平成27年度

(氏名)國分功一郎
成果の説明書
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(学部)経済学部
重要事項
キングストン大学にある「現代ヨーロッパ哲学研究センター」
(The Centre for Research
昨年度、一年間、私は在外研究の制度を利用して、イギリスはロンドンに滞在した。
in Modern European Philosophy:CRMEP)が受け入れ機関となり、訪問研究員の身分
で研究に従事した。同機関は、私のフランス留学時の指導教授であるエチエンヌ・バリ
バール氏や、現代のフランスの哲学者としてその名を知られるカトリーヌ・マラブー氏、
エリック・エリエズ氏など、多くのフランス人教授が教鞭を執っている。その他、ピー
ター・ホルワード氏もフランス語が堪能であり、フランスの哲学を出発点としている私
としては大変研究しやすい環境であった。
この一年間は大まかに言うと、二度の発表、翻訳、著作の執筆の四つが主な仕事であ
籍した東京大学「共生のための哲学研究センター」(University of Tokyo Center for
った。発表は一度は受け入れ機関であるキングストン大学にて、もう一度は、かつて在
Philosophy:UTCP)とブルガリアのソフィア大学の共同セミナーにて行った。前者で
は現在の執筆中の著作『中動態の世界』のアイディアを紹介した。後者では私の著作『ド
ゥルーズの哲学原理』の出発点となるアイディアについて話をした。どちらも大変有意
義な会となった。
ーDVD「アベセデール」の字幕である。DVD 三枚、計 8 時間にも及ぶ映像の翻訳は非
翻訳したのは、私が専門としているフランスの哲学者ジル・ドゥルーズのインタビュ
常に大変であった。私は監修者として私を含めた 5 人からなる研究者の翻訳チームのリ
ーダーとして、自身による翻訳とあわせて、全字幕のチェックなどを行った。翻訳は無
KADOKAWA、2015 年 9 月)。
事に終了し、無事に出版の運びとなった(『ジル・ドゥルーズの「アベセデール」』、
『中動態の世界』は既に六回分連載を終えていることもあり、八割を完成さえるとこ
ろまでこぎ着けることができた。いま出版に向けて最後の部分の執筆を続けている。
・
「辺野古を直感するために」、『at プラス』二四号、太田出版、2015 年 5 月。
その他では次の出版物があった。
(
『民主主義を直感するために』
、晶文社、2016 年 4 月)の最終章になっている。
辺野古の基地反対運動の取材を元にしたルポを執筆。このルポは最近出版された著作
といけないの?』、河出書房新社、2015 年 5 月。NHK で放送した哲学番組「哲子の部屋」
・
『哲子の部屋
Ⅰ: 哲学って、考えるって何?』
、
『哲子の部屋
Ⅱ: 人はなぜ学ばない
の書籍版。
・インタビュー「地域社会を「シェア」するミクロな政治──具体性のための制度設計
の関係』、LIXIL 出版、2015 年 7 月。
<「シェア」をめぐる思考>」、門脇耕三編、
『
「シェア」の思想/または愛と制度と空間
違憲なのか』、晶文社、2015 年 8 月。
・対談「哲学と憲法学で読み解く民主主義と立憲主義」
、木村草太『集団的自衛権はなぜ
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その他の事項
薫さん」(2015 年 6 月 6 日)。
・朝日新聞「(耕論)イエスかノーかの民主主義 國分功一郎さん、北川正恭さん、高村
・拙著『暇と退屈の倫理学』に続き、
『ドゥルーズの哲学原理』および『来るべき民主主
義』の翻訳が韓国で出版された。
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次年度以降の計画・抱負
・本年度後半よりスピノザについての著作を執筆予定であるのでそれに専心する。なお、
その著作は最初に韓国から出版される予定である。