池田宗弘作品展

日本スペイン交流400周年記念事業
NPO 法人日本カミーノ・サンティアゴ友の会5周年記念事業
池田宗弘作品展
(H26.5.23)
東村山市の化成小学校時代の一年先輩である、彫刻家の池田宗弘さんから二年ぶりに作品
展の案内状をいただいた。案内状を見て驚いたのは、展示会場がこれまでとは違って在日本
スペイン大使館となっている。案内状からして作品は、池田さんが文化庁から派遣されたサ
ンチャゴ巡礼路からのメッセージである。池田宗弘さんは 1983 年に文化庁芸術家在外研修員
としてスペインに1年派遣された。研究テーマは「スペイン国内に於けるサンティアゴ巡礼
路に沿って点在しているロマネスクの教会及びそれに付随する彫刻の基本的構成法と制作法
の研究」である。11月から歩き始め、翌年の10月に帰国。その記録資料として多くのス
ケッチと絵地図を描いてきた。
★スペイン大使館はアメリカ大使館やホテルオ
オクラも面している緑豊かな通りにある。私も
40年近く港区に勤務していたので、このあた
りの街の移り変わりもよく知っている場所でも
ある。昔の閑静な住宅街はオイフース街に変身
してしまった。スペイン大使館門前の掲示板に
は「池田作品展」のポスターが啓示されていた。
入口で案内状を出して受付をすると、ガードマ
ンによって空港で行われているような持ち物検
査が行われ、異常もないことで入館が許された。
池田さんの作品展はスペイン大使館の地下一階のホールで開催されてい
た。池田さんの作品は、サンティアゴ巡礼路を歩き、そこで研究してき
たものを作品として仕上げてきた。その一部が展示されている。
★作品は墨絵の如く、モザイクの如く、一つ一つ丁寧に仕上げられてい
る。そのエネルギッシュな作品を見ていると
無心になって筆先にエネルギーをつぎ込んで
きた、池田さんの真剣な面影が浮かんでくる。
やはりキリスト教に関わる作品ということも
あって、その時に頭を過ったのは棟方志功の
作品を代表する「二菩薩十大弟子」である。
どちらの作品にしても我々の魂に訴えかけていることを感じずに
はいられない作品である。また、彫刻も3点出品されていたが、
池田さんの個性を象徴する作品で、ジャコメッティを思い出させ
てくれる。作品は写真撮影禁止で図録も絵葉書もないので頭の中
に焼き付けるのに懸命だった。ここに展示されている作品は池田
さんの人生の中で一番充実していた時の作品であることから、す
べてが光り輝いていると言っても過言でないというのが私の印象
だった。ついでにサンチャゴへの巡礼道を調べてみたので記す。
★サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路は、キリスト教の聖地であるスペイン、ガリ
シア州のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路。おもにフランス各地からピレネー
山脈を経由しスペイン北部を通る道を指す。サンティアゴ・デ・コンポステーラには、聖ヤ
コブ(スペイン語でサンティアゴ)の遺骸があるとされ、ローマ、エルサレムと並んでキリ
スト教の三大巡礼地に数えられている。フランスでは、
「トゥールの道」、「リモージュの道」、「ル・ピュ
イの道」、「トゥールーズの道」の主要な 4 つの道が
スペインに向かっている。
1000 年以上の歴史を持つ聖地への道は、今も年間
およそ 10 万人がフランスからピレネー山脈を越えて
ゆく。スペインに入ると、巡礼の拠点の街が見えてく
る。そこには巡礼事務所があり、名前を登録し、巡礼
者の証明となる手帳を受け取る。巡礼者の数が増える
と共に、道沿いには無料の宿泊所が整備されてきた。
11 世紀の礼拝堂を修復した宿泊所などもあり、こちらの宿では中世さながらの「洗足の儀
式」が行われる。巡礼者の足を水で清め、旅の無事を祈る。食事も用意される。これらは巡
礼を支える人々の無償の奉仕で成り立っている。徒歩によるスペイン横断は、イベリア半島
内でもおよそ 800km の道程である。長い巡礼を続けることは、人々にとって信仰と向き合う
貴重な時間となる。
現代の巡礼現在、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼者は毎年数万人に上
る。その多くは徒歩で、自転車を使う人もいる。少数ながら中世のように馬やロバを使う人
もいる。信仰のためだけでなく、観光やスポーツ、単なる目標達成のために歩く人もいる。
車や鉄道、バスで移動することもできるが、巡礼路は線路や国道に沿っていない道も多い。
また、サンティアゴ・デ・コンポステーラで証明書がもらえる人は、徒歩で 100km 以上、自
転車で 200km 以上という条件がある。なお、巡礼証明書(コンポステラーノ)もしくは、巡
礼手帳を持っていればサンティアゴ・デ・コンポステーラからの帰りの飛行機及び鉄道料金
が割引となる。ホタテガイは、巡礼のシンボルとなっている。巡礼者は巡礼の証としてホタ
テガイをぶら下げて歩く。また、水筒代わりのひょうたんを持つ。巡礼路にはホタテガイの
マークのある標識が立っている。巡礼者はさまざまな道をたどるが、人気があるのは「フラ
ンスの道」である。出発地としては、フランス側のサン=ジャン=ピエ=ド=ポルとスペイ
ン側のロンセスバージェスを選ぶ人が多い。伝統的なフランスの町(ル・ピュイ、アルル、
トゥールなど)から出発する人や、さらに遠くからフランス内の道を目指す人、中世になら
って自分の玄関から出発する人もいる。ピレネー山脈からすべて歩くと 780~900km の距離で、
1 日平均 30km(早めの人)歩くと約 1 か月かかる。スペインと南フランスには、巡礼者に一夜
の宿を与える救護施設が点在し、巡礼手帳を持つ人は誰でも泊めてくれる。宿の設備はユー
スホステルのようなもので、3 ユーロから 7 ユーロ、または寄付のみで泊まれる。たいてい
は 1 泊に限られる。救護施設に泊まると、巡礼手帳(有料)に公式のスタンプ(無料)が押
され、集めたスタンプが巡礼の証明となる。手帳は救護施設や観光案内所、教区教会で入手
でき、3 ユーロ程度。サンティアゴ・デ・コンポステーラに到着すると、「コンポステー
ラ」と呼ばれる証明書(無料)がもらえる。中世のカトリック教会では「コンポステーラ」
は贖宥状の一種であった。大聖堂では毎日正午に巡礼者のためのミサが開かれ、巡礼者の祖
国と出発地が唱えられる
日本の巡礼の道
★日本の寺社を歩いて巡る「巡礼の道」の数は全国に数百あるといわれ、滝に打たれて厳し
い修行にのぞむ修験の道もあれば、温泉に入ったりおいしいものを食べたりしながら寺社を
巡る観光ルートもある。日本の寺社を歩いて巡る「巡礼の道」が注目を集めている。一般の
人が楽しんで歩けるおすすめの巡礼の道を専門家が選んだコースを紹介する。
1位 熊野古道 和歌山県にある本宮大社、速玉大社、那智大社の熊野三山への参詣道。10 世紀初めの
宇多法皇の熊野行幸が最初といわれる。道の途中に熊野神の御子神を祭る王子社が数多く点在し、信仰の
道としての姿を今も色濃く残す。
2位 四国八十八カ所 徳島、高知、愛媛、香川の4県にある弘法大師ゆかりの 88 カ所の札所を巡る。
地元の人々が「お遍路さん」と呼ぶ巡礼者を飲食などでもてなす「お接待」や無料や低料金で泊まれる簡
易宿泊施設「善根宿」を提供する文化を今に引き継ぐ。全長約 1400 キロメートルを歩く「通し打ち」は徒
歩で約 40 日かかる。「たくさんの寺を回る回国型こそ巡礼の本当の姿。お接待の文化も素晴らしい」
3位 お伊勢参り 2000 年の歴史を持ち、天照大神を祭る三重県の伊勢神宮に参拝する。
4位 西国三十三カ所 近畿の2府4県と岐阜県に広がる 33 カ所の観音霊場を巡る。観音菩薩(ぼさ
つ)が 33 の姿に変身してすべての人を救うという信仰に基づく。歴史は古く「格調の高い名刹が多く、関
東の裕福層が京の祭りや大阪の芝居の見物も兼ねて数多く出かけた」という。
5位 出雲国神仏霊場 巨大なしめ縄で知られる出雲大社を起点に、島根県東部の宍道湖や中海を一
周し、20 の寺社を参拝する。
6位 秩父三十四カ所 埼玉県秩父地域に広がる 34 カ所の観音霊場。
7位 山の辺の道 奈良盆地東側の山麓を南北に縫う古代ロマン散策の道。国宝の七支刀がある石上
(いそのかみ)神宮、大和朝廷を創始したとされる崇神天皇の陵墓などを歩いて巡る。
8位 五島八十八カ所 長崎県五島市の福江島や黄島の寺を巡る。弘法大師が中国と行き来する際に
寄港したといわれ、大師が日本を離れる時の言葉も碑に残っている
9位 鎌倉五山 「鎌倉五山」と呼ばれる神奈川県鎌倉市の建長寺や円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺
を巡る。五山は、幕府が定めた禅宗の五つの大きな寺。今も大勢の観光客が五山巡りを楽しむ。
10 位 小豆島八十八カ所 香川県の小豆島の札所を巡る。弘法大師が修行で訪れたことから、四国八
十八カ所を瀬戸内の島に写す「島四国」の一つとして発展。