慢性呼吸不全,慢性心不全の既往がある.平 成 25 年 10 月 下腹部痛・嘔吐出現したため近医受診.入院の上,経過観察されていた 臓を腹腔内に還納し,非吸収性縫合糸を用いて胸腔から横隔膜を閉鎖した.閉鎖後,腹 が嘔吐繰り返すため当院受診. 腔内を観察し,その他腹腔内臓器に損傷がないことを確認した.術後は画像上,横隔膜 ヘルニアの再発なく経過した.経過良好で術後 5 日目に退院となった.現在まで再発 いずれの症例も高齢の女性で,CT にて閉鎖孔ヘルニアと診断し超音波ガイド下に徒手 は認めていない.【まとめ】外傷性横隔膜ヘルニアの手術アプローチとして,経胸部ま 整復後,イレウス症状や腹膜刺激症状を認めなかったために待機的に手術した.手術は たは経腹部が挙げられるが,鏡視下手術の進歩により胸腔鏡・腹腔鏡を併用することで 鼠径法で Direct Kugel Patch を用いて修復し嵌頓腸管の確認は行わなかった.症例 1 より低侵襲な手術を施行できた.【結語】胸腔鏡・腹腔鏡を併用した外傷性横隔膜ヘル ∼3 の発症から整復までの時間は,それぞれ約 4 時間・16 時間・1 日半,整復から手 ニアの一例を経験したので報告する. 術までの待機日数は,2 日・7 日・9 日であった.症例 1 は腰椎麻酔下,症例 2・3 は 膨潤局所麻酔下 (腸骨鼠径神経・腸骨下腹神経ブロック併施) に施行した.術後経過は 良好で術後 4 日・7 日・1 日目に退院した.合併症があり腸管切除を必要としない閉鎖 孔ヘルニアでは,整復後待機的に鼠径法でヘルニア根治術を行うことは一つの選択肢と して許容できるものと考えられた. 第69回 日本消化器外科学会総会 日本消化器外科学会 The Japanese Society of Gastroenterological Surgery
© Copyright 2024 Paperzz