基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ○日 時:2009 年3月~10 月 ○内 容:大きな木陰をつくるプロジェクト ○参加者:PPC、基町住人、通行人など ○協 力:おりづる作業所、みずえ緑地 計画当時のイメージ図 ◆目的 ◆実施方法 ポップラの支柱を活用して木陰づくり。 等間隔に穴を空けたホースを土の中に ゴーヤに注目してもらい、いっしょに木 埋めて、少しずつ水が流れるよう給水タ 陰を育て憩うこと。ポップラ通りの豊か ンク(200 リットルの水瓶)を設置。3 な自然に触れながら、環境や美化への意 月、4月に苗を植えたあと、タンクに水 識を高めること。特に周辺地域の人に愛 を入れるのは人の汗、ボランティアを募 着を持ってもらうこと。 った。 7 月 11、12 日、「ゴーヤ人募集」のチラ シを町内会の許可をもらい、基町市営ア ◆効果 パートに 700 枚を配布。 いつも素通りする河岸緑地に、なんとも 風変わりなドーム状の木陰ができて、注 ◆課題 目された。緑のカーテン(ドーム)の内 収穫できる楽しみがあることから、ゴー と外とでは、あきらかに温度が異なる。 ヤを選んだ。ただ、公共空間ゆえに「収 ゴーヤから水分が蒸散して熱を奪い、ひ 穫物」の処分の方法に難しさがあり、来 んやりする。 年は実のつかない種類のつる性1年草 に挑戦したい。公共空間ゆえに「収穫物」 の対応が難しい。 また、水やりは大変な作業。バケツ 10 杯でもタンクの半分ほど。梅雨以降、7 月~10 月の約 15 週間が山場。継続すれ ば木陰ドームの認知度も高まるだろう。 チラシの表(↑) 、裏(→) -1- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●3 月 28 日 ●3月 28 日 土づくり。ゴーヤの苗を植える場所は、 肥料を土に混ぜ、掘った穴を元にもど 先代ポップラを支えていた支柱のある す。土づくり終了。 場所。高さ5メートル、横は3メートル。 雑草はいっぱい生えているが、公共空間 なので植物を植えて育てることはなか った。 四方に 30 ㎝くらいの穴を掘る。 ●4月 25 日 ●5月9日 ポップラの支柱にネットを設置。 苗を植える。中央公園のグリーン市でゴ 支柱の上からすっぽりとネットをかぶ ーヤの種の無料配布の列に並び、その種 せるよう、長いネットをつなぎ合わせて を「おりづる作業所」(観音)で苗に育 いく。縫い物のように。 てていただいたもの。 このネットにこんもりとゴーヤが茂る 予定。ゴーヤがつたって成長していく。 -2- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●5月9日 ●5月9日 ネットの下にひもを張った(写真では分 全景はこんな感じ。 かりにくいかもしれない・・・)。ゴーヤが 右・・・ヤングポップラ つたって成長していくように。 支柱・・・先代ポップラを支えていた立派 苗は、10 株ずつ支柱の4面に植えた。 な柱 中・・・切り株ベンチ(元ポップラ) 右の端・・・給水タンク(水瓶) ●5月9日 ●5月 23 日 おりづる作業所でゴーヤの種を育って ひもにオレンジリボンを付けて注意を いただき、こうして苗を移植した。 喚起。家族が散歩途中に立ち寄った。 ぷーんとゴーヤの香りがする。 支柱は 2004 年の台風に倒れたポップラ (ポプラの木)の再生を目指し建てられ たが、木は 2008 年に力尽きて枯死。そ の後、切り株ベンチになり、人が集う場 所になっている。 -3- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●6月 27 日 ●6月 27 日 あら、ゴーヤちゃん! ゴーヤ・ドーム周辺の草取り。 うひゃ~。ざっと見渡して4、5個の小 肥料やり、観察。 さなゴーヤを発見。 黄色の花が終わり、5cmの実をつけて いる。 ●6月 27 日 ●7月 25 日 ひもをつたって、上へ上へと伸びてい 7月に入ると、大きなゴーヤがあっちに く。 も、こっちにも出現! 黄色の花がアクセントになって、遠くか そして中から真っ赤な種が飛び出す。 ら見るとよく映える。 はじける前に収穫! -4- 収穫! 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●7月 25 日 ●7月 25 日 「伸びましたねえ」 全景。 人の身長を超えた。 となりのヤングポップラも大きくなっ 遠くからきれいに見えるように、枯れた てきた。樹高は約8メートル。 葉やはじけたゴーヤ(オレンジ色にな る)を取り除く。 ●8月 22 日 ゴーヤ・ドームの内側で作業中。 本日は約 50 本収穫。 結果的に9月末のシーズンオフまでに 約 300 本を収穫した。ご近所や通行人、 水やりスタッフに分けた。 2種類のゴーヤ、ナスビ型とキュウリ型 ●8月 22 日 だったと判明。 収穫。お父さんの肩車で。 -5- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●8月 22 日 ●8月 22 日 「涼しい!」と歓声があがる。 ゴーヤ・ドームの外側で脚立を皆でしっ 五日市高校の放送部の取材を受けた。 かり持って作業。一人が大きなゴーヤを ゴーヤ・ドームの内側はこんな感じ。 ゲット! 立派な木陰になった。 ゴーヤでおおわれた支柱。 ●8月 22 日 ●9月 10 日 ものすごい勢いでゴーヤが成長中。 本川小学校の水環境学習会。 夏の緑はとってもまぶしい。 ポップラのこと、ゴーヤのことを例に命 ゴーヤ・ドームは涼を得られるステキな のバトンタッチについて説明した。ヤン 空間となった。 グポップラのお父さんが 25 メートルも あったことを伝えるのに、「学校にプー ルはありますか?」と尋ねた。「ある、 すげえ、でかい!」と反応が早い。 -6- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●10 月 10~11 日 青空美術館 ●10 月 10~11 日 青空美術館 ゴーヤ・ドームの取り組みやポップラ通 手作りのゴーヤ茶とゴーヤジャムをサ りの修景に関するアンケートを実施。 ービスしながら、ポップラ通りの風景に 『基町ポップラ通りを舞台とした「地域 ついて、来場者、通行人の率直な意見を と連携した水辺の修景と学習活動」 ヒアリング。ここは長さ 200 メートルも ((社)中国建設弘済会の助成事業)のま ある河岸緑地なので、端から端へスタッ とめとなるもの。体育の日恒例のTシャ フが、お茶とアンケート用紙をたずさえ ツアート「青空美術館」の協力を得た。 フルマラソン状態? ●10 月 10~11 日 ●10 月 10~11 日 青空美術館 青空美術館 収穫したゴーヤで作ったゴーヤ茶、ゴー ゴーヤ茶とゴーヤジャムを試食しても ヤジャムのプチフール。 らいながら、「ゴーヤ・ドームをどう思 お茶にはゴーヤ独特の苦味が抽出され いますか?」「この場所へよく来ます て、甘味を加えたジャムとトッピングの か?」など、計 100 人の声を集めた。 クリームチーズを乗せたクラッカーが ちょうどよいバランス。スタッフのアイ デア料理。 -7- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●10 月 10~11 日 青空美術館 ●10 月 10~11 日 青空美術館 T シャツアート「青空美術館」は家族連 今年の青空美術館のテーマはピース。白 れで楽しめる、とっても分りやすいイベ いTシャツの上に、参加者がピースの指 ント。 をなぞって写し描いたメッセージを、展 ヤングママにゴーヤ茶のおかわりをお 示(干す)する趣向。 ねだりするベビーちゃん。まだ苦味を感 写真を撮ったり、たくさんの絵を描いた じることがないのかも・・・。 り、Tシャツの影にも表情が感じられて カワイイ。 ●10 月 10~11 日 青空美術館 ●10 月 10~11 日 青空美術館 PPC 誕生のベンチに腰掛けて、実際の風 秋の夕暮れはまぶしい。 景を前にアンケートに協力する人たち。 ほとんどが、ポップラ通りのことや PPC 支柱をゴーヤ・ドームにしたことについ について知らない人が回答。来年度も支 ては、ほとんどの人が「ステキ!」「面 柱を活用すべきという意見が多かった 白い」との評価。でも、中にはポプラと が、ヤングポプラを生かすために支柱は ドームの位置が近すぎて、風景的にはあ 撤去という意見もあった。また、多かっ まり良くないとの意見も。 たのは「もっと緑陰を」という意見。 -8- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト ●9月 26 日 ●10 日 24 日 秋の入口。 ゴーヤ人の「ゴーヤ・ドーム」を撤去。 ゴーヤの下の方は枯葉が目立つ。10 月末 いっぱいゴーヤが実っていたネットは にはこのドームを撤去。涼を惜しみなが あっという間に取り除かれて、再び、 「支 ら、通行人が切り株ベンチに腰掛けて、 柱とポップラ」の関係にもどった。 休憩する。 ●10 日 24 日 ●10 日 24 日 アンケート結果から「よかった点」 アンケート結果から「反省点と課題」 ・かわいいし、景色になじんでいて素敵だと思 います。和みます。 ・夏の間、花と実がさぞかしきれいでみんなを 楽しませたと思います。 ・とてもいい木陰+緑のカーテンが涼しくすて きです。 ・ポプラの木とマッチして自然に溶け込んで心 落ち着く風景です。 ・水辺との調和が面白い。 ・なぜゴーヤなのですか?(理由がわからない) ・川の空間にあっているのか? ・よく城南通りを車で通ります。そこから見る と(申し訳ないのですが)ポプラ一本だけの 方が景観は良いように思います。ただ、確か にこのスペースに日陰がないので、もっと通 路よりに大きなゴーヤ・ドームをつくっては いかがでしょう。遠くから見るとただの草む らのようですので、告知も必要かと。 -9- 基町ポップラ通りを舞台とした「地域と連携した水辺の修景と学習活動 2009 年「ゴーヤ・ドーム」プロジェクトの報告 ●ゴーヤの木陰を育てる「ゴーヤ・ドーム」プロジェクト PPC の主催イベントではない青空美術 館でのアンケートだったので回答者は 「基町ポップラ通り」の名を知らない人 の方が多かった ポップラ通りの認知 知っていた 始めて知った 未記入 合計 ポップラ・ペアレンツ・クラブ(PPC)についても知らな い人がほとんどだった PPCの認知度 名前も活動も知っていた 名前だけ知っていた 知らなかった 何かやっているなとは思っていた 未記入 合計 人数 % 37 35.9 66 64.1 0 0.0 103 100.0 人数 % 7 6.8 7 6.8 81 78.6 6 5.8 2 1.9 103 100.0 ゴーヤ・ドームも「始めて見た」人が多かった (複数回答) 人数 % 11 10.7 ゴーヤドームの認知度 主旨を知っており実物も見ていた 実物は見ていたが主旨は知らな かった 知らなかった 未記入 合計 0 10 14 13.6 75 72.8 3 2.9 103 100.0 20 30 40 50 60 58 今後も支柱を活用して緑陰をつくるのがよい 8 次世代のポプラが大きくなったら支柱を撤去 2 ポプラが伐採されて不要になった支柱はすぐに撤去すべき 41 もっと木を植えて緑陰をつくるべき 8 ポプラのまわりの柵は必要ない 11 未記入 0 10 20 30 40 50 31 映画やコンサートなどのイベント 46 オープンカフェなどの飲食屋台の出店 39 今のままでいい(騒がしくならないでほしい) 住まい 広島市内 広島市外 未記入 合計 今後の展開について、現状のゴーヤ・ド ームを面白いあるいは緑陰に意味があ ると感じた人が多く、今後も支柱を活用 して緑陰をつくるのが良いという意見 が多かった。併せて、もっと緑陰をつく るべきという意見も多かった。 5 その他 性別 男 女 未記入 合計 70 その他 5 未記入 5 人数 % 44 42.7 51 49.5 8 7.8 103 100.0 人数 % 84 81.6 14 13.6 5 4.9 103 100.0 年齢 10代 20代 30代 40代 50代 60代 70代 未記入 合計 人数 % 2 1.9 25 24.3 32 31.1 13 12.6 7 6.8 17 16.5 5 4.9 2 1.9 103 100.0 - 10 - この場所にあるとよいものとしては、オ ープンカフェなどの飲食屋台が多くあ げられたが、同時に今のままが良い(あ まり騒がしくなってほしくない)という 意見も多かった。 回答者は主に青空美術館のイベントに 参加した人、散歩で通りがかりの方など を対象にしており、市内在住の比較的若 い人が多かった。
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