- 1 - ボルト締め付け不均等が原因=高浜4号機の漏水トラブル 時事通信

ボルト締め付け不均等が原因=高浜4号機の漏水トラブル 時事通信 2016年2月22日(月) 16時41分
関西電力高
浜原発4号機(福井県高浜町)で放射性物質を含む水が漏れたトラブルで、関電は22日、「弁のボルト締め付けの不均等が
原因」とする調査結果を発表した。
「上限20ミリシーベルト」に懸念の声
科学的根拠を聞き入れず不安ば
かりに駆られる福島の現状 産経新聞 2016年2月22日(月) 11時45
分平成23年3月の東京電力福島第1原発事故の影響で、福島に住むと
放射線の危険にさらされるのではないか-という不安を払拭するデータ
がある。生活協同組合(生協)の「コープふくしま」(福島市)の調査結果
だ。コープふくしまは26年4月、福島を含む12都道県の組合員102人に
依頼し、日常的な外部被曝線量を調査。放射線量の測定器を身に付け
て生活してもらい、7日間の積算線量の違いを調べた。その結果、福島で
は最大20・7マイクロシーベルトと全国で最も高い値が出たものの、東京
=同17・6マイクロシーベルト▽広島=同17・4マイクロシーベルト▽奈
良=同17・1マイクロシーベルト-と全国的にそれほど違いはなかった。
コープふくしまは、福島で食事に含まれる放射性物質濃度も調べ、内部
被曝の危険性がないことを示すデータも公表した。専務理事の野中俊吉
さん(56)は「子供たちに何か影響があったら、親は『避難しなかった自分たちのせいだ』と責め、不安が増す。数字でみれ
ば、客観的に安心だということを確認できる」と強調する。小学校の校庭など屋外活動の年間積算放射線量に絡み、政府
が上限として決めた「20ミリシーベルト」が危険だとの認識を広めた発言がある。「この数値(放射線量)はとんでもなく高い。
子供にまでも求めることは学問上の見地からのみならず、私は受け入れることができない。政府の一員として容認したと取ら
れたら私の学者としての生命は終わり」
原発事故を受け、菅直人首相(当時)の肝煎りで内閣官房参与に任命されたが、
約1カ月後に涙を流しながら辞任を表明した東京大教授(同)の小佐古敏荘さん(66)=放射線安全学=の発言だ。「20ミ
リシーベルト」に反発した小佐古さんは、「特殊な例でも5ミリシーベルト」と求めたが聞き入れられず辞任した。今も政府は
「年20ミリシーベルト未満なら帰還可能」とするが、地元は除染の長期的目標となる「1ミリシーベルト」を求める事態に陥っ
ている。昨年3月に東大教授を退官した小佐古さんは今、「あのときと考えは全く変わっていない。事故当時の政府の対応
がまずく、食品摂取の制限がうまくいかなかった」と話す。ただ、小佐古さんは事故時の放射性物質の摂取を問題視し、現
状の低線量の被曝にまでは明確に踏み込んでいない。京都医療科学大の遠藤啓吾学長(放射線医学)は「100ミリシーベ
ルト以下の低線量被曝では、放射線による発がんのリスクは極めて小さいというのが多くの科学者の見解。実際に帰還が始
まっている場所では、住民の被曝線量は年間20ミリシーベルトよりもずっと低い。帰還を検討する“スタートライン”として20
ミリシーベルトは妥当だ」と説明する。低線量被曝のリスクについては最近、研究者も一つの結果を提示している。放射線影
響協会の放射線疫学調査センター長、笠置文善さん(66)らの研究グループは、原発など放射線業務に携わる作業員らを
対象に、1990年代から約20年にわたって追跡調査を行った。調査数は約20万4千人。うち約7万5千人は喫煙といった
生活習慣との関連性も調べた。累積線量は平均25・8ミリシーベルトで、一般の被曝線量の目安となる年1ミリシーベルトの
およそ26倍となったが、累積線量と死亡率のデータは関連を示さなかった。むしろ、死亡率は喫煙など放射線以外の要因
が影響を及ぼしていた。「現状では低線量の放射線が、がんによる死亡に影響を及ぼしていると結論付けることはできな
い」。笠置さんはこう言い切った。科学的根拠を聞き入れず不安ばかりに駆られる福島の現状について、コープふくしまの
野中さんが一つの答えを示した。「やみくもに怖がるのではなく、自分なりの物差しで理性的に判断しなければいけない」
天野健作、緒方優子、野田佑介が担当しました。
高浜原発4号が起動試験延期
1次冷却水漏れ原因調査、再稼働遅れも 福井新聞ONLINE 2016年2月22日(月)関
西電力は21日、定期検査中の高浜原発4号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット、福井県高浜町)で放射能を含む1
次冷却水が漏れたトラブルを受け、同日に予定していた原子炉の起動試験の開始を延期したことを明らかにした。水漏れ
原因をまだ調査中で、月内を目指している再稼働が遅れる可能性もある。1次冷却水漏れは20日午後、4号機の原子炉補
助建屋内で、核分裂反応を抑えるホウ素濃度を調整する系統に通水した際、警報が鳴り、配管が通る部屋の床に水たまり
を確認。国への報告基準値を下回る微量の放射性物質を含む約34リットルが漏れた。この日は原子力規制庁の保安検査
官が立ち会い、現場で水漏れ箇所の特定や原因を調べた。規制庁によると、原因の特定などには至らなかったという。4号
機では2010年4月にも1次冷却水漏れがあった。起動試験は1次冷却水の温度や圧力を上げ、原子炉の起動につながる工
程。関電は「起動試験の日程は現時点で何とも申し上げられない。(トラブルの)原因調査の進捗(しんちょく)によっては工
程に影響することはあり得る」としている。4号機は既に原子炉への核燃料の装荷を終え、今月下旬に再稼働する工程を示
していた。
再稼働作業22日以降に=高浜4号機、漏水トラブルで―関電 時事通信 2016年2月21日(日) 15時43分関西電力高
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浜原発4号機(福井県)で放射能汚染水が漏れたトラブルで、関電は21日、同日に予定していた再稼働の準備作業を取り
やめ、22日以降に延期すると明らかにした。漏水原因などが特定されておらず、調査を継続する必要があるためという。関
電によると、21日は、原子炉や冷却水が流れる配管の圧力、温度を通常の運転時に近い状態まで高め、確認する作業を
予定していた。調査やトラブル対策に時間がかかれば、今月下旬を目指していた再稼働時期に影響する可能性もある。
「賠償継続求める決議」採択
福島県弁護士会が臨時総会 福島民友新聞 2016年2月21日(日) 11時34分
県弁護
士会(大峰仁会長)は20日、郡山市で臨時総会を開き、東京電力福島第1原発事故の被害者に対する個別の実情に応じ
た賠償継続と、健康不安の解消、避難の継続・帰還のいずれの選択も尊重する施策実行を求める決議を採択した。決議で
は、避難指示の有無にかかわらず、各地域の現状や事業の実態など個別の被害実情に応じた、きめ細やかな損害賠償を
継続すべきとした。約120人が出席。大峰会長のあいさつに続き、新開文雄次期会長(福島支部)が「会員の力を合わせ、1
1月の民事介入暴力対策全国大会を成功させたい」とあいさつした。役員改選も行い、次期副会長に紺野明弘(福島支部)
伊藤高史(郡山支部)西山健司(相馬支部)の3氏を選んだ。任期は4月1日から1年。
<国の除染事業>入札1企業体のみ7割
15年度の29件
指摘後も改善なし 毎日新聞 2016年2月21日(日) 9時56分
◇2012~
東京電力福島第1原発事故に伴って環境省が2012~15年度に実施した本格除染29件の一般競争
入札で、一つの共同企業体(JV)が入札して落札した「1者応札」が22件と7割超を占めていることが毎日新聞の調査で分
かった。14年に外部識者の委員会が競争性の確保を求めたが、15年度は逆に全4件とも1者応札だった。専門家は「国は
複数業者を競争させる工夫が足りなかった」と指摘している。環境省の入札関連資料によると、12年度は本格除染9件中6
件で複数のJVなどが競争したが、13年度以降の20件では福島県富岡町内の1件を除いて1者応札(入札表明後辞退含
む)だった。また、除染が行われた11自治体のうち、自治体内を区域分けするなどして9自治体で複数回の入札があったが、
富岡町を除く8自治体ではいずれも同じゼネコンが幹事のJVが落札していた。落札率(予定価格に占める落札額の割合)
は99%以上が12件に上り、平均は97.6%で、同省発注工事全体の一般競争入札の落札率(14年度平均88.5%)に比
べて高かった。大学教授や弁護士ら5人で構成する同省の入札監視委員会は14年7月に1者応札と高落札率について
「もう少し競争性の確保できる取り組みを検討すること」と意見した。同省福島環境再生事務所によると、入札方法は一般競
争入札の総合評価方式で、金額のほか、工法や地域貢献などを点数化して決める。同事務所は1者応札が多い理由を
「不明」としつつ「工事の内容や現場の特殊性などが考えられる」としている。高落札率については「初めての事業で工事の
見積もりが困難と考え積算基準などを公表したので、高い精度で予定価格を類推できる」と話した。一方、除染を実施して
いるゼネコンの関係者は1者応札の多さについて「除染では地元と良い関係を築いたところが評価点も高い。頑張って入札
に参加しても無駄になる」と自治体ごとのすみ分けを示唆した。JV幹事のゼネコン各社は取材に、「わからない」などと答え
た。除染の費用は、環境省が肩代わりした後、東京電力に請求する。国への返済には、国が1兆円を出資した東電株の将
来の売却益が充てられる。株価が低迷すれば、電気料金の値上げなどで賄われる電力各社などの負担金が注入される可
能性がある。法政大大学院の武藤博己教授(行政学)は「除染は特殊な機械や専門技術を必要としない。入札までの準備
期間を長くしたり、業者に入札に参加するよう要請したりして、何らかの対策を講じるべきだった」と話している。【関谷俊介、
小林洋子】
◇ことば【 国直轄の本格除染】
除染の効果的な方法を探るため実施したモデル除染の後、2012年度に
始まった。対象は福島第1原発に近い11市町村。市町村ごとに策定した計画に基づき環境省が実施する。帰還困難区域
を除いて6市町村で完了し、残り5市町村でも来年度中に完了する方針。落札額は29件で計約6100億円。
関西電力高浜原発4号機で水漏れ
再稼働工程に遅れも 産経新聞 2016年2月21日(日) 8時51分
20日午後3
時40分ごろ、関西電力高浜原発4号機(福井県高浜町)の原子炉補助建屋で、水漏れを示す警報が鳴った。関電によると、
一次冷却水の不純物を取り除く設備の近くに約34リットルの水が漏れていた。微量の放射性物質が含まれていたが、原発
外部への影響や作業員の被曝(ひばく)は確認されていない。4号機は、今月下旬に再稼働が予定されている。関電は「原
因は調査中で再稼働工程への影響は不明」としているが、調査結果次第では、工程に遅れが生じる可能性も出てきた。県
と関電によると、4号機は21日から原子炉内の温度を上げる試験を行うことになっており、20日は弁や配管に異常がないか
調べていた。
電力の恩返し福島へ
太陽光発電売電収益を カナロコ by 神奈川新聞 2016年2月21日(日) 7時3分
横浜銀行ア
イスアリーナ(横浜市神奈川区)の屋根を活用した太陽光発電事業の売電収益を使い、福島の小学生を横浜に招く「かな
がわ元気エネルギーキャンプ」を、福島の支援活動などに取り組む横浜の企業や個人が企画している。東京電力福島第1
原発事故から5年たつ現在も福島には避難生活を強いられている被災者がいるが、同原発の電力は関東圏で使用してい
たものだ。「今度は横浜から電力で恩返し」との思いで継続実施を目指す。発案したのは、同アリーナの昨年末のリニュー
アルオープン時に太陽光発電パネルを設置した建設会社、太陽住建(同市磯子区)の河原英信会長(52)。震災前、福島
原発で発電した電力は関東圏で使用していたのに、その原発の事故のために現在も福島の人々が避難生活を強いられて
いることに心を痛め、「今度は横浜の電力で恩返ししよう」と企画。賛同した企業や個人で実行委員会を立ち上げた。実行
委員長は、福島の子どもたちの屋外遊びの機会を増やそうと猪苗代湖でドラゴンボートに取り組む「福島龍舟学園」総監督
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の緒方大輔さん(43)=横浜市保土ケ谷区=が務める。緒方さんによると、福島では放射線量や震災がれきなどの影響で
休止中の海水浴場が多い上、津波や放射線量への恐怖心もあり、海沿いに暮らす子どもたちも海で遊ぶ機会は少なくなっ
ているという。今回のキャンプでは、「元は海とともにあった港町の子どもたちに、海や水遊びを好きになってもらいたい」と、
横浜の水辺で環境学習とスポーツを楽しむプログラムを設定。原発に近い福島県双葉郡の小学4~6年生約20人を3月2
4~26日に横浜へ招き、横浜港インナーハーバーでのカヤック体験や、大岡川でのゴムボート体験のほか、同アリーナで
のアイススケート体験も予定している。資金は同アリーナの太陽光発電の売電収益のうち40万円を投じる。同アリーナは氷
を保護するために屋根の遮熱効果を高めたいとして、県の「屋根貸し」等マッチング事業で売電用太陽光発電パネル設置
に合意。太陽住建が一般家庭60世帯分の年間消費電力を発電できるパネルを設置して、1月末から東電に売電している。
河原会長は「原発事故を風化させないためにも、売電収益でキャンプを継続的に続けたい」と話している。
<高浜原発>放射性物質含む水漏れ…4号機、補助建屋内 毎日新聞 2016年2月20日(土) 23時49分関西電力は2
0日、再稼働を目指す高浜原発4号機(福井県高浜町)の原子炉補助建屋で、微量の放射性物質を含む1次系冷却水が
漏れたと発表した。水は全て拭き取るなどして回収し、外部への影響はないとしているが、再稼働の日程に影響が出る可能
性がある。関電によると20日午後3時40分ごろ、原子炉を収めた建屋の隣にある原子炉補助建屋で、出力調整をするホウ
素の濃度を調節する水を1次系冷却水内に入れていたところ、水が床に漏れたことを示す警報が中央制御室で表示された。
確認したところ、1次系冷却水から不純物を取り除く設備の前で、放射性物質1万4000ベクレルを含む約8リットル分の水
たまり(縦2メートル、横4メートル)があった。床に漏れた水を回収する容器などにも約26リットルがたまっており、水漏れは
計約34リットル、放射性物質の総量は6万ベクレルとみられるという。高浜4号機は21日から起動試験を始め、26日にも再
稼働する見通しだったが、工程について関電は「原因を調査中で何も申し上げられない」としている。【村山豪】
再稼働作業、一時中止に=放射性物質含む水たまり発見―高浜原発4号機・福井 時事通信 2016年2月20日(土) 22
時25分福井県は20日、関西電力が今月下旬の再稼働を目指して作業を進めている高浜原発4号機(同県高浜町)の原子
炉補助建屋の床に、放射性物質を含む水たまりがあったと発表した。
県原子力安全対策課によると、環境への影響は
ない。関電は現在、再稼働に向けた作業を一時中止しているという。水たまりが見つかったことについて、関電は「原因を調
査しており、再稼働への影響は、現時点では何とも申し上げられない」とコメントした。
「4月解除」に反対相次ぐ=避難指示めぐり、除染不十分―政府説明に住民―南相馬 時事通信 2016年2月20日(土)
16時34分
東京電力福島第1原発事故を受け、福島県南相馬市の一部に出ている避難指示の解除に向け、政府は20
日、同市で説明会を開いた。政府が放射線量が高い帰還困難区域を除き、4月中に避難指示を解除したいとの意向を示し
たのに対し、住民からは除染が不十分との指摘が続出、反対する意見が相次いだ。桜井勝延市長は「4月に解除するのは
難しい」と述べた。説明会は、避難指示区域の南相馬市小高地区で開かれ、住民約350人が出席した。住民からは、除染
が完了しておらず、「安心して住める環境ではない」などと放射能不安を訴える声が上がった。解除後、すぐに戻る住民が
少ないとみられ、「安全を確保するのが大切だ」と治安対策を求める意見も出た。
<全町全村避難>「戻りたい」双葉13%飯舘32% 河北新報 2016年2月20日(土) 16時25分
復興庁は19日、東京
電力福島第1原発事故で全町・全村避難が続く福島県双葉町と飯舘村、一部が避難指示区域の川内村の住民意向調査
を公表した。避難指示解除後の帰還について、双葉町では「戻りたい」との回答が13.3%で、「戻らない」の55.0%を大きく
下回った。2014年9~10月の前回調査と比べ「戻りたい」は1.0ポイントの微増、「戻らない」は0.7ポイントの微減だったが、
依然として帰還に消極的な意見が圧倒的だった。帰還しない理由は「家が劣化して住めない」が57.0%、「生活用水の安
全性に不安」が52.3%だった。飯舘村では「戻りたい」が32.8%、「戻らない」が31.3%で、15年1月の前回調査に比べ、そ
れぞれ3.4ポイント、4.7ポイント増えた。帰還しない理由は「避難先のほうが利便性が高い」が57.1%、「放射線量が不安」
は49.8%だった。川内村は「東日本大震災発生当時の住居に住んでいる」との回答が全体で46.6%。避難指示が解除さ
れた区域で38.5%だった。調査は、復興庁と県などが昨年12月に実施。回答率は双葉町49.5%、飯舘村45.2%、川内
村44.2%。
命奪うのは放射線ではない!10万人検査の医師が報告した真のリ
スクとは… 産経新聞 2016年2月20日(土) 16時0分小さな診察
室に穏やかな空気が流れた。
「大丈夫。今の生活で食べている
ものは、何も問題ありませんよ」
子供が被曝していないか不安そう
な母親をなだめるように、医師の坪倉正治さん(34)は言葉をかけ
た。「ありがとう」。女の子がはにかむと、坪倉医師は185センチの長
身をかがめて「どういたしまして」とほほ笑んだ。東京電力福島第1原
発から北に約23キロ離れた福島県南相馬市立総合病院。坪倉さん
は東大医科学研究所に研究員として籍を置きながら、週の半分をここで過ごす。毎週火曜日の午後は、乳幼児専用のホー
ルボディーカウンター(WBC)「BABY
SCAN(ベビースキャン)」を使い、6歳以下の児童の内部被曝量を測定している。
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体外から放射線を浴びる外部被曝に対し、飲食物から被曝する内部被曝は、健康への影響がより大きい。この日、長女
(5)の検診で訪れた女性(36)は、平成23年3月の東京電力福島第1原発事故で、まだ生後3カ月だった長女とともに県外
へ避難し、2年ほど前に南相馬市の実家に戻った。「子供に内部被曝の検査を受けさせていないことが、ずっと心に引っか
かっていた」。結果を聞き、「ほっとした。2人目も安心して育てられる」。間もなく生まれる新しい命に語りかけるように、大きく
なったおなかをさすった。坪倉さんが南相馬市に入ったのは、原発事故から約1カ月後の23年4月。これまでに南相馬市と
周辺自治体の延べ10万人以上の内部被曝検査に携わってきた。また、南相馬市が事故後、全市民を対象に希望者に配
布したガラスバッジ(個人線量計)のデータ延べ約5万人分の解析も進めるなど、現場の医師としては唯一、「内部」と「外
部」の両方から住民への影響を調査し続けている。23年9月から24年3月までのおよそ半年間では、被験者の35%で放
射性セシウムが検出されたが、翌年の夏は10%以下、26年以降は5%以下で推移している。26年から県内3カ所で導入
したベビースキャンは通常のWBCの5~6倍の検出能力を持つ。これまでに4千人以上を検査したが、放射性セシウムが
検出された児童は1人もいない。にもかかわらず、検査と同時に実施したアンケートでは、福島県産の野菜やコメ、水道水
を避ける親の割合が約6割に上った。「通常の食生活で内部被曝することはない」。坪倉さんは“安全性”を発信する必要性
を感じ、これまでに県内の小学校などで100回以上の講演を重ねてきた。原発事故は福島の社会を大きく変化させた。避
難で長時間の移動に耐えられず亡くなった高齢者、身体の異変を感じても受診せず末期がんになった女性、脳卒中でた
びたび入院する除染作業員…。住民は健康を害し、「弱者」があぶり出された。坪倉さんはこうした実態を目の当たりにして
きた。データも坪倉さんの見てきた現実を裏付ける。原発事故後、南相馬市立総合病院では脳卒中で入院する患者が倍
増した。糖尿病や高脂血症などの生活習慣病が事故後に増加していたことも分かり、避難した人の方が避難しなかった人
よりも病気の悪化率が大きいという結果も出ている。「住民の命を奪っているのは放射線ではない。放射線をリスクの1つとし
てとらえながら、本当に命を守りたければ、社会全体の問題として本気で取り組んでいかないといけない」。坪倉さんはそう
訴えた。原発事故から5年近くがたつが、放射線への不安はなかなか消えない。被曝リスクの実態はどこまで分かっている
のか報告する。
相馬双葉漁協が試験操業拡大を3月中に再検討 福島民友新聞 2016年2月20日(土) 15時25分本県沖で行っている
試験操業の海域に、東京電力福島第1原発の半径10~20キロ圏を追加するとした県漁連の案について、相馬双葉漁協は
19日、同海域のコウナゴが含む放射性セシウムの量を調査した上で、3月中旬にも海域拡大の是非を再検討する方針を示
した。同日、相馬市で開いた試験操業検討委員会で協議した。佐藤弘行組合長によると、原発事故前に同海域が漁場だ
った請戸、富熊両地区は海域の拡大に賛成。一方、他地区からは同海域の魚の放射性物質量や風評被害の拡大を懸念
する声があり、結論は出なかった。請戸地区の漁業者が同海域でコウナゴをサンプル調査し、結果を踏まえて再協議する
方向で落ち着いた。調査は今月下旬にも始める。佐藤組合長によると、同海域の昨年のサンプル調査では、検出限界値
以上の放射性セシウムを含むコウナゴは確認されなかった。佐藤組合長は「(結論は)モニタリングで安全性を確かめてから、
という話になった。できるだけ多くの検体数を取る必要がある」と話した。試験操業をめぐっては、いわき市漁協が同海域で
の漁を当面見合わせる前提で、範囲の拡大を承認している。
川内村、帰還希望者は42.7%
3町村で住民意向調査 福島民友新聞 2016年2月20日(土) 14時10分復興庁は19
日、東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された川内村、飯舘村、双葉町を対象にした住民意向調査の結果を発表
した。調査は川内村は全1294世帯、飯舘村は全2970世帯、双葉町は全3377世帯を対象に昨年12月7~28日に実施した。
【川内村】避難者のうち、今後の生活の場を「村内」とした帰還希望者は42.7%で、前回調査を2.8ポイント下回った。一方
で「村外」は21.2%で、特に30代以下の若い世代は「村外」が5割を超えた。現在の居住場所については、「震災発生当時
の住居」が46.6%で、「震災発生当時の住居以外」は26.6%だった。避難者に複数回答で聞いた帰還しない理由は「住宅
周辺の放射線量の高さ」が40.7%と最多だった。【飯舘村】避難指示解除後の帰還の意向については「戻りたいと考えてい
る」は32.8%で最も割合が大きく、2015(平成27)年1月の前回調査よりも3.4ポイント増加した。また、「戻らないと決めてい
る」は31.3%(前回比4.7ポイント増)、「まだ判断がつかない」は24.0%(前回比8.5ポイント減)だった。「戻りたい」と「戻ら
ない」と回答した人の割合がともに増加した。震災から約5年が経過し、帰還に対する考えを固める人が増えている状況が
浮き彫りとなった。「戻らない」と回答した理由で多かったのは「避難先の方が生活利便性が高い」(57.1%)、次いで「医療
環境に不安がある」(52.4%)、「宅地・農地以外の山林や河川等の除染がまだだから」(51.2%)など。【双葉町】双葉町は
避難指示解除後の帰還の意向について、「戻りたいと考えている(将来的な希望も含む)」が2014(平成26)年9~10月の前
回調査時から1ポイント増の13.3%だった。ただ、「戻らないと決めている」が同0.7ポイント減の55%と前回調査とほぼ同じ
で、回答者の半数が帰町しない考えは変わらないままだ。「まだ判断がつかない」は同7.2ポイント減の20.7%だった。一
方、帰還の意思を示している回答者のうち、帰還まで待てる年数については、「帰れるまで待つ」が同4.1ポイント増の46.2
%となり、帰還への思いを募らせる回答者がわずかに増えた。「3年以内」は同10.8ポイント減の11.2%、「5年以内」は同7.
7ポイント増の26.9%、「10年以内」は同1.4ポイント減の10.3%だった。
「Jヴィレッジ」7割稼働の見通し
18年7月再開 福島民友新聞 2016年2月20日(土) 12時52分
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東京電力福島第
1原発の事故収束と廃炉作業の前線基地となっているサッカートレーニング施設「Jヴィレッジ」(楢葉、広野町)について、一
部営業再開時期の2018(平成30)年7月に施設全体の7割程度を稼働できる見通しとなったことが19日、分かった。当初、2
割程度を見込んだが、7割再開で全国レベルの大会誘致が早い段階でアピール可能となる。県は19年のラグビーワールド
カップ(W杯)日本大会で目指す代表の合宿誘致に弾みを付けたい考え。県が19日に福島市で開いたJヴィレッジ復興プロ
ジェクト委員会で、再整備後のJヴィレッジ全体像を発表した。再整備により、グラウンドが天然芝7面と人工芝2面、全天候
型サッカー練習場、雨天練習場、スタジアム、宿泊施設などが入るセンター棟、新宿泊棟、フィットネス棟を備える。基本設
計で経費や技術面などを検討した結果、前倒しで再開できる見通しが立った。19年4月までに全面再開させる。ラグビーW
杯の海外代表チームは大会約1年前に合宿地を決めるため、選定時期に多くの設備が稼働していることは、合宿誘致を目
指す本県に追い風となる。委員会の席上、日本サッカー協会がJヴィレッジを20年東京五輪のサッカー男女日本代表の強
化拠点として事前合宿に活用する方針を正式に発表した。
<最終処分場>指定廃減少でも面積変わらず 河北新報 2016年2月20日(土) 12時8分
環境省は19日、東京電
力福島第1原発事故で発生した県内の指定廃棄物の最終処分場の建設地について、国の基準値(1キログラム当たり8000
ベクレル超)を上回る廃棄物が全体の3分の1に減少した再測定結果を受けても、従来と同様の面積が必要との認識を示し
た。丸川珠代環境相の閣議後の記者会見で、室石泰弘参事官が説明した。最終処分場は8000ベクレル以下の放射性物
質を含む廃棄物の焼却後に濃度が10倍程度上昇した灰の保管も想定しており、「指定廃棄物(の放射性濃度)が減衰して
も施設の必要面積は変わらない」と語った。環境省は、県の最終処分場について施設面積を2.5ヘクタールと想定、建設
費を50億円程度と見積もる。県内には8000ベクレル以下の稲わらなど農林業系廃棄物が約5万3000トンある。
九州電力社長「原点に戻る」
川内原発免震棟、再検討へ 佐賀新聞 2016年2月20日(土) 11時48分九州電力の瓜
生道明社長は19日、川内原発(鹿児島県)の免震重要棟新設計画を撤回した問題について、「原点に戻って幅広く検討す
る」と再考する考えを表明した。代替案として提出した耐震支援棟案を「望ましいと思っている」としつつも「やっぱり免震重
要棟を造るという結論もあり得る」と再び方針転換する可能性にも言及した。電気事業連合会の定例会見で述べた。冒頭、
瓜生社長は原子力規制委員会や世論から厳しい批判を浴びたことを受けて「説明不足により、混乱を招いたことは大いに
反省している」と謝罪した。免震重要棟を撤回した背景を「実証試験や保守メンテナンスの課題があり、解決には相当期間
を要する。耐震構造ならば実績が豊富にあり、自信を持って確保できると考えた」と説明した。「免震の課題をもう一度、確
度を上げながら検討している」とした上で、再検討に当たって重視するポイントでは、「指揮所として働く人たちの作業対応
がしっかりできるか。長期に使用する場合の保守・メンテナンスに問題がないか」の2点を挙げた。免震と耐震それぞれのコ
ストに関し「詳細設計はしていないので、どちらがどうとは言えないが、概略そう変わらない」とコスト面での優劣はないと答え
た。また、2011年に玄海原発(東松浦郡玄海町)の再稼働をめぐって起きた「やらせメール」後の企業体質について、記者
から「何が変わったのか」という質問もあった。瓜生社長は「今の原子力部門は相当変わった。他部門との連携がしっかりで
きるようになった。会社全体として良くなるようにしようという気持ちになってもらっている」と強調した。
原発事故時、国指示待たず避難
浪江町や南相馬市が計画 朝日新聞デジタル 2016年2月20日(土) 1時53分東京
電力福島第一原発事故で全住民が避難している福島県浪江町は、再び事故が起きた場合、国が定めた避難指示を出す
放射線量の値より低くても町の判断で避難指示できるとする避難計画案をまとめた。隣接する南相馬市も国の避難指示前
に避難指示を出せる計画を作った。福島県も両自治体の意向を尊重する。国の指針通りの計画ではうまく避難できない可
能性があると判断した。福島の事故後、国は原子力災害対策指針を改定。福島第一、第二原発を含む各原発30キロ圏に
ある135市町村に対し、指針に基づいて新たに避難計画を作るよう求めた。指針は、原発で大事故が起きた場合の対応と
して、5キロ圏はすぐに避難する一方、浪江町のような5~30キロ圏は、まず屋内退避する。毎時500マイクロシーベルトに
達したら数時間以内に避難し、毎時20マイクロシーベルトでも1日以上続いた場合は1週間以内に避難することを求めてい
る。高齢者らは避難する方が体の負担になると考えるほか、原発により近い住民を早く逃がすため交通渋滞を防ぐ狙いが
ある。毎時500マイクロシーベルトは、事故時に福島第一原発5キロ圏外では計測されていないほど高い値。浪江町は、福
島第一、第二原発の使用済み燃料の冷却が災害やテロでできなくなるなど、実際に事故が起きればこの値に達する前に
住民が避難し始めて混乱すると考えた。町が責任を持って避難場所や手段を確保するため独自に避難指示を出せるよう
にする。実際、福島の事故では国からの情報提供が遅れ、事態の悪化に対応が追い付かず、避難は混乱した。南相馬市
も2013年12月に作った避難計画で、国の指示を待たずに市長が避難指示を出せると定めた。福島の事故で屋内退避指
示が出た同市では、物流が途絶え食料などが不足し、約7万人のうち5万5千人が自主避難した。
<南相馬避難指示>4月解除、政府が方針
居住制限区域で初 毎日新聞 2016年2月19日(金) 20時35分政府の
原子力災害現地対策本部(本部長・高木陽介副経済産業相)は19日、東京電力福島第1原発事故によって1万人以上が
避難している福島県南相馬市で、帰還困難区域(1世帯2人)を除く避難指示を4月中に解除する方針を示した。放射線量
によって3段階ある避難指示区域のうち、上から2番目の「居住制限区域」が解除されるのは初めて。線量を不安視する住
民からは「時期尚早ではないか」と危惧する声も上がっている。避難指示が解除されれば、田村市の都路地区や川内村東
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部、楢葉町に続き4例目。南相馬市の対象地域の人口は1万人以上で最多となる。居住制限区域は、政府が2012年4月
以降に避難指示区域を再編した際、「年間放射線量が20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下」として原則、宿泊を禁止
した地域。現地対策本部は19日開かれた南相馬市議会の全員協議会で、除染により放射線量が居住制限区域を含め解
除の目安となる年20ミリシーベルト以下に下がったとの資料を示し、「条件が整えば4月中に解除する準備を進める」と述べ
た。同本部は20日から順次、住民説明会を開催して理解を求める。桜井勝延市長は全員協議会後、「市が除染の完了を
確認した上で、政府の方針を受け入れるかどうか判断したい」と述べた。また、住民の理解を得るのに一定の時間がかかる
ため、解除時期は5月の連休以降にずれ込む可能性があるとしている。解除の対象は、同市小高区と原町区の避難指示
解除準備区域(3536世帯)と小高区の居住制限区域(126世帯)の計1万1663人(昨年9月末現在)。市によると、避難指
示解除に向けて宿泊を認める「準備宿泊」は昨年8月に始まったが、今年1月27日現在の登録者は1600人にとどまる。こ
のうち実際に宿泊しているのは、高齢者世帯を中心に3割程度とみられる。居住制限区域に限ると数世帯にすぎず、放射
線量への不安は根強い。原発事故から5年近くが経過し、避難先で住宅を新築したり新しい仕事を見つけたりした人も多い。
市は解除後しばらくは9割前後の住民が自宅に戻らないとみている。また、政府は今後、川俣町と葛尾村でも居住制限区
域と避難指示解除準備区域を同時に解除する方向で両自治体と調整している。【大塚卓也】
政府、4月の避難解除提示=桜井市長は困難の見方―福島・南相馬 時事通信 2016年2月19日(金) 19時40分政府
は19日、東京電力福島第1原発事故の影響で福島県南相馬市の一部に出ている避難指示について、4月に解除したい意
向を示した。市議会の全員協議会で明らかにした。市内で20日以降、懇談会を4回開き、住民に説明する。政府の提示を
受け、桜井勝延市長は除染完了を市が確認した後、改めて住民説明会を開く考えを明らかにした。市長は取材に「説明会
は早くても4月の終わりで、遅ければ連休明けになる」と述べ、4月中の解除は困難との見方を示した。政府原子力災害現
地対策本部の担当者は全員協議会で、宅地周辺の除染が約87%完了したと説明。除染の完了を前提に「4月中をめどに
避難指示の解除に向けた手続きを進めたい」と述べた。一部の議員からは「除染が完了していないのに解除見通しを示す
のはおかしい」と反対する意見が出た。
中間貯蔵、17年秋に一部稼働=地元2町に工程表提示―環境省 時事通信 2016年2月19日(金) 15時37分東京電
力福島第1原発事故に伴う汚染土を長期保管する中間貯蔵施設(福島県大熊、双葉両町)について、環境省は19日、地元
2町議会の全員協議会に出席し、2017年秋ごろに施設の一部運用を始めるとした工程表を示した。施設全体の中核となる
汚染土の貯蔵施設と関連する施設の建設工事に今年10月にも着手する。3月末までにより詳細な工程表を作成する方針。
整備するのは、汚染土を保管する土壌貯蔵施設、運び込まれた汚染土などの廃棄物を放射性物質濃度などに応じて分別
する受け入れ・分別施設、除染作業に伴い発生する廃棄物を焼却する仮設施設の三つ。7月ごろまでに施設全体の1.3%
に当たる約21ヘクタールの用地を確保し、整備に着手する考え。その後、用地取得状況を踏まえ、施設を拡張させる。同
省はまた、16年度の汚染土輸送方針も提示した。昨年3月に開始した汚染土約5万立方メートルの試験輸送を3月末までに
終え、16年度は本格輸送に移行する。約15万立方メートルを運び入れる計画。施設内で仮置きする「保管場」も追加整備
する。大熊町議会は同日の全員協で工程表を了承したが、双葉町議会では議員から輸送路の安全対策を懸念する声が
上がったため、協議を続ける。
<原発事故>自主避難に賠償「救済の追い風」 河北新報 2016年2月19日(金) 12時56分東京電力福島第1原発事
故をめぐる損害賠償訴訟で、18日の京都地裁判決は自主避難者への賠償を東電に命じた。東電との直接交渉のほか、原
子力損害賠償紛争解決センターへの裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立てや提訴支援に取り組む原発被災者弁護団
(東京)の共同代表は判決を「避難者救済の追い風になる」と評価する。同種の集団訴訟は各地で起こされており「同じよう
な判決が続けば、ADRの判断にも影響する可能性がある」として今後の動きを注視する。(1面に関連記事)
住民の損害
賠償請求は東電との直接交渉が大半を占め、次に処理件数が多いのがADR。センターは迅速な解決を目的として設置さ
れており、国の指針に基づき、半年程度で和解するのが通例だ。文部科学省のまとめでは、2011年9月のセンターの業務
開始以降、昨年末までに約1万8千件の申し立てがあり、約1万3千件が和解。約2600件が打ち切りや取り下げとなった。文
科省によると、自主避難者は避難指示などの対象となった地域の住民に比べ、ADRで提示される和解での賠償額は少額と
なる例が多いという。不服がある場合は再申し立てのほか、指針に縛られることなく結論を出せる訴訟を起こすこともできる
が、裁判ではより厳格な主張、立証が必要となり、手間や時間がかかる。今回のケースに限れば、提訴から判決まで約2年
半を費やしたが、訴訟では賠償総額が約3千万円と算定され、ADRで示された約1100万円を上回った。
高浜原発1、2号機が審査合格へ
新規制基準、老朽原発では初 福井新聞ONLINE 2016年2月19日(金) 12時37
分関西電力が再稼働を目指す老朽原発の高浜1、2号機について、原子力規制委員会の主要審査が18日におおむね終
了した。規制委は新規制基準を満たしているとして、合格証の原案となる「審査書案」を作成し、2基は近く事実上、審査に
合格する見通し。意見公募を経て正式合格となる。運転開始から40年を超える原発の審査合格は初めて。原子炉等規制
法は、原発の運転期間を原則40年に制限しているが、規制委が認可すれば、特例で最長20年延長できる。高浜1号機は2
014年11月、2号機は昨年11月に運転開始から40年を迎えた。2基は、7月7日までに新基準に基づく審査のほか、運転延
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長の審査に合格しなければならない上、設備の詳細設計をまとめた工事計画の認可も必要。新基準は、事故時の対応拠
点として緊急時対策所の設置を求めているが、関電は2基の緊対所の運用時期を未定としており、再稼働時期は不透明だ。
2基の審査では、防火性能が不十分なケーブルの難燃化対策が焦点となっていたが、規制委は昨年12月、ケーブルを防
火シートで包んだり、燃えにくい素材に交換したりするとした関電の方針を了承。原子炉設備の耐震設計をめぐっては、実
際の設備で安全性を確認することなどで議論はおおむね終えた。運転開始から40年前後の原発の存廃では、関電美浜1、
2号機と日本原電敦賀1号機、中国電力島根1号機(松江市)、九州電力玄海1号機(佐賀県)の5基が昨年4月に廃炉にな
った。関電だけが高浜1、2号機、美浜3号機の運転延長を申請し、安全対策の費用として1基当たり1千億円超を見込んで
いる。これまで規制委の審査に合格した原発は、九電川内(せんだい)1、2号機(鹿児島県)、高浜3、4号機、四国電力伊
方3号機(愛媛県)で、高浜1、2号機が合格すれば4例目となる。
<宮城指定廃>基準超激減試算
地元は困惑 河北新報 2016年2月19日(金) 10時23分東京電力福島第1原発事
故で発生した宮城県内の指定廃棄物をめぐり、環境省は放射能濃度の再測定の
結果、国の基準値(1キログラム当たり8000ベクレル超)を上回る廃棄物が全体の3
分の1以下に減ったことを県に伝えた。その翌日の18日、2年後に基準値超の廃棄
物がさらに激減するとの試算が明るみに出た。処理方針を揺るがすような数字が
相次ぐ状況に、関係自治体は困惑を深める。指定廃棄物は、汚染稲わらといった
廃棄物を抱える市町村などが放射能濃度を測定して申請し、環境相が指定する。
原発事故後に指定された県内の廃棄物は3404トンだった。再測定では、3分の2超
の2314トンが基準値を下回った。環境省は時間の経過による自然減衰で936トン
程度が基準値を下回ると推計していたが、結果はその2.5倍に上った。要因について、同省は市町村などが指定申請時に
用いたデータが偏っていた可能性を指摘。「あくまで推測だが、複数の測定結果の中からより放射能濃度の高いデータを
使用したなどと考えられる」と説明する。18日には、2018年までに基準値を超える廃棄物は当初の7%に当たる約250トンに
減るとの専門家の試算結果が判明した。県の担当者は「何も聞いていない」と困惑。村井嘉浩知事は17日の井上信治環境
副大臣との会談で年度内の市町村長会議開催を明言しており、担当者は「首長の意見を聞くためにも、まず環境省にはき
ちんと説明してほしい」と話す。県内で登米市に次ぐ大量の指定廃棄物を抱える白石市の幹部は「『国が責任を持って処理
する』と言いながら、年数がたったら市町村に押し付けるのはおかしい。環境省は、なし崩しにしようとしている」と批判。県に
対しても「オブザーバーの態度を取り続けるのはいかがなものか。市町村の味方ではないのか」といら立ちを隠さない。同省
は取材に対し、専門家の試算に関して「環境省として算出したデータではない。再測定で出た放射能濃度や測定日時から、
理論上計算できる内容」と明確な説明を避けた。環境省は18日、東京電力福島第1原発事故で発生した宮城県の指定廃
棄物約3400トンは放射性セシウム濃度の低下が進み、2018年には国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)を超す量が
全体の7%に当たる約250トンまで減少するとした専門家の試算を明らかにした。同省の測定結果によると、ことし1月時点で
基準を超えていたのは32%の約1090トン。2年間でさらに大幅減少することになる。
中間貯蔵
3施設10月着工案
環境省、20ヘクタール確保可能と判断か 福島民報 2016年2月19日(金) 9時43分
東京電力福島第一原発事故に伴う中間貯蔵施設整備で、環境省は10月にも福島県の大熊、双葉両町で除染廃棄物の
受け入れ・分別施設など一部の本体工事に着手する工程案をまとめた。平成28年度の整備面積として計20ヘクタールを
見込んでいる。用地交渉は依然、難航しているが、これまで取得した計15ヘクタールの周辺で契約に前向きな姿勢の地権
者が複数おり、一定面積の確保は可能だと判断したもようだ。■用地交渉今後の進捗は不透明
工程案では除染廃棄物
の受け入れ・分別施設のほか土壌貯蔵施設と仮設焼却施設の建設に向け、7月にも事前調査や詳細設計に入り、10月に
も着工するとしている。3施設の整備面積は受け入れ・分別が2町合わせて約4ヘクタール、土壌貯蔵が2町で約9ヘクター
ル、仮設焼却がいずれか1町で約7ヘクタール。貯蔵開始は29年秋ごろ、焼却開始は同年冬ごろを想定している。ただ、
今回示した整備面積は建設予定地約1600ヘクタールの約1%にとどまる。環境省は地権者・2365人のうち、1月末現在
で約千人と連絡が取れていない。29年度以降も施設を拡張する方針だが、こうした状況から用地交渉がどの程度進捗(し
んちょく)するかは不透明だ。環境省が中間貯蔵施設本体工事の具体的な時期を設定したのは初めて。19日に開かれる
大熊、双葉両町議会の全員協議会で工程案を示す予定だ。■保管場を追加整備へ
環境省の中間貯蔵施設整備をめぐ
る工程案には、パイロット(試験)輸送で除染廃棄物が搬入される保管場を28年度に始まる予定の本格輸送に備え追加整
備する方針も盛り込まれている。本格輸送については常磐自動車道大熊、双葉両インターチェンジの供用開始など経路の
状況を踏まえ、段階的に運搬する量を増やす考えも示されている。
<浜岡6号機見送り>御前崎市や県、冷静に受け止め @S[アットエス] by 静岡新聞 2016年2月19日(金) 8時4分
中部電力が、新経営指針で浜岡原発6号機(御前崎市佐倉)新設に関する記載を見送る方針であることが判明したことに
ついて18日、同市や県からは冷静に受け止める声が聞かれた。石原茂雄御前崎市長は「初めて聞いた話だが、会社として
一つの判断をしたということだと思う」と述べた。市原子力政策室の斉藤誠室長も「まずは3、4号機の原子力規制委員会の
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適合性審査に最優先で臨むという考えの表れではないか」と話した。塩崎弘典県原子力安全対策課長は「取り組み途中の
安全対策工事を完了させることが最優先で、4号機再稼働への地元理解もまだ不十分な中、6号機の記載見送りは現実を
直視した判断ではないか。中電の安全重視の姿勢は県としても一定の理解をしている」とした上で、「もし、今後新たな段階
に進むことがあれば、事前に地元や県民全体に丁寧な説明があると思っている。これからも安全を第一に考えて事業を進
めてほしい」と求めた。中電は2008年12月、1、2号機の廃炉と6号機新設を同時に進めるリプレース(置き換え)計画を発表
した。140万キロワット級の改良型沸騰水型軽水炉を採用し15年に着工、「平成30年代前半」の運転開始を予定していた。1
1年3月の東京電力福島第1原発事故を受けて直後に水野明久社長(当時)が新設の延期を表明した。6号機新設について
は国から毎年、電源立地地域対策交付金(初期対策交付金)が交付され、同市は16年度当初予算案に1億4千万円を計上
している。
<高浜原発>1、2号機、近く合格へ
委、主な審査終える
運転40年超では初 毎日新聞 2016年2月18日(木) 21時52分◇原子力規制
新規制基準で6、7基目に
原子力規制委員会は18日、関西電力高浜原発1、2号機(福井県)の
主な審査を終えた。原発の新規制基準に適合しているとして、近く事実上の合格証となる「審査書案」を示す。審査に合格
すれば全国では6、7基目、運転開始から40年を超えた老朽原発では初めてとなる。東京電力福島第1原発事故を受けた
改正原子炉等規制法は原発の寿命を原則40年に定め、特例で最長20年の延長を認める。1号機は1974年11月、2号
機は75年11月に運転を開始した。審査に合格しても、詳細設計をまとめた工事計画や、運転延長のための別の認可を7
月7日までに得なければ廃炉になる。さらに、原子炉建屋上部に放射線を遮るドームなどの大規模な建設工事をしなくては
ならず、再稼働は早くても2019年10月以降の見通しだ。関電は76年12月に運転を開始した美浜原発3号機(福井県)に
ついても、再稼働を目指し、審査を申請している。【酒造唯】
高浜1、2号機審査合格へ
40年超原発で初 産経新聞 2016年2月18日(木) 18時59分関西電力高浜原発1、2号
機(福井県)の再稼働に向けた主要な新基準適合性審査が18日、ほぼ終了した。原子力規制委員会は事実上の合格証と
なる「審査書案」の作成に着手する方針を固めた。原則40年の運転期間を超える原発では初めての審査合格となる。ただ
最長20年の延長運転に向けた審査も控えており、再稼働がいつになるかは見通せない。高浜1、2号機は平成27年3月
に審査を申請。営業運転開始はそれぞれ昭和49年11月、同50年11月で、運転期間制限を超える。特例で今年7月まで
に新基準への合格と、詳しい設計の認可、運転延長の認可が得られれば、延長運転が認められる。40年を超える原発で
は、電気ケーブルの防火対策が課題となっていた。1基につきケーブルは数百キロメートルあり、関電は難燃ケーブルに交
換できない場合は、難燃素材のシートで覆うことで規制委の了承を得た。高浜では、3号機が1月29日に再稼働し、4号機
も今月下旬に再稼働予定。3、4号機の審査が終わっていたため、審査の大きなハードルとなっている地震や津波など自然
災害への安全対策は、1、2号機ではほぼ論点にならなかった。
自主避難で初の賠償命令=東電に3000万円―福島原発事故で精神疾患・京都地裁 時事通信 2016年2月18日(木)
14時19分東京電力福島第1原発事故で福島県から京都市に自主避難した元会社経営者の男性ら一家5人が、心的外
傷後ストレス傷害(PTSD)を発症し、仕事も失ったなどとして、東電を相手に総額約1億8000万円の損害賠償を求めた訴訟
の判決が18日、京都地裁(三木昌之裁判長)であった。三木裁判長は「精神疾患と原発事故には相当の因果関係が認め
られ、就労不能の状態は現在も続いている」と述べ、男性と妻について東電の賠償責任を認め、計約3000万円の支払いを
命じた。原告側の井戸謙一弁護士によると、福島第1原発事故の自主避難者への損害賠償を命じる判決は全国初とみられ
る。三木裁判長は判決で、自主避難を続けることが相当だった期間について、一家の住んでいた地域の放射線量が国際
的基準に照らして健康に被害のない程度の値であるとの情報が示される前の、2012年8月31日までと判断。男性と、仕事の
パートナーだった妻に関して慰謝料や休業損害などを一部認めた。一方、子供らについては、十分な額が既に東電側から
支払われていると判断し、請求を棄却した。
変わる...廃炉の現場
震災・原発事故から5年、第1原発の今 福島民友新聞 2016年2月18日(木) 9時30分
東日
本大震災と東京電力福島第1原発事故から丸5年になるのを前に、福島民友新聞社は17日、第1原発に入った。史上最
悪レベルの惨事を起こし、放射性物質で汚染された構内はこの5年間で環境改善が進み、一部エリアでは防護服を着用せ
ずに一般作業服で移動できるまでに様変わりした。一方、核燃料集合体の取り出しや汚染水対策に向き合う日々はいまだ
続き、廃炉作業が本格化するのはまだこれからだ。「ご安全に」。第1原発の作業員らの出入りを管理する施設の外に出ると、
防護服を着用せずに軽装の作業服で歩く作業員の姿があった。同施設から企業棟まで続く道路の空間放射線量は2011
(平成23)年4月当時は毎時200~300マイクロシーベルトほどだった。現在は除染などが進み同1.5マイクロシーベルト
ほどまで低下。昨年12月、移動に限り一般作業服での通行が可能になった。海抜35メートルの高台から同10メートルの建
屋側に下る斜面は、かつて草木が生い茂っていたが、現在はモルタルを吹き付け放射線量を低減する「フェーシング」で一
帯が灰色一色となり、要塞のような様相を呈していた。一方建屋に近づくほど放射線量が高く、2、3号機建屋の間で毎時4
20マイクロシーベルトが計測された。汚染水対策の切り札「凍土遮水壁」の建屋海側では、放射線を遮る効果が高い金属
製のベストを着た作業員が配管周辺の整備に汗を流していた。敷地北側の海沿いにはがれき保管場が広がり、防護服が
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詰められたコンテナが整然と並んでいた。廃炉作業で日々増える廃棄物の保管、処理は長期的な課題だ。30~40年かか
るとされる廃炉作業で、5年が過ぎようとしても、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)の状態は分かっていない。東電の広報
担当者は「廃炉作業はまだ緒に就いたばかり。自分たちが起こした事故のマイナスを少しでもゼロに近づけていきたい」と
語った。
宮城県の指定廃棄物7%に
2年後、専門家試算 産経新聞 2016年2月18日(木) 9時1分
環境省は18日、東京電
力福島第1原発事故で発生した宮城県の指定廃棄物約3400トンは放射性セシウム濃度の低下が進み、平成30年には国
の基準(1キログラム当たり8千ベクレル)を超す量が全体の7%に当たる約250トンまで減少するとした専門家の試算を明ら
かにした。同省の測定結果によると、今年1月時点で基準を超えていたのは32%の約1090トン。2年間でさらに大幅減少
することになる。依頼を受けた放射線の専門家が1月時点から1年後~50年後の濃度を試算した。
原発の国民理解へ3月福井でシンポジウム
国が立地県で初開催 福井新聞ONLINE 2016年2月18日(木) 8時36分
西川一誠福井県知事は17日、原発の重要性に対する国民理解に向け、国が3月16日に福井市でシンポジウムを開催する
と明らかにした。関西電力高浜原発3、4号機(高浜町)の再稼働の地元同意手続きをめぐり昨年12月、来県した林幹雄経
済産業相が全都道府県でシンポジウムや説明会を開くとした方針を受けたもの。同日開会した定例県議会の提案理由説
明で述べた。経済産業省資源エネルギー庁が主催。昨年11月に大阪、今年1月に東京で開いた政府の2030年の電源構
成比率をテーマとしたシンポジウムの一環で、原発立地道県では初めての開催になる。原発比率を20~22%とした電源構
成の内容や原発の重要性などについて専門家らがパネル討論する。会場はアオッサ県民ホールを検討中で、定員は200
人規模、入場無料の予定。来週中に資源エネ庁のホームページで公表し、参加募集を始める。資源エネ庁の担当者は
「今までは大都市圏を中心に開いてきたが、国民理解に向けて地方都市も含めて全国で続けていく。福井は原発立地県
の一つなので、あらためて理解いただくことは大事」と話している。シンポジウムは今月24日に名古屋市で開き、3月は高松
市や広島市でも検討している。一方、原子力の県民理解に関して西川知事は「県として広報誌、新聞、テレビなどを利用し
て、再稼働に至った経緯や考え方について県民に積極的に説明を行っている」と強調した。高浜原発から30キロ圏内の京
都、滋賀を含めた3府県合同の住民避難訓練については「国による調整が前提であり、現在、訓練の実施時期や方法を
(国や3府県などでつくる)地域原子力防災協議会の作業部会が検討している」と述べるにとどめた。
環境省が指定解除説明
指定廃棄物市町「処理できない」
栃木 産経新聞 2016年2月18日(木) 7時55分
東京電
力福島第1原発事故で発生した指定廃棄物の処理に関し、宇都宮市本町の県総合文化センターで17日に開かれた会議
で、参加した県内各市町の副市町長や担当者らが茨城県での処理方法や指定廃棄物の指定解除の仕組みについて環
境省から説明を受けた。会議は今月10日、福田富一知事が井上信治環境副大臣との会談の際、茨城県で指定廃棄物の
分散保管を認めた経緯などを直接市町に説明するよう求めたのを受けて開かれた。環境省の室石泰弘・放射性物質汚染
廃棄物対策本部長が、今月4日、茨城県の市町長会議で現地保管継続の要望が出され、国が保管強化、遮蔽を徹底し、
費用を負担することが決まった経緯を説明。また、放射性物質の濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下になった廃棄物の指
定解除の仕組みを説明した。これに対し、出席者からは「県により処理の仕方が違うのは容認できない」「大量の廃棄物を
保管しているので、指定が解除されても廃棄物を処理する民間業者や施設が足りない」などの意見が出された。環境省は
「指定解除は地元と保管者との協議を経て、協議が整えば解除。処理先と費用も協議させてもらう。解除されれば、処理責
任は(国から)移動するが、最後まで責任を持つ姿勢は崩さない」と答えた。県は、会議の内容を市町に持ち帰った上で今
後、市町の意見を集約し、国に伝える方針だ。
【震災5年
時55分
3・11】幼小中を集約再開
検討委答申
飯舘村、5月めど国に要望 産経新聞 2016年2月18日(木) 7
東京電力福島第1原発事故の被害で全村避難が続いている飯舘村が、避難指示解除の目標時期の平成29年
4月に村内で幼稚園と小学校、中学校を再開する方針を示したことをめぐり、村の検討委員会が17日、幼稚園と小中学校
を1カ所に集約して再開することなどを柱とする案をまとめ、菅野典雄村長に答申した。村は5月頃までに具体的な再開計
画を検討するとしている。原発事故後、飯舘村の幼稚園2園と小中学校4校はそれぞれ避難先の福島市と川俣町で授業を
実施。村は帰還困難区域の長泥地区を除き、29年3月までの避難指示解除を目標にしており、同時に村内で学校を再開
するとしている。答申は、村長の諮問機関で、校長やPTAなどでつくる「村学校等再開検討委員会」がまとめた。それによ
ると、再開にあたり幼稚園と小中学校を村内の中学校1カ所で集約運営▽小中学校の9年間で一貫した学習指導を実施
▽避難先からも通学できるスクールバスの運行▽不安軽減のため除染を徹底する-などを盛り込んだ。答申を受け取った
菅野村長は、中学校の校舎の改修工事などが29年4月に間に合うかを今後検討するとし、「国の責任でやってもらう部分も
あり、柔軟な対応をしてほしい」と述べた。菅野村長は学校の改修や周辺の再除染などの整備事項をまとめ、5月初旬をめ
どに国に要望するとしている。児童・生徒355人が回答した同村の意向調査で「村内で再開予定の学校と幼稚園に通う」と
答えた子供は全体の17・5%にとどまった。保護者の有志でつくる「飯舘村の子どもの将来を考える会」も放射線量への不
安や転校に伴う負担が生じることを懸念し、学校の再開時期を32年4月以降に遅らせるよう求める要望書を提出している。
宮城県内の指定廃棄物減少
県、年度内に市町村長会議
処分方法めぐり難航も 産経新聞 2016年2月18日(木) 7
- 9 -
時55分
東京電力福島第1原発事故に伴う県内の指定廃棄物のうち、放射能濃度の基準を超える廃棄物の量が約3分の
1に減ったことが17日、環境省の再測定で明らかになった。新しいデータを受け、村井嘉浩知事は今年度内に県主催の市
町村長会議を開催する意向を示した。処分方法などをめぐる方向性を見いだしたい考えだが、処分場候補地の栗原市、大
和町、加美町の3市町は「候補地返上」を表明しており、難航も予想される。(石崎慶一)
井上信治環境副大臣が同日、
県庁で村井嘉浩知事と会談し、県内の指定廃棄物のうち、放射能濃度が基準の8千ベクレル以下の廃棄物が全体の約3
分の2に上ることを報告した。井上副大臣は一般廃棄物として処理が可能として指定解除の意向を明らかにし、国の責任で
処理する考えを示した。一方、基準濃度を超える廃棄物1090トンについて、井上副大臣は「県内1カ所の集約管理が望ま
しい」と述べ、処分場を建設する従来の方針を改めて示した。処分場をめぐっては候補地の3市町が現地調査の受け入れ
拒否を表明しており、「引き続き地元の理解を得る努力をしていく」と語った。放射能濃度が8千ベクレル以下の廃棄物は一
般廃棄物として処理できるものの、県内では住民の反対などから処理が進んでいない。こうした事情を踏まえ、井上副大臣
は国の責任で財政・技術面での支援を行う考えも示した。一方、指定廃棄物の減少に伴い候補地を見直すことについて、
井上副大臣は「市町村長会議で決めた選定ルールに従う」と否定的な考えを示した。市町村長会議を開く意向を示した村
井知事は「一日も早く処理することが大事。県として最大限汗をかいていく」としたが、環境省が改めて集約管理の方針を堅
持する方針を表明したことについて、候補地の3市町からは早くも反発の声が上がっている。
過酷事故から5年、イチエフ構外での撮影にも過剰な検閲が入る東電“情報隠し”の疑念 週プレNEWS 2016年2月18日
(木) 6時0分あの悲惨な原発事故からもうすぐ丸5年ーー課題山積の収束作業は今どうなっているのか?
実態を確認
するために週プレは2月3日、東京電力が報道陣向けに開いた合同取材会に参加。今もたれ流され続ける汚染水の貯蔵タ
ンクが、すでに900個超に達していたところまでを伝えた前編記事に引き続き、廃炉作業の現実をレポートする。 2013年
の8月、タンク内の汚染水が漏れ出すトラブルが起きて社会問題になった。ボルト締めの簡易タンクを使っていたことから、
その継ぎ目から漏れたのだ。そのため、丈夫な溶接タンクへの交換作業を現在進めている。だが、交換作業は16エリアあ
るタンク群のうち3エリア目に入ったばかりで、いつ全部が終わるのかの計画はないとのこと。また、取り替えた溶接タンクの
寿命もこの先どのくらいもつのかわからないなど、なんとも頼りない。それでは、なぜ汚染水がそんなに増えるのか。その原
因は地下水だ。 汚染水の発生源は、①デブリを冷やし続ける冷却水、②山側から海にかけて流れ込む地下水、③雨水の
3つ。特に地下水が問題で、一日当たり約300平方メートル(25mプール約1杯分)が原子炉建屋に向けて流れ込む。その
地下水が放射能汚染されて海へ流れ出るのを防ぐため、くみ上げてタンクに貯蔵する。だから汚染水が増え続ける。それ
でも海へ漏れてしまう汚染水を減らすため、1~4号機を取り囲むよう凍土方式の遮水壁を設置した。海沿いには鋼管を使
った別の遮水壁も作った。バスからも約700mにわたる白い海側遮水壁が見えた。 配管工事を実施している陸側の凍土
方式は、テスト段階でうまく凍らないトラブルが起きている。また、2月9日には工事を完了したが、それに対して原子力規制
委員会は「地下水の動きによって汚染水が漏れ出す恐れがある」として、凍結開始を認可していない状況だ。 3号機、汚
染水タンクと、問題のありそうな場所を報道陣に公開してくれた今回の合同取材会。東電は原発事故後、情報隠しをしてい
るとして批判されていたが、今回の取材での情報公開度はどうだったのか。まず、写真撮影は代表取材の1社、ひとりのカメ
ラマンのみ。週プレも撮影許可を打診してみたが、『電波新聞』という電気関係の業界紙に所属するカメラマンが担当するこ
とがすでに決まっていて、独自撮影は断られてしまった。 撮影ポイントも限られている。監視カメラ、防護フェンス、建物の
出入り口などは安全上の理由で撮影NGだ。バスで構内を移動中も、付き添いの東電社員から頻繁(ひんぱん)に「ここは
撮影をご遠慮ください」との指示が入る。TVクルーはそのたびにカメラの向きを変えなくてはいけない。 TVクルーには、ひ
と組にひとりずつの撮影チェック専任の東電社員がピッタリと張りつく。どこで何を撮影しているのか逐一監視されていた。
代表取材の静止画カメラマンが撮影した写真は、後で入念に確認され、核物質防護のためのフェンスが写り込んでいると
の理由で使用がNGになったカットもあった。これは法律で決まった原発内の情報が外部に漏れないようにするための措置
だが、フェンスもダメとはずいぶん厳しい。事故後、イチエフで作業員として働いたジャーナリストの桐島瞬氏が言う。 「確か
に防犯カメラの場所が特定されるとテロ対策で困るかもしれません。だから東電も報道機関に対して、核物質防護設備を空
撮などで撮らないよう再三要請しています。ですが、グーグルマップの空撮写真を見れば、構内の配置など一目瞭然。ネッ
ト環境があれば、この程度のことは世界中から瞬時にわかってしまうのに」また、こんなことがあった。イチエフから約30㎞南
に離れた楢葉町(ならはまち)にあるJヴィレッジで、取材陣が体内被曝を測定するホールボディカウンターを受けている様
子をTVクルーが撮影しようとした。ところが、カメラを回し始めると、東電社員が撮影を制止し、「すでに撮った映像は今すぐ
消してください」と注意。カメラマンが映像をしっかりと消したことを確認する念の入れようだった。この施設を撮影することが、
核物質防護上で問題があるとは到底思えない。 大惨事を起こした原発で何が起きているのかを知ることは国民の重大な
関心事だ。しかし、フェンス写真NGの件といい、Jヴィレッジの件といい、東電の規制には納得いかない部分が多い。こうし
たことの積み重ねが、情報隠しではないかとの疑念を生む。福島原発事故問題を追い続けるジャーナリストの有賀訓(ある
がさとし)氏は、3号機の写真を見てこんな疑問を投げかけている。 「最上階では、コンクリートの鉄筋がなぜか内側へ曲が
っています。これは大爆発で壁が外へ吹き飛んだだけではなく、なんらかの理由で建屋内に瞬間的な圧力低下が起き、内
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部へ崩壊する動きがあったと考えられます。いまだ発表されていない大きな謎が隠されているのかもしれません」 事故から
5年が経ち、作業員の環境が改善した部分もある。そのひとつが昨年6月に完成した大型休憩所。200人が入る食堂がで
き、全メニューが380円で食べられる。ただ、すべての作業員が利用できているとは言い難い。イチエフで働く作業員は7千
人もいるからだ。現に、昨年の『週刊プレイボーイ』45号で取り上げた作業員のA氏が働いていた元請けのS社では、食堂
ができていたことすら作業員に説明がなく、利用できなかったという。 取材が終わり、身体汚染検査を無事にパスした。トー
タル4時間40分の取材で被曝量は60μSv。もし77時間ここにいれば、それだけで一般人の年間基準1mSvに達する量
だ。それだけでもイチエフが収束状況にあるなどとはとても言えない。 5年目という区切りはまだ、この先の長い廃炉工程の
導入期にすぎないのだ。
「命を危うくする政策は推進するべきではない」 南相馬・桜井市長、原発再稼動に怒り 弁護士ドットコム 2016年2月17日
(水) 18時27分2011年3月に未曾有の事故が起きた東京電力の福島第一原発に近い福島県南相馬市の桜井勝延市長
が2月17日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。桜井市長は、九州電力の川内原発が昨年8月に再稼
働したことに触れて、「被災地の住民として怒りをもっている」と批判した。 福島第一原発の北方約10キロ~40キロの範囲に
位置している南相馬市では、原発事故の影響で、多くの住民が市外への避難を余儀なくされた。現在でも市内の一部が、
帰還困難区域や居住制限区域、避難指示区域に指定されている。 桜井市長は会見で、今年3月末ごろに住宅地の除染
が完了することを見込んでおり、4月には避難指示を解除する予定だと説明した。また、避難した人たちの一部が戻ってき
ていないことを課題としながらも、ロボット産業への参入など「新しいまちづくり」に取り組んでいくことを強調した。●「原発被
災地が復興していないのは事実だ」 一方で、桜井市長は「南相馬をはじめとした原発被災地が、まだ復興していないのは
事実だ」と述べた。 南相馬市は昨年3月、原子力エネルギーに依存しないまちづくりを進める「脱原発都市宣言」を全国に
先がけておこなった。だが、昨年8月、九州電力の川内原発が再稼働するなどの動きが起きており、桜井市長は「被災地の
住民としては怒りをもっている」と批判した。 会見では、海外メディアの記者から「東京と被災地で温度差があることの背景
についてどう考えるか」という質問があがった。桜井市長は「震災が共有されていないからだ」と答えた。「南相馬市で起きて
いることを原発再稼働の地域の首長たちが知っていたら、市民に対する責任として、命の重さを考えるはずだ」と付け加え
た。さらに、桜井市長は「残念ながら『エコノミー、エコノミー、エコノミー』と叫ぶ首相に象徴されるように、命が先なのか、暮
らしが先なのか勘違いしている人が政治家の中にもいるんじゃないか。命を危うくするような政策は推し進めるべきではな
い」と訴えていた。
<宮城指定廃>基準値超3分の1以下と報告 河北新報 2016年2月17日(水) 13時51分東京電力福島第1原発事故
で生じた指定廃棄物の最終処分場建設問題で、井上信治環境副大臣が17日、宮城県庁を訪れ、県内の廃棄物の放射能
濃度を再測定した結果、国の基準値(1キログラム当たり8000ベクレル超)を上回る廃棄物が全体の3分の1以下に減ったこ
とを村井嘉浩知事に報告した。基準値を上回った廃棄物については、県内1カ所で処理する従来方針を堅持した。村井知
事は「3月末までに県主催の市町村長会議を開く」と井上氏に伝えた。再測定結果を踏まえ、県内1カ所で集約管理すると
する環境省の方針や、基準値以下と未指定の廃棄物の扱いなどについて首長の意見を聞く。井上氏は会談で、県内の39
カ所で一時保管中の3404トンを再測定した結果、1090トンが基準値を上回ったと説明した。「基準値を上回る廃棄物は安
全上1カ所で集約管理するのが望ましい。地元の理解を得られるよう努力したい」と述べ、建設候補地の栗原、加美、大和3
市町で現地調査実施に取り組む考えを示した。基準値を下回った2314トンについては、地元自治体と協議しながら指定解
除を進め、国が費用や技術を全面支援する前提で、一般廃棄物として地元に処分してもらう方向性を明らかにした。
原発事故からの生活再建考える
福島で国連大学シンポ 福島民報 2016年2月17日(水) 13時45分
国連大学の公
開シンポジウム「福島第一原発災害の人々と社会への影響~これまでの教訓とこれから学ぶべきこと」は16日、福島市のコ
ラッセふくしまで開かれ、東京電力福島第一原発事故による住民避難と生活再建などについて政策を提言した。国連大学
サステイナビリティ高等研究所のモシニャガ・アンナリサーチアソシエイトが研究発表し、原発事故の避難者と受け入れコミ
ュニティーの相互理解の促進のためには「保護者同士の会や高齢者クラブなど共通の利益をもたらす取り組みに多くの支
援をすべきだ」と提言した。同研究所の佐藤映子リサーチアソシエイトはリスクコミュニケーションについて発表した。引き続
きパネルディスカッションが開かれた。森秀行地球環境戦略研究機関所長を司会にモシニャガリサーチアソシエイトと佐藤
リサーチアソシエイト、間野博福島大うつくしまふくしま未来支援センター特任研究員、井上正電力中央研究所名誉研究ア
ドバイザー、宮口勝美浪江町副町長、佐藤宏美ふくしま連携復興センター復興コーディネーターが現状や課題について意
見を交わした。同研究所の主催、県の後援。約60人が参加した。内堀雅雄知事が歓迎のあいさつをした。
基準超3分の1以下に=宮城の指定廃棄物―環境省 時事通信 2016年2月17日(水) 12時35分東京電力福島第1原
発事故で発生した放射性物質を含む指定廃棄物をめぐり、井上信治環境副大臣は17日、宮城県の村井嘉浩知事と県庁
で面会し、県内で指定基準を超えた廃棄物はこれまでより3分の1以下にまで減っていたとの再測定の結果を伝えた。井上
副大臣は「県内1カ所に処分場を造ることが望ましい」と述べ、引き続き処分場建設への理解を求めた。県内の指定廃棄物
は2015年6月末時点で3404トン。環境省が15年8月~16年1月に放射性物質の濃度を再測定したところ、指定基準の1キロ
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当たり8000ベクレル以上だった廃棄物は1090トンとなった。
高浜原発1、2号機、合格へ=40年超で初、審査書案審議―規制委
時事通信 2月22日(月)18時31分配信
原発
再稼働に必要な新規制基準の適合性審査で、原子力規制委員会は22日、運転開始から40年以上経過した関西電力高浜
原発1、2号機(福井県高浜町)について、24日の定例会合で事実上の合格証となる「審査書案」を審議することを決めた。
異論がなければ、一般から意見公募後、正式決定される見通し。運転開始から40年を超えた原発の審査合格は初めて。
原子炉等規制法は、原発の運転期間を原則40年とした上で、設備や機器の劣化を点検し、老朽化対策に関する審査に合
格すれば最長20年まで延長できるとしている。
冷却水漏れ「報告遅い」
京都府と滋賀県、関電対応を疑問視
京都新聞 2月21日(日)23時30分配信
関西電力
高浜原発4号機(福井県)で原子炉を冷やす1次冷却水が漏れた問題で、同原発から半径30キロ圏を含む京都府と滋賀
県も対応に追われた。両府県は、原発異常時の連絡を義務づける協定を関電と結んでいるが、報告は発生確認から1時間
半以上後で、21日の調査の報告もなかった。両府県の担当者は「もっと迅速に報告できないのか」などと対応を疑問視し、
調査状況などの説明を求める。府によると、20日午後5時15分ごろ、「同3時42分に水漏れを確認した」とするファクスが関
電から届いた。同10時45分ごろまで計4回、水たまりの放射線量の測定結果や、周辺環境への影響がないことなどを報告
するファクスがあった。21日に行った調査については報告はなかったという。府は22日にも、関電の担当者を府庁に呼び、
経緯や原因の調査状況について説明を求める方針。「1次冷却系の水漏れは放射性物質が含まれる恐れが高い。もっと早
い段階で報告ができなかったのか、詳しく聞きたい」とする。府は昨年2月、同原発に関する安全協定を関電と結び、異常
時の連絡を義務付けた。滋賀県は、1月に締結した関電との高浜原発に関する原子力安全協定で、不測の事態が起こっ
た場合、県に「直ちに」連絡するよう義務付けた。今回の問題は締結後初めてのトラブルだが、県原子力防災室によると、
一報は問題発生から約2時間以上後の20日午後6時前だった。同室によると、続報など報告は計5回届いたが、21日の原
因調査に関する連絡はなく、県は原因が分かり次第、関電に説明を求める方針。同室は「県への連絡になぜ2時間も掛か
ったのか。無駄な作業があるのなら、関電に改善を求めていく」とした。
高レベル放射性廃棄物 「地層処分」への道のり遠く
Web東奥 2月21日(日)12時28分配信
原発の使用済み核燃
料を再処理した後に出る高レベル放射性廃棄物を、地下深くに埋める「地層処分」。処分の安全性を確かめるため「瑞浪
(みずなみ)超深地層研究所」(岐阜県瑞浪市)では深さ500メートルの縦穴を2本掘り、地下水の動きなどを調べている。た
だ、施設はあくまで研究目的で、地元自治体は放射性廃棄物の持ち込みを拒否。国内では実際に廃棄物を埋める最終処
分地の選定は見通しが立たず、地層処分実現への道のりは遠い。今月1日、取材で同研究所を訪れた。専用のエレベータ
ーで地下300メートルに下りると横穴があり、かすかな暖かさを感じる。「気温は地上より少し高め。湿度は年間を通じて約80
%です」。研究所を管理する日本原子力研究開発機構の笹尾英嗣主任研究員が説明した。岩盤を伝って落ちる水滴は、
約1万年前に降った雨水だという。1日に処理する地下水は約800トン、処理費は年間2億~3億円に上る。再処理の過程で
出た高レベル放射性廃液はガラスと混ぜて固め、固化体の形で埋設される。固化体が強い放射線を発するのはおよそ千
年間。その間、地下水に接するのを防ぐため、固化体の埋設場所の周りは水を通しにくい粘土で覆う。同研究所では掘削
前にボーリングで地下水について調べたが、実際の量や流れは事前予測とおおむね一致したという。掘削では、水の流れ
を食い止める特殊な工法を採用した。だが、笹尾研究員は「縦穴と横穴の長さを合計すると約1.8キロ。これだけ掘ったので
周辺の地下環境は乱れるはず」と指摘する。実際の処分場は固化体を入れた後に埋め戻すが、「埋め戻した後に環境が
戻るのか、戻らないとすれば何がどの程度戻らないのかは世界でも研究事例がない」と今後の課題を語る。研究所の立地
に際し、瑞浪市と、隣接する土岐市、岐阜県は1995年12月、放射性廃棄物の持ち込みを禁じる協定を動力炉・核燃料開発
事業団(現在の原子力機構)と結んだ。協定には「将来においても放射性廃棄物の処分場とはしない」との文言も盛り込ま
れた。瑞浪市企画政策課の担当者は「市の立場は今も協定締結時と変わらない」と話す。地層処分のもう一つの研究施設
が立地する北海道幌延町も、町内への放射性廃棄物の持ち込みを禁じる条例を制定した。核燃料サイクル施設が立地す
る本県も県内を最終処分地にしない確約を国と結んでいる。政府は処分地選定に向け、処分地に適さない活断層や火山
の周辺などを除いた「科学的有望地」を年内に示す方針だが、自治体の拒否反応が強い中、立地にこぎ着けるにはかなり
の困難が見込まれる。最終処分地の選定は海外でも難航。フィンランド政府が昨年11月、南西部オルキルオト島への最終
処分場(名称オンカロ)建設を世界で初めて許可したが、米国、ドイツなど多くの国は日本と同様に処分地を選定できずに
いる。◇核のごみの最終処分
原発から出た使用済み核燃料は、青森県六ケ所村の日本原燃再処理工場でウランとプ
ルトニウムを取り出し、再び原発の燃料(MOX燃料)として利用する。再処理で生じた廃液はガラスと混ぜて固化体にし、同
村に一時貯蔵。その後、地下300メートルより深い場所に地層処分するが、処分場は決まっていない。現在同村には2044
本のガラス固化体があり、再処理工場が本格稼働すれば固化体はさらに増える。
<関西電力>原発安全対策膨張
福井の7基で5279億円
毎日新聞 2月21日(日)11時2分配信
関西電力が、
原発の新規制基準に対応する安全対策費として、福井県内の7基で少なくとも5279億円を見込んでいることが分かった。
新基準施行前は11基で2850億円だった。適合性審査に合格した高浜原発3、4号機は審査の過程で地震や津波の想定
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見直しなどを迫られ、当初の117億円から10倍以上に膨らんでいる。審査中の大飯3、4号機や美浜3号機も想定する地
震の大きさが引き上げられており、安全対策費はさらに大幅に増える見通しだ。新規制基準は、東日本大震災に伴う東京
電力福島第1原発事故(2011年3月)を教訓に13年7月に施行された。大規模な自然災害やテロなどへの対策強化が盛
り込まれた。関電の原発は高浜1~4▽大飯1~4▽美浜1~3号機--の計11基(いずれも福井県)。新基準施行後、美
浜1、2号機は廃炉が決定した。大飯1、2号機は再稼働の審査申請が出されていない。既に新基準に合格するか、審査中
の7基の対策費の内訳は、高浜1~4号機3881億円▽大飯3、4号機108億円▽美浜3号機1290億円。高浜3、4号機は
審査を申請した当初、地震の最大の強さを550ガル(ガルは加速度の単位)、津波の最大の高さを2.6メートルと想定して
いた。しかし、原子力規制委員会の指摘でそれぞれ700ガル、6.7メートルに引き上げられ、工事費用が増えた。さらに、
大型航空機を衝突させるようなテロ対策費として691億円を見込んでいる。大飯と美浜は審査申請時の額で、地震や津波
の想定見直しは反映されていない。大飯は地震が700ガルから856ガル、津波が2.85メートルから6.3メートルに、美浜
は地震が750ガルから993ガルにそれぞれ想定が引き上げられている。テロ対策も追加する必要がある。安全対策費が膨
らめば、電気料金に上乗せされて企業や家庭が負担することになる。【根本毅】
<小出裕章さんに聞く>燃料デブリの取り出しは、東電の見通しでうまくゆくのか
アジアプレス・ネットワーク 2月20日
(土)11時0分配信 名古屋大学などが宇宙からの素粒子を使って福島第一原発の原子炉を透視した結果、2号機の核燃
料の70パーセントから100パーセントが熔け落ちている可能性が高いと報じられた。当初から指摘されていた可能性が、そ
れがほぼ裏付けられたことになる。この問題について元京都大学原子炉実験所・助教の小出裕章さんに聞いた。(ラジオフ
ォーラム)ラジオフォーラム(以下R): 1号機も全部熔け落ちていることが分かって、2号機もこの状態だったということです
が、どのようにお考えですか。 小出:何をいまさら言っているのかなと私は思います。1号機も2号機も3号機も全部、ほぼ10
0パーセント熔け落ちていると、私はずっと以前から言っていますし、恐らくそうなっていると思っています。R:政府や東京電
力はまだこの燃料デブリ、つまり熔けてどこかにあるはずの核燃料の堆積物を取り出すと言っているのですが、本当にで
きるのでしょうか。 小出:政府も東京電力もこれまで原子力に関する限り、ずっと甘い見通しでやってきたのです。もちろん、
事故そのものが起きないと彼らは言ってきたわけですし、残念ながらそんな彼らの甘い見通し通りにはいかず、事故そのも
のも起きてしまいました。その後も常に彼らは甘い見通しでこれまでやってきたわけですが、事故の収束ということも、私は
彼らが描いている絵があまりにも甘すぎて「そんなものは到底実行できない」とずっと発言してきましたし、今もそう考えてい
ます。R:国や東電は、デブリの取り出し工法を3つ考えているということです。この3つの工法の内容について、またそれら
の可能性について教えてください。 小出:はい。もともと国と東京電力は、熔け落ちた炉心を上の方から取り出すという工程
表を書いていたのです。そのためには、格納容器という放射能を閉じ込めるために設計された容器全体を水浸しにしなけ
ればいけないのです。しかし、格納容器そのものに穴が開いてしまっていて、どこに穴が空いているか未だにわからないわ
けです。R:それを探すだけでも大変ですね。 小出:そうです。そして、何とかそれを突き止めたとしても、今度はそれを修理
しなければいけないのです。1ヶ所修理したと思っても、また他の所が破れていたとすれば、やはり水を貯めることはできま
せんので、またどこが破れているかを探さなければいけない。そして、修理をしなければいけない。こういうことを恐らく延々
とやることになると思います。ようやく修理したとしても、もともと格納容器というのは、水を満たんにするなんていう設計にな
っていませんので、むしろそんなことをやれば、危険がまた生じてしまうだろうと思います。その上で、やっとそれができたと
しても、上の方から覗いて、熔け落ちた炉心がある格納容器の床というのは35メートルも40メートルも深い所で、そんな所か
ら本当に物を取り出すことができるかとも思います。それに、私は実はもうそんな所にはないと考えています。格納容器の広
範な部分にバラまかれてしまっていますし、場合によっては格納容器の床、あるいは隔壁を突き破って外に出ているかもし
れないと私は発言しているわけで、上の方から覗いて取り出すなんていうことは到底できないのです。だから、彼らも様々な
別の案を考えているというようなことを今、言い出していて、「横の方向から穴を開けて取り出す。あるいは、下の方向から穴
を開けて取り出すというような方法も考えている」ということを言っているわけです。けれども、ああだこうだ言いながら時間稼
ぎをしていると私には見えます。R:そもそも水で冠水できるのであれば、汚染水は漏れませんよね。 小出:当然です。現
在、生じている放射能汚染水問題は、格納容器がすでに穴が開いてしまって、注入している水がどんどん漏れてきてしまう
ということから始まっているわけです。冠水ができるような水棺ができる道理がもともとないのです。でも彼らは、できるとこれ
までずっと言ってきて時間を無駄にしてきたと言うか、事態を一層、悪くしてきてしまっています。R:燃料デブリと下の基礎
のコンクリートが混ざっているという指摘もありますが。 小出:もちろんです。もうかなり前にそういう状況になっています。
熔け落ちた炉心は、圧力容器という鋼鉄製の圧力窯の底を抜いて、格納容器の床の上に落ちたのですが、格納容器の床
はコンクリートでできていまして、コンクリートと溶け落ちてきた炉心が猛烈に反応して、爆発性のガスなども大量に噴き出し
たはずだと私は思っています。これによって、一酸化炭素ほか爆発性のガスが大量に発生することになります。特に3号機
の爆発というのが特別に巨大だったわけですが、私は熔け落ちた炉心と格納容器の床が反応して発生した爆発性のガスの
ためだと思っています。R:水蒸気だけではなくて、他のガスもあったのではないかということですか。 小出:はい。もともと
水素爆発と言って、水素が爆発したという推定だったのですけれども、それだけではなくて、熔け落ちた炉心が格納容器の
- 13 -
床と反応して、爆発性のガスを大量に発生させて、それが爆発したと私は思っています。R:東電や国は時間を無駄にする
ことなく、速やかに対策を考え直して欲しいですね。 小出:まずは何よりもこれまでやってきたことが間違えていたということ
を全ての人に知って欲しいしです。やってきた人たち自身もそれをきちんと認識して、自分の責任を明らかにするということ
が、まず一番初めに必要なことだと思います。
【第一原発遮水壁】安全と効果の両立を(2月20日)
福島民報 2月20日(土)9時26分配信
東京電力福島第一原
発の廃炉作業に欠かせない汚染水対策が前進する見通しとなった。汚染水を増加させる地下水の流入量を減らす凍土遮
水壁の本格運用について、原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会がおおむね認める方針を固めた。汚
染水が地中に漏れ出す危険性を極力回避するため、凍結を段階的に行う東電の新たな計画は一定の説得力がある。凍土
遮水壁は、既に動きだしている地下水バイパスや原子炉建屋周辺の井戸から地下水をくみ上げる「サブドレン」などとともに、
汚染水対策の柱だ。1~4号機の周辺約1.5キロに配管を埋め込み、凍結させて「氷の壁」を作る。東電は建屋への地下
水流入量を現在の1日当たり約150トンから50トンに減らせると試算している。国費約350億円を投じた遮水壁は今月9日
に完成した。この段階になっても東電は検討会の汚染地下水漏えいに対する懸念に十分な回答ができていなかった。東
電はこれまで、地下水を減らす効果の高い山側から凍結させる方針を示していた。15日の検討会で、まず海側を凍結させ、
地下水の状況を確認しながら段階的に山側を凍らせる変更計画を提案した。検討会が最も懸念していたのは、凍土遮水
壁の運用によって建屋周辺の地下水の水位が下がり、建屋内の汚染水が外部に出てしまう点だった。こうした不安要因は、
計画が具体化した2年9カ月前には既に指摘されていた。検討会が一つ一つの疑問点を詳細に議論するのは当然だ。再
三の問題提起に対して東電は、計画通りに山側から凍結させても水位はコントロールできるとの主張を繰り返した。凍土遮
水壁は、国が前面に立って廃炉作業を進める姿勢を強調する目玉事業として巨額の国費が投入された。被災地ばかりで
なく国民の注目度が高い事業と言える。ならば、所管する経済産業省資源エネルギー庁が強い指導力を発揮すべきでは
なかったか。順調に運んでも海側遮水壁の凍結は今秋以降とみられ、当初計画の平成27年度内の凍結完了からは大幅
に遅れる。避難区域を抱える市町村の帰還が加速する中、汚染水対策の遅れが及ぼす影響という視点を忘れてはいない
か。安定した廃炉作業は住民帰還の前提となる。本格運用では、きめ細かい水位の観察と目に見えない地中の正確な状
況判断が求められる。過去に例のない大規模な凍結計画に対して、政府、東電はあらゆる事態を想定し、対応に全力を尽
くすべきだ。(安斎
康史)
【コラム】3年後には使用済み核燃料貯蔵施設が飽和…対策急ぐべき=韓国
中央日報日本語版 2月19日(金)17時2
4分配信 韓国社会の各部門で警鐘が鳴っている。危機を誇張するべきではないが、看過すれば危機の機会要素を逃すこ
とになる。危機は機会のもう一つの名前だ。世界原子力発電史、特に韓国原子力発電史は危機から機会を発掘した成就
の歴史だ。 原発は世界大戦の後遺症を克服し、原子力の平和的利用を模索したところから始まった。韓国が原発を電撃
導入した背景も、韓国戦争(朝鮮戦争)の傷を踏んで経済的に飛躍するためだった。韓国は特に世界原子力産業の危機を
機会にして発展した。1978年の韓国初の原発「古里1号機」商業発電直後、米スリーマイル(TMI)事故で強化された原子
力安全意識と防御体系の恩恵を受けた。1987年のチェルノブイリ事故で世界原発市場が委縮した時、有利な条件で原発
技術を導入した。韓国が原発稼働から38年目に技術の自立を果たし、世界で初めて韓国型原発、研究用原子炉、中小型
原子炉の3種をすべて輸出した原動力だ。 2011年の福島原発事故後、我々は新たな機会と危機の前に立った。昨年末、
韓国をはじめとする世界196カ国が合意した新しい国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)のパリ協定で、原子力は類例
のない機会を迎えた。しかし数年後には韓国原発の使用済み核燃料貯蔵施設が飽和状態になるのが当面の危機だ。この
ままだと原発稼働中断という初めての事態を迎える。使用済み核燃料は長期的に最終処分しなければならないが、それ以
前の段階として中間貯蔵施設が必要だ。しかし中間貯蔵施設の敷地選定に相当な時間がかかり、2019年には月城原発
敷地内の乾式貯蔵施設は飽和状態となる。やむをえず敷地内の短期貯蔵施設の拡充が急がれる。しかしまだ政府の管理
対策は確定していない。法的基盤もなく規制手続きも遅れている。今急いでもかろうじて飽和を防げるほどだ。原子力学会
を代表する立場で非専門家の恐怖感は理解できるが、過度な危険認識は現実的な代案ではない。 日本には現在、稼働
可能な原発が43基ある。中国は30基の原発を運営中であり24基を建設中だ。2030年までには110基以上の原発を稼働
し、99基の原発を稼働中の米国を上回るというのが中国の目標だ。この場合、今後、十数年以内に韓国を中心に半径200
0キロ以内に韓日中3カ国が約200基の原発を稼働することになる。非現実的な仮定だが、韓国が脱核を宣言するとしても
原子力から自由になれない。我々の技術力を土台に原子力の安全管理に向けた東アジア共同の努力を牽引するリーダー
シップを発揮することがより現実的であり、未来志向的な代案だ。 1986年に中・低レベル処分施設敷地の選定に着手し
て以来、昨年の廃棄場竣工まで30年がかかった。使用済み核燃料管理政策を推進してから今年で32年目だが、まだ管
理政策が出ていない現実に我々は深刻な警戒心を抱かなければならない。政府はもう周囲を気にせず当面の課題である
使用済み核燃料管理基本計画を速やかに発表し、問題解決に取り組まなければいけない。今が危機と機会を分ける決定
的な転機だ。
南相馬で政府説明会
避難指示「4月解除」に住民反対 東京新聞2016年2月21日
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政府の原子力災害現地対策本
部は二十日、福島県南相馬市で住民説明会を開き、原発事故で同市の帰還困難区域以外の地域に出ている避難指示を
四月中に解除したい考えを伝えた。住民からは「時期尚早」など反対意見が相次ぎ、桜井勝延(かつのぶ)市長は終了後、
「四月中の解除は難しいと感じた」と話した。桜井市長はさらに、市が解除の条件としている国の除染完了を確認した上で、
四月下旬以降に再度、説明会を開くと表明。「それまでには市としての解除時期の考え方を示したい」と述べた。この日の
説明会には約三百五十人が出席。対策本部は、避難区域内の住宅周辺の除染が三月までに終了し、商店や医療施設が
再開するなど生活環境が整備され、四月中の解除が可能と説明した。住民からは「きちんと除染されておらず不安だ」「除
染作業員による犯罪もある。治安対策は十分なのか」などの声が上がった。避難区域の同市小高区から市内の仮設住宅に
避難する主婦佐々木より子さん(54)は「帰りたい気持ちはあるが、子どもたちが安心して遊べるよう徹底して除染されなけ
れば帰れない。四月中の解除は反対」と話した。
原発事故
政府の力では皆様を守り切れません
首都圏避難で首相談話草案
東京新聞2016年2月20日
二〇一一
年三月の東京電力福島第一原発事故の際、首都圏で大規模な避難が必要になる最悪のシナリオに備え、当時の菅直人・
民主党政権下で首相談話の作成が極秘に行われていたことが分かった。本紙が入手した草案には「ことここに至っては、
政府の力だけ、自治体の力だけでは、皆様(みなさま)の生活をすべてお守りすることができません」などと万策尽きた状況
を想定した部分もあり、原発事故直後の政府内の危機感をあらためて示している。草案を作成したのは、民主党政権で官
邸の情報発信担当の内閣官房参与を務めていた劇作家の平田オリザ氏。当時、文部科学副大臣だった鈴木寛・元民主党
参院議員が原発事故発生から一週間後の一一年三月十八日、作成を依頼し、平田氏は二日後の二十日に書き上げた。
四百字詰め原稿用紙七枚に相当する約二千八百字の長文で、避難の範囲といった具体的な数値については、発表時の
放射性物質の拡散状況に対応できるよう「○○キロ圏内」などとした。赤字で「重要原稿草案
2011・3・20」と書かれた草
案は冒頭、政府の責任を認めて謝罪し、原発を所管する経済産業省や東電の責任追及を約束。その上で「国民のみなさ
まの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりました」などと避難を呼び掛けた。パニックを警戒し「西日本に向かう
列車などに、妊娠中、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい」「どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、
いたわり合い、支え合う精神で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたい」などと訴えている。平田氏はパソコンで草案
を書き、鈴木氏に渡した。福島原発事故の放射能汚染が首都圏に及ぶ可能性が少なくなったことから、公表しなかった。鈴
木氏は本紙の取材に「官邸の指示ではない。私が独断で準備した」と説明。ただ、原発事故の影響がさらに拡大すれば、
菅首相らに提案するつもりだったという。平田氏は「談話が必要になる可能性は極めて低いという前提で、シミュレーションと
して作った。実際に発表する場合にはさらに専門家を加えた検討が必要だと思っていた」と話した。首都圏避難を伴う「最
悪のシナリオ」をめぐっては当時の近藤駿介原子力委員長が一一年三月二十五日に作成。福島第一原発1~4号機の使
用済み核燃料プールが空だきになって燃料が溶融するなどの想定で、首都圏の住民数千万人の避難を示唆する内容だ
った。◆私は知らない
菅直人元首相の話
東京を含め五千万人の避難が必要になるという最悪の事態は、事故発生当
初から私の頭にあった。スタッフはいろんなことを想定して準備する。ただ私は(首相談話草案の存在を)知らないし、見た
のも初めて。本当に避難が必要になった場合は、特別立法を含めて何らかの手だてをしたはずだ。
【関連】福島事故
首相談話草案全文
妊婦、乳幼児連れの方
優先乗車させて 東京新聞2016年2月20日
力福島第一原発事故の際、当時の菅直人・民主党政権下で作成された首相談話の草案全文は以下の通り。
東京電
この度(た
び)の福島第一原子力発電所の大規模事故にあたり、多くの国民のみなさまに大きな不安をお与えしていることを、改めて
お詫(わ)び申し上げます。特に、これまで四十年間、首都圏の電力を支えてきてくださった大熊町、双葉町の皆様(みなさ
ま)、近隣市町村、福島県民の皆様、隣接する茨城県、宮城県の皆様には、本当に多大なご迷惑をおかけし、お詫びの言
葉もございません。申し訳ありませんでした。この度の事故は、政府、経済産業省はじめ関係諸機関、東京電力のいずれに
も、多大な責任があり、今後、事態が収拾したのち、きちんとした反省、検証のみならず、責任の追及を行っていく所存です。
しかしながら、いまは、政府、東京電力、自衛隊、消防庁など関係諸機関、そして全国民の総力を挙げて、被害を最小限に
食い止めなければなりません。どうか、その点をご理解いただければと存じます。福島第一原子力発電所は、廃炉を前提と
して、とにかく、被害を最小限に抑えるように、今後も全力を挙げて対策を講じてまいります。しかしながら、いまの時点にお
いて、国民のみなさまの健康に影響を及ぼす被害の可能性が出てまいりましたので、その点をご報告させていただきます。
まず、お願いしたいのは、現在の放射線量から考えて、いま、すぐに健康被害が起こるわけではありませんので、どうか落ち
着いて、各自、冷静に対処、行動をしていただきたいということです。繰り返します。今すぐに健康被害が起こるような事態
は起こっておりません。これからの説明をよく聞いていただき、国民各位が、冷静な行動をとっていただきますようにお願い
いたします。まさに、いま、日本国民の叡智(えいち)、理性、自制心が問われています。なにとぞ、よろしく、ご協力ください。
まず、立ち入り禁止区域を、現在の20キロ圏内から、○○キロ圏内に拡大いたします。これは、念のため、最悪の事態を想
定しての避難です。○○圏内というのは、放射性物質の拡散による直接の健康被害が起こりえる、最大限の距離をとってい
ます。この圏内の皆様には、たいへんなご心配とご不便をおかけいたしますが、どうかご協力いただきたい。すでに関係す
る自治体には連絡を取っており、現在、避難経路などを策定、指示をしていただいております。各自治体の指示に従って、
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ゆっくりと、焦らずに避難を行ってください。繰り返しますが、すぐに危険が迫っているわけではありません。念のため、最悪
の事態を想定しての避難ですので、ゆっくりと避難をしてください。なお、この区域の皆様には、今回の事故の安全確認が
完了するまで、○か月以上の長期間の避難をお願いせざるをえません。まことに申し訳ありませんが、ご不便に耐え、安全
確保にご協力いただきたいと思います。政府としても、最大限の支援を行ってまいります。避難の長期化が避けられない地
域に関しましては、政府が責任を持って、全面的に持続的な支援を行い、ご不便を最小限に抑えます。また、放射線量の
推移を見ながら、定期的に、車両などを出して、各家庭からの必要な生活用品の移動なども支援いたします。なお、大熊町、
双葉町の住民の皆さまには、最悪の場合、数年の単位で将来的にも居住が難しくなることが予想されます。完全移住も含
めて、政府と自治体で対応を協議してまいります。地元住民の皆様の、政府、東京電力への信頼を裏切るような結果となっ
てしまったことを、重ねてお詫び申し上げます。さらに屋内待避区域を、現在の30キロ圏内から○○キロ圏内に拡大いたし
ます。繰り返しになりますが、立ち入り禁止を指示した○○圏内は、放射性物質の拡散による直接の影響が起こりえる、最
大限の距離をとっています。ですから、屋内待機区域は、けっして、24時間外出禁止という区域ではありません。あくまでも
念のための措置です。外出時の注意は別途申し上げますので、極力外出を避けていただければ、健康被害は防げます。
この地域の皆様にも、食料など生活必需品の配給を責任を持って行いますので、ご協力ください。また圏外避難をご希望
される皆様にも、西日本の自治体にも協力を仰ぎ、受け入れ体制を整えます。今日、明日、健康被害が出るわけではありま
せん。どうか慌てずに行動してください。それ以外の周辺地域の皆様に、健康被害の可能性について申し上げます。お手
元の資料をご覧ください。妊娠中の方、乳幼児、○○歳以下の子ども、40歳未満の成人、40歳以上の成人について、距
離別の想定される健康被害の可能性をお示ししました。またこの数値は、風向きによって大きく変化しますが、強風の風下
に立った場合の、最悪の状況を想定しての数字となっております。たとえば、50キロから100キロの地域では、○○歳以下
の子どもの、十年以内の甲状腺癌(がん)発症の可能性が、○○%から○○%となっています。屋内待避を続けていただけ
れば、この数値は、大幅に下がります。他の地域でも同様に、屋内待避を続けていただければ、長期にわたる健康被害の
可能性が、大幅に低下します。ただ、比較的安全な○○キロ圏外の皆様でも、妊娠中の方、乳幼児をお持ちの方が、それ
でも不安を感じられるということは否定できません。こうした方々の不安に応えるためにも、ぜひ全国民にご了解いただきた
いのですが、西日本に向かう列車などに、妊娠中の方、乳幼児を連れた方を優先して乗車させていただきたい。くりかえし
ますが、成人に、すぐに健康被害が出るわけではありません。100キロ圏内に、一週間以上とどまっていても、屋内待避を
続けていれば、健康被害は起こりません。どうか、理性と、強い自制心を持って、この最大の国難に、国民一丸となって対
処していただきたいと存じます。放射線の量は、風向きなどで刻一刻と変化します。ふさわしくない喩(たと)えかもしれませ
んが、花粉の飛散に似ています。政府は、各地の放射線量の情報を逐次、国民のみなさまに提供し、待避、外出の指針と
していただくよう努めてまいります。なお、念のため申し上げておきますが、この度の原発事故では、チェルノブイリ原発事
故で起こったような放射性物質の大量拡散、いわゆる「死の灰」の飛翔(ひしょう)、大気に乗っての拡散の可能性はありま
せん。放射線の拡散だけならば、政府の指示に従って充分な距離を置けば被害は防げますし、また時間をおけば、安全性
の回復が望めます。この点をご信頼いただき、冷静な行動をとっていただくことをお願いいたします。政府は、全力を挙げて、
事故対策、避難支援、生活支援に取り組みます。しかしながら、ことここに至っては、政府の力だけ、自治体の力だけでは、
皆様の生活をすべてお守りすることができません。どうか、国民一人ひとりが、冷静に行動し、いたわり合い、支え合う精神
で、どうかこの難局を共に乗り切っていただきたいと願います。重ねて、政府、東京電力の不手際をお詫びし、国民全般の
最大限のご協力をお願いいたします。※文中の「○○」など草案全文は原文のまま。避難の範囲や期間など具体的な数値
は、発表時の状況に対応できるよう空白とされた。
サイクル施設、Ssが確定-規制委、700ガル設定を了承 電機新聞2016/02/22
日本原燃の使用済み燃料再処理
工場とMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料加工工場の基準地震動(Ss)が19日、確定した。原子力規制委員会
が同日開いた核燃料サイクル施設に関する審査会合で原燃が、最大加速度700ガルを含む計10波をSsに設定する方針
を提示。規制委は、「妥当な検討がなされた」と了承した。2014年1月に原燃が新規制基準への適合性審査を申請してか
ら約2年かけ、地震動を巡る議論は収れん。今後、重大事故対策の有効性評価が大きな焦点になる。原燃は申請当初、Ss
を600ガルに設定していた。その後の審査で、敷地近傍を走る出戸西方断層の長さを見直したことや、「震源を特定せず
策定する地震動」として北海道留萌支庁南部地震、岩手・宮城内陸地震を考慮する方針を示していた。さらに、下北半島
沖合の大陸棚外縁断層を巡っては「約25万年前以降の活動はない」とする原燃の主張が規制委に認められ、Ss策定に向
けた前提条件の議論は1月までに終えていた。こうした審査経緯を踏まえ、原燃は19日の会合で、「震源を特定して策定す
る地震動」として最大加速度700ガルを含む6波、「震源を特定せず策定する地震動」として4波の計10波をSsに選定する
方針を説明。石渡明委員は「地震動評価はこれまでの指摘に対し十分な回答がなされ、Ssについても妥当な検討がなさ
れている」と評価した。
[米国] ノースカロライナ州規制当局が太陽光新設を制限し原子力を補助する方針
電事連2016年2月17日2016年1月
28日付の報道によると、ノースカロライナ州の環境品質省長官のDonald van der Vaart 氏は同州のエネルギー政策会議
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に対して、太陽光発電新設の制限と原子力発電に対するインセンティブの導入を求めている。 具体的には、太陽光発電
所を新設する際には州の環境当局の許可が必要となるよう変更すること、および原子力発電のインセンティブとして州の再
エネ利用基準(RPS)に原子力を加えることなどがある。しかし、これらの政策変更がエネルギー産業に与える影響をさらに
議論する必要があるとして、エネルギー政策会議では3月まで投票を延期することとした。
[米国]原子力エネルギー協会、過酷な気象条件下における原子力の実績を強調
電事連2016年2月17日2016年1月28
日付の報道によると、原子力エネルギー協会は、1月22日から23日にかけて米東部沿岸部に記録的な大雪をもたらした暴
風雪の際、原子力は堅強に電力を供給し続けたとし、原子力発電の実績を強調した。 原子力エネルギー協会は、「2年前
および昨冬のPolar Vortex(極渦)に続き、今回の暴風雪においても、過酷な気象条件下での原子力発電の相対的な耐性
が証明された」と述べている。 今回の暴風雪の際、米国の原子炉99基のうち94基が、90%以上の出力で運転を継続した。
[ドイツ]電気料金に係る公租公課が98年の電力自由化以降で最高水準に
電事連2016年2月17日連邦エネルギー・
水道事業連合会(BDEW)は2016年1月22日、年間消費電力量が3,500kWhの平均的な一般家庭が支払う2016年の月額電
気料金水準は2015年とほぼ同水準になるとの調査結果を明らかにした。ただし、電気料金の一部として支払う公租公課は1
998年の電力自由化以降で最高水準の約45ユーロ、電気料金総支払額の54%を占めるに至っている。 公租公課の中で
最も大きな割合を占める再エネ賦課金は、2015年は月額18ユーロであったが、2016年は約18.5ユーロとなっている。
[中国] 中国原子力発電協会、2015年の原子力発電状況を発表
電事連2016年2月18日中国原子力発電協会は201
6年1月22日、2015年の全国の原子力の運用状況を発表した。2015年の1年間で、原子炉6基が新規運開し(方家山2号機、
陽江2号機、寧徳3号機、紅沿河3号機、福清2号機、昌江1号機)、運転中のものは28基、総発電設備容量は2,642.7万kW
となった。 総発電設備容量に占める割合は約1.75%。全原子力発電所の年間発電電力量は1,689億kWhで総発電電力
量のほぼ3%を占めた。
[ドイツ] BDEW、発電事業者の出力調整運転に対する報酬引き上げを要求
電事連2016年2月18日ドイツ連邦エネル
ギー・水道事業連合会(BDEW)は2016年1月26日、ドイツ連邦政府に対して、送電系統運用者による再給電指令(系統混
雑解消のための発電所の運転計画変更、出力調整の要請)を受けて発電事業者が実施する出力調整運転に対する報酬
引き上げをドイツ連邦議会における電力市場法案の審議に際して検討するよう要求した。 火力発電設備などの従来型電
源を運用する発電事業者は、再エネの大量導入に伴い、頻繁な発電設備の出力調整、運転停止・再起動を余儀なくされ
ているが、現在、ドイツ連邦議会で議論されている電力市場法案に盛り込まれた規則ではその費用の一部しか補償されな
いことになっている。BDEWは、再給電の対象となった電力量が2010年には3億600万kWh であったのに対して2015年には
110億kWhとなった事実を示し、再給電費用の補償の見直しがなぜ今必要なのかを強調し、迅速な対応をドイツ連邦政府
に求めている。
[フランス] アレバ原子力事業、政府支援で50億ユーロ増資へ
電事連2016年2月18日財政再建計画を進めているフラ
ンス原子力大手アレバは2016年1月27日、財政再建の一環として、フランス政府の支援などにより50億ユーロを増資するこ
とを取締役会で承認した。また、フランス電力(EDF)と交渉を行ってきた原子炉関連事業子会社(アレバNP)の売却を終結
させるよう同日、最高経営責任者(CEO)に指示したと発表した。 同日、EDFでも理事会が開かれ、アレバNPの最終査定
額を25億ユーロで提案することを決定した。ただし、EDFはアレバNPの2017-2018年の業績に応じて、最大で3億5,000万
ユーロを追加で支払う可能性がある。
[中国]太陽光発電設備容量4,300万kWに
電事連2016年2月22日国家能源局は2016年2月6日、2015 年末時点で太
陽光発電設備容量は4,318万kW、年間発電電力量は392億kWhと発表した。 内訳は、メガソーラー3,712万kW、分散型60
6万kW。2015年の1年間に新規運開した設備容量は1,513万kWとなった。 新規運開分の多い地区は、新疆ウイグル自治
区(210万kW)、内蒙古自治区(187万kW)、江蘇省(165万kW)。
[中国]2016年の電力需要、年率需給予測を発表
電事連2016年2月22日中国電力企業連合会は2016年2月3日、20
16年の電力需給予測を発表した。マクロ経済は伸びが減速し、電力消費の伸び率は1~2%としている。 電源開発では、
新規運開分は約1億kWで、2016年末の総発電設備容量は16.1億kW前後、非化石エネルギーによる発電設備容量は全体
の36%前後になるとしている。 電力供給は全体的に余裕があり、一部地区では過剰状態になると見ている。 全発電設備
の利用時間は3,700時間で、火力発電は4,000時間と予測され、卸電気料金の引き下げや大口需要家の直接取引による料
金低下の影響を受け、石炭火力発電会社の利益は大きく減少するとしている。
米エネ省:SMR建設でアイダホ国立研の使用をユタ州の電力公社に許可
原産新聞2016年2月22日
米エネルギー省
(DOE)は2月18日、アイダホ国立研究所(INL)敷地内におけるニュースケール社製小型モジュール炉(SMR)の建設を
支援することで、ユタ州の市町村電力公社(UAMPS)と合意に達したと発表した。UAMPSは今後、INL敷地内でSMR
初号機の建設に適した区域を特定する計画で、それがINLの作業ミッションを妨げることはないとDOEが確認すれば、米
原子力規制委員会(NRC)が広範な安全審査と環境影響評価を行った上で選定区域におけるSMRの設計・建設・運転、
および廃止措置を許可することになる。この関連で、ニュースケール社は今年中にもNRCにSMRの設計認証(DC)の申
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請書提出を予定している一方、そのパートナー企業であるUAMPSと原子力発電事業者のエナジー・ノースウェスト(EN)
社は、2017年~2018年にSMR初号機の建設・運転一括認可(COL)申請を計画。順調に進めば、米国初のSMRプロ
ジェクトとして2023年に商業運転が開始できる見通しだ。DOEは、米国が低炭素な社会となる上で原子力が果たす役割
の強化を約束しており、コンパクトで拡大縮小可能なSMR設計は、送電設備の容量が小さく大型炉の立地に適さない場所
では低炭素なベースロード電源になり得ると認識している。SMR開発を通じて国内原子力産業を活性化するとともに、世
界のクリーン・エネルギー技術革新で米国がリーダー的存在になるというオバマ政権の計画を実現するため、官民折半のS
MR商業化計画に4億5,000万ドルを拠出。バブコック&ウィルコックス社のSMR設計「mPower」とニュースケール社のS
MR設計を対象に、2020年代初頭にも商業化の設計エンジニアリングとDC取得が可能になるよう支援活動を行っている。
ニュースケール社のSMRは固有の安全性を備えた電気出力5万kWの一体型PWRで、12基連結すれば最大60万kWま
で出力の拡大が可能といわれている。ユタ州を本拠地とするUAMPSは、西部8州の地方自治体と協同組合45機関の共
同活動組織。近年は、独自の「低炭素電力プロジェクト(CFPP)」を展開中で、安全でシンプルかつコスト効果の高いSMR
を建設するため、特性調査や分析が行える潜在的な適地を模索していた。今回、DOEがINLサイトの使用を許したことで、
UAMPSは敷地内における環境影響や安全性といった立地条件の分析を開始予定。現地の報道によると、UAMPSは初
号機の運転開始まで10年間、運開後は99年間、INLサイトをDOEから借り受けられるという。SMRが成功裏に建設でき
れば、大気汚染と温室効果ガス排出量の軽減が可能な原子力発電で、一層幅広いオプションが米国の電気事業者に提
供されるとDOEは指摘している。
米エンタジー社:フィッツパトリック原子力発電所の正式閉鎖日を決定
原産新聞2016年2月22日
米国の大手原子力
発電事業者であるエンタジー社は2月18日、ニューヨーク州で所有・運転中のJ.A.フィッツパトリック原子力発電所(87.9
万kW、BWR)の正式な閉鎖日を2017年1月27日に決定したと発表した。同炉は稼働実績が良好であるだけでなく、203
4年まで合計60年間の運転を認可されているが、エンタジー社は2015年11月、現行の燃料サイクルが終了する2016年
末から2017年初頭にかけて早期閉鎖する方針を表明。同社はその1か月前、マサチューセッツ州で運転するピルグリム原
子力発電所(71万kW、BWR)についても2019年6月までに早期閉鎖すると発表しており、いずれも供給地域におけるエ
ネルギー価格の下落や偏った電力市場構造が、単機構成の原子力発電所の収益を大幅に悪化させている点を理由に挙
げていた。それでも同社が全米6州で運転する原子炉は、管理サービスを提供中のクーパー発電所を含めて9基、950万
kWに及んでおり、今後も低炭素で信頼性も高く、供給構造の多様化にも貢献する原子力発電を継続していくと断言した。
1975年に営業運転を開始したフィッツパトリック発電所の閉鎖日程は、2015年の第4四半期および年間の収支報告の中
で明らかにされたもの。同発電所では600余名の従業員を雇用していることから、閉鎖に伴う福利厚生の保証に最善を尽く
すとしたほか、40年以上にわたって同発電所の運転を支援してきた地元コミュニティへの謝意を表明している。
米TVA:未完成のベルフォンテ原子力発電所サイトの売却を検討
原産新聞2016年2月19日
米国のテネシー峡谷開
発公社(TVA)は2月17日、建設工事の中断した1、2号機が立地するアラバマ州・ベルフォンテ原子力発電所サイトの売
却案について、3月18日まで一般からの意見を募集すると発表した。原子力発電所として利用するほかに、同サイトの敷地
1,600エーカー(約647ヘクタール)および、いくつかのインフラ設備は工業や商業、あるいは住宅開発などの異なる用途
にも活用可能と指摘。集まったコメントその他の関連情報を審査した後、TVA理事会が売却を決めた場合は、公開オーク
ションにかける考えを明らかにした。TVAは同サイトで3、4号機を増設するための建設・運転一括認可(COL)も申請済み
だったが、これについては2月12日に申請の取り下げを米原子力規制委員会(NRC)に通達したとの報道があることから、
近々完成予定のワッツバー原子力発電所2号機以降、同社が新たな原子炉を建設しない可能性が示唆されている。TVA
によると、ベルフォンテ・サイトには現在、一部が完成したバブコック&ウィルコックス社製PWR(120万kW級)2基と関連施
設、高低2系統の開閉所、事務棟、倉庫、訓練センター、駐車場、鉄道の支線、ヘリの離着陸場が存在。1、2号機の建設
工事は1974年に始まったが、電力需要の低迷などから1988年にTVAが作業を停止し、サイトは長期保存状態に置いた。
2011年8月になると、「クリーンなエネルギー社会の実現には原子力が最良オプション」との認識から1号機の建設再開を
決定。2020年までに49億ドルを投入して同炉を完成させるとしたが、2008年から同様に建設工事を再開したワッツバー2
号機の完成を優先するため、2012年3月にはベルフォンテ1号機の作業員430名をレイオフすると発表していた。TVAは
また、2002年に米エネルギー省が「2010年までに新規原子力発電所の建設を目指すプログラム」を発表したのを受け、2
005年にベルフォンテ・サイトを候補地とする新設プロジェクトを公表した。同発電所3、4号機として、ウェスチングハウス社
製AP1000(2基)の建設を想定したCOLを2007年にNRCに申請したものの、審査関連の活動は2010年12月で停止。
NRCによるCOL審査はそれ以降、停止中となっていた。今回のサイト売却案についてTVAのB.ジョンソン総裁兼CEO
は、2015年の統合資源計画で「新たな大規模ベースロード電源が必要となるまでに20年かかる可能性」が示された点に
言及。このままTVAが同サイトを維持し続けるか、あるいは他者に托して一層国民の利益につながる用途に活用するか、
決めるべき時が来たと説明した。このため、今回の意見募集では、関係者や一般市民のみならず、同サイトにおける投資と
新たな雇用創出に関心を持つ開発業者からも話を聞くことが重要だとしている。
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中国:独自開発した燃料集合体「STEP-12」で照射テスト
原産新聞2016年2月19日
中国広核集団有限公司(CG
N)は2月17日、独自に設計・開発した「STEP-12」燃料集合体とCZジルコニウム合金製のサンプル・チューブ集合体を
広東省の嶺澳第Ⅱ原子力発電所1号機に4体ずつ装荷し、14日に照射試験を実施したと発表した(=写真)。現在国内で
稼働する既存の第2世代改良型PWR「CPR1000」に使用するほか、建設中の第3世代PWR「華龍一号」の燃料開発に
役立てるのが目的で、実際の原子炉で照射試験を行って、腐食特性や機械特性といった全体的な性能を確認するという。
中国ではもう1つの大型原子力発電事業者である中国核工業集団公司(CNNC)も1月末、「華龍一号」用の燃料集合体
「CF3」で最初の照射テストを実施。原子炉のみならず燃料集合体の設計・製造でも自立することで、中国産原子炉の経済
性向上と輸出促進を図る考えだ。STEP-12など新型燃料集合体の研究開発は、第12次5か年計画期におけるCGNの
戦略的な重要項目の1つ。「STEP」という呼称は「Stride
Toward
Excellent
Performance」の頭文字を取ったも
ので、照射テストの後、CGNは包括的な物理実験を行う予定。これには目視点検や被覆管酸化膜の厚み計測などが含ま
れ、結果は燃料集合体の設計合理化や関連機材の放熱性能を理解するために活用するとしている。
スウェーデン:オスカーシャム1が運開後45年目の2017年6月末に正式閉鎖へ
原産新聞2016年2月18日
スウェー
デンでオスカーシャム原子力発電所を運転するOKG社は2月16日、同日の取締役会で1号機(O1)(40万kW級BWR)
の正式閉鎖日が、運転開始後45年目にあたる2017年6月30日に決定したと発表した。大株主である独E.ON社の勧告
を受け、同社は2015年10月の臨時株主総会で同炉を2017年~2019年の間に早期閉鎖するとしたほか、運転期間を6
0年に延長する大規模な安全性改良工事で停止中だった同2号機(O2)(60万kW級BWR)についても再稼働させずに早
期閉鎖する方針を決定。その後の検討により、同炉の計画停止時期に合わせて永久閉鎖することが全体として最良のタイ
ミングと判断したという。ただし、同国では原子炉の閉鎖準備に広範な文書手続が必要であるため、国土環境裁判所およ
びスウェーデン放射線安全庁(SSM)から許可が下りるまでO1の閉鎖作業は始められない。同社はO1とO2を早期閉鎖
する理由が安全性によるものでないことを重ねて強調。長引く電力価格の低迷や増額された原子力税などを挙げており、
O1とO2の運転には短期的あるいは長期的にも経済的利益が伴わないと説明した。それでも、閉鎖まではO1で安全かつ
信頼性のある運転を保証するとしており、O1を計画通りに整然と閉鎖するためにも、運転に全面的に集中する意欲的な従
業員が必要になると指摘した。また、出力が大きく1985年に運転開始した3号機(120万kW級BWR)については、60年と
いう技術的な寿命を迎える2045年まで低炭素な電力を発電し続ける予定だと明言している。閉鎖後の廃止措置について
OKG社は、4つの段階を踏む計画になっていると説明。すなわち、(1)燃料を抜き取って既存の貯蔵プールで約1年間、
保管した後、オスカーシャムにある集中中間貯蔵施設(CLAB)に移送、(2)施設の点検・保存作業を実施し、取り壊し作
業の計画案を作成、(3)物理的な解体・取り壊し作業の実施、(4)跡地を完全に除染し、将来的な再利用が可能な状態に
復旧する--としている。設備の取り壊しや跡地復旧までの、正確なスケジュールは今のところ未定である。
UAE:バラカ1号機で建設進捗率が84%に
原産新聞2016年2月18日
アラブ首長国連邦(UAE)の原子力発電導
入計画を担当している首長国原子力会社(ENEC)は2月16日、同国初の原子力発電所となるバラカ1号機(韓国製140
万kW級PWR「APR1400」)の建設作業で冷態水圧試験(CHT)を完了したと発表した。アブダビ首長国西部に位置する
同発電所では、2015年9月に4号機が正式着工し、現在、1~4号機まで4基の建設工事が同時に進められている状況。2
017年の営業運転開始を目指す1号機は建設進捗率が84%に達したほか、2号機は64%、4基全体では58%に到達し
たことを明らかにした。CHTでは、原子炉冷却系の機器や関連する高圧システム、および溶接部、接合部、配管などが品
質基準や連邦原子力規制庁(FANR)の基準を満たしているか確認。これに先立ち、1、2号機と送電グリッドを結ぶ開閉所
の通電検査も行われた。ENECのM.アルハマディCEOは、「低炭素で持続可能な原子力で、UAEにおける電力需要の
4分の1を賄うという目標にまた一歩近づいた」とコメントしている。
英国:EDFエナジー社が4サイトの原子力発電所で運転期間延長
原産新聞2016年2月17日
英国で稼働中の全商業
炉(15基)を所有するEDFエナジー社は2月16日、4つの原子力発電所サイトで稼働する改良型ガス冷却炉(AGR)8基
について閉鎖予定日を改定し、運転期間を5~7年延長したことを明らかにした。英国政府が2008年に公表した新規の原
子力発電所建設計画では、2018年に最初の1基が完成予定で、EDFエナジー社も、PWR(1基)を除く既存のAGR(14
基)は2023年までにすべて閉鎖する方針だった。現時点で新設計画の最初の1基となるヒンクリーポイントC発電所(HP
C)の初号機の完成は2025年と見込まれるため、同社は14基のAGRすべてで平均7年間の運転期間延長を計画。すで
に3サイト6基のAGRで運転期間の延長を決定済みで、今回延長を決めた4サイト8基の運転期間は合計38~41年になる
計算である。一方、HPC計画に関しては、何度か先送りされてきた最終投資判断が近々下されるとの見通しを強調してい
る。英国では規制による運転期間の制限がなく、定期的な安全審査により最新基準への準拠状況などを精査した上で延長
が承認される。EDFエナジー社は今回、原子力規制局(ONR)と協同で実施した広範な技術面および安全面での審査の
結果、1986年に運転開始したヘイシャムA(62.5万kWのAGR×2)とハートルプール(65.5万kWのAGR×2)の2発
電所で運転期間を5年延長し、2024年まで稼働させるとした。また、1989年に運転開始したヘイシャムB(68万kWのAG
R×2)とトーネス(68.2万kWのAGR×2)の両発電所については運転期間を7年延長して2030年まで運転継続する判
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断を下した。同社はこのほか、1976年~1977年に運転開始したヒンクリーポイントB、ハンターストンB発電所に関して、2
012年12月の決定により、少なくとも2023年まで合計47年間運転する方針。1985年~1986年に運転開始したダンジネ
スB発電所についても2015年1月、運転期間を2028年まで10年延長し、合計45年間とする決定を明らかにしている。
ベルギー:ドール1、2号機の運転期間延長でIAEAが2017年にピアレビュー実施へ
原産新聞2016年2月17日
ベル
ギー連邦原子力規制局(FANC)の2月9日付けの発表によると、運転期間の10年延長が決まっているドール原子力発電
所1、2号機で「長期運転の安全面に関するピアレビュー(SALTO)」を2017年2月に実施するため、国際原子力機関(IA
EA)の準備ミッションが1日から9日まで同発電所を訪問した。ベルギー政府とFANCの要請により、SALTOで参照される
枠組を設定するために行われたもの。事業者のエレクトラベル社は、SALTOが実施されるまでの1年間で、改善が必要と
指摘された部分に本格的に取り組む考えだ。ベルギーでは2003年の脱原子力法により原子炉の運転期間を40年に制限
しており、ドール1、2号機は2015年1月と12月にそれぞれ40年の運転期間を終えて停止した。しかし、両炉を含む国内
の原子炉7基は総電力需要の46%を賄う重要電源であることから、現政権は2014年末に両炉の運転期間の延長方針を
決定。2015年12月には、FANCが両炉を2025年まで継続運転することを承認した。SALTOサービスではIAEAの国際
的な専門家チームが、経年化した電気機器や土木エンジニアリング、人的資源と知識の管理、内部の組織といった目標テ
ーマ毎に、IAEAの安全基準や国際的な慣行に照らし合わせて評価を行う。今回の準備ミッションで専門家チームは、ドー
ル1、2号機の設備が良好な状態にあるとしてエレクトラベル社を称賛する一方、長期の運転期間全体にわたる経年化管理
で組織構造を改善すべきだと指摘。また、経年化管理を継続的に改良するプロセスが不十分だとしたほか、長期の運転期
間中に必要となる有能なスタッフを確保すべきだと言明した。
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