テラメカニクスに基づく月・惑星探査ローバーの走行

テラメカニクスに基づく月・惑星探査ローバーの走行力学解析
1
緒言
近年,太陽系起源の解明や地球外生命の可能性調査
を目的とし,惑星の探査が盛んに行なわれている.ま
た月については,科学ミッションに加え,資源の探査や
利用といった工学的なミッションの可能性も議論され
ている.月や惑星の探査を行なう際に重要となるテク
ノロジーの 1 つに,移動探査ロボット(ローバー)に
よる地表面の直接探査が挙げられる.最新のローバー
による惑星探査として,2004 年 1 月より活動を続け
ている NASA の Spirit,Opportunity と呼ばれる 2
台のローバーによる火星探査が目覚しい成果をあげて
いる [1].同ミッションにおいてローバーはかつて火星
に水が存在したことを裏付ける重大な発見をし,ロー
バーが果たす役割の大きさが実証された.
ローバーに求められる能力の一つとして,不整地走
行能力がある.例に挙げた NASA のミッションにお
いて,ローバーは探査中に砂状の土壌に車輪を取られ
てスタックしてしまい,長期にわたる行動不能状態に
陥った.このようなミッションの失敗へとつながりかね
ない危機的状況を回避するためにも,ローバーの不整
地走行性能の解析やその向上といった研究は非常に重
要である.ここでローバーの走行環境について考える
と,一般に探査対象天体の地表は細かい砂に覆われて
おり,走行する車輪の滑りが大きくなるためローバー
は複雑な挙動を示す.このような状態における力学解
析には,テラメカニクス (Terramechanics) と呼ばれ
る軟弱地盤上の車輌の力学解析を考慮することが不可
欠である.また,地表の形状は起伏に富み,さまざま
な障害物が存在している.さらに,クレーター内部に
は貴重な情報が存在する可能性が高いことが知られて
いる.これらの理由から,ローバーは障害物を避けな
がら斜面の横断や登坂を行なう必要があり,斜面にお
ける走行力学に関する研究の重要性は非常に大きいと
いえる.
テラメカニクスに関する研究は 1960 年頃より始め
られ [2],Iagnemma らによって車輪型ローバーの走行
力学解析が体系的にまとめられているが [3],一連の研
究において車輪力学モデルは水平面上のシンプルなも
のに限られている.これに対し著者らの研究グループ
では,これまでに,車輪表面形状の影響を考慮した車
輪力学モデルの構築やステアリング時のサイドフォー
スのモデル化に取り組んできた [4][5].
本研究においては,構築してきたモデルをさらに斜
面へと拡張する.また,構築したモデルを用いて汎用
性の高い動力学シミュレーションを開発し,多様な環
境やローバーのコンフィギュレーションに応じた,ロー
バーの性能挙動解析を行なうことを目的とする.
本稿はまずはじめに,水平面における車輪力学モデ
ルを紹介し,斜面へと拡張する.その際,水平面上で
は生じなかったいくつかの現象を扱うために,新たな
モデルの導入を行なう.次に,構築した車輪力学モデ
ルとローバーの動力学モデルを組み合わせ,ローバー
の走行シミュレーションを開発する.提案したモデル
およびシミュレーションの妥当性は,ローバーテスト
ベッドを用いた斜面走行実験によって検証される.最
後に,提案した動力学シミュレーションを用いてロー
バーの斜面横断挙動解析を行ない,ローバーの重心左
右位置の変動や左右車輪の回転速度差などが,斜面を
横断するローバーの軌跡に関してどのような影響を与
えるかについて解析する.
2
水平面における車輪力学モデル
z
y
vy
vx
v
β
x
図 1: Wheel coordinate system on a horizontal plane
本節では,[4][?] において提案した,テラメカニク
スに基づく水平面上の車輪力学モデルについて述べる.
車輪座標系を図 1 に示す.座標系は車輪の縦方向を x,
横方向を y, 地面垂直上向きを z とした右手系であり,
車輪の旋回(ヨー回転)にともなって回転するが,車
輪の転動(ピッチ回転)にともなっては変動しないも
のとする.v は車輪並進速度であり,vx , vy はそれぞ
れその x 軸方向成分, y 軸方向成分である.
2.1
スリップ率:s,スリップ角:β
まずはじめに,車輪の走行状態を表す変数としてス
リップ率およびスリップ角を定義する.軟弱地盤上の
車輪に生じる滑りは,駆動力などの車輪に生じる力を
大きく左右する,重要なパラメータである.スリップ
率 s は 式 (1) によって定義され,車輪並進速度 vx と
車輪周速度 rω の差を表す無次元量である.
(rω − vx )/rω
(vx < rω : driving)
(1)
s=
(rω − vx )/vx
(vx > rω : breaking)
ただし −1 < s < 1 とし,その範囲を上回るもしくは
下回る場合は,それぞれ 1 および −1 として扱う.こ
こで r は車輪半径,ω は車輪回転角速度である.ω は
y 軸に関する正の向きの回転として定義する.
また,スリップ角 β は車輪の進行方向と x 軸のなす
角であり,車輪が横滑りしている度合いを示す.β は
vx と vy によって 式 (2) により定義され,z 軸に関す
る正の向きの回転とする.
vy
β = tan−1
(2)
vx
Fz
ω
z
x
θ
θ
σ
θ=0
Fx
θ
τx
β
Rb
θ
h
θ
図 3: Wheel model on a horizontal plane (Side force)
θ
ここで,jx (θ) は土壌変形量と呼ばれ,
駆動力:Fx ,地面垂直抗力:Fz
図 2 は,軟弱地盤水平面上を走行する硬い車輪のモ
デル図である.車輪は角速度 ω で等速回転し,+x 方
向に進んでいるとする.ここで θf ,θr はそれぞれ車
輪の進入角,離脱角と呼ばれ,車輪が地面との接触を
開始する角度および離れる角度を示している.なお鉛
直下向き方向を θ = 0 とする.
車輪の駆動力である Fx は,地面から車輪に加わる
垂直応力 σ(θ) および x 方向のせん断応力 τx (θ) の x
軸方向成分を,接地領域について積分することにより
求められる.
θf
Fx = rb
{τx (θ) cos θ − σ(θ) sin θ}dθ
(3)
θr
ここで b は車輪幅である.
地面垂直方向に受ける力 Fz は,Fx と同様に σ(θ)
および τx (θ) の z 軸方向成分の積分によって得られる.
θf
Fz = rb
{τx (θ) sin θ + σ(θ) cos θ}dθ
(4)
θr
σ(θ) は図 2 に示すような分布を持ち,次式で表さ
れる.
n

cos θ−cos θ

σm cos θm −cos θff
(θm ≤ θ < θf )


n

θ−θr
cos{θf − θm −θr (θf −θm )}−cos θf
(5)
σ(θ) =
σm
cos θm −cos θf




(θr < θ ≤ θm )
ここで,θm は応力最大発生角であり,
θm = (a0 + a1 s)θf
(6)
によって与えられる.a0 ,a1 は定数であり,それぞれ
の一般的な値は実験から a0 ≈ 0.4,0 ≤ a1 ≤ 0.3 と言
われている [6].式 (6) に滑り率 s が含まれるため,駆
動力は滑り率の関数となる.また θm において発生す
る垂直応力 σm は最大垂直応力となり,以下の関係式
が成り立つ.
σm = (kc /b + kφ ) [r(cos θm − cos θf )]n
(7)
kc ,kφ ,n はそれぞれ土壌に依存する係数である.
車輪に発生するせん断応力 τx は,以下の式によっ
て導かれる [7].
τx (θ) = (c + σ(θ) tan φ)[1 − e−jx (θ)/kx ]
Fx
v
図 2: Wheel-soil contact model on a horizontal plane
2.2
Fy
τy
(8)
jx (θ) = r[θf − θ − (1 − s)(sin θf − sin θ)]
(9)
によって計算される量である.また kx は Shear Displacement と呼ばれる変形係数であり,走行する車輪
の表面形状に依存する係数である.さらに c,φ は土
壌固有の値であり,それぞれ土壌粘着力,土壌の内部
摩擦角と呼ばれる.
サイドフォース:Fy
2.3
図 3 に示すような,進行方向に対する角度 (スリッ
プ角) を持ち横滑りしながら進む車輪には,角度に応
じた車輪横方向の力(サイドフォース) Fy が生じる.
Fy は車輪底部において発生する y 軸方向のせん断応
力 τy (θ) を積分して得られる力 (Fu ) と,地面に沈下
している車輪側面部が土壌を押しのけることによって
発生する単位面積あたりの力 Rb を面積分して得られ
る力 (Fs ) の合力となる.
Fy
= Fu + Fs
θf
= rb
τy (θ)dθ +
θr
θf
θr
Rb (r − h cos θ)dθ
(10)
ここで h は車輪沈下量を意味する (図 2).また,τy は
x 方向せん断応力と同様の式によって表される.
τy (θ) = (c + σ(θ) tan φ)[1 − e−jy (θ)/ky ]
jy (θ) = r(1 − s)(θf − θ)tan˙ β
(11)
(12)
ky は kx と同じく Shear-displacement であり,車輪表
面形状に依存する.
3
車輪力学モデルの斜面への拡張
前節において示した車輪力学モデルを,斜面へと拡
張することを考える.
角度 α の一様斜面上を走行する車輪を考える.図 4
に示すように,基準座標系 Σ0 を,斜面平行 (横断) 方
向を x0 軸, 最大傾斜方向を y0 軸, 鉛直上方向を z0 軸
として設定する.斜面上の車輪座標系 Σ を,水平面上
の車輪と同様に車輪の縦方向を x, 横方向を y, 地面垂
直上向きを z とすると,Σ0 から Σ への回転変換は x0
軸周りに α, z 軸周りに γ 回転させることによって行
なわれる.γ は斜面横断方向に対して車輪の置かれて
いる角度を表す.このとき x 軸および y 軸が水平面と
成す角は α, γ によって一意に決まり,それぞれ Φ, Ψ
と表す.
ここで定義した車輪座標系を用いて車輪の速度を表
すとき,車輪のスリップ率およびスリップ角は水平面
上のモデルと全く同様に定義することができる.
Fz
Fz
z
Fy
τ
Fx
z
θ
y ψ
x
Φ
θ
θ
Φ θ
σ
τ
θ
θ
Rb
zα
θ
z0
y0
y
z0
Σ
γ
ΣΣ
y0
θ
図 5: Approximations of shear-displacements
x
x0
vx
ω
θf
α
θr
x0
θt
図 4: Wheel coordinate system on a slope
3.1
駆動力:Fx ,サイドフォース:Fy ,地面垂直抗
力:Fz
Fy = rb
θr
θf
θr
Fz = rb
3.2
τy (θ )dθ +
θf
θr
θf
θr
Rb (r − h cos θ )dθ (14)
with negative slip
3.2.2
斜面走行時の滑り現象
大きなスリップ角を持った横滑り現象
水平面における横滑りはステアリング操作によって
生じ,スリップ角は通常数度から十数度の範囲で推移
する.それに対し,斜面上を走行するローバーには,ス
テアリングを切らなくとも斜面下方への横滑りが生じ
る.よって斜面上方へ向けてステアリングを切ってい
る場合,スリップ角が非常に大きくなる可能性がある.
この現象において問題となるのは,車輪形状に依存
する Shear-displacement kx ,ky の取り扱いである.こ
れまでの研究から kx ,ky はスリップ角 β に応じて値
に幅を持つことが分かっているが [5],β との関係は関
数化されておらず,特にスリップ角が大きい領域にお
いてどのような値となるのか分かっていない.そこで
本研究では,スリップ角の広い領域において kx ,ky と
β の関係を関数化することとした.
Shear-displacement の関数化
Shear-displacement kx ,ky は,予め土壌依存係数
が分かっている土壌を用いた一輪走行実験により求め
られる.具体的には,スリップ率・スリップ角一定の
状態において走行中の車輪に生じる力を計測し,理論
値と比較することにより kx ,ky を同定する.kx ,ky
の同定結果とスリップ角の関係を図 5 に示す.図より
Shear-displacement はスリップ角に対してほぼ単調増
加していることが分かる.よってこの関係を線形近似
で表し,スリップ角 β に対する Shear-displacement
の関数表現とする.
{τx (θ ) sin θ + σ(θ ) cos θ }dθ (15)
斜面を走行する際には,水平面上のモデルにおいて
は考慮する必要のなかった,新たな二つの滑り現象に
ついて考慮する必要がある.一つはスリップ角が大き
い状態における横滑り現象であり,もう一つは負の滑
り現象である.
3.2.1
λ va
図 6: Wheel-soil contact model on a horizontal plane
駆動力 Fx ,サイドフォース:Fy ,および地面垂直
抗力 Fz は,θ に代わり θ (= θ − Φ) を用いることに
より水平面上の車輪と同様に求めることができる (図
4 参照).このとき,応力分布は Φ, Ψ には影響を受け
ないものとする.
よって,斜面上の車輪に働く Fx ,Fy ,および Fz は
式 (13)-(15) によって求められる.
θf
Fx = rb
{τx (θ ) cos θ − σ(θ ) sin θ }dθ (13)
+τ
-τ
3.2.3
kx = 0.0428β + 0.0364
(16)
ky = 0.0203β + 0.0131
(17)
負の滑り現象モデル
斜面を降っているローバーを考えると,重力によっ
て加速され,車輪の回転よりも車体並進速度が速くな
るような状態となる場合があることが予想される.こ
のとき車輪は負のスリップ率を持っているといい,回
転と同時に土壌を押し分けるような働きも示す.よっ
て,負のすべり現象を表現する車輪力学モデルを考慮
する必要がある.
負の滑り状態にある車輪の土壌とのインタフェース
部には,せん断応力の向きが車輪の回転と反対の方向
(正の向きとする) から同じ方向 (負の向きとする) へと
変化する遷移点があることが分かっている [8].図 6 は
負の滑り状態にある車輪と土壌の関係の模式図である.
負の滑りを持つ車輪の下部には,2 つの土壌破壊領域
が存在する.領域 ABC は車輪縁 AC に押され,正の
せん断応力を発生しながら上方へとスライドする.そ
れに対し領域 ADE は,車輪に引き摺られて前方に移
動するものの,その速度は車輪の動きよりも相対的に
遅いため,発生するせん断力は負となる.
滑り率 s で走行している車輪の絶対速度方向と車輪
半径方向が成す角 は,幾何学的に
cos θ −
1
1−s
(18)
sin θ
によって求められる.また,遷移点においてせん断応
力は 0 となるため,この点における垂直応力は土壌の
主応力となる.土質力学において,土の破壊は主応力
と 45◦ − φ/2 の角度に生じることが知られている (φ
は内部摩擦角).よって,α が 45◦ − φ/2 となる点が遷
移点であるといえ,次式が成り立つ.
1
cos θt − 1−s
φ
tan 45 −
(19)
=
2
sin θt
tan =
図 7: Experimental results and corresponding simu-
lation results (Negative slip model)
z
この式を解いて得られる θt が遷移点を表す接地角度
である.
y
x
θt を用い,駆動力および地面垂直反力は次のように
求められる.
θf
Fx = rb
τxf (θ) cos θdθ +
(20)
θt
θt
θr
τxr (θ) cos θdθ −
Fz = rb
θt
τxf (θ) sin θdθ +
σ(θ) sin θdθ
4
σ(θ) cos θdθ +
(21)
θt
θr
fw1
fw4
図 8: Dynamics model of the rover
θf
mg
fw3
θf
θr
θr
θf
fw2
τxr (θ) sin θdθ
ここで τxf ,τxr はそれぞれ遷移点より前方および後
方部分のせん断応力を意味し,正の滑り状態の車輪と
同様に下式によって得ることができる.
τxi = (c + σ tan φ)[1 − e−jxi /kx ] (i = f, r)
ただし土壌変形量 jxi は正の滑り状態の車輪における
値とは大きく異なり,式 (22),式 (23) によって表さ
れる.
動力学シミュレーション
本節では車輪力学モデルを用いたローバー走行の動
力学シミュレーションを開発する.テラメカニクスを考
慮した車輪力学モデルは,土壌係数や車輪係数を変更
することにより様々な状況下における力の計算が可能
であり,それを用いたシミュレーションもまた高い汎用
性を持つ.また,シミュレーション対象とするローバー
の形状に対応して力学パラメータなどを変更すること
により,車輪数の増減や重心移動に伴ってローバーの
挙動がどのように変化するかといったことに関し,実
機を開発する前段階でのシミュレーションによる検討
が可能であると期待できる.
4.1
ローバー動力学モデル
ローバーの動力学モデルを図 8 に示す.ローバーの
本体部 (ベース) にベース座標系をとり,進行方向を x,
jxf = r[(θf − θ){1 + (1 − s)Kv } − (1 − s)(sin θf − sin θ)] (22)
車体垂直方向上向きを z とする右手系とする.ベース
(1 − s)(sin θf − sin θt )
1
where, Kv =
− 1 の姿勢は慣性座標系からみたベース座標系のオイラー
1−s
θf − θt
角表現で表される.ローバーは開リンク構造の多リン
ク剛体系であり,ベース及び 10 個のリンクから成る.
jxr = r[θt − θ − (1 − s)(sin θt − sin θ)]
(23)
関節はベース左右に配置されたロッカーリンクサスペ
ンション機構と呼ばれる関節が 2 つ,各脚のステアリ
3.2.4 検証実験
ング関節が 4 つ,車輪関節が 4 つの計 10 関節あり,全
負の滑り状態のモデルの妥当性を検証するため,一
て 1 自由度の回転関節である.
輪走行実験を行なった.実験結果と理論曲線を図 7 に
ローバー全体の運動方程式は式 (24) となる.
示す.なお,理論曲線を求める際,Shear-displacement




v̇0
F0
kx は 0.03 とした.前述した Shear-displacement の関




H  ω̇0  + C =  T0  + J T Fe
(24)
数式 (16) を用いると,スリップ角 β が 0 のとき kx は
0.0364 である.しかし,負の滑り状態にある車輪が土
q̈
τ
壌に与える変形は,正の滑り状態における変形とは大
ここで,
きく異なることが分かっているため,式 (16) は用いず
新たに同定した.
H : ローバー全体の慣性項
理論曲線と実験値の差は大きくとも数 N 程度であ
り,本モデルは十分な妥当性を有していると言える.
v̇0 : ベース加速度
!
˙ 0 : ベース角加速度
α, δ
ω
ε
n
Grounding Condition
Calculation
Rover Model
β
Wheel Coordinate
System Calculation
s
h
Φ, Ψ
θf, θr
kx,ky
c
φ
Wheel Dynamics Model
図 10: A slope traversing experiment of a 4-wheel
r,b
fw
F0 , T0 , τ
Fx Fy Fz
Dynamics Simulation
rover on Regolith Simulant
5
v0 , ω0 , q
Position
Attitude
図 9: A flowchart of the simulation
q̈ : 各関節の角加速度
C : 速度非線形項+重力項
F0 : ベースに作用する力
実験
提案した車輪力学モデルおよび動力学シミュレーショ
ンの妥当性を検証するため,JAXA/NAL (宇宙航空研
究開発機構 (東京都三鷹市)) の施設の実験装置を用い
て,斜面走行実験を行なった.
実験概要
T0 : ベースに作用するトルク
5.1
fi : 各関節のトルク
実験装置は月面上を探査するローバーの性能試験の
ために作られたものであり,角度可変の試験台に模擬
月土壌 (シミュラント) を敷き詰めてある [9].実験の
概観を図 10 に示す.実験台の走行可能面積は 2 [m] ×
1.5 [m],土壌深さは約 0.1 [m] である.装置上部には
位置計測用画像センサが設置され,ローバーの移動軌
跡データを取得できる.また,自動均し機により常に
同じ土壌状態で実験を行なうことが可能となっている.
J T : ヤコビ行列
Fe : 各車輪に作用する力
T
T
T
T T
(= [fω1
fω2
fω3
fω4
] )
である.ローバーに作用する力として,重力,各関節
に働くトルク,及び地面から各車輪が受ける力を考え
る.この各車輪が受ける力 fw を式 (13)∼(15) により
与える.
4.2
ローバーテストベッドを用いた斜面走行
シミュレーションの流れ
ローバー走行シミュレーションの流れを図 9 に示す.
1. シミュレーション対象の土壌の係数およびローバー
の寸法をあらかじめ調査/測定しておく.
2. ステアリング角度,車輪回転速度および斜面角度
などのシミュレーション条件を設定する.
3. 各時刻におけるローバーの位置・姿勢・速度とシ
ミュレーション条件から車輪座標系を求める.
4. 各時刻における車輪の位置・姿勢・速度とシミュ
レーション条件から,車輪の接地状態 (スリップ
率,スリップ角) を求める (式 (1)(2)).
5. 得られたスリップ角から Shear-displacement を算
出する (式 (16)(17)).
6. 各時刻におけるローバーの位置・姿勢・速度とシ
ミュレーション条件から各関節に働く力とトルク
を求める.
7. 車輪力学モデルの式を用い,各軸方向の力を得る
(式 (13)(15)(14)).
8. 6 において得られた各関節に働くトルクと,7 に
おいて得られた車輪に働く力を式 (24) に代入し,
順動力学計算を行なう.
9. 次の時刻におけるローバーの位置・姿勢・速度を
得る.
10. 3∼9 繰り返し
5.2
ローバーテストベッド
本実験ではテストベッドとして本研究室で開発され
た 4 輪ローバーを用いた [10].本体筐体左右の関節は
ロッカーリンクサスペンション機構となっており,片側
が角度を持つと,もう一方が逆の角度を持つ差動機構
である.ローバーは駆動用モータとステアリングモー
タをそれぞれ 4 つずつ持ち,独立で制御できる.実験
中,車輪の回転速度はモータのエンコーダ値を用いて
一定に制御される.また,ローバーのステアリング角
度はポテンショメータによって計測され,実験条件に
合わせて一定に制御される.ローバーの各脚には 6 軸
力覚センサが組み込まれており,各車輪に加わる駆動
力および地面垂直抗力が計測可能である.
5.3
実験条件
本実験では,ローバーを斜面に対して平行に走行さ
せた.実験条件を表 1 に示す.なお,実験はそれぞれ
のパターンに関して 2 回ずつ行なった.
5.4
シミュレーション結果との比較
実験から得られたローバーの走行軌跡と,実験と同
じ斜面角度,車輪回転速度,ステアリング角度を入力
として与えたシミュレーションによる軌跡との比較を,
図 11 に示す.
表 1: Conditions of the slope traversing experiment
Z positioin [m]
Z positioin [m]
斜面角度
0.04
0
-0.04
0.4
0.2
0.4
0.2
0.8
0.6
0
0
(a) f =0,r =0
0
X positioin [m]
※ f :前 2 輪ステアリング角度,r:後 2 輪ステアリ
(a) f =0,r =0
ング角度,いずれも斜面上方向き
Z positioin [m]
5.5
Z positioin [m]
(b) f = 15 [deg],r = 0 [deg]
(c) f = 15 [deg],r = 15 [deg]
0.2
-0.4
Y positioin [m]
X positioin [m]
ステアリング角度
0.4
-0.2
0.2
-0.4
Y positioin [m]
0.8
0.6
0
0.4
-0.2
0∼20 [deg] の範囲で 5 [deg] 刻み
(a) f = 0 [deg],r = 0 [deg]
0.05
0
-0.05
考察
前項の比較結果に基づき,車輪力学モデルと動力学
シミュレーションの妥当性について考察する.
斜面角度 0∼15 [deg] の範囲において,ステアリング
パターン (a),(c) の軌跡間の進行方向と横方向の差は,
どちらも進行距離に対して数%の範囲に収まっている.
(b) f =15,r =0
(b) f =15,r =0
ここで,軌跡の進行方向の差すなわち軌跡の距離が車
輪の駆動力に依存し,横方向の差がサイドフォースに
依存することは自明である.よって,軌跡の一致が良
いということは,この範囲における車輪力学モデルが
妥当であることと同値であるといえる.
斜面角度 20 [deg] のケースでは,実験軌跡はシミュ
レーション軌跡に比べて著しく下降している.このと
(c) f =15,r =15
(c) f =15,r =15
き,両軌跡の走行距離にはあまり差がないことと,ロー
(A) Slope angle : 5 [deg] (B) Slope angle : 10 [deg] バーがステアリング角を持ち車輪のスリップ角が大き
いほど軌跡の隔たりが大きくなっていることから,ず
れの原因はサイドフォースにあり,シミュレーションに
おけるサイドフォースが実験のものよりも大きくなっ
てしまっていると考えられる.
式 (10) に示したように,サイドフォースは車輪底部
において発生する y 方向のせん断応力を積分して得ら
れる力 (Fu ) と,地面に沈下している車輪側面部が土
壌を押しのけることによって発生する単位面積あたり
(a) f =0,r =0
(a) f =0,r =0
の力 Rb (排土抵抗) を面積分して得られる力 (Fs ) の合
力となる.緩やかな斜面を横断する場合と急峻な斜面
の場合で大きく異なるのは,車輪の沈下量である.急
峻な斜面の横断においては,車輪の大きな横滑りのた
め沈下量が非常に深くなり,結果として式 (10) におけ
る Rb の支配性が高まる.
これまでに提案してきた車輪力学モデルにおいて,
Rb は車輪 z 方向への沈下量のみに依存し,斜面角度
(b) f =15,r =0
(b) f =15,r =0
は考慮されていない.しかし斜面を形成している土壌
は上方からの車輪の圧力に負けて崩壊を起こしやすく,
水平面と同等の力は発揮できないと考えられる.この
現象は未だ定式化されておらず現時点の車輪力学モデ
ルでは扱えないため,20 [deg] の斜面において大きな軌
跡のずれが生じてしまったといえる.しかし,20 [deg]
より角度の小さな斜面では排土抵抗の誤差は大きな影
響を与えず,提案した車輪力学モデルの有効性が確認
できたといえる.
(c) f =15,r =15
(c) f =15,r =15
前輪のみにステアリング角度を与えた場合 (パター
(C) Slope angle : 15 [deg] (D) Slope angle : 20 [deg]
ン
(b)),他の 2 パターンよりも軌跡の差異が大きく
図 11: Comparison of rover trajectories (Experiment
なっている.この差異はローバーテストベッドのロッ
vs. Simulation)
カーリンク部の柔軟性に起因していると考えられる.
前後のステアリング角度が異なる場合,ローバーは旋
回運動 (コーナリング) を行なう.コーナリング中の
0.04
0
-0.04
0.4
0.2
0.4
0.2
0.2
0.8
0.6
0
0.4
0
0.4
-0.2
0.2
Y positioin [m]
X positioin [m]
Z positioin [m]
-0.4
X positioin [m]
0.4
0.8
-0.2
0
0.05
0
-0.05
0.6
0
0.2
-0.4
Y positioin [m]
X positioin [m]
Z positioin [m]
Z positioin [m]
0
0.4
-0.2
0.04
0
-0.04
Y positioin [m]
0.8
0.6
0
0.2
-0.4
Y positioin [m]
Z positioin [m]
0.2
0.8
0.4
-0.2
0.1
0
-0.1
0.2
-0.4
0
X positioin [m]
0.1
0
-0.1
0.4
0.4
0.2
0.2
0.8
0.6
0
0
0.4
-0.2
0.2
-0.4
0.1
0
-0.1
0.2
-0.4
Y positioin [m]
X positioin [m]
Z positioin [m]
Y positioin [m]
0.8
0.6
0
0.4
-0.2
Z positioin [m]
0.4
0.6
0
0
X positioin [m]
0.1
0
-0.1
0.4
0.4
0.2
0.2
0.8
0.6
0
0
0.4
-0.2
0.2
-0.4
0.1
0
-0.1
0.2
-0.4
Y positioin [m]
X positioin [m]
Z positioin [m]
Y positioin [m]
0.8
0.6
0
0.4
-0.2
Z positioin [m]
0.05
0
-0.05
0
X positioin [m]
0.1
0
-0.1
0.4
0.4
0.2
0.8
0.6
0
0.4
-0.2
Y positioin [m]
0.2
0.8
-0.4
0
X positioin [m]
0.6
0
0.4
-0.2
0.2
Y positioin [m]
0.2
-0.4
0
X positioin [m]
表 2: Basic conditions of the traversing simulation
車輪回転速度
0.50 [rad/s]
ステアリング角度
全て 0 [deg]
本体部重心位置
中央
• 上記 2 点より,本シミュレーションは角度 15 [deg]
以下の斜面における剛体ローバーの挙動を適正に
模擬できるといえる.
(A) Experiment
(B) Simulation
図 12: Comparison of weight of each wheel
ローバーでは,遠心力のため前方外側の車輪に最も大
きな荷重がかかるはずである.ここで実験およびシミュ
レーションにおいて得られた,水平面での旋回中に各
車輪に生じた地面垂直抗力のグラフを図 12 に示す.な
お,グラフ中の車輪番号は,グラフ上部に示した模式
図のとおりに割り振られている.
シミュレーションにおいては,前方外側の車輪 (1 番)
に加え,3 番の車輪にも荷重が多くかかっており,対
照的に 2,4 番にかかる荷重は小さくなっている.こ
れはロッカーリンクの働きによるものであると考えら
れる.前述したように,本研究に用いているローバー
テストベッドにはロッカーリンクサスペンションと呼
ばれる機構が採り入れられており,対角線上の車輪の
上下動は同期し,隣接する車輪同士の動きは反対とな
る.この動きが正確に反映された結果が,シミュレー
ション結果における荷重差であるといえる.
これに対し実験結果においては,2 番車輪と 4 番車
輪にかかる荷重の間に大きな差が生じてしまっている.
この現象は,実機走行の際のロッカーリンクの働きに
歪みが存在することを示唆していると考えられる.本
ローバーテストベッドのロッカーリンクにはワイヤー
が用いられており,その柔らかさと摩擦係数の高さか
らリンクの動きがあまり滑らかではないことに加え,
歪みを溜めやすくなっている.
このようなロッカーリンクの柔軟性がシミュレーショ
ンのローバーモデルに反映されていないため,コーナ
リングのような車体の歪みが生じる動きをした場合に,
実験結果とシミュレーション結果にずれが生じてしまう
のだと推測される.よって図 11 のステアリングパター
ン (b) における軌跡の差異は,車輪力学モデルではな
くローバー動力学モデルに起因するものであり,テス
トベッドが剛に連結されていれば生じないものである
と考えられる.また斜面角度が小さい領域 (10 [deg] 程
度まで) においては,車体の歪みがあまり大きくない
ため軌跡の差異も小さく,本シミュレーションによっ
てローバーの挙動を十分に模擬できているといえる.
以上の考察から,車輪力学モデルおよび動力学シミュ
レーションの妥当性に関し,次の 3 点がいえる.
• 車輪力学モデルは斜面角度 0∼15 [deg] の範囲に
おいて十分な妥当性を有している.
• ローバー動力学モデルはロッカーリンクサスペン
ションの柔軟性を模擬できていないが,その点を
除けばモデル化は適切に行なわれている.
なお,サイドフォースを考慮せず駆動力と垂直抗力の
みを考えるような場合,例えば斜面に直角な登坂時な
ど,においては本シミュレーションの有効範囲はより
広くなり,斜面角度 20 [deg] 程度であっても実験結果
とよく一致することが分かっている [11].
6
斜面横断挙動解析
本節では,動力学シミュレーションを用い,ローバー
の走行条件 (車輪回転速度や形状など) の違いによって
ローバーの挙動がどのように変化するかについて解析
する.また,斜面横断時に重心を山側へ移動させるこ
とにより,転倒の危険性などを減らすことができるこ
とはよく知られている.しかし,重心移動を行なった
際に軌跡がどのような変化を見せるかという点に関し
ては,ほとんど考慮されていない.そこでこの点につ
いても挙動解析を行なうこととする.
6.1
解析条件
本章の全ての解析において,斜面角度を 10 [deg],シ
ミュレーション時間を 25 [sec] とした.その他の解析
条件について,基本条件を表 2 に示したように設定し
た.この基本条件に以下の 4 つの条件を加えたものに
ついてシミュレーションを行なった.なお,括弧内の
番号は走行条件番号である.
• 前輪ステアリング角度 5 [deg] ( ),10 [deg] ( )
• 全輪ステアリング角度 5 [deg] ( ),10 [deg] ( )
• 車輪回転速度 左 0.45 右 0.55 [rad/s] ( ),左 0.40
右 0.60 [rad/s] ( )
• 本体部重心位置 左 1/4 ( ),右 1/4 ( )
6.2
6.2.1
シミュレーション結果
走行軌跡に対する影響
各シミュレーションの結果得られた軌跡を,図 13 に
示す.なお,図中の軌跡に割り振られた番号は,走行
条件番号と対応している.
6.2.2
姿勢に対する影響
走行条件 , および におけるシミュレーション
結果について,CG を用いて可視化したものを図 14 に
示す. , および の軌跡は,図 13 から分かると
おりほぼ直線であるが,走行条件によってローバーの
姿勢 (Yaw 回転) が大きく異なっていることが分かる.
よって,3 つのパターンの到達位置がほぼ同じであっ
ても,条件によって到達時の姿勢を変えることができ
ることが示された.
0.4
1
0.2
Z positioin [m]
Z positioin [m]
0.05
0
-0.05
0.4
-0.4
Y positioin [m]
0
X positioin [m]
1
0.2
0.8
0.6
0.4
-0.2
-0.4
X positioin [m]
0
X positioin [m]
0.05
0
-0.05
0.4
1
0.2
0.8
0.6
0
0.4
-0.2
0.2
0
7
0.2
(B) All wheel steering
Z positioin [m]
0.4
-0.4
Y positioin [m]
0.05
0
-0.05
0
0.4
-0.2
0.2
(A) Front wheel steering
Y positioin [m]
0.8
0.6
0
0.4
-0.2
1
0.2
0.8
0.6
0
Z positioin [m]
0.05
0
-0.05
Y positioin [m]
-0.4
0.2
0
性の確保を重視して重心移動を行なうことができる.
これらの特性を考慮し状況に応じた操作を行なうこ
とにより,斜面横断時のローバーの自律性および安全
性の向上が期待できる.
X positioin [m]
(C) Skid steering
(D) With transfered CG
図 13: Comparison of rover trajectories (Simulation)
結言
本稿では,まずはじめに斜面を考慮したテラメカニ
クスに基づく車輪力学モデルを構築した.構築した車
輪力学モデルとローバー動力学モデルを組み合わせ,
汎用性の高いローバー走行シミュレーションを開発し
た.さらに,モデルおよびシミュレーションの有効範囲
をローバーテストベッドを用いた斜面走行実験によっ
て検証した.最後に,シミュレーションを用いて斜面
横断時のローバーの挙動について解析し,その有効性
を示した.本研究において構築された車輪力学モデル
およびシミュレーションの特長は汎用性が高いことで
あり,今後様々な解析に用いることが可能であると考
えられる.
謝辞
ローバー斜面走行実験は宇宙航空研究開発機構の施
設において実施しました.関係各位に深く御礼申し上
げます.
参考文献
Front wheel
All wheel
Skid
図 14: Illustrations of the slope traversing simulations
6.3
各操作の特性
以上の解析によって判明した,各操作の特性につい
てまとめる.
前輪ステアリング操作
本操作は最も容易に,且つ大きく軌跡を変化させるこ
とが可能である.
全輪ステアリング操作
全ての車輪を同一方向に向けることにより,Yaw 軸ま
わりの姿勢変化を生じない軌跡変更を行なうことがで
きる.
スキッドステアリング操作
この操作によっても転回することが可能であるが,ス
テアリングの効率が高くない上に車輪のスリップ率が
増加してしまう.よって,ステアリング関節をもって
いない場合などを除き,あまり行なうべきではない操
作であるといえる.
重心移動操作
本操作が軌跡に与える影響は非常に軽微である.した
がって,軌跡の変化をあまり考慮することなく,安全
[1] http://marsrovers.jpl.nasa.gov/home/
[2] Bekker, G.: Introduction to Terrain-Vehicle Systems,
University of Michigan Press, 1969.
[3] Iagnemma, K., and Dubowsky, S.:“ Mobile Robot in
Rough Terrain ”, Springer Berlin Heidelberg New York,
2004
[4] 石上玄也,水内健祐,吉田和哉:“テラメカニクスに基づく車
輪型移動ロボットの走行性能解析 (1.月模擬砂上でのタイヤ
力学解析)” 日本機械学会,ロボティクス・メカトロニクス講
演会,2005
[5] Yoshida, K., and Ishigami, G. : “ Steering Characteristics
of a Rigid Wheel for Exploration on Loose Soil,” Proc
of the 2004 IEEE Int. Conf. on Intelligent Robots and
Systems, 2004
[6] Wong, J. Y., Reece, A. R.:“ Prediction of Rigid
Wheel Prefoemance Based on the Analysis of Soil-Wheel
Stresses Part I, Preformance of Driven Rigid Wheels,”
Journal of Terramechanics, vol.4, 1967
[7] Janosi, Z., and Hanamoto,B.:“ The analytical determination of drawbar pull as a funcition of slip for tracked
vehicle ”, Proc, 1st Int. Conf. on Terrain-Vehicle Systems,
Torio, 1961
[8] Wong, J. Y., Reece, A. R. : “ Prediction of Rigid Wheel
Performance Based on the Analysis of Soil-Wheel Stresses
Part II, Performance of Towed Rigid Wheels ”, Journal
of Terramechanics, vol.4, no.2, 1967
[9] 月・惑星探査グループ “ローバー走行試験装置概要” ,2003
[10] 吉田和哉ほか: “月探査ローバーテストベッド Lunar Rover
Prototype の開発,” 日本ロボット学会,第 21 回学術講演
会,2003
[11] 三輪章子,石上玄也,永谷圭司,吉田和哉:“テラメカニクス
に基づく月・惑星探査ローバーの登坂性能解析” 第 11 回ロボ
ティクス・シンポジア,2006