PAL NEWS 2012/04 フィラリア症の予防について パル動物病院 ~人と動物の絆~ 今年もフィラリア症予防の時期になりました。 そうめん様の虫体)になります。成虫はミ フィラリア症は、犬の体内に犬糸状虫という クロフィラリアを産み、血液中にミクロフィ よりよい関係を目指して 寄生虫が入り込み、心臓や肺の血管に寄生す 私たちは最先端の診療技術を生かし、地域 る結果生じます。症状は、咳、運動を嫌がる、 に密着した動物病院を目標にしております。 貧血などですが、寄生が重度の場合には、腹 診療時間 行すると命に関わる恐ろしい病気です。 投薬を行うことで確実に防げるため、感染 ●裾野センター病院 月~土 日・祝 午前 9:00 ~12:00 午後 14:00 ~21:00 午前 9:00 ~12:00 午後 14:00 ~19:00 水貯留、呼吸困難、失神などが認められ、進 (11:30) (20:30) (11:30) (18:30) ●沼津病院 経路を理解し、適切に予防しましょう。 感染経路 フィラリア症の原因となる犬糸状虫は、蚊を 媒介して以下の経路で感染を引き起こします。 ① 感染犬に対する蚊の吸血 平日 午前 9:00 ~12:00 (11:30) 午後 14:00 ~19:00 (18:30) 日 午前 9:00 ~12:00 (11:30) 木・祝日休診 括弧内の時間までが受付時間となります。緊急時や 専門予約診療はこの限りではありません。また、処 方食やお薬の処方のみの場合は診療時間内で受付い たします。 お問合せ ・裾野センター病院 〒 410-1123 静岡県裾野市伊豆島田 843-5 TEL: 055-993-3135 ・沼津病院 〒 410-0058 静岡県沼津市沼北町 1 丁目 5-27 TEL: 055-922-6255 ・ウェブサイト http://pal-ah.jp フィラリア症に感染した犬の血液中に は、ミクロフィラリアという子虫が存在し、 吸血の際に蚊の体内に取り込まれます。 ② 蚊の体内でのミクロフィラリアの成長 ミクロフィラリアは蚊の体内で成長して 2回脱皮を行い、犬への感染能力をもっ た感染子虫となり、蚊の次の吸血行動を 待ちます。 ③ 蚊の吸血による感染子虫の感染 蚊が犬に対して吸血を行う際に感染子 虫が経皮的に侵入します。体内に入った感 染子虫は皮下組織や筋肉内でさらに 2 回 脱皮し、2 ヵ月ほどかけて第 5 期幼虫に発 育します。 ④ フィラリア子虫の体内移動と成熟 第 5 期幼虫は犬の静脈内に移行し、最 終的には心臓および肺動脈に移動し、3 ~ 4 ヵ月かけて成虫(体長 10 ~ 30cm の ラリアが認められるようになります。 フィラリア症予防薬の目的は、血管内に 今月の専門科診療 今月は下記の日程で専門科の診察を行いま す。ご希望の方は事前にご予約ください。 (カッコ内はカレンダー内の省略形です) ◆歯科(歯) 歯学博士 奥田 綾子 先生 移 行する前の ③ の段 階で 子虫を駆 虫する ことです。 ◆エキゾチックペット(エキゾ) エキゾチックペットクリニック つるの 霍野 晋吉 先生 予防 蚊の吸血により感染した子虫が血管内に 移行する前の約 2 ヵ月間しか、投薬により駆 虫することができません。そのため蚊が飛ぶ ◆腫瘍科(腫瘍) 麻布大学獣医学部附属動物病院 川村 裕子 先生 ようになってから 1 ヵ月後から、蚊が見られ なくなって 1 ヵ月後まで、月 1 回の予防薬投 与が必要になります。静岡県では予防期間は 通常、5 月~ 11 月までですが、近年の温暖 ◆画像診断科(画) 獣医学博士 小野 晋 先生 化の影響で蚊の発生が早かったり遅かったり する場合は、4 月および 12 月の予防もお勧 めしております。 予防薬投与における注意点 フィラリア症に感染している犬に予防薬を ◆問題行動治療科(行) きっかわ 獣医学博士 吉川 綾 先生 ◆眼科(眼) 獣医学博士 当院:小野 啓 投与すると、血管内のミクロフィラリアが一 気に死滅してショック症状を起こし、死に至 ることもあります。血液検査により成虫の有 月 無が確認できますので、昨年のフィラリア症 火 水 木 金 土 予防が不完全だったり、今年から予防を始め たいという場合には、事前に血液検査の実 2 3 施をおすすめします。 9 10 16 17 腫瘍 24 参考文献 家庭動物の医学大百科(PIE BOOK) 23 イラストで見る犬の病気(講談社) 30 4 5 眼 11 歯・ 12 画・眼 19 18 眼 25 26 エキゾ・眼 6 13 20 27 7 眼 14 眼 21 眼 28 眼 1 日 8 15 22 29 外部寄生虫症 春らしい気候になってきましたが、気温の上昇とともにノミやダニに感染する機 会も増えています。今回は、ノミやダニの危険性や予防法についてお話しします。 <ノミについて> ノミは大きさ 1.5 ~ 2mm の節足動物です。草むらや地面からジャンプして 動物に飛び移ります。動物の血を吸って生活し、1 日当たり 20 ~ 50 個の産卵 を行います。卵は動物周囲に落下し、孵化して幼虫になります。室内飼育の場合、 幼虫は畳やカーペットの中に入り込み、感染の温床となります。その後幼虫は、 成虫の糞などを食べながら成長し、さなぎを経て、成虫になると再び動物の体 に寄生します。 ○ノミが媒介する病気 ・皮膚炎 ノミに吸血されると、痒みを伴う皮膚炎が生じます。吸血時に分泌さ れる唾液の成分に過敏に反応し、アレルギー性皮膚炎になることもあり ます。一度アレルギーになると、たとえノミの寄生が少数であっても、激 しいかゆみや湿疹、脱毛などが起こります。 ・瓜実(うりざね)条虫の寄生 瓜実条虫は、サナダムシの一種です。ノミの体内で発育するため、動 物が毛づくろいでノミを食べてしまうことにより感染します。卵が詰まっ た体の一部 ( 片節 ) がちぎれて肛門の外側に出てきます。肛門に 3 ~ 4mm の伸び縮みする白いひも状のものや、糞の表面に米粒のようなも のを発見したら要注意です。 ・貧血 ノミの大量寄生により貧血になります。特に体の小さい子犬や子猫は 注意が必要です。 ・猫ヘモプラズマ症 ノミは、猫の血液中の赤血球に寄生するヘモプラズマという菌を媒介 します。この菌の感染によって赤血球が壊れやすくなり、貧血となります。 ティッシュに取って水を少量滴下すると、糞の中の血液成分により赤茶色に滲 みます。ノミを見つけた場合、潰してはいけません。お腹に入っている卵や、 媒介する感染源を撒き散らすことになります。水に漬けたり、セロハンテープ にはさむなどして処理するとよいでしょう。 <マダニについて> マダニは草むらなどに潜み、動物が近くに来たことを感知すると飛びつきま す。その後、頭や耳などの比較的毛の薄い部分に移動し、そこで皮膚に噛み ついて吸血します。吸血したマダニは腹部が膨らみ、吸血前の数倍の大きさに なるとようやく動物から落下します。 ○マダニが媒介する病気 吸血による貧血や皮膚炎を引き起こします。また、犬に貧血を引き起こす バベシアという寄生虫や、猫のヘモプラズマ ( 前述 ) を媒介します。 ○ダニ寄生を確認するには 顔周り、耳先、足先などをよく観察します。大きさは砂状~小豆大で、目 視することができます。 <ノミ・ダニの予防法> 首に薬液をつけるスポットタイプの駆除薬が一番効果的です。特に病院取り 扱いの薬は、駆虫・予防効果が高く、お薦めします。市販のノミ取りシャンプー やノミ取り首輪の併用は、病院にご相談ください。特にノミ取り首輪の使用は、 皮膚炎を生じることがあるため注意が必要です。また、ダニが皮膚についてい る場合、無理に取り除かないで病院にご相談ください。ダニの頭部が皮膚に残っ てしまう場合があるからです。 ノミやマダニは痒みだけでなく、様々な病気を媒介します。また、室内飼育 の動物であれば、住宅内でノミやダニが増え、ヒトに感染する恐れもあります。 春先から秋までの、月 1 回の予防を強くお薦めします。駆除剤にも幾つか種類 がありますので、詳しくは病院でお尋ねください。 ○ノミ寄生を確認するには 毛をかき分けてノミの成虫や糞を確認します。ノミの糞は、黒く砂状です。 パルニュース 2012 年 04 月号
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