「見ルノ、知ルノ、感じルノ。 ルノワール展(国立国際美術館)」 本当に久々のルノワール。BGMはドビュッシーの「世俗の踊り」 、ナレーター(音声ガイド)は 松坂慶子さんで、寒い雨模様を忘れさせる、甘く朗らかな会場であった。明るい色調、女性の笑顔、 鮮やかな彩りの風景、ルノワールの絵は全てが安心して見ていられ、楽しくウキウキした気持ちにな れる。 今回の特別内覧会には約700名の来訪があったそうで、ルノワール人気がよく分かる。混雑で絵から 離れて鑑賞していたおかげで、発見があった。 一つは、人物を大きく描いていているせいであるが、背景部分が少ないように思う。背景が狭い部分に 押し込められているので、それが額縁の外側には出て行こうとする意志を持って、とてつもなく広がって いくように見える。 もう一つは、写真のように焦点を合わせているということである。印象派の絵画は一般的に写実主義か ら離れて、多様な色遣いが特徴的であるといわれるが、 「団扇を持つ若い女」や「縫い物をする若い女」は、 ピントが合っている部分と合っていない部分がよく分かり、遠目には写真に見える。 それから、この展覧会のホームページが楽しい。塗り絵あり、ルノワールをめぐる人々の関連図あり、 クイズあり、ルノワールの語録あり。また、新着情報ブログは、ルノワール大好き人間が楽しんで更新し ているようで、これも読んでいて楽しい。 とにかく、春爛漫のルノワール展である。 2010/4/23(Y.O) ルノワールの父は仕立屋、母はお針子であったことより女性のファッションが常に身近にあった彼の絵 からは、当時流行したファッションも見て取れることも女性には見逃せないポイントである。 「レースの帽 子の少女」など帽子をモチーフにした作品も多く、彼の審美眼によって描かれたレース・リボンなどで装 飾された何ともいえない質感には驚かされるばかりだ。 今回の展覧会では、印象派コレクションでも名高いポーラ美術館の協力のもと、光学調査により科学的 にルノワールの絵を分析している点も興味深い。表面上の絵と異なる下絵の様子や鮮やかな色彩を色を重 ねることによって表現した彼の作品の色分析も面白い。どうやら緑色は、彼にとって特別な色だったよう だ。その他は、皆さんの目で確かめてほしい。きっと、新たな発見があるに違いない。 また、今回のルノワール展とコラボして特別メニューを仕立て、食べれるレストランが大阪にある。聞 くところによるとルノワールの息子で映画監督でもあるジャン・ルノワール氏の著書「わが父 ルノワー ル」に記載された当時の食文化やエピソードを参考にメニューを特別アレンジしたとか。こちらもルノワ ールの過ごした時代に思いを馳せながら、彼の作品をまた違った視点で楽しむのはいかがだろうか。 2010/4/23(S.A) ●展覧会情報 「ルノワール -伝統と革新」展 会期: 2010年6月27日(土)まで 開館:午前10時~午後5時、毎週金曜は午後7時まで(入館は閉館の30分前まで) 休館日:月曜日(ただし、5月3日は開館) 会場:国立国際美術館(大阪・中之島) http://www.nmao.go.jp/japanese/b3.html ●「ルノワール -伝統と革新」展 コラボメニュー 場所:「ル・コントワール・ブノワ」(ブリーゼブリーゼ 33F) 5月31日(月)まで http://www.comptoirbenoit-osaka.com/
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