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東アジア諸国と我が国の公務員制度(第1編第2部)
○ 近年、東南アジア諸国連合(ASEAN)等の東アジア諸国においては、経済成長や政治の民主化を目指す取組が進展
⇒ 公正で能率的な公務員制度に向けた改革(腐敗防止、専門能力を持つ士気の高い公務員の確保)の推進
○ 経済成長に成功した日本の公務員制度に関心
⇒ 同じ東アジアの国である日本の公務員が持っている勤勉性、責任感、倫理感を自国の公務員に取り込みたいという期待
⊿ 東アジア諸国が改革を必要としている分野
今回取り上げた東アジア諸国
カンボジア、インドネシア、マレーシア、
ミャンマー、 フィリピン、タイ、ベトナム
① 成績主義の原則に基づく採用
公正な競争試験により、成績に基づく採用を行うことは近代公務員制度の柱
○ 制度としての採用試験は導入・実施されているが、
公正性の確保、優秀な人材の選別機能等が課題となっている国も多い
② 研修等による人材育成
公務は、公平性、公正性、中立性等が厳しく求められ、
また、専門知識等が必要な分野も多い
○ 安定的・継続的に行政を執行するため、部内の人材育成・活用が重要課題
研修等による公務員の人材育成は人事管理上の重要施策
○ 政府の人材の底上げを目指す幹部研修・幹部候補者研修の充実に強い関心
同時に、一般業務担当官の能力引上げも課題
③ 倫理の保持
腐敗は、民主主義・倫理・正義を害し、持続的な発展及び法の支配を危うく
する重大な問題
○ 政府に対する国民の信頼を確保しつつ、行政が適切に機能するよう、
公務員の倫理の保持を図ることが各国における重要な課題
○ 行為規範の策定・遵守の監視、違反の取締りが倫理確保方策の中心だが、
低い給与水準の問題等から腐敗対策の効果が上がりにくい現状
○ 公務員の自己規律を高める清廉性アプローチが必要
④ 給与その他の勤務条件
人材確保、腐敗防止等の観点から、給与等の勤務条件の適切な確保が必要
○ 予算の制約等、多くの国において悩み
○ 重点を置いた給与改善の志向や、給与以外の勤務条件を追求して、
人材確保を図る動きも
○ 経済発展に伴い、長期雇用システムの中で職務を基本としたライフステージ
に応じた処遇や公正で納得性の高い人事評価の実施も課題
⊿ 人事院の協力
集団研修(JICA研修)の実施
・ 行政官育成のための国家行政研修(昭和42年度~)
・ 人事行政担当官育成のための上級人事管理セミナー(平成3年度~)
研修参加者からの意見
○ 日本の採用試験は、公正性・透明性が高く、
優秀な人材の採用に役立っている。
○ 日本の研修は、当面の課題のみならず
将来の状況に適応できるような人材を育成するものとなっている。
○ 日本の公務員の倫理保持の仕組みを参考に、
自国の倫理研修の充実に取り組んでいる。
○ 給与については、予算上の制約から困難はあるものの、
職務と責任、情勢適応、成績主義等の考え方に基づき、
自国の制度を検討している。
ASEAN諸国への貢献
・ 昭和61年度から実施したマレーシア政府職員研修をはじめ
各国の個別の要請に応じて協力を実施
・ 最近では、ベトナムからの要請に応じて、
国家指導者候補者研修(平成24年度~27年度)や
採用試験改革支援に係る専門家派遣(平成26年度~29年度)を実施
日中韓人事行政ネットワーク
・ 従来は二国間で行ってきたが、
平成16年の日中韓行動戦略に基づき、ネットワーク構築
・ 三国合同研修、シンポジウム、共同研究等を実施
国際機関を通じた腐敗防止の取組への貢献
・ OECDにおける公務員倫理の取組への貢献
・ 国連腐敗防止条約をめぐる会合で、我が国の取組状況を説明
・ ADB/OECDアジア太平洋腐敗対策イニシアティブに積極的に協力
今後の国際協力・交流の進め方
公務員制度の整備等への協力
公務員制度の基本の整備に取り組んでいる国(ベトナム、カンボジア、
ミャンマーなど)では、我が国の制度等に強い印象を受け、研修の成果を
自国で活用しようとする姿勢が見られる。
国際交流等の促進
同じ人事行政上の課題を抱える国々が協議の場を持ち、連携して課題に
対応することは意味を持つ。公務員制度の基本の整備を終了した国
(マレーシア、タイ、インドネシア、フィリピンなど)と、共通のテーマについて、
相互交流、情報交換を行うことは有意義
公正な採用、人材育成、倫理確保等に協力要請があった場合には、
制度整備支援と併せ、研修による人材育成等の支援を推進
・ 日中韓人事行政ネットワーク、ASEAN公務会議等を活用し、
積極的に二国間、多国間交流を進め、相互理解、信頼関係を深化
・ 特に人材育成の分野では、東アジア各国の公務員の中核的な研修所の
協力関係に積極的に関与
人事行政この1年の主な動き(第1編第1部)
適正な公務員給与の確保
平成26年の給与改定及び給与制度の総合的見直し
・ 民間準拠を基本とする給与改定とともに、俸給表や諸手当の在り方を
含めた給与制度の総合的見直し(地域間・世代間の給与配分の見直し等)
について勧告
⇒ 勧告どおり実施することが閣議決定され、関係法律等が成立
改正国公法等の下での級別定数等の運用
・ 級別定数の設定・改定等に当たっては、人事院の意見を聴取し、
十分に尊重することが定められたことから、これに基づき平成27年度の
級別定数の設定・改定等について意見の申出
⇒ 内閣総理大臣は、意見の申出どおり、級別定数の設定・改定等を実施
人事行政の公正の確保
女性国家公務員の採用・登用の拡大
男女共同参画社会の実現は人事行政における重要課題の一つ
であるとの認識の下、女性国家公務員の採用・登用の拡大について、
各府省における具体的な取組が進むよう支援
採用の拡大に向けた取組
・ 女性のための公務研究セミナーの開催
・ 女性のためのトークライブの開催
・ 女子学生のための国家公務員試験制度ガイダンスの実施
登用の拡大に向けた取組
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管理職員等へのアプローチ
女性職員へのアプローチ
勤務環境の整備
両立支援制度の活用促進
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登用推進の意識啓発
登用に向けた研修の実施
長時間労働慣行の見直し等
男性職員、職場の意識改革
人材の確保
・ 民間企業の採用選考活動に合わせ、平成27年度採用試験日程を繰下げ
・ 平成27年度の総合職試験から、外部英語試験を活用
人材の育成
・ 公務における人材育成・研修に関する研究会の設置
・ 初任行政研修の拡充
⇒ 現場訪問先の多様化、
英語による意見交換回数の増加
・ 行政研修のグローバル化 ⇒ 外国人研修員の積極的受入れ
改正国公法等の下での任用、採用試験及び研修等
・ 引き続き人事行政の公正を確保するための事務を担うこととされ、
人事院の意見を聴いて政令等で定めることとされた採用試験、
幹部職員の任用等について必要な意見を述べた
・ 官民人事交流 ⇒ 交流対象法人の拡大、交流基準の改正
・ 研修
⇒ 公正確保に関する事務を規定する規則の制定
国家公務員倫理審査会の業務(第2編)
◆ 倫理法・倫理規程は施行から15年 ~ 引き続き公務に対する国民
の信頼確保に向けて、次の三つの課題について重点的に取り組む
職員の倫理意識のかん養
・ 研修を長期間受講しない職員を減らすべく各府省等へ働きかけ
・ 広い意味での倫理意識を高めるべく工夫
倫理的な組織風土の構築
・ 利用しやすく安心して通報できる仕組みの構築
・ 幹部職員が倫理保持に係るメッセージを発信するよう要請
倫理法等違反への厳正な対応
・ 再発防止、違反事案の周知、調査の支援等の取組を一層推進