VERITAS Backup Exec 10: ディスク リストア処理性能のベンチマーク

®
2005年1月
www.veritest.com • [email protected]
VERITAS Backup Exec 10:
ディスク リストア処理性能のベンチマーク
ベリタス ソフトウェアとの契約に基づいて作成されたテスト レポート
概要
VeriTestはベリタスソフトウェア
からの依頼により、VERITAS
Backup Exec™ for Windows
Servers、Hewlett Packard社
製 の Data Protector 5.5 、
Computer Associates社製の
ARCserve 11.1 の 3 製 品 の
ディスク リストア処理性能をベ
ンチマークして比較しました。
主なテスト結果
ディスクからのフル ボリューム リストア処理を実行した結果、Backup Exec 10
のリストア処理所要時間は Data Protector 5.5 の半分以下でした。
ディスクからのフル ボリューム リストア処理を実行した結果、Backup Exec 10
のリストア処理所要時間は ARCserve 11.1 の半分以下でした。
ベンチマークの準備作業として、
まず Windows 2003 Server
ボリューム1個をディスクにフ
ル バックアップし、その後増
分バックアップ処理を5回実行
しました。最初のフル バック
アップ処理の実行後、および
1〜4回目の増分バックアップ
処理の実行後に、バックアップ
対象のデータ セットに変更を
加えました。これは、「1日1回
バックアップを実行し、それを
5日間続ける」という運用をシミュレートするためです。
フル ボリューム リストア処理
所要時間 (分)
また、Backup Exec 10に関しては、そのAdvanced Disk-Based Backupオプションのコンポーネントである合成バッ
クアップ機能を利用して、合成フル バックアップ処理も実行しました。この合成バックアップ処理はBackup Exec 10
でのみ実行しました。なぜかというと、Data Protector 5.5とARCserve 11.1ではこの機能がサポートされていなかっ
たからです。
バックアップ処理の完了後、最後の増分バックアップ時点のボリューム状態に戻すため、フル ボリューム リストア処
理を実行しました。このリストア処理は、3製品すべてで実行しました。
Backup Exec 10の概要
Backup Execは、Windows®サーバー ネットワーク向けの高性能データ保護製品です。Backup Exec はクライア
ント/サーバー構成に対応した設計になっているので、ネットワーク上のサーバーとワークステーションを信頼性の高
い方法で高速バックアップ/リストアできます。また、複数のオペレーティング システムが混在しているネットワーク、
および、あらゆる規模のネットワークに対応できます。
Backup Exec 10では、新しい機能やオプションが多数追加されており、その中の一つに、Advanced Disk-Based
Backupオプションがあります。このAdvanced Disk-Based Backupオプションの中には、合成バックアップ機能とオ
フホスト バックアップ機能が含まれています。合成バックアップ機能を利用すれば、サポートされているリモート リ
ソースに対するフル バックアップ処理を何度も実行する必要がなくなります。合成バックアップ機能に関するポリ
シーを設定することにより、フル バックアップ データ(基準バックアップ データ)とその後に作成された増分バック
アップ データを基にして、合成バックアップ データを作成することができます。作成された合成バックアップ データ
が新しい基準バックアップ データになります。その後は同様に増分バックアップ処理を実行し、任意の時点でまた合
成バックアップ データを作成することができます。合成バックアップ データの新しさは、その中に含まれている最後
の増分バックアップ データの新しさと同じです。
合成バックアップ処理を利用すると、次のような効果があります。
● フル バックアップ処理を何度も実行する必要がない。
● 合成バックアップ処理は、増分バックアップ処理を行う時間帯を避けるようにスケジューリングできるので、
バックアップ処理に要する総時間を短縮できる。
● クライアント上でフル バックアップ処理を実行する必要がないので、バックアップ処理に必要なリソースの使
用量を減らすことができる。
● 合成バックアップ処理ではネットワークにアクセスする必要がないので、ネットワーク トラフィックを減らすこ
とができる。
● リストア処理の実行時間を短縮できる。
テスト環境
この項では、このレポートで説明している性能ベンチマークを実行する際に使用した、ハードウェア、テスト データ、
ソフトウェア、およびアプリケーション設定情報について説明します。
テスト ベッドの接続構成:
(メディア サーバー)
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(クライアント)
2
テスト ベッドの説明:
メディア サーバー プラットフォーム
=
=
=
=
=
Dell PowerEdge 2650
Xeon(2.8GHz)×2
4GB
Microsoft Windows 2003 Server
ス ト ライ ピ ング 構 成 のUltra-3 SCSI U320 論理 ド ライ ブ、 容量 36GB、 回 転速度
10,000rpm、オンボードのDell Perc 3si SCSI RAIDコントローラに接続。
HBA
= Qlogic 2340
アプリケーション用ディスク = 1台のFibre Channelドライブ、容量73GB、回転速度10,000rpm、JMR Wildcat Fibre
Channel JBOD
ストレージ用ディスク
= 動的スパン構成のFibre Channelディスク×3台、容量73GB、回転速度10,000rpm。
Windowsのストレージ管理ツールを使って、ディスク ストレージ領域に対するバック
アップとして作成。
サーバー
CPU
RAM
OS
OS用ディスク
クライアント プラットフォーム
=
=
=
=
=
サーバー
CPU
RAM
OS
OS用ディスク
HBA
データ セット用ディスク
Dell PowerEdge 2650
Xeon(2.8 GHz)×2
4GB
Microsoft Windows 2003 Server
ス ト ライ ピ ング 構 成 のUltra-3 SCSI U320 論理 ド ライ ブ、 容量 36GB、 回 転速度
10,000rpm、オンボードのDell Perc 3si SCSI RAIDコントローラに接続。
= Qlogic 2340
= 1台のFibre Channelドライブ、容量73GB、回転速度10,000rpm、JMR Wildcat Fibre
Channel JBOD
ネットワーク
両方のプラットフォームを3Com社製の3824 Gigabit Ethernetスイッチに接続しました。接続にはオンボードの 1つ
目の Gigabit Ethernet ポートを使用し、MTUサイズを 8,192バイトに設定しました。
オンボードの2つ目のGigabit Ethernetポートを100Mbpsの切り替え型サブネットに接続しました。これは、テスト時
に両方のプラットフォームをリモート管理するためです。
ネットワーク共有
テスト データ セットの読み取り専用のコピーを格納するためのネットワーク共有を別途作成しました。このテスト
データ セットは、各製品のテスト後にクライアント上のボリュームを初期状態に戻す際に使用するものです。
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3
テスト データ セット:
ベリタスから提供された1MBのファイル1本を使用して、テスト データ セットを作成しました。具体的に言うと、この
ファイルを32,501回複製し、次のフォルダ構造のデータ セットを作成しました。
G:¥Data1¥Sub1(500ファイル)
.......
G:¥Data1¥Sub13(500ファイル)
G:¥Data2¥Sub1(500ファイル)
.......
G:¥Data2¥Sub13(500ファイル)
G:¥Data3¥Sub1(500ファイル)
.......
G:¥Data3¥Sub13(500ファイル)
G:¥Data4¥Sub1(500ファイル)
.......
G:¥Data4¥Sub13(500ファイル)
G:¥Data5¥Sub1 (500 ファイル)
.......
G:¥Data5¥Sub13(500ファイル)
G:¥Data6(1ファイル)
つまり、作成したテスト データ セットは、71個のフォルダに配置された32,501本のファイルで構成されていました。
Windowsエクスプローラで表示された合計ファイル サイズは31.7GB、ディスク上のサイズは31.8GBでした。
Backup Exec 10
Backup Exec 10をテストする際、サーバーとクライアントを次のように構成しました。
● デフォルト設定をそのまま使用しました。また、製品のインストールにはインストール ウィザードを使用しまし
た。
● アプリケーションは、OSとは別のドライブにインストールしました。
● クライアントはデフォルト設定で構成しました。
Data Protector 5.5
Data Protector 5.5をテストする際、サーバーとクライアントを次のように構成しました。
● デフォルト設定をそのまま使用しました。また、製品のインストールにはインストール ウィザードを使用しまし
た。
● アプリケーションは、OSとは別のドライブにインストールしました。
● クライアントはデフォルト設定で構成しました。
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ARCserve 11.1
ARCserve 11.1をテストする際、サーバーとクライアントを次のように構成しました。
● デフォルト設定をそのまま使用しました。また、製品のインストールにはインストール ウィザードを使用しまし
た。
● アプリケーションは、OSとは別のドライブにインストールしました。
● クライアントはデフォルト設定で構成しました。
ベンチマーク実施方法
この項では、Backup Exec 10、Data Protector 5.5、およびARCserve 11.1のフル ボリューム リストア処理の性能
を比較するためのベンチマーク方法について、詳しく説明します。
フル ボリューム リストア処理性能のベンチマークの準備作業として、まずWindows 2003 Serverボリューム1個を
ディスクにフル バックアップし、その後増分バックアップ処理を5回実行しました。次に、バックアップ対象のクライア
ントを、バックアップ用アプリケーションが存在するメディア サーバーにネットワーク接続しました。最初のフル バック
アップの実行後、および1〜4回目の増分バックアップの実行後に、バックアップ対象のデータ セットに変更を加えま
した。これは、実運用環境で発生するデータ セットの変化をシミュレートするためです。
最初のフル バックアップの実行後、G:¥Data1フォルダをいったん削除して再作成し、そのフォルダにファイルを再配
置しました。そのフォルダに再配置するテスト データは、読み取り専用のネットワーク共有からコピーしました。また、
元の1MB のファイルをG:¥Data6フォルダにコピーしました。
1〜4回目の増分バックアップ処理の実行後、それぞれG:¥Data2〜G:¥Data5フォルダをいったん削除して再作成し、
読み取り専用のネットワーク共有にあるテスト データ セットをそのフォルダに再配置しました。また、1〜4回目の増
分バックアップ処理の実行後、元の1MBのファイルをG:¥Data6フォルダにコピーしました。
つまり、5回目の増分バックアップ処理の直前には、テスト データ セットの中に32,506本のファイルが存在していま
した。
合成バックアップ処理
Backup Exec 10のテスト時のみ、最初のフル バックアップと5回の増分バックアップ処理の終了後に、合成バック
アップ処理を実行しました。このバックアップ処理はメディア サーバー プラットフォーム上で実行されるので、クライ
アント プラットフォームには何の影響もありませんでした。実運用環境では、この合成バックアップ処理は、クライア
ントの増分バックアップ処理の実行時間帯を避けるようにスケジューリングできます。この合成バックアップ処理は
Backup Exec 10でのみ実行しました。なぜかというと、Data Protector 5.5とARCserve 11.1ではこの機能がサポー
トされていなかったからです。
すべてのバックアップ処理、つまり、フル バックアップ処理、増分バックアップ処理、および合成バックアップ処理
(Backup Exec 10のみ)が完了した後、フル ボリューム リストア処理の準備作業として、クライアントのバックアップ
元ディスクを初期化しました。そして、最後の増分バックアップ処理時のボリューム状態に戻すように、リストア処理を
実行しました。
それぞれの製品をテストする前に、まず標準のフォーマッ形式でバックアップ元パーティションを初期化しました。次
に、読み取り専用のネットワーク共有にあるテスト データ セットをクライアントのバックアップ元パーティションにコ
ピーしました。
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ベンチマーク結果
表1は、最後の増分バックアップ処理時のボリューム状態に戻すためにフル ボリューム リストア処理を実行したとき
の結果です。Backup Exec 10のリストア処理所要時間は、Data Protector 5.5およびARCserve 11.1のリストア処
理所要時間の半分以下でした。
製品
リストア所要時間
所要時間の差
Backup Exec 10
0:38:20
0:00:00
Data Protector 5.5
1:26:52
0:48:32
ARCserve 11.1
1:29:29
0:51:09
表1:フル ボリューム リストア処理の所要時間
まとめ
合成バックアップ データを作成する機能があれば、特定時点のボリューム状態に戻すための所要時間を短縮でき
ます。合成バックアップ データ作成機能には他にもメリットがあります。それは、(1)フル バックアップ処理を何度も
実行する必要がない、(2)合成バックアップ処理時にクライアントに悪影響が及ばない、(3)フル バックアップ処理と
違ってネットワーク トラフィックが発生しない、ということです。このレポートで説明したテストでは、合成バックアップ
処理はメディア サーバー上で実行したので、クライアントへの悪影響はまったくありませんでした。
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VeriTest(www.veritest.com)はLionbridge Technologies, Inc.のテスト実施部門であり、アウトソーシング型のテス
ト実施ソリューションを提供しています。顧客はこのソリューションを利用することにより、収益を最大化し、コストを削
減することができます。ハイテク製品を使用または開発する企業にとって、円滑に機能する技術はビジネスの成功に
とって不可欠です。VeriTestは、顧客が使用している製品および内製アプリケーションに内在する問題を特定および
修正できるよう、幅広いテスト実施サービスを提供しています。
VeriTestはWebBench、NetBench、Winstone、WinBenchなど、業界標準のベンチマーク ツールを開発し、今まで
に2,000万本以上配布してきました。これらのツールは、2001年度のFortune 100に名を連ねている企業でも使用さ
れています。また、VeriTest のインターネット ベンチマーク サービスは、米国、カナダ、およびイギリスのインター
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VeriTestの前身はZD LabsとeTesting Labsであり、2002年7月にVeriTestに合併されました。VeriTestは10年以上
にわたって、独立系テスト機関として、厳格かつ客観的なテストと分析を実施してきました。VeriTestには、ビジネス
に精通したスタッフが在籍しています。また、世界中にテスト設備を用意しており、ネットワーク接続された約1,600台
のテスト専用PCを備えています。これにより、テスト ニーズに応じた専門知識と設備を顧客に提供しています。
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