橋本新聞2013年10月15日

人工乳房に保険適用~和歌山県初、紀和病院~
乳 がん患 者 の「乳 房 の全 切 除 &人 工 の乳 房 再 建 」手
術 に対 し、公 的 医 療 保 険 が適 用 される医 療 機 関 とし
て、和 歌 山 県 橋 本 市 岸 上 18の2にある医 療 法 人 南
労 会 紀 和 病 院 「紀 和 ブレスト(乳 腺 )センター」が、和 歌
山 県 内 で初 めて厚 労 省 近 畿 厚 労 局 和 歌 山 事 務 所 と
日 本 乳 房 オンコプラスティックサージャリー学 会 から認
可 を受 けた。同 センターは10月 15日 、〝公 的 医 療 保
険 の適 用 病 院 〟となったことを発 表 するとともに「今 後 、
患 者 さんの費 用 は大 幅 に減 少 し、人 工 乳 房 で女 性 美
の喪 失 感 も解 消 されることになります」と言 っている。
同 ブレスセンターによると、厚 労 大 臣 の諮 問 機 関 ・中
央 社 会 保 険 医 療 協 議 会 (中 医 協 )が、今 年 7月 から、
乳 がんの全 摘 手 術 後 に使 う人 工 乳 房 に公 的 医 療 保
険 の適 用 を了 承 。
同 ブレストセンターが10月 11日 、同 保 険 適 用 病 院 に
認 定 され、同 15日 、書 面 で認 可 通 知 を受 けた。これ
により、これまで全 額 自 己 負 担 (約 100万 円 )だった
のが、原 則 3割 の窓 口 負 担 で済 むうえ、高 額 医 療 制
度 も利 用 できることになる。
同 ブレストセンターで平 成 24年 1月 ~12月 の1年 間 、
乳 がん手 術 を受 けた患 者 数 は44人 で、そのうち全 切 除 者 数 は21人 。女 性 の象 徴 ・乳 房 を失 う全 切 除 による精 神 的 痛 手 は
大 きく、よりよい社 会 生 活 に戻 れることを目 指 して「乳 房 再 建 」が行 われている。
その方 法 として、自 分 の筋 肉 や脂 肪 組 織 を使 ったり、人 工 物 (シリコン)を使 ったりしているが、これまでは人 工 物 による再 建
は、公 的 医 療 保 険 の適 用 外 で、乳 がん手 術 と同 時 に乳 房 再 建 を行 う場 合 も、混 合 診 療 が認 められていなかった。このため
乳 がん手 術 ・乳 房 再 建 費 用 、それにかかる入 院 、検 査 など、すべて患 者 の自 己 負 担 となっていた。
今 回 、公 的 医 療 保 険 の適 用 が認 められた人 工 乳 房 は、アラガン・Jジャパン社 (東 京 )の丸 型 のみに限 定 されていて、同 ブレ
スセンターはその実 物 サンプルを用 意 。「乳 房 再 建 で喪 失 感 が解 消 され、補 正 パット不 要 で一 般 下 着 が使 用 できるし、パー
トナーと自 然 に接 し、子 供 たちと入 浴 できるようになる」と説 明 している。
同 ブレストセンターの〝乳 がんいのちプロジェクト〟代 表 ・梅 村 定 司 医 師 は「私 たちは積 極 的 に認 可 を申 請 し、早 々に認 可 さ
れてうれしい。高 額 な費 用 が理 由 で、乳 房 再 建 をためらっている人 や、乳 房 切 除 を余 儀 なくされる人 には、乳 房 を取 り戻 せる
福 音 かと思 います」と話 している。
〝乳 がんいのちプロジェクト〟は「乳 がん患 者 の心 の支 えになるように」と、高 野 山 ・金 剛 峯 寺 と協 力 して、高 野 山 キャラクタ
ー「ピンクリボンこうやくん」を制 作 したり、慈 尊 院 (九 度 山 町 )と協 力 して〝特 大 おっぱい絵 馬 奉 納 &乳 がんお守 り〟を制 作
したりするなど、幅 広 く活 動 している。
問 い合 わせは紀 和 ブレストセンター(代 表 電 話 0736・33・5000)事 務 局 ・大 谷 さん。
写 真 (上 )は紀 和 ブレストセンターの梅 村 医 師 や看 護 師 =同 センター診 療 所 で。写 真 (左 下 )は人 工 乳 房 に保 険 適 用 の認 可
を受 けた紀 和 病 院 の紀 和 ブレストセンター。写 真 (右 下 )は患 者 の心 を支 える高 野 山 キャラクター「ピンクリボンこうやくん」。