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WOMAN'S
YOGA BOOK
ウーマンズ ヨガブック
~ 女性のヨガライフ実践書~
[ 装丁 ]
デザイン : ミスミリエ
写真 : 木村 じゅんこ
モデル : HIKARU
WOMAN'S
YOGA BOOK
ウーマンズ ヨガブック
~ 女性のヨガライフ実践書~
共著 : リンダ・スパロー / パトリシア・ウォールデン(ヨガ・シークエンス担当)
まえがき : ジュディス・ハンソン・ラサター博士
写真 : デイビッド・マルチネス
監訳 : アンダーザライト ヨガスクール
翻訳 : 赤木 香苗
まえがき / ジュディス・ハンソン・ラサター博士… ………………… ⅶ
序章
Contents
…… ……………………………………………………… ⅸ
この本の使い方… ……………………………………………… ⅹⅲ
目 次
第1部 基本的なヨガのシークエンス… …… 1
第1章 女性のための基本シークエンス………………………… 3
第2章 女性のための活力を上げるシークエンス… ……………25
第3章 女性のための心身回復シークエンス……………………43
第2部 目覚めのとき… ……………………
55
第4章 身体と仲良くなる…… ……………………………………59
第5章 月経周期を尊重する… …………………………………88
第6章 免疫システムを支える………………………………… 118
第3部 豊かさへ… ……………………… 133
第7章 陣痛、
分娩、
産後に備える…… ………………………… 137
第8章 腰を大切にする… …………………………………… 168
第9章 頭痛を改善する… …………………………………… 190
第4部 真実を語る…… … … ……………… 207
うつ
第10章 鬱に対処する… ……………………………………… 211
第11章 上手に閉経を迎える… ……………………………… 233
第12章 消化を改善する……………………………………… 273
え い ち
第5部 心の内側からあふれる叡 智……… 295
第13章 閉経後の症状を最低限に留める… ………………… 299
第14章 骨粗しょう症を改善する… …………………………… 322
第15章 心臓を強化する… …………………………………… 340
参考文献…… …………………………………………………… 353
謝辞
…… …………………………………………………… 358
索引
…… …………………………………………………… 361
免責事項
ヨ ガ や そ の 他 の エ ク サ サ イ ズ を 行 う 際 は 、ヘ ル ス ケ ア・医 療 サ ー ビ ス 提 供
者 に あ ら か じ め 相 談 し て くだ さ い 。ヨ ガ は 常 に 、資 格 を も つ イ ン スト ラ ク
タ ー の もと で 練 習 を し て くだ さ い 。当 方 は 、ヨ ガ 練 習 中 に 起 こりうる い か
なるけがに関しても一 切 責 任 を 負 いませ ん 。
THE WOMAN'S BOOK OF YOGA AND HEALTH
by Linda Sparrowe with Patricia Walden
Copyright©2002 by Linda Sparrowe;
photographs by David Martinez, photograph on p. xv by Clark Quin
Japanese translation published by arrangement with
Shambhala Publications, Inc. through The English Agency ( Japan) Ltd.
この本の一部あるいは全部について、文書による許諾なしに、
いかなる方法においても無断で複製、複写、変換することを禁じます。
現代は、健康や精神的発達を促す練習を日々の生活に取り入れることが、これまで以上
に必要とされている時代です。私たちを取り巻く環境は、かつてない程の人口の増加に伴
う資源の減少によりストレスを抱えており、政治の混乱は緊迫した状態に陥っています。こ
の世界を、現代の私たちにとってだけでなく、将来の世代にとっても住みよい価値のある
ものにするためには、自ら責任をもって豊かな生活を築き、より健全な生き方を選択した
者同士で助け合わなくてはいけません。つまり、世界を変えるには、まずは自分自身が変
容しなくてはならないのです。
私個人のヨガとの関係は、ある健康上の問題から始まりました。20 代前半に関節炎を患
Foreword
まえがき
ったとき、処方された大量の薬を飲むことを嫌った私は、その代わりに、職場で開催されて
いたヨガクラスを試そうと思ったのです。そして、そのヨガクラスが、私にある変容をもた
らしたのでした。新しい食生活と日々のヨガの練習を注意深く実践することによって、数ヶ
月の内に症状が改善されていったのです。痛みの消滅を経験して、もちろん、私のヨガに対
する想いは強固なものとなりましたが、それと同時に、自分が、あらゆるレベルで活き活き
としていくと同時に、物事に対してより柔軟に対応できるようになったことにも気付きまし
た。端的に言うならば、身体的に健康になっただけでなく、精神的にも健康になっていった
のです。もちろんヨガが全ての症状を解消するわけではありませんが、ヨガを定期的に練習
することによって、自分という本質へ立ち戻ることができ、自分の本来の力や思いやりが引
き出され、それによって、心理的・感情的な健康がもたらされることを実感したのです。
事実、今日では、健康と幸福に関する多くの研究がなされ、ヨガの練習や呼吸法、瞑想には、
ストレスを大きく軽減する効果があることが立証されてきています。しかし、
身体的、
感情的、
スピリチュアル的なヨガの恩恵について述べている本は数多く存在していたものの、女性な
らではの問題に特化した本は、ほとんどありませんでした。そこで、そのニーズに応えるた
めに産まれたのが、本書『女性のためのヨガマニュアル―生涯役に立つ健康ガイド』です。
現代の女性は、仕事や家庭内における様々な役割によって多くのストレスを抱えていま
す。物事への対処でも、料理でも、家族交流でも、スピードが求められる社会に生きており、
駆けずり回りながら働いて働いて、周囲の人達を養い、ただ目の前の「やることリスト」を
一つずつつぶしているのです。
しかし、多くの人の心の奥深くには、一つの願いがあります。それは癒しや安らぎに対
する慕情です。私たちは自由を求めてはいますが、それは人生から離脱できるという意味
での自由ではなく、今の人生の中に見出すことのできる自由を求めているのです。
ヨガは、後者のような自由を探し出すのに役立ちます。うずきや痛みからだけでなく、恐
れや動揺、孤独感から自由になれるのです。またヨガによって、自分自身とのつながりや、
コミュニティとのつながりを感じることができるでしょう。毎日マットに立つ度に、他の人
たちも同じことをしているのだと確信することができるでしょう。すると、ヨガの練習が、
個人的なエクササイズから普遍的なエクササイズとなってきます。ポーズを取っている時
に奥深いところに存在する自己の本質を見出すことは、他の女性たちとのつながりを再認識
もを産み、オープンな心と明晰な頭脳を持ってその子を育てることに苦心しているような
まえがき
することでもあるのです。この世界で生き残っていくために必死に努力を続けながら、子ど
全ての女性との魂のつながりを…。
またヨガのクラスでは、身体を曲げたりストレッチしたりすることで、身体を柔軟にする
と同時に、物事に柔軟に順応する術も学んでいます。順応性を持つことは、女性が人生で
直面する様々な困難を乗り越えていくにあたって、最大の強みとなります。というのも、私
たち女性は、初潮と共に子供らしさから女らしさへと否応なしに唐突な変化を強いられてか
ら、妊娠や出産という奇跡を経て、閉経後はまた次の人生のステージへと変容していかなく
VII
てはならない存在だからです。豊かな柔軟性や順応性を兼ね備えて、新しく出来上がったル
ールを尊重しながら、自分の身体の変化を見つめていかなくてはなりません。本書『女性のた
めのヨガマニュアル』では、このような女性特有の変化を讃えながら、人生の各ステージにお
いて私たちが直面するあらゆる困難に対しての理解を促し、その困難の中でも心の平安を保つ
ことができるようにするための特別なヨガのプラクティスが掲載されています。
どうぞ本書を手に取り、プラクティスに専念してください。疑いの心を持つことで遠回りし
てしまわないように。著者の勧めるところから、少なくとも1つのポーズを選び、それを毎日
練習してみてください。1日に1つのポーズを取る時間しかないのであれば、深いリラックス
効果をもつ屍のポーズ(シャヴァーサナ)を選びましょう。概してアメリカ人は睡眠不足で
すが、特に女性においてそれが顕著になっています。私たち女性は、赤ちゃんに起こされる
こともあれば、洗濯や食事の準備、さらには自分の抱えている仕事のためにも早起きをしな
くてはいけません。そして、夜は遅くまで家計簿をつけて洗濯物を畳み、全てが終わって TV
の前でぼんやりしているときになってようやく、完璧主義ゆえに次々と迫り来るやるべきリス
トをいったん脇に置いて、束の間の休息を味うことができるのです。それなら、その TV を見
る時間の代わりに、
屍のポーズを練習しませんか。毎日15分間、
全く何もしないことによって、
身体が回復していくことでしょう。今は他のポーズの練習をする時間がなかったとしても、こ
の1つのポーズを練習し続けることが重要な鍵となります。
すると、まもなくして、もう一度この本を開き、自分の練習に他のポーズも足してみたくな
るはずです。その時、この本の著者であるリンダ・スパローとパトリシア・ウォールデンが、
ありとあらゆるヨガの恩恵が得られるように本書を構成していることに気づくことでしょう。
それは例えば、妊娠や閉経期のためのポーズや、免疫システムを補助するポーズ、頭痛を改
善するポーズ、鬱を軽減するポーズ、そして腰の痛みを緩和するポーズなどです。本著掲載
の写真は美しくも芸術的で、その内容は為になることばかりです。しかし、ここで最も重要な
のが、あなた自身です。あなたが心から練習に専念するのでなければ、本著は単なる本棚の
一冊となってしまうのです。もしも練習に心から打ち込むことができれば、これらの練習を自
分の人生に取りいれることができるようになります。そして、最初に試したその瞬間から、ヨ
ガの練習があなたの人生の良きサポーターとなることでしょう。
ここで、1つ自分自身に問いかけてほしいことがあります。それは「今この瞬間に、人生に
おいて最も欲しいものは何か?」ということです。もしかしたら、あなたは、自分を取り巻く
環境や病気持ちの両親を変えるだけのパワーもなければ、願望通りのお金があるわけでもな
い、偏屈な10代となっているかもしれませんね。それでも、このような困難に対する捉え方
を変えるのに必要な力を生み出すよう、ポーズを練習しましょう。この本のテクニックを用い
れば、その力にアクセスすることができ、自分の感情までも選んでいくことができるようにな
るのです。
リンダもパトリシアも私も、あなたと何も変わりません。私たちも、自分の身体や人生に対
して悩んできたのです。そして、上手くいかない男女関係や、そのために生じる困難と向き
まえがき
合ってきました。しかし、
その困難の真っ只中でもヨガや呼吸法を定期的に練習してきたので、
気付けば、自分を省みることができるちょっとした静かな時間が自らの人生の基盤となってい
たのです。これまで私たちが大切なものを頂いてきたように、あなたにもプラクティスによっ
VIII
て大切なものをできる限りたくさん得て欲しいと思います。また、私たちと共にマットに立つ
ことで、健康と力のみなぎるようなエネルギーを得て、自分自身、そして他の全ての生きとし
生けるものとの健全な深いつながりが築けるよう、心より願っています。
沼中の蓮の花のように、あなたが美しく生きていくことができますように。
ジュディス・ハンソン・ラサター博士
近年のアメリカでは、スポーツクラブやレクリエーションセンター、専門スタジ
オまで、あらゆる場 所でヨガクラスを目にするようになりました。医 者も、腰 痛 対
策 や 妊 娠中の エクサ サ イズ、ストレ ス 解 消にヨガ を 勧 めており、驚くほどの 効 果
が出ています。しかしヨガ は、そのような 悩 みに 対 する処 方 箋 に 留まらな いもの
で す。あなたの 一 生 の 伴 侶となるものなので す。ヨガはインド中 心 部内 奥 地 域 で
遥か昔に生まれた古 典 伝 統ですが、西 洋 人の生 活を支える手 段として人 気が出て
きたのはごく最 近 のことです。私たちの 知っているヨガ、すなわち、PM S を 緩 和
したり、不 安 定 な 神 経 を 落 ち着 か せ たり、老 化した関 節 を 動きや すくさせるよう
Introduction
序章
なポ ーズ は、瞑 想中の 正しい 座り方 を 教 える方 法として 始まったもので す が、そ
こから身 体を浄 化し強化する方法として発 展し、練習に激しさが出てきたのです。
ヨガ が瞑 想の 練 習と肉 体 的 ポ ーズ(ポ ーズ の 数は84個だけと信じている流 派
もあれば、200個 以 上あると教える流 派もあり、900個 以 上あると謳う流 派も
ある)の 融 合として 高 度 に 発 展していくにつ れ、より多くの 女 性 が 惹 か れ ていき
ました。残 念 ながら、70年 代 や80年 代 は肉 体 の 力 強さや 厳しい 規 律 を 重 んじ
る男 性 的 な 側 面 が 主 流となっていたため、ヨガは悟りを 得るための 手 段 ― あるい
は引き締まった 筋肉 隆 々の肉 体 を 得る手 段 にまで ―となっており、癒しの 手 段と
しては捉えられていませんでした。
しかし、その 後ヨガ はどのようにして 女 性 の 癒しの 友としての 地 位 を 得 るよう
になったのでしょうか?幸 運 なことに 女 性 は、情 熱 を 享 受し、そ れ を 表 現 する術
を知っていますが、ヨガにおいてもその例 外ではありませんでした。2000年5
月クリパルセンターにて開催された「 W om a n a n d Y og a Con f er en ce( 女性とヨ
ガに関する会 議 )」における共同スピーチで、パトリシアはこれを見 事に語りまし
た。「ヨガをする女 性の人口が増えるにつれて、ヨガを女 性ならではのやり方に変
えていく必 要 があると気 づ いたヨギ ー ニが いました。彼 女 たちが、女 性 に対して
理 想 像( 豊 満でお腹が出ていない完 璧な身 体を持ち、服 従的な女 性 )を強いる破
滅 的 かつ 不 適 切な 社 会のメッセージを 排 除し、女 性らしく優 美な一 個の 存 在とし
て自信をもてるよう、女性のための練習を作り出していったのです」
これを代 表する西洋人としては、アンジェラ・ファーマー、フェリシティ・グリー
ン、ドナ・ホールマン、ジュディス・ハンソン・ラサター、そしてパトリシア・ウォー
ルデンが 挙げられますが、彼 女たちは、同 様に女 性には独自の練 習が 必 要だと強
く感じていたインド人マスター、ギータ・アイアンガーに指 示を仰ぎました。ギー
タは、アメリカヨガ の 祖 の1人 で ある B.K.S. ア イアン ガ ー 氏 の 娘 で す が、2 つに
焦 点を当てて、女 性 のためのヨガとして革 命 的 な 練 習 方 法 を 編 み出しました。そ
の 焦 点 の1つは、伝 統 的 なポ ーズ を 修 正しほぼ 何らかの サポ ートを 用いるリスト
ラティブポーズの導入であり、目まぐるしい生活に静けさと明晰さをもたらすよう
にしました。もう1つは、ポーズの取り方を新しく考 案した上で、女 性が自分の月
経 周 期 を 尊 重して、常に心 身 の 要 求に従って練 習できるよう、それらのポ ーズ を
序章
シ ークエン スにまとめることでした。そ れ は、より包 括 的 な 調 和 を 生 みだして 健
康 上 の 恩 恵 をもたらすようなシ ークエン スでした。ギ ータのシ ークエン スは、人
生 の 様 々なステ ージ を 優 雅 に高 い 意 識 を 持って 乗り越えていくことを 可 能にしま
した。
このようにしてヨガ が 女 性 的 になることで、男 女 共 に自分自身と非 常 に 深 いレ
ベ ル で 触 れ ていく機 会 を 得られ るようになりました。そ れと同 時 に、女 性 ならで
はの 恩 恵も生まれ ているとパトリシアも私も考えています。それ は、思 春 期 の 始
IX
まり〜 青 年 期というステ ージ から、出 産 や キャリア開 発という多 忙 なステ ージ へ
の 移 行、あるいは人 生 半 ばに生じる閉 経 期というステージ から智 慧 を司る老 人と
いうステージ への 移 行と、人 生の 各 ステージを 乗り越えながらそれ ぞ れの 段 階 を
尊 重していく術を女 性に与えてくれる、ということです。またヨガは、わたしたち
の サ イクルと宇 宙 の サ イクル が 深 いところで 密 接 につながっていることを 示して
くれ ます。さらに、外 界 の 雑 音 をシャットアウトすると同 時 に、人 生 にお い てこ
れをやらなくてはいけない、やってはいけないと語り続ける自分の思 考を黙らせ、
本 当の 心 の 声 に 耳 を 傾 けてそ れ に 応 えていくことが できるよう促してくれるので
す。
本 書 の目的は、ヨガは、人 生 のあらゆるステージにおいて 伴 侶として女 性 を 支
えてくれるものであること、そしてヨガの練 習を始めるのにいつでも遅すぎること
はないということを示すことにあります。そのためにも、私はパトリシアに助けを
求めたのでした。パトリシアといえば、彼 女が25年間情 熱的に信じてきたアメリ
カヨガ の 代 名 詞 でもあります。その 美 貌 は 世 界 を 代 表 するヨガビデ オを 飾り、ヨ
ガジャーナルシリーズ の中でも最も印 象 的なビデ オとなりました。パトリシアは、
ヨガ 指 導 者 を 育 成し、ワークショップ を開 催し、世 界 中でクラスを 教 え、ボ スト
ン 郊 外にある自分 のスタジ オの 運 営 管 理 をしながらも、自身 の 身 体 的・精 神的 練
習を 献 身 的に続 けています。彼 女 は、自分 の師 である B.K.S アイアンガ ーとその
娘のギータ、息子のプラシャントに心から傾 倒しており、女性的な側面に関しては、
ギ ータと指 導 者 仲 間 であるドナ・ホ ー ル マンの2人 から大 きく影 響 を 受 けている
と言います。
この 本 のためにパトリシアが 作ったシ ークエン スは、アイアンガ ーヨガ の 手 法
に 基 づ いていますが、このアイアンガ ーヨガ は 練 習し 始 めたば かりの 人 でも耳に
したことが あるぐらい 西 洋 では 最も人 気 のあるヨガ で す。アイアンガ ーヨガ では
正 確なアライメントが 重 視され、柔 軟 性 が 低 い人 やまだポーズに慣 れていない人
でもポ ー ズ から 最 大 の 恩 恵 を 得られ るように、数 多くの プ ロップ ス を 使 います。
これ まで、パトリシアによる月経、鬱、更 年 期 障 害、そして閉 経 後 に関 するワー
クショップ によって、恩 恵 を 受 けてきた 女 性は数 限りありませ ん。パトリシアは、
この本に出てくるシークエンスのほとんどを作っていますが、それだけでなく、彼
女の知恵や、ちょっとしたユーモア、そして実用的ヒントをシェアしてくれました。
私もパトリシアと同 様、1970年 代の始めに、悟りを求めてヨガに辿り着きま
したが、それ からの 道 は 少し 異 なっています。大 学 院 では、インド古 典 のヴェー
ダ やヨガ 哲 学、そし て サン スクリット語 の 勉 強 に 勤し み、1992年 に 編 集 長と
してヨガ ジャーナ ルに加 わったときには、すでに強固な瞑 想 の 練 習とヨガ の 練 習
を 築き上 げ ていました。ヨガジャーナルとは寄 稿 編 集 者 やライターとして 提 携 を
続 け な がら、植 物 の 癒し の 力 にフォー カスし たものとし て は 初 め て の 雑 誌 “ T h e
序章
Her b Qua r t er l y(ハーブ 季 刊誌)” を所 有し、その編 集 長の役 割を担っていまし
た。ここに至るまでに博 識で 優 秀な様々な東 西のハ ーブ医 から学 ぶ 機 会に恵まれ
たため、25年以上、家族も自分自身も生 薬で治すことができました。
X
パトリシアと私は、身 体、精 神、魂 に関 するセルフケアをあらゆる年 代 の 女 性
に 伝 えたい、とこの 本 を出 版しました。女 性 の 人 生 の4ステ ージ に 大 体 沿うよう
に、情 報 を4章、目覚めの時( 思 春 期 から20代まで )、豊 かさへ向かう(30代
~40代)、真実を語る(50歳〜65歳までの中年時 代)、心の内側からあふれる
叡 智(閉 経 後 )にまとめました。各 ステージにおける称 賛 す べき要 素 を 取り上げ
てから、そこで現 実に直面する困難への対 処法を見ていきます。
例えば 女 性の青 年 期は、社 会 規 範 や 仲間からのプレッシャーが 大き過ぎ て自分
の 本当の 気 持 ちを 探 せ ないまま思 春 期という荒 波 を 乗り越えなくてはならない困
難 な時 期 ではありますが、一 方 で、自己を 発 見しながら様 々な 試 みをし、男 女 関
係も築いていくという素晴らしい時でもあるのです。30代・40代では、社 会に
お ける自 分 の 立 ち 位 置 を 確 保 するためにもが いたり、じっくりと人と付 き 合 った
り、子 供 を 産 ん だり、新し いア イデ アを 生 み 出したりします。また、自 分自身 で
人 生を創りあげていくにつれ、あらゆる可 能 性があふれ出し活 動的にもなります。
中 年 時 代は、ホル モンが 暴 走したり、性 的 エネル ギ ーが 減 退したりして、身 体 へ
の自信があやふやになるため、混 乱することもあるでしょう。しかし同時に、真に
自分 が 欲 するものは 何 かを 見 付け出 す時 でもあり、不 正に対して異 を唱えるエネ
ル ギ ー が 生 まれ、信 念 を 語 ることが 出 来 るようにもなります。また、賢く年 を 重
ねた老齢 期は、骨 粗しょう症や心臓 病の破 壊的な影 響に怯えながらも、心の準備は
整っており、子 供 の頃と同じように 人 生 を 心 から祝 福 することが できます。崇 高
な精 神 性 や 子 供 のような直 感 力だけでなく、長 い 人 生 経 験によって身についた智
慧と力を兼ね備えているのです。
また、どんなにヨガの練習をしたとしても、他のライフスタイルを変えなければ、
健 康問題を予防したり、治したりすることはできません。ヨガの練習をしていても、
貧しい 食 生 活 を 続 けていたり、わずかな睡 眠しか 取っていなかったり、虐 待 やス
トレスのある人間関 係にあったりすれば( プライベ ート、もしくは職 場 の関 係に
おいて)、体 調が優れないままかもしれません。そのため本 書には、食 事やシンプ
ルなハ ーブ 薬、瞑 想の 技 術、そしてその 他 のセルフケア方 法 をあちこちに散りば
めています。但し、新しい 健 康 法 やヨガ・プ ログ ラムを 始 める時 は、必 ず かかり
つけ医 か、ホリスティック療 法 士( できれ ばヨガに馴 染 みのある人 )に事 前に相
談しましょう。
またヨガの練 習を続けて行けば 程なくして、女 性 が 直 面 する症 状には共 通の特
徴があることに気づくことでしょう。例えば、姿勢の悪さは、腰 痛だけでなく様々
な問 題 を引き起こすことに 気 づきます。更に、自分 の 行 動 全 てが、驚くほど 生 殖
系に影 響を及ぼすということも知ることでしょう。
女 性 は、他 の 人 のストーリーを聞くことによって、研 究 書 や 本 を 読 むことや 専
門家のアドバイスを聞くことと同等の恩 恵を得られる、とパトリシアも私も考えて
います。そのため、本 書には、自分自身 の 経 験 に 基 づく逸 話 や、クラスやワーク
ショップ 、そして 会 議 で出 会った 数えきれ ない 程 多くの 女 性 たちから集 めた 経 験
談も取り上 げ ています。また、ヨガ が 身 体 的、感 情 的、スピリチュアル 的 にどの
ように役 立ったかを 記 述してもらうアンケートを 行 い、その 結 果もまとめました。
多くの 女 性、素 晴らしい 個 人 的 経 験 や 励ましの 言 葉 を 分 かち合うためにアンケー
偽 名を用いました。尚、匿 名性 を更に高めるため、事 例の多くが 数 人の 女 性 の 話
序章
トに応えてくれましたが、本 名を使わないで欲しいという要望に応えて、ほぼ 全員、
を寄せ集めたものになっています。
本 書 で 得られる情 報 の 多くが、セラピ ー的 性 質 をもっています が、パトリシア
と私 からのお 願 いとしては、直 面している問 題に対 する処 方 箋としてのみこの 本
を利用しないでほしいということです。もちろん、ヨガの身 体的な恩恵、すなわち、
筋肉をストレッチしたり整えたりすることによって免 疫システムのバランスを整え
るという恩恵をあなたにも享受して欲しいと願っていますし、それだけでなく、学
XI
んだことを男性と日々の生活の中でシェアして欲しいと思っています。何はともあ
れ、ヨガのポーズ を通して、腰 痛 や 気 分 の落ち込 み、あるいは免 疫システムの 低
下に意 識を向けることができれば、何 かしらの恩 恵は必 ず 得られることでしょう。
しかし、最も重 要 なことは、ヨガ が あなたの 生 涯 の 伴 侶となり、調 子 のよい 時 に
はその 状 態 を 維 持 する助 けとなり、下 がっている時 には 支 えとなるような、そん
な 縁 の 下 の 力 持 ちになることなので す。ヨガ は、自分 を 徹 底 的 に愛 することを 教
えてくれ、マットに立つ度にあなたがありのままで完璧な存 在であることを思い出
させてくれます。マット上 で 得 た 教 訓 から学 び、それ を 人 生 の 他 の 局 面に応 用し
ていきましょう。ヨガ の 練 習 を、自分 の 魂 を 映し出 す 鏡として、自分 の 感 情 をき
ちんと読 み 取るバロメーターとして、健 康 的 な 行 いのための 処 方 箋として 捉えて
み てください。ヨガ が、あなたの 抱 えている身 体 的、感 情 的、スピリチュア ル 的
な苦しみ 全 てを 解 決してくれると約 束 することはできませ ん が、定 期 的 な 練 習を
行なうとあなたが誓うならば、あなたの人生が変わることは約束できますから。
序章
XII
シークエンスについて
私たちは人生の各ステージで様々な歓びと苦しみに直面しますが、パトリシアは、
女性がその狭間で上手にバランスを取れるように、「女性のための基 本シークエン
ス」を完成させました。ここで紹介する26のポーズを練習すれば、あらゆる方向
への動きがカバーされます。また、内分泌系・神経系の調整にも有効であり、内蔵
から淀んだ 血 液を絞り出して新 鮮かつ豊 富に酸 素を 含 んだ 血 液を送り込むと同時
に、静けさ、強さ、集中力にあふれた新 感覚をもたらしてくれます。このシークエ
How to Use
This Book
この 本 の 使 い 方
ンスは更に、お腹を鍛えるときには、お腹を柔らかく保ちリラックスさせておかね
ばならないことも再 認 識させてくれます。ファッション雑 誌がどれだけ勧めたとし
ても、くびれた固いお腹は、身体の循環や流れを妨げる以外に何の意味もなさない
のですから。
健康かつ平均的な運動神経がある人ならば、この「女性のための基本シークエン
ス」を日々のヨガの練 習メニューにしてもよいですし、あるいはこれに「 女 性のた
めの活力を上げるシークエンス」や「女性のための心身回復シークエンス」を加えて、
交互に練習してもよいでしょう。しかし、エネルギーが消耗している時や、月経中
や妊娠中、あるいは本書の各チャプターで取り上げているような何かしらの健康上
の問題を抱えている場合には、日々の練習を修正して、各チャプターで推奨してい
るポーズやシークエンスを適切に取り入れていきましょう。
本書では、人生のステージ毎に章を構成していますが、その分別に拘らないよう
にして下さい。30 代、40 代 の 女 性 で、毎 月、PMS( 月経 前 症 候 群 )や、腹 痛に
悩まされる人もいれば、摂食障害に悩まされている人も多いですし、10 代や 20 代
で、頭 痛や腰 痛に悩まされている人もいることでしょう。そして、どの世 代にあっ
ても、免疫システムを補助する何らかのサポートは、その時々に応じて必要になっ
てきますから。まずは、全章に目を通し、自分にとって適切かつ有効であるものを
探していきましょう。
全章を通じて、各症状に適したポーズやシークエンスだけでなく、そこから得ら
れると期待できる効能も取り上げました。それは、何故そのポーズを取り上げたの
かを知ることで、そのポーズが難しすぎる時や出来るようになるのに時間がかかり
そうな時に、
自分で自分なりのルーティーンを作れるようにするためです。例えば「根
深い鬱症状は、胸を開けば解消されるが、前屈は悪化させてしまう」ということを
知っていれば、優しい後屈のシリーズを行い、前屈するポーズは抜かす、という選
択を自分で選ぶことができます。また妊娠中は赤ちゃんのための空間を保つことが
練習の軸になることを知っていれば、その原則を元にポーズを選んでいくことがで
始める前に
この 本の 使い 方
きるでしょう。
ヨガ の 練 習に最 適 なのは「 オ ープン、空っぽ、裸 」の 姿 勢 で す。すなわちオ ー
プンな心、空っぽの胃、裸足でクラスに臨みなさい、ということです。心をオープ
ンに保つことで、身体の声が聞こえてきます。それも鮮明に、善悪の判断を介する
ことなく…。そしてヨガは、この瞬間に存 在するものを受け入れるだけでなく、時
の流れの中で避けられない変化が生じることも受け入れるように求めてくるでしょ
う。また、たくさん 食 べた後は最 低でも2~3時間、軽い食 事の後は1~2時間あ
XIII
けてから、練習を行なうようにしましょう。お腹を空にすることで内蔵に負担がか
からなくなります。靴や靴 下を脱ぐことによって、足 元のマットや床を感じられる
だけでなく、立位のポーズの時に足元が滑ってしまうのを避けることができます。
また裸 足になることで足も積 極的に練 習に参 加してくれることでしょうから!ただ
し、屍のポーズ(シャヴァーサナ)の時は、足先が冷えないように靴下を手元に用
意してもよいでしょう。
時間を見つける
出来れば、毎日短時間でもよいので練習の時間を作りましょう。人によって、毎
日特定の時間を決めてそれを突き通すことが向いている場合もあれば、日々可能な
時間を探していくほうが向いていることもあるでしょう。ずっと練 習せずに週に 1
回だけ2時間の練習をするよりは、毎日数分でも練習していくほうが望ましいです。
1日に十分な時間を取るのが難しい場合、1 週間に3回フル・プラクティスを行い、
それ以外は短いセッションを行なうことから始めてもよいでしょう。
スペースを作る
誰にも邪魔されない、他の事に気を奪われないような部屋を選びましょう。全方
向に身体を伸ばすことが出来る広さと、サポートとして使える何も掛けていない平
坦な壁が必要です。適した壁がなければ、ドアを閉めて、そのドア裏を使ってもよ
いでしょう。練習の時に、インストゥルメンタルな音楽をかけるのを好む人もいれ
ば、静 寂が快適という人もいるでしょう。気を散らすものを出来る限り取り除いた
ほうが、身体や呼吸のリズムに耳をすませやすいことが多いです。衣服は、締め付
うっとう
けず、まくれず、鬱 陶 しくない、快 適なものを選びましょう。レオタードやヨガ用
の服だけでなく、短パン、タンクトップ、軽めのスウェットでも大丈夫です。
用意するもの
写 真 やポ ーズ の 説 明 から分 かるように、この 本 ではポ ーズ の 修 正にプ ロップ を
使っているものもあります。プロップの代わりに家にあるものを使ってもよいので
すが( 例えば、ボルスターの代用として、硬めのソファ・クッションを使うなど)、
思い切ってヨガ専用の正規品を購入してしまったほうが、使い勝手がはるかによく
なることでしょう。
この 本の 使い 方
XIV
練習を始める前に、必要なものを手 元に用意しましょう。マットを広げ、プロッ
プをマットの横の手が届く範囲に置いておきます。
ヨガマット
良 質のマットに先 行 投 資をしてしまいましょう!私は個人的に厚めのマットが好
きです。リビングのカーペットの上で練習することも出来るのですが、トリコーナー
サナのような足幅を広くとるポーズの時は、ヨガマットがあると足元の滑りを防止
することができます。また座位のポーズや仰向けのポーズの時には、クッションと
して使うこともできるでしょう。
ブランケット
仰向けのポーズでは背中や首のサポートに、逆転のポーズでは頭と首のサポート
に、あるいは座 位のポーズでは背骨をまっすぐ立てやすくするために、ブランケッ
トが必 要となってきます。ヨガ・ブランケットというのは、目の詰んだウールや綿
でできていますが、平織りで若干厚めのブランケットであれば、どれでも構いませ
ん。2~3回折り畳めば、ボルスターの代用として使うこともできるでしょう。
ボルスター
ボルスターには様々な形やサイズがあり、リストラティブポーズで身体をストレッ
チするため、あるいはリラックスするために、サポートして使うことができます。理
想的には、取替え可能なカバー付きでしっかりとした
長方形のボルスターが2つあるよいでしょう。
ストラップ
仰 向 け の ポ ー ズ で ハ ム ストリン グ を ストレ ッチ す
る、あるいはリストラティブポーズで、筋肉に負担を
かけないようにするために、ストラップ を使うことが
できます。必要なのは1〜2本です。バスローブのベ
ルトや、男 性 のネクタイを 代 用してもよいのですが、
バックル付きのヨガ・ベルトのほうが使い勝手がよい
©2002 Clark Quin
でしょう。
ブロック
ブロックの使い方は無数にあります。バランスを取
るときの支えに、手や頭が床に届かないときのサポー
バックルに ベ ルトの 端 を 通し、緩
めの輪を作ります。その輪 の部 分
に 頭 を 通し、仙骨のところまで 下
げます(ウエストの下あたり)。更
に足の甲にその輪をかけ、足 首を
通って太ももの上に置いたら、ベ
トに、あるいは座位のポーズで土台を引き上げて背骨を立たせるためにも使うこと
ができます。ヨガ・ショップでは、木製や軽めの発泡スチレン製のブロックを手に
入れることができます。
ルトをしっかりと締めます。
特 定のねじりのポーズ、後 屈のポーズ、修 正した逆 転のポーズ ― 肩 立ち( サ ル
ヴァーンガ―サナ)や半分の鋤のポーズ(アルダ・ハラーサナ)ではイスが必要と
この 本の 使い 方
イス
なってきます。背もたれに隙間がある金属製の折りたたみイスであれば、その隙間
から足を通すこともできますし、手でつかむところもあるので理 想的です。木製の
キッチン・チェアでもよいでしょう。ただ、つかんでも大丈夫なぐらい頑丈で、すべっ
てしまわないものを選ぶようにしましょう。イスを使うときは、必ずマットの上にそ
のイスを置くようにします。
XV
アイピローとサンドバッグ
アイピローによって外 界を遮断すると、完 全なるリラックス状 態へ入りやすくな
ります。様々な色があり、匂い付きのものもあれば、無 臭のものもあります。サン
ドバッグ(通常 4.5 キロ程)は、身体の特定部位に圧をかけることができます。
ポーズへの入り方、出方
ポーズへの入り方、出方も、ポーズそのものの取り方と同様に重要です。ここで
まず大事なことは、安全かつ快適であるかどうかです。ポーズに入るときもポーズ
を解くときも、目は開けたまま、ゆっくりと動きましょう。立位のポーズは山のポー
ズ(ターダーサナ)から始めるものがほとんどですが、片側を行ったら脚全体で床
を押して立ち上がり、ゆっくりと反対 側を行い、そして最初のポーズに戻ります。
立位や座位の前屈のポーズの後は、ゆっくりと身体を起こし、完全に上体を真っ直
ぐに立ててから最後に頭を上げましょう。仰向けのポーズの後は、片側に身体を倒
して、そこでそのまま数呼吸した後に、手で床を押してゆっくりと身 体を起こしま
す。頭立ち(シールシャーサナ)の後は、子供のポーズ(アドームカヴィラーサナ)
で額をマットにつけて数呼吸休むと、逆さまになっていた身体が調整されます。そ
して、脊柱を一本ずつ積み重ねるようにゆっくりと身体を起こし、最後に頭を起こ
します。
呼吸のタイミングはインストラクションがほぼ 入ると思いますが、基 本的に、吸
う息で身体を起こし、吐く息で前屈や動きを行います。自分が正しく呼吸を行なっ
ているかはあまり気にしすぎないようにしましょう。疑問に思ったら、出来る限り自
然に滑らかに鼻呼吸(口は閉じる)をすればよいのです。
ボディ・ランゲージと身体が発する警告
この本は万人向けに構成したので、あなたにとっては、初めてのポーズや難しい
と感じるポーズがあるかもしれません。それらのポーズが出てきたら、ただスキッ
プするのではなく、そこに記してある修正ポーズや、バリエーションに挑戦してみ
ましょう。健 康 上の理由などによりスキップしたり修 正したりする必 要があるポー
ズには、短剣マークを付け、その下に注意書きを添えました。
自分の身 体が扱える範囲以上のことは行わないようにしましょう。痛みと強度が
高いことの違いを見極める術を学んでいかねばなりませんが、基本ルールは「痛い
この 本の 使い 方
ときはやめる!疲れたら休むか、ポーズを修正する」です。ここで頼れるバロメー
ターとなるのが、呼吸です。快適なラインを越えて頑張り過ぎているときは、呼吸
が苦しくなったり、不規則になったり、浅くなったりします。その場合は、少しポー
ズを緩めてから修正するか、他のポーズに置き換える、あるいは完全にそのポーズ
をスキップしてしまっても構いません。
XVI
決して自分に落 胆しないようにしましょう。その日、あるポーズが出来なかった
としても、そのポーズが永遠にできないわけではありませんから。また、例え定期
的に練習を重ねたとしても、どうしても慣れない動きもあります。その時は、忍耐
強く自分の身体と呼吸が伝えようとしていることに耳を傾けましょう。練習は、パー
フェクトになるためにしているわけではなく、自分が心 地よくなるために練 習して
いるのですから。
ふくよかな人へのヒント
ある特定の体型の人のみがヨガを練習し、その恩恵を受けられるわけではありま
せん。体格が大きい場合には、ゲニア・パウリ・ハドンの提唱する、身体がふくよ
かな人へのヒントを参考にしましょう。
•
座位の前屈ポーズ:膝をインストラクションより少し広めに保ち、前屈したと
きに膝の間に胸とお腹が楽に入るようにします。床に額がつかない場合には、
折り畳んだブランケットを額の下に置きましょう。
•
聖者のポーズ:必要であれば、お腹が楽に入るように膝を広げます。
•
逆 転 のポ ーズ:頭 立 ち(シ ー ルシャー サナ )や 肩 立 ち( サ ルヴァーンガ ― サ
ナ)、鋤のポーズ( ハーラーサナ)のようなポーズは、バランスを失ったとき
に脊柱を痛める危険が高いので、避けること。山のポーズ(ターダーサナ)や
他の立位のポーズを練習してバランスを養いましょう。上達するまでは、背中
を 壁につけて 練 習してもよいでしょう。関 節 の 硬さや 広 がったお 腹 を 補うた
めに適切なプロップは、いつでも必要に応じて使っていきます。また、頭立ち
(シールシャーサナ)の代わりに下向きの犬のポーズ(アドームカシュヴァー
ナーサナ)を行い、肩立ち(サルヴァーンガ ―サナ)の代わりに脚を壁に上げ
るポーズ(ヴィパリータカラニ)を行えば、同様の効果が得られるでしょう。
基本的な解剖学レッスン
チャプターを読み進め、各ポーズのインストラクションに従ううちに、聞いたこ
とのない骨、筋肉、そして身体の部位に関する様々な用語に行き当たるかもしれま
せん。本書全体を通して用いる用語に関しては、図を用いて詳しく説明しています。
また、内分泌系や生殖系、脊柱などの特定の部位に関しては、関連した各チャプター
で、詳細な解説がなされています。
この 本の 使い 方
XVII
THE SKELETON
骨格
頭蓋
頚椎
胸骨
肩甲骨
鎖骨
胸郭(肋骨)
上腕骨
浮遊肋骨
腰椎
仙骨
骨盤の縁
大腿骨
足根骨(踵骨)
中足骨
MUSCLES AND OTHER PARTS OF THE BODY YOU'LL NEED TO KNOW
知 っ て お くべ き 筋 肉 と 身 体 の 部 位
頭頂部
甲状腺
僧帽筋
副甲状腺
肩甲骨
上腕二頭筋
三角筋
大胸筋
(胸の筋肉)
肝臓
横隔膜
広背筋
上腕三頭筋
すい臓
胃
腎臓
骨盤
腹斜筋
腸腰筋
外腹斜筋
仙腸関節
大殿筋
鼠径部の
筋肉
大腿四頭筋
股関節
屈曲筋
内転筋
(太ももの内側)
会陰
ハムストリング筋
外転筋
(太ももの外側)
アキレス腱