ジェノバサミット終了直後、小泉首相の記者 1.今日の地方自治制度改革への懸念 会見が行われ、その状況がテレビに映し出され 地方自治制度改革、中でも市町村合併の議論 が盛んであるが、気懸かりな点がいくつかある。 第一には、考え方が、より大きなものへ、よ た。多くの質問が、経済や外交問題に集中する 中、筑紫哲也氏がこのデモの問題を取り上げた。 後に築紫氏は自身の番組の中で次のように り広域的なものへと固定しすぎてはいないか、 語っている。…『先進国が進めているグローバ ということである。第二には、目的と手段とを ル化に対して、それこそグローバルに世界中か 混同していないか、ということである。そして らの摩擦と反発が起きているからです。そこに 第三に、行財政の効率化という側面に議論が偏 はグローバル化が本当に多数の人々の幸せに りすぎていないか、という点である。 つながるのか、自然を含めた環境を守ることが 勿論、今日の我が国では地方自治制度改革や 出来るのかという根元的な問いがあります。』… 市町村合併の必要性に異論を差し挟む余地は 小泉首相からは、この問いの趣旨に叶った回 ないが、これまで地方行政が抱えてきた問題を 考えると、いくつか整理すべき点があると思う。 小稿では、地方自治制度改革、とりわけ、市 答は聞かれなかった。ただ、注目しなければな らないのは、このデモは、単に暴徒と片付ける わけにはいかないことが明らかになったこと 町村合併の本質に関し、思想的な考察を加える である。 とともに、このように捉えた場合、どこに課題 20世紀に、私たちは、ひたすら大きいこと、 があるのか、そして、私たちが目的としている 広域なことを目指し続けた。しかし、その反面 ものは一体何なのかを明らかにしていきたい で、奥の深さ、ゆとりなど大切なことも忘れて と思う。 きたし、そのことに起因する弊害も多く現れて なお、本稿は、筆者の個人的な見解に基づく いる。 ものであることを予めお断わりしておく。 このデモを率いた中心的な人物にフランス 農民労組のリーダー、ジョセ・ボーベがいる。 フランス農業は、グローバリゼーションのかけ 2.20世紀の反省と21世紀の展望 声のもと、ひたすら規模拡大を指向してきたが、 (1)ジェノバサミットが提起したもの その結果、経済的な豊かさがもたらされたとは ジェノバで開催された先進国首脳会議では、 言い難い。農業こそ、グローバリゼーション一 世界経済が混迷を深める中、議論は、世界同時 辺倒ですまされる問題ではない、という議論は、 不況をどのように切り抜けるか、あるいはIT ジョセのみならず、多くの人々が感ずるところ 革命を推進し、グローバル化をいかに進めるか である。 に集中した。 例えば、信号が青になれば進め、赤になれば ところで、本題と外れたところで話題となっ 止まれ、という性格の問題については、世界一 たのが10万人規模ともいわれた非政府組織 のデモ行動であった。このデモ行動については、 律である方が望ましい。しかしながら、ワイン の味わいが、ボルドーの特定のシャトーにより 日本のマスコミの多くが、単なる暴徒という意 世界的に一元化されることはあり得ないし、ま 味で取り上げ、何故あのような大規模なデモが 引き起こされたのか、詳細の報道は少なかった。 た、許されない。 このように、私たちの周囲にあるもの、ある 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 3 いは周囲で起こることのすべてを一律にグロ しかし、その一方で吉田口登山道や船津口登 ーバル化すべきだと考えることはどうも正し 山道など、富士に登る古道は廃れ、富士山信仰 いことには思えない。 のシンボルである富士講の主役であった御師 地方自治制度にも同様なことが言える。広域 (おし)や御師の家は次々と姿を消し、その結 行政を積極的に展開し、行財政の効率性を求め 果、信仰の山としての富士山の存在も忘れ去ら る一方で、ローカルな場所に存在する様々な要 れつつある。 素が尊重される必要があると思う。 進歩の反対に後退する側面があることは事 実であるが、私たちは、20世紀において、 「ス (2)目的と手段の整合性 バルライン的なもの」だけに評価を与えすぎて 山梨県の富士北麓地域では、富士山を世界遺 きたのではないだろうか。 産にしようという運動が展開されている。ここ 実際、富士古道の大切さ、文化的な価値は今 で大切なことは、富士山という類い希な美しい 日でも十分すぎるほどに存在している。21世 山とその周辺に広がる地域が、どのような地域 紀は、従来、忘れられてきたもの、あるいは、 であるべきなのか、その理想像である。 単純に後退側面と見なされてきたものが再評 つまり、世界遺産の指定を受けることが目的 価される時代であろうと思う。 なのではなく、富士にふさわしい地域形成をす ることが重要なのであり、そのために、あるい (4)市町村合併に関する論点 はその結果として世界遺産に指定される場合 市町村合併については、我が国がおかれた状 もある、ということである。ところが、世界遺 況から考えると、避けて通れない問題であるこ 産への指定が目的化すると、「望ましい地域形 とは論を待たない。しかし、その目指すところ 成」という本質が見えにくくなってくる。 と手法については、慎重に検討する必要がある。 同じようなことが市町村合併についても言 市町村合併を議論する際、必ず対立軸となる える。市町村合併もそれ自身が目的なのではな 点に、より広域な自治体が出現することによる く、地域に住む私たちが、日々生き生きと命を 効率性と、その反対側にある地域個性の喪失、 輝かせながら暮らすことが出来る、そんな地域 という軸を挙げることが出来る。 形成のために、手段として非常に重要なのだと こうした構図は、実はジェノバサミットで問 思う。 題となった反グローバルな動きや20世紀に 我々が「スバルライン的なもの」をひたすら追 (3)進歩と後退の狭間で 求してきたことに対する反省と軌を一にして 前項で触れた富士北麓地域で、もう1つ、動 いる。 きが起きている。それは、富士古道を再生する 何故ならば、市町村合併を進めることは、 活動である。 様々な地域課題を一元的に処理することによ 昭和30年代に「富士スバルライン」が富士 り効率性を追求し新しい自治体経営を可能と 山5合目まで開通し、お年寄りも体の不自由な する一方で、地域特性や地域が積み重ねてきた 方々も富士山に容易に登ることが可能となっ 資産が失われ、身近な自治を失うことも危惧さ た。このことは、十分に評価に値することだと れるからである。ただ、様々な情勢を考え併せ 思う。 ると、少なくとも、現在のような地方行政の姿 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 4 では、厳しい時代を乗り切ることは出来ないこ ど同じ組み合わせで広域行政を行うというこ とも事実である。 とはない。 それでは、このように対極にある問題の調和 さらにフランスの自治で特徴的なことは、市 を図りながら、21世紀にふさわしい自治の姿 町村、広域組合、県、州、国といった組織に応 を私たちはどのように発見したらよいのであ じて、意思決定までの時間が全く異なるという ろうか。 点だ。村人たちは意思決定の時間速度を優先さ この答えを見いだす前に、整理しなければな せるか、それとも意思決定の時間速度よりも、 らない論点がいくつかある。 皆で取り決めることを優先させるか、それが統 治範囲の広さを決定するとよく言う。 どういうことかというと、一番大きい自治範 3.21世紀の地方自治を構想する視点 囲として国があるが、国には皆で決めることよ 我が国の地方自治には、行政、財政、税制、 り、意思決定のスピードが要求される。極端な 権限など様々な問題が存在する。これらの問題 話、他の国が攻めて来た場合、皆で話し合って については、様々な議論がなされている。ここ いては間に合わない。故に、意思決定のスピー では、こうした問題とは異なった角度から問題 ドが重要となる。 の所在を明らかにしたい。 一方、市町村のように身近なレベルでは、N POを中心にとことん話し合った結果として (1)フランスからの報告 意思決定がなされるため、結論に至るまでの時 1997年から今年の夏まで5回、静岡県掛 間は相当長い。もう少し広域の県が行う道路建 注)1 川市で「掛川哲学塾」が開催された。2000 設事業や州が行う災害復旧事業などは、必然性 年の哲学塾において、哲学者の内山節氏から、 に追われ、意思決定までの時間は市町村におけ フランスの地方自治について、概ね次のような る時間よりも短くなっている。』… 注)2 報告がなされた。 つまり、フランスの自治の世界は「身近な行 …『フランスには3万6千位の市町村がある。 確か、人口ゼロという村もあったように思う。 政分野に近づくほどNPO的な取り組みが主 体となり、広域的な仕事については、フレキシ 基本的に、村長、助役、村会議員などは皆無給 ブルに多層に行われていることに加え、各層の で、職員はいるけれども、非常に少数である。 自治体が行う事務の性質により、決定までの時 こうした中で、住民が構成するNPOが村の 間が1つの軸によって展開するのではなく、多 行政を手伝っている。例えば、小学校を運営し 様な軸で展開している」ということである。こ ていくNPOとかペタンクール(ゲートボール うしたフランス地方自治のあり方は、我が国に のようなもの)を運営するNPOなど様々なN も重要な示唆を与えている。 POがあり、行政をサポートしている。村人は、 複数のNPOに所属して自らが地域づくりに (2)地域の領域のとらえ方 関わっている。 さて、フランスでは統治の領域により、自治 広域的な問題は、非常にフレキシブルに広域 のスタイルが個性をもって運営されているよ 組合的な組織を作って対応している。課題ごと うであるが、この統治の広さ、つまり、地域的な に様々な組み合わせがあり、日本のように、殆 広がりを規定するものは一体何なのであろうか。 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 5 (図表1) 地域類型 等質地域 機能地域 形式地域 標本地域 概 念 例えば、温帯、熱帯など、一定の性格が極めて類似した地域をひとくくりに して定義した地域。一般的には地形的、自然的、歴史的、文化的に均質な地 域の概念で、行政境と一致するケースが多い。 何らかの地域を中心にして結びついている地域の概念。例えば、東京圏、大 阪圏のように東京、大阪といった都市機能を中心に結びついている地域のこ とを指し、必ずしも行政境とは一致しないことが多い。 衆議院議員選挙の小選挙区のように、実務上の理由から形式的なくくりとし て定義される地域 国勢調査の調査区域のように、何らかのデータを採取するために標本として 設定される地域 地域の文物は、その地域ごとの風土を基礎と も、旧藩の面影を引きずるところも少なくない。 して存在する。さらに厳密に規定すると、それ これにはやはり、自然や歴史文化が形成してき ぞれの地域の自然環境を反映して、ローカルな た等質性がその根底にあるように思える。 思想=つまり、その地域独特の考え方や作法= 一方、極めて強い拠点性を持つ都市を核にし が生まれその思想に基づき地域の文化が醸し ているような地域は、その求心性が強く、等質 出され生活が営まれる。例えば、九州の人と東 性と同様に、地域住民にとってその機能の及ぶ 北の人とでは森に対する考え方が全く異なる 範囲が、重要な問題となる。特に、高速道路や し、様々な地域産業の展開形態も大きく異なる。 新幹線などの高速ネットワークが整備された このことは、九州と東北という大ぐくりのエ 場合、この傾向は一層強くなる。 リアでなくても、川を挟んでこちら側と向こう これまで私たちは、地域問題に対し、こうし 側といった狭い地域でも当然に生じてくる。例 た地域の概念や特質を整理しないままに対応 えば、水が容易に手に入る地域とそうでない地 してきたため、様々な混乱を引き起こしてきた。 域とでは、農業生産の形態が異なるはずである。 今後は、行政課題に応じて、機能的な特性や等 私たちは、無意識のうちに「地域」という言 質的な特性に応じた合理的な制度設計を行う 葉を使っているが、その言葉の中には、実は、 必要がある。 様々な意味合いが存在している。おおまかに分 類すると、図表1のようになる。 (3)狭義の場所と広義の場所 上記の内、形式地域や標本地域は決めごとと 地域の領域を外から見渡せば前項のような して設定される領域であり、いくつかの小選挙 論点になるが、私たちの生活の内側からみると 区のように、実態とかけ離れた範囲が設定され どのようなことが言えるであろうか。 た場合には問題となることもあるが、通常、あ 私たちは日々、地域の自然、家族、コミュニ まり問題にはならない。一方、等質地域と機能 ティ、学校などの基礎的な場所を媒介として形 地域は重要な問題を内包している。 成される関係の総和の中で生きている。こうし 例えば明治維新の際に、旧藩を分割したり、 た場所を「狭義の場所」と呼ぶことができる。 強引に統合して成立した都道府県では、今日で 同時に、こうした場所だけではなく、他の地 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 6 注)4 域との交流、離れた職場との交流、同じような はなく、むしろその本質は「無事な地域を創造 嗜好をもった人々との交流など、様々な交流の すること」にあるように思う。 場所も持っている。こうした場所を「広義の場 地域経済が活発になること、地域の環境が麗 所」と定義することができる。 しくあること、これらは勿論重要なことには違 こうした場所以外に、私たちは時間という軸 いないが、私たちはこれまで、こうした概念を を持って暮らしていることを考え併せると、私 一括りにした言葉や行動規範を持ち得なかっ 注)3 たちは、狭義の場所と広義の場所という2つの た。このため、環境破壊や財政危機などの問題 場所に暮らすとともに、こうした場所を平面に を度々引き起こしてきた。 しながら、時間という空間の中で生活している、 21世紀になって、こうした反省を生かして ということが出来る。 地域社会を構想するとき「地域の無事」という 2つの場所に生活する地域住民に対し、時間 概念が大切に思える。つまり、地域の自然が無 を勘案しながらどのように効率的かつ効果的 事であること、家族が無事であること、地域社 に行政サービスを提供するか、このことが、今 会が無事であること、こうしたことの総和が、 日の地方自治体経営に求められている重要な 望ましい地域を形成し「無事な地域」を創造す 視点なのである。 るのだと思う。 私たちは、「無事な地域」を創造することを 念頭において、地域社会のあり方を構想する新 4.望ましい地域形成 しい時代に入っているのではないか。 今日、地方自治制度改革が重要な問題として 浮かびあがっている背景には、国、地方を通じ 5.我が国の地方自治の抱える課題 た財政危機への対応という側面が色濃くある。 さらに、少子高齢化、環境問題への対応、経済 このように地域を捉えなおし、その先の地域 危機への対応などの要因が加わり、どちらかと 社会を構想するとき、我が国の地方自治にはど いうと硬直的な制度改革論が多い。 のような制度的な問題点があるのであろうか。 こうした状況の中で、どの地方自治体も環境 問題等に配慮しながら、いかに地域を活性化し (1)役割分担論 ていくか、必死に考えている。しかしながら、 我が国の行政サービスはその多くが国・県・ 一体何を指して地域活性化というのであろう 市町村が何らかの形で関わりながら進められ か。IT産業が盛んになり、地域経済が潤うこ ている。そのことを保育所運営費の例で説明し とであろうか。あるいは、観光施設が注目を集 てみたい。 め、全国から多くの人々が来て、賑わいをもた 保育に欠ける児童を、養育する親が市町村の らすことであろうか。確かに、このような様々 保育所に預けようとする場合、まず最初に、市 な難問に真摯に取り組まなければ、地域社会の 町村の担当課に入所の申請に行くこととなる。 未来はあり得ない。しかしながら、何か本質論 保育所への入所決定には、様々な条件がある が欠けているような気がしてならない。 が、これに合致する場合、国や地方自治体が定 様々な困難を乗り越えて、地方自治制度を改 める負担金を支払い、保育所に入所し、一定の 革することの意義は、決してこのようなことで 行政サービスが提供される。 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 7 (図表2) 厚 生 労 働 省 法 令 条件審査 条件合致 運営費助成 都 道 府 県 条例規則 条件審査 条件合致 運営費助成 市 町 村 条例規則 入所申請 審査・入所決定 負担金納入 保育の実施 家 庭 この際、国は予め児童福祉法あるいは同法施 (2)守備範囲論 行令や施行規則に基づき、入所に関する様々な 次に、行政の守備範囲論について考えてみたい。 要件を定め、これに合致している場合、その児 今日の行政は、国際条約の批准から有害鳥獣 童の入所に要する費用の10分の5を、都道府 の駆除まで、実に様々な業務を担っている。問 県が10分の2.5を児童福祉施設運営費とし 題は、その業務が国・県・市町村の3層構造の て市町村に助成する(従って市町村の負担は1 中で、広い範囲で重複していることである。図 0分の2.5となる)。このことを図式化すれ 表3を見て頂きたい。 ば図表2の通りとなる。 我が国では、国から都道府県を経由し市町村 児童の入所の決定権限は市町村長にあるた に降ろされる仕事の量が極めて多い。このこと め、国がこのことに関し深く関与することは希 は、下図で言えば、ab間とcd間とef間の である。しかしながら、基本的な入所条件は法 長さがほぼ近い値であることに表れている。 令により全国一律に決定されるため、こうした 例えば、Aは自衛隊に関する業務だとすれば、 条件に合わなければ、入所は認められず、また、 これは国独自の業務となるが、こうした業務は 国からの助成は原則的に受けられないと考え 極僅かしかない。現実には、BやCのように、 て良い。 国、都道府県を経由して市町村に流れてくる業 このように、保育所行政は、国・県・市町村 務が圧倒的に多いのが実情である。 のそれぞれの担当セクションにより、階層的に こうしたシステムは、中央集権的な性格を持 行われている。我が国の行政事務の多くは、こ ちやすく、硬直的で非効率なシステムとなりや うした構造になっているが、こうした構造は、 すい。今後は、3つの性格の異なる行政体が、 硬直的で非効率なものになりがちである。 ほぼ同じ守備範囲の業務を階層的に担う行政 システムから、ネットワーク型の地方自治シス テムに移行する必要がある。 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 8 (図表3) a b 国(様々な省庁) c d 都 道 府 県 e f 市 町 村 A B C (3) 施設配置論 模が異なることから、この面から考えた場合、 次に施設配置論について考えてみたい。 広域行政や合併の枠組みが簡単には定まらな 仮に、50人定員の特別養護老人ホームを建 い要因となる。 設する場合を考えると、後背人口としてどの程 度の規模が必要となるであろうか。ある地域の 平均的な高齢化率を22%と仮定し、ゴールド 6.新しい時代の地方自治の制度設計 プラン等に規定された入所者発生率を1.2 さて、これまで、私たちが再認識しなければ 5%と仮定すると、次の算式により約1万8千 ならない本質的な考え方、そして、こうした考 人の後背人口が必要となる。 え方にたったとき、何がネックになるのかを検 50÷22%÷1.25%=18,200 討してきた。それでは、21世紀の地方自治の 同様に、次により規制量以上のダイオキシン あり方をどのように考えたら良いのであろう を発生させない可燃ゴミ処理施設を建設する か。 場合に必要な後背人口は約10万人となる。 (1)機能的に処理することの必要性 100t÷1㎏(1人当たり平均ゴミ排出量)= 先に、地方自治制度改革の目指すところは 100,000 「無事な地域を創造すること」ではないかと考 このように、他の条件を加えず、施設の機能 えた。さらに、地域には等質性と機能性という 面だけ捉えて考えると、様々な施設ごとに必要 要素があり、私たち生活者は「狭義の場所」と な後背人口が決定される。市場原理が働く場合 「広義の場所」を持ちながら生活していること は、マーケットの規模に応じた適正機能配置に を指摘した。 近づいていく傾向があるが、行政が、その領域 とすると、その地域固有の仕事やシステムと 内のみを捉えて機能配置を考える場合、行政境 して何が重要かつ必要なものなのか、また逆に、 がネックとなってどうしても適正規模の施設 何を単に機能的にグローバル(広域)に委ねて 配置を行うことは困難となる。 しまって良いのか、明らかにすることが重要な ここに、広域行政や市町村合併の必要性が生 こととなる。この際、フランスからの報告にあ じるが、機能ごとに行政サービス提供の適正規 ったように、時間の概念を考慮することも重要 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 9 だと思う。 広がりを検討することが重要である。 こうした整理をする場合に、どうしても行政 ここでは、概ね8つの領域に地域を区分して の役割分担論と守備範囲論を再検討する必要 いる。極端な話、この領域ごとに行政体があっ がある。少なくとも、現在の役割分担と守備範 ても構わない。事実、ドイツでは、地域によっ 囲では「無事な地域」を創造することは難しい。 ては、7層の行政組織が存在している。 また、現在議論されている行政組織の3層論 また、前述した特別養護老人ホームや可燃ゴ や2層論もナンセンスに感じる。重要なことは、 ミ処理施設のように、等質性よりも機能性が重 何層にするか、ということではなく、機能と個 視される施設については、国土交通省が整備し 性、広域と狭域の境をどこに置くかである。私 ている国土数値情報や国勢調査のメッシュデ 案として、図表4のような機能分担、守備範囲 注)5 ータ等を用いれば、理論的な建設最適配置を示 を提案したい。 すことは可能である。 下図では、住宅と教育という分野に限って地 勿論、理論値だけで適正配置が可能となるわ 域社会のどの部分で対応すべきかを示してい けではないが、まさに機能的に処理しさえすれ る。行政がカバーする様々な分野には、広域に ば良い業務については、こうしたツールとこれ 任せれば十分なこと、逆に広域に譲ることがで に併せたシステムを用意し、機能的にカバーす きないものがあるはずである。何よりも、それ る範囲を示す必要性があるのではないか。 ぞれの分野で、その事務を任せる最も望ましい (図表4) 地域社会 の段階 活 動 地 区 市町村 広域 市町村圏 県 地方 ブロック 日 常 的 機 能 広 域 的 機 能 住宅 個 人 住 宅 大 規 模 住 宅 団 地 マ ン シ ョ ン 公団住宅 教 教育 育 コミュ ニティ 機能 種別 居 住 近 隣 国 高 次 機 能 幼 稚 園 公立小学校 公立中学校 私立小・中学校 普 普 通 高 校 定 定 時 制 高 校 農・商・工 ・商・工 高 校 専門学校・各種学 専門学校・各種学校 ・各種学校 短 期 大 学 工 業 高 専 総 合 大 学 単 科 大 学 養 成 所 職員訓練校 各 種 学 校 学 習 塾 特 殊 教 育 学 校 予 備 校 (2)補完性の原理から完了性の原理へ (1)のような機能分担あるいは多層的な行 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 10 注)7 注)8 政組織を考える際には、補完性の原理、という みにつては、群馬県、山形県西川町、静岡県掛 考え方が重要となってくる。 川市、東京都三鷹市、兵庫県宝塚市など、各地 補完性の原理は、欧州統合の際の基本的な原 で試行されている。今後は、広域行政や市町村 理であるが、要約すると「より小さな組織でで 合併の取り組みに併せて、こうした制度を如何 きることは他の組織に任せない。言い換えると、 に地方自治制度の中に位置づけていくか、法制 度まで含め、検討する必要がある。 大きな組織は小さな組織を補完するに過ぎな い。」という原則である。 (4)フルセット型地方自治体を超えて 補完性の原理は、我が国でも様々な場面で 注)9 注)6 紹介されているが、根源は、1931年にロー 関満博氏は、バブル崩壊後の産業構造の変革 マ教皇ピオ11世が示した社会回勅「クアドラ について、次のように述べている。 ジェシモ・アノン(40年後)」にある。 …『明治の近代工業化以来一貫して追及され、 原文から推測すると、大きな、あるいは広い 日本人の常識にさえなっている、すべての産業、 側に立つ人間がイニシアティヴを発揮するの 技術分野を一国内に抱え込むという「フルセッ ではなく、小さな集団で出来ることはその段階 ト型産業構造」の時代は終焉したということだ で処理するという意味では、補完というより完 ろう。そして、次の時代は明らかに「アジアと 了に近い。完結ではないが、一定のステージと の新たなネットワーク形成」が予感されながら、 しては完了する。故に、常に次のステップが用 その具体的なイメージが描ききれていない。』 意される必要があるという意味で、完了性の原 … 理であると考えてよい。 地方行政は、バブル崩壊前後から度重なる経 自治の世界に即して言えば「個人で出来るこ 済対策等の結果、道路、文化施設、温泉施設な とは家族に任せない。家族で出来ることは自治 ど様々な分野への過剰な設備投資と地方債残 会に任せない、自治会で出来ることは市町村に 高の増大、という局面に陥っている。現在の地 任せない、市町村で出来ることは県に任せない。 方債残高に加え、過剰投資へのつけが回ってく 県に出来ることは国に任せない。」といった意 るのだから、今後一層地方の行財政運営は厳し 味になろう。 いものとなる。勿論、このことは地方のみの失 敗と言い切れない側面もあるが、責任逃れはで (3)小さな自治への取り組み きない。 現行地方自治制度の中では、市町村が最小単 ただ、関氏が我が国の産業構造が変革を迫ら 位であるが、一口に市町村と言っても、面積や れていることを「フルセット型産業構造を超え 人口規模など、大きな差が存在している。 て」と指摘したのと同様に、現在の地方自治体、 規模の大きな自治体になればなるほど基礎 とりわけ市町村は、あまりにフルセットで全て 的なコミュニティに至るまでのきめ細やかな の行政分野を担当しすぎている。また、長い間 行政を執行することが難しくなる。ところが、 固定している地方自治制度の中で、こうした 現行制度では、地縁団体や財産区など特定の目 「フルセット型行政」が当たり前になっている。 的を持った団体以外、市町村より小さな組織に しかしながら、これまで述べたように、行政 法人格を認めていない。 こうした小さな自治の制度に対する取り組 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 11 の役割分担や守備範囲を見直し、完了性の原則 どは世界標準で決まることが望ましい。こうし に基づき自治体ネットワークを構築するとと たことは、どう考えても「その程度のこと」で もに、小さな自治の制度を活用すれば、フルセ ある。「その程度のこと」であれば、グローバ ット型行政体の必然性は薄くなり、機能的で広 ルに任せておけばよい。 域的な行政や効率的できめ細かな行政も可能 一方、富山県白川郷のような風土にあった建 となることは間違いない。フルセット型行政の 築、景観を有する地域は、ローカルを主張すべ 時代は既に終わり、機能性の向上と地域個性の きである。こうしたものがグローバリゼーショ 高質化を同時に可能とする自治制度創造の時 ンに飲み込まれる必要はない。 代に既に突入している。 繰り返しになるが、こうしたことを考えると き、常に進歩の側面だけを評価してきたのが2 0世紀である。21世紀の地方自治は、こうし 7.機能的な自治論…フルセット型自治 体を超えて た過ちを繰り返すことは許されないが、こうし 冒頭でジェノバサミットが提起したことに 行政を積極的に進めることと並行し「小さな自 ついて触れた。それは、これまで私たちが、い 治のシステム」の確立がどうしても必要となる。 つの間にかグローバルなことの方が何か偉い 既に21世紀は始まっている。「無事な地域 もののように感じてきたのだが、よく考えてみ の創造」という新しい観点から地方自治の制度 ると必ずしもそうではないという主張である。 設計を始める時が来た。 た側面を的確に評価し活用するためには広域 信号機の色、携帯電話の仕様、様々な標識な 注)1 内山節氏、大熊孝氏(新潟大学)、鬼頭秀一氏(東京農工大学)で構成する3人委員会に、榛村掛川市長が賛同 して開催された。掛川哲学塾の原点は、そもそも、思想とはローカルなもので、世界を統一するような普遍的な思 想などあり得ない、という点にあった。こうした視点から、ローカルな思想を創る、市場経済を組み替える(農文 協から同名の書籍発刊)、消費されない時を創る、といったテーマについて成果を示している。 注)2 報告の内容については「国民と森林」2001年夏季第77号に詳しい。 注)3 「狭義の場所」と「広義の場所」については『ローカルな思想を創る』((社)農山漁村文化協会)48頁を参照 注)4 地域の無事については、『ローカルな思想を創る』の中で内山節氏がその概念を提唱している。(前掲書46頁 参照) 注)5 国勢調査の人口メッシュデータや道路、鉄道などの地図データを重ね合わせると、例えば、高齢人口重心などは 簡便に計測可能である。こうしたツールの応用により施設の適正配置を示すことは可能である。 注)6 例えば「補完性の原理と政府に関する調査研究」神奈川県自治総合センター 平成6年 などがある。 注)7 小寺群馬県知事は、小さな自治について朝日新聞(平成11年3月8日付「論壇」『小学校区を住民の「自治区」 に』)で以下のように述べている。(群馬県ホームページから抜粋。) こんな末端の自治の単位ができないものかと考えている。 小学校の校区ごとに自治区を設ける。 自治区は3億円位の財源を持つ。 住民の自治により、近隣社会の日常生活において、住民が必要と判断する諸事業を行う。 飛行機で行動する区域が国であり、自動車で動く区域が都道府県であり、自転車で用を足せる区域が市町村では ないかと思う。さらに実際には、歩いて生活するコミュニティがある。ここにそれぞれの「小さな政治」が必要な のだが、今の日本にはそれがない。良い政治が育つには、この小さな単位での自治意識が土壌として必要なのである。 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 12 今でも、PTA・自治会・町内会などの名称の自治組織がある。それぞれの家庭から会費千円程度を徴収し、そ れを集めてせいぜい百万円くらいの一年の予算を組み、お祭り・運動会・文化事業・廃品回収・道路の清掃など、 身近な共同生活の事業を営んでいる。 私の考えは、これを大きく進めて、行政から一定の財源を移譲し、事業を拡大するのである。普通の人は何百億 円、何千億円、いわんや何兆円というお金はまったく勘定できない。見当がつかない。それが庶民の金銭感覚であ る。PTAや町内会の予算額である百万円なら、実感がわく。何のために、いくら支出すべきか、何が不要か、実 感として理解できる。これを一歩進めて3億円くらいまでならば、まだ、個人の推量ができる範囲におさまるので はないか。住宅十戸分くらいの金額である。 公民館・児童公園・側溝整備など近隣の「ハコモノ」や「公共事業」に予算を使うか、老人福祉・医療・子育て・ 文化などのために予算を使うか、3億円の範囲内で優先すべき事業を住民が選択すればよい。処理が困るポリ袋・ 発砲スチロール・過剰包装などのゴミ処理にお金がかかり過ぎるならば、住民はスーパーで、トレーに盛りラップ に包まれた刺身は買わないようになるかもしれない。それによって、環境問題も頭で理解し口で言うだけではなく、 実践に移されるであろう。 必要があるから予算を組む、というのではなく、予算の範囲内で必要なものを選択するのである。家計ならば当 たり前のことなのだが、今の日本の政治や行政には、この感覚がやや欠けているように思われる。 これは、政治や行政の担当者だけでなく、住民についても言えることである。補助金などによる複雑な財政の仕 組みが、納税者としての意識をにぶらせている。行政が、あまりにも複雑で大きなものになってしまった。そして、 政治や行政が国民から手の届かないほど、遠くなってしまっている。 自治区の事務所は、小学校の空き教室に置けばよい。いろいろな会議は、夜に小学校で開けばよい。ほとんどの 役員は常勤でなく、報酬も実費程度でよい。専任の職員は若干名は必要だが、熟練の退職公務員を採用するのもい いし、役所から公務員の出向を求めるのも一つの方法である。官と民との結合と信頼関係を築くためである。小学 校に、用務員さんや宿直の先生がいなくなって久しい。警備保障会社のパトロールでは火災や事件は防止できても、 子どもの顔や行動まで見るには至らない。子どもが放課後、学校に居残って遊ぶ環境が失われてしまった。小学校 を自治区にすれば、大人が小学校に出入りするようになる。子どもたちが何をやっているのか、大人は注目するよ うになるだろう。小学校は再び、昔のようににぎやかな場所になるだろう。老人と子どもとの結びつきもできるだ ろう。孤立した子供と孤独な老人ばかりが増えることもなくなるのではないか。 政治とはそもそも原始的であり、素朴なものであると思う。小学校の自治区は、その最小単位である。最小単位 の集まりが市町村となり、都道府県となり、日本の国となる。最近、市町村の合併が言われている。そのことを否 定するものではない。しかし、単に効率とか能率といったことばかりを考えていると、政治はますます国民の手の 届かない存在になってしまうのではないか。 注)8 掛川市では、小さな自治のシステムとして、次のような取り組みを行っている。(掛川市ホームページから抜粋。) 3 住民主体のまちづくり推進のために (1) 市民総代会システム ・自治区3役など地域の世話人を市民総代とし、市政運営の中に位置づけ 地区集会…… 16 小学校区別+1=17 会場 10∼11 月 ↓ 中央集会…… 141 自治区三役、市三役・部長4月 中央集会(4月) → 地区集会(10・11 月) → 予算編成(12 月) → 控帖(4月) → 施政方針(4月) → 中央集会→ 地区集会と回転 市政の広報・広聴(意見、要望、苦情、アイデアの交流) .『市長区長交流控帖』……地域と行政を結ぶ情報の伝達と記録管理 意見要望を言いっ放し聞きっ放しにしない、考え方・方針を明示 注)9 関 満博「フルセット型産業構造を超えて」(中公新書) 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 13 ご案内のページ PHP「公共経営研究センター」について PHP「公共経営研究センター」について 公共経営研究センターでは、日本社会の改革の方向性として分業・分権型社会を構想し、その実現の道を自 治体相互が連携して実務レベルから切り拓いていくリージョナル・ネットワークの形成をめざしています。 主な活動として、インフォーマル、ノンプロフィットベースで自治体相互が情報交換、共同研究する「公共 経営研究会」の開催、ネットワークツールとしての「政策研究レポート」の発刊などがあります。 開催予定1 【 公共経営研究会 】 *今回は金融財政問題がテーマです(PFIは10月度の会合で取り上げます)。 近日中にご案内状をお届けします。 日 時:東 京 ― 9月 4日(火)13:30∼16:00 京 都 ― 9月11日(火)13:00∼15:30 テーマ:①ペイオフと自治体のリスクマネジメントについて ②新BIS規制と自治体の資金調達について 講 師:宮脇 淳 先生 北海道大学大学院教授 浪川 攻 先生 金融ジャーナリスト 会 場:東 京 ― ダイヤモンドホテル(千代田区一番町 25 番地) 京 都 ― PHP総合研究所 京都本部(京都市南区西九条北ノ内町 11) 開催予定2 【公共経営シンポジウム】 *公共経営研究センターでは、数名の首長様にご参画いただき、国の集権的、マクロ的、東京中心的 な改革論議に対し、分権型の改革シナリオと地方サイドからの改革案を提起するシンポジウムを開 催します。ご案内は9月中旬の予定です。 日 時:10月26日(金)または27日(土) 13:00−17:00 テーマ:「危機の集権、平時の分権 「危機の集権、平時の分権 −分業・分権型社会への政策戦略−」 −分業・分権型社会への政策戦略−」 パネリスト:逢坂誠二(ニセコ町長)、梶原 拓(岐阜県知事)、木下敏之(佐賀市長)、 増田寛也(岩手県知事)、清水聖義(太田市長)ほか数名の首長様を予定 コーディネーター:宮脇 淳(北海道大学大学院教授) 会 場:霞ヶ関東京會舘(千代田区霞が関 3−2−5 霞が関ビル 35 階) 「地方分権の現状と課題に関するアンケート」ご協力のお願い 公共経営研究センターでは、今日の財政状況に関する基本認識、分権一括法に関する評価と課題、「骨太 方針」など政府改革案に関する評価と課題、分権型社会にむけた地方自治体の課題などについて、自治体 の首長様及びご担当者様を対象にアンケート調査させていただきます。発信は8月上旬の予定です。結果 は、上記のシンポジウム及び「政策研究レポート」など弊所媒体を通じて、個別名称は伏せることを条件 に公表させていただきます。とりわけ、地方サイドに立った提言策定にあたって参考にさせていただきた いと存じますので、何卒ご協力たまわりますようお願い申し上げます。 「PHP 政策研究レポート」(Vol.4 No.53)2001 年 9 月 14 「PHP政策研究レポート」 「PHP政策研究レポート」は、これまで、「地域主権」を担う地方自治体を対象の中心に据え、 地域の企業や住民をも視野に入れ、政策論議に資する情報の提供を第一の目的としてきました。その ため、PFI、政策評価、公会計制度改革、あるいは財政投融資の制度改革や地方債問題など、地方 行政に新たな流れをもたらす諸問題を取り上げてきました。 一方で、こうした情報提供の側面に加え、情報を活用し、新たな政策を形成する政策分析の手法自 体を提供することも重要な目的として位置付けています。とくに、パラダイム転換の時代には、政策 分析をめぐる思考の再構築が重要なテーマとなります。新しい情報をいかに集めても、その情報を活 用する思考の枠組みが変わらなければ、時代の変化、社会の潮流に対応した新たな政策を生み出すこ とはできないからです。 本レポートでは、こうした視点に立って、政策策定に資する情報と同時に、地方自治体や地域住民 等が政策に対する新たな思考の枠組みを自ら形成するツールを提供していきたいと考えています。地 方自治体や地域の政策展開、さらには官民連携に微力ながら貢献できることを願っています。 PHP総合研究所 公共経営研究センター 2001 年既刊テーマ一覧: 46 号 1 月 電子自治体の実現にむけた戦略と課題 47 号 2 月 特殊法人改革と財務情報の質の問題 −日本道路公団を例に− 48 号 3 月 行政改革と行政サービス実施コスト計算書の機能 49 号 4 月 日米の医療経済に関する比較 別 冊 財政投融資制度改革の問題点 付.日本道路公団の財務状況に関するケーススタディー 50 号 5 月 ABC(Activity Based Costing 活動基準減価計算)による行政コストの分析 51 号 6 月 【特別寄稿】地方行政の中にPFIをどう位置付けるか −三重県の事例を踏まえて− 52 号 7 月 ペイオフと新BIS規制 「PHP 政策研究レポート」(Vo.4 No.53) 2001 年 9 月発行 監修 宮脇 淳(北海道大学大学院教授) 発行責任者 江口克彦 制作・編集 PHP 総合研究所公共経営研究センター(秋山憲雄 島 泰幸 大島友美) 〒102-8331 千代田区三番町 3-10 TEL:03-3239-6222 FAX:03-3239-6273 E-mail:[email protected]
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