安足地区(足利市・佐野市) 母と子どもの健康に関する調査 結果概要 安足健康福祉センター 足利市(健康増進課)・佐野市(健康増進課) ◆「母と子どもの健康に関する調査」を実施した背景 安足健康福祉センター管内(足利市・佐野市)では、平成 19 年から、出生体重が 2,500g 未満の「低 出生体重児」 (以下、 「低体重児」という)の出生率(出生 1000 対)が上昇し、栃木県全体と比べて も高い状況が続いています。 そこで、管内(足利市・佐野市)の「出生児と母親の健康に関する実態」と「低出生体重児の要因と 考えられる因子」をアンケート調査から把握し、今後の子育て支援の展開に役立てるために調査を実施 しました。 130.0 120.0 119.9 114.5 110.0 100.0 111.9 101.2 95.3 90.0 93.8 86.5 栃木県 80.0 安足 70.0 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 <低出生体重児出生率(出生 1000 対) :栃木県保健統計年報> ◆調査対象・時期 ●足利市:平成 23 年 8 月∼10 月に「乳児全戸訪問事業」による家庭訪問の対象となった子どもと 母親を対象とし、家庭訪問時に母親に対する聞き取りによる調査を行いました。 ●佐野市:平成 23 年 8 月∼10 月に乳幼児健康診査(4 か月健診)の受診対象となった子どもと母 親を対象とし、事前に調査票を郵送し、健診時に持参してもらう方法で調査を行いました。 *足利市と佐野市を合わせて、436 名の子どもとその母親が対象となり、426 名の子どもとその母 親の皆様から御協力をいただきました。 (調査回収率 97.7%) ◆主な調査内容 ●子ども:出生順位、在胎週数、出生体重・身長、分娩方法 等 ●母親:出産時年齢、身長・妊娠前の体重、妊娠中の仕事の有無、喫煙の有無 等 ◆今回の調査の主な結果 ※今回の集計においては、統計上で集計に適さないデータを除いています。 ●子どもについて 1.7% 1.4% ◎出生時の体重 6.5% *出生時の体重は、1500g 未満が 1.7%、 1500g∼2000g 未満が 1.4%、2000g∼ 2500g 未満が 6.5%で、低体重児は全体の 1500未満 9.6%でした。平均体重は、2980g で県全 1500-2000未満 90.4% 体の 2990g(H21 人口動態統計)とほぼ 2000-2500未満 2500以上 同様でした。 ◎在胎週数(出生までの週数) *在胎週数は、32 週未満が 1.2%、32 週以 上 37 週未満が 7.7%で、 早産は全体の 8.9% 全体 1.2% (n=418) でした。また、低体重児では 50.0%が、対 照児(低体重児以外)では 4.5%が早産でし た。 91.1% 7.7% 対照児0.0% (n=378) 95.5% 32週未満 4.5% ☞早産とは:正期産(37 週 0 日∼41 週 6 日) 以前の出生のこと。日本では、22 週 0 日∼ 32-37週未満 低体重児 12.5% (n=40) 36 週 6 日までの出産を早産と呼びます。 0% 37.5% 20% 40% 37週以上 50.0% 60% 80% 100% ◎出生順位(生まれた順番) *出生順位は、第 1 子が 45.5%、第 2 子が 40.4%、第 3 子以降が 14.1%でした。また、低体重 児では第 3 子以降の出産が 27.5%を、対照児では 12.7%を占めていました。 *第 2 子以降の出産では、過去に低体重児を出産したことがある場合、今回も低体重児を出産してい る割合が 23.1%と、過去に低体重児を出産したことがない場合の 7.1%より高い割合を占めていま した。 全体 (n=418) 45.5% 対照児 (n=378) 45.8% 1.2% 12.7% 0.2% 40.4% 1.3% 11.4% 0.0% 41.5% 低体重児 出産なし 第1子 (n=198) 92.9% 7.1% 第2子 対照児 第3子 低体重児 第4子 低体重児 低体重児 (n=40) 42.5% 0% 20% 30.0% 40% 60% 25.0% 0.0% 2.5% 80% 100% 第5子 出産あり (n=26) 76.9% 0% 20% 40% 23.1% 60% 80% 100% ※第 2 子以降の出産(228 名)のうち、「過去の低体重児 の出産の有無が不明(4 名) 」を除いて集計 ●母親について ◎出産時年齢 *30 歳∼35 歳未満が 32.8%と最も多く、 次いで 25 歳∼30 歳未満が 26.8%でした。 全体 1.4% (n=418) 13.4% 19.9% 5.7% 32.8% 26.8% 20未満 また、35 歳∼40 歳未満が 19.9%、40 歳以上が 5.7%で、県全体(H21 人口動態 20-25未満 対照児 1.6% (n=378) 14.6% 25-30未満 20.1% 5.6% 32.5% 25.7% 30-35未満 統計)の 35 歳∼40 歳未満 17.5% 、40 歳以上 2.2%より高い割合を占めていまし た。 35-40未満 低体重児0.0% (n=40) 2.5% 0% 20% 17.5% 7.5% 35.0% 37.5% 40% 60% 80% 40以上 100% ◎妊娠前の BMI *妊娠前の BMI は、18.5 未満(やせ)が 全体 (n=418) 18.7% 67.5% 12.9% 1.0% 18.7% 、 18.5 ∼ 25.0 未 満 ( 標 準 ) が 67.5%、25.0 以上(肥満)が 12.9%でし た。低体重児を出産した母親の BMI は、 18.5未満 対照児 (n=378) 18.5% 低体重児 (n=40) 20.0% 18.5-25.0未満 13.8% 1.1% 25.0以上 66.7% 18.5 未満(やせ)が 20.0%を占めていま した。 ☞BMI とは:身長と体重から計算される数値 不明 0% 20% 75.0% 40% 5.0% 0.0% 60% 80% 100% で、肥満の判定に用いられます。 ★BMI 判定基準: ★計算式 低体重(やせ) 体重(kg) 普通 肥満 18.5∼ BMI= 18.5 未満 25.0 以上 25.0 未満 身長(m)×身長(m) ◎妊娠中の喫煙 *妊娠中の喫煙状況は、 「初期(妊娠 3 か月まで)にあり」が 12.4%、 「後期(出産前 3 か月)に あり」が 6.5%でした。低体重児を出産した母親の喫煙状況は、 「初期にあり」が 17.5%、 「後期に あり」が 17.5%で、より高い割合を占めていました。 全体 12.4% (n=418) 86.8% 0.7% 対照児 11.9% (n=378) 87.3% 0.8% あり なし 全体 6.5% (n=418) 92.6% 1.0% 対照児 5.3% (n=378) 93.9% 0.8% あり 不明 不明 低体重児 (n=40) 17.5% 0% 0.0% 82.5% 20% 40% 60% 80% 100% <妊娠初期(妊娠 3 か月まで)の喫煙状況> なし 低体重児 (n=40) 17.5% 0% 2.5% 80.0% 20% 40% 60% 80% 100% <妊娠後期(出産前 3 か月)の喫煙状況> ◆今後の取り組み ∼調査結果から∼ 今回の調査等から、妊婦の「喫煙」と「やせ」が低体重児出産に影響している可能性が 示唆されました。 ●妊娠中の喫煙対策 ◎現状 *「初期の喫煙あり」 、 「後期の喫煙あり」の場合の低体重児出産の割合が、妊娠中に「喫煙なし」の 場合より、いずれも高い割合を占めていました。特に妊娠後期の喫煙では、 「喫煙なし」の場合より、 低体重児の出産が 3.88 倍多いことが示されました。 喫煙なし (n=363) 90.9% 喫煙なし (n=387) 9.1% 91.7% 8.3% 対照児 対照児 低体重児 喫煙あり (n=52) 86.5% 0% 20% 40% 13.5% 60% 80% 低体重児 喫煙あり (n=27) 100% <妊娠初期(妊娠 3 か月まで)の喫煙状況別> 74.1% 0% 20% 40% 25.9% 60% 80% 100% <妊娠後期(出産前 3 か月)の喫煙状況別> ◎今後の取り組み *妊娠届出時に、禁煙の勧奨と効果的な禁煙方法等の相談助言 *妊婦健康診査等での継続した禁煙支援 *調査結果を踏まえたパンフレットの作成、配布による普及啓発 ●妊娠前の BMI(やせ)対策 ◎現状 *今回の調査では、妊娠前の体格が「やせ(BMI=18.5 未満) 」に該当する母親の割合が 18.7%と、 ほぼ 5 人に 1 人が「やせ」という結果でした。今回の調査では、 「やせ」と低体重児出産の関連に、 統計学的な有意差は見られなかったものの、過去の多くの調査研究では母親の「やせ」と低体重児出 産の関連が指摘されています。 ◎今後の取り組み *妊娠前の若年の時期からの食生活改善や適正体重の普及啓発が必要 *「極端なスリム志向」から「健康的な美しさ」への意識の変容が必要 →学校保健との連携、思春期向けの健康教育の機会に普及啓発 ∼調査へ御協力くださった方へ∼ 調査への御協力、ありがとうございました。 今後も調査結果を生かした母子保健相談体制づくりに努めていきます。
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