CASE 36 ふだんの生活のなかで 違法着うたサイト 着うたが取り放題? 学習のねらいと目標 ・ 違法着うたサイトの存在を知り、そこから音楽ファイルをダウンロードすることは著作権 の違法行為になることを知る。 ・ 著作権の違法行為が及ぼす問題について考え、違法行為をしない姿勢を身に付ける。 発展として取り組みたい教材 ・ 事例アニメ 『ファイル共有ソフトとは? -ファイル共有ソフトって知ってる?-』 指導タイミング ・ 小学6年生~中学生。 子どもが日常的に携帯電話を使うようになってきた段階で指導したい。特に、12 歳から 15 歳にかけてが、違法着うたサイトからの音楽ファイルのダウンロードが最も多い、とい うデータもあるので、この時期に指導するべきといえる。(2008 年日本レコード協会が実 施した「違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利用実態調査」より) 事例取り組みにあたって この事例は携帯電話を使った、著作権に関するものである。著作権に関しては、事例アニ メ『著作物と著作権 -あっという間に、すてきな作品!-』と事例アニメ『音楽 CD の不正コ ピー -お気に入りのバンドを応援したい-』でも扱っている。特に後者の内容はストーリー 的に重なる部分が多いので、違いを確認し、関連して扱いたい。 この事例では、無料着うたサイトが多くの人に利用されたため、あるバンドの CD の売り上 げが伸びず、そのバンドが解散に追い込まれたというストーリーになっている。 ここではまず、有料の着うたサイトを紹介し、他人の著作物を利用するには正当な対価を支 払う姿勢が大切であることをおさえたい。次に、著作者に許可をとった上で配布している無料 着うたサイトから音楽データをダウンロードすることは、サイトが対価を払っているため違法行 為にはならないことを確認する。著作者の許可を得ていない違法サイトであった場合、音楽 データをダウンロードしてしまうと、違法行為となってしまうので、そのようなサイトは利用しな いよう指導したい。無料着うたサイトには違法サイトがあるので注意が必要であることもふれ たい。著作権違反に関する行為は、違法行為をしているという罪悪感をもちながらも、やめら れない現状がある。くりかえし、丁寧に指導することによって、著作権に対する正しい姿勢を 身に付けさせたい。 142 事例アニメのご紹介 ワイオはバンド「ナビナビ」の大ファン。ある日、友だちから 無料で曲をダウンロードできるサイトを教えてもらった。 さっそくダウンロードするワイオ。サイトには「許諾はとって いません」と書かれているが……。 得意になって友人達に、無料ダウンロードのサイトを教え るワイオ。 半年後、「ナビナビ」は CD が売れず、所属事務所の経営 も悪化し、解散することになってしまった! ワークシート 先生のメニューにワークシートが用意されています。(PDF 形式、 MS-Word 形式および一太郎形式) 143 指導の流れ(15 分) 学習内容 子どもの反応 【ステップ1:導入】 ●本時の学習内容を知る。 教師の対応と留意点 発問例:「携帯電話から着うたをダウンロードしたことの ある人はいますか?」 (4分) ・ 「 * * 」 と い う 曲 を ダ ウ ン ・ 「着うた」ダウンロード経験 ロードした。 者数名にその内容を具体 ・ 無料だった。 的に発表させる。 ・ 毎月1回のペースで変えて 曲目、費用、頻度、利用サ いる。 イトなど 事例アニメを見る(3分) ・ もし、違法サイトを利用して いた場合もここでは指摘し ない。 ●ワイオがどのようなことを したのか注意しながら事例 を見る。 【ステップ2:展開】 話し合う (5分) 発問例:「ワイオのやったことは何がまちがっていたので しょうか?」 ●着うたサイトの問題点を ・ 無 料 の 着 う た サ イ ト か ら ・ 着うたサイトには有料のもの データをダウンロードした と無料のものがあることを確 著作権という視点から考え ので、CD が売れなくなっ 認する。 る。 た。 ・ 無料の着うたサイトの問題 点を考えさせる。 発問例:「ワイオはどうすれば良かったのでしょうか?」 ・ 有 料 の 着 う た サ イ ト か ら ・ 無料の着うたサイトでも違法 データをダウンロードすれ のものとそうでないものがあ ば良かった。 ることを確認する。 【ステップ3:まとめ】 ・ 違法着うたサイトの問題点 を確認する。 (3分) ●やくそくを提示しながら、 確認する。 ・ 著作権法にふれ、ダウン ロード行為自体が違法であ ることを確認する。 違法の音楽サイトから、着うたのデータをダウンロード しない。違法行為となってしまう。 144 事例についての補足 ★違法着うたサイトの実態調査 2008 年日本レコード協会が実施した「違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利 用実態調査」では以下のように、12 歳から 15 歳の違法サイトの利用率が最も高くなっていま す。 また、ここでは以下のような調査結果も報告しています。 ・ 10 代の、違法サイトへの音楽ファイルのアップロード経験率が増加した。 ・ 10 代前半は違法サイトへの罪悪感を持ちながら利用している割合がほぼ半数。 ・ 10 代前半で現在利用していない人の半数以上が今後、違法サイトを利用したいと思っ ている。 ★違法着うたサイトと著作権 著作権法の改正により 2010 年 1 月 1 日から、違法着うたサイトのように著作者の許諾を得 ずにアップロードされた音楽をダウンロードすることは、たとえ私的利用であっても違法行為 であると明記されました。しかし罰則がないことも手伝って、こうしたサイト を利用し続ける 人々はまだ一定数いるのが現状といえます。 ★参考となる Web サイト 違法な携帯電話向け音楽配信に関するユーザー利用実態調査(日本レコード協会) • http://www.riaj.or.jp/report/mobile/pdf/081224.pdf (2008 年) • http://www.riaj.or.jp/report/mobile/pdf/0804032.pdf (2007 年) 145
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