2015年9月中国も定年退職年齢引き上げへ

中国も定年退職年齢引き上げへ
上海駐在員事務所
藤光
雅之
中国の定年退職年齢をご存じでしょうか。
中国では、男性が『60 歳』、女性は『50 歳(管理職は 55 歳)』です。男性と女性で定年
退職年齢が異なるのは驚きだと思います。
中国で現行の定年制度が導入されたのは 1978 年のことです。その当時の中国人の平均寿
命は、男性が 64 歳、女性が 67 歳程度であったため、定年を迎え余生を過ごすというのも
理にかなったものでした。
しかし、現在の平均寿命は男性が 74 歳、女性が 77 歳程度に伸び、また、1980 年代に全
人口に占める 60 歳以上の割合が 8%程度だったものが、2020 年には約 17%に増加するとい
う推計も出ており、高齢化の波が押し寄せてきています。
これまで「一人っ子政策」を取ってきた結果、生産年齢人口が減少し、それが中国経済
の成長鈍化に繋がり、いずれ社会保障費の収支バランスにも影響を及ぼすものと考えられ
ています。
このため、2014 年に中国政府は夫婦のどちらか一方が一人っ子であれば、第二子の出産
を認める緩和策を打ち出しました。しかし、2014 年度の新生児の数は 1,687 万人で前年度
と比べ 47 万人増に留まっています。
一人っ子政策を緩和したにも拘わらず、出生数が増えていない状況下で、生産年齢人口
の減少を補うには、定年退職年齢の引き上げも一つの手段と言えるでしょう。また社会保
障費に関しても、一部の研究者が「定年退職年齢を1歳引き上げると、年金基金の収入が
40 億元(800 億円)増加し、支出は 160 億元(3,200 億円)減少する」と発表しており、
中国経済を支える手段になり得るかもしれません。
そんな中、中国社会科学院人口と労働経済研究所が提言を行いました。提言によると、
女性の管理職と管理職以外の差を無くし、2017 年から女性の定年退職年齢を一律 55 歳と
する。そして、2018 年から女性の定年退職年齢を 3 年毎に 1 歳引き上げる。一方、男性は
定年退職年齢を 6 年毎に 1 歳引き上げ、2045 年には男女とも 65 歳にすべきというものです。
日本を追いかけるように高齢化が進む中国。日本と同様に定年退職年齢の引き上げが
少子高齢化に起因する問題解決の一手段となるのか、今後の動向に注目したいと思います。
(28.2.9 現在)201602 広告審査済