グローバル経済下での日本の消費税制のあり方 -電子商取引の取扱いを中心として- 林 亜 紀 論 文 要 旨 1990 年 代 後 半 よ り 、 世 界 規 模 で 情 報 技 術 ( 以 下 「 IT」 と い う 。) が 急 速 に 発 達した。この新技術の発達は、国境を越えてヒト・モノ・カネ・情報を流動化 させ、同時に流通構造にも変化を与えた。 本 稿 で は 、国 際 間 の イ ン タ ー ネ ッ ト に よ る 役 務 の 提 供(「 直 接 的 電 子 商 取 引 」) 及 び 、イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 商 品 を 海 外 事 業 者 に 発 注 す る 取 引(「 間 接 的 電 子 商 取 引 」) を 分 析 の 対 象 と し た 。 従 来 、 商 品 ( 有 形 物 ) が 取 引 の 中 心 で あ っ た が 、 IT の 発 達 に よ り CD や DVD などの一定の商品は、音楽のダウンロードへと形を変え、その比率は年を追う ごとに高まっている。このような形態の変化が、商取引と密接な関係を持つ消 費税に影響を及ぼしている。 現 行 の 消 費 税 法 で は 、「 輸 入 取 引 」 は 、「 外 国 貨 物 」 の み が 課 税 の 対 象 と な っ て お り 、 音 楽 CD( 外 国 貨 物 ) を 輸 入 し た 場 合 、 税 関 で 消 費 税 が 課 さ れ る 。 ところが、海外事業者からインターネット上で音楽のダウンロード(国際間 の 役 務 の 提 供 )を し た 場 合 は 、 「 輸 入 取 引 」と し て 課 税 す る 規 定 が な い 。従 っ て 、 国内取引の課税要件である「国内」でなされたものか否かの「内外判定」が、 課税上、極めて重要な意味を有している。現行法は、当該役務の提供が行われ た場所が明らかでない場合、役務提供をした「事業者の事務所等の所在地」を 判 定 の 基 準 と し て 定 め て い る( 消 費 税 法 施 行 令 第 6 条 2 項 7 号 )。こ の た め 、日 本に事務所等を有しない海外事業者からインターネットを通じた「役務提供」 は 、「 国 外 取 引 」 と 判 定 さ れ 、 課 税 の 対 象 に す ら な ら な い の で あ る 。 音 楽 CD と 音 楽 の ダ ウ ン ロ ー ド 等 の よ う に 、同 質 の 経 済 的 効 果 が 得 ら れ る に も 関わらず、課税において異なる結果を導くため、国際間の電子商取引が、消費 課税の中立性を歪める問題を引き起こしている。昨今のインターネットの普及 で 、 BtoC( 事 業 者 ・ 消 費 者 間 ) の 直 接 的 な 取 引 が 増 加 し 、 消 費 課 税 の 中 立 性 を 歪める問題が徐々に深刻化しつつある。そこで、本稿では、国際間の電子商取 引が、現行の消費課税にどのような影響を及ぼしているか検証を行った。 第 1 章では、国際間の電子商取引が日本の消費税法及び関連規定にどのよう な影響を及ぼし、問題を生じさせているのか論点整理を行った。 次 に 第 2 章 に お い て 、EU・OECD な ど の 国 際 間 の 電 子 商 取 引 に 係 る 消 費 課 税 の -1- 先行的取組み及び動向を整理し、わが国の参考となる点を抽出した。 第 3 章では、国際間の電子商取引が日本の消費税収に与えるインパクトがど の 程 度 で あ る か 推 計 を 行 い 、 そ の う ち 「 直 接 的 電 子 商 取 引 」、「 間 接 的 電 子 商 取 引」のいずれの取引が、日本の消費税収により大きな影響を及ぼしているか検 証 し た 。 推 計 の 結 果 、「 直 接 的 電 子 商 取 引 」 に 起 因 す る 税 収 損 失 額 が 約 34.7 億 円 ( 2005 年 ・ 推 計 値 )、 他 方 「 間 接 的 電 子 商 取 引 」 に 起 因 す る 税 収 損 失 額 が 約 199.4 億 円( 2005 年・推 計 値 )、合 計 で 約 234.1 億 円 の 税 収 損 失 額 が 算 定 さ れ た 。 これにより、 「 間 接 的 電 子 商 取 引 」の 方 が 、 「 直 接 的 電 子 商 取 引 」に 比 し て 約 5.7 倍のインパクトを有することが判明した。 最 後 に 第 4 章 で は 、第 1 章 で 触 れ た 現 行 の 日 本 の 消 費 税 法 と 関 連 規 定 の 法 的 問題点、第 2 章の海外の先行事例の検証及び第 3 章での消費税収に与える影響 を総合的に考察した結果、 「 直 接 的 電 子 商 取 引 」及 び「 間 接 的 電 子 商 取 引 」の 両 面で等しく課税されるよう、現行法の改正が必要であるという結論を導いた。 こ の 結 論 を 踏 ま え 、本 稿 で は 、 「 直 接 的 電 子 商 取 引 」に 関 し て は 、 「輸入取引」 の課税の対象に「電子貨物」の規定を新たに加え、消費税法施行令第 6 条 2 項 7 号の「内外判定」の規定を同一国内で役務が授受された場合に限定適用され るよう改正すべきと考える。そして、これと併せて「電子税関」をインターネ ッ ト 上 に 設 け る こ と を 提 案 す る 。他 方 「 、 間 接 的 電 子 商 取 引 」へ の 対 応 と し て は 、 少 額 貨 物 免 税 制 度 を 廃 止 し 、2004 年 3 月 下 旬 よ り 運 用 が 開 始 さ れ て い る 申 告 ・ 納税が一体型の「マルチペイメントネットワーク」を最大限活用すべきと考え る。これらの方策を通じ、国際間の電子商取引における役務の提供及び少額の 外国貨物に対し、等しく消費課税することにより、わが国の消費税収への影響 を改善する1つの道筋と考える。 以 -2- 上 「グローバル経済下での日本の消費税制のあり方 -電子商取引の取扱いを中心として-」 はじめに 1 第1章グローバル経済下の電子商取引に起因する消費課税の問題 3 1 . 1 (問 題 の 所 在 3 1. 2 電子商取引の定義 3 1.3 消費課税に係る国境税調整の概略 4 1.4 電子商取引によるクロスボーダー取引と消費税法の問題点 6 1.5「輸徴法」による外国貨物に係る少額貨物免税制度の問題点 11 1.6 税務行政上の困難について 17 第2章 19 国際間の電子商取引に係る消費課税の先行事例 2 . 1 EU に お け る 動 向 19 2 . 2 EU の サ ー ビ ス 提 供 地 に 関 す る VAT 指 令 の 改 正 案 29 2 . 3 EC 新 指 令 ( New VAT Directive) に つ い て 31 2 . 4 OECD の 動 向 32 2 . 5 「 IT-APA」 に つ い て 35 第3章 36 わが国の電子商取引の発達と消費課税に及ぼす影響 3.1 消費税をとりまく社会変化 36 3 . 2 わ が 国 に お け る IT 導 入 の 現 状 37 3.3 電子商取引が引き起こす税収に対するインパクトの先行研究 42 3.4 国際間の電子商取引が引き起こす消費税収損失額の推計 45 3.5 消費税収損失額の推計結果及び考察 49 第4章 56 今後のあるべき姿 おわりに 61 -0- はじめに 1990 年 代 後 半 よ り 、 世 界 規 模 で 急 速 に 情 報 技 術 ( Information Technology; 「 IT」) が 発 達 し た 。 こ れ に 伴 い 、 国 際 間 で の 電 子 商 取 引 の 増 大 は 、 国 境 を 越 えヒト・モノ・カネ・情報を流動化させ、消費者の選択の幅を国内から国外へ と拡大させた。 国際取引においては、これまで貨物の輸出取引が大半を占めていた。ところ が 、CD や DVD か ら イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て ダ ウ ン ロ ー ド サ ー ビ ス へ と 商 品 の 形 態が変化し、その変化の比率が、年々高まっている。現行の消費税法は、外国 貨物の保税地域からの引取りに対して、消費税を課している。しかし、同様の 経済効果を持つ「デジタル財」のダウンロードサービスは、役務の提供に区分 され、輸入取引としての課税ができないという課税上の問題を生じている。外 国 事 業 者 が 国 内 の 消 費 者 ( 以 下 「 BtoC 取 引 」) に 音 楽 の ダ ウ ン ロ ー ド サ ー ビ ス を提供した場合、消費税がサービスの価格に上乗せされず、また、税関を通過 しないため、完全に消費税を課する機会を失うこととなる。経済協力開発機構 ( 以 下 OECD)の 2002 年 調 べ に よ る と 、OECD 諸 国 の 貿 易 額 に 占 め る「 サ ー ビ ス 貿 易 」の 割 合 は 、輸 出 の 21.9% 、輸 入 の 20.5% を 占 め る こ と が 報 告 さ れ て い る 1 。今 後 、国 際 間 の 電 子 商 取 引 は 増 加 し て い く も の と 予 測 さ れ 、租 税 回 避 の 問 題 が 、 益 々 深 刻 化 し て い く も の と 考 え ら れ る 2。 現 在「 消 費 税 」は 、国 税 収 入 の 約 20% を 占 め る 基 幹 税 目 と な っ て い る 。わ が 国では、少子高齢化が進む中、財務省の「一般会計主要経費別歳出の推移」に よ る と 社 会 保 障 関 係 費 と 国 債 費 が 増 大 し て お り 、2007 年 度 末 時 点 の 国 債 残 高 は 547 兆 円 に の ぼ る 。 こ の よ う な 財 政 状 況 下 で 、 消 費 税 の 課 税 ベ ー ス の 広 さ 、 所 得水準を問わず幅広い負担を可能としている点で、財政再建の切り札として消 費税の重要性が再認識されている。 し か し 、2008 年 の サ ブ プ ラ イ ム ロ ー ン 問 題 に 起 因 す る 一 連 の 世 界 的 な 金 融 不 安 に よ り 、日 本 で は 2008 年 10- 12 月 期 GDP の 改 定 値 が - 12.1%( 年 率 換 算 ) と大幅に落ち込んだ。そのことにより、消費税収の減収が懸念されている。ま た、少子高齢化社会を迎え、消費の中心が消費税の非課税項目である社会福祉 1 2 OECD( 2004a)“ Consumption Tax Trends, 2004 Edition”. 水 野 忠 恒 『 租 税 法 』 第 3 版 有 斐 閣 p704( 2007) 参 照 。 -1- や医療分野に大きくシフトすることが見込まれ、消費税の課税ベースが一段と 収縮するものと予測される。 このような経済・社会情勢を踏まえ、新たな経済活力をわが国の消費税の課 税ベースに取り込むことが必要と考える。そこで、完全な税収漏れが指摘され る BtoC に よ る 国 際 間 の 電 子 商 取 引 の 消 費 課 税 に 焦 点 を あ て 、議 論 を 進 め て い く 。 まず第 1 章では、国際間の電子商取引が、現行の日本の消費税法及び関連規 定に対し、どのような課税上の問題を引き起こしているか論点整理を行う。 次 に 第 2 章 で は 、 先 行 事 例 の EU 及 び OECD の 取 組 み を 考 察 し 、 今 後 の わ が 国 における国際間の電子商取引に対する消費課税の参考となる点を抽出する。 そして第 3 章では、国際間の電子商取引が日本の消費税収に与えるインパク トを推計し、推計結果に基づき、消費税の仕組みを考察し、是正すべき点を明 らかにする。 最 後 に 第 4 章 で は 、第 1 章 、第 2 章 の 現 行 の 消 費 税 法 か ら 生 じ る 法 的 問 題 点 及び第 3 章の国際間の電子商取引が引き起こす税収損失額の推計結果から総合 的に考察し、グローバル経済下での電子商取引の消費課税のあるべき姿を提言 する。 本稿は、以上 4 章から構成されている。 -2- 第1章 グローバル経済下の電子商取引に起因する消費課税の問題 1 . 1 (問 題 の 所 在 消 費 税 が 導 入 さ れ て 20 年 の 間 に 、 社 会 を と り ま く 背 景 は 、 め ま ぐ る し く 変 化 し た 。 そ の 変 化 の 1 つ に 情 報 技 術 ( Information Technology;「 IT」) の 発 達 を 挙 げ る こ と が で き る 。イ ン タ ー ネ ッ ト の 急 速 な 発 達 、普 及 に よ り 、1990 年 代 後半以降、インターネットを通じた電子商取引の増加は、国境を越えたヒト・ モノ・カネ・情報を流動化させ、国内消費者の選択肢の幅を、国内から国外へ と拡大させていった。 また従来、国際的な取引において、物品の比重が大きかったため、サービス 取引に伴う消費税の課税の問題は顕在化してこなかった。しかし、電子商取引 の 発 達 が 、商 取 引 や 流 通 構 造 を 変 化 さ せ 、国 際 間 の 役 務 提 供 が 増 加 し た 。 「国際 間の役務提供」において、国際取引に係る課税の仕組みが適切に機能せず、現 行 規 定 が 形 骸 化 し つ つ あ る 3。 消費税は、商取引と密接な関係を有する税目であるため、特に国境を越える 取引では、二重課税、或いは二重免除による税収漏れの問題が生じやすい状況 となっている。そのため、国際的に整合のとれた効率的で、中立な課税のあり 方が求められている。これらの問題を考える上で、本章では、国際間の電子商 取引の発達が、わが国の消費課税において、どのような影響を及ぼしているの か、また現行の消費税法やその関連規定がどのような点で問題があるのか論点 整理を行う。 1. 2 電子商取引の定義 電 子 商 取 引 ( EC: Electronic Commerce) に 関 し て 、 官 公 庁 の 白 書 を は じ め 、 民間シンクタンクのリサーチペーパーで多種多様の定義がなされており、その 中 で 、1998 年 に 電 子 商 取 引 実 証 推 進 協 議 会( ECOM)が「 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場実態調査 平 成 11 年 度 」で 用 い た「 商 取 引( = 経 済 主 体 間 で の 財 の 商 業 的 移 転 に 関 わ る 、受 発 注 者 間 の 物 品 、サ ー ビ ス 、情 報 、金 銭 の 交 換 )を 、イ ン タ ー ネ ッ ト 技 術 を 利 用 し た 電 子 的 媒 体 を 通 し て 行 う こ と 」と 定 義 さ れ て お り 、 3 水 野 ・ 前 掲 ( 注 2) -3- 本 稿 で は こ の 定 義 に 従 っ て 議 論 を 進 め る 。 な お 、 事 業 者 間 取 引 を 「 BtoB 取 引 」 ( Business to Business 取 引 の 略 。以 下「 BtoB 取 引 」と い う 。)と 呼 び 、他 方 、 事 業 者 ・ 消 費 者 間 取 引 を 「 BtoC 取 引 」( Business to Consumer 取 引 の 略 。 以 下 「 BtoC 取 引 」) と 呼 ぶ 。 本 稿 は 、 完 全 な 消 費 課 税 漏 れ が 指 摘 さ れ て い る 「 BtoC 取引」を考察の対象としている。 受領者 事業者 ( Business) 提供者 消費者 ( Consumer) 1 事業者 ( Business) 2 BtoB 取 引 (例:電子商取引 による仕入れ) 図 1-1 BtoC 取 引 (例:インターネット ショッピング) 電子商取引における取引の種類 ( 注 ) 事 業 者 間 取 引 ( Business to Business 以 下 「 BtoB 取 引 」。) 事 業 者 ・ 消 費 者 間 取 引 ( Business to Consumer 以 下 「 BtoC 取 引 」。) ま た 、藤 田( 2007) 4 よ り 、購 入 契 約 及 び 納 品 を 電 子 上 で 完 結 す る 取 引 を「 直 接的電子商取引」と定義し、購入契約のみ電子的手段により行い、納品につい て郵便小包、宅配便など物理的手段による取引を「間接的電子商取引」と定義 し、取引のタイプごとに区分し、考察の対象を整理した。 1.3 消費課税に係る国境税調整の概略 国境を越えて行なわれる財・サービスの取引は、複数の国の課税権をまたぐ ことで、課税上の問題が生じやすい。そこで、消費課税においては、原則、国 内 法 に お い て 、 取 引 さ れ る 財 産 の 源 泉 地 ( the origin) 又 は 、 財 産 の 使 用 ・ 消 費 地 ( the destination) の い ず れ か に 課 税 管 轄 を 統 一 す る こ と で 、 二 重 課 税 、 或いは、二重免除を防止している。国際間の消費課税に係る調整方法として、 2つの考え方がある。 藤 田 英 理 子 ( 2007)「 米 国 に お け る 電 子 商 取 引 課 税 の 現 状 と 課 税 - 州 際 取 引 に お け る 売 上 税・使 用 税 の 問 題 を 中 心 に - 」 『 税 大 論 叢 』第 55 号 pp169~ pp170 参 照 。 4 -4- (1)仕 向 地 原 則 仕 向 地 原 則 ( destination principle) 5 と は 、 財 産 の 消 費 が 行 わ れ る 場 所 を 課 税管轄地とする原則である。国際間の取引でこの原則を適用した場合は、輸出 国 内 に お い て 前 段 階 ま で に 含 ま れ る 税 額 が 還 付 さ れ(「 国 境 税 調 整( border tax adjustment)」)、 輸 出 時 に 税 関 で ゼ ロ 税 率 6 の 税 調 整 を 行 い 、 輸 入 国 側 で 課 税 を 行 う 。 こ の 仕 向 地 原 則 に 基 づ く 課 税 方 針 を 「 仕 向 地 課 税 主 義 」 と い う 7。 (2)原 産 地 原 則 原 産 地 原 則 ( original principle) と は 、 財 産 の 生 産 さ れ た 場 所 ( 原 産 地 国 ) で課税する原則をいう。従って、輸出する財に課税し、輸入される財には、課 税しない。この原産地原則に基づく課税原則を「原産地課税主義」という。こ の原則を採用した場合、輸出時に国境税調整を必要としないことから、税務執 行の面で簡素となるメリットがある。ところが、原産地原則を採用しているす べての国で、役務の提供に対し、一定の非課税及び仕向地課税の規定が設けら れていることから、現実は複雑な課税状況となっている。 (3)現 行 の 消 費 課 税 の 原 則 ①「財」に係る課税原則 国 境 を 越 え た「 財 」の 取 引 に 対 す る 消 費 課 税 は 、 「 仕 向 地 原 則 」が 適 用 さ れ て いる。 「 仕 向 地 原 則 」が 適 用 さ れ る 理 由 に 、輸 入 し た 消 費 地 国 の 国 内 で 製 造 さ れ た「財」と、外国から輸入した「財」は、ともに消費地国で、消費地国の税率 により課税される。従って、消費地国内での市場競争を歪めず、課税の中立性 が保たれる。 仮に「原産地原則」を適用した場合には、輸出国側で課税され、輸入国では 5 水 野 忠 恒 (1989)『 消 費 税 の 制 度 と 理 論 』 弘 文 堂 pp172~ pp187 に よ る と 、 輸 入 取 引 に 係 る 消 費 課 税 の 仕 向 地 原 則 は 、 ガ ッ ト ( 関 税 及 び 貿 易 に 関 す る 一 般 協 定 : the General Agreement of Tariffs and Trade, GATT) の 定 め る 国 際 的 一 般 原 則 の 考 え 方が拠り所となっている。 6 水 野 ・ 前 掲 ( 注 2) ゼ ロ 税 率 と は 、 「 売 上 げ に 対 し て は 税 率 が 0% で あ り 課 税 さ れ な い が 、仕 入 れ に つ い て は 、前 段 階 に 課 さ れ た 税 額 に つ い て 仕 入 税 額 控 除 が 認 め ら れ る 」 こ と を い う 。( p 684 引 用 )。 7 OECD (2004b)” T H E A PP L I C AT I ON OF C ON S U MP T I ON TAX E S T O T H E T R A DE I N INETRNAT IONAL SERVICES AND INTAGIBLES.pp11-13.” 参 照 。 -5- 課税が行われないため、軽課国又は消費課税のない国から輸入するインセンテ ィブが働く。つまり、消費地国の国内で製造された「財」に課される税率と、 外国から輸入した「財」との間で課される税率の差によって、消費地国内の市 場競争が歪められ、課税の中立性が保たれない。これらの理由を踏まえ、国境 を 越 え る「 財 」に 係 る 消 費 課 税 は 、 「 仕 向 地 原 則 」が 望 ま し く 、現 行 は「 仕 向 地 原 則 」 で 統 一 さ れ て い る 8。 ②「サービス」に係る課税原則 国 境 を 越 え て 提 供 さ れ る「 サ ー ビ ス 」取 引 に 対 す る 消 費 課 税 は 、 「 財 」の 場 合 と異なり、サービスの形態が多様である。そのため、①サービスが「提供され た場所」を課税管轄地とする考え方、②サービスを提供した事業者の事務所等 の所在地を課税管轄地とする「事務所地基準」の2つの考え方がある。 「サービス」に係る国際取引においては、いずれかの原則に統一されている わけではない。各国の国内法で「仕向地原則」を採用する国と、特定のサービ スのみ「原産地原則」を採用する国、又は、この 2 つの原則の混合形態を採用 する国などがある。その上、各国の国内法で多くの例外規定が存在し、国際間 の サ ー ビ ス 取 引 に 対 す る 課 税 の 足 並 み が 揃 わ ず 9 、国 際 間 の「 サ ー ビ ス 」取 引 は 、 二 重 課 税 、 或 い は 、 二 重 免 除 が 生 じ や す い 状 況 と な っ て い る 10。 1 . 4 電 子 商 取 引 に よ る ク ロ ス ボ ー ダ ー 取 引 11と 消 費 税 法 の 問 題 点 (1)「 課 税 の 対 象 」 の 観 点 か ら の 考 察 「 IT」 の 発 達 に 伴 い 、 従 来 、 音 楽 CD、 DVD な ど の 形 態 で 流 通 し て い た 商 品 が 「 無 形 」 の デ ジ タ ル ・ コ ン テ ン ツ (「 デ ジ タ ル 財 」) の ダ ウ ン ロ ー ド へ と 徐 々 に変化してきている。この「商品のソフト化」の流れは、課税上、新たな問題 を 生 じ て い る 。消 費 税 法 の「 課 税 の 対 象 」が 、有 形 の 場 合 は 、 「資産の譲渡又は 8 金 子 宏 ( 2007) 『租税法第 12 版 』 弘 文 堂 p517 参 照 。 OECD・ 前 掲 ( 注 7 ) 13 参 照 。 1 0 山 﨑 昇 ( 2000) 「電子商取引における国際取引課税上の諸問題-外国法人の消費 者 無 形 取 引 の 課 税 問 題 を 中 心 と し て - 」『 税 大 論 叢 』 第 30 号 p50~ 64 参 照 。 11 ク ロ ス ボ ー ダ ー 取 引 と は 、 国 境 を 越 え て お こ な わ れ る 国 際 取 引 の こ と を い う 。 9 -6- 貸 付 け 」と し て 取 り 扱 わ れ る 。こ れ に 対 し て 、 「 ダ ウ ン ロ ー ド 」へ と 取 引 の 中 身 が 変 化 し た 場 合 、「 役 務 の 提 供 」 と な る 。 こ の IT 化 と グ ロ ー バ ル 化 や 規 制 緩 和 とが重なり合い、 「 国 際 間 の 役 務 の 提 供 」が 盛 ん に 行 わ れ る よ う に な っ た 。し か し、現行の消費税法には「役務の提供」を輸入取引として課税する規定が存在 しない。そのため、現行の消費税法では、以下の事例に示す手順に従って、課 税の判定が行われることとなる。 (例)<海外事業者から輸入取引(日本に事務所を有しない場合)> 従 来 : 音 楽 CD 「外国貨物」として課税 電子商取引:音楽ダウンロード 「役務の提供」→事務所等の所在地基準 →国外→不課税 事例の場合、 「 音 楽 CD」は「 外 国 貨 物 」と し て 輸 入 時 に 消 費 税 が 課 税 さ れ る 。 こ れ に 対 し 、海 外 事 業 者 か ら 電 子 商 取 引 に よ る「 音 楽 の ダ ウ ン ロ ー ド 」は 、 「役 務の提供」として取り扱われる。課税の対象が「資産の譲渡」から「役務の提 供 」へ と 変 化 す る こ と で 、 「 当 該 役 務 の 提 供 が 行 わ れ た 場 所 」に よ り 内 外 判 定 が 行 わ れ る( 消 費 税 法 第 4 条 3 項 2 号 )。と こ ろ が 、事 例 で は 、役 務 の 提 供 が 行 わ れ た 場 所 が WEB 上 で 、 明 ら か で な い た め 、 消 費 税 法 施 行 令 第 6 条 2 項 7 号 が 適用され、 「 役 務 の 提 供 に 係 る 事 業 者 の 事 務 所 等 所 在 地 」を 基 準 に 、内 外 判 定 が 行われる。 結 局 、事 例 の 海 外 事 業 者 が 国 内 に 事 務 所 を 有 し な い 限 り 、 「 国 外 取 引 」と 判 定 され、課税の対象の4つの課税要件である「国内取引」の要件を充たさない。 このように、日本に事務所等を有しない海外事業者からインターネットを通じ て な さ れ る 「 音 楽 の ダ ウ ン ロ ー ド 」 は 、「 不 課 税 取 引 」 と 判 定 さ れ る 。 「 音 楽 CD」 と 「 音 楽 の ダ ウ ン ロ ー ド 」 は 、 い ず れ も ほ ぼ 同 質 の 経 済 的 な 効 果 が 得 ら れ る 。と こ ろ が 、現 行 法 上 、 「 音 楽 CD」を 購 入 し た 者 は 消 費 税 が 課 さ れ 、 インターネットを通じて「音楽のダウンロード」を行った者は、課税を免れる のである。これは課税の中立性の面で問題があるといえよう。さらに、取引相 手 国 が 仕 向 地 原 則 を 採 用 し て い る 場 合 に は 、 図 1- 2 に 示 す 二 重 免 除 が 発 生 す る。このように、課税取引でありながら、どちらの国からも課税がなされない 「課税の真空地帯」が生じている。 -7- (輸 出 国 側 ) : 世 界 の 共 通 ル ー ル で 免 税 ( 仕 向 地 原 則 に 基 づ く ) 関税線 デジタル財 「二重免除」発生 (日 本 ) : 現 行 消 費 税 法 ・・・ 不 課 税 取 引 図 1- 2 国際間の電子商取引における「課税の真空地帯」 そ れ で は 、現 行 の 消 費 税 法 上 、電 子 商 取 引 に よ る 国 際 間 の「 役 務 の 提 供 」は 、 課税にどのような違いを生ずるのか事例を使って確認する。事例では、事業者 の課税期間に係る基準期間における課税売上高が 1 千万円超である者(課税事 業者)と設定し、論を進めることとする。 (事例)<外国人歌手が日本でコンサートを行う場合(役務の提供)> 従 来:外国人歌手が日本に入国し、コンサートをしてもらう。 役務の提供が行われた場所= 役務の提供を享受する場所(場所一致) 「国内取引」 電子商取引:インターネット上で動画を配信し、パソコンで視聴する。 役務の提供が行われた場所≠ 役務の提供を享受する場所(場所不一致) 「不課税取引」 従来の国際間の「役務の提供」は、事業者が消費者の所在地に赴いて、役務 の 提 供 を し て い た 。 従 っ て 、「 役 務 の 提 供 が 行 わ れ た 場 所 」 は 、「 役 務 の 提 供 を 享 受 す る 場 所 」と 一 致 す る 。役 務 の 提 供 の 授 受 が 同 じ 場 所 で な さ れ て い る 限 り 、 現行の消費税法の「国内取引」の課税規定で十分対応することができる。現行 法上、基準期間における課税売上高が 1 千万円を超える者は、外国人事業 者で あっても課税事業者となり、わが国での消費税の納税義務が発生する。この点 において、最近、話題になった事例がある。総合格闘家のミルコ・クロコップ 選 手 ほ か 4 人 の 外 国 事 業 者 が 、日 本 で 行 わ れ る 格 闘 技 の イ ベ ン ト に 3 年 連 続 で 出場していた。税務当局は、5 人の外国人選手のファイトマネーの金額及び試 -8- 合 出 場 ( 役 務 の 提 供 ) を 、 マ ス コ ミ の 報 道 を 通 じ て 把 握 し 1 2 、 2004 年 か ら の 3 年間にわたるファイト・マネーの消費税の申告を怠ったとして、約 2 千万円以 上 の 追 徴 課 税 を 行 っ た 1 3 。つ ま り 、外 国 人 で あ っ て も 、 「役務提供を行った場所」 と「 役 務 の 提 供 を 享 受 し た 場 所 」が 一 致 し て い れ ば 、 「 国 内 取 引 」の 納 税 義 務 者 と な り 、従 来 型 の「 役 務 の 提 供 」に つ い て は 、 「 役 務 の 提 供 地 」が 内 外 判 定 の 基 準として有効に機能することを示す事例である。 ところが、電子商取引に見られる国境を越えた遠隔地間の「役務提供」は、 役務の提供者と提供を受けた者がそれぞれ別の国に所在しながら、役務提供が な さ れ る た め 、「 役 務 の 提 供 地 」 が 、 内 外 判 定 の 基 準 と し て 有 効 に 機 能 し な い 。 そ の 結 果 、「 不 課 税 取 引 」 と な る 。 従 来 か ら 、 外 国 の 弁 護 士 に 電 話 や FAX に よ る法律相談などの「国際間の役務提供」が行われていたが、ごくわずかな取引 件 数 と 推 測 さ れ る 。し か し 、上 記 事 例 の 音 楽 の ダ ウ ン ロ ー ド な ど の 取 引 が 、年 々 、 増加傾向にある。 現 行 の 消 費 税 法 で は 、 国 内 に お い て 「 音 楽 CD」 を 購 入 し た 場 合 、 消 費 税 が 課 税 さ れ 、イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 海 外 事 業 者 か ら 音 楽 を ダ ウ ン ロ ー ド す る「 役 務 の 提 供 」( 行 為 ) に 形 を 変 え る と 、 消 費 税 の 課 税 を 免 れ る 。 つ ま り 、「 役 務 の 提供を行った事業者の所在地」と「役務の提供を受けた消費者の所在地」が不 一 致 の 場 合 、「 事 業 者 の 事 務 所 等 の 所 在 地 基 準 」 に よ り 、「 国 外 取 引 」 と 判 定 さ れ る 点 に 原 因 が あ る と 分 析 さ れ る 。 国 際 間 の 役 務 提 供 に 関 し て は 、「 外 国 貨 物 」 12 2004 年 4 月 に 消 費 税 を 免 除 さ れ る 事 業 者 の 課 税 期 間 に お け る 課 税 売 上 高 が 3 千 万 円 か ら 1 千 万 円 に 引 き 下 げ ら れ 、申 告・納 税 義 務 者 が 一 気 に 拡 大 し た 。来 日 す る プ ロ 選 手 や 芸 能 人 ら も 年 々 増 え て お り 、プ ロ ゴ ル フ ァ ー や 競 馬 の 騎 手 ら 外 国 人 ス ポ ーツ選手らによる申告漏れが相次いでいる。 13 一時的な来日で日本に居住していないプロスポーツ選手は、日本国内で生じた 所 得 に は 所 得 税 が 課 せ ら れ 、大 会 主 催 者 な ど が 源 泉 徴 収 し て 納 税 し て い る 。し か し 消 費 税 に つ い て は 、基 準 期 間 の 課 税 売 上 高( 獲 得 賞 金 な ど の 収 入 )が 1 千 万 円 超 の 場合、「事業者」として消費税の申告・納税の義務が発生する。 -9- と同様に、輸入取引の「電子貨物」として、課税する規定を設け、併せて電子 税関の整備を議論されるべきであろう。 -10- 1.5「輸徴法」による外国貨物に係る少額貨物免税制度の問題点 電子商取引により海外事業者への発注がスムースにおこなうことが可能とな り、税関では、小口の国際郵便などの輸入貨物が、年々増大する傾向にある。 税 関 に お け る 輸 入 貨 物 に 係 る 消 費 税 等 の 内 国 消 費 税 1 4 の 税 関 収 納 額 は 約 4.3 兆 円( 平 成 16 年 度 )で あ る 。国 税 収 入 全 体 の 約 1 割 に 相 当 し 、税 関 は 徴 収 機 関 と し て 重 要 な 役 割 を 果 た し て い る 15。 財 務 省 公 表 の 報 告 書 1 6 の 中 の 「 税 関 収 納 額 の 推 移 」( 1995 年 ~ 2004 年 ) の 資 料 よ り 、1995 年 ~ 2004 年 に 税 関 で 収 納 さ れ た 消 費 税 収 額 を 拾 い 上 げ 、わ が 国 の 消 費 税 収 に 占 め る 割 合 を 図 1- 3 に 示 し た 。 (億円) 140,000 126,248 129,264 123,503 122,415 122,360 125,882 121,063 120,000 101,116 100,000 80,000 60,000 60,536 63,292 40,000 20,000 (16.9%) (19.2%) (19.9%) (14.6%) (14.4%) (17.5%) (17.7%) (18.0%) (19.0%) (20.0%) 0 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 (年度) ①消費税額(国税+地方税) ②税関収納消費税 図 1- 3 わが国の消費税収入額と税関収納消費税額の推移 出 所 )「 関 税 法 研 究 会 と り ま と め 」( 2006) pp89、 『 平 成 19 年 度 地 方 税 に 関 す る 参 考 計 数 資 料 』 pp31~ pp33、 『 図 説 日 本 の 税 制 平 成 19 年 度 版 』 の 統 計 数 値 よ り 作 成 。 14 内 国 消 費 税 と は 、消 費 税( 地 方 消 費 税 を 含 む )、酒 税 、た ば こ 税 、揮 発 油 税 、地 方道路税、石油ガス税及び石油税の総省という。 1 5 財 務 省 ( 2006) 「 関 税 法 研 究 会 と り ま と め 」 p13~ p14 参 照 。 1 6 財 務 省 ・ 前 掲 ( 注 15) p89 参 照 。 -11- 1995 年 よ り 毎 年 、税 関 で の 消 費 税 の 徴 収 額 が 増 え て お り 、図 2- 3 よ り 、2004 年 度 に お い て は 、消 費 税 収 額 全 体 の 20.0% 、つ ま り 、税 関 に お い て 消 費 税 収 全 体の約 5 分の1を徴収していることが確認できる。このことから、輸入取引の 増加を読み取ることができよう。 し か し な が ら 、 現 在 、 輸 徴 法 第 13 条 1 項 に よ り 、 課 税 価 格 ( CIF 価 格 ) 1 7 の 合 計 額 が 1 万 円 以 下 の 少 額 貨 物 は 、原 則 、関 税 及 び 消 費 税 が 免 除 さ れ て い る 1 8 。 1989 年 に 消 費 税 の 導 入 に 伴 い 、こ の 免 税 制 度 は 創 設 さ れ た 1 9 。1989 年 当 時 、 日 本 の 消 費 者 の 電 子 商 取 引 利 用 率 は 、ほ ぼ 皆 無 の 状 態 で あ っ た 。し か し 、IT の 普 及と発達により、電子商取引の利用率は、年々増加傾向にある。近年、海外事 業 者 か ら 輸 入 す る 個 人 消 費 者 の 取 引 数 が 増 加 し 、輸 徴 法 13 条 1 項 の 免 税 制 度 の 適用を受ける取引数が増加すればするほど、国内で同じ商品を購入した場合と の 消 費 課 税 の 均 衡 が 保 た れ な く な る 。従 っ て 、 「 仕 向 地 原 則 」と 輸 徴 法 の「 少 額 貨 物 免 税 制 度 」に よ り 、 「 二 重 免 除 」を 生 じ 、現 行 法 が 課 税 の 中 立 を 歪 め て い る 。 (輸 出 国 側 ) : 世 界 の 共 通 ル ー ル で (免 税 ( 仕 向 地 原 則 に 基 づ く ) 関税線 少 額 貨 物( 財 ) 「二重免除」発生 (日 本 ) : 輸 徴 法 第 13 条 1 項 ・・・ (免 税 制 度 ) 図 1- 4 17 18 19 国 際 間 の 電 子 商 取 引 の 発 注 に よ る「 課 税 価 格 の 合 計 額 が 1 万 円 以 下 の 少額貨物」に係る課税 CIF 価 格 と は 、 Cost( 貨 物 の 価 格 )、 Insurance( 海 上 保 険 料 )、 Freight( 国 際 輸送料)の合計額をいう。 本邦の産業に影響を与える物品については政令で適用除外としている。 (関税法 施 行 令 第 16 条 の 3) 財 務 省 ・ 前 掲 ( 注 15) p40 参 照 。 -12- エ グ レ ( 1985) は 、「 財 貨 及 び 役 務 に 対 す る 一 般 的 な 租 税 で あ っ て 、 最 終 消 費者の段階で国内産と輸入品との間の課税の公平、ならびに、生産過程および 流通過程の長さまたは使用された手段の性質の如何にかかわらず、課税の公平 を 確 保 す る も の で あ る 。」 と 述 べ て い る 。 ま た 、 金 子 ( 2007) に お い て も 、「 公 平 な い し 中 立 性 の 原 則 は 、 憲 法 14 条 1 項 に 由 来 し ・・・( 中 略 ) ・・・課 税 の う え で、同様の状況にあるものは同様に、異なる状況にあるものは状況に応じて異 な っ て 取 扱 わ れ る べ き こ と を 要 求 す る 。」 と 述 べ て い る 2 0 。 従って、消費税の課税においては、国内製品であれ、輸入品であれ、生産過 程の長さや流通過程、そして従来からの伝統的な商取引であれ、電子商取引に 関わらず、中立な課税でなければならない。 な お 、図 1- 5 は 、本 稿 に お い て 国 際 間 の 電 子 商 取 引 に 係 る 課 税 上 問 題 点 と し て扱う取引と課税ベースとの関連を整理したものである。 不課税取引 ①(デジタル財) 不 課 税 取 引 非 課 税 取 引 非 課 税 取 引 ② 少 額 貨 物 免 税 取 引( 輸 徴 法 ) 課 税 の 対 象 課 税 の 対 象 国内取引 図 1- 5 輸入取引 日本の消費税の課税対象の範囲 (注)現行法上、課税ベースとなっている範囲は、白色で表示し、課税されて いない範囲は、グレーの網掛で表示した。 20 金 子 ・ 前 掲 ( 注 8) p75 参 照 。 -13- ( 1) 電 子 商 取 引 に よ り 発 注 し 輸 入 時 に お け る 消 費 課 税 の 実 態 国 際 的 な 輸 入 取 引 の 増 加 の 背 景 に 、 国 際 物 流 の 増 大 ・ 高 度 化 21だ け で な く 、 電 子 商 取 引 の 急 速 な 発 展 も 要 因 の ひ と つ と 考 え ら れ る 。1980 年 代 以 前 は 、個 人 が、海外事業者から商品を購入する場合、雑誌やカタログによる通信販売が主 流 で 、個 人 の 直 接 取 引 は 、限 定 的 な 規 模 に 留 ま っ て い た 。し か し 、1990 年 代 以 降、世界規模で電子商取引が活発化したことに伴い、国内の消費者の小口輸入 取 引 が 増 加 し た 。と こ ろ が 、こ の よ う な 輸 入 取 引 の 増 大 に 反 し 、 「少額貨物免税」 と い う 制 度 が あ る 。こ の 制 度 は 、 「 課 税 価 格 の 合 計 額 22が 1 万 円 以 下 の 少 額 貨 物 に つ い て は 、関 税 定 率 法 第 14 条 18 号 及 び 輸 入 品 に 対 す る 内 国 消 費 税 の 徴 収 等 に 関 す る 法 律 第 13 条 1 号 に よ り 、 原 則 と し て 、 関 税 及 び 消 費 税 を 免 除 す る 制 度 」 で あ る 23。 こ の た め 、 海 外 か ら の 小 口 商 品 の 引 渡 し は 、 課 税 対 象 取 引 で あ っ て も 、関 税 な ど の 税 金 の 金 額 が 1 万 円 以 下 で あ る た め 税 が 課 さ れ な い 商 品 が 存 在 す る 24。 毎 年 、 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 の 拡 大 す る 中 で 、 外 国 事 業 者 か ら 日 本国内の購入者へ向けた少額貨物が増加すればするほど、消費税の課税の中立 性 を 歪 め る 。こ の 少 額 貨 物 免 税 取 引 に お い て 、国 内 の 個 人 消 費 者 及 び 事 業 者 は 、 消費税の納税義務者となる。国内の事業者が購入者の場合は、外国からの仕入 れであり、国内取引の販売時に、課税のメカニズムが回復するため、課税上、 問題を生じない。ところが、国内消費者が購入者の場合には、最終消費に該当 す る た め 、課 税 の メ カ ニ ズ ム が 止 ま り 、完 全 な 課 税 漏 れ が 生 じ る 。従 っ て 、 「財」 の 輸 入 取 引 に お い て も 、「 BtoC 取 引 」 の 場 合 に は 、 消 費 税 の 税 収 漏 れ が 生 じ て おり、海外にいる納税義務者である事業者からどのようにして、わが国の消費 税収を徴収するかが課題となる。 現在、国外から消費者が輸入取引を行う場合の税関手続きは、輸送方法によ り 、① 国 際 宅 配 便 、② 郵 便 小 包 、③ 一 般 貨 物 の 3 つ の 税 関 の 手 続 に 区 分 さ れ る 。 15) p22 参 照 。 基本的には、課税価格は、商品価格、保険料、送料等の合計金額として課税さ れ る が 、「 郵 便 小 包 」 で 送 ら れ て く る も の に は 、 輸 入 者 の 個 人 使 用 目 的 で あ る も の に 限 り 、個 人 用 品 特 例 で 、課 税 価 格 は 実 際 の 価 格 よ り 卸 売 価 格 程 度( イ ン ボ イ ス 記 載 価 格 の 60% ) に 設 定 さ れ る 。 2 3 財 務 省 ・ 前 掲 ( 注 15) p40 参 照 。 24 但 し 、 本 邦 の 産 業 に 影 響 を 与 え る 物 品 に つ い て は 、 政 令 で 適 用 除 外 と さ れ る 。 ( 関 税 法 施 行 令 第 16 条 3)。 21財 務 省 ・ 前 掲 ( 注 22 -14- ① 国際宅配便に係る関税手続き 国際宅配便を利用した場合における通関手続きは、通関業者が代行し、関税 などの税金を立て替え払いした上で、個人へ配達する。通関業者が、立て替え 払いした消費税は、後日、個人が現金又は銀行振込みにより完了する。 ②郵便小包に係る関税手続き ( ア ) 無 税 ・ 免 税 品 の 場 合 ・・・最 寄 り の 郵 便 事 業 株 式 会 社 か ら 名 宛 人 へ 直接配達する。 (イ)課税品の場合 ・購 入 す る 財 の 課 税 価 格 が 1 万 円 以 下 の「 郵 便 小 包 」の 場 合 は 、受 取 人( 個 人 ) へ 郵 便 局 か ら 直 接 配 達 さ れ る 。 こ の 場 合 、 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 少 額 貨 物 免 税 制 度 に よ り 、免 税 さ れ る ( 。本稿の推計の対象部分に該当する) ・税金の合計額が 1 万円以下の「郵便小包」の場合は、税関外郵出張所か ら 名 宛 人 に 対 し「 国 際 郵 便 物 課 税 通 知 書( 以 下「 課 税 通 知 書 」)と 郵 便 小 包が直接配送される。配達時に税金の納付を郵便事業株式会社に委託す れば受取ることができる。 ・税 金 の 合 計 額 が 1 万 円 を 超 え 20 万 円 以 下 2 5 の「 郵 便 小 包 」の 場 合 は 、郵 便小包の到着と税額等の連絡がある。郵便小包は、連絡された税金がす ぐに支払いが可能な場合は、配達時に税金の納付を郵便事業株式会社に 委託すれば受取が可能となる。税金の納付がすぐにできないときは、郵 便事業株式会社から課税通知書が送付され、当該通知書を持参の上、指 定された郵便局で納付書の交付を受け、銀行又は郵貯銀行の窓口にて税 金を納付し、郵便小包を受取る。 ・ 税 金 の 合 計 額 が 20 万 円 を 超 え る 「 郵 便 小 包 」 の 場 合 に は 、 課 税 通 知 書 の み が 送 付 さ れ 、上 記 1 万 円 ~ 20 万 円 以 下 の 場 合 と 同 様 の 手 続 き を 経 て 、 郵便小包を受取ることができる。 輸 入 郵 便 物 に お け る 課 税 価 格 20 万 円 を 超 え る 郵 便 物 の 割 合 は 、輸 入 郵 便 物 件 数 の 約 0.06% ( 2007 年 現 在 ) と な っ て お り 、 平 成 21 年 2 月 16 日 か ら 30 万 円 か ら 20 万 円 へ と 税 関 へ の 輸 出 入 申 告 の 免 除 の 枠 が 縮 小 さ れ た 。 ( 税 関 http://www.customs.go.jp/参 照 ) 25 -15- ・ 「 外 国 か ら 到 着 し た 郵 便 物 の 税 関 の 手 続 き の お 知 ら せ 」と い う 葉 書 が 届 い た場合には、当該葉書を税関外郵出張所宛に郵送又は持参か電話により 連絡を行う。税関で書類と商品を照合し、価格を確認し、問題が無い場 合は、上記と同様の方法で郵便小包を受取ることができる。 ③一般貨物に係る関税手続き 航 空 会 社 又 は 船 会 社 か ら 商 品 の 受 取 人 に 通 知 さ れ 、通 知 を 受 け た ら 、 「仕入書 ( イ ン ボ イ ス )」、 「 運 賃 明 細 書 」な ど 輸 入 通 関 手 続 に 必 要 な 書 類 を 揃 え て 、通 関 を依頼する又は、受取人自身で貨物が保管されている倉庫を管轄する税関に出 向き「輸入(納税)申告書」に「インボイス」及び「運賃明細書」を添付し、 通関手続を行う。 これら3つの輸入方法に対し、効率的で実効性の高い消費課税を行うことが 課題となる。この課題については、次に述べる「マルチペイメントネットワー ク」を活用することで課題をクリアしていくことが可能と考える。 (2)税 関 ・ 消 費 税 等 の 納 付 に 係 る 「 マ ル チ ペ イ メ ン ト ネ ッ ト ワ ー ク 」 2 6 「 e-Japan 重 点 計 画 」 等 に 基 づ き 、 2003 年 度 ま で に イ ン タ ー ネ ッ ト 等 を 利 用 し た国税等の電子納付を可能にするシステムの整備・構築が進められた。既存の 各 税 関 で 稼 働 し て い る 航 空 貨 物 通 関 情 報 処 理 シ ス テ ム ( Air-NACCS)、 海 上 貨 物 通 関 情 報 処 理 シ ス テ ム( Sea-NACCS)、税 関 手 続 き 申 請 シ ス テ ム( CuPES)及 び 外 郵 入 事 務 電 算 処 理 シ ス テ ム ( COMTIS) に 、 納 付 情 報 の 作 成 ・ 管 理 の 機 能 を 追 加 し 、通 信 サ ー バ ー を 介 し て 、 「 マ ル チ ペ イ メ ン ト ネ ッ ト ワ ー ク 」で 官 公 庁 等 の 収 納機関と金融機関間とを結び、収納システムに接続する。これにより、関税・ 消費税等の輸入申告等が可能となり、電子納付時に金融機関から収納機関へ納 付情報が通知される仕組みとなっている。この電子納付システムの構築は、日 本銀行、官公庁及び金融機関等が参加している「日本マルチペインメントネッ ト ワ ー ク 推 進 協 議 会 」 に よ り 仕 様 の 検 討 が 行 わ れ た 。 2004 年 3 月 22 日 よ り 、 当システムの運用が開始されたが、現時点での利用率は限定的となっている。 26 関税・消費税等の納付に係るマルチペイメントネットワーク対応について ( http://www.customs.go.jp/tetsuzuki/mpn/mpn_gaiyou.htm) 参 照 。 -16- 1.6 税務行政上の困難について 電子商取引による国際間の「役務の提供」が増加する中で、税関は「外国貨 物 」の み を 税 務 執 行 し て お り 、課 税 技 術 の 限 界 に 直 面 し て い る 。本 来 、課 税 は 、 経済取引の実態を税務当局が正確に把握することにより、適切に行われる。と ころが、電子商取引の場合、商取引を行う者の氏名、企業名、住所などの情報 が正確であるとは限らず、誰がどこでどのような取引をしたか取引の実態把握 が困難となっている。また、インターネットを通じて、売り手と買い手が直接 やりとりするため、中間事業者を省いた新しい流通経路が確立した。税務当局 は 、従 来 、流 通 経 路 の 複 数 の 中 間 業 者 を 通 じ て 実 態 を 把 握 す る こ と が で き た が 、 電子商取引の発達で、税務調査の機会が減少している。加えて、電子上の取引 記録の改ざんや抹消が容易に行うことができるため、取引記録の検証がより一 層 難 し く な っ て い る 。 辻 ( 2002) は 、 電 子 商 取 引 に 関 し て 、 「 こ れ ま で 課 税 当 局が依存してきた税務調査技術、情報申告制度、源泉徴収制度などを根底から 覆 す も の に な り か ね な い 。 」 27と 警 鐘 を な ら し て い る 。 (1)国 税 庁 の 対 応 国 税 庁 は 、電 子 商 取 引 の 増 加 に 対 応 す べ く 、2000 年 、東 京 と 大 阪 の 国 税 局 内 に「 電 子 商 取 引 」の 税 務 調 査 を 専 門 に お こ な う チ ー ム( PROTECT:Professional Team for E-Commerce Taxation) を 立 ち 上 げ た 2 8 。 2007 年 現 在 、 全 国 11 の 国 税 局と沖縄国税事務所に、電子商取引の専門チームが設置され、管内の税務担当 職 員 と 連 携 し 調 査 が 行 わ れ て い る 。大 阪 国 税 局 の 専 門 チ ー ム は 、2003 年 ~ 2006 年 末 ま で の 3 年 半 で 、 約 1,100 件 、 約 126 億 円 の 「 電 子 商 取 引 」 に よ る 所 得 の 申 告 漏 れ を 摘 発 し て い る 2 9 。昨 今 、電 子 商 取 引 の 課 税 申 告 漏 れ が 目 立 っ て お り 、 国税庁が本腰を入れて対応している。「電子商取引」は、第三者から取引の把 握を困難にし、税務行政に支障をきたすだけでなく、わが国の所得税だけでな く 、 消 費 税 に つ い て も 減 収 さ せ て い る の で あ る 30。 富 久 ( 2002)『 電 子 商 取 引 に 伴 う 課 税 ベ ー ス の 浸 食 ( 上 )』 税 経 通 信 57 巻 5 号参照。 28 国 税 庁 ・ 第 2 回 国 税 審 議 会 説明資料参照。 2 9 2007 年 3 月 10 日 朝日新聞 朝刊 参照。 3 0 電 子 商 取 引 に よ る 取 引 形 態 の 変 化 は 、所 得 税 だ け で な く 消 費 税 の 課 税 に つ い て も 困難している。 27辻 -17- (2)政 府 税 制 調 査 会 の 議 論 政府税制調査会は、「経済取引に対して適切に課税していくためには、誰が いつどこで、どのような取引をどれだけおこなったかといった取引の実態を税 務 当 局 が 正 確 に 把 握 し 得 る 仕 組 み が 必 要 で あ り 、・・・( 中 略 )・・・電 子 商 取 引 は 、 インターネットの持つ匿名性に関し、税制及び執行の両面で新たな問題を投げ かけている」さらに、「この問題への対応は、クロスボーダーにおいてより困 難 な 問 題 が 生 じ る 」 と 指 摘 し て い る 31。 こ の 政 府 税 制 調 査 会 の 指 摘 を 踏 ま え 、 本稿では、クロスボーダーによる電子商取引が引き起こす消費課税への影響を 検討するものである。 こ の 課 税 上 の 問 題 点 に つ い て 、次 の 第 2 章 で は 、先 行 事 例 で あ る EU を 中 心 に 、 国際間の役務提供の消費課税に係る内外判定の基準が「 、事業者の事務所等の所 在地基準」から「顧客の所在地基準」へ変更して、国内取引に取り込む方法な ど海外の先行事例及び解決アプローチについて、見ていくこととする。 31 政 府 税 制 調 査 会 ( 2000 年 7 月 )「 政 府 税 制 調 査 会 中 期 答 申 」 pp367~ pp368。 -18- 第2章 国際間の電子商取引に係る消費課税の先行事例 2 . 1 EU に お け る 動 向 (1)背 景 ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 は 、 1993 年 に 、 政 治 ・ 経 済 が 統 合 さ れ 「 EU」 と し て 、 単 一 市 場 が 誕 生 し た 。こ の 単 一 市 場 の 誕 生 に よ り 、EU 域 内 の 国 境 管 理 が 廃 止 さ れ 、通 関等の面で、単一国家と同様の状況となった。しかし、市場統合後も各加盟国 は、独自の付加価値税制度を保有し続けている。 市 場 統 合 に よ る 通 関 の 廃 止 に よ り 、 1987 年 の EU 委 員 会 に お い て 、 ① EU 域 内 の VAT の 税 率 を ハ ー モ ナ イ ズ さ せ る 、② EU 域 内 の 取 引 に 係 る 納 税 者 の 納 税 手 続 の 簡 素 化 す る た め に 原 産 地 課 税 主 義 に 基 づ き 、各 国 で 徴 収 し た 付 加 価 値 税 額( 以 下 「 VAT」 と い う 。) を 消 費 額 に よ り 、 税 収 配 分 を 行 う 「 ク リ ア リ ン グ ハ ウ ス 」 をパッケージとした案が提案された。しかし、実際の消費量を正確に反映した 税収配分を行う十分な仕組みの構築において、各加盟国の利害が対立し、提案 は 、 現 在 も 棚 ざ ら し の 状 態 と な っ て い る 32。 EU と し て 経 済 統 合 に 対 応 す べ く 、 1991 年 12 月 に 、 第 6 次 指 令 の 暫 定 措 置 と して「財の域内取引については、仕向地原則に基づき、国境税調整を行った上 で 、輸 入 国 の 税 率 が 課 せ ら れ る 」こ と が 採 択 さ れ た 。こ の 採 択 以 降 、EU 域 内 の 「財」の取引は、税関の代わりに税務署による「暫定的付加価値制度 ( Transitional VAT System)」 に 基 づ い た 国 境 税 調 整 を 図 る シ ス テ ム が 、 継 続 運 用 さ れ て い る 33。 (2)「 財 」 の 国 際 取 引 に 係 る 課 税 の 取 扱 い 上 記 (1) で 述 べ た 「 暫 定 的 付 加 価 値 制 度 ( Transitional VAT System )」 に 示 す と お り 、EU 域 内 の 財 の 国 際 取 引 に 対 す る VAT の 課 税 は 、そ の 消 費 地 国 で 課 税 を行い、原産地では非課税とする仕向地課税主義が採用されている。従って、 輸 出 国 側 は 、 輸 出 物 品 に 対 し 、 VAT を 課 税 せ ず 、 輸 出 免 税 に よ り 、 輸 出 物 品 に 森 信 茂 樹 ( 2000)「 国 際 的 電 子 商 取 引 と 消 費 課 税 」『 国 際 税 制 研 究 』 No.5p105 参照。 3 3 Council Directive 2006/112/EC of 28 November 2006 on the common system of value added tax, Article43. 32 -19- 係 る 前 段 階 ま で に 含 ま れ る 仕 入 に 係 る VAT が 還 付 さ れ 、輸 出 時 に「 国 境 税 調 整 」 を行っている。 この課税方式の下では、国内製造された物品と、輸入された物品は、共に輸 入 国 の 税 率 で 課 税 さ れ る 。ま た 、EU 型 付 加 価 値 税 の 特 徴 で あ る「 仕 入 仕 送 状( イ ン ボ イ ス )」 に よ る 仕 入 税 額 控 除 は 、「 国 境 税 調 整 」 を 正 確 に 行 う こ と が で き 、 課税の中立性が確保されるため、特に国境を越える取引の課税に適している。 EU 域 内 の 加 盟 国 間 の 「 財 」 の BtoB 取 引 に つ い て は 、 EU の 統 合 に よ り 、 か つ て「輸出」として取り扱っていた取引を「域内供給」とし、また「輸入」とし て 取 り 扱 っ て い た 取 引 を「 域 内 取 得 」と 取 り 扱 う 。そ の た め 、 「 域 内 供 給 」は 免 税の取扱いとなり、 「 域 内 取 得 」は 、仕 向 地 課 税 主 義 に 基 づ き 、消 費 地 で 課 税 す る こ と と な っ た 。こ れ に 対 し 、BtoC 取 引 は 、原 則 、原 産 地 課 税 主 義 が 採 用 さ れ る。その理由は、付加価値税の間接税という構造上、原産地で先に事業者に課 税することにより、課税の実効性を確保している。但し、特定の分野について は、政策上、仕向地課税主義が採られている。 (3)「 役 務 の 提 供 」 の 国 際 取 引 に 係 る 課 税 の 取 扱 い 「 サ ー ビ ス の 提 供 」は 、 「 当 該 サ ー ビ ス の 提 供 地 」を 管 轄 す る 国 に よ っ て 課 税 さ れ る 。 か つ て の EEC の 第 2 次 指 令 3 4 に お い て 、 原 則 、 提 供 さ れ る サ ー ビ ス 、 移 転又は付与される権利又は貸付けられた目的物が利用又は享受される場所 ( used or enjoyed) を サ ー ビ ス の 提 供 地 と し て い た ( 第 2 次 指 令 第 6 条 第 3 項 )。こ れ を「 提 供 地 基 準 」と い う 。と こ ろ が 、サ ー ビ ス 取 引 を 巡 る 近 年 の 状 況 を 踏 ま え 、 第 6 次 指 令 3 5 に お い て 、「 提 供 地 基 準 」 の 提 供 地 を 「 サ ー ビ ス の 提 供 者の所在地」へと改正された。 Second Council Directive of 11 April 1967 on the laws of the Member States relating to turnover taxes. 3 5 Sixth Council Directive 77/388/EEC of May 1977 on the harmonization of the laws of the Member States relating to turnover taxes-Common system of value added tax: uniform basis of assessment. 34 -20- ① 第 6 次 指 令 第 9 条 第 1 項 :( 原 則 ) サ ー ビ ス が 提 供 さ れ る 場 所 の 判 定 基 準 と し て 、 原 則 、 (ⅰ )サ ー ビ ス の 提 供 者 に よ る 事 業 設 立 地 、 又 は ( ⅱ ) サ ー ビ ス を 提 供 し た 固 定 的 施 設 ( fixed establishment)の 所 在 地 で あ り 、こ れ が な い 場 合 に は 、そ の 提 供 者 の 住 所 又 は 居 住 地 と な る 。従 っ て 、サ ー ビ ス の 提 供 地 の 基 準 が 適 用 で き な い 場 合 は 、 「提供 者の所在地基準」 (「 提 供 者 基 準 」)と な る 。こ の 判 定 基 準 の 適 用 に つ い て 、藤 本 ( 2005) 3 6 は 、 「一国内にサービスを提供する者と享受する者が所在する場合に は、サービスの消費地と提供地は、一致する。消費課税は、サービスが実際に 使用又は享受された場所で課税することが、 「 消 費 の 概 念 」に 馴 染 む と 考 え ら れ るが、サービスが実際に使用又は享受された場所を決定することは、事実上、 困難である」と述べている。また、かつて採用されていた「提供地基準」は、 各国の国内法制化する過程において、解釈の余地が大きく、サービスの提供に 関する判定基準が不統一となり、二重課税、或いは、二重免除の問題が指摘さ れ て い る 事 を EU が 踏 ま え た 結 果 と い え よ う 3 7 。 ② 第 6 次 指 令 第 9 条 第 2 項 :( 例 外 ) EU 域 内 の 他 の 国 の 事 業 者 又 は 、EU 域 外 の 事 業 者 か ら 提 供 さ れ る 特 定 の サ ー ビ ス が BtoB 間 で な さ れ た 場 合 、 EU 域 内 の 提 供 を 受 け る 事 業 者 の 事 務 所 等 所 在 地 を「 提 供 地 」と す る 。ま た 、サ ー ビ ス の 提 供 を 受 け る 者 が 事 業 者 で あ り 、か つ 、 一定の「純粋サービス」である場合は、役務提供を受けた事業者の事務所地を 「 提 供 地 」と み な す 。こ の よ う な 判 定 基 準 を 設 け た 理 由 に は 、IT の 発 達 と 、グ ロ ー バ ル 化 、規 制 緩 和 の 社 会 背 景 が 重 な り 合 う こ と に よ り 、 「 役 務 の 提 供 」の 提 供のあり方に変化を生じ始めたからである。 表 2- 1 に 示 す 一 定 の「 役 務 の 提 供 」は 、第 6 次 指 令 第 9 条 第 2 項 で 、そ れ ぞ れサービスの「提供地」が定められている。 36 藤 本 哲 也「 サ ー ビ ス の 国 際 取 引 に 対 す る EU 型 付 加 価 値 税 の 課 税 を 巡 る 諸 問 題 に つ い て 」 中 央 ・ ロ ー ・ ジ ャ ー ナ ル ( 2005) p 30 参 照 。 3 7 水 野 忠 恒( 1990) 『 サ ー ビ ス 貿 易 と 課 税 問 題 : 消 費 課 税 を 中 心 と し て 』NIRA 研 究 叢 書 No.9000065pp82~ pp84 参 照 。 -21- 表 2- 1 EC 第 6 次 指 令 第 9 条 2 項 に 規 定 す る 役 務 の 提 供 の 判 定 基 準 (ⅰ) 不動産関連サービス 不 動 産 の 所 在 地 ( 同 項 ( a)) (ⅱ) 輸送関連サービス 運 送 さ れ た 場 所 ( 同 項 ( b )) (ⅲ) 文 化 ・ 芸 術 ・ スポーツ・ 科 学 ・ 教 育 ・ 娯楽サービス それらが実際に行なわれた場所 ( 同 項 ( c )) 動産の賃貸 その利用場所 著作権、ライセンス等の権利の譲渡、 広告サービス、コンサルタント・ エ ン ジ ニ ア・弁 護 士・会 計 士 の サ ー ビ ス、銀行・証券・保険サービス 顧客(事業者に限る)による 事業設立地又は 固 定 的 施 設( fixed establishment) の所在地。 こ れ ら が 無 い 場 合 、顧 客 の 住 所 又 は 居 所 の あ る 地 。 ( 同 項 ( e)) (ⅳ ) (ⅴ) ( 同 項 ( d )) 表 2- 1 の ( ⅴ ) は 、「 提 供 地 基 準 」 に 対 し 、 消 費 者 に 焦 点 を 当 て た 「 顧 客 基 準 」を 採 用 し て い る 。 「 顧 客 基 準 」が 適 用 さ れ る 場 合 、外 国 事 業 者 の う ち 課 税 事 業 者 に 該 当 す る も の は 、顧 客 が 所 在 す る す べ て の 国 に 登 録 し な け れ ば な ら な い 。 藤 本 ( 2005) は 、 こ の ( ⅴ ) に 関 し て 3 つ の 特 徴 を 述 べ て い る 。 ま ず 1 点 目 と し て 、EU 加 盟 国 は 、二 重 課 税 、不 課 税 、市 場 競 争 上 の 歪 み を 防 止 す る た め に 、 加 盟 国 は 、 EU 域 外 の サ ー ビ ス の 「 提 供 地 」 3 8 を 、 第 6 次 指 令 第 9 条第 3 項(b)によって、サービスが実際に利用及び享受された域内国の領 域 に あ る も の ( the effective use and enjoyment of the services take place) として、9 条 3 項(b)のみなし規定により、国内取引として擬制し、課税管 轄地を覆す(逆転させる)点である。 次に 2 点目として、サービスの提供を受けた事業者は、その提供者に代わっ て サ ー ビ ス に 係 る VAT の 納 税 義 務 を 負 う 点 で あ る 。通 常 、VAT の 納 税 義 務 者 は 、 サービスの提供者(販売事業者)であるが、購入側の事業者に納税義務を逆転 さ せ て い る こ と か ら 、「 仕 入 税 ( リ バ ー ス ・ チ ャ ー ジ ; reverse charge)」 と 呼 ば れ る 。本 来 、サ ー ビ ス は 、税 関 を 通 過 し な い 性 質 の も の で あ り 、EU 域 内 の BtoB 取引の場合、販売側の事業者に納税義務を負わせると、消費地国側の税務当局 が、域内供給国の事業者に対し、課税し、徴収することとなり、徴税コストや 課 税 の 実 効 性 の 面 で 問 題 が あ る 。こ の た め 、サ ー ビ ス を 購 入 し た 事 業 者( 顧 客 ) 38 EC 第 6 次 指 令 第 9 条 参 照 。 -22- に「仕入税」の申告義務を負わせて、課税漏れを防止している。この仕入税の 採用のメリットとして、①サービス提供者が顧客の国で非居住者である場合で もその国に事業者登録をする必要がないこと、②顧客の国の税務当局は、自国 居住者である事業者へ課税を行なうこと、③国内事業者との市場競争に歪みを 与えないこと、④課税当局が、無形資産やサービスの価格に関する情報を入手 す る こ と が で き る こ と な ど を 挙 げ て い る 39 40 。最 後 3 点 目 と し て 、表 2- 1 の( ⅴ ) に 属 す る「 顧 客 基 準 」を 採 用 す る サ ー ビ ス が 増 加 し て い る 点 で あ る 。EU に お い て、役務の提供地に関する判定基準が統一した基準が用いられていない。従っ て 、EU 加 盟 国 間 又 は 、EU 域 外 の 取 引 相 手 国 間 で 、統 一 し た 判 定 基 準 を 導 入 し な い 限 り 、二 重 課 税 、或 い は 二 重 免 除 を 生 ず る 。こ の 点 に つ い て 、OECD(2004)も 、 国際間の役務提供に係る消費課税の不統一が招く課税上の問題点を指摘してい る 4 1 。つ ま り 、役 務 の 提 供 や 無 形 物 の 消 費 課 税 は 、視 覚 的 に 捉 え ら れ な い た め 、 ど の 時 点 で 、誰 に 対 し 納 税 義 務 が 成 立 す る か 判 定 す る た め の 基 準 と な る「 施 設 」、 「 使 用 」、「 享 受 」 及 び 「 実 行 」 の 定 義 や 解 釈 が 異 な る た め 各 国 の 足 並 み が 揃 わ ないと考えられる。 (4)「 役 務 の 提 供 」 の 変 化 と 対 応 近 年 の IT の 発 達 、グ ロ ー バ ル 化 や 規 制 緩 和 の 社 会 背 景 の 変 化 に 伴 い「 役 務 の 提 供 」の あ り 方 に 変 化 が 生 じ た 。EU に お け る 国 際 間 の サ ー ビ ス 取 引 に 係 る 課 税 ル ー ル で は 、上 記( 3 )② 第 6 次 指 令 第 9 条 2 項( 例 外 )の 表 2- 1 に 示 す サ ー ビスに該当しない新たなサービスは、原則の「提供地基準」により判定し、課 税 す る 。し か し 、 こ の 「 提 供 地 基 準 」を 適 用 す る こ と に よ り 、 EU 域 外 に 所 在 す る 事 業 者 が 提 供 し た 場 合 、 サ ー ビ ス が EU 域 内 で 消 費 さ れ て い て も 、 EU 域 内 国 で 課 税 す る こ と が で き な い 。 こ の 内 外 判 定 の 基 準 が 、 EU 域 内 事 業 者 と EU 域 外 事 業 者 と の 間 で 、 市 場 競 争 に 歪 み を 生 じ さ せ た 。 そ こ で 、 VAT 課 税 に よ る 市 場 競争の歪みを解消すべく、近年、2つのサービス取引において第 6 次指令の改 正が行われた。 39 西 山 由 美 ( 2001) p225 参 照 。 4 0 渡 辺 智 之 ( 2000) 「クロスボーダー取引と消費課税-電子商取引への対応-」 一 橋 大 学 経 済 研 究 所 pp84~ pp85 参 照 。 4 1 OECD・ 前 掲 ( 注 7) 14 参 照 。 -23- ①電気通信サービスに係る課税 電気通信サービスの分野において、規制が緩和され、アメリカの事業者が、 EU 域 内 で の サ ー ビ ス 提 供 が 認 め ら れ る 状 況 と な っ た 。そ こ で 、ア メ リ カ の 事 業 者 が 、 EU 域 内 で 「 コ ー ル バ ッ ク ・ サ ー ビ ス 」 を 提 供 し た 。 ア メ リ カ は 、 EU の VAT に 相 当 す る 国 税 が な い た め 4 2 、「 サ ー ビ ス の 提 供 地 = ア メ リ カ 」 の 拠 点 を 通 じ て 、 EU 域 内 へ 電 話 す る サ ー ビ ス を 行 う こ と で 、 EU の VAT 相 当 分 安 く 、 EU 域 内 事 業 者 よ り 有 利 に 事 業 を 展 開 し て い た 43。 1999 年 6 月 17 日 に 、 欧 州 委 員 会 は 、「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 指 令 」 4 4 ( 第 6 次 指 令 第 9 条 第 4 項 ) を 新 設 し 、「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」 に つ い て 、「 顧 客 基 準 」 を 採 用 し 、上 記( 3 )② 第 6 次 指 令 9 条 2 項( 例 外 )の 表 2- 1 の( ⅴ )の 判 定 基 準 を 適 用 し た 。 こ の 判 定 基 準 に よ り 、 EU 域 外 の 課 税 事 業 者 か ら EU 域 内 の 個 人 消 費者に提供される「電気通信サービス」の提供地は、第 6 次指令第 9 条第 3 項 (b)のみなし規定により、サービスが実際に使用及び享受された域内国の領 域で提供がなされたとみなす改正が行われた。 また、 「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」に 係 る VAT の 納 税 義 務 は 、EU 域 外 か ら EU 域 内 の 個人消費者に対し、電気通信サービスを提供する事業者を、加盟国の領土内に 所 在 す る 者 と し て 取 扱 い 、 納 税 義 務 者 と し た 4 5 。 こ の 規 定 に よ り 、 EU 域 内 事 業 者 が EU 域 外 に 「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」 の 提 供 を 行 う 場 合 は 、「 顧 客 基 準 」 を 適 用 し 、EU 域 内 で は 課 税 し な い 。よ っ て 、 国 際 間 の「 財 」 の 取 引 と 同 様 に 仕 向 地 課 税 主 義 が 適 用 さ れ る 。こ の 規 定 に よ り 、域 内 で 提 供 さ れ る「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」 は 、 消 費 地 で あ る EU 域 内 で 課 税 さ れ 、 税 収 が 確 保 さ れ る こ と と な っ た 。 他 方 、EU 域 外 か ら 域 内 に 向 け た「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」に 関 し て は 、BtoC 取 引 の 場 合 、EU 域 内 の サ ー ビ ス 提 供 を 受 け る 事 業 者( 顧 客 )の 所 在 地 国 に お い て 課 42 VAT に 相 当 す る 「 小 売 売 上 税 」( 州 税 ) は 、 現 在 も 5 つ の 州 ( ア ラ ス カ 、 デ ラ ウ ェア、モンタナ、ニューハンプシャー、オレゴン)は導入していない。そのため、 「役務の提供」を行う事業者の事務所の所在地が5州のいずれかに該当する場合、 EU で VAT が 免 除 さ れ 、 ア メ リ カ で は 不 課 税 取 引 と な り 、 ど ち ら の 国 か ら も 課 税 が 行われない「二重免除」を生じる。 4 3 森 信 ・ 前 掲 ( 注 32) p106 参 照 。 4 4 Council Directive 1999/59/EC of 17 June 1999 amending Directive 77/388/EEC as regards the value added tax arrangements applicable to telecommunications services. 4 5 第 6 次 指 令 第 21 条 第 1 項 ( b ) の 改 正 。 -24- 税 事 業 者 登 録 を 行 う こ と が ル ー ル 化 さ れ 、域 外 事 業 者 は 、EU 域 内 の 顧 客 所 在 地 国 の す べ て に 課 税 事 業 者 登 録 が 必 要 と な っ た 46。 こ の 指 令 の 整 備 に よ っ て 、 域 内の事業者が「電気通信サービス」を域外で提供する際、サービスの購入者所 在の仕向地国で課税が行われることになった。 従 っ て 、BtoC 取 引 の 国 際 間 の 役 務 提 供 は 、EU 域 外 事 業 者 を 登 録 さ せ 、国 内 事 業者として取扱い、 「 国 内 取 引 」に 擬 制 し て 、VAT 課 税 す る 仕 組 み を 構 築 し た の で あ る 4 7 。 こ の た め 、 EU 加 盟 国 の う ち 最 も VAT の 税 率 の 低 い ル ク セ ン ブ ル ク ( 15% )に 税 収 が 集 中 す る と い う 問 題 が 生 じ 、EU に 加 盟 し て い な い イ ギ リ ス が 、 こ の 制 度 に 対 し 批 判 し て い る 48。 こ の 制 度 の 要 は 、 外 国 事 業 者 に 登 録 を 適 正 に 行わせる事により、課税のメカニズムが働く点である。そのため、登録に強制 力 を 有 し な い 事 業 分 野 で は 、EU 域 外 の 課 税 事 業 者 を 登 録 ま で た ど り 着 か せ る 実 効性や徴税の効率性をいかに確保するかという点が最大の課題となる。 ②電子的に提供されるサービスに係る課税 電子的に提供されるサービスとは、インターネット上の音楽のダウンロード や e-learning( 遠 隔 教 育 サ ー ビ ス )な ど の 取 引 で あ り 、従 来 、 「提供者基準」 (原 則 )が 適 用 さ れ て い た 。と こ ろ が 、 「 提 供 者 基 準 」を 適 用 し た 場 合 、上 記 ①「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」の 事 例 と 同 様 、EU 域 外 の 事 業 者 は 、EU 域 内 の 顧 客 に サ ー ビ ス を 提 供 し 、EU 域 内 消 費 者 が サ ー ビ ス を 消 費 し た に も 関 わ ら ず 、課 税 が 行 わ れ な い 。 こ れ に 対 し 、 EU 域 内 の 事 業 者 は 、「 提 供 者 基 準 」 が 適 用 さ れ る た め 、 EU 域 外 の 顧 客 に サ ー ビ ス を 提 供 し た 時 に も 事 業 者 所 在 地 国 の VAT を 徴 収 し な け れ ば な ら な か っ た 。こ の 判 定 基 準 の 存 在 が 、国 際 取 引 の 場 で 、EU 域 事 業 者 は 、域 外 の 事 業 者 と 比 べ 、 VAT 相 当 分 、 不 利 な 市 場 競 争 を 強 い ら れ て い た 。 そ こ で 欧 州 委 員 会 は 、2002 年 5 月 に「 電 子 商 取 引 指 令 」を 採 択 し 、2003 年 7 月 1 日 ま で に 、 46 域外事業者の課税事業者登録制度について、アメリカの商工会議所から「登録 制 に つ い て 、域 外 事 業 者 に と っ て コ ス ト の か か る 複 雑 な 制 度 に な ら な い よ う に す べ き で あ る 。」 と い う 意 見 書 が 提 出 さ れ て い る 。 47 但 し 、 国 際 電 話 の 場 合 に は 、 域 外 事 業 者 が 登 録 や 納 税 を 行 わ な い ケ ー ス で は 、 加 盟 国 内 の 電 話 回 線 に 接 続 の 際 、加 盟 国 側 で 接 続 を 拒 否 す る 強 硬 手 段 が 可 能 で あ っ た 為 、 実 効 性 を 確 保 す る こ と が で き た 。 渡 辺 智 之 ・ 前 掲 ( 注 40) p21 参 照 。 4 8 吉 田 倫 子 ( 2002) 「 電 子 商 取 引 と 課 税 制 度 」 Economic Review 2002.1 p125 参 照 。 -25- EU 加 盟 国 に こ の 新 指 令 の 国 内 法 制 化 を 義 務 づ け た 4 9 。 「電子的に提供するサービ ス の 提 供 」に 係 る EU 域 外 の 事 業 者 に 対 す る VAT の 取 扱 い は 、上 記 ① の「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」に 係 る 課 税 と 同 じ く 、 「 財 」の 取 引 と 同 様 に 仕 向 地 課 税 主 義 が 適 用 されることになった。 この「電子商取引指令」で規定された「電子的に提供されるサービス」の例 示 と し て 、電 子 的 ネ ッ ト ワ ー ク を 通 じ て 行 う デ ジ タ ル 財( 音 楽 、映 画 、ゲ ー ム 、 画像、テキスト、情報、ソフトウェア等)の配信や教育サービス、データベー ス・サービス等が列挙されている。 な お 、電 子 的 に 提 供 さ れ る サ ー ビ ス の 提 供 等 に 係 る VAT の 取 扱 い は 、EU 域 内 に 本 拠 地 、或 い は 、住 所 又 は 居 所 を 有 す る 個 人 消 費 者 に 向 け て 、EU 域 外 に 事 業 所 を 設 立 、又 は サ ー ビ ス を 提 供 す る 固 定 的 施 設( fixed establishment)を 有 す る 課 税 事 業 者 、或 い は 、事 業 所 を 有 さ ず EU 域 外 に 住 所 又 は 居 所 を 有 す る 課 税 事 業 者 が 、サ ー ビ ス の 提 供 を す る 場 合 に は 、サ ー ビ ス の 提 供 地 の 判 定 は「 顧 客( 個 人 消 費 者 )」 の 本 拠 地 、 或 い は 、 住 所 又 は 居 所 を 有 す る 提 供 地 と し て い る 。 こ の 判 定 基 準 は 、上 記( 3 )② 第 6 次 指 令 第 9 条 2 項 の 表 2- 1 の( ⅴ )の「 顧 客 基 準 」を 適 用 す る サ ー ビ ス 区 分 に 追 加 さ れ た 5 0 。次 頁 の 図 2- 2 に お い て 、 EU 域 内 の VAT 課 税 の 仕 組 み を 「 財 の 場 合 」 と 「 サ ー ビ ス の 場 合 」 と に 区 分 し 、 整 理したので、参照されたい。 Council Directive 2002/38/EC of 7 May 2002 amending and amending temporarily Directive 77/388/EEC as regards the value added tax arrangements applicable to radio and television broadcasting services and certain electronically supplied services. 49 50 EC 第 6 次 指 令 第 9 条 2 項 ( f )。 -26- EU 域 内 ( 財 ) A 国( 販 売 者・固 定 的 施 設 な し ) B国 ◇ A 国で納税 ○B 国で納税 ◇課税事業者 消費者 商 ◇販売者 VAT 登 録 品(財) 免税 年間売上一定額以上 販売者 年間売上一定額以下 ○ 免税事業者 EU 域 内 ( サ ー ビ ス ) A 国( 提 供 者・固 定 的 施 設 な し ) B国 ◇ A 国で納税 ○B 国で納税 課税事業者 消費者 免税事業者 一般サービス [提 供 者 所 在 地 ] ( EC 第 6 次 指 令 9① ) リバース・チャージ◇ (仕入税) ◇ 課税事業者 運 輸 サ ー ビ ス [到 着 地 ] 教 育 、 娯 楽 的 活 動 等 [活 動 地 ] ( EC 第 6 次 指 令 9②( b) ( c)) 販売者 ◇ VAT 登 録 著作権、特許等 広告サービス コンサルタント等 金 融 ・ 保 険 [顧 客 基 準 ] ( EC 第 6 次 指 令 9② ( e)) 通信サービス ( EC 第 6 次 指 令 9① ) ◇提供者 VAT 登 録 課税事業者 リバース・ チャージ (仕入税) ◇ 図 2- 2.EU 域 内 の VAT 課 税 の 仕 組 み 山 﨑 ( 2000) p 31 よ り 作 成 。 国際通信サービス ( EC 第 6 次 指 令 9③ (b)) -27- ○ ○ 提供者 ○ ○ 事業者 ○ 通信事業者 ( EU 域 外 ) 表 2- 3 電 子 的 に 提 供 さ れ る サ ー ビ ス の 提 供 に 係 る 第 6 次 指 令 第 9 条 2 項( f ) の規定追加 (ⅴ) サービスの内容 サービスの提供地の判定基準 著作権、ライセンス等の権利の譲渡、 広告サービス、コンサルタント・ エ ン ジ ニ ア・弁 護 士・会 計 士 の サ ー ビ ス、銀行・証券・保険サービス・ 電子的に提供されるサービスの提供 等 顧客(事業者に限る)による 事業設立地又は 固 定 的 施 設( fixed establishment) の所在地。 こ れ ら が 無 い 場 合 、顧 客 の 住 所 又 は 居 所 の あ る 地 。 ( 同 項 ( e)) 顧 客( 個 人 )の 本 拠 地 、住 所 又 は 居 所 を 有 す る 場 所 。( 同 項 ( f )) ( 注 ) 2002 年 5 月 に 、 第 6 次 指 令 第 9 条 2 項 の 例 外 項 目 に 新 規 に 追 加 さ れ た 。 ( 下 線 部 分 が 新 規 に 追 加 さ れ た 項 目 を 表 す 。) こ れ に 対 し 、「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」 に 関 し て は 、 第 6 次 指 令 第 9 条 第 4 項の別規定を新たに設け、 ( ⅴ )の「 顧 客 基 準 」を 準 用 す る 方 法 が 用 い ら れている。 BtoC 間 の「 電 子 的 に 提 供 さ れ る サ ー ビ ス の 提 供 」の 完 全 な 課 税 漏 れ を 防 ぐ 手 立 て と し て 、 上 記 ① の 「 電 気 通 信 サ ー ビ ス 」( 顧 客 が 所 在 す る す べ て の EU 域 内 の 所 在 国 へ の 登 録 す る 方 式 )と 異 な り 、EU 加 盟 国 の 任 意 の 1 ヶ 国 に 登 録 す る「 ワ ン ・ ス ト ッ プ ・ シ ョ ッ プ 制 度 」( one-stop-shop) が 採 用 さ れ た 。 こ の 制 度 は 、 EU 域 外 の 事 業 者 が EU 全 域 で お こ な っ た 取 引 を 任 意 の 1 ヶ 国 に VAT の 事 業 者 登 録 を 行 い 、 1 つ の VAT 事 業 者 番 号 を 使 用 し 、 1 つ の 電 子 窓 口 で VAT の 申 告 が 可 能 と な る 。申 告 書 は 、事 業 者 が 申 告 す べ き 個 々 の 加 盟 国 へ 自 動 的 に 提 出 さ れ る 。 納 付 は 、 VAT の 納 税 が 課 さ れ る 加 盟 国 へ 事 業 者 が 直 接 納 付 を し な け れ ば な ら な い 。こ の シ ス テ ム は 、EU 域 外 の 事 業 者 に 対 す る 課 税 の 実 効 性 を 高 め る こ と が 狙 い で あ る 。 な お 、「 電 子 商 取 引 指 令 」 は 、 時 限 立 法 5 1 で あ り 、 電 子 商 取 引 の 増 大 に 伴 う 国 際 間 の「 サ ー ビ ス 取 引 」の 課 税 の 実 験 と 捉 え る こ と も で き る 。EU で は 、 2002 年 5 月 ~ 2006 年 6 月 末 の 3 年 間「 電 子 商 取 引 指 令 」を 運 用 し 、問 題 点 の 改 善 を 図 っ た 。 2004 年 1 月 1 日 に 「 電 子 イ ン ボ イ ス 指 令 」 5 2 が 発 効 し 、 EU 共 通 の 51 「 電 子 商 取 引 指 令 」 の 有 効 期 限 は 、 2006 年 6 月 30 日 ま で と な っ て い る 。 Council Directive 2001/115/EC of 20 December 2001 amending Directive 77/388/EEC as regards the place of supply of services/*COM/2003/0822finalCNS2003/0329*. 52 -28- 単一かつ、簡素化されたインボイスのルールが制定された。書面のインボイス に代えて、電子的に発効されるインボイスの発行の選択適用を認めている。こ れ ら の EU の 一 連 の 徴 税 シ ス テ ム の 取 組 み に つ い て 、 藤 本 ( 2005) は 、「 歩 き な が ら 考 え る 政 策 実 行 が な さ れ て い る 。」 5 3 と 評 し て お り 、わ が 国 に お い て も 運 用 の中で答えを見つけ出してくやり方も必要と考えられる。 2 . 2 EU の サ ー ビ ス 提 供 地 に 関 す る VAT 指 令 の 改 正 案 (1)BtoB 取 引 の 改 正 案 2003 年 末 に 、欧 州 委 員 会 は 、 「 サ ー ビ ス 提 供 地 に 関 す る VAT 指 令 の 改 正 案 」5 4 を公表した。先述の①電気通信サービス、②電子的に提供されるサービス(電 子 商 取 引 )に お い て 拡 充 し た 第 6 次 指 令 第 9 条 第 2 項( e)の 例 外 規 定 を 一 般 規 定化するものである。 BtoB 取 引 サービスの提供地 に関する原則 (現行) 提供者基準 <改正案> → 顧客基準 ①現状の課題・問題点 (ⅰ)国境を越える「サービスの取引」については、仕入税額控除ではなく、 「 リ バ ー ス ・ チ ャ ー ジ 」 に よ る 自 主 申 告 に よ り 仕 入 に 係 る VAT の 還 付 を 受 け る シ ス テ ム と な っ て い る 。 と こ ろ が 、 EU 域 内 の 事 業 者 は 、 他 の EU 加 盟 国 で の 事 業 活 動 に お い て 支 出 し た 経 費 に 含 ま れ る VAT の 還 付 に 伴 う 手 間 や 時間を要するのを嫌い、仕入税制度を不正利用している。 (ⅱ) 「 顧 客 の 所 在 地 」=「 サ ー ビ ス の 提 供 地 」と み な す 第 9 条 2 項( e)の「 顧 客基準」が採用されるサービスか否かの解釈上の問題が生じる。 藤 本 前 掲 ( 注 36) p33 引 用 。 Proposal for a Council Directive amending Directive 77/388/EEC as regards the place of supply of services/*COM/2003/0822final- CNS2003/0329*. 53 54 -29- ②改善の方策 従 来 か ら 例 外 規 定 に よ る 課 税 管 轄 地 の 判 定 が な さ れ る「 サ ー ビ ス 」を 中 心 に 、 執 行 上 又 は 政 策 上 の 観 点 か ら「 顧 客 基 準 」と 異 な る 基 準 を 採 用 す る「 サ ー ビ ス 」 を 再 整 理 し 、上 記 ① に 列 挙 し た 現 状 の 課 題・問 題 点 の 解 決 を 図 ろ う と し て い る 。 表 2- 4 「顧客基準」以外の基準を採用するサービスと判定基準 (ⅰ) 不動産関連サービス 不動産の所在地 (ⅱ) 旅客輸送関連サービス 運送された場所 文 化 ・ 芸 術 ・ スポーツ・ 科 学 ・ 教 育 ・ 娯楽サービス レストランサービスなど い わ ゆ る 有 形 サ ー ビ ス( 提 供 者 と 顧 客 が 同 時 に 存在し、すぐに消費されるサービス) それらが実際に行なわれた 場所 (ⅲ) (ⅳ ) サービスの提供者の所在地 (2)BtoC 取 引 の 改 正 案 BtoC 取 引 に つ い て は 、 2005 年 7 月 に VAT 指 令 の 改 正 案 が 公 表 さ れ た 。 ①改正案の趣旨 現 行 の 「 提 供 地 基 準 」 に よ る 「 事 業 者 登 録 制 」の 課 税 の 下 で は 、EU 域 内 の 低 税率国(ルクセンブルクなど)からサービスの提供を行うような誘因が働く問 題 が あ る 。 そ の た め 、「 提 供 地 基 準 」 の 適 用 を 狭 め る 方 向 の 提 案 が な さ れ た 。 ②現在の課題・問題点 「電子的に提供されるサービスの提供( 」 例:デ ジ タ ル 財 な ど )に 係 る 取 引 で は 、 実 際 、 EU 域 外 の 事 業 者 が「 電 子 商 取 引 指 令 」の「 顧 客 基 準 」 の 適 用 を 回 避 す る 目 的 で EU 域 内 の 低 税 率 国 へ 事 業 拠 点 を 移 し 、 そ こ か ら EU 域 内 に 所 在 す る 顧 客 にサービスの提供を行う事例が発生している。 ③懸案事項 ( ⅰ )2003 年 の 改 正 案 で 、BtoB 取 引 の サ ー ビ ス の「 提 供 地 」の 判 定 基 準 に「 顧 客 基 準 」を 採 用 し た 経 緯 が あ り 、BtoC 取 引 に つ い て の み 異 な る 取 扱 い を す ることで、事業者の事務負担が増加する。 -30- ( ⅱ )VAT 課 税 の 実 効 性 を 高 め る た め に 、現 行 の BtoC 取 引 の 原 則 で あ る 第 6 次 指令 9 条 1 項のサービスの提供に係る「提供者基準」を「顧客基準」へ変 更する場合、サービスの提供事業者が、個人消費者(顧客)のすべての所 在地国に事業者登録をする必要が生じる等、事業者の事務負担は大幅に増 加する。 ④改善の方向性 今回の改正案では、現行の原則「提供者基準」を継続しながら、部分的に、 「顧客基準」などの例外基準を適用する「サービス」の範囲を拡充していき、 できる限りサービスの消費地で課税が行われるよう改正案を提示している。 表 2- 5 課税管轄値の判定に係る例外基準を採用するサービスの一例(提案) サービスの内容 サービスの提供地の判定基準 電子的に提供されるサービスの提供、 電 気 通 信 サ ー ビ ス 、ラ ジ オ 、テ レ ビ の 放 送 サ ー ビ ス 、遠 隔 地 教 育 な ど 遠 隔 地 か ら で も 提供可能なサービス レストランサービスなど い わ ゆ る 有 形 サ ー ビ ス( 提 供 者 と 顧 客 が 同 時に存在し、すぐに消費されるサービス) 顧客基準 提供地基準 2 . 3 EC 新 指 令 ( New VAT Directive) に つ い て こ れ ま で 、EC 第 6 次 指 令 は 、EU に お け る 付 加 価 値 税 の 礎 と し て 役 割 を 果 た し て き た が 、 2007 年 1 月 1 日 に 新 指 令 ( New VAT Directive; Council Directive 2006/112/EC of 28 November 2006 on the common system of value added tax.) が施行された。新指令でのサービスの提供地の一般原則は、これまでの第 6 次 指 令 の 規 定 と 同 じ 内 容 で あ る 。「 財 」 の 取 引 は 、 仕 向 地 原 則 を 適 用 し 、「 役 務 の 提供」は、原則、原産地原則を適用し、一部例外的に、仕向地原則を適用する と い う 基 本 方 針 は 、EC 第 6 次 指 令 の 考 え 方 を そ の ま ま 継 承 し て お り 、こ れ ま で と の 変 更 点 は な い 55。 55 New VAT Directive; Council Directive 2006/112/EC of 28 November 2006 on the common system of value added tax. -31- 2 . 4 OECD の 動 向 (1)電 子 商 取 引 に 係 る 消 費 課 税 に 対 す る 議 論 国 境 を 越 え た 電 子 商 取 引 に ど の よ う に 課 税 を 行 う の か と い う 問 題 を 1997 年 11 月 フ ィ ン ラ ン ド の テ ュ ル ク に お い て 、OECD 非 公 式 会 談 で 初 め て 話 し 合 わ れ た 。 ①オタワ会議 OECD( 経 済 協 力 開 発 機 構 ) は 、 1998 年 10 月 に オ タ ワ 会 議 ( 電 子 商 取 引 に 係 る閣僚級会合)において、電子商取引に係る課税問題が検討され、以下の内容 が確認された。 <ア > 確 認 さ れ た 事 項 ( ⅰ )電 子 商 取 引 に つ い て も 、公 平 、中 立 、簡 素 の 租 税 原 則 が 適 用 さ れ る こ と 。 (ⅱ)既存の課税ルールを電子商取引に適用することによって、その租税原 則を実現できること。 (ⅲ)各国の課税権を維持しつつ、電子商取引から生じる課税ベースを公平に 分配し、二重課税や意図しない不課税を回避しなければならないこと。 (ⅳ)国際取引の場合、消費が行われる場所で課税が行われるべきであるとい う 基 本 原 則 の 下 で 、デ ジ タ ル 財 の 取 引 は 、物 品( goods)の 供 給 で は な く 、 サービスの提供であること。 <イ > 決 定 さ れ た 事 項 「 電 子 商 取 引・課 税 の 基 本 枠 組 み( Electronic Commerce:Taxation Framework Conditions)」 5 6 と い う 報 告 書 ( 通 称 :「 オ タ ワ ・ フ レ ー ム 」) が 公 表 さ れ た 。 こ の 報 告 書 の 中 で 、 電 子 商 取 引 の 課 税 問 題 に つ い て 、「 電 子 商 取 引 は 世 界 規 模 で の 大 き な 経 済 ポ テ ン シ ャ ル を 持 つ も の だ け に 、課 税 が 阻 害 要 因 に な ら な いようにするとともに、税収面においても、不足の影響を与えることのない よう、適切な課税原則の下に歳入確保を図っていきたい」という基本方針が 示 さ れ た 。 ま た 、 電 子 商 取 引 に 適 用 さ れ る 一 般 課 税 原 則 に 、「 中 立 性 」、「 効 率 性 」、「 確 実 性 」、「 簡 素 性 」、「 実 効 性 」、「 公 平 性 」、「 柔 軟 性 」 を 挙 げ 、 そ の 中 で 最 も 重 要 な 原 則 と し て 、「 課 税 の 中 立 性 」 を 示 し 、「 取 引 の 諸 形 態 間 、 56 Electronic Commerce: Taxation Framework Conditions -32- 或いは電子商取引と他の伝統的取引の間で課税が中立的なものでなければなら ない」と述べている。そして検討すべき課題に、電子商取引における本人確認 の問題など税務執行上の問題を指摘している。 ② OECD 租 税 委 員 会 2001 年 2 月 に 、OECD 租 税 委 員 会 第 9 作 業 部 会( 以 下「 WP9」)報 告 書「 電 子 商 取 引 に 対 す る 消 費 課 税 の 局 面( Consumption Tax Aspect of electronic Commerce, A Report from Working Party No.9 on Consumption Taxes to the commission of Fiscal Affairs)」 が 公 表 さ れ た 。 こ の 報 告 書 に お い て は 、 大 き く 2 つ の 論 点 が あ り 、( 1 ) 消 費 地 を ど の よ う に 定 義 す る か 、( 2 ) 徴 税 の 仕 組 み を ど の よ うにするかである。 OECD に お い て 、OECD の WP9 及 び そ の 下 部 組 織 で あ る 電 子 商 取 引 サ ブ グ ル ー プ は、オタワ会議以降、①クロスボーダーのサービス取引における消費地の定義 の 検 討 と 、② 消 費 地 に お い て 消 費 課 税 を 執 行 す る た め の 徴 税 メ カ ニ ズ ム の 2 点 の検討を重ね「 、クロスボーダーのサービス取引に関する消費地の定義に関する ガイドライン案」及び、ガイドライン案とは別に、消費地の定義を実際に適用 するための「推奨されるアプローチ案」を提示した。 ま ず 、「 消 費 地 の 定 義 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 案 」 で 示 さ れ た 内 容 は 、 BtoB 取 引は、サービスを受取った事業者の所在地を「消費地」とする。これに対し、 BtoC 取 引 は 、サ ー ビ ス を 受 け た 消 費 者 の 住 居 所 在 の jurisdiction 5 7 を「 消 費 地 」 とする案であった。このガイドライン案では、従来、内外判定として、事業者 に焦点を当てた判定基準から、 「 消 費 」の 概 念 と よ り 密 接 性 の 高 い「 消 費 者 」を 中心とした判定基準へ変更している点にある。 そして、消費地の定義を実際に適用するための「推奨されるアプローチ案」 に 関 し て 、 BtoB 取 引 は 、 自 己 申 告 又 は 「 リ バ ー ス ・ チ ャ ー ジ 」 が 提 案 さ れ て い る 。 他 方 、 BtoC 取 引 は 、 消 費 課 税 自 体 が 困 難 で あ る こ と を 踏 ま え 、 中 期 的 には、テクノロジーを活用した新しい徴税メカニズムの開発に期待を寄せてい る 。そ こ で 、OECD は 当 面 の 対 応 と し て 、市 場 競 争 や 歳 入 の 面 で 、サ ー ビ ス 輸 入 Jurisdiction と は 、 特 定 の 課 税 当 局 に よ っ て 税 の 賦 課 ・ 徴 収 が 行 わ れ る 範 囲 を いう。 57 -33- に対する課税が必要な国は、免税点を設定し、海外事業者のコンプライアンス コ ス ト を 最 小 限 に 抑 え た 「 登 録 制 度 」 の 導 入 を 提 案 し 、 EU で の 先 行 事 例 を 踏 襲している。 OECD の「 ガ イ ド ラ イ ン 案 」 と「 推 奨 さ れ る ア プ ロ ー チ 案 」は 、そ れ ぞ れ 狙 い が異なっている事に留意が必要である。まず「ガイドライン案」は、国家間の 消費課税の課税管轄地を決定することを目的としており、二重課税、或いは、 二重免除を回避するための国際的な「整合性」に狙いを置いている。これに対 し、 「 推 奨 ア プ ロ ー チ 案 」は 、徴 税 メ カ ニ ズ ム の 検 討 が 目 的 で あ り 、国 際 的 な 整 合性を必要としていない。むしろ、それぞれの国内事情を考慮した、最も各国 に お い て 馴 染 む「 徴 税 メ カ ニ ズ ム の 開 発 、検 討 を 促 す こ と 」を 目 的 と し て い る 。 「 推 奨 ア プ ロ ー チ 案 」は 、課 税 と 徴 税 の「 実 効 性 」が 重 視 さ れ お り 、ビ ジ ネ ス ・ サイドの意見として、徴税システムの簡素が要望されている。これは、納税シ ステムが簡素であればあるほど、高い納税遵守が期待でき、課税の簡素、効率 性の観点によるものである。 こ れ ら の 仕 組 み は 、EU で の「 電 子 商 取 引 指 令 」で 示 さ れ た 制 度 と 基 本 的 に 同 様のものが提案されている。上記以外の「徴税の方法」として、以下 4 つのメ ニューが示されたが、いずれも一長一短で決め手にかけるものとなっている。 (ⅰ)国外の販売事業者を消費地国に登録させ、売上時に消費地国の付加価 値税を顧客から徴収し、消費地国の税務当局へ送金させる方法。 ( ⅱ )消 費 者 が 、ク レ ジ ッ ト カ ー ド を 使 っ て 決 済 を 行 う 際 に 、金 融 機 関 又 は 、 インターネット・サービス・プロバイダが、消費者から付加価値税を源 泉徴収し、消費地国に源泉徴収した税金を納付される方法。 ( ⅲ )消 費 者 が 、認 証 ソ フ ト ウ ェ ア を 使 っ て 、そ の 所 在 国 の 税 務 当 局 に 対 し 、 直接、自己申告させる方法。 (ⅳ)国外の事業者が自国の税務当局に納税し、その後に各国の課税当局間 で配分を行う方法。 -34- (2)無 形 資 産 及 び 役 務 の 提 供 の 国 際 取 引 に 係 る 消 費 課 税 の 問 題 OECD で は 、2003 年 以 降 、電 子 商 取 引 自 体 に 焦 点 を 当 て た 議 論 で は な く 、「 国 境を越える無形資産及び役務の提供」に係る消費課税の検討へと検討課題を転 換 し た 。 そ し て 、 2004 年 以 降 、 無 形 資 産 及 び 役 務 の 提 供 の 国 際 取 引 に つ い て 、 二重課税、或いは二重免除を回避するため、付加価値税の適用改善に関する検 討がなされた。 OECD で は 、 2004 年 に 「 国 境 を 越 え る 無 形 資 産 及 び 役 務 の 提 供 」 に 係 る 消 費 課税の検討のレポートの中で、役務の提供や無形資産における消費課税の二国 間協定のようなものを作成することも有効な方策の1つであると述べている。 2 . 5 「 IT-APA」 に つ い て 5 8 ボ ス ト ン 大 学 の リ チ ャ ー ド・ト ン プ ソ ン・ア イ ン ワ ー ス 教 授 が 論 文 で「 IT-APA」 というソフトウェアソリューションを紹介している。 「 IT-APA」と は 、本 来 、移 転 価 格 税 制 の 対 応 ソ フ ト と し て 開 発 さ れ た も の で あ る 。「 IT-APA」 は 、 所 得 税 、 関税、消費税(付加価値税)の税額計算に必要なデータをプログラミングすれ ば、税額が自動計算されるシステムである。 既 に ア メ リ カ に お い て 、 認 定 サ ー ビ ス プ ロ バ イ ダ ー ( CSP) 及 び 認 定 自 動 化 シ ス テ ム ( CAS) が 、 21 の 州 に お い て 金 銭 の 払 い 込 み だ け で な く 、 租 税 判 定 、 確 定 申 告 書 提 出 、記 録 保 持 シ ス テ ム と し て 完 全 に 機 能 し て お り 、 「売上税簡素化 イ ニ シ ア チ ブ ( SSTI)」 と い う 名 前 で 知 ら れ て い る こ と が 論 文 の 中 で 紹 介 さ れ ている。 こ こ ま で 第 1 章 、 第 2 章 で は 、国 際 間 の 電 子 商 取 引 の 問 題 点 や 海 外 で の 先 行 事例について確認した。そこで、次の第3章では、国際間の電子商取引が、日 本の消費税収にどの程度のインパクトを与えているか現状を確認した上で、推 計モデルを使い検証することとする。 Richard Thompson Ainsworth “IT-APAs:Harmonizing Inconsistent Transfer Pricing Rules in Income Tax-Customs-VAT “ Boston Universty School of Law 58 working paper series,Law and Economics working paper No.07-23. -35- 第3章 わが国の電子商取引の発達と消費課税に及ぼす影響 3.1 消費税をとりまく社会変化 1988 年 に わ が 国 で は 消 費 税 が 創 設 さ れ 、 翌 年 の 1989 年 よ り 実 施 さ れ て 、 今 年 で 20 年 目 を 向 か え る 。 こ の 20 年 間 で 、 社 会 を と り ま く 状 況 が 、 大 き く 変 化 し た 。 そ の 大 き な 変 化 の 1 つ に 、 IT の 導 入 を 挙 げ る こ と が で き る 。 IT の 導 入 は 、2001 年 3 月( 森 内 閣 当 時 )に「 e-Japan 重 点 計 画 」が 策 定 さ れ 、 その重点政策の1つに「電子商取引等の促進」が盛り込まれていた。この計画 の 中 で 、 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 に 関 し て は 、 2003 年 に 70 兆 円 を 大 幅 に 上 回 る 規 模 に 成 長 さ せ る こ と 、イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 に 関 し て は 、2005 年 ま で に 国 内 3,000 万 世 帯 に 高 速 イ ン タ ー ネ ッ ト 網 を 常 時 接 続 可 能 な 環 境 に 整 備 す る こ と 等 を 具 体 的 な 数 値 目 標 を 掲 げ 、 政 府 内 に IT 戦 略 本 部 が 設 置 さ れ た 5 9 。 こ れ ら の 国 家 レ ベ ル で の 情 報 イ ン フ ラ 整 備 計 画 の 下 、1990 年 代 後 半 よ り 、国 内 の イ ン タ ー ネ ッ ト 普 及 率 は 、急 速 な 勢 い で 高 ま っ て い っ た 。IT の 普 及 が ど れ 程 目 覚 ま し い も の か は 、『 平 成 13 年 度 国 民 生 活 白 書 』 の 中 で 、 固 定 電 話 、 携 帯 電話とインターネットを例として挙げ、サービスが開始時から国内人口に対す る 普 及 率 30% に 達 す る ま で に 要 し た 期 間 の 比 較 が な さ れ て い る 。各 情 報 通 信 が 普及に要した期間は、以下のとおりである。 固 定 電 話 : 87 年 > 携 帯 電 話 : 10 年 > インターネット:7 年 このように、固定電話や携帯電話と比べ、極めて短期間で社会全体に普及し た こ と を 確 認 す る こ と が で き る 。IT の 導 入 や 電 子 商 取 引 の 増 加 は 、現 行 消 費 税 法の施行後に生じた後発事象であり、消費税法の立法者が予測することは基本 的 に 困 難 な 状 況 と 考 え ら れ る 。 そ の こ と は 、 次 節 3.2(1)の 図 3-1 の IT の 人 口 普 及 率 か ら も 推 察 す る こ と が で き よ う 60。 59 首 相 官 邸 ホ ー ム ペ ー ジ の IT 戦 略 本 部 「 e-Japan 重 点 計 画 」( 2001 年 3 月 ) ( http://www.kantei.go.jp/jp/it/network) を 参 照 。 6 0 総 務 省 が 国 内 の イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 状 況 に つ い て 1997 年 に 調 査 を 開 始 し て お り 、そ れ 以 前 は 見 当 た ら な い 調 査 が 行 わ れ て い な い 。裏 を 返 せ ば 、1996 年 以 前 は 、 調査の対象にすらならない程度であったことが推察される。 -36- 3 . 2 わ が 国 に お け る IT 導 入 の 現 状 (1)日 本 国 内 の イ ン タ ー ネ ッ ト の 普 及 状 況 わが国のインターネット利用人口及び人口普及率の推移を把握するため、総 務 省 公 表 の 『 情 報 通 信 白 書 』 の 数 値 を 用 い て 、 図 3-1 わ が 国 の イ ン タ ー ネ ッ ト の利用者数と人口普及率を作成した。 (万人) (%) 10,000 100 9,000 8,529 7,730 8,000 60.6 6,000 62.3 60 50 44.0 40 37.1 2,706 3,000 1,694 2,000 1,155 30 21.4 20 13.4 10 9.2 0 1997 1998 1999 2000 2001 2002 インターネット利用者数 図 3- 1 70 54.5 4,708 4,000 1,000 66.8 68.5 5,593 5,000 90 80 6,942 7,000 8,754 7,948 2003 2004 2005 2006 0 (年) 人口普及率 わが国のインターネット利用人口及び人口普及率 ( 出 所 )『 情 報 通 信 白 書 』( 平 成 9 年 ~ 平 成 18 年 )( 総 務 省 ) よ り 引 用 。 (注)①インターネット利用者数(推計)は、本調査結果に基づく、6 歳以上 で過去 1 年間にインターネットを利用したことのある者についての推 計値である。インターネット接続機器については、パソコン、携帯電 話 、 PHS 、 携 帯 情 報 端 末 、 ゲ ー ム 機 等 あ ら ゆ る も の を 含 み ( 当 該 機 器 を 所 有 し て い る か 否 か を 問 わ な い 。)、 利 用 目 的 等 に つ い て も 、 個 人 的 な利用、仕事上の利用、学校での利用等のあらゆるものをも含む。 ②人口普及率(推計値)は、本調査で推計したインターネット利用人口 8,529 万 人 を 平 成 17 年 10 月 の 全 人 口 推 計 値 1 億 2,771 万 人 ( 国 立 社 会 保 障・人 口 問 題 研 究 所『 わ が 国 の 将 来 人 口 推 計( 中 位 推 計 )』で 除 し たものである。 ③ 平 成 9~ 12 年 末 ま で の 数 値 は「 通 信 白 書 」か ら 抜 粋 。平 成 13~ 17 年 末 の数値は通信利用動向調査における推計値である。 ④ 調 査 対 象 年 齢 に つ い て は 、 平 成 11 年 調 査 ま で は 、 15 歳 ~ 69 歳 で あ っ た が 、 そ の 後 の 高 齢 者 及 び 小 中 学 生 の 利 用 増 加 を 踏 ま え 、 平 成 12 年 調 査 は 、 15 歳 ~ 79 歳 、 平 成 13 年 以 降 は 、 6 歳 以 上 に 拡 大 し た た め 、 これらの調査結果相互間では厳密な比較はできない。 -37- 図 3-1 よ り 、2006 年 現 在 で は 、国 民 の 人 口 当 た り 普 及 率 は 69.5% に 達 し 、イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 人 口 は 、 8,754 万 人 に 達 し て い る 。 利 用 人 口 は 、 総 務 省 が 統 計 を 取 り 始 め た 1997 年 と 比 較 し 約 7.4 倍 に 増 加 し て い る 。 (2)イ ン タ ー ネ ッ ト の 利 用 者 層 に つ い て 図 3-1 よ り 、 日 本 国 民 全 体 の 傾 向 と し て 、 イ ン タ ー ネ ッ ト の 利 用 率 は 、 上 昇 傾 向 に あ る が 、世 代 別 、年 収 別 の 利 用 実 態 を 総 務 省 公 表 の『 通 信 利 用 動 向 調 査 』 の 世 帯 編 の 2001 年 ~ 2006 年 の 数 値 の 推 移 を 用 い て 確 認 す る 。 図 3-2 は 、 当 該 調査結果に基づき、世代別のインターネット利用状況をグラフで示したもので ある。 (%) 100% 90% 80% H18 2006 H17 2005 H16 2004 H15 2003 H14 2002 H13 2001 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 (歳) 図 3- 2 世代別のインターネット利用状況 ( 出 所 )総 務 省『 通 信 利 用 動 向 調 査 』 ( 平 成 13~ 18 年 度 )世 帯 編 よ り 作 成 。 図 3-2 よ り 、13 歳 か ら 49 歳 の 年 齢 層 が 平 均 90% と 高 い 利 用 率 と な っ て い る 。 こ れ に 対 し 、 50 歳 以 上 の 利 用 率 に つ い て は 、 50% を 切 っ て い る 。 さ ら に 、年 齢 区 分 が 10 歳 上 昇 す る に ご と に 、平 均 10% ず つ 利 用 率 が 低 下 し て い る 。こ の 調 査 結 果 を 通 じ て 、世 代 間 で イ ン タ ー ネ ッ ト の 利 用 に 偏 り が あ る こ とを確認することができよう。 -38- 次 に 、 世 帯 主 の 年 収 別 に よ る イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 率 を 参 照 す る 。 図 3-3 は 、当 該 調 査 結 果 に 基 づ く「 世 帯 年 収 別 の 個 人 の イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 率 」を 示 し た グ ラ フ で あ る 。世 帯 主 年 収 が 最 も 高 い 区 分 に 属 す る 世 帯 ほ ど グ ラ フ は 上 方 に 位 置 し て お り 、世 帯 主 の 年 収 が 低 い ほ ど 利 用 率 は 低 く な る 傾 向 に あ る 。 (%) 100% 90% 2,000万円以上 1,500~2,000万円未満 1,000~1,500万円未満 800~1,000万円未満 600~800万円未満 400~600万円未満 200~400万円未満 200万円未満 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 2001 図 3- 3 2002 2003 2004 2005 2006 (年) 世帯年収別の個人のインターネット利用状況 ( 出 所 )総 務 省『 通 信 利 用 動 向 調 査 』 ( 平 成 13 年 ~ 18 年 )世 帯 編 よ り 作 成 。 世 帯 主 の 年 収 が 最 も 高 い 2,000 万 円 以 上 の 年 収 区 分 に 属 す る 個 人 の 利 用 率 が 、 年 収 1,500~ 2,000 万 円 以 下 に 属 す る 世 帯 主 の 利 用 を 下 回 っ て い る ケ ー ス が あ る が 、 こ れ に は 年 収 が 最 も 高 い 区 分 に 属 す る 世 帯 の う ち 、 65 歳 以 上 の 世 帯 が 50% を 占 め る こ と が 影 響 し て い る も の と 考 え ら れ る 。図 3- 3 よ り 、年 齢 層 が 高 くなるほど、インターネットの利用率が低くなる傾向が確認されており、その 傾向が反映された結果、利用率を押し下げたものと考えられよう。 (3)国 内 の 事 業 者 間 取 引 ( 以 下 「 BtoB 取 引 」) の 現 状 インターネットの普及に伴い、年々、電子商取引の市場規模は、増加傾向に ある。経済産業者(当時、通商産業省)は、日本国内の電子商取引の市場規模 に 関 し て 、 1998 年 以 降 、毎 年「 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場 規 模 ・ 実 態 調 査 」 を 実 施 し て い る 。 こ の 調 査 結 果 に 基 づ き 、 図 3- 4 に 国 内 に お け る 「 BtoB 取 引 」 の 電子商取引市場規模の推移を作成した。 -39- (%) (単位:兆円) 150 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1 4 7 .9 20% 18% 1 4 0. 4 16% 14.7% 11.2% 12.9% 12.6% 1 0 2 .7 14% 12% 10% 7.0% 7 7. 4 5.0% 3.4% 8 .6 34.0 1 2 .3 6% 3.8% 1.5% 8% 4 6 .3 4% 2% 21 . 6 0% BtoB取引 EC化率 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 図 3- 4 国 内 の 「 BtoB」 取 引 の 市 場 規 模 の 推 移 ( 出 所 )『 日 米 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 調 査 』( 1998 年 ) 及 び 『 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場 調 査 報 告 書 』( 1999 年 ~ 2006 年 ) よ り 作 成 。 ( 注 )1999 年 は 、BtoB 取 引 に 関 す る 調 査 を 実 施 し て い な い た め 、1998 年 調 査 時 の 1999 年 予 測 値 を 使 用 し て い る 。 2006 年 の「 BtoB 取 引 」の 市 場 取 引 に 占 め る 割 合 は 12.6% で 、市 場 規 模 は 147.9 兆 円 に 達 し て い る 。2003 年 に は 、77.4 兆 円 と な っ て お り 、前 述 の「 e-Japan 重 点 計 画 」の 2003 年 の 目 標 値 で あ っ た 70 兆 円 を 達 成 し て い る こ と が 確 認 で き る 。 (4) 国 内 の 事 業 者 ・ 消 費 者 間 取 引 ( 以 下 「 BtoC 取 引 」) の 現 状 そ れ で は 、次 に「 BtoC 取 引 」の 市 場 規 模 を 見 て い く こ と に す る 。経 済 産 業 省 が 毎 年 実 施 す る「 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場 規 模・実 態 調 査 」の 結 果 に 基 づ い て 、 図 3- 5「 国 内 に お け る BtoC 取 引 の 電 子 商 取 引 市 場 規 模 の 推 移 」 を 作 成 し た 。 但 し 、 2004 年 以 降 「 BtoC」 取 引 の 市 場 規 模 の 推 計 の 狙 い が 日 米 比 較 へ と 移 り 、 電 子 商 取 引 の 定 義 が 変 更 さ れ た 。具 体 的 に は 、1998 年 ~ 2003 年 の 推 計 値 は 、国 内の家計最終消費をベースとした数値(電子商取引による輸入消費金額を含ま -40- れ る 。) で あ り 、 2004 年 ~ 2006 年 の 推 計 値 は 、 国 内 企 業 の 売 上 高 を ベ ー ス と し た 推 計 値( 電 子 商 取 引 に よ る 輸 入 消 費 金 額 を 含 ま な い 。)で あ る 。従 っ て 、図 3 - 5 は 「 BtoC」 取 引 の 市 場 取 引 規 模 の 推 移 を 経 年 で 示 し て い る が 、 2003 年 を 境 に範囲が異なっており、経年比較ができない点に留意が必要である。 (% ) (単 位 :兆 円 ) 6.0 5.0% 5.64 5.5 4.5% 5.0 4.42 4.5 4.39 3.5% 4.0 3.46 3.5 3.0 3.0% 2.5% 2.69 2.1% 2.5 2.0 2.0% 1.6% 1.48 1.5 1.5% 1.2% 1.0% 1.0% 0 .77 1.0 0.5 4.0% 0.06 0.0 0.3 4 0.02% 1998年 図 3- 5 0.6% 0.1% 1999年 0.5% 0.3% 20 00年 0.0% 200 1年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 国 内 の 「 BtoC」 取 引 の 市 場 規 模 の 推 移 ( 出 所 )『 日 米 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 調 査 ( 1999 年 3 月 発 表 )』 及 び 『電子商取引に関する市場調査報告書』 ( 1999 年 ~ 2006 年 6 1 )よ り 作 成 。 当 該 調 査 で は 、2006 年 の「 BtoC 取 引 」の 市 場 取 引 に 占 め る 割 合 が 示 さ れ て い ない。 「 BtoC 取 引 」の 市 場 取 引 に 占 め る 割 合 を 参 照 し た と こ ろ 、前 年 2005 年 の 「 BtoC 取 引 」の 市 場 取 引 に 占 め る 電 子 商 取 引 の 割 合 は 1.2% で 、市 場 規 模 は 3.46 兆 円 で あ る 。 2006 年 の 市 場 規 模 は 、 4.39 兆 円 に 達 し て お り 、 1 年 で 約 1.26 倍 の 伸 び を 示 し て い る 。し か し 、前 述 の 国 内「 BtoB 取 引 」と 比 べ た 場 合 、国 内「 BtoC」 の市場規模は、極めて限定的な規模といえよう。 『 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場 調 査 報 告 書 』に お い て 2006 年 の BtoC 取 引 の EC 化 率が算定されていないため、表示できない。 61 -41- BtoC取 引 BtoC取 引 (EC化 率 ) 3.3 電子商取引が引き起こす税収に対するインパクトの先行研究 2000 年 7 月 に 、 米 国 会 計 検 査 院 ( Government Accounting Office) が 、 ア メ リ カ 国 内 に お い て 1998 年 よ り 施 行 実 施 さ れ て い る 「 ネ ッ ト 課 税 凍 結 法 ( The Internet Tax Freedom Act)」 に 基 づ く イ ン タ ー ネ ッ ト 商 取 引 の 非 課 税 に よ る こ と の 税 収 減 少 額 が 、 合 計 38 億 ド ル 6 2 と な る こ と を 公 表 し た 6 3 。 2001 年 10 月 8 日 付 の 日 本 経 済 新 聞 の 記 事 に よ る と 、 テ ネ シ ー 大 学 の 調 査 よ り 、ア メ リ カ の 州 政 府 が 電 子 商 取 引 に よ り 捕 捉 不 能 と な る 税 収 金 額 が 、2001 年 で 133 億 ド ル 6 4 と 推 計 さ れ 、 企 業 間 の 電 子 商 取 引 の 急 成 長 に 伴 い 、 2006 年 に は 452 億 ド ル に 捕 捉 不 能 額 は 増 大 す る と 予 測 を 発 表 し て い る 。 日米間の電子商取引規模の推移を経済産業省が公表する『電子商取引に関す る 市 場 調 査 報 告 書 』過 去 9 年 分 を 用 い て 、図 3- 6 の「 BtoB 取 引 」、図 3- 7 は 「 BtoC 取 引 」 の 推 移 を そ れ ぞ れ 作 成 し た 。 こ の 図 3- 6 及 び 3- 7 か ら も 読 み 取れるように、アメリカは、日本に先行して、電子商取引が発達し、市場規模 は現在もなお拡大し続けており、ネット課税凍結による税収減が深刻味を帯び た問題となっている。この事案は、日本においても近い将来、現行消費税法の 問題点が改善されない場合、同レベルの事象発生を予感させる問題である。 以 上 を 踏 ま え 、 次 節 3.4 で は 「 電 子 商 取 引 」 が 引 き 起 こ す 消 費 課 税 へ の 影 響 の 推 計 を 行 う 。な お 、グ ロ ー バ ル リ ー チ 社 が 、2002 年 9 月 に WEB 上 の コ ン テ ンツに使用されている言語の割合について調査を実施している。国際間の電子 商取引の実態を分析する上で、ポイントとなる資料と考える。その調査結果を 表 3- 8 に 示 し た の で 参 照 さ れ た い 。 62 1 $= 131.2 円 換 算 ( 1998 年 ) 6 3 米 国 会 計 検 査 院 は 、公 表 し た 税 収 減 少 額 に つ い て 、イ ン タ ー ネ ッ ト 売 上 高 、販 売 の 伸 び 、販 売 へ の 課 税 に つ い て 信 頼 で き る デ ー タ が な い た め 、正 確 な 数 値 を 算 出 す ることは困難というコメントを添えている。 6 4 1 $= 122.2 円 換 算 ( 2001 年 ) -42- (兆円) 250 200 185.2 196.0 189.2 166.1 150 115.5 108.9 108.2 140.4 147.9 102.7 100 77.4 50 19.5 8.6 0 21.6 12.3 46.3 34.0 BtoB取引(日本) BtoB取引(米国) 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 図 3- 6 日 本 と 米 国 に お け る 「 BtoB」 取 引 規 模 の 実 績 額 ( 比 較 ) の 推 移 ( 注 ) 1999 年 の 米 国 BtoB 取 引 の 調 査 を さ れ な か っ た 為 、 点 線 で つ な い だ 。 (兆円) 20 19.27 18 15.90 16.30 16 14 12.77 12 9.24 10 7.57 8 6.89 6 4 5.64 4.42 2.25 2.69 2 0 0.06 0.34 0.77 3.46 4.39 1.48 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 図 3- 7 BtoC取引(日本) BtoC取引(米国) 日 本 と 米 国 に お け る 「 BtoC」 取 引 規 模 の 実 績 額 ( 比 較 ) の 推 移 ( 注 ) 日 本 の BtoC 市 場 規 模 に は 不 動 産 関 連 取 引 分 が 含 ま れ て い る が 、 米 国 の BtoC 市 場 規 模 に 含 ま れ て い な い 。1999 年 は 、米 国 の BtoB 取 引 の 調 査 が されなかった為、点線表示した。 ( 出 所 )総 務 省『 平 成 17 年 版 情 報 通 信 白 書 』及 び『 日 米 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 調 査( 1999 年 3 月 発 表 )』及 び『 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場 調 査 報 告 書 』 ( 1999 年 ~ 2006 年 ) よ り 作 成 。 -43- 表 3- 8 WEB 上 の コ ン テ ン ツ に 使 用 さ れ て い る 言 語 の 割 合 (2002 年 9 月 調 査 ) (%) 英語 68.4 日本語 5.9 ドイツ語 5.8 中国語 3.9 フランス語 3.0 スペイン語 2.4 ロシア語 1.9 イタリア語 1.6 ポルトガル語 1.4 韓国語 1.3 その他 4.6 ( 出 所 )グ ロ ー バ ル リ ー チ 社( http://global-reach.biz/globstats)よ り 作 成 。 表 3- 8 は 、 2002 年 9 月 に グ ロ ー バ ル リ ー チ 社 が 全 世 界 の WEB 上 の コ ン テ ン ツ に お い て 、何 語 で 表 記 さ れ て い る か 調 査 し た 結 果 を 示 し て い る 。こ れ 以 降 、 こ の よ う な 調 査 が グ ロ ー バ ル リ ー チ 社 を 含 め 確 認 す る こ と が で き な い 。そ こ で 、 2002 年 と や や 古 い デ ー タ で は あ る が 、 こ の デ ー タ を 本 稿 で は 用 い る 。 表 3- 8 よ り 、 1 番 WEB 上 の 占 有 率 が 高 い 言 語 は 、 英 語 で あ り 68.4% を 占 め て お り 、 全 体 の 約 7 割 を 占 め て い る 。 次 い で 、 日 本 語 の 5.9% 、 ド イ ツ 語 の 5.8%と 続 い ている。世界の英語の利用人口を考えた場合、妥当な結果といえよう。ここで 着 目 す べ き は 、日 本 語 で 表 記 さ れ た WEB 上 の コ ン テ ン ツ が 約 6% も 占 め て い る 点である。世界における日本語の利用人口の規模を考慮すると、極めて高い数 値 で あ り 、わ が 国 の IT の 普 及 率 の 高 さ を 読 み 取 る こ と が で き よ う 。ま た 、WEB 上で英語が主流であることが確認でき、国際間での電子商取引は、英語の運用 能力が、一定以上の人により行われていると推察することができよう。 -44- 3.4 国際間の電子商取引が引き起こす消費税収損失額の推計 本 節 で は 、電 子 商 取 引 が 消 費 税 収 に 与 え る イ ン パ ク ト を 推 計 す る 。推 計 に あ た り 、 電 子 商 取 引 が 及 ぼ す 消 費 税 収 損 失 額 に つ い て 定 義 を 行 う 。 第 1 章 の 1.2 で 述 べ た と お り 、本 稿 で の「 電 子 商 取 引 」は 、 「 商 取 引( = 経 済 主 体 間 で の 財 の 商業的移転に関わる、受発注者間の物品、サービス、情報、金銭の交換)を、 イ ン タ ー ネ ッ ト 技 術 を 利 用 し た 電 子 的 媒 体 を 通 し て 行 う こ と 」 65と 定 義 す る 。 そして、第 2 章の現行消費税の規定の論点整理より抽出した電子商取引が引き 起こす消費税収損失額は、 「 わ が 国 の 現 行 消 費 税 法 の 未 整 備( イ ン タ ー ネ ッ ト 上 のデジタル財の購入取引)に起因する不課税取引に係る消費税額及び輸入品の 課税価格の合計額が 1 万円以下の少額貨物に係る内国消費税の徴収等に関する 法 律 ( 以 下 「 輸 徴 法 」) の 適 用 に 起 因 す る 消 費 税 免 税 額 の 合 計 税 額 」 と 定 義 し 、 推計を行う。 (1)電 子 商 取 引 が 引 き 起 こ す 消 費 税 収 損 失 額 の 推 計 方 法 これまで示した電子商取引のすべてが消費税の課税漏れを生じているわけで は な く 、税 収 の 損 失 額 を 推 計 す る た め に は 、第 1 章 の 1.5 で 示 し た BtoC 取 引 に 係る輸入取引の範囲の取引の規模を算出する必要がある。しかし、実際には、 このような取引を個別に算出したマクロデータは存在しない。そこで、消費に 関するミクロベースのデータから個別の消費者が対象となる消費支出のうち 2005 年 の 電 子 商 取 引 の 利 用 率 を 求 め 、男 女 別 ・ 年 齢 別 の 利 用 率 を 使 用 し 、全 体 の電子商取引規模を推計していく必要がある。 電 子 商 取 引 が 引 き 起 こ す 消 費 税 収 損 失 額 の 推 計 は 、 先 行 研 究 ・ 黒 澤 ( 2006) の 推 計 モ デ ル を 参 考 に し 、本 稿 で は 、第 1 段 階 と 第 2 段 階 と に 区 分 し 、男 女 別 ・ 年 齢 別 に 分 け て 推 計 を 行 う 。 第 3 章 の 図 3-2 か ら も 読 み 取 れ る よ う に 、 性 別 ・ 年代で、電子商取引の利用に偏りがあり、性別及び年齢別の電子商取引の利用 割合を考慮した手法を用いることで、より実態に近い国内消費者の電子商取引 による年間輸入消費金額を推計することができるものと考え、この推計法を本 稿では採用した。 65 「電子商取引に関する市場実態調査 平 成 11 年 度 」 よ り 引 用 。 -45- ① 電子商取引による国内消費者の年間消費金額の推計【第1段階】 ま ず 、 第 1 段 階 で は 、 本 章 の 3.4 で 示 し た 電 子 商 取 引 の 定 義 に 基 づ く 電 子 商 取引による国内消費者の品目別の年間消費金額の推計を行った。経済産業者 ( 1998 年 当 時 は 通 商 産 業 省 )の 委 託 団 体 が 1998 年 以 降 、毎 年 実 施 し て い る「 電 子 商 取 引 に 関 す る 市 場 規 模・実 態 調 査 」の 電 子 商 取 引 の 定 義 が 2004 年 に 変 更 さ れ た 。 こ の た め 、 2004 年 以 降 の 調 査 報 告 書 よ り 得 ら れ る 国 内 BtoC 取 引 の 品 目 別の市場規模金額には、 「 消 費 者 が 購 入 し た 輸 入 品 の 消 費 金 額 」が 含 ま れ て い な い 。ま た 、2008 年 現 在 、官 公 庁 及 び 民 間 シ ン ク タ ン ク に よ る 、国 内 の 家 計 最 終 消 費 を ベ ー ス と し た 推 計 デ ー タ が 見 当 た ら な い 。そ こ で 、総 務 省( 2006 年 3 月 ) 公 表 の「 ICT の 経 済 分 析 に 関 す る 調 査 報 告 書 平 成 17 年 度 」の 中 で 示 さ れ て い る 「 電 子 商 取 引 市 場 規 模 の 試 算 モ デ ル 」を 使 用 し 、 『 平 成 17 年 国 勢 調 査 』 (総務省) の国内人口の確報値に、 「 平 成 17 年 通 信 利 用 動 向 調 査 」 ( 総 務 省 )の イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 率 、イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者 に 占 め る 電 子 商 取 引 利 用 者 の 割 合( 購 入 率 ) 及び国内消費者の電子商取引利用者の年間の平均購入金額(輸入品を含む)を 乗じて、男女別・年齢別の推計を行い、その結果を合算した。なお、インター ネットに接続する際の利用ツールとして、パソコンを利用した場合と、携帯電 話を利用した場合が考えられることから、各ツール別に対応させて推計を行っ た 。以 下 に 、 「 品 目 別 の 電 子 商 取 引 市 場 規 模 の 試 算 モ デ ル( 1 式 )」及 び「( 1 式 ) の概念図」を示す。 X btoc = k j i Pi , j u i , r j ,k i , j ,k Ci , j ,k (1式) k 1,2, j 1,2, i 1,2,.....10 X btoc : 企 業 か ら 家 計 へ の 品 目 別 の 販 売 額 ( 購 入 者 価 格 ) P ((: 人 口 u ((: 人 口 に 対 す る イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 者 の 割 合 r ( C j :インターネット利用者に対する品目別の電子商取引利用者の割合 :電子商取引利用者の品目別の年間平均購入額 :男女 i ((: 年 齢 階 層 ( 6 歳 以 上 ) (k :パソコン又は携帯電話 -46- <1式の概念図> <品目別利用率> <利用ツール> パソコン (( 携 帯 電 話 無 有 品目別 平平均均購購入入金金額額 ×人 口 ・・・ ( ・・・ インターネット 利用者 有 平 均 購 入 金 額 ×人 口 品目別 ・・・ <取引利用率> ・・・ 部品の意味合い) ((無 品目別・男女別・年齢別電子商取引率(%)× 図 3- 9 品目別市場規模 推計モデル 1 式の概念図 本 稿 は 、 黒 澤 ( 2006) の 推 計 モ デ ル を 参 考 に し て 、 品 目 別 算 定 に よ り 、 ① イ ンターネット上におけるデジタル財の購入取引(現行消費税法の未整備に基づ く 不 課 税 取 引 )、 ② 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 適 用 を 受 け る 課 税 価 格 の 合 計 が 1 万 円 以下に該当する少額貨物取引(免税取引)に係るそれぞれの原因に対応した市 場取引金額を別個に算定した。この算定方法より、①不課税取引を起因とする 税収損失額と②少額貨物免税取引を起因とする税収損失額の把握が可能となっ ている。 ②国外比率に基づく国内消費者の年間輸入消費金額の推計【第 2 段階】 第2段階で行う電子商取引による国内消費者の「年間輸入消費金額」の推計 は 、 黒 澤 ( 2006) の 推 計 モ デ ル を 使 用 し た 。 黒 澤 ( 2006) 6 6 で 使 用 し て い る 電 子商取引に係る「国外比率」と同様、電子商取引による海外からの購入を算定 するために、第一生命保険相互会社のシンクタンク・ライフデザイン研究所 2002 年 公 表 の 「 外 国 語 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 」 の 調 査 6 7 を 参 考 と し た 。 当 該 数 値 デ ー タ は 、2001 年 と や や 古 い が 、男 女 別 ・ 年 齢 別 に 区 分 さ れ 、幅 広 い 黒 澤 盛 章 ( 2007)「 新 し い 市 場 形 態 の 発 展 に よ る 消 費 税 制 の あ り 方 - デ ジ タ ル 財 の 電 子 商 取 引 課 税 - 」『 経 済 研 究 』 第 7 号 東 京 国 際 大 学 大 学 院 参 照 。 6 7 「 仕 事 に 関 す る サ ラ リ ー マ ン ・ OL 意 識 調 査 」 ( 2002 年 )第 一 生 命 保 険 相 互 会 社 ライフデザイン研究所参照。 66 -47- 年 齢 層 を カ バ ー し て い る 。当 該 調 査 で 、一 定 の 外 国 語 の 運 用 レ ベ ル(「 仕 事 レ ベ ル 」、 「 日 常 会 話 レ ベ ル 」及 び「 辞 書 を 片 手 に 読 解 す る レ ベ ル 」)と 回 答 し た 者 の 男 女 別・年 齢 別 の 割 合 を 、本 稿 で は 、 「海外事業者から電子商取引をおこないう る 最 大 の 輸 入 割 合 」と 捉 え 、 「 国 外 比 率 」と し て 用 い た 。第 2 段 階 で は 、黒 澤( 2006) の推計モデルに基づき、第1段階で推計した「国内消費者の電子商取引に係る 年 間 品 目 別 の 男 女 別・年 齢 別 の 消 費 金 額 」に 、外 国 語 の 運 用 レ ベ ル に 基 づ く「 男 女 別・年 齢 別 の 国 外 比 率 」を 乗 じ て 、 「国内消費者の電子商取引に係る年間品目 別の男女別・年齢別の輸入消費金額」を推計した。 第 2 段階で推計した「国内消費者の電子商取引に係る年間品目別の男女別・ 年 齢 別 の 消 費 金 額 」に 、消 費 税 率 5%( 国 税 分 4% + 地 方 消 費 税 分 1 % )を 乗 じ 、 本稿の目的とする電子商取引が及ぼす消費税収損失額を推計した。 な お 、 黒 澤 ( 2006) の 推 計 モ デ ル に 従 い 、 一 定 の 外 国 語 運 用 レ ベ ル を 有 す る 者 の 男 女 別 ・ 年 齢 別 の 割 合( 国 外 比 率 )を E j と し 、品 目 別 の 年 間 輸 入 電 子 商 取 引 金 額 Ybtoc を ( 2 式 ) の と お り 定 義 す る 。 Ybtoc = X btoc × E j (2式) また、推計の目的である税収損失額については、品目別の国内消費者に係る 年 間 輸 入 電 子 商 取 引 金 額 Ybtoc に 消 費 税 率 t を 乗 じ て 求 め る 。こ れ を 消 費 税 収 額 を Tbtoc と 示 す と 、 次 の ( 3 式 ) の よ う に 表 す こ と が で き る 。 Tbtoc = Ybtoc × t (3式) ( 2 式 ) 及 び ( 3 式 ) の 概 念 図 は 、 図 3- 10 に 示 す と お り で あ る 。 <2式の概念図> 第1段階での推計した 品 目 別 の 年 間 電 子 商 取 引 金 額 X btoc 国内の店舗から 調達した分 国内 電子 商取引 × 国外比率 Ej (%) (輸 入 (電 子 商取引 国内消費者の年間品目別消費金額 <3式の概念図> 電子商取引による 品目別の年間輸入消費金額 Ybtoc ×5% ( 消 費 税 率 ) (電 子 商 取 引 が 及 ぼ す 消 費 税 収 損 失 額( 不 課 税 取 引・免 税 取 引 に 起 因 )) 図 3- 10 消費税収損失額算出の流れ -48- 3.5 消費税収損失額の推計結果及び考察 ( 1) 消 費 税 収 損 失 額 の 推 計 結 果 3.3 で 示 し た モ デ ル に 従 っ て 推 計 を 行 っ た 結 果 を 表 3- 11 及 び 表 3- 12 に 示 し た 。表 3- 11 は 、2005 年 現 在 の わ が 国 に お け る「 デ ジ タ ル 財 の 輸 入 取 引 に 係 る 不 課 税 取 引( 直 接 的 電 子 商 取 引 )に 起 因 す る 税 収 損 失 額( 推 計 値 )」を 品 目 別 に 示 し た 表 で あ る 。他 方 、表 3- 12 は 、2005 年 現 在 の わ が 国 に お け る「 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 少 額 貨 物 免 税 取 引( 間 接 的 電 子 商 取 引 )に 起 因 す る 税 収 損 失 額( 推 計 値 )」 を 品 目 別 に 示 し た 。 表 3- 11 デ ジ タ ル 財 の 輸 入 取 引 に 係 る 不 課 税 取 引 ( 直 接 的 電 子 商 取 引 ) ( 2005 年 、 単 位 : 億 円 、 推 定 値 ) に起因する税収損失額 品 目 税収損失額 PC ソ フ ト ダ ウ ン ロ ー ド 5.57 音楽コンテンツ 17.47 映像コンテンツ 4.41 文字コンテンツ 4.14 ゲームコンテンツ 3.09 合 計 額 34.67 表 3- 12 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 少 額 貨 物 免 税 取 引 ( 間 接 的 電 子 商 取 引 ) に 起因する税収損失額 ( 2005 年 、 単 位 : 億 円 、 推 定 値 ) 品 目 税収損失額 PC ソ フ ト 及 び 周 辺 機 器 59 .77 書 籍 及 び 音 楽 CD、映 像 DVD 73.84 TV ゲ ー ム ソ フ ト 65.79 合 計 額 199.40 ※ (1)及 び (2)の 合 計 額 ・ ・ ・ 234.07 億 円 ( 2005 年 、 推 計 値 ) 6 8 なお、数値の四捨五入により、合計と一致しない部分がある。 5%を 乗 じ て い る 。 従 っ て 、 消 費 税 が 課 さ れ る と 支 払 価 格 が 1.05 倍 に 増 加 す る 。 支 払 価 格 の 上 昇 は 、 価 格 弾 力 性 に 応 じ て 購 入 量を変化させる可能性があるが、ここではその変化を考慮していない。 68推 計 で は 、 実 際 の 支 出 額 に 単 一 税 率 -49- こ れ ら の 推 計 結 果 よ り 、少 額 貨 物 の 輸 入 取 引( 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 少 額 貨 物 免 税 制 度 適 用 )が 、イ ン タ ー ネ ッ ト 上 で の デ ジ タ ル 財 の 輸 入 取 引( 不 課 税 取 引 ) と 比 べ て 約 5.7 倍 の 消 費 税 収 損 失 額 を 発 生 さ せ て い る こ と が 判 明 し た 。 本 稿 の 末 尾 に 、 推 計 モ デ ル の 各 過 程 で 算 定 さ れ た 詳 細 な 数 値 デ ー タ を 付 表 3-1 か ら 付 表 3-9 に 整 理 し 、 添 付 し た の で 参 照 さ れ た い 。 ( 2) 推 計 モ デ ル と 付 表 デ ー タ の 対 応 関 係 本稿末尾の付表データを参照するにあたって、推計モデルと末尾の付表デー タとの対応関係について説明していくこととする。 本 稿 の 推 計 モ デ ル の 第 1 段 階 の 推 計 過 程 は 、 付 表 3-1(1) ~ (5) 及 び 付 表 3-2(1)~ (3)に 示 し た 。 ま ず 「 付 表 3-1( 1) ~ ( 5)」 に 関 し て は 、 直 接 的 電 子 商取引のデジタル財に係る国内消費者が国内外を含めて各品目についての年間 購入金額の推計金額を示した表である。この「デジタル財に係る国内消費者の 年間購入金額の推計」に必要な数値は、消費者が電子商取引の実施時に使用し た ツ ー ル 別 ( パ ソ コ ン 、 携 帯 電 話 ) の 各 品 目 に 係 る 年 齢 別 の 購 入 率 (「 平 成 17 年 通 信 利 用 動 向 調 査 」の ア ン ケ ー ト に 基 づ く 数 値 )、 『 平 成 17 年 国 勢 調 査 』の 年 齢別の人口、電子商取引実施時のツール別の各品目の年間平均購入額に係る年 齢 別 の 年 間 平 均 購 入 額 で あ る 。直 接 的 電 子 商 取 引 に 関 し て は 、 「 男 女 別・年 齢 別 」 のデータがないため、 「 年 齢 別 」レ ベ ル の デ ー タ を 使 用 し た 。こ れ ら の 数 値 の 中 か ら 、『 平 成 17 年 国 勢 調 査 』 の 人 口 と 電 子 商 取 引 の 実 施 時 に 使 用 し た ツ ー ル 別 各品目の年間平均購入額において、年齢別の人口と品目別の年間平均購入額を それぞれ対応させて、乗じて得た数値を合計し、直接的電子商取引による品目 別の市場規模金額(推計値)とした。そして、先で算出した「各品目の年齢別 の 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 金 額( 推 計 値 )」に「 各 品 目 の 年 齢 別 の 購 入 実 績 率 」を 乗 じ 、「 2005 年 に お け る 国 内 消 費 者 の 電 子 商 取 引 に 係 る 品 目 別 の 年 間 購 入 金 額 ( 輸 入 を 含 む 金 額 )」 を 算 定 し た 。 こ れ ら の 推 計 の 過 程 と 結 果 を 付 表 3-1(1)~ (5)に 示 し た 。 以 下 、 表 3-13 は 、 付 表 3-1(1)~ (5)の 推 計 値 を 抜 粋 し 、 一 覧 表 に示したものである。 -50- 表 3-13 電 子 商 取 引 に よ る 品 目 別 年 間 購 入 金 額( 2005 年 、単 位:億 円・推 計 値 ) 参照先 使用ツール パソコン 携帯電話 使用 使用 PC ソ フ ト ・ 周 辺 機 器 387.9 12.8 400.7 ( 2) 音楽コンテンツ 344.7 1,069.1 1,413.7 ( 3) 映像コンテンツ 258.4 430.5 669.9 ( 4) 文字コンテンツ 211.7 214.5 426.2 ( 5) ゲームダウンロード 156.0 211.7 367.7 付表 3-1 購入品 ( 1) 合計 (注)四捨五入により、合計と一致しない場合がある。 表 3-13 の 推 計 結 果 よ り 、 直 接 的 電 子 商 取 引 の デ ジ タ ル 財 の 取 引 で は 音 楽 コ ンテンツが最も年間購入金額が大きいことが読み取れる。それも携帯電話から のアクセスによる購入額が高くなっており、電子商取引の手軽さと音楽コンテ ンツの必要な曲だけを安く購入したいというニーズとがうまく融合し、市場と して根付いたものと分析される。 次 に 「 付 表 3-2(1)~ (3)」 は 、 本 稿 の 推 計 モ デ ル の 第 1 段 階 の 推 計 の う ち 、 インターネットを通じて国内消費者が商品を注文し、後日商品が発送される取 引を品目別に国内外を含めた年間平均購入金額(推計値)を示した表である。 この「インターネットを通じて国内消費者が発注した各品目の年間購入金額の 推計」には、上記の「デジタル財に係る国内消費者の年間購入金額の推計」と 同様のデータが必要となる。そこで「インターネットを通じた発注」の「男女 別・年齢別」の利用率のデータを使用した。なお、少額貨物免税の制度に起因 する税収損失額を測定するために課税価格 1 万円以下の商品を選んで推計をお こなっているが、年間の品目別の合計平均購入額の平均が 1 万円を超える商品 がある。統計上、1 取引あたりの取引金額及び品目別の取引頻度が調査されて おらず、回答者数で除した「品目別の年間平均購入額」が示されていた。その た め 、本 稿 で は 、年 間 の「 品 目 別 の 年 間 平 均 購 入 額 」を 12 ヶ 月 で 除 し て 得 た 金 額 が 1 万 円 以 下 で あ る 品 目 を 推 計 の 対 象 と し て 扱 っ た 。『 平 成 17 年 国 勢 調 査 』 の人口と発注時に使用したツール別の各品目の年間平均購入額を、男女別・年 -51- 齢別に人口と品目別の年間平均購入額をそれぞれ対応させ、乗じた数値を合計 し 、電 子 商 取 引 に よ る 品 目 別 の 市 場 規 模 金 額( 推 計 値 )を 算 定 す る 。次 に 、 「各 品 目 の 男 女 別・年 齢 別 の 電 子 商 取 引 の 市 場 規 模 金 額( 推 計 値 )」に「 各 品 目 の 男 女 別 ・ 年 齢 別 の 購 入 実 績 率 」 を 乗 じ 、「 2005 年 に お け る 国 内 消 費 者 の 電 子 商 取 引 に 係 る 品 目 別 の 年 間 購 入 金 額( 輸 入 を 含 む 金 額 )」を 求 め た 。そ の「 国 内 消 費 者がインターネットを通じて発注した各品目の男女別・年齢別の市場規模金額 ( 推 計 値 )」に「 各 品 目 の 男 女 別 ・ 年 齢 別 の 購 入 実 績 率 」を 乗 じ 、「 2005 年 に お ける国内消費者のインターネットを通じて発注した品目別の年間購入金額(輸 入 を 含 む 金 額 )」を 算 出 し た 。こ れ ら の 推 計 の 過 程 及 び 結 果 を 付 表 3-2(1)~ (3) に 示 し た 。以 下 、表 3-14 は 、付 表 3-2(1)~ (3)の 推 計 値 を 抜 粋 し 、一 覧 表 に 示 した。 表 3-14 間接的電子商取引による国内消費者の品目別年間購入金額 ( 2005 年 、 単 位 : 億 円 ・ 推 計 値 ) 参照先 使用ツール パソコン 携帯電話 使用 使用 PC ソ フ ト ・ 周 辺 機 器 10,825.8 144.6 10,970.3 ( 2) 書 籍 ・ CD 12,951.3 299.6 13,250.9 ( 3) ゲ ー ム ソ フ ト・関 連 用 品 11,965.4 647.7 12,613.1 付表 3-2 購入品 ( 1) 合計 (注)四捨五入により、合計と一致しない場合がある。 表 3-14 の 推 計 結 果 よ り 、イ ン タ ー ネ ッ ト を 通 じ て 国 内 消 費 者 が 発 注 し た 品 目 の 中 で「 書 籍 ・ CD」が 最 も 取 引 高 が 大 き い 。「 書 籍 ・ CD」は 、自 分 の ニ ー ズ に 適 う商品について、インターネットを通じて幅広い情報を短時間で収集すること ができ、かつ、自分で足を運んで得られる情報やそれに伴うコストと比較考量 した場合、合理的な取引方法と評価することができる。 次 に 、第 2 段 階 の 推 計 を「 付 表 3-3」~「 付 表 3-9」に 示 し た 。本 稿 の 推 計 モ デルの第 2 段階の推計のうち、電子商取引による国内消費者の「年間輸入消費 金額」を求める推計において、外国語の運用レベルに基づく「男女別・年齢別 の国外比率」が必要となる。その「国外比率」を外国語の運用能力を指標とし -52- て 算 出 し た 。「 付 表 3-3」は 、第 一 生 命 保 険 相 互 会 社 の シ ン ク タ ン ク ・ ラ イ フ デ ザ イ ン 研 究 所 が 2002 年 公 表 し た「 外 国 語 で の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 」の 調 査 結 果 (調 査 実 施 2001 年 )を も と に 作 成 し た デ ー タ 6 9 の 一 覧 表 で あ る 。し か し 、当 該 研 究 所 の 調 査 で は 、20 歳 ~ 60 歳 の 男 女 に 係 る 調 査 し か 行 っ て い な い 。そ の た め、本稿では、調査結果のない年代は、直近の年代の数値をそのまま同じ数値 を 使 用 し て 推 計 を お こ な っ た 。 な お 、 こ の 「 付 表 3-3」 の 数 値 の う ち 、 一 定 の 外 国 語 の 運 用 レ ベ ル ( A:「 仕 事 レ ベ ル 」、 B:「 日 常 会 話 レ ベ ル 」 及 び C:「 辞 書 を 片 手 に 読 解 す る レ ベ ル 」)と 回 答 し た 者( A+B+C 集 計 )の 男 女 別 ・ 年 齢 別 の 割 合 を 、 本 稿 で は 、「 海 外 事 業 者 か ら 電 子 商 取 引 を お こ な い う る 最 大 の 輸 入 割 合 」 と捉え、 「 国 外 比 率 」と し て 用 い た 。但 し 、当 該 調 査 は 、社 会 人 を 対 象 と し て お り 、 6 歳 ~ 19 歳 の 取 引 規 模 の 推 計 に 当 該 調 査 結 果 を 反 映 さ せ る こ と は 推 計 を 歪 める恐れがあるため、第 2 段階の推計の対象から除いて、推計を行った。 付 表 3-4 及 び 付 表 3-5 の 「 不 課 税 取 引 に 係 る 品 目 別 の 輸 入 商 取 引 率 」 は 、 付 表 3-1(1)~ (5)及 び 付 表 3-2(1)~ (3)に 掲 載 し て い る「 電 子 商 取 引 の 実 施 時 に 使 用したツール別(パソコン、携帯電話)に各品目に係る年齢別の購入率」に付 表 3-3 の う ち 一 定 の 外 国 語 の 運 用 レ ベ ル ( A+B+C 集 計 ) の 男 女 別 ・ 年 齢 別 の 割 合を年齢別に集約させて乗じて得た率を「海外事業者から電子商取引をおこな い う る 最 大 の 輸 入 割 合 」と す る「 国 外 比 率 」を 示 し た 。「 付 表 3-6 及 び 付 表 3-7 の 「 少 額 免 税 取 引 に 係 る 品 目 別 の 輸 入 商 取 引 率 」 は 、 付 表 3-4 及 び 付 表 3-5 と 同様の処理をおこなって算出した数値である。 推 計 の 第 2 段 階 の 最 終 段 階 で は 、電 子 商 取 引 に よ る デ ジ タ ル 財 の 取 引 は 、 「国 内 消 費 者 の 電 子 商 取 引 に 係 る 品 目 別 の 年 齢 別 の 年 間 消 費 金 額 」 に 付 表 3-4 及 び 付 表 3-5 の「 年 齢 別 の 国 外 比 率 」を 乗 じ 、 「国内消費者の直接的電子商取引に係 る年間品目別・年齢別の輸入消費金額」を推計した。この推計結果を前掲の表 3-13 に 示 し て い る 。な お 、詳 細 は 、本 稿 末 尾 に 添 付 す る「 付 表 3-8( 1)~ (2)」 の「 不 課 税 取 引( デ ジ タ ル 財 の 購 入 )に 係 る 消 費 税 収 損 失 額( 推 計 値 )」を 示 し た。 6 9 客 観 的 な 英 語 運 用 能 力 が 把 握 可 能 な 統 計 と し て 、 TOEIC のスコアなどが適当と 考 え た が 、( 財 ) 国 際 ビ ジ ネ ス コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 協 会 TOEIC 運 営 委 員 会 で は 、 年 齢 別・男 女 別 の ス コ ア の 人 数 比 は 非 公 開 の た め 、入 手 可 能 な 資 料 を 用 い て 推 計 を 行った。 -53- 他 方 、間 接 的 電 子 商 取 引 に よ る 少 額 貨 物 免 税 の 適 用 を 受 け る 取 引 は 、 「国内消 費者の電子商取引に係る品目別の男女別・年齢別の年間消費金額」について、 付 表 3-6 及 び 付 表 3-7 に 示 し た「 男 女 別・年 齢 別 の 国 外 比 率 」を 乗 じ て 、 「国内 消 費 者 の 間 接 的 電 子 商 取 引 に 係 る 年 間 品 目 別 の 男 女 別・年 齢 別 の 輸 入 消 費 金 額 」 を 推 計 し た 。推 計 結 果 を 前 掲 の 表 3-14 に 示 し た 。な お 、詳 細 は 、本 稿 末 尾 の「 付 表 3-9 少 額 貨 物 免 税 適 用 に 係 る 消 費 税 収 損 失 額 ( 推 計 値 )」 を 参 照 さ れ た い 。 (3)推 計 の 考 察 推 計 を 行 っ た 結 果 、「 直 接 的 電 子 商 取 引 」 に 起 因 す る 税 収 損 失 額 は 、 約 34.7 億 円 ( 2005 年 ・ 推 計 値 ) で あ り 、 他 方 「 間 接 的 電 子 商 取 引 」 に 起 因 す る 税 収 損 失 額 は 、 約 199.4 億 円 ( 2005 年 ・ 推 計 値 ) で 合 計 で 約 234.1 億 円 と 算 定 さ れ 、 税収に与えるインパクトは、直接的電子商取引によるデジタル財の取引よりも 間接的電子商取引による少額の輸入取引が増大していることが判明した。 現 行 の 消 費 税 法 で は 、「 少 額 免 税 制 度 」 に よ り 、 外 国 か ら 調 達 し た 「 財 」 が 、 日本国内で消費されるにも関わらず、現行法上、消費税が免除されている。ま た、電子商取引によりインターネットを通じた海外事業者から電子商取引によ るデジタル財の購入は、 「 事 業 者 の 事 務 所 等 の 所 在 地 」を 内 外 判 定 の 基 準 と す る た め 、国 外 と 判 定 さ れ 、消 費 税 の 課 税 の 対 象 に す ら な ら な い 。 「 直 接 的 」及 び「 間 接的」電子商取引は、わが国の消費税の課税の中立性を歪めるだけでなく、わ が国の消費税収を減少させている。 国 際 間 の 電 子 商 取 引 の 消 費 課 税 に 関 す る 先 行 研 究 の 多 く は 、BtoC 間 の デ ジ タ ル財の輸入取引の課税規定の不備を指摘し、早急に輸入デジタル財に係る消費 税 法 の 整 備 を 主 張 す る も の が 目 立 つ 。こ れ に 対 し 、本 稿 は 、2005 年 ベ ー ス の 推 計を行った結果、先行研究で指摘する国際間の役務提供に係る課税規定の導入 だ け で な く 、 消 費 税 法 施 行 令 第 6 条 2 項 7 号 の 規 定 改 正 と 、 輸 徴 法 第 13 条 1 項の少額貨物免税制度の撤廃をワンセットとした同時見直しを提案する。この 提 案 の 理 由 と し て 、外 国 貨 物 に 係 る 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 免 税 制 度 が 温 存 さ れ た 場 合 に は 、 国 内 消 費 者 は 、 商 品 代 金 、 輸 送 費 及 び 保 険 料 の 合 計 額 ( CIF 価 格 ) が 1 万 円 以 下 で 、 な お か つ 、 輸 送 コ ス ト 等 が 商 品 価 格 の 5% よ り 低 い と き 、 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 免 税 制 度 を 利 用 し 、間 接 的 電 子 商 取 引 を 選 択 す る イ ン セ ン テ -54- ィブが強く働くものと考えられる。特に、将来、わが国の消費税率が引き上げ た場合、今以上に少額貨物免税の適用を受けようとするインセンティブがより 強く働くと予測される。従って、消費税法に輸入取引の「電子貨物」の課税規 定の導入と併せて、消費税法施行令第 6 条 2 項 7 号の内外判定の規定が限定適 用 さ れ る よ う 改 正 す べ き と 考 え る 。加 え て 、輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 免 税 制 度 の 撤 廃を含め、これら 3 つの規定を同時に見直すことを提言する。 この見直しにより、わが国の消費課税の中立性が確保されるとともに、消費 税収の確保に繋がるものと考える。 -55- 第4章 今後のあるべき姿 本 稿 で は 、 国 際 間 の 電 子 商 取 引 の BtoC 取 引 を 中 心 と し た 消 費 税 の 課 税 漏 れ に対して、焦点を当てて考察した。 まず、第 1 章では、国際間の電子商取引における消費税法の問題点を確認 し た 。現 行 の わ が 国 の 消 費 税 法 で は 、 「 役 務 の 提 供 」の 輸 入 取 引 を 課 税 す る 規 定 が ないことを確認した。内外判定の観点から考察した結果、役務の提供がおこな われた場所が明らかでない場合には、消費税法施行令第 6 条 2 項 7 号により、 役務の提供に係る「事業者の事務所等所在地基準」により判定される。ところ が、近年、増加する電子商取引では「事業者の事務所等所在地」と「役務の提 供が行われる場所」が国内と国外にそれぞれが所在しており、そのような状況 の 下 で は 、 現 行 の 内 外 判 定 が 適 切 に 機 能 せ ず 、「 国 外 取 引 」 と 判 定 さ れ る 。 IT の進展が、内外判定の基準を形骸化させ、課税漏れを生じさせることがわかっ た。また、国際間の「財」の取引は「仕向地原則」で統一されているが、国際 間の「サービス」の取引は「仕向地原則」と「原産地原則」の考え方の両方の 課税原則が混在適用され、国家間で不統一となっている。その事が二重課税、 或いは二重免除の原因となっている。また、国際間の「財」の取引の場合は、 第三者から客観的に把握することができ、課税の取扱いも明快となる。他方、 「サービス」取引については、視覚的に捉えられないため、どの時点で消費と みなし課税するかの判定が難しく、各国間での解釈の幅が課税の不統一を招い て い る 。こ れ に 加 え 、電 子 商 取 引 に よ る BtoC 取 引 は 、最 終 消 費 に 該 当 す る た め 、 最終消費者が購入する時点で適切に課税できていない場合、完全な課税漏れが 発 生 す る 。他 方 、BtoB 取 引 は 、国 際 間 の 電 子 商 取 引 に よ り デ ジ タ ル 財 等 の 役 務 の提供を外国事業者から受けた場合、基本的に「業務上の仕入れ」に該当する ため、電子商取引によるデジタル財等の役務の提供を受けた時点では、課税漏 れとなるものの、仕入れた資産に付加価値を加えて、国内での販売時点で消費 税 の 課 税 の メ カ ニ ズ ム が 回 復 し 、課 税 漏 れ が 解 消 さ れ る 。し か し 、BtoB 取 引 で あっても純粋サービスと言われる広告・業務運営上のコンサルティングなどの 「 最 終 消 費 者 」の 側 面 が 強 い と 考 え ら れ る 場 合 は 、消 費 税 の 課 税 の 構 造 上 、BtoC 取引と同様の問題が生じると考えられる。 -56- 輸 徴 法 第 13 条 1 項 に 基 づ く 、国 際 間 の 電 子 商 取 引 に よ り 発 注 し 、商 品 を 輸 入 する少額の外国貨物は、消費税が免除されている。課税価格の合計額 1 万円以 下 の 小 口 商 品 の 取 引 が 行 わ れ る BtoC 取 引 で は 、消 費 税 を 免 れ る こ と に な る 。国 際 間 の「 財 」の 取 引 は 、 「 仕 向 地 原 則 」が 適 用 さ れ 、国 際 的 な 統 一 ル ー ル と な っ て い る 。 従 っ て 、 輸 出 国 側 で 課 税 が 免 除 さ れ 、 わ が 国 に お い て も 輸 徴 法 第 13 条 1 項による免税によって「二重免除」が発生している。この免税制度の存在 が、日本国内で調達した消費支出に対しては、消費税が課税されるが、インタ ーネットを通じて、海外事業者から調達した消費支出には、課税されないとい う課税上の問題を明確に示した。 第 2 章 で は 、こ れ ら の 問 題 を 先 行 し て 取 り 組 ん で い る EU の 仕 組 み や OECD が提唱する「消費課税のモデル条約」などについて検討した。 EU を と り ま く 背 景 と し て 、経 済 統 合 や 国 税 歳 入 に 占 め る 消 費 税 収 に 関 し て 、 わ が 国 は 約 20% で あ る の に 対 し 、フ ラ ン ス な ど は 付 加 価 値 税 に 依 存 し た 税 体 系 となっている特殊事情がある。これらの特殊事情に基づく「事業者登録制度」 の 導 入 は 、EU 加 盟 国 の 協 力 を 前 提 に 機 能 し て い る 仕 組 み で あ る 。し か し 、 「事 業者登録制度」による申告納付は、海外事業者にとって事務負担が大きく、経 済活動の阻害となるものと考えられ、わが国は、この方法に追従するべきか慎 重に考えるべきであろう。 こ れ に 対 し 、 OECD の 「 ガ イ ド ラ イ ン 案 」 は 、 一 般 的 な 内 容 に 終 始 し て い る が 、消 費 課 税 に お け る 最 初 の 国 際 ル ー ル の 基 準 案 で あ る 点 や OECD 加 盟 国 が 一 致 し て 支 持 し た 基 準 案 と い う 点 で 、 果 た し た 役 割 は 大 き い 。 本 稿 は 、 OECD の 提案のうち、 「 租 税 条 約 」が 、わ が 国 の 消 費 課 税 上 の 問 題 を ク リ ア さ せ る 1 つ の 手段と考える。租税条約は、基本的に直接税に対して用いられるもので、国家 間の課税権を調整し、二重課税や脱税を防ぐ役割を担っている。租税条約で締 結 し た 内 容 と 国 内 法 の 規 定 が 競 合 す る 場 合 、憲 法 で 条 約 優 先 と な り「 租 税 条 約 」 が「 国 内 法 」に 優 先 し て 適 用 さ れ る 仕 組 み と な っ て い る 。す な わ ち 、 「消費課税 に 関 す る 租 税 条 約 」を つ く り 、取 引 相 手 国 と 締 結 し て お け ば 、 「 租 税 条 約 」が 優 先適用されるので、二重課税、或いは二重免除のような課税上の問題の解消が 期待される。但し、国際間の電子商取引に対し、どのようにして「消費地」の 確認を行うのか、また、消費課税の仕組みにおいて、取引相手が「消費者」な -57- のか、それとも「事業者」なのか、これら課税要件を正しく識別し、拾い上げ ていくことが、今後の重要な課題となる。 次に第 3 章においては、第 1 章及び第 2 章を通じて確認した問題に基づき、 電 子 商 取 引 が 及 ぼ す 消 費 税 収 損 失 額 の 推 計 を 行 な っ た 。本 稿 で 推 計 を し た 結 果 、 直接的電子商取引よりも、間接的電子商取引(少額貨物免税)が増大している ことが判明した。本稿では、国際間の電子商取引によるデジタル財の取引につ いて、輸入取引に「電子貨物」の課税規定を新たに加えるとともに、消費税法 施行令第 6 条 2 項 7 号の「内外判定」の規定を事業者及び消費者が同一国内で 当該役務の提供を授受した場合に限定適用されるよう、改正が必要と考える。 併せて、 「 電 子 税 関 」を 設 け る こ と を 提 案 す る 。他 方 、推 計 に よ り 、大 き な イ ン パ ク ト を 有 す る こ と が 判 明 し た「 間 接 的 電 子 商 取 引 」に 関 し て は 、輸 徴 法 第 13 条 1 項の少額貨物免税制度を撤廃することが必要と考える。これら「直接的」 及び「間接的」電子商取引の両面に対して、同時に見直しを行うことで、国際 間の電子商取引における消費課税の問題が改善するものと考える。 <改善の方策> ①電子商取引による役務の提供を輸入取引として規定するための方策 国際間の電子商取引における役務の提供に対する消費課税について、デジタ ル 財 の ダ ウ ン ロ ー ド な ど の 場 合 、決 済 方 法 に ク レ ジ ッ ト が 用 い ら れ 、即 時 決 済 、 即時納品のビジネス・モデルとなっている。従って、一般的にネットオークシ ョ ン の 場 合 の 決 済 と ほ ぼ 同 じ 流 れ と な る 。そ こ で 、現 在 Yahoo オ ー ク シ ョ ン で 使 用 さ れ て い る 「 Yahoo か ん た ん 決 済 」 と い う 仕 組 み を 活 用 す る こ と を 提 案 す る。 「 Yahoo か ん た ん 決 済 」は 、Yahoo が 売 り 手 と 買 い 手 の 間 の 決 済 及 び 商 品 発 送を取次ぐ仕組みがある。アメリカには、この仕組みを事業として展開してい る「 PayPal」と い う 企 業 が あ る 。 「 PayPal」は 、1998 年 に ア メ リ カ の カ リ フ ォ ル ニ ア 州 で 設 立 さ れ 、 Yahoo か ん た ん 決 済 と 同 様 の オ ン ラ イ ン 決 済 サ ー ビ ス に 特 化 し た 事 業 を 行 っ て い る 。 現 在 、 世 界 中 に 約 1 億 5,300 万 人 の 顧 客 を 有 し 、 世 界 190 の 市 場 と 18 の 通 貨 が 利 用 で き る オ ン ラ イ ン 決 済 ソ リ ュ ー シ ョ ン 分 野 -58- の 草 の 根 的 な 存 在 で あ る 7 0 。 こ の 「 PayPal」 に 電 子 商 取 引 に お け る 消 費 税 の 特 別 徴 収 義 務 者 と す る こ と で 、 こ れ ま で 、「 PayPal」 が オ ン ラ イ ン 決 済 業 務 に お いて世界各国で培ってきた決済システム及び個人情報の管理などのノウハウを 活用でき、解決のための 1 つの道筋と考える。但し、電子商取引の輸入取引に 係 る 各 国 の 関 税 や 個 別 消 費 税 、送 料 、保 険 料 、商 品 代 金 及 び 各 国 の 消 費 税 率( 付 加 価 値 税 率 )を 使 っ て 、手 間 の か か る 計 算 を し な け れ ば な ら な い 。ま た 、OECD が提唱する「消費課税のモデル条約」を特定の国家間で締結するのであれば、 締 結 内 容 を 適 切 に 反 映 が 必 要 と な り 、適 切 な 課 税 が 行 え る か は 至 難 の 業 で あ る 。 それを一企業に負担させることは、無理である。ところが、これらの複雑な税 額 計 算 を 安 定 的 に 行 え る シ ス テ ム ソ リ ュ ー シ ョ ン が あ れ ば 、「 PayPal」 に 委 託 す る 方 法 も 可 能 と な る 。 第 2 章 の 2.5 で 触 れ た ボ ス ト ン 大 学 の リ チ ャ ー ド ・ ト ンプソン・アインワース教授の論文において、輸入取引に係る複雑な税額計算 の ソ リ ュ ー シ ョ ン に つ い て 紹 介 し て い る 7 1 。「 IT-APA」 と い う ソ フ ト ウ ェ ア ソ リューションは、本来、移転価格税制の対応ソフトとして開発されたものであ り、所得税、関税、消費税(付加価値税)の税額計算に必要なデータをプログ ラムすることで、税額を自動計算させるソフトである。このソフトウェアの一 部 は 、「 売 上 税 簡 素 化 イ ニ シ ア チ ブ ( SSTI )」 と い う 名 前 で 、 既 に ア メ リ カ の 21 の 州 に お い て 金 銭 の 払 い 込 み だ け で な く 、租 税 判 定 、確 定 申 告 書 提 出 、記 録 保 持 シ ス テ ム と し て 完 全 に 機 能 し て い る こ と が 論 文 で 述 べ ら れ て い る 72 。 OECD を 中 心 に こ の「 IT-APA」を 共 同 開 発 し た 上 で 、完 成 し た ソ フ ト ウ ェ ア を 「 PayPal」に 無 償 で 提 供 す る こ と で 、当 面 の 間 、電 子 商 取 引 に 係 る 消 費 税 の 特 別徴収義務者として機能させる方法を本稿では提案する。 こ れ と は 全 く 別 の 視 点 で 、 本 稿 の 2 章 で 紹 介 し た EU の 「 顧 客 基 準 」 に よ る 「国内取引」に擬制する方法を検討した場合、日本の消費税法上、仕入税額控 除には、①原則と②みなし仕入率の 2 通りの方法がある。日本の消費税の 仕入 税額控除をする場合、事業者は、帳簿及び請求書の備え付けが必要であり、課 税 売 上 割 合 に 応 じ 、仕 入 税 額 の 計 算 方 法 が 異 な る な ど 、申 告 手 続 が 複 雑 と な る 。 70 71 72 PayPal の HP 参 照 。 (http://www.paypal.com/j1/cgi-bin/) Ainsworth・ 前 掲 ( 注 58) 参 照 。 Ainsworth・ 前 掲 ( 注 58) 参 照 。 -59- 日本の消費課税制度の下では、一定の免税点を設けたとしても、日本の税務に 不 慣 れ な 外 国 事 業 者 に と っ て は 、 申 告 手 続 及 び 英 語 圏 で あ る EU と は 異 な り 言 語の面でも、申告手続の負担は、相当大きいものと考えられ、簡素な仕組みと ならないことから、本稿ではこの案を採用しなかった。 ② 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 少 額 貨 物 免 税 制 度 の 廃 止 に 伴 う 方 策 輸 徴 法 第 13 条 1 項 の 少 額 貨 物 免 税 制 度 の 廃 止 に 伴 い 、 ど の よ う な 方 法 で 、 す べ て の 輸 入 貨 物 に 対 す る 消 費 課 税 に つ い て は 、第 1 章 の 1.5( 2)で 述 べ た と お り 、 2004 年 3 月 22 日 よ り 運 用 開 始 の 「 マ ル チ ペ イ メ ン ト ネ ッ ト ワ ー ク 」 を 活用することで、徴税コストを最小限に押さえた消費課税を実現させることで きると考える。但し、このシステムが外国貨物に係る消費税の徴収に活用され ていない点や多くの納税者に普及していない点を善処していく必要がある。今 後、郵便事業株式会社と連携して、外国からの少額貨物に対し、このシステム を最大限活用しながら、消費税の徴収手続きの簡素化を図っていく事で改善が 可能と考える。 従来、日本の消費税制改革における問題意識は、税率の引上げ、複数税率の 採 用 の 検 討 及 び 中 小 事 業 者 に 対 す る 特 例 措 置 の「 免 税 点 制 度 」、 「簡易課税制度」 に起因する「益税問題」の縮小にあり、これらの議論が重ねられてきた。昨今 のグローバル経済の下で、国際間の電子商取引が増加する中で、課税要件の議 論 は 、 2000 年 の 政 府 税 制 調 査 会 で 取 り 上 げ ら れ て 以 降 、 目 立 っ た 動 き が な い 。 しかし、年々、電子商取引の市場規模が拡大しており、早急な対応が必要であ ると考える。国際課税において、今後、どのような種類、分野の役務の提供の 伸びが見込まれるか内容を踏まえ、わが国の消費課税が経済活動を阻害してい な い か 、又 、消 費 課 税 の 中 立 を 歪 め な い か 検 証 を し て い く こ と が 重 要 と 考 え る 。 -60- おわりに 現行の消費税法は、多段階一般消費税を採用しており、課税の対象が物品だ けでなく、サービスへ広く課税することを基本としている。近年、商品のサー ビス化が進み、物品とサービスの互換性が高まる中で、国際間のサービスも可 能な限り物品と等しく課税されるべきであると考える。かつて、わが国では、 消費者のライフスタイルの多様化により「物品税」が対応しきれなくなり、現 在の「消費税」へと移行した。この場合と同様に、国際間の電子商取引におい て、課税の限界に直面している。 財の取引と経済的にほぼ同質の経済効果が得られる「役務の提供」へとシフ ト し て お り 、消 費 税 法 施 行 令 第 6 条 2 項 1 号 か ら 7 号 に 当 て は ま る サ ー ビ ス 取 引が増加している。輸入取引は、保税地域から引き取られる「外国貨物」に対 し て は 、 課 税 す る 規 定 が あ る ( 消 費 税 法 第 4 条 2 項 )。 一 方 、「 役 務 の 提 供 」 に 関して、現行法の「内外判定」が適切に機能しない。わが国の消費税は物品及 びサービスに対する幅広く課税する「多段階一般消費税」が実現されることが 望ましく、課税の中立性と税収の確保に努めていくべきである。 本 稿 の 第 3 章 の 推 計 結 果 よ り 、 直 接 的 電 子 商 取 引 と 比 べ て 約 5.7 倍 の イ ン パ クトを有することが判明した少額貨物免税制度は廃止し、財務省により考案さ れた「マルチペイメントネットワーク」を最大限活用していくべきであろう。 郵便事業株式会社がこのシステムの活用を通じて、最終的にすべての外国貨物 に等しく消費税の課税を実現させていくための1つの道筋と考える。今後の課 題は、いかに中立かつ効率的な消費課税を実現していくかという点にある。 現 行 法 上 の 法 的 問 題 点 と し て 、「 BtoC 取 引 」 の 場 合 、「 役 務 の 提 供 」 の 輸 入 取 引 の 課 税 規 定 が な い こ と 及 び「 少 額 貨 物 免 税 制 度 」に 関 し て 、 「直接的電子商 取引」及び「間接的電子商取引」の両面で完全な課税漏れが生じている。今一 度 、消 費 課 税 の 基 本 に 立 ち 返 り 、 「 役 務 の 提 供 」も 仕 向 地 原 則 に よ り 統 一 し 、消 費 地 で 課 税 が 行 わ れ る べ き で あ る 。そ し て 、 「 直 接 的 電 子 商 取 引 」は 、輸 入 取 引 の「電子貨物」と明確に位置付け、わが国の消費税の課税ベースに組み込むこ とが問題の本質的な解決に繋がるものと考える。 以 -61- 上 <参考文献> 金 子 宏 ( 2007)『 租 税 法 第 12 版 』 弘 文 堂 . 川 端 康 広 ( 2000)「 電 子 商 取 引 を め ぐ る 国 際 課 税 の あ り 方 に つ い て の 問 題 提 起 」 『総合税制研究』. 黒 澤 盛 章( 2007) 「新しい市場形態の発展による消費税制のあり方-デジタル財 の 電 子 商 取 引 課 税 - 」『 経 済 研 究 』 第 7 号 東 京 国 際 大 学 大 学 院 経 済 学 研 究 科 佐 藤 正 勝 (2003) 「国際課税電子商取引と課税-最近の動向」 『 租 税 研 究 』2 月 号 . 高 橋 秀 雄 ( 2001)『 電 子 商 取 引 の 動 向 と 展 望 』 税 務 経 理 協 会 . 高 山 政 信 ・ 小 澤 進 ( 2004)『 国 際 税 務 ガ イ ド ブ ッ ク 6 訂 版 』 財 経 詳 報 社 . 玉 岡 雅 之 (2006)『 課 税 主 義 の 財 政 学 』 . 辻 富 久( 2002) 『 電 子 商 取 引 に 伴 う 課 税 ベ ー ス の 浸 食 (上 )』税 経 通 信 57 巻 5 号 . 辻 富 久 (2002)「 電 子 商 取 引 の 発 展 に 伴 う 課 税 ベ ー ス の 侵 食 に つ い て ( 下 )」『 税 経 通 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PayPal(http://www.paypal.com/j1/cgi-bin/)ア ク セ ス 日 2008/12/20. -64- ( <付 -65- 表> ) 全 体 (回答者全体) 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68 1% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 人口(万人) 834 899 1,563 1,849 1,581 1,905 854 743 1,190 634 12,052 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 12,052 I・N利用率 23.4% 7.7% 11.4% 6 1% 6.1% 7.5% 13.1% 13.2% 11.7% 11.9% 45.5% 40.0% 60.7% 57 4% 57.4% 54.5% 52.8% 51.6% 27.4% 7.2% - (%) (%) 2.5% 購入率 利用率 50,000 7,563 8,205 9 519 9,519 10,065 9,579 9,268 7,734 6,139 2,167 (円) 年間平均購入額 うち、PCソフト、周辺機器、 OS等の購入者 パソコンからインターネット利用 インターネット利用者 401 億円 (年間購入金額・推計値) 2005年 周辺機器 PCソフト <PCソフト・周辺機器> 7.4% 6.1% 7.6% 6 5% 6.5% 9.2% 26.8% 32.2% 37.3% 46.3% 13.5% (%) 利用率 - - - - 0.80% 1.60% 2.10% 1.90% 0.90% - (%) 購入率 50,000 17,378 3,371 6 639 6,639 3,223 3,380 3,484 4,126 5,454 3,282 (円) 年間平均購入額 うち、PCソフト、周辺機器、 OS等の購入者 携帯電話からインターネット利用 - (円) パソコン 10,000 - - - - 36,561,123 213,282,731 409,480,347 431,917,121 191,756,396 - (円) 携帯電話 38,794,317,347 1,282,997,718 2,733,440,813 778,948,910 2,173,305,115 1 939 426 730 1,939,426,730 6,340,929,977 9,750,112,048 10,972,091,176 3,662,261,538 443,801,040 付表3-1 (1)不課税取引となるPCソフト・周辺機器の年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) - (円) 合計金額 40,077,315,065 2,733,440,813 778,948,910 2,173,305,115 1 939 426 730 1,939,426,730 6,377,491,100 9,963,394,779 11,381,571,523 4,094,178,660 635,557,435 購入額 400.8 27.3 7.8 21.7 19 4 19.4 63.8 99.6 113.8 40.9 6.4 - (億円) 合計金額 100,000,000 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 834 899 1,563 1,849 1,581 1,905 854 743 1,190 634 12,052 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 全 体 8.10% 634 12,052 計 68.1% 854 60~64歳 80歳以上 80.9% 1,905 50~59歳 51.5% 93.1% 1,581 40~49歳 28.1% 94.0% 1,849 30~39歳 743 94.5% 1,563 20~29歳 1,190 93.9% 899 13~19歳 70~79歳 65.9% 834 6~12歳 65~69歳 I・N利用率 (回答者全体) 2005年 人口(万人) (不課税取引) ② 着うたDL 全 体 I・N利用率 (回答者全体) 2005年 23.4% 7.7% 11.4% 6.1% 7.5% 13.1% 13.2% 11.7% 11.9% 2.5% (%) 利用率 50,000 7,563 8,205 9,519 10,065 9,579 9,268 7,734 6,139 2,167 (円) 年間平均購入額 インターネット利用者 54.5% 20.0% 7.6% 16.9% 17.7% 30.0% 37.8% 46.1% 50.8% 18.4% (%) 購入率 - - - 5.6% 3.1% 4.8% 5.4% 10.2% 15.8% 18.4% (%) 購入率 50,000 7,563 8,205 9,519 10,065 9,579 9,268 7,734 6,139 2,167 (円) 年間平均購入額 うち、着うたDL 購入者 パソコンからインターネット利用 23.4% 7.7% 11.4% 6.1% 7.5% 13.1% 13.2% 11.7% 11.9% 2.5% (%) 利用率 うち、音楽DL 購入者 パソコンからインターネット利用 インターネット利用者 ①+②= 1,414 億円 (年間購入金額・推計値) 人口(万人) (不課税取引) ① 音楽DL <音楽コンテンツ> - 19.30% 30.80% 55.70% 27.70% 29.20% 32.70% 42.40% 50.30% 40.20% (%) 購入率 50,000 17,378 3,371 6,639 3,223 3,380 3,484 4,126 5,454 3,282 (円) 年間平均購入額 7.4% 6.1% 7.6% 6.5% 9.2% 26.8% 32.2% 37.3% 46.3% 13.5% (%) 利用率 - 19.30% 30.80% 59.90% 64.50% 75.60% 79.60% 86.00% 89.40% 82.90% (%) 購入率 50,000 17,378 3,371 6,639 3,223 3,380 3,484 4,126 5,454 3,282 (円) 年間平均購入額 うち、着うたDL購入者 携帯電話からインターネット利用 7.4% 6.1% 7.6% 6.5% 9.2% 26.8% 32.2% 37.3% 46.3% 13.5% (%) 利用率 うち、音楽DL購入者 携帯電話からインターネット利用 54,805,401 (円) パソコン 10,000 - 684,149,626 302,044,989 1,398,658,030 1,265,928,899 3,892,409,833 6,376,193,975 9,638,571,552 10,717,051,896 979,275,784 (円) 携帯電話 - 684,149,626 302,044,989 1,504,122,370 2,947,740,578 10,077,609,018 15,521,255,058 19,549,932,865 19,047,801,979 2,019,451,804 (円) 携帯電話 4,976,530,803 71,654,108,288 - - - 189,212,364 360,676,751 886,373,823 1,148,242,100 1,363,323,638 973,896,726 54,805,401 (円) パソコン 10,000 29,491,357,933 35,254,284,585 3,274,121,414 389,474,455 272,110,690 571,015,884 2,059,347,901 5,539,836,391 8,037,694,699 6,161,688,209 3,131,262,891 付表3-1 (2)不課税取引となる音楽コンテンツの年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) (円) 合計金額 (円) 合計金額 76,630,639,091 - 684,149,626 302,044,989 1,693,334,734 3,308,417,329 10,963,982,841 16,669,497,158 20,913,256,504 20,021,698,705 2,074,257,205 購入額 64,745,642,518 3,274,121,414 1,073,624,080 574,155,679 1,969,673,914 3,325,276,800 9,432,246,224 14,413,888,673 15,800,259,761 13,848,314,787 1,034,081,185 購入額 766.3 - 6.8 3.0 16.9 33.1 109.6 166.7 209.1 200.2 20.7 (億円) 合計金額 100,000,000 647.5 32.7 10.7 5.7 19.7 33.3 94.3 144.1 158.0 138.5 - (億円) 合計金額 100,000,000 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 全 体 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳 13~19歳 6~12歳 (不課税取引) ② 待受け画面DL 全 体 30~39歳 20~29歳 13~19歳 6~12歳 (不課税取引) ① 映像DL (回答者全体) 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 人口(万人) 834 899 1,563 1,849 1,581 1,905 854 743 1,190 634 12,052 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 834 899 1,563 1,849 1,581 1,905 854 743 1,190 634 12,052 I・N利用率 (回答者全体) 人口(万人) 2005年 I・N利用率 2005年 2.5% 11.9% 11.7% 13.2% 13.1% 7.5% 6.1% 11.4% 7.7% 23.4% (%) 利用率 2,167 6,139 7,734 9,268 9,579 10,065 9,519 8,205 7,563 50,000 (円) 年間平均購入額 インターネット利用者 18.7% 20.7% 16.8% 32.0% 27.5% 20.0% 6.7% 7.6% 20.0% 54.5% (%) 購入率 うち、映像DL 購入者 6.1% 11.0% 8.7% 5.0% 3.9% 2.1% - (%) 購入率 2,167 6,139 7,734 9,268 9,579 10,065 9,519 8,205 7,563 50,000 (円) 年間平均購入額 うち、待受け画面DL 購入者 パソコンからインターネット利用 2.5% 11.9% 11.7% 13.2% 13.1% 7.5% 6.1% 11.4% 7.7% 23.4% (%) 利用率 パソコンからインターネット利用 インターネット利用者 ①+②= 670 億円 (年間購入金額・推計値) 11.40% 17.10% 11.10% 11.70% 9.10% 5.70% 6.10% 10.80% 100.00% (%) 購入率 3,282 5,454 4,126 3,484 3,380 3,223 6,639 3,371 17,378 50,000 (円) 年間平均購入額 うち、映像DL購入者 13.5% 46.3% 37.3% 32.2% 26.8% 9.2% 6.5% 7.6% 6.1% 7.4% (%) 利用率 37.50% 48.10% 36.90% 27.80% 28.30% 16.90% 11.30% 21.70% 19.30% - (%) 購入率 3,282 5,454 4,126 3,484 3,380 3,223 6,639 3,371 17,378 50,000 (円) 年間平均購入額 うち、待受け画面DL購入者 携帯電話からインターネット利用 13.5% 46.3% 37.3% 32.2% 26.8% 9.2% 6.5% 7.6% 6.1% 7.4% (%) 利用率 携帯電話からインターネット利用 (円) パソコン 10,000 18,169,182 678,029,366 1,162,834,868 1,063,187,129 720,178,731 244,329,412 3,886,728,688 (円) パソコン 10 000 10,000 55,698,967 1,275,927,989 2,245,474,228 6,804,397,628 5,078,183,358 2,326,946,781 226,379,078 272,110,690 389,474,455 3,274,121,414 21,948,714,588 付表3-1 (3)不課税取引となる映像コンテンツの年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) <映像コンテンツ> 913,503,530 10,248,314,040 8,388,285,148 5,420,739,832 3,772,438,297 772,353,733 283,749,295 212,804,424 684,149,626 30,696,337,925 (円) 携帯電話 277,705,073 3,643,371,519 2,523,305,288 2,281,390,505 1,213,045,530 260,498,005 153,174,398 105,911,879 1,899,827,371 12,358,229,569 (円) 携帯電話 (円) 合計金額 (円) 合計金額 931,672,712 10,926,343,406 9,551,120,016 6,483,926,961 4,492,617,027 1,016,683,145 283,749,295 212,804,424 684,149,626 34,583,066,613 購入額 333,404,041 4,919,299,508 4,768,779,516 9,085,788,133 6,291,228,888 2,587,444,785 379,553,477 378,022,569 389,474,455 3,274,121,414 32,407,116,786 購入額 9.3 109.3 95.5 64.8 44.9 10.2 2.8 2.1 6.8 345.8 (億円) 合計金額 100 000 000 100,000,000 49.2 47.7 90.9 62.9 25.9 3.8 3.8 3.9 32.7 324.1 (億円) 合計金額 100,000,000 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 全 体 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳 13~19歳 6~12歳 (不課税取引) ② ニュース配信 全 体 20~29歳 13~19歳 6~12歳 (不課税取引) ① 電子書籍DL (回答者全体) 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 人口(万人) 834 899 1,563 1,849 1,581 1,905 854 743 1,190 634 12,052 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 834 899 1,563 1,849 1,581 1,905 854 743 1,190 634 12,052 I・N利用率 (回答者全体) 人口(万人) 2005年 I・N利用率 2005年 2.5% 11.9% 11.7% 13.2% 13.1% 7.5% 6.1% 11.4% 7.7% 23.4% (%) 利用率 2,167 6,139 7,734 9,268 9,579 10,065 9,519 8,205 7,563 50,000 (円) 年間平均購入額 インターネット利用者 6.4% 4.0% 4.9% 3.9% 4.4% 5.1% 11.3% 24.1% 100.0% (%) 購入率 うち、電子書籍DL 購入者 6.4% 8.8% 8.9% 14.4% 12.7% 13.4% 13.4% 22.8% 40.0% - (%) 購入率 2,167 6,139 7,734 9,268 9,579 10,065 9,519 8,205 7,563 50,000 (円) 年間平均購入額 うち、ニュース配信 購入者 パソコンからインターネット利用 2.5% 11.9% 11.7% 13.2% 13.1% 7.5% 6.1% 11.4% 7.7% 23.4% (%) 利用率 パソコンからインターネット利用 インターネット利用者 ①+②= 426 億円 (年間購入金額・推計値) 3.00% 2.40% 1.20% 2.70% 1.40% 2.40% 100.00% (%) 購入率 3,282 5,454 4,126 3,484 3,380 3,223 6,639 3,371 17,378 50,000 (円) 年間平均購入額 うち、電子書籍DL購入者 13.5% 46.3% 37.3% 32.2% 26.8% 9.2% 6.5% 7.6% 6.1% 7.4% (%) 利用率 2.80% 9.80% 15.60% 23.70% 19.80% 22.90% 16.50% 18.30% 38.60% 100.00% (%) 購入率 3,282 5,454 4,126 3,484 3,380 3,223 6,639 3,371 17,378 50,000 (円) 年間平均購入額 うち、ニュース配信 購入者 携帯電話からインターネット利用 13.5% 46.3% 37.3% 32.2% 26.8% 9.2% 6.5% 7.6% 6.1% 7.4% (%) 利用率 携帯電話からインターネット利用 (円) パソコン 10,000 (円) 携帯電話 73,080,282 511,350,389 272,789,761 526,474,732 186,622,389 109,683,370 1,899,827,371 3,579,828,294 (円) 携帯電話 19,062,748 68,208,264 542,423,493 2,088,014,087 1,189,566,704 3,546,266,892 3,061,978,933 4,621,278,202 2,345,197,406 2,639,373,791 1,559,054,343 1,046,562,159 452,758,156 414,324,192 816,332,070 179,461,796 778,948,910 1,368,299,251 1,899,827,371 10,765,322,762 17,871,616,004 (円) パソコン 10,000 19,062,748 246,556,133 654,929,983 829,285,961 812,509,337 593,371,429 381,803,520 862,877,319 6,007,562,227 10,407,958,658 付表3-1 (4)不課税取引となる文字コンテンツの年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) <文字コンテンツ> (円) 合計金額 (円) 合計金額 87,271,012 2,630,437,580 4,735,833,596 7,683,257,135 4,984,571,196 2,605,616,502 867,082,349 995,793,865 2,147,248,161 1,899,827,371 28,636,938,766 購入額 92,143,031 757,906,522 927,719,744 1,355,760,693 999,131,727 703,054,799 381,803,520 862,877,319 7,907,389,598 13,987,786,952 購入額 0.9 26.3 47.4 76.8 49.8 26.1 8.7 10.0 21.5 19.0 286.4 (億円) 合計金額 100,000,000 0.9 7.6 9.3 13.6 10.0 7.0 3.8 8.6 79.1 139.9 (億円) 合計金額 100,000,000 全 体 8.10% 12052 計 68.1% 854 60~64歳 634 80.9% 1905 50~59歳 80歳以上 93.1% 1581 40~49歳 28.1% 94.0% 1849 30~39歳 51.5% 94.5% 1563 20~29歳 743 93.9% 899 13~19歳 1190 65.9% 834 6~12歳 70~79歳 (回答者全体) 人口(万人) 65~69歳 I・N利用率 23.4% 7.7% 11.4% 6.1% 7.5% 13.1% 13.2% 11.7% 11.9% 2.5% (%) 利用率 100.0% - - - 2.0% 7.9% 15.6% 24.8% 20.0% 12.6% (%) 購入率 50,000 7,563 8,205 9,519 10,065 9,579 9,268 7,734 6,139 2,167 (円) 年間平均購入額 うち、ゲームDL 購入者 パソコンからインターネット利用 インターネット利用者 368 億円 (年間購入金額・推計値) 2005年 ゲームDL (不課税取引) <ゲームDL> 7.4% 6.1% 7.6% 6.5% 9.2% 26.8% 32.2% 37.3% 46.3% 13.5% (%) 利用率 - - 9.20% - 5.70% 14.80% 22.90% 29.80% 32.40% 28.80% (%) 購入率 50,000 17,378 3,371 6,639 3,223 3,380 3,484 4,126 5,454 3,282 (円) 年間平均購入額 うち、ゲームDL購入者 携帯電話からインターネット利用 (円) パソコン 10,000 15,601,282,453 6,007,562,227 - - - 232,694,678 1,458,823,583 3,317,143,844 3,314,747,670 1,232,780,666 37,529,785 付表3-1 (5)不課税取引となるゲームダウンロードの年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) 21,167,950,203 - - 90,221,231 - 260,498,005 1,972,865,258 4,465,285,689 6,774,279,063 6,903,230,247 701,570,711 (円) 携帯電話 739,100,497 (円) 合計金額 36,769,232,656 6,007,562,227 - 90,221,231 - 493,192,683 3,431,688,841 7,782,429,533 10,089,026,732 8,136,010,913 購入額 367.7 60.1 - 0.9 - 4.9 34.3 77.8 100.9 81.4 - (億円) 合計金額 100,000,000 女 性 男 性 I・N利用率 (回答者全体) 65.9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 66.0% 93.8% 95.5% 91.6% 88.0% 69.8% 42.1% 33.5% 12.3% 6 7% 6.7% 427 461 795 934 793 946 415 355 530 203 5,860 407 437 768 915 787 959 439 389 660 431 6,193 12,052 6~12歳 13~19歳 歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 合計 インターネット利用者 46 7% 46.7% 42.4% 43.1% 58.1% 69.6% 78.6% 82.4% 88.5% 89.6% 91.2% 28.6% 64.0% 74.7% 85.4% 88.2% 88.9% 90.4% 89.0% 88.9% 96.7% 利用率 (%) - - 3.55% 2.81% 3.82% 5.70% 4.15% 5.35% 0.93% 0.30% - 8.3% 14.4% 15.6% 16.3% 24.1% 21.1% 12.2% 3.5% 0.4% 購入率 (%) 150 656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 150,656 , 150,656 年間平均購入額 (円) うち、PC関連本体、周辺機 器、OS等の ソフト 購入者 パソコンからインターネット利用 1兆970億円 (年間購入金額・推計値) 2005年 人口(万人) (免税取引分) PCソフト・周辺機器 <PCソフト・周辺機器> 60 0% 60.0% 75.8% 87.7% 81.9% 86.0% 88.3% 92.7% 91.9% 86.9% 44.6% 85.7% 73.3% 68.4% 73.3% 79.9% 88.1% 92.6% 93.2% 81.3% 31.7% 利用率 (%) - - - - 0.17% 0.15% 0.13% 0.30% 0.19% - - - - - 0.14% 0.36% 0.14% 1.13% 0.21% - 購入率 (%) - - - - 77,464 77,464 77,464 77,464 77,464 - - - - - 77,464 77,464 77,464 77,464 77,464 , - 年間平均購入額 (円) うち、PC関連本体、周辺機器、 OS等のソフト購入者 携帯電話からインターネット利用 付表3-2 (1)少額貨物免税適用のPCソフト・周辺機器の年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) - - - - 759,958,224 711,822,705 812,861,697 1,576,799,842 527,714,763 - - - - - 659,406,993 1,813,128,514 890,125,885 6,140,333,069 565,955,751 , , - (円) 携帯電話 (円) 合計金額 1,097,036,954,243 - - 3,002,056,648 4,552,428,848 27,581,537,438 47,507,420,816 43,994,387,766 53,866,820,461 5,704,164,568 1,119,829,494 - 11,945,652,178 29,686,363,846 56,768,073,831 166,504,315,027 240,316,384,925 253,069,613,764 129,024,597,952 20,869,276,073 , , , 1,524,030,608 購入額 1,082,578,846,800 14,458,107,444 - - 3,002,056,648 4,552,428,848 26,821,579,214 46,795,598,110 43,181,526,069 52,290,020,619 5,176,449,805 1,119,829,494 - 11,945,652,178 29,686,363,846 56,768,073,831 165,844,908,033 238,503,256,412 252,179,487,879 122,884,264,883 20,303,320,322 , , , 1,524,030,608 (円) パソコン 10,000 10,970.4 - - 30.0 45.5 275.8 475.1 439.9 538.7 57.0 11.2 - 119.5 296.9 567.7 1,665.0 2,403.2 2,530.7 1,290.2 208.7 15.2 (億円) 合計金額 100,000,000 女 性 男 性 I・N利用率 (回答者全体) 65.9% 93 9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 66.0% 93.8% 95.5% 91.6% 88.0% 69.8% 42.1% 33.5% 12.3% 6.7% 人口(万人) 427 461 795 934 793 946 415 355 530 203 5,860 , 407 437 768 915 787 959 439 389 660 431 6,193 12,052 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 合計 インターネット利用者 46.7% 42.4% 43.1% 58.1% 69.6% 78.6% 82.4% 88.5% 89.6% 91.2% 28.6% 64.0% 74.7% 85.4% 88.2% 88.9% 90.4% 89.0% 88 9% 88.9% 96.7% (%) - - 3.55% 2.81% 9.10% 18.05% 18.30% 18.30% 10.50% 0.91% 43.00% 10.42% 15.64% 11.70% 14.69% 23.52% 25.76% 19.78% 9 93% 9.93% 0.93% (%) 購入率 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115,397 115 397 115,397 115,397 (円) 年間平均購入額 うち、書籍、CD パソコンからインターネット利用 利用率 1兆3,251億円 (年間購入金額・推計値) 2005年 (免税取引分) 書籍・CD <書籍・CD> 60.0% 75.8% 87.7% 81.9% 86.0% 88.3% 92.7% 91.9% 86.9% 44.6% 85.7% 73.3% 68.4% 73.3% 79.9% 88.1% 92.6% 93.2% 81 3% 81.3% 31.7% (%) 利用率 - - - - - 0.74% 1.84% 2.35% 2.32% - - - - - 0.28% 0.59% 1.11% 2.60% 0 83% 0.83% - (%) 購入率 うち、書籍、CD 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38,081 38 081 38,081 38,081 (円) 年間平均購入額 携帯電話からインターネット利用 付表3-2 (2)少額貨物免税適用の書籍・CDの年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) - - - - - 1,726,382,571 5,440,702,749 6,037,999,987 3,150,130,567 - - - - - 659,501,804 1,469,484,888 3,438,147,509 6,923,010,377 1 112 886 552 1,112,886,552 - (円) 携帯電話 (円) 合計金額 1,325,087,846,285 - - 2,299,465,876 3,486,994,423 48,932,909,256 115,138,156,135 151,377,212,519 143,066,361,716 47,688,134,726 2,583,579,942 - 11,455,717,099 24,606,098,881 32,611,705,222 115,113,309,729 179,678,704,581 239,250,580,433 159,629,083,482 45 241 917 716 45,241,917,716 2,927,914,549 購入額 1,295,129,599,281 29,958,247,004 - - 2,299,465,876 3,486,994,423 48,932,909,256 113,411,773,564 145,936,509,770 137,028,361,728 44,538,004,160 2,583,579,942 - 11,455,717,099 24,606,098,881 32,611,705,222 114,453,807,925 178,209,219,693 235,812,432,924 152,706,073,105 44 129 031 164 44,129,031,164 2,927,914,549 (円) パソコン 10,000 13,250.88 - - 22.99 34.87 489.33 1,151.38 1,513.77 1,430.66 476.88 25.84 - 114.56 246.06 326.12 1,151.13 1,796.79 2,392.51 1,596.29 452 42 452.42 29.28 (億円) 合計金額 女 性 男 性 I・N利用率 (回答者全体) 65.9% 93 9% 93.9% 94.5% 94.0% 93.1% 80.9% 68.1% 51.5% 28.1% 8.10% 66.0% 93.8% 95.5% 91.6% 88.0% 69.8% 42.1% 33.5% 12.3% 66.7% 7% 人口(万人) 427 461 795 934 793 946 415 355 530 203 5,860 407 437 768 915 787 959 439 389 660 431 6,193 12,052 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 合計 1兆2,613億円 2005年 (免税取引分) 関連用品 ゲームソフト <ゲームソフト・関連用品> 46.7% 46 7% 42.4% 43.1% 58.1% 69.6% 78.6% 82.4% 88.5% 89.6% 91.2% 28.6% 64.0% 74.7% 85.4% 88.2% 88.9% 90.4% 89.0% 88 9% 88.9% 96.7% (%) 利用率 - - 7.10% 2.81% 6.98% 14.44% 16.81% 15.30% 5.47% 2.13% 43.00% 10.42% 12.04% 10.25% 13.16% 21.27% 27.79% 19.78% 15 18% 15.18% 4.04% (%) 購入率 112,797 112 797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112,797 112 797 112,797 112,797 (円) 年間平均購入額 うち、ゲームソフト パソコンからインターネット利用 インターネット利用者 (年間購入金額・推計値) 60.0% 60 0% 75.8% 87.7% 81.9% 86.0% 88.3% 92.7% 91.9% 86.9% 44.6% 85.7% 73.3% 68.4% 73.3% 79.9% 88.1% 92.6% 93.2% 81 3% 81.3% 31.7% (%) 利用率 - - - - - 0.87% 2.76% 2.66% 3.09% - - - - - 0.28% 2.01% 2.07% 2.76% 3 53% 3.53% - (%) 購入率 54,401 54 401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54,401 54 401 54,401 54,401 (円) 年間平均購入額 うち、ゲームソフト 携帯電話からインターネット利用 - - 4,495,313,612 3,408,429,248 36,694,319,134 88,685,202,026 131,050,993,608 112,002,569,802 22,686,657,196 5,889,161,725 - 11,197,609,311 18,521,957,211 27,941,509,754 100,195,794,514 157,490,468,383 248,709,291,927 149,265,465,550 65 913 796 236 65,913,796,236 12,389,690,083 (円) パソコン 10,000 - - - - - 2,883,605,313 11,680,512,753 9,732,992,801 6,000,201,429 - - - - - 942,138,013 7,123,676,242 9,153,437,491 10,499,269,517 6 756 757 977 6,756,757,977 - (円) 携帯電話 (円) 合計金額 1,261,310,820,857 - - 4,495,313,612 3,408,429,248 36,694,319,134 91,568,807,339 142,731,506,361 121,735,562,603 28,686,858,625 5,889,161,725 - 11,197,609,311 18,521,957,211 27,941,509,754 101,137,932,527 164,614,144,625 257,862,729,418 159,764,735,067 72 670 554 213 72,670,554,213 12,389,690,083 購入額 1,196,538,229,321 64,772,591,536 付表3-2 (3)少額貨物免税適用のゲームソフト・関連用品の年齢別・男女別の年間購入金額合計(2005年・推計値) 12,613.1 - - 45.0 34.1 366.9 915.7 1,427.3 1,217.4 286.9 58.9 - 112.0 185.2 279.4 1,011.4 1,646.1 2,578.6 1,597.6 726 7 726.7 123.9 (億円) 合計金額 付表3-3 外国語の男女別・年齢別の運用能力 (コミュニケーション能力:A+B+C集計分 のみを使用 ) A B C 仕事レベル 日常会話程度 辞書片手程度 殆どできない 不明 (人) (%) (%) (%) (%) (%) 20~29歳 41 2.4% 46.3% 17.1% 34.1% 0.0% 30~39歳 96 5.2% 17.7% 41.7% 34.1% 1.0% 40~49歳 91 6.6% 29.7% 37.4% 26.4% 0.0% 50~59歳 89 4.5% 30.3% 34.8% 30.3% 0.0% 男性 6~12歳 13~19歳 60~64歳 89 ※ 4.5% ※ 30.3% ※ 34.8% ※ 30.3% ※ 0% ※ 65~69歳 89 ※ 4.5% ※ 30.3% ※ 34.8% ※ 30.3% ※ 0% ※ 70~79歳 89 ※ 4.5% ※ 30.3% ※ 34.8% ※ 30.3% ※ 0% ※ 80歳以上 89 ※ 4.5% ※ 30.3% ※ 34.8% ※ 30.3% ※ 0% ※ (人) (%) (%) (%) (%) (%) 20~29歳 84 2.4% 31.0% 21.4% 45.2% 0.0% 30~39歳 30 39歳 84 3 6% 3.6% 26.2% 26 2% 26.2% 26 2% 44.0% 44 0% 0.0% 0 0% 40~49歳 32 0.0% 9.4% 34.4% 56.3% 0.0% 50~59歳 40 0.0% 10.0% 30.0% 60.0% 0.0% 女性 6~12歳 13~19歳 60~64歳 40 ※ 0% ※ 10% ※ 30% ※ 60% ※ 0% ※ 65~69歳 40 ※ 0% ※ 10% ※ 30% ※ 60% ※ 0% ※ 70~79歳 40 ※ 0% ※ 10% ※ 30% ※ 60% ※ 0% ※ 80歳以上 40 ※ 0% ※ 10% ※ 30% ※ 60% ※ 0% ※ (出所) 「仕事に関するサラリーマン・OL意識調査」 第一生命保険相互会社 ライフデザイン研究所 (2002) (注意) 1ライフデザイン研究所の調査では、20歳~60歳男女に係る調査の結果しか得られなかった。本稿で は、調査結果がない年代については、直近の年代の数値をそのまま使用して推計を行った。ちなみに、 ※印を付した数値が代用数値を使用したものである。本稿の推計では、2005年の推計を行うことから、 2001年調査実施時より4年経過後を推計する。そこで、約半分のサンプルが1つ上の年代にシフトしてい るものと捉え、同じ数値を使用した。 13 106 187 185 173 84 17 16 6 2 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 789 PC 調整後人数 パソコン 全体 24.9% 21.9% 33.3% 31.5% 29.9% 31.0% 31.1% 16.5% PCソフト 54.8% - - - 1.1% 4.6% 9.4% 15.0% ゲーム DL 29.9% 11.0% 4.2% 9.3% 9.7% 17.6% 22.8% 27.8% 音楽DL - - - 3.1% 1.7% 2.8% 3.3% 6.2% 着うたDL 音楽コンテンツ 付表3-4 不課税取引に係る品目別の「輸入電子商取引率」 (パソコン利用分) 29.9% 11.0% 4.2% 3.7% 11.0% 16.2% 19.3% 10.1% 映像DL - - - - 1.2% 2.3% 3.0% 5.2% 待ち受け画面 DL 映像コンテンツ 54.8% - 13.2% 6.2% 2.8% 2.6% 2.4% 3.0% 電子書籍 - 21.9% 12.5% 7.3% 7.3% 7.5% 8.7% 5.4% ニュース配信 文字コンテンツ (コミュニケーション能力:A+B+C集計分) 28 388 621 482 371 107 19 13 6 1 6~12歳 13~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 2,037 携帯 調整後人数 携帯電話利用 全体 - - - - 0.3% 0.9% 1.3% 1.1% PCソフト - - 5.0% - 3.1% 8.7% 13.8% 18.0% ゲーム DL - 10.6% 16.9% 30.5% 15.2% 17.2% 19.7% 25.6% 音楽DL - 10.6% 16.9% 32.8% 35.3% 44.4% 48.0% 51.9% 着うたDL 音楽コンテンツ 付表3-5 不課税取引に係る品目別の「輸入電子商取引率」 (携帯電話利用分) 54.8% - 5.9% 3.3% 3.1% 5.3% 7.1% 6.7% 映像DL - 10.6% 11.9% 6.2% 9.3% 16.6% 16.8% 22.3% 待ち受け画面 DL 映像コンテンツ 54.8% - - - 1.3% 0.8% 1.6% 0.7% 電子書籍 54.8% 21.2% 10.0% 9.0% 12.5% 11.6% 14.3% 9.4% ニュース配信 文字コンテンツ (コミュニケーション能力:A+B+C 集計分) 付表3-6 少額貨物免税取引に係る品目別の輸入電子商取引率(パソコン利用分) (コミュニケーション能力:A+B+C集計分) 国外電子商取引利用率 パソコン利用 PC PC本体 書籍・CD ゲームソフト 調整後人数 輸入取引者数 (推計値) 男性 (人) (人) (%) (%) (%) 6~12歳 269 13~19歳 457 20~29歳 808 344 8.02% 13.02% 13.02% 30~39歳 748 401 13.63% 16.64% 17.95% 40~49歳 726 390 17.77% 17.33% 15.67% 50~59歳 675 272 11.35% 10.23% 9.16% 60~64歳 201 73 10.85% 8.14% 7.14% 65~69歳 101 35 10.06% 10.88% 8.38% 70~79歳 57 19 5.79% 7.25% 7.25% 80歳以上 3 1 - 29.93% 29.93% 小計:(人) 4,045 1,535 - - - 女性 (人) (人) (%) (%) (%) 66~12歳 12歳 246 13~19歳 438 20~29歳 787 366 2.93% 10.03% 8.39% 30~39歳 651 323 2.32% 10.25% 9.42% 40~49歳 593 264 2.50% 7.90% 6.32% 50~59歳 447 155 1.53% 3.64% 2.79% 60~64歳 83 22 1.13% 1.13% 1.13% 65~69歳 40 3 1.42% 1.42% 2.84% 70~79歳 20 - - - - 80歳以上 7 - - - - 小計:(人) 3,312 1,133 - - - 合計(人) 7,357 2,921 - - - ソフト 関連用品 付表3-7 少額貨物免税取引に係る品目別の輸入電子商取引率(携帯電話利用分) (コミュニケーション能力:A+B+C集計分) 国外電子商取引利用率 携帯電話 利用 携帯使用 調整後人数 輸入取引者数 (推計値) PC本体 書籍・CD (人) (%) (%) (%) ソフト ゲームソフト 関連用品 男性 (人) 6~12歳 88 13~19歳 413 20~29歳 847 104 0.74% 1.71% 1.81% 30~39歳 767 77 0.09% 0.72% 1.34% 40~49歳 720 70 0.27% 0.44% 1.48% 50~59歳 611 29 0.10% 0.20% 0.20% 60~64歳 174 2 - - - 65~69歳 92 4 - - - 70~79歳 66 5 - - - 80歳以上 8 - - - - 小計:(人) 3,786 291 - - - 女性 (人) (人) (%) (%) (%) 6~12歳 120 13~19歳 425 20~29歳 817 130 0.17% 1.29% 1.46% 30~39歳 732 76 0.08% 1.03% 1.55% 40~49歳 666 38 0.07% 0.32% 0.38% 50~59歳 554 13 0.07% - - 60~64歳 116 2 - - - 65~69歳 82 3 - - - 70~79歳 35 1 - - - 80歳以上 10 1 - - - 小計:(人) 3,557 265 - - - 合計(人) 7,343 631 - - - 2 004 858 2,004,858 116,996 - 12,255,577 3 024 484 757 3,024,484,757 1,893,782,147 610,050,557 722,919,520 170,745,601 681,556,132 11,122,569,116 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 ×5%= 5,185,250 3,413,944,225 30~39歳 輸入取引額 11,134,824,693 全 体 4,948,474 605,086,176 20~29歳 556,741,235 円 全 体 輸入取引額 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳 13~19歳 13~19歳 (円) (円) (不課税取引分) 6~12歳 携帯電話 パソコン (不課税取引分) (イ) ゲームDL 6,188,261,146 4,170,139,796 3,292,144,100 - - - 2,550,334 67 707 650 67,707,650 312,037,087 495,700,626 (円) パソコン 10,000 ×5%= 2,018,121,350 - - 4,548,594 - 8,136,916 171 540 634 171,540,634 616,597,905 1,217,297,302 (円) 携帯電話 購入額 (不課税取引に起因する消費税収損失額) (ア)+(イ)+(ウ)+(エ)+(オ)= 3,467,126,391 6~12歳 購入額 (ア) PCソフト 10000 付表3-8 (1)不課税取引(デジタル財の購入)に係る消費税収損失額(2005年・推計値) 円 309,413,057 円 全 体 1,257,264,304 667,742,907 192,162,943 426 920 783 426,920,783 50,980,361 72,358,401 - 5,131,742,565 ×5%= ×5%= 1,832,063,903 976,396,164 312,600,774 52 882 923 52,882,923 11,332,866 41,192,376 977,849,101 5,917,162,681 6,075,333,792 28,854,911,292 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60 64歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 輸入取引額 1,442,745,565 303,766,690 158,171,110 - - - 5 806 549 5,806,549 6,127,177 24,995,742 37,389,059 合計: 1,746,512,254 2,464,312,866 1,712,844,573 20~29歳 83,852,584 (円) (着うたDL) 円 (携帯電話分) (パソコン分) 23,723,168,727 - 72,358,401 50,980,361 493 731 176 493,731,176 1,041,908,385 4,475,970,046 7,450,016,173 10,138,204,185 (円) (着うたDL) 全 体 (不課税取引分) 輸入取引額 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60 64歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳 13~19歳 (円) (円) 携帯電話 (エ) 映像コンテンツ 13~19歳 (音楽DL) (音楽DL) パソコン 購入額 6~12歳 携帯電話 パソコン (不課税取引分) 10000 5,044,461,992 3,768,480,965 3,656,109,555 977,849,101 42,686,400 11,332,866 8 311 734 8,311,734 255,033,367 820,443,999 1,312,976,566 227,475,521 (円) (映像DL) パソコン 10,000 (ア)+(イ)+(ウ)+(エ)+(オ)= (不課税取引に起因する消費税収損失額) 6~12歳 購入額 (ウ) 音楽コンテンツ 10000 付表3-8 (2)不課税取引(デジタル財の購入)に係る消費税収損失額(2005年・推計値) 合計: ×5%= ×5%= 1,455,330,138 1,041,105,399 - 6,268,289 5 120 314 5,120,314 8,136,916 64,852,447 160,954,382 168,892,393 (円) (映像DL) 携帯電話 購入額 3,467,126,391 - - - - 2,811,743 16,501,095 32,055,092 61,003,480 (円) (待受け画面DL) パソコン 10,000 購入額 3,589,131,854 - 72,358,401 25,305,851 17 570 891 17,570,891 71,529,224 627,215,022 908,700,301 1,866,452,163 (円) (待受け画面DL) 携帯電話 (携帯電話分) (パソコン分) 440,647,148 円 252,223,100 188,424,048 112,371,410 円 全 体 1,534,969 1,442,556 - 1,041,105,399 1,054,628,366 ×5%= ×5%= 21,003,366 16,583,545 23,642,801 113,958,482 - 3,292,144,100 3,478,072,081 4,403,244,164 3,873,009,767 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 輸入取引額 合計: 8,571,535 6,000,713 30~39歳 (円) (円) 1,973,907 (電子書籍DL) (電子書籍DL) 4,739,073 携帯電話 パソコン 購入額 20~29歳 13~19歳 6~12歳 (不課税取引分) (オ) 文字コンテンツ 10000 413,812,697 193,650,488 220,162,208 925,172,083 - 170 745 601 170,745,601 101,995,794 33,246,937 114,484,479 174,981,041 265,877,755 63,840,476 (円) (ニュース配信) パソコン 10,000 携帯電話 円 (携帯電話分) (パソコン分) 2,818,381,401 1,041,105,399 289 433 604 289,433,604 17,997,147 37,463,193 131,335,178 307,025,156 660,431,489 333,590,234 (円) (ニュース配信) 購入額 付表3-8 (3)不課税取引(デジタル財の購入)に係る消費税収損失額(2005年・推計値) (ア)+(イ)+(ウ)+(エ)+(オ)= (不課税取引に起因する消費税収損失額) 3,467,126,391 円 円 男 性 51,979,293 2,985,327,721 692,154,978 - 115,276,110,010 65~69歳 70~79歳 80歳以上 計 女 性 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 468,282 517,988 4,211,154 56,190,447 1,169,029,176 409,931,461 51,242,139 42,629,204 - - 4,208,687,174 119,484,797,183 40~49歳 50~59歳 60~64歳 65~69歳 70~79歳 70 79歳 80歳以上 計 5,977,049,382 614,480 1,003,081,391 30~39歳 ×5%= 2,610,405 1,532,773,803 20~29歳 147,683,386,566 計 80歳以上 70~79歳 70 79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳 13~19歳 - 6,161,753,876 60~64歳 50~59歳 13~19歳 638,855 18,823,088,765 50~59歳 40~49歳 6~12歳 4,806,881 42,382,095,684 40~49歳 30~39歳 20~29歳 6~12歳 813,080 34,372,099,184 30~39歳 119,540,987,631 女 性 男 性 45,720,478 9,859,589,802 20~29歳 13~19歳 13~19歳 (円) 6~12歳 歳 (円) (イ) (免税取引) 書籍・CD 6~12歳 歳 (ア) 携帯電話 (免税取引) パソコン 購入額 PCソフト・周辺機器 10,000 付表3-9 少額貨物免税適用に係る消費税収損失額(2005年・推計値) ×5%= 147,393,298,458 39,517,288,415 - - 32,652,415 39,249,609 1,781,297,870 8,964,447,812 14,957,534,908 13,742,105,800 107,876,010,043 - 831,036,485 2,677,660,089 2,654,819,261 11,704,126,670 30,892,001,885 39,238,450,716 19,877,914,937 (円) パソコン 10,000 7,384,169,328 290,088,108 139,464,778 - - - - - 5,603,113 55,998,419 77,863,246 150,623,330 - - - - 1,299,926 6,422,853 24,675,791 118,224,761 (円) 携帯電話 購入額 計 80歳以上 70~79歳 70 79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 30~39歳 20~29歳 13~19歳 6~12歳 計 80歳以上 70~79歳 65~69歳 60~64歳 50~59歳 40~49歳 円 131,586,072,537 女 性 男 性 30~39歳 20~29歳 13~19歳 6~12歳 歳 (ウ) (免税取引) 関連用品 ゲームソフト 免税取引による税収損失額 (ア)+(イ)+(ウ)= ×5%= 130,832,541,488 28,531,223,802 - - 127,666,907 38,365,280 1,024,776,391 5,607,981,184 12,339,845,431 9,392,588,611 102,301,317,686 - 812,312,472 1,552,174,836 1,993,814,041 9,176,445,229 24,682,618,692 44,653,905,091 19,430,047,325 (円) パソコン 10,000 19,940,522,337 円 6,579,303,627 753,531,049 333,240,084 - - - - - 10,942,798 180,672,079 141,625,207 420,290,966 - - - - 1,857,022 105,659,256 122,431,162 190,343,525 (円) 携帯電話 購入額
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