第24回福岡県臨床工学会 久留米シティプラザ 2016年6月19日(日) セッション「Best Presentation Award」 新たなVA管理 ~加圧式VAマッサージ~ ○川原田貴士 杉本謄寿 飯田輝昭 岩下廉史 上野庸介 秋穂寿嗣 谷口英治 安田透 池田潔 【背景・目的】 バスキュラーアクセス(以下、VA)の開存期間は 様々な取り組みを行うものの、その延長は容易 ではない。 石田らは2013年日本透析医学会にて「シャント 血管ミルキング法による狭窄音消失の報告」を 発表している。当院ではそれを改良した加圧式 VAマッサージ(以下、PVM)に取り組んでいる。 そのマッサージ法の実施経験を報告する。 【加圧式VAマッサージ(PVM)】 ~ポイント~ 当院の加圧式VAマッサージは、両手で狭窄部位を挟むようにして行う。 ①片方の手は狭窄の中枢でシャントの流れを一時的に遮断。 ②もう片方の手で末梢から血管を加圧する。 ※これにより狭窄部位の血管を伸展させる方法である。 【加圧式VAマッサージ(PVM)】 ここに狭窄がある場合 【加圧式VAマッサージ(PVM)】 ①駆血する (慣れれば不要) 【加圧式VAマッサージ(PVM)】 ①駆血する (慣れれば不要) ②中枢側のシャント血管を圧迫し シャントの流れを遮断する 【加圧式VAマッサージ(PVM)】 ①駆血する (慣れれば不要) 2 指 ②中枢側のシャント血管を圧迫し シャントの流れを遮断する 3 指 4 指 ③4指、3指、2指の順に圧迫し 血液を狭窄部に向けて送りこむ(加圧) 血管が怒張し狭窄部位が伸展していく 【加圧式VAマッサージ(PVM)】 ①駆血する (慣れれば不要) 2 指 ②中枢側のシャント血管を圧迫し シャントの流れを遮断する 3 指 4 指 ③4指、3指、2指の順に圧迫し 血液を狭窄部に向けて送りこむ(加圧) 血管が怒張し狭窄部位が伸展していく ※穿刺前に30~60秒間施行 【期間・対象】 2015年1月から12月における、同一病変の狭窄に より頻回PTAとなっている当院維持透析患者2名 症例① 67歳男性 左前腕AVF 透析歴9年 【期間・対象】 2015年1月から12月における、同一病変の狭窄に より頻回PTAとなっている当院維持透析患者2名 症例② 37歳女性 右前腕AVF 透析歴19年 【方法】 ①週3回、穿刺前に狭窄部位へのPVMを30~60秒施行 上流から狭窄病変へ血液を送り込む 狭窄部位(加圧ポイント) 【方法】 ②PVM前後における超音波検査データの改善率を算出 ③PVM取り組み前後における開存期間の比較 【結果】 超音波検査データ 症例① (+24.5%) 610 7 6 490 5 症例② 6 (+14.3%) 480 加圧式VAマッサージ直前 加圧式VAマッサージ直後 ※(改善率%) 5 加圧式VAマッサージ直前 加圧式VAマッサージ直後 420 ※(改善率%) 4 4 3 3 2 (+29.5%) 2 1.89 1.46 (+9.5%) 1 0.63 0.57 (+19.5%) 1.16 0.94 (+29.9%) 2.04 1.57 (+21.4%) 1 0.42 0.33 (+28.1%) 0.57 0.41 0 0 狭窄径(mm) FV(mL/min) RI PI 狭窄径(mm) FV(mL/min) RI PI 急性効果において改善の傾向がみられた。 【結果】 開存期間(Day) 症例① 症例② 120 140 111 100 124 100 80 n=6 60 40 120 58.6 n=4 80 60 70 40 20 20 0 0 VAマッサージ開始前 VAマッサージ開始後 VAマッサージ開始前 VAマッサージ開始後 3ヵ月ルールに寄与する結果が得られた。 【ポイント】 VAIVT VAIVT V A エ コ ー V A エ コ ー 透析室 V A エ コ ー VAIVT V A エ コ ー V A エ コ ー 透析室 最も関わる透析室スタッフの取り組みが重要 【考察】 #1 血流の改善傾向がみられた。 #2 3ヵ月以上の開存期間を得ることができた。 #3 忙しい時間帯ではあるが約60秒という施行時間の ため業務に支障をきたすことはなかった。 #4 この方法は高額な医療機器をまったく必要とせず、 どこの施設でも明日から行える取り組みである。 効果の期待できる症例は多いことが予想される。 今後の報告が積み重ねられることを期待する。 【まとめ】 加圧式VAマッサージは、開存期間 を延長しPTA3ヵ月ルールに寄与す る事が示唆された。 第24回福岡県臨床工学会 CO I 開示 筆頭発表者名 川原田 貴士 演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある 企業などはありません。
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