株式会社フィラディス 横浜市中区桜木町1-1-7 TOCみなとみらい12階 TEL:045-222-8875 / FAX:045-222-8876 Firadis Newsletter 2016年3月号 フィラディス実験シリーズ第9弾 『豚肉にマリアージュするワインを探せ!!』 営業 松戸 葉月 今回のマリアージュ実験のテーマは、『豚肉に合うワイン』です。 これまでお肉に関しては、2012年10月号で“ステーキに合う赤ワイン”をテーマに 部位・産地別で検証しました。また、2014年7月号では旬な熟成肉に合うワインを実 験してきました。 今回は牛肉から離れ、どんなジャンルにも使われ日常的に親しまれている『豚肉』 をテーマに実験を行います。豚肉は国産のロース肉をグリルしてシンプルに塩のみ で味付けしたものを使用しました。本来であれば調理方法やソースなどを含めて考 えるべきではありますが、素材としての豚肉とワインのマリアージュポイントが分か れば調理法や味付けで別の方向性を見出していけるだろうと考えて、塩のみの味 付けとしています。 また、前菜からメインまで幅広く使われる豚肉だからこそ、スパークリング&ロゼ、 白ワイン、赤ワイン毎に検証し、マリアージュするポイントや方向性を探りました。 <脂が美味しい国産ブランド豚「白金豚」の ロース肉をいただきました!> 【実験方法】 ○ お肉は豚ロース肉(厚み2cm)をグリルし、シンプルに塩で味付け。必ず肉と脂 を一緒に口に入れて咀嚼する。 ○ ワインはブラインドにてテイスティングする。 【マリアージュの判断方法】 まず基本として、料理とワインの「ボリューム」と「テクスチャー」が合うかどうかを判 断する。双方が合うものについては、「五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)」と「フレー バー」を以下のマリアージュポイントを参考にしながら分析していく。 ☆ マリアージュポイント ☆ ・同調 (ワインと料理の個性の一部が寄り添うことで双方を高め合う) 例:タイムの香りがする料理にグリーンノートのあるワインを合わせる。 ・中和 (お互いの個性を中和させて味わいのバランスをとる) 例:カベルネ・ソーヴィニヨンと仔羊の組合せが好例。ワインのタンニンが仔羊の脂を中和する。 ・補完 (ワインと料理の双方が揃うことで、足りなかったものを補完する) 例:塩味&旨味を持った料理に甘味&酸味を持つワインを合わせ、五味を補完し合う。 ※過去の実験は弊社ホームページからご覧いただけます。 ◇[2012年10月号] 実験シリーズ第2弾 『“ステーキに赤ワイン”・・・・その赤ワインってなに?』 http://www.firadis.co.jp/newsletter/201210marriage ◇[2014年7月号] 実験シリーズ第3弾 『熟成肉にマリアージュするワインとは?!』 http://www.firadis.co.jp/newsletter/201407 1 Firadis Newsletter March 2016 【結果: スパークリング&ロゼ部門】 シャンパンが圧倒的!ミネラルが強くほんのりとタンニンを持つロゼシャンパンがNo.1に。 ☆ マリアージュポイント ☆ * 泡はきめ細かく複雑味があり、ミネラルが引き立つもの ⇒スパークリングよりもシャンパンが優位 * 若干のタンニン分があれば、豚肉をより引き立てる ワイン 産地 NV Jade / Vinosia 伊、カンパーニャ 品種 ファランギーナ100% 1 洋ナシや黄色い花などの華やかな甘味のあるアロマティックな香りが特徴的。 NV Cava Brut Reserva / Sabartes 西、カバ 2 パレリャーダ38%、チャレロ31%、マカベオ 23%、シャルドネ8% ピュアな果実から旨味までクリスピーな酸が包み込む。ドライでありながらボリューム感も満足。 NV Cremant de Loire Brut / Ch. de l’Aulee 仏、ロワール シュナン・ブラン100% 3 シュナンブランの癒し系な甘味と柔らかさ。細かなミネラルと酸のバランスが素晴らしく、熟成感も備わるふくよかな味わい。 NV Carte Perle Cuvee Speciale / Richard Fliniaux 仏、シャンパーニュ 4 ピノ・ノワール40%、シャルドネ40%、ピノ・ ムニエ20% アイ村の特徴となる豊満で柔らかな果実味。細やかな酸・ミネラルからゆったりと広がる余韻。 NV Brut Carte d’Or / Veuve Olivier et Fils 仏、シャンパーニュ 5 ピノ・ムニエ60%、ピノ・ノワール30%、シャ ルドネ10% ムニエ主体の典型的なフレッシュフローラルなジューシーさとしなやかさが特徴。 NV Blanc de Noirs / Etienne Lefevre 仏、シャンパーニュ ピノ・ノワール100% 6 ヴェルズネイ主体のPN古樹。くっきりした果実味・微かなタンニン感・ミネラルはブラン・ド・ノワールの理想形 NV Blanc de Blancs / Chinchilla 仏、シャンパーニュ シャルドネ100% 7 オジェに特徴的となる酸は穏やかで、明るく大らか。トロピカルな果実味の中にエレガンスさを感じられる。 8 NV Cuvee Selection / Brun Servenay 仏、シャンパーニュ シャルドネ100% アヴィズらしい堅牢で骨太のミネラルとシャープでキレのある酸の引き締め。力強く存在感のあるタイプ。 9 NV Cava Brut Rosado / Sabartes 西、カバ ピノ・ノワール100% イチゴやラズベリーなどのチャーミングな香り。フレッシュな果実感とベリーの凝縮感が素晴らしい。 NV Rose Reserve / Jean Lallement 10 仏、シャンパーニュ ピノ・ノワール100% ヴェルズネイPNの豊潤な果実のふくらみに鮮やかな酸と細かいミネラルが複雑に混じり合う奥深い味わいから しっかりとしたタンニン感による満足なボリューム感。 2014 Caprice de Clementine Rose / Ch. Les Valentines 仏、プロヴァンス グルナッシュ50%、サンソー50% 11 スティルのロゼ。白桃やイチゴのチャーミンなアロマ。軽やかでありふくらみのある酸が心地よい 第1位 : NV Rose Reserve/Jean Lallement ロゼとしての果実感・タンニンが豚肉の脂を滑らかな質感に変化させ中和マリアージュとなりました。ワインのフレーバーは 豚肉の脂で抑えられてしまう感じがややありましたが、しっかりしたミネラルが余韻に伸びていき最終的にミネラルと脂がマッ チングします。ワインの程良いタンニンの強さも厚み・脂のある豚ロースにバランス良く合っていました。 第2位 : NV Cuvee Selection/Brun Servenay ワインが持つ複雑さ・旨味が、豚肉の複雑さ・旨味と同調していました。更に、豚肉に付いている塩とワインのミネラルが合 わさってより深い旨味に変化しました。白のスパークリングの中で、塩味とミネラル感が一番強いこのワインが豚肉の旨味を より深く変化させたのでした。 2 Firadis Newsletter March 2016 クレマンやカバと比較すると、圧倒的にシャンパンが優位な結果となりました。 シャンパンは泡のきめ細かさによる繊細な質感や複雑味・旨味に優位性があるため、豚肉ときれいに融合して双方が高め 合うという、これぞ正にマリアージュ!と言うべき組み合わせでした。味付けで使用した塩とミネラル感とが相乗し、また脂もあ り厚さもある良質な豚ロース肉だったので充分に同調していました。 ではシャンパンの中でマリアージュの優劣がはっきり決まるかというとこれが非常に難しく、特に白のシャンパンの比較は 困難を極めました。今回は全てステンレス熟成のシャンパンだったために一様に合っていましたが、どれも同じようなボリュー ム感・テクスチャーなので、微妙な範囲でフレーバーや五味の合わないところを探ることになってしまい優劣をつけるのは至 難の業でした。もし樽熟成由来のより複雑さがあるシャンパンであれば、シンプルな豚のグリルには合わせるのは難しかった のではないかと思います。 大絶賛だったJean Lallementのロゼは、ミネラル感とタンニンが豚肉の脂の強さに大変良く合い、豚肉の旨味をより引き立 たせました。今回は塩で焼いたお肉に対してなので、ミネラルが強いことと、咀嚼も必要なため骨格がしっかりしたシャンパン が選ばれたのだと思います。 ロゼシャンパンに対してスティル・ロゼCaprice de Clementineは、豚肉に対してワインのミネラルとタンニンが柔らかく優しい ため、あまり評価は得られませんでした。もう少し骨格がしっかりしたロゼであれば上位にランクインしてきたと思います。 ではシャンパン以外の泡ではどうでしょう?甘さが際立つCava Brut RosadoやJadeは難しい結果でしたが、Cava Brut Reservaはシャンパンに引けを取らずとの声も挙がりました。複雑味やミネラルの強さではシャンパンには敵わないものの、ド ライで熟成期間が長く香ばしい香りを持つワインの方が合わせやすいことが分かりました。 【結果: 白ワイン部門】 郷土料理にも豚肉が多いアルザスワインが圧勝! ☆ マリアージュポイント ☆ * 柑橘系よりも白桃系など甘味のある華やかな香り * しっかりしたミネラルがあるが、全体的なテクスチャー の柔らかさが必要 * 樽香が強いとワインが浮き立ってしまうので注意 * 少し残糖があるくらいでも良い ワイン 12 2014 Muscadet Sevre et Maine Sur Lie Clos du Fere V.V. / David & Duvallet 産地 仏、ロワール 品種 ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴー ニュ)100% 柑橘系の果実とフレッシュな酸の広がり。ミネラルもシャープでアフターにほろ苦い余韻が楽しめる。 13 2015 Moscatel / Juan Gil 西、フミーリャ モスカテル100% アロマティックで華やかな香りとチャーミングな果実。白コショウのスパイシーなフィニッシュが特長。 14 2014 Valencay Blanc / Le Claux Delorme 仏、ロワール ソーヴィニョン・ブラン100% 柑橘系と軽やかなハーヴの香り。しっかりとした酸とミネラルが爽やかで心地よい余韻へ繋がる。 15 2014 Gran Ribad Albarino / Tomada de Castro 西、リアス・バイシャス アルバリーニョ100% 柑橘系果実に涼やかなアロマ、細かなミネラルがほのかな塩味でフィニッシュ。 16 2013 Riesling Andlau / Guy Wach 仏、アルザス リースリング100% 白い花、白桃の甘く華やかな香り。熟度の高い果実は柔らかなテクスチャーを呼ぶ。(残糖:5.7g/L) 17 2013 Pinot Gris Hohrain / Emile Beyer 仏、アルザス ピノ・グリ100% 熟したアプリコットの豊かな香りに、快活な酸や豊富なミネラルが素晴らしい均衡をもたらす。(残糖:25g/L) 2014 Greco di Tufo l’Ariella / Vinosia 伊、カンパーニャ グレコ100% 18 ボリュームと凝縮感のある果実に、豊かな酸と硬質なミネラル。力強く骨太な旨味が詰まった味わい。 3 Firadis Newsletter March 2016 ワイン 19 2014 Chardonnay / Tramin 産地 品種 伊、アルト・アディジェ シャルドネ100% 透明感のあるピュアな果実由来のアロマ。シャープな酸とのバランスも素晴らしい。 2013 Bourgogne Blanc / Domaine d’Ardhuy 仏、ブルゴーニュ シャルドネ100% 20 良く熟した丸い果実の中に繊細な酸と伸びのあるミネラル。ブルゴーニュらしい美しさ。 21 2012 Chardonnay Wisner Vyd / Tate Dog 米・カリフォルニア シャルドネ100% トロピカルな果実やクリームの香りに、ナッツやバニラの香ばしさ。リッチな果実はフィニッシュまで続く。 第1位 :Pinot Gris Hohrain /Emile Beyer 第2位 :Riesling Andlau /Guy Wach 共通点として、どちらも香りに白桃系の甘い華やかさがあるタイプのワインであり、このフレーバーが豚肉を引き立たせ高 め合うような一体感を感じました。また、しっかりとしたミネラル感は持ちながらもワイン全体としては柔らかいテクスチャーが 豚肉の脂の甘さやボリューム感と寄り添っていました。1位のPinot Gris Hohrainの方が脂身と好相性でアフターに旨味となっ て引き立ち、相乗的に美味しくなるという素晴らしいマリアージュでしたが、残糖があるため、人によっては好みに思わない方 もいらっしゃるかもしれません。その場合には、マイナス面がなく万人に向けた合わせやすさがあるRieslingをお薦めします。 そして意外なことに、シャルドネは合わないという結果になりました。普段どんな料理にも合わせてしまうシャルドネですが、 樽香が強いアイテムはことごとくマイナス評価となり、ステンレスタイプは豚肉の邪魔こそしないものの美味しくなることもなく、 マリアージュとは呼び難いものでした。 白ワインとのマリアージュでは、しっかりとしたミネラル感があることが重要になります。 スペインのMoscatelはフレーバーの華やかさが豚肉と相性が良いのですが、ミネラル感・テクスチャーが少し弱いためワイ ンが豚肉に負けてしまいました。ミネラルが細かく酒質が柔らかいGran Ribad Albarinoも豚肉にワインが負けてしまい、やはり 魚介類がベストだろうという見解になりました。 アルザスに次ぐ高評価だったロワールワインは、ミネラルは充分にありますがテクスチャーが硬いのでバランスが今一歩。 ロワールの持つ柑橘系のフレーバーをアクセントに、豚しゃぶをポン酢で食べさせるような和食的要素のある料理にはより 合ってくるのではないでしょうか。 Greco di Tufo L’Ariellaのようなボリュームがある上に非常にミネラルが強く硬さがあるワインは、塩の味付けで良いので、 今回使用した粒子の細かい塩ではなく粒の荒い岩塩をふれば合うのではないかと思います。 【結果: 赤ワイン部門】 果実味・酸・タンニンの全ての面で“程ほど”なワインがベスト! ☆ マリアージュポイント ☆ * 濃すぎずライト過ぎない柔らかな果実味 * 穏やかな酸があること * まろやかなでシルキーな質感 * 強すぎるバニラ系の樽香はNG ワイン 22 産地 2014 Pinot Nero / Tramin 伊、アルト・アディジェ 品種 ピノ・ネロ100% 野生のベリーにきめ細かな酸とタンニン。しなやかさとバランスを備えた旨味系ピノ・ネロ。 23 2013 Closerie des Lys Pinot Noir / Ch. Antugnac 仏、ラングドック ピノ・ノワール100% 南仏の熟した果実に黒いスパイスのほのかな香り。ピュアで快活なチャーミングなピノ。 24 2012 Pinot Noir Athena / Boedecker 米、オレゴン ピノ・ノワール100% 黒系果実からスモーキーなヒント。丸みを帯びた味わいとしっかりとしたストラクチャーが特長。 25 2011 Savigny les Beaune Clous / Domaine d’Ardhuy 仏、シャンパーニュ 強い赤系ベリーのアロマと果実味、緊張感のあるミネラルとの調和が素晴らしい。 4 ピノ・ノワール100% Firadis Newsletter March 2016 ワイン 26 2013 Garnacha Negra / Herencia Altes 産地 西、テッラ・アルタ 品種 ガルナッチャ・ネグラ100% 活き活きとした赤果実に満ちた味わいはしなやかで、軽やかなタンニンとのバランスが良い。 27 2013 Lirac Le Gourmand / Domaine du Joncier 仏、ローヌ グルナッシュ65%、カリニャン15%、シラー 10%、サンソー10% 煮詰めたフルーツの香りにほんのりスパイス香。豊潤な味わいの中に透明感とエレガンスが光る。 28 2014 4 Meses / Juan Gil 西、フミーリャ モナストレル100% 甘やかでジューシーな果実に程良いタンニンとおおらかな酸、オークとのバランスが絶妙。 29 2014 Crozes Hermitage Equinoxe / Domaine des Lises 仏、ローヌ シラー100% 甘く柔らかなスミレのアロマと果実に、細やかなタンニンとしなやかな酸のバランスが良いフルーティーな味わい。 30 2013 Pruno / Finca Villacreces 西、リベラ・デル・ドゥエロ ティント・フィノ90%、 カベルネ・ソーヴィニ ヨン10% 伸びやかな酸とタンニンが溶け込み、極めてリッチでシルクのように滑らかな味わい。 31 2013 Eternum Viti / Abanico Selection 西、トロ ティンタ・デ・トロ100% 色の濃い黒い果実、様々なスパイスやオーク。緻密なタンニンがシリアスな余韻へ誘う。 32 2013 Primitivo Orus / Vinosia 伊、カンパーニャ プリミティーヴォ100% 丸くソフトなタンニン。チャーミングでジューシーな甘みの広がるフルーツ爆弾的ワイン。 33 2013 Rosso di Montalcino / Lecciaia 伊、トスカーナ サンジョヴェーゼ・グロッソ100% 柔らかな果実に品の良い細かなタンニン。伸びのあるミネラルがワインに優雅さを与える。 サンジョヴェーゼ80%、カベルネ・ソーヴィニ 34 2012 Chianti Classico / Montecalvi 伊、トスカーナ ヨン10%、カナイオーロ&マルヴァジア・ネラ 10% チェリーやカカオの香り。濃厚果実を支えるたっぷりとしたタンニンは複雑さと豊かなボディをもたらす。 35 2014 Langhe Nebbiolo Capisme E / Domenico Clerico 伊、ピエモンテ ネッビオーロ100% 小粒ベリーの甘く力強い果実。タンニンの骨格も程良くゴージャスかつエレガントワイン。 36 2013 Neromora / Vinosia 伊、カンパーニャ アリアニコ100% 凝縮果実にカラメルやオーク。豊かなタンニンとクリアな酸が支えるプチ・タウラジ的アリアニコ。 37 2012 Nestri / Meroi 伊、フリウリ・ヴェネツィ ア・ジュリア メルロ80%、カベルネ・フラン20% 細かく詰まったベリー、甘いスパイスの香り。繊細な酸とミネラル、湧き上がるような旨みが特徴的。 38 2010 Ch.Faizeau V.V 仏、ボルドー メルロ94%、カベルネ・フラン6% 黒系果実の豊かな味わいにシルキーなタンニンが備わり、余韻には土っぽさやスパイスなどの複雑さが漂う。 39 2013 Conde de Alicante Cabernet Barrica / Bocopa 西、アリカンテ カベルネ・ソーヴィニヨン100% 黒系果実、カラメルの甘い香り。熟した果実にタニックなTHEカベルネ。 40 2009 Ch. Suau Cadillac Rouge 仏、ボルドー カベルネ・ソーヴィニヨン55%、メルロ45% しなやかで凝縮感ある果実味を支えるタンニンと酸のバランスが良い。エレガンスを備えるボルドー赤ワイン。 2012 Cabernet Sauvignon Wisner Vyd / Tate Dog 米、カリフォルニア カベルネ・ソーヴィニヨン100% 41 縮果実の豊かな香りをスパイス、モカ、オークが縁どる。ボリュームたっぷりこれぞカリフォルニアカベルネ。 赤ワインでは、スパークリング&ロゼ部門、白ワイン部門と同等レベルにマリアージュするワインは見つからず、あえて選ぶ のであれば・・・として以下が挙がりました。 ・Lirac Le Gourmand/Joncier ・Rosso di Montalcino/Lecciaia 5 Firadis Newsletter March 2016 比較したアイテムの中で、果実の凝縮度・酸・タンニンのどのポイントも強すぎず、弱すぎないワインが選ばれたという結果 です。テクスチャーはシルキーなタイプであることも重要でした。温かい豚の脂とシルキーなテクスチャーが口の中で絶妙に広 がり、程良い酸・程良いタンニンが中和的に脂の甘味・旨味を引き立たせ、同調と中和が一緒に楽しめました。 次点となったのはPruno。ストラクチャーやタンニンのバランスが肉の脂を中和してくれて相性が良かったのですが、酸が若 干高かったことがマイナスとなりました。 また合わない方向性として、ピノ・ノワールは酸とミネラルによる硬 さのあるストラクチャーと脂と厚みのある豚のボリューム感が添わず 口の中でバラけてしまいます。唯一、しなやかなテクスチャーのPinot Nero/Traminは奮闘していました。 スペイン系は全体的に甘みが強く濃いため、ワインが支配的となり 豚の個性が引き立ちません。今回合わせたカベルネ・ソーヴィニヨン も果実の凝縮感や樽由来の強さが目立つワインだったため、豚肉よ りもワインが勝ってしまいました。このような濃く力強いワインには、 ソースを合わせるか煮込みにするとぐっと合ってくると思います。 また、豚肉は牛肉よりも硬くて繊維質も多く、今回の実験では厚みも ある肉だったため咀嚼が必要になりますので、ワインにある程度の凝 縮感が必要です。4 Meses やPrimitivo Orusなどはテクスチャーが柔ら かく凝縮感が足りないため難しい結果となりました。 <ワインは全てブラインドで試飲しました> 【実験を終えて】 豚肉にはアルザスワイン! 今回の実験の一番の驚きは、アルザスワインと豚肉がこれぞマリアージュ!という完璧な相乗効果を発揮したことではな いでしょうか。豚肉の代表料理に甘く煮込んだ角煮や酢豚など、豚肉の最大の特徴である脂の甘味・旨味に寄り添いつつ酸 味を補完しているものが多くありますが、ワインも同じなのだと思います。 しかし、一般的にボトルオーダーはもちろんグラスでもアルザスワインをご注文される方はどの位いるでしょう。リースリング の香りが合わせにくい、ピノ・グリは甘すぎると食事に合わないなど、どう使っていいか分からないという声は私達もよく聞きま す。豚肉にはアルザス!今回の結果から使い方が見えてくるのではないでしょうか。 また、家庭で食べる機会が多い豚肉だからこそ、食卓でのアルザスワインの有効性も自信をもって再認識しました。 やっぱりシャンパンってすごい! シャンパンについては改めて万能性を感じました。豚料理とマリアージュさせる時に、赤よりも白よりも一番失敗がないのが シャンパンなのかも知れません。特にロゼシャンパンの使い勝手の良さはもっともっと広がってほしいと思います。前菜からメ インまでロゼシャンパン一本で通すのも、とても粋な愉しみ方ではないでしょうか 赤ワインは煮込みかソースを合わせて! 今回の実験ではベストマリアージュが見つけられなかった赤ワイン。それでもやはりメイン料理には赤ワインを合わせたい と思う方も多いはずです。ポイントは、シンプルな豚料理であれば、果実味・酸・タンニンが全て“程ほど”なワインを選ぶこと。 そして、そのいずれかでも強いワインには、ソースを付けるか煮込み料理にするとより合わせやすくなるでしょう。 様々なジャンルで料理される豚肉。料理法やお客様の好みによって合わせるワインはもちろん異なる中、今回の結果が皆 さまのお役に立てば幸いです。 ≪豚肉ご提供およびご協力≫ 有限会社横内商店 横内様 TEL: 03-3453-0944 http://www.yokouchishouten.co.jp/ *** このニュースレターに関するご意見・ご感想は [email protected] または FAX:045-222-8876 までお願いします *** 6
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