特別授業「色彩学へのお誘い」

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特別授業「色彩学へのお誘い」
日 時
2012年11月1日(木) 13時15分~14時50分
場 所
本校 物理実験室
講 師
日本女子大学 家政学部被服学科 色彩環境学研究室 佐川 賢 教授
参加者
SSⅠ(物理・化学・生物コース) 47名 教員4名
視覚や色彩は、とても身近にあり興味深い世界です。シャボン玉の虹色や花の色、宝石やモルフォ
チョウや化石のアンモライトの美しさには心奪われます。金の輝きにも。
化学的には物質や化学変化による試薬の色の変化・炎色反応の色、生物学的には血液や植物の
色素、網膜の構造や種による色の反応の差、物理学的には波長と屈折率、錯視、ネオン放電管や水
銀灯の光の色など。他にも色彩は生理的アプローチ、心理的なアプローチがあり、社会においても広
告や標識、服装、インテリア、工業デザインなどで目的に対して効果的な色遣いが意図的にされてい
ます。きっと男子トイレの表示が黒で女子トイレが赤なのは理由があるのでしょう。
講義では、まず豊かな色彩の世界に我々は生きていること、色の識別と色の活用をしていることを
確認することから始まりました。次に光とは・色とは何かという説明では、「光線には色が無い」と言っ
たニュートンのプリズムを使った実験を紹介することから、光は電磁波であり波長の違いがあるが色
はないことを教えていただきました。美しいスペクトルのグラフを使って代表的な色と光源の分光分布
を紹介していただいて、反射光の色が波長の選択吸収により生じることを説明していただきました。次
にヒトの網膜の構造と3種類の錐体と桿体のはたらきから、色彩とは脳が作り出した世界であり、生物
により作り出す映像の世界が異なっている話しまでが第一部です。グラフの見方や他の生物の色の
見え方など、質問が相次ぎました。金魚の色覚がヒトに近いという話しは意外で驚かされました。
第2部として、色彩感情の国際的な感覚の違いや、落ち着く色や興奮する色、暖色や寒色、重そうな
色と軽そうな色、出っ張る色と引っ込む色、膨らむ色と縮む色、奥行きが異なって見える色などの心理
的・生理的な色彩感覚を例を挙げて紹介していただきました。
身近で興味深いテーマと語り口の楽しい講義で、時間があっという間に過ぎました。
楽しそうに色彩を語る佐川教授
色彩学は総合的なとらえ方をしよう
質問をする生徒
色彩が生活に活用されている例
講義の最後に、好きな色と嫌いな色を3つずつ選ぶアンケートに答えてデータの取得に協力しまし
た。アンケートに答えた経験から生徒は次のことを確認できたでしょうか。
1.データの取得は条件設定を整えること。
2.条件を変えてデータをとり検証すること。
3.多数のデータを集めること。
4.数値データの得にくい場合は、アンケート形式にするとよいこと。
好きな色・嫌いな色のアンケート
日本女子大学家政学部被服学科、色彩環境学研究室では、色彩に関する個人の好みを調査し、被
服や日常環境の色彩設計に利用しようとしています。色彩の好みを把握することは、製品や環境の設
計において極めて重要です。これまでにも様々な方法で調査研究が行われてきました。今回の調査
研究は、小学校から大学生までの若い年齢層を対象として調査を行い、年齢による色彩の好みの実
態を把握するとともに、生活環境や生活用品における色彩利用の指針を得ようとしているそうです。
5.あなたは何コースはですか。 ①:数学、②:物理、③:化学、④:生物、⑤:地学
全体 物理 化学 生物
6.今回の講演は全体として満足できましたか?
4 3.44 4.06 4.24
7.今回の講演の内容は理解できましたか?
3.91 3.44 4.06
8.今回の講演の印象・好感度はどのようなものですか。
4.02 3.56 3.94 4.35
9.今回の講演を聞いて、研究してみたくなりましたか?
3.59 2.89 3.61 3.88
10.課題研究のテーマを考える上で参考になることを得られましたか。
4
3.3 2.67 3.22 3.65
11.課題研究を行う上で参考になることを得られましたか。
3.28 2.89 3.22 3.41
12.今回の講演によって、自然科学に対する興味関心が高まりましたか?
3.89 3.56 3.83 4.12
13.今回の講演によって、自然科学の現状と今後の発展の可能性についての視野が広がりましたか?
3.65 3.33 3.78 3.65
14.今回の講演によって、自然科学全体をもっと積極的に学ぼうという気持ちになりましたか?
15.今回の講演によって、自分のコースの理数教科をもっと学ぼうという気持ちになりましたか?
3.8 3.33 3.72
3.76 3.67 3.72 3.71
16 講演に出席して得たこと
・身近な色でも自分にとても影響があることが分かった。
・パワーポイントをきれいにするだけで相手の関心を引ける。
・色が与える心理的影響について普段意識していなかったがなるほどと思った。
研究においてもあまり意識しないことについて興味を持つことが大切だということに気づけた。
・色が私たちの感情や立体感を出すことなどいろいろなことに関係している。
柿の収穫期など食品にも関わっているのは初めて聞いた。
・これからの進路の参考にしたい。
・色を利用して気持ちをコントロールできたらいい。
・理系選択の幅が広がる。
・普段のなにげないものにも色は影響している。
・作品を作る時に色の配色も考えてみようと思う。
・身近な内容で理解しやすかった。
・ポスターなどでうまく色を用いれば自分の意図が伝わりそう。
色分けなどをすれば効率よい勉強が出来そう。
・進出色、後退色を学んだ。遠近法と合わせれば絵に奥行きが出そう。美術やポスターで生かしたい。
・色彩学は化学、物理、美術など様々な分野とつながりがある。
・色の好みは日常生活に関わっている。
・やる気を出したい時、安らぎたい時などに色を利用したい。
・私生活に嫌いな色を入れるとストレスになる。
・光と色の違いが良く理解できた。光の識別についても理解できた。
・いろいろな分野に色彩学は関わっている。
・色彩学を始めて聞いたが興味がわいた。
・色彩学は幅が広く、自分の生活と密接している。
・色により心理も変化すると知り、勉強机の照明など工夫したい。
・身近なことでも興味があることを追求すればとてもおもしろいと知った。
・スペクトルについて深く知りたい。
・頭の中で色が生まれているということ。
17 興味を持った内容や感想
・色により感じ方が変わる。
・チョウの影響について非常に興味深い
・宝石・星の美しさは男性にはわからないと言っていたが本当にそうなのか。
また、男女の感性の違いはどこから生まれてきたのか。
自分が見ている色の世界と動物たちは違うことで不思議な気持ちになった。
・反射により人の受け取る色がかわることに驚いた。色は人が受け取るからこそ出ることを知り驚いた。
・色が光の波長により決まるのは分かったが、吸収された波長はどこへいくのか?
・色の好みについて知りたい。
・部屋の雰囲気を変えるとき色彩の感覚が役立ちそう。
・プリズムを二つ重ねる発想が新鮮。
・色が人にどんな感情を持たせるのか国や文化により象徴する色が異なることに興味を持った。
・波長により色を識別していることを知った。
人に共通して持つ色彩への心理があると知り面白い現象だと思った。
・電磁波の波長には興味を持った。
・色の心理、感情効果に興味を持った。(複数)
・三種の錘体細胞の能力の違いに興味を持った。
色について改めて考える機会が持てて良かった。楽しい講演だった。
・色がなくなったらどうなるのだろう。
・黄色の波長が一番長い(?)のはおもしろい、。
・色が人に与える影響は興味深い。(多数)
・パワーポイントがとても見やすかった。(複数)
・分光成分について興味を持った。
・社会により色のイメージが違うのはおもしろい。
・動物の色の感じ方。植物にはどのような影響を与えるのか。
・動物と人間の色の感じ方の違いが知りたい。
・色彩感情の作られ方や、色彩の持つ様々な効果について興味を持った。
・色の研究が思っていたより奥深い。
・色が生物に与える影響は大きく驚き。
・心理効果の原理を詳しく知りたい。
・色の進出後退効果はどのように距離を測ったのか。
・網膜の構造。
・スペクトルについて。
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