今月の専門科診療

PAL
皮下膿瘍
今月の専門科診療
今月は下記の日程で専門科の
皮下とは皮膚と筋肉の間の部分を
こ)がみられます。また全身症状と
診察を行います。ご希望の方
言います。その部分に膿が溜まって
して、発熱、元気消失、食欲低下な
は事前にご予約下さい。
しまうのが皮下膿瘍です。膿瘍は細
どもみられます。さらに数日すると
菌が感染して生じます。感染が起こ
皮下にたくさんの膿がたまり、その
ると細菌の毒素や炎症、血行障害に
まま放置すると、病変部は脱毛し皮
よってその周囲の組織が破壊され軟
膚がとけて、膿が流れ出てきます。
らかくなり、やがて溶けて液体であ
[ 診断 ] 問診で外出する猫か、ケン
る膿を満たした領域ができます。穴
カした可能性があるかを伺います。
エキゾチックペット
地域に密着した動物病院を目標にして
を開けると、クリーム色の膿や血が
次いで触診で、痛がったり、腫れて
2月 22日(木)
おります。
混じった膿が出てきます。
いる部位、傷があるかどうかを調べ
エキゾチック・ペットクリニック院長
[ 原因 ] 主な原因は猫同士のケンカ
ます。腫れた部分がある場合針を刺
裾野センター病院
で、咬傷や爪による刺傷です。他の
して、その内容物が膿かどうか検査
月~土
午前 9:00 ~ 12:00
原因として、交通事故、種子や木片
することもあります。
午後 2:00 ~
の皮下への混入があり、これは体の
[ 治療 ] 皮下に溜まった膿を排出し
どこにでも起こります。
洗浄します。洗浄は数日間必要です。
[ 症状 ] かまれた直後の傷は小さく
大きな皮下膿瘍、皮膚の欠損部が大
画像診断科
体毛に隠されて出血もなく腫れもあ
きい場合は、開放した状態で治療を
2月 17日(土)
りません。そのため、ケンカに気付
続けずに全身麻酔下で処置を行いま
パル動物病院
NEWS
2007 年 2 月号
~人と動物の絆~
よりよい関係を目指して
私たちは最先端の診療技術を生かし、
〈診療時間〉
日・祝
9:00
午前 9:00 ~ 12:00
午後 2:00 ~
7:00
沼津病院
平日
午前 9:00 ~ 12:00
午後 2:00 ~
7:00
木曜日
休診
いているか、触ると痛がるといった
す。洗浄と同時に抗生物質の投与も
日・祝
午前 9:00 ~ 12:00
明らかな症状がない限り、通常は傷
併用します。
に気がつきません。しかし化膿が進
[ 予防 ] 猫を外出させないのが一番
行すると、しだいに局所的な熱感と
の予防になります。早めに去勢手術、
腫れが強くなり患部を痛がり始めま
避妊手術を行い、猫の外出意欲を低
す。四肢などに発生すると跛行(びっ
下することも有効です。
裾野センター病院
TEL: 055-993-3135
沼津病院
TEL: 055-922-6255
歯 科
2月 14日(水)
歯学博士
奥田 綾子 先生
霍野 晋吉 先生
腫瘍科
2月 6日(火)
麻布大学獣医学部附属動物病院
川村 裕子 先生
眼 科
2月 3日(土)
、7日(水)
、
10日(土)
、17日(土)
、
21日(水)
、24日(土)
、
28日(水)
獣医学博士
小野 啓 先生
これにより、撮影した画像の濃度やコントラスト、拡大率をモニター
動物の画像診断
上で変えることができるため、例えばこれまで通常の骨関節用単純
X線写真では得られなかった軟部組織の情報も、一回のX線照射で
獣医診療における画像診断には、レントゲン、エコー、CT、MRI
得られるようになりました(ちなみに通常のX線撮影によって動物
などがあります。今回は、このなかでも通常の診療で用いる機会
に放射線障害が現れる可能性はほとんどありません)
。
が多いレントゲン検査とエコー検査についてお話しします。ちな
みに CT、MRI は獣医科大学や専門病院での検査となります。
【レントゲン検査】
【超音波検査】
超音波検査は身体の内部を覗くためのもう一つの手段であり、放
射線(X線)の代わりに音波を用います。これは音波が反射する性
レントゲン検査は、開腹など外科的な手段を用いることなく、
質を利用して、生体組織を通過する際に臓器の違いによっておこる
外部から体の内部構造の情報を比較的簡単に短時間で得ることが
特有の反射や屈折、吸収を画像化します。簡単にいいますと、反射
できるので様々な病気の診断に利用されます。この検査で撮影し
するものほど画像上白く表示され、反対に吸収するものほど黒く表
た写真は、灰色の影の集まり、つまり白黒で現れます。これはX
示されます。
線が体内を透過するとき、X線をたくさん吸収する組織と、ほと
超音波検査はX線診断法では確定診断の難しい軟部組織領域の病
んど吸収せずにそのまま素通りさせる組織があるからです。その
変の描出に優れた能力を発揮します。そのためX線診断法と併用す
吸収の違いが影となって現されます。具体的にいいますと、たく
ることにより、より一層詳細な病変の把握が可能となります。また
さんX線を吸収する骨は写真上では白く見え、ほとんど素通りす
非常に安全で鎮静や麻酔を必要とせず、動物にとって全く無痛で実
るガス(肺内や消化管内の空気)は黒く見えます。内臓、筋肉、
施することができます。超音波は液体・固体にはよく伝導するため、
脂肪はこの中間と言えます。また検査の際、平面な画像なので、
生体内では肝臓・脾臓・心臓などの実質臓器、胸水・腹水の描出な
一枚だけでなく通常2方向からの撮影を行います。病気によって
どに優れています。しかし気体中は超音波が伝わりにくいため、生
は、バリウムのような造影剤を使った特殊な X 線写真を必要とす
体内では肺・消化管ガスによって伝導を妨害されてしまいます。ま
ることもあります。
た固体でも骨・金属など硬いものでは、その表面で強く反射される
裾野センター病院では、昨年度より従来のⅩ線検査機器に代
ため画像化が困難です。超音波検査の際には、生体内の断層画像を
わって、CR(Computed radiography)と呼ばれる機器を導入しま
得るため、超音波を発生・受信するプローブと呼ばれるものを動物
した。従来のX線写真は体内を通過したX線をそのままフィルム
の体に密着させる必要があります。このため、皮膚表面をスプレー
に焼き付けているのに対し、CRはコンピュータで画像を処理し
で濡らしたり、ゼリーを用いたりして接触面に空気が入り込まない
ています。
ようにして超音波が弱まるのを防ぎます。
パルニュース 2007 年 2 月号