中国ビジネスニュース - 公益財団法人かがわ産業支援財団

2014 年 10 月(第 28 号)
中国ビジネスニュース
編集:香川県上海ビジネスサポーター
川田真理子
今月の注目トピックス
■ 海外の展示会参加前にすべきこと「商標権の出願申請」
先日、中国への輸出販売を検討中の県内食品メーカーから中国での商標登録について問い合わせを頂きまし
た。調べた結果、中国ではよくあるトラブルですが、すでに中国のある個人によって、その香川県企業が販売して
いる商品と同類分野の商標として既に登録されていました。こういった場合、既に登録している別の企業が、単に
登録していただけで、3 年以上の期間にわたってその商標を使用しているという実績が無ければ、その既存登録
の取り消しを訴えることができますが、万一使用していた場合、後から申請した企業が、日本での使用実績を説明
してもその商標の利用が認められるのは極めて困難です。
先日、中国国家工商行政管理総局が 2014 年 6 月末時点で中国の商標申請数が累計 1,425.7 万件に達したと
発表しました。登録数は累計 907.5 万件で、そのうち有効な商標は 761.1 万件に達し、2002 年以来 12 年連続で世
界一の座を維持しています。
しかし、「登録数から見ると商標大国と言えるが、国際的に有名なブランドは少なく、価格と労働力によるコスト
の優位性に頼るだけで、先進国に比べるとブランド競争力は劣っている。海外と取引のある中国企業のうち、自主
ブランドを持っているのは 20%に過ぎず、自主ブランドの輸出額も輸出全体の 11%でしかない。」と中国国家工商
行政管理総局の張局長は指摘しています。また、競争力に富む商標は不正に登録される、いわゆる「冒認出願」
の対象になりやすいため、商標など知的財産権の保護に更に力を入れる必要があるとも述べています。
「冒認出願」されてしまうと、企業は自らのブランドを商標として使用できないだけでなく、ブランドイメージの毀損
など多大な悪影響を及ぼします。「冒認出願」は、企業が事業を行っている商品分野に限らず、商標登録していな
い商品分野での出願や日本の地名や地域ブランドでの出願、マンガのキャラクターを利用した出願などの他に、
類似といえるかどうか微妙な態様に変更した商標にするといった手口の巧妙化もみられます。
こういった「冒認出願」が増加している背景のひとつとして、インターネットの普及が挙げられます。誰でも簡単に
外国ブランドの情報を入手することができるため、中国未進出のブランドを先に商標登録して、それを盾に商標を
高値で買取らせようとしたり、「冒認出願」を手引きする代理人が現れたりするなど悪質な業者が存在しているので
す。
こういった問題からの対策としては、やはり早期のうちに出願申請することです。商標登録は「先願主義」ですか
ら、早く申請した方に優先権があります。海外で販売もしていないのに、商標登録に費用をかけるなんて…と考え
る方もいらっしゃるかもしれません。そんな中小企業を支援するため、日本の特許庁では中小企業による海外で
の商標権や特許権の出願申請費用に対して、補助金制度※を設けているようです。
さて、中国では、これから年末に掛けて、展示会や見本市などのシーズンとなります。こういった PR の場は、悪
質な商標登録代理業者による冒認出願の「情報収集の場」でもあります。ぜひ、海外の展示等に参加される前に
は、商標登録申請を済ませておくことをお勧めします。
※ 特許庁 HP:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/sesaku/shien_gaikokusyutugan.htm
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2014 年 10 月(第 28 号)
政策・経済トピックス
【新政策動向】
■企業情報公開暫定条例 徹底実施に通知
国家工商行政管理総局は、『「企業情報公開暫定条例」実施徹底の関連問題に関する通知』を公布した。「企業
情報公開暫定条例」実施の 2014 年 10 月1日以前の行政処罰情報などについては公開範囲に含まない。企業は
2014 年 10 月1日から 2015 年6月 30 日までの間に、2013 年度報告を工商部門に申告・公開しなければならず、
2013 年度報告を申告・公開後、2014 年度報告を 2015 年6月 30 日までに申告・公開しなければならない。
■国外投資管理弁法 改正
商務部は「国外投資管理弁法」を改正した。10 月6日より施行される。2009 年公布の同法は廃止。認可制から届
出制を主とし、行政審査許可を簡素化、権限を下部に移譲する。認可制の部分も認可範囲を縮小し、認可にかか
る時間を短縮する。届出制の場合、届出表に正しく記入されていれば3業務日以内に届出が完了する。
■低品質の石炭 使用禁止
国家発展改革委員会は、「石炭品質管理暫定弁法」を公布した。大気汚染対策として、中国東部の人口が多く経
済が発展している都市において、灰の含有率が 16%を超えるか硫黄の含有率が1%を超える石炭を燃やすこと
を 2015 年1月1日より禁止する。事実上、豪州やアフリカ南部などからの低質炭の輸入を禁止することになる。
■上海市 資本市場の一層の開放を促進
上海市は「当市における資本市場の健全な発展の一層の促進に関する実施意見」を発表した。10 月1日から施
行、有効期間は 2019 年9月 30 日まで。自由貿易試験区で資本市場のさらなる開放を促進する。
■ネット上で放映される海外作品 管理強化
国家新聞出版ラジオ映画テレビ総局は、「インターネット上で放映される外国映画ドラマ管理の関連規定」を発表、
インターネットを通じて放映されている外国映画やドラマ、アニメへ等の管理を強化する。動画配信サイトなどで流
通する外国作品について、来年4月1日以降は当局の事前許可を得ないものは放映禁止とする。
■汚染排出費の基準を調整
国家発展改革委員、財政部、環境保護部は、「汚染排出調整基準の調整等に関する関連問題」を公布した。省レ
ベルの価格、財政、環境保護部門に対し、各種汚染排出費徴収基準を基準額以上に調整するよう奨励した。
■知財裁判所 北京・上海・広州に設置
全人代常務委員会は「北京、上海、広州に知財産権裁判所設立に関する決定」を公布し、知的財産に関する事件
を専門的に扱う知的財産裁判所を北京、上海、広州の3カ所に新設することを決めた。知財裁判所は特許のほ
か、集積回路の配置設計図などの技術的機密、植物の新品種といった専門性が高く技術的な知財民事・行政事
案を扱う。
■北京市 外国籍人員の就労に新規定
北京市人的資源社会保障局などは、「北京市外国籍人員雇用作業の更なる強化に関する通知」を公布した。外
国籍人員の同市における雇用条件(年齢、学歴、勤務経歴など)、外国人文化教育専門家招聘条件を明確にし
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2014 年 10 月(第 28 号)
た。
【経済・産業】
■外資導入 ゆっくりペース安定期に
商務部によると、2014 年の中国の外資導入規模は、世界経済に大きな反転の動きがなければ 1200 億ドルに達
し、今後の外資導入はゆっくりしたペースの安定的増加期に入る。今年1~8月の外資系企業新規設立数は1万
5200 社で、前年同期比5%増加した。金融分野を除いた実行ベース外資導入額は 783 億4千万ドルで同 1.8%減
少、8月は 72 億ドルで同 14%減少した。
■オンラインゲーム空中网 東京ゲームショウ 2014 に出店
中国オンラインゲーム開発大手「KONGZHONG/空中网」(北京)の日本法人「KONGZHONG JP/空中網 JP」は、
2014 年9月 18 日から 21 日まで千葉・幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ 2014」にブースを出展する。保有
オンラインゲームの紹介のほか、日本国内での事業展開やパートナー企業様へのご提案などを行う。2014 年6月
の日本法人設立後、初の本格的なプロモーション活動。
■100 億元富豪 約 300 人に
中国企業家ランキング「胡潤百富ランキング」で有名な胡潤研究院が、中国富豪に関する調査報告を発表した。
2013 年末時点で資産 1000 万元(約 1 億 7488 万円)以上の富豪は約 109 万人、2012 年末から 4 万人増加した。
うち、資産 10 億元(約 17 億 4882 万円)以上の富豪が 8300 人で 2012 年末からの増加数は 200 人。さらに、資産
100 億元(約 174 億 8822 万円)以上の大富豪は 300 人で、2012 年末から 20 人増加している。
■北京市消費品小売総額 10 兆円を突破
国家統計局北京調査グループによると、2014 年1~8月の北京市都市部住人の1人あたりの平均収入は、前年
同期比 9.1%増の2万 8816 元になった。同市都市部家庭平均収入は同 9.7%増の3万 2475 元だった。同市農村
部住人 1 人あたり現金収入は同 10.2%増の1万 5838 元に達している。同市社会消費品小売総額は同8%増加
し、5740 億元(約 10 兆円)を突破した。
■消費者物価2%上昇
中国国家統計局によると、8月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比 2.0%上昇、上昇幅は前月比 0.3 ポイント
縮小した。卸売物価指数は同 1.2%下落し、下落幅が5カ月ぶりに拡大した。食品の価格は豚肉の値下がりなどで
3.0%の上昇にとどまり、食品以外は 1.5%の上昇だった。1~8月平均のCPIの前年同期比の上昇率は 2.2%で、
中国政府の今年の抑制目標である 3.5%の範囲内にある。
■電気自動車生産台数 大幅増
中国工業情報化部によると、2014 年8月の新エネルギー自動車生産台数は 5,191 台であった。内訳は純電気乗
用車が 2,447 台、プラグインハイブリッド乗用車が 1,594 台、プラグインハイブリッド商用車が 866 台、純電気商用
車が 284 台となっている。2014 年1月~8月の新エネルギー自動車生産台数は、3万 1,137 台に達し、内訳は純
電気乗用車が 1 万 6,276 台、プラグインハイブリッド乗用車が 6,621 台、プラグインハイブリッド商用車が 5,161 台、
純電気商用車が 3,079 台。
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2014 年 10 月(第 28 号)
■サービス業 PMI 大幅に回復
香港上海銀行(HSBC)によると、8月の中国サービス業購買担当者指数(PMI)は 54.1%だった。7月の 50%から
大幅に上昇した。
■非製造業 PMI 54.4%
中国物流・購買連合会(CFLP)によると、8月の中国非製造業 PMI が、54.4%となった。7月より 0.2 ポイント上昇し
た。
■製造業購買担当者景気指数 PMI 51.1%に下落
中国物流・購買連合会によると、8月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が、51.1%となった。水準ライン以
上は維持したが、前月比 0.6 ポイント下落した。
■上海・復星集団 東京のオフィスビル取得
中国の民営複合企業「復星集団」(上海市)は、日本子会社のイデラ・キャピタルマネジメントを通じて、東京天王
洲のシーフォートスクエアにあるオフィスビル「シティグループセンター」を取得した。復星集団は5月にイデラの株
式98%を譲り受け、傘下に収めた。
■太陽光パネルの世界出荷 中国系が上位
米 NPD Group 社の太陽電池部門である Solarbuzz によると、2014 年第2四半期の中国系の大手太陽光パネルメ
ーカーによる太陽光パネルの出荷量が、前期の 5.2GW から 26%増(約 6.6GW)になった。中国系の大手パネルメ
ーカーが世界のパネル出荷量の上位6位を占めた。同期の全世界の出荷量のうち 71%を上位 20 社が占め、この
上位 20 社を中国系企業が独占する勢い。
■住宅ローン 緩和へ
中国人民銀行(中央銀行)は中国工商銀行や中国建設銀行など国有大手商銀4行に対し、住宅ローンの提供基
準を緩めるよう要請した。これまでは初めてローンを借りて住宅を購入する場合は2軒目の購入より頭金や金利を
優遇してきたが、今後はその「初めての購入者」の定義を拡大させ、すでに住宅を保有している顧客でも、ローン
を完済している場合は「初の借り入れ」と認定する。
■CO2 排出の総量規制へ
国家発展改革委員会の解振華・副主任は、二酸化炭素(CO2)排出の総量規制を導入する方針を明らかにした。
中国は 2020 年までに、国内総生産(GDP)を一定額生み出すのに排出するCO2 量を 05 年比で 40~45%削減す
る計画を実行中。
【日系・外資企業動向】
■ケイティーバイオ リウマチ治療薬販売を本格展開
ケイティーバイオは台湾の「Holy Stone Healthcare Co., Ltd.」と、リウマチ治療バイオ製剤有効性予測試薬
『BiologicMate(R)』の中国・台湾における販売パートナーとして独占販売代理店契約を締結した。この契約によ
り、独自開発した関節リウマチ(RA)治療の生物学的(バイオ)製剤有効性予測試薬『BiologicMate(R)』 を、Holy
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Stone 社を通じて中国の医療機関や検査センター等に提供することが可能となった。
■KDDI 中国 40 都市で LTE 国際ローミング開始
KDDI、沖縄セルラーは、国際ローミングサービス「グローバルパスポート」において、LTE による高速データ通信
が可能なエリアを拡大した。中国における LTE 国際ローミングサービスの提供は、国内通信事業者で初。邦人渡
航者が多い 29 の国と地域で、大容量のコンテンツが快適に楽しめる。
■東風日産 100%電気自動車を発売
日産自動車の合弁会社「東風汽車有限公司」の乗用車部門「東風日産乗用車公司」(東風日産)は、自主ブラン
ド「ヴェヌーシア」初の 100%電気自動車、「e30」の販売を開始した。販売価格は 267,800 人民元から。
■カシオ GPS搭載の電波腕時計を発売
カシオ計算機は、全地球測位システム(GPS)搭載の電波腕時計を中国市場で販売する。「Gショック」の最新モ
デルの投入で 12 日にインターネット上で先行発売し、店頭では 19 日に発売する。価格は 7,990 元(約 14 万円)。
GPSと世界6カ所の基地局が発する標準電波の両方を受信し、世界どこにいても正確な時刻を知らせる。
■カシオ 新型の「自分撮り」カメラ発売
カシオ計算機は中国で「自分撮り」向けの新しいコンパクトデジタルカメラ「TR―500」を発売する。価格は約 6,000
元(約 10 万円)で前モデルと同じ。前モデルはレンズの角度を自在に変えることができ、肌をなめらかに写す機能
が中国の若い女性から支持され、高価格ながら品薄になるほどの人気だった。新しいモデルはデザインにこだわ
り、高度な表面加工を実現するため、日本で生産する。4月にTRシリーズを専門に販売する店舗を上海市内に
新設した。
■日東電工 青島に研究開発拠点
日東電工は、青島市に研究開発拠点「日東(青島)研究院」を 10 月に設立する。光の波長変換材料や光触媒な
どを研究し、農業や環境分野の製品開発に生かす。12 月から稼働予定。
■郵船ロジスティクス 広州に新倉庫オープン
郵船ロジスティクスの中国法人「Yusen Logistics (China)」が広東省広州市に新倉庫の営業を開始した。新倉庫で
は、自動車産業向けジャストインタイム輸送を基盤にスケールメリットを活かした効率的なハンドリングや輸配送
サービス、国内のリテーラー向けには家電やアパレルなどの店舗配送を展開する。更に温度管理を必要とする
品物へ定温機能を活用した保管、配送など高品質な付加価値サービスを提供することが可能となった。
■太平洋セメント 合弁会社の新設断念
太平洋セメントは、中国子会社を通じて化学メーカー「新疆天業(集団)」(新疆ウイグル自治区)と進めていたセメ
ントの合弁事業を解消する。中国政府が生産過剰業種と指定したセメント業界に対し、生産能力の増強を抑制す
る政策を強化したため。大連や南京などの既存工場への影響は特にないという。
■CDNetworks IDC ライセンスを取得
CDNetworks Co., Ltd は、中国工業情報化部から中国全土におけるインターネットデータセンターライセンスを取
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得した。本 IDC ライセンスを所有するグローバル CDN サービス企業は他にない。中国国内での IDC(コロケーショ
ンおよびホスティングサービス)事業を本格スタートさせる。
■中国日本商会 14年白書
中国で事業活動を行う日系企業で構成する中国日本商会は、「中国経済と日本企業 2014 年白書」をまとめた。
労働コストの上昇などで事業環境が悪化、日系企業の投資意欲も減少していることを指摘した。2013 年の日本
の対中投資は、前年比 4.3%減の 71 億ドル。材料費や人件費などのコスト上昇や、労働力確保の困難さなど、中
国一極集中へのリスク意識の高まりが背景にあると分析している。
■ユニ・チャーム 高級紙おむつ発売
衛生用品大手のユニ・チャームは中国向け「マミーポコ」の新商品を日本からの輸入品として、アリババ集団(浙
江省)などが運営する通販サイトや、上海のベビーケア専門店などで発売した。繊維素材を細くし、新たな吸水シ
ートの採用で着心地や肌触りを改善。赤ちゃんの骨格にあわせて設計し、足回り部分に与える負担も軽減した。
価格は 50 枚入りで 155 元(約 2600 円)。
■日光猿軍団 山東省に劇場
栃木県日光市のテーマパーク「日光猿軍団」は、2015 年5月に山東省で「日光猿軍団中国劇場」を開園する。猿
軍団は調教師不足などのため 2013 年末に活動に中止した。猿軍団を運営する「間中屋」が中国の劇場に技術
指導する形で、山東省東営市で海外公演を実現させる。
■テルモ 血液バッグ生産撤退
テルモは吉林省長春の血液バッグ生産工場を閉鎖する。すでに操業を停止しており、血液バッグの生産はインド
やベトナムの工場に集約する。ここ数年、現地メーカーの参入などを背景に価格競争が激しくなり、採算が悪化し
ていた。操業を停止した工場の運営会社は今後1~2年をめどに清算する。中国では今後、米国工場で生産する
成分採血用の機器や血液バッグなどを輸入販売中心に行う。浙江省杭州にある工場での輸液関連製品などの
生産は従来通り継続する。
■マツダ 新車販売 24.9%増
マツダは8月の中国での新車販売台数が前年同月比 24.9%増の1万 5787 台だったと発表した。6カ月連続で前
年同月を上回っている。1~8月の累計販売台数は前年同期比 22.2%増の 13 万 573 台。年間 22 万台の目標達
成をめざす。
■ホンダ・日産 新車販売2カ月連続減
ホンダは中国での新車販売台数が8月に前年同月比 5.5%減の5万 2513 台だったと発表した。日産自動車も
0.7%減の約8万 5500 台にとどまり、ともに2カ月連続のマイナス。ホンダは中国専用車「クライダー(中国名・凌
派)」や主力の多目的スポーツ車(SUV)「CR―V」など中国販売をけん引してきた車種が不振。日産は景気の影
響を受けやすいトラックが足を引っ張り、乗用車も小幅な伸びにとどまった。
■トヨタ 新車販売 8.9%増
トヨタ自動車は8月の中国での新車販売台数が前年同月比 8.9%増の約7万 8500 台だったと発表した。6月に発
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売した主力セダン「カローラ」の新型車が好調で、3カ月ぶりのプラスになった。1~8月の累計販売台数は、前年
同期比 9.7%増の約 61 万 9200 台。
■トヨタファイナンス 銀聯カード発行
クレジットカード大手のトヨタファイナンスは中国銀行と提携し、法人向けの中国銀聯デビットカードを発行する。ト
ヨタグループの中国出張者向けに9月から発行を始める。外国銀行と提携した法人向けデビットカードの発行は
日本のカード会社で初めて。
■タニタ食堂 中国進出
タニタは中国の情報システム大手「東軟集団股分有限公司」(Neusoftコーポレーション)傘下の「東軟熙康健康
科技(XIKANG)」と医療・健康分野で業務提携し、食堂事業で中国に進出する。瀋陽のNeusoft本社に第一号
店をオープンした。体組成計などの健康関連商品の販売や新商品開発でも協業する。
■川重 中国合弁2ドック体制へ
川崎重工業は中国の合弁造船所「大連中遠川崎船舶工程」(DACKS、遼寧省大連市)の第2ドックを稼働する
検討を再開した。2008 年秋のリーマン・ショック後に計画を凍結したが、直近では 2016 年度半ばまでの仕事量を
確保するなど受注が堅調に推移しているため。DACKSを2ドック体制にすることで、造船所全体の建造効率も高
まると見ている。
■昭文社 訪日中国人向けアプリ配信へ
昭文社は中国の飲食店情報サイト運営大手「大衆点評」と訪日中国人向けアプリ(応用ソフト)の配信に向け、共
同で市場調査する覚書を結んだ。まず大衆点評のサイトなどに昭文社の持つ日本の観光情報などを提供する。
■物材機構 低エネルギー電子の走行距離を新モデル関数で正確計算するアルゴリズム開発
物質・材料研究機構は中国科学技術大学と共同で、エネルギーの低い電子が走行する距離を正確に計算する
アルゴリズムを開発した。電子を使って、物質の薄い表層にある元素を定量的に分析したり、化学結合状態を分
析したりする際の精度が向上する。
■GSユアサ 鉛蓄電池の新工場
ジーエス・ユアサコーポレーション(GSユアサ)は自動車や二輪車に使う鉛蓄電池の新工場を建設する。2018 年
に生産能力を現在の2倍以上にする。天津市に2カ所の工場があるが、同市に最新鋭の設備を取り入れた大型
工場を建設し、既存工場の生産分を集約する。広東省の工場でも設備を増強し、中国の生産能力を現在の年
550 万個から 15 年に 950 万個、18 年に 1200 万個に増やす。
■ワールドHD 製造請負参入
人材ビジネスのワールドホールディングス(HD)は江蘇省蘇州市で、同市や現地の同業と製造請負の基準を作
り、同事業に参入する。中国では今春に派遣労働者を減らす規定が施行され、製造現場で派遣から請負へ移行
が進む見通し。ワールドHDは同業のエングマ社(蘇州市)と製造請負を目的とした合弁会社「エングマインテッ
ク」を 10 月上旬をめどに設立する。エングマ社が 51%、ワールドHDが現地法人も含め 49%出資する。
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■GLP 8.75 億米ドルの資金調達を完了
グローバル・ロジスティック・プロパティーズ(GLP)は、中国で第2回資金調達として 8 億 7500 万米ドルの資金調
達を完了した。第2回資金調達のパートナーは、中国人寿保険、中国国際投資(China Development Bank
International Holdings Limited)、China Infrastructure Partners L.P.(中国銀行インターナショナルグループ傘下の
企業)、China Post Insurance、博裕資本(Boyu Capital)、HOPU Fund II。優良顧客層と戦略的開発用地へのアク
セスがさらに拡大した。
■RGA 上海支店の営業ライセンスを取得
Reinsurance Group of America, Incorporated (NYSE: RGA)の、主要事業子会社「RGA Reinsurance Company」が
中国保険監督管理委員会から上海支店の営業申請の認可を受けた。RGA は、2005 年に北京駐在員事務所を
開設しており、北京駐在員事務所は今後も営業を継続する。
■ランクセス 無機顔料新プラントを増強
ドイツの特殊化学品メーカー、ランクセス(LANXESS)は、酸化鉄顔料の旺盛な需要に応えるため、寧波地区に建
設中の顔料プラントに混合・粉砕設備を増設し、中国における製造ネットワークを強化する。今回の増設で寧波
拠点への総投資額は、約 6,000 万ユーロ(当初額:約 5,500 万ユーロ)。
■マイクロソフト 新「Xbox」発売
米マイクロソフト(MS)は中国で、29 日から新型ゲーム機「Xbox One(エックスボックスワン)」の販売を始める。
同社は発売日を当初予定されていた 23 日から延期していた。
【人民元情報】
人民元市場レート(2013 年 9 月 26 日)
外貨名 100 日本円
中間値 5.6624 人民元
【中国ビジネスワンポイントアドバイス】
企業情報開示制度の導入
【企業情報開示制度に至るまでの経緯】
10 月 1 日から、「企業情報開示暫定条例」(国務院令第 654 号。以下、「条例」と略記)が施行されることで、従来
の企業年次検査に代わり、企業には「年度報告」の開示が義務付けられることになります。上海自由貿易試験区
での行政手続の簡略化や改正後された「中華人民共和国公司法(会社法)」と「登録資本登記制度改革法案」によ
って、「最低資本金要求の廃止(別途要求のある業種を除く)」、「験資証明書(出資証明書)提出の不要化」「出資金
払込額登記の不要化」、「出資金払込期限の自主設定」、「企業年次検査の廃止」等が明確にされました。
行政の監査が緩和されることで、改正当時は「1 元から起業が可能に」といった文字がメディアを騒がせ、ペーパ
ーカンパニーの設立増加を懸念する声も上がりましたが、実際には、会社運営に妥当性のある資本金額が必要と
されますし、出資金払込みについても、企業定款で約定した内容を守る法的義務があります。
以上のような行政手続の緩和は、より市場の自由度と市場競争による自助監視能力を高めることが期待されて
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いるからで、この度の「条例」の実施と「企業信用情報開示システム」の導入によって、従来の政府による企業の管
理ではなく、市場と社会全体で企業を監視し、より自由で健全な経済活動を促すことが期待されています。
【具体的な開示内容】
条例によると、工商行政管理部門は従来開示されていた企業の登録登記情報に加え、動産抵当の登記情報や
行政処罰情報等を開示します。また、これらの情報は発生日から 20 日以内に開示するという、即時性も求められ
ます。企業に義務付けられるのは、1 月 1 日から 6 月 30 日までの期間に、前年度の「年度報告」を申告、開示する
というものです。年度報告の内容は以下の通りです。
開示必須の内容
・ 企業の連絡住所、郵便番号、連絡電話、電子メール等
・ 企業の開業・廃業・清算等
・ 企業による新規企業の投資設立、持分購入
・ 株主・発起人が引受・払込した出資額、出資時期、出資方式等
・ 持分譲渡等の持分変更情報
・ 企業のウェブサイト、ネットショップの名称・アドレス等
開示任意の内容
企業の従業人数、資産総額、負債総額、対外提供している保証・担保、所有者権益の合計、営業総収入、
主要業務の収入、利潤総額、純利益、納税総額等
企業が発生日から 20 日以内に開示すべき情報
・
株主・発起人が引受・払込した出資額、出資時期、出資方式等
・
持分譲渡等の持分変更情報
・
行政許可の取得・変更・更新
・
知的財産権の質権設定の登記情報
・
行政処罰を受けた情報
・
その他、法に基づき開示しなければならない情報
【開示制度の意義】
これを見ると、情報開示により企業が負う法的責任は、軽いものではないように思います。開示情報については、
当局による抜取検査が行われるほか、社会からの虚偽情報の告発も認められています。「経営異常名簿」と「重大
な違法・違反企業名簿(ブラックリスト)」も設けられ、開示されます。これら名簿に記載されれば、ビジネス取引や銀
行融資、入札案件への参加等にも支障を来たす可能性があります。
中国(上海)自由貿易試験区では、企業年度報告開示制度が先行実施されています。10 月より中国全土で実施
される新制度は、同区の実施状況を下敷きにしているわけです。新制度に全般的に同区の実施内容が引継がれ
るかどうか確定はできませんが、同区が現在開示している企業情報は、上述の「年度報告内容」より、さらに豊富
です。
同区の開示システムでは、「出資金の験資」、「年度会計監査」について、企業が行ったかどうか、また行った場
合は、それぞれ委託会計会社の社名と報告書番号を記載することができます。「年度会計監査」については、同区
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内の規定により、上場企業や一部業種の企業には義務付けられていますが、それ以外の企業についても、自主
的に監査報告の提出を行うことを推奨しています。
参入のハードルを引下げる代わりに、「事中・事後」の管理監督を強化することで、企業に「信用」の重要性を自
覚させることが目的とされているのでしょう。
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