図画工作,美術科 - 福岡市教育センター

平成 25 年度
研究紀要
(第924号)
G5-07
自分のイメージを思い通りに表現できる
児童を育む図画工作科学習指導の在り方
-絵に表す活動における
「イメージファイル」の活用を通して-
本研究室では,児童が自分のイメージを思い通りに表現できるように,
絵に表す活動において「イメージファイル」の活用を通した学習指導を行
った。このことで,児童は,自分のイメージを明確にするとともに,自分
の課題や表現のよさに気付き,よりよい表現方法を見付けたり選んだりす
ることができた。また,教師は児童のイメージを大切にした指導を行うこ
とができた。その結果,児童の作品への達成感や満足感が高まり,自分の
イメージを思い通りに表現することができたと考える児童が増えた。
福岡市教育センター
図画工作・美術科研究室
目
第Ⅰ章
1
次
研究の基本的な考え方
研究主題について ················································· 美‐
1
(1) 主題設定の理由
(2) 主題の意味
2
研究の目標························································ 美‐
4
3
研究の仮説························································ 美‐
4
4
研究の構想························································ 美‐
4
第Ⅱ章
1
研究の実際と考察
実践1
小学校第 2 学年
題材
2
実践2
実践3
6
「想ぞうのつばさをひろげて」 ························· 美‐15
小学校第6学年
題材
第Ⅲ章
大すき」 ································· 美‐
小学校第5学年
題材
3
「おはなし
「墨で描こう心の世界」 ······························· 美‐22
研究の成果と課題
1
研究の成果························································ 美‐32
2
研究の課題························································ 美‐33
資料等 ································································ 美‐34
第Ⅰ章
1
研究の基本的な考え方
研究主題について
(1) 主題設定の理由
ア
福岡市の教育の現状から
平成 20 年3月に福岡市教育委員会により作成された「授業改善の手引き」では,本市児童の
学力の課題として,具体的な体験や活動を通した学習をより充実させることと,思考力・判断力・
表現力を高めることが必要であると示されている。
また,平成 21 年6月に打ち出された「新しいふくおかの教育計画」においては,児童の意欲を
高めながら自発的・主体的な活動を促し,感動・満足感・達成感とともに,自信や有用感を実感
させる「子どもの力を引き出し発揮させる教育」を重視することが求められている。
さらに,
「平成 25 年度学校教育指導の重点」では,四つの柱の一つ目に「学力の確実な定着」
が挙げられており,課題分析・改善策を共有する点検・評価を基に定着を図る徹底的な指導,補
充学習の工夫,定着状況の再確認を行うことが求められている。図画工作科においても,児童の
課題を分析し,指導方法の工夫や改善策を講じることによって,造形的な創造活動の基礎的な能
力の定着を図り,児童が思い通りに表現することで,満足感や達成感を十分に感じさせることが
重要であるといえる。これは,児童の力を引き出し発揮させる学習を保障することとなり,思考
力・判断力・表現力の高まりや,図画工作科の目標である豊かな情操の育成につながっていくと
考える。
イ
図画工作科の現状から
平成 20 年1月の中央教育審議会答申では,図画工作科における「(i)改善の基本方針」と
して,
「創造することの楽しさを感じるとともに,思考・判断し,表現するなどの造形的な創造
活動の基礎的な能力を育てることを重視する」こととし,「(1)目標の改善」では,造形的な
創造活動の基礎的な能力を育成することを一層重視する」ことが示されている。また,「(2)
内容の改善(ウ)」では,新設された〔共通事項〕として「指導において,自分の感覚や活動を
通して形や色,動きや奥行きなどの造形的な特徴をとらえ,これをもとに自分のイメージをも
つことが十分に行われるようにする」ことが示されている。これらの点から,造形的な創造活
動の基礎的な能力の育成を図るとともに,自分なりのイメージをもって造形活動が行われるこ
とが重要であると考える。
ウ
実態から
○
児童の実態
図画工作科学習における児童の実態
について把握するために,
「造形に対す
る関心・意欲・態度」
「発想・構想の能
力」「創造的な技能」「鑑賞の能力」の
四つの観点でアンケート調査を行った
(A校2年生 28 人,
B校5年生 40 人,
C校6年生 32 人)
。その結果,全設問
で肯定的な回答をした児童の割合の平
表-1
均は 80%であった。しかし,
「どういう
美‐1
「図画工作科学習におけるアンケート」
風にしようか考えたり想像したりするのは楽しい(68%),材料や色や形を工夫して思い通りに
つくることができる(66%),いろいろな道具や材料を思い通りに使える(66%)」という設問
においては平均を大きく下回っており,イメージをふくらませることや思い通りに表現するこ
とができていないと感じている児童が多いことが分かった。
さらに,どの領域において「思い通りに表現できていない」と感じているか調査を行ったと
ころ,絵に表す活動において「かきたいものがはっきりしている」と答えた児童 62%(立体に
表す活動においては 69%)
,
「自分の作品に自信がある」と答えた児童は 35%となった(立体に
表す活動においては 48%)となり,児童は絵に表す活動において,苦手意識をもつている児童
が多いことが分かった。
○
教師の実態から
3校の教師を対象に指導についての意識調査を行った。図画工作科指導においてどんな手立
てや工夫をしているかを問うと,
「参考作品の提示の仕方(61%)」や「板書や声かけの工夫(61%)」
に比べて,「ワークシート等の活用(21%)」や「振り返り活動の工夫(10%)」はあまり行われ
ていないことが分かった。さらに,「困っていること(記述)」では,「絵画指導(構図,順番,
道具の使用法,かかせ方,など)
,個に応じた指導の仕方,評価の仕方,ワークシートの使い方」
という回答が多く見られ,絵画指導の方法と内容に課題を感じている教員が多いことが分かっ
た。このことより,絵に表す活動においてどの場面で何を指導するか明確にする工夫が必要で
あると考えた。
エ
昨年度の研究から
昨年度は,
「自分の表現に満足できる児童を育む図画工作科学習指導の在り方」について研究
を行った。児童が自分の表現に満足できるように,構想と表現の段階における毎時間の授業の
途中に自他の作品を見る視点を明確にし,手順を踏んで行う「ハーフタイム鑑賞」を位置付け
ることで,児童は自分の表現のよさや課題に気付き,よりよい表現方法を見つけたり選んだり
することができた。さらに満足感を高めるために,児童のつぶやきやワークシートの記述内容
などをもとに一人一人がどのような視点をもって鑑賞しているのか見取っておくことが課題と
なった。
以上のことから,絵に表す活動において児童が自分のイメージを思い通りに表現できるよう
にするためには,児童が自分のイメージを明確にしながらよりよい表現方法を見付けたり選ん
だりすることや,教師が児童のもつイメージをとらえ課題を分析し,その課題に応じた具体的
な指導を行うための手だてが必要であると考え,本研究主題を設定した。
(2) 主題の意味
ア
「自分のイメージ」とは
「自分のイメージ」とは,題材名や参考作品,材料,自分の経験等から,児童が心の中につく
りだす像や全体的な感じ,または心に思い浮かべる情景や姿のことである。
イ
「思い通りに表現できる」とは
ふくらませたり焦点化したりしながら整理した自分のイメージを,発想や構想・創造的な技能,
鑑賞などの基礎的な能力を使い,自らの課題を解決したり自分の表現のよさを伸ばしたりしな
がら,表現することである。
美‐2
具体的には,次のような姿である。
ウ
◇
イメージをふくらませて,アイデアスケッチをかいている。
◇
自分のイメージを表現することに必要な用具を選び,正しい使い方で使うことができる。
◇
自分のイメージを表現することに必要な表現方法を選び,工夫している。
◇
仕上げた作品を見て,自分のイメージ通りだと実感している。
◇
自分のイメージを表現するために工夫したところを,積極的に発表している。
「『イメージファイル』の活用」とは
「イメージファイル」とは,児童が自分のイメージをもち,ふくらませたり焦点化したりしな
がら自分のイメージを整理し,自分の表現を振り返るために記録をしていく,発達段階及び題材
に応じたワークシートのことである。同時に,教師が児童に応じた適切な指導を行うために,実
態を把握するワークシートのことである。
第 1 学年及び第 2 学年
第3学年及び第4学年
第5学年及び第6学年
○ その子なりの感覚や気持ち
○ 対象や出来事に対して自
○ 対象や出来事から特徴を取
を基に,大まかなまとまり
分の気持ち考えを具体的
り出し,それを言葉に置き
によって身の回りの世界を
に持つようになり,対象の
換えて説明することができ
とらえている。
感じまでとらえられるよ
るようになる。
うになる。
実
態
○ 論理的な進め方ができるよ
うになる。
○ 自分の感覚や活動などを基
○ 自分の表現を一定のイメ
○ イメージを自分の表現の効
にした直感的なイメージを
ージでまとめたり,自分の
果と関連付けて考えること
もつ。
イメージについて説明し
ができるようになる。
たりできるようになる。
○ 試しの活動が十分にでき,
イ
メ
ー
ジ
フ
ァ
イ
ル
の
内
容
○ 試しの活動が十分にでき, ○ 試しの活動が十分にでき,
そのつどイメージを確認し
そのつどイメージを確認
そのつどイメージを確認し
たり,付加修正したりする
したり,付加修正したりす
たり,付加修正したりする
ことができるもの
ることができるもの
ことができるもの
○ 言葉だけでなく直感的なイ
○ 自分のイメージを簡単な
○ 主題が表れている形や色,
メージを形や色で記録でき
言葉や文,絵などで形や
動きや奥行きなどを,絵や
るもの
色,組み合わせなどを記録
言葉で記録できるもの
できるもの
○教 師 が 示 し た 視 点 に 対 し
○ 教師が示した視点に対し
○ 教師が示した視点を基に,
て,短い文や記号で振り返
て自分の言葉や記号で振
自分の言葉で振り返りがで
りができるもの
り返りができるもの
きるもの
表-2
発達段階の実態とイメージファイルの内容
「イメージファイルの活用」とは,児童が自分のイメージを思い通りに表現するために,自分
のイメージをもとにして作品や活動を見直したり振り返ったりすることで,自分の表現のよさや
課題から次時の見通しを持てるようにすることである。また,教師が児童の表現のよさや課題を
把握し,それに応じた指導を行えるようにすることである。
美‐3
2
研究の目標
絵に表す活動における「イメージファイル」の活用を通して,自分のイメージを思い通りに表現
できる図画工作科学習指導の在り方を明らかにする。
3
研究の仮説
絵に表す活動において,児童が自分の表現のよさや課題に気付いたり,教師が児童に応じた指導
を行ったりするために,「イメージファイル」の活用を行えば,自分のイメージを思い通りに表現
できる児童を育むことができるであろう。
4
研究の構想
児童が自分のイメージを思い通りに表現するためには,自分のイメージを明確にすること,そし
てイメージを具現化することが必要である。そこで本研究では,絵に表す活動における「イメージ
ファイルの活用」を通して,自分のイメージを思い通りに表現できる児童を育む指導の在り方を明
らかにするために「イメージの明確化」と「イメージの具現化」の二点から実証していく。
また,イメージファイルを作成するにあたっては,内容や形式を低学年・中学年・高学年の発達
段階に応じて工夫する。
【イメージの明確化】
児童は,発想・構想の段階において,自分が表したいものについてのイメージをイメージファイ
ルに記録したり,記録した内容を振り返ることによって,自分のイメージをふくらませたり焦点化
したりしながら整理することができる。また,授業の終末において,イメージファイルに本時の学
習の振り返りを記録する。振り返りを記録することで,自分のイメージについてのよさや課題に気
付くことができ,表したいイメージを明確にすることができる。さらに,振り返りから次時のめあ
てをつくることで,学習活動に見通しをもつことができる。
教師は,イメージファイルにかかれた児童の振り返りやイメージについての記録をもとに,実態
を把握・分析し,児童に応じた明確化につながる指導を行う。イメージファイルを以上のように活
用することで児童は,自分のイメージを明確にしていくことができると考える。
【イメージの具現化】
児童は,構想・表現の段階において,明確にした自分のイメージを具現化していく際に,自分の
イメージに合った表現技法や用具を見つけたり選んだりするために,試したことや考えたことをイ
メージファイルに記録し,表現方法を決めていく。また,イメージの明確化と同様に,授業の終末
においてイメージファイルに本時の学習の振り返りを記録し,次時のめあてへとつなげることがで
きる。
教師は,イメージファイルにかかれた児童の表現についての振り返りをもとに,実態を把握・分
析し,児童に応じた具現化につながる指導を行う。児童は,教師の指導や振り返りから,自分の表
現のよさや課題に気付くことができるとともに,課題を解決するために必要な技能を高めたり,自
分のよさをさらに伸ばしたりすることができるようになる。イメージファイルを以上のように活用
していくことで,児童は自分のイメージを具現化していくことができると考える。
美‐4
児童の活用
教師の活用
○ 授業の始めに作品と併せて,自分のイ ○ イメージファイルにかかれた,イメージや
イ
メ
ー
ジ
の
明
確
化
メージを確認する。
振り返りと児童の作品をもとに実態を把
○ イメージを簡単な絵や言葉などで記
録する。
握・分析する。
○ 実態把握・分析をもとに,児童に応じた明
○ 記録をもとに,自分がもったイメージ
確化につながる指導を行う。
をふくらませたり焦点化したりしな
・資料の掲示
がら整理する。
・グループ構成の工夫
・場の工夫
○ 授業の始めに作品と併せて,自分のイ ○ イメージファイルにかかれた,表現の振り
イ
メ
ー
ジ
の
具
現
化
メージを確認し,表現の見通しをも
返りと児童の作品をもとに実態を把握・分
つ。
析する。
○ 自分の振り返りや教師の指導を通し ○ 実態把握・分析をもとに,児童に応じた具
て,さらに自分のイメージを表現する
現化につながる指導を行う。
ための方法を見付けたり選んだりし
・表現技法の指導(演示や資料提示)
て自分のイメージを具体的な色や形
・グループ構成の工夫
で表現する。
・場の工夫
○ 授業の最後に自分の表現について振
・課題別のグループ指導
り返りを行うことによって,自分の表
現のよさや課題に気付く。
表 3-児童と教師のイメージファイルの活用
以上のようなイメージファイルを活用した学習指導を行うことで,児童は自分のイメージを思い通
りに表現することができるようになる。
5
研究構想図
自分のイメージを思い通りに表現できる児童
イメージファイル
振記
り録
返・
り整
理
・
造形的な創造活動
の基礎的な能力
イメージの
具現化
イメージの
明確化
指実
導態
把
握
・
児童の作品
イメージ
自分のイメージを思い通りに表現できない
美‐5
第Ⅱ章
1
研究の実際と考察
実践1(小学校第2学年)
(1) 題材
「おはなし
大すき」(絵に表す)
(2) 目標
○
物語を聞いて,好きな場面をかくことを楽しむことができる。
(造形への関心・意欲・態度)
○
想像力を働かせ,好きな場面を見付けたり考えたりすることができる。
(発想や構想の能力)
○
かきたい場面の様子がわかるように画用紙の向きや描画材を工夫して表すことができる。
(創造的な技能)
○
自分や友達がかいた絵を見て,よさや工夫を見付けることができる。
(鑑賞の能力)
(3) 実態
本学級の児童は,図画工作科学習の様々な活動場面において,没頭したり最後まで楽しみながら
取り組んだりすることができている。アンケートでは,85%の児童が「図工の学習が好き」と答え
ており,とても関心が高いことが分かる。
これまでに絵に表す活動においては,「たのしいこと
見つけた」という題材で,運動会で心に
残った場面についてパスを使って絵に表す活動に取り組んだ。この題材で児童は,パスを重ねたり
こすったりして,自分の心に残った場面を楽しみながら表すことができた。共用の絵の具でのタン
ポによる背景の彩色も経験している。また,「ふしぎなたまご」では,自分で想像したカラフルな
卵から自分のイメージを飛び出させ表現するという活動においてを向きや形を意識しながら表現
することができた。
しかし,アンケートによると,図工の学習は好きであるにも関わらず,「どういうふうにしよう
か考えたり想像したりするのは楽しい」という設問においては,42%の児童がイメージすることに
対して苦手意識を感じていることが分かった。さらに,どの領域で苦手と感じているかを把握する
ためのアンケートを行った結果,「かきたいものやつくりたいものがはっきりしている」「つぎに
なにをやるかはっきりしている」「自分の作品に自信がある」などの項目において,立体よりも絵
に表す活動において低い結果が見られた。また.制作中に友達の作品や様子を見合ったり,相談や
アドバイスを行ったりすることは経験が少ないことが分かった。
以上のことから,児童が自分のイメージを思い通りに表現するために,児童が題材や材料などに
出あったときにイメージを豊かにふくらませ,表現しながら膨らませたり焦点化したり整理してイ
メージを明確にしていくこと〈イメージの明確化〉と,色や形などイメージをもとに様々な表現方
法を見つけたり試したり選んだりして表現する能力を高めること〈イメージの具現化〉が必要であ
ると考える。
(4)指導の考え方
本題材の指導にあたっては,お話を聞いて自分がもったイメージを膨らませて,画面構成をした
り,パスや水彩絵の具の表現を工夫したりして,思い通りに表現できるように,「イメージファイ
ル」の活用を通して,「イメージの明確化」と「イメージの具現化」を図る学習指導を行っていく。
美‐6
ア
イメージの明確化
イメージを明確にしていくために,以下のように活用する。
○
児童の活用
・お話を聞いてもつた自分のイメージを絵や言葉で記録する。
・登場人物のイメージを色で記録する。
・記録を読み返すことでイメージを確認する。
・活動の途中で自由に振り返り,イメージを確認したり付加修正したりする。
○
教師の活用
・登場人物の色のイメージを把握し,色紙を準備する。
・児童のイメージを把握し,登場人物や背景などの写真を提示する。
イ
イメージの具現化
イメージを具現していくために,以下のように活用する。
○
児童の活用
・イメージを振り返り,表現を確かめたり選んだりする。
・表現活動の振り返りを行い,表現の見通しをもつ。
○
教師の活用
・登場人物の色のイメージを把握し,色紙を準備する。
・児童の振り返りと作品から実態把握をし,表現技法の資料提示を行う。
・表現活動中に自然な鑑賞ができるようにイメージや作品をもとにグループ構成をする。
(5)指導の実際と考察
ア
発想
イメージファイルの活用
(ア)
イメージの明確化
○ 児童の活用
・ お話を聞いてもった自分のイメージを絵や言葉で記録する。
・ 登場人物のイメージを色で記録する。
○ 教師の活用
・ 児童のイメージを把握し,登場人物の写真資料を掲示する。
(イ)
イメージの具現化
○ 児童の活用
・ 表現活動の振り返りを行い,次時の表現の見通しをもつ。
○ 教師の活用
・ 既習のパスの技法を提示し,確認する。
まず,教科書に掲載されている児童作品を鑑賞して,感想や気付いたことを話し合う活動を行っ
た。場面や表情,表し方など気付いたことを出し合うことで,イメージを表すことのおもしろさを
味わうことができた。
次に,お話を聞いて思い浮かべた登場人物などのイメージを色で表す活動を行った。本題材では,
美‐7
「うさぎのいえ(ロシア民話)」を取り扱った。このお話は,や
資料-1
さしいうさぎが,きつねにうばわれた家を犬,羊,鶏の力を借り
イメージファイルに
記録する児童の様子
て取り戻す物語である。数種類の動物が出てくることから必然的
に様々なパスの技法を選び表すのに適していると考え,この物語を
選定した。また,読み聞かせを聞くことによって,想像力を働かせ,
心に残った好きな場面を見付けたり考えたりして選ぶことができる
と考えた。本題材はパスを主描材として絵に表す最後の題材になる
ことから,これまでに体験してきている技法と新しく知った技法を
使って表す経験をさせたいと考えた。
児童は,自分が表したい登場人物を提示した写真を参考に,登場人
物の毛並みなどのイメージを言語化した。そして,既習内容である
重色と強弱などの技法の確認後,数種類の色を重ねたり,ティッシ
ュでこすったり試しながら色で表した。
この活動を通して,児童は「色をイメージするのが楽しいです」
「いろいろな色を合わせるときれいな色ができました」
資料-2
「自分で色をつくってうさぎの家をかくの
登場人物と技法の資料
が楽しかったです」「色をあらわしたらお
もしろかったです。いろいろ色をまぜれば
おもしろかったです」「すごく楽しかった
です。絵の色をあらわすのがこんなに楽し
いとは知りませんでした」というように,
パスを使った重色などの技法を知ったり確
認したり, イメージファイルに記録するとともに,楽しさを十分に味わうことができた。
資料—3
児童が色を記録したイメージファイル
考察
お話を聞いた後に,全体の場で登場人物を確認し,それぞれに感じたことを話し合い言葉で表
す活動を行ったことで,児童は登場人物に対してのイメージを持つことができた。さらに,それ
を既習の技法を使いながらイメージファイルにパスを使って色で表すことで,混色や重色による
色づくりを楽しみながら質感を意識し,登場人物に対してもったイメージをより明確にしていく
ことができた。
以上のことから,イメージファイルの活用は有効だったと考える。
美‐8
イ
構想・表現
イメージファイルの活用
(ア)
イメージの明確化
○ 児童の活用
・ 記録を読み返すことでイメージを確認する。
・ 活動の途中で自由に振り返り,イメージを確認したり付加修正したりする。
○ 教師の活用
・ 児童のイメージを把握し,登場人物の写真資料を掲示する。
・ 児童のイメージを把握し,色紙を準備する。
・ 表現活動中に自然な鑑賞ができるようにイメージをもとにグループ構成をする。
(イ)
イメージの具現化
○ 児童の活用
・ イメージを振り返り,表現を確かめたり選んだりする。
・ 表現活動の振り返りを行い,表現の見通しをもつ。
○ 教師の活用
・ 登場人物の色のイメージを把握し,色紙を準備する。
・ 児童の振り返りと作品,聞き取りから実態把握をし,表現技法の資料提示を行う。
・ 表現活動中に自然な鑑賞ができるようにイメージをもとにグループ構成をする。
構想及び表現の段階では,好きな場面をもとに画面構成を考
資料-4
え,形や大きさなどを工夫し線で表し,パスと水彩絵の具で自
形や大きさを試しながら
画面構成をしている児童の様子
分のイメージに合った彩色を行った。
まず,イメージファイルによって前時までにもつたイメージ
を確認した。そして,表したい場面の画面構成を考えた。画面
構成を考える際には,大きさ・形・位置・画用紙や登場人物の
向きを考えさせるために自由に切った色紙を配置するようにし
た。色紙を使って大きさを試しながら考えることで,自分のイ
メージした場面を画面構成しやすくなったと考える。また,実
際に大まかな形をかいておいてみてもよいことにしたところ,
児童は自分でやりやすいと感じた方法を選び活動を行っていた。
資料-5
登場人物の写真資料と
画面構成のための板書
また,形を考えてかくことが難しいと感じていたある児童は,
「きつねが吠えている場面をかきたいから黒板に貼っている写
真を貸してほしい」と手元に置き,その資料を参考に形をとら
えながら活動した。ある児童は,「さいしょは小さかったけど,
紙のおかげで大きくなりました」本時の振り返り時に感想を書
いていた。
次に,パスを使って自分のイメージにあった彩色を行った。
ここでも,最初に児童はイメージファイルを振り返ることで,イメージを確認し,活動の見通しを
もった。表現活動中に自然な鑑賞を促すために,イメージファイルと前時までの作品の画面構成を
美‐9
もとに教師が意図的に構成したグループで活動した。前回の振り返りで「心にうかんだことを線で
あらわすことができましたか?」の問いに△を付けていたり,作品を見て登場人物が小さくなって
しまったりした児童には,もう一度前回使用した色画用紙を使い修正をしてもよいことを伝え実演
した。すると,△をつけていた児童は再度大きさを考え,線をかき加えていた。また,◎もしくは
○を付けていた児童はそのままかき進むことを選んだ。全体指導では,教師はイメージファイルを
もとに資料として色見本,スクラッチング,強弱での彩色を提示し,言葉で表したイメージを具現
化するための技法を再確認した。そして,児童は自分のイメージに合う技法や色を選びパスで表す
活動を行った。資料を参考にしながら時折イメージファイルを開き,自分がイメージした色に基づ
いて彩色を行った。
資料-6
資料-7
大きさを考え画面構成をし直す児童の様子
イメージファイルを参考に表現活動をする児童の様子
資料-8
作品とイメージファイル
この時間の振り返りには,
「線の中をごしごし塗りや点々塗りをしていろんな色が分かりました」
「色ぬりでもうちょっと工夫できたと思いました」「楽しくパスのつかいかたを工夫できました」
などがあった。
美‐10
そこで,次の時間は振り返りと児童の作品より再度グループ構成を行った。特に,技法が偏って
いる児童は様々な技法を使って表現している他の児童とのグループを構成したり,個人指導を行っ
たりした。ある児童は,色が単調になっていた。そこで,机間巡視の際にイメージファイルを開き,
「これはどうやってつくったの?」と尋ねると,「これは,紫と茶色と・・・」と次々に混色の際
の色が出てきた。すると,木やきつねの体を他の色で重色し始めた。振り返りには「きつねをかく
のがうまくいきました」と書かれている。
資料-9
イメージファイルを振り返り重色する児童の様子
また,別のある児童には,混色や重色はしているものの,森と家の技法が同じになっていたので
スクラッチを提案した。すると,家の壁にスクラッチで模様をつけ始めた。中には,自分の作品を
イメージファイルと見比べながら「木はぐるぐるのイメージだから」と塗り重ねていったり,「雄
鶏はもっと明るいと思ったから」とイメージファイルとは違った色を重ねたり,新たに自分で考え
たパスを横に使った彩色の仕方をイメージファイルに書き足したりする児童もいた。この児童は,
表現を進めていく中できつねを追い出した雄鶏はかっこいいととらえ,それを表すために明るい色
を重ねたり,ずっとこの家にいたかっただろうというきつねの悲しさを表すために茶色を加えたり
した。これは,自分のイメージを膨らませながらそして,明確にしていくことができたためと考え
る。
資料-10
資料-11
イメージファイルと作品の変容
パスでの彩色の時間の板書
美‐11
最後に,水彩絵の具で自分のイメージに合った彩色を行った。ここでも,児童は自分のイメージ
や表現を確認するために,イメージファイルを振り返り,本時活動の見通しをもった。教師はそれ
までの児童のイメージファイルや作品と聞き取りにより把握した児童のイメージをもとに,共同絵
の具を準備し,水彩絵の具の技法を実演・提示した。イメージファイルには,自分で色を確かめる
ことができるページをつくったところ,児童は試しながら自分のイメージに合った色を納得して使
うことができた。児童はこれまでにタンポによる彩色を経験していたが今回新たに筆を使った表現
方法を知ることで,ほとんどの児童が筆を使って彩色を行った。ある児童は,途中で「森の中に家
があるのでいろいろな木の色を表したい」と,自分で色をつくり始め,点描によって表現を進めた。
また別のある児童は,「もっとパスと同じくらい濃い色で表したい」と重色を始めた。
資料-12
イメージファイルと完成作品
考察
表現の段階でも,毎時間の始めや表現の途中で自分のイメージを確認したり,かき加えてい
くといった活用をすることで,児童ははじめに持ったイメージを膨らませたりより明確にして
色や技法を選んで表すことができた。さらに,発想の段階で行った色づくりや,実態把握より
構成したグループでの活動や資料活用をすることで,自分のイメージを思い通りに表現するこ
とができた。
以上のことから,イメージファイルの活用は有効だったと言える。
ウ
鑑賞
イメージファイルの活用
(ア)
イメージの明確化
○ 児童の活用
・記録を読み返すことでイメージを確認し,自分の表現の工夫を具体的に伝えることができ
るようにする。
鑑賞の段階では,イメージファイルと作品を振り返り,自分の作品で工夫したところをイメージ
に沿って「みてみて!ポイント」に書いた。「赤い屋根をさあさあぬりをして,なんかへんだな〜
美‐12
と思ってごしごしぬりをしたらやねがそうぞうどおりになりました」「色を自分の思っていたとお
りにぬれたところ」などが書かれていた。次に,グループ(生活班)で発表し合う活動を行った。
これまでに学習した構成や形・色の工夫に伝えることができた。最後に,友達の作品を見てよさを
見付けるためにクラス全体で自由に鑑賞し合った。そして,鑑賞の中で見付けた友達の作品でいい
なと思ったところを「いいね!ポイント」に書いた。「○○くんの作品は,自分がイメージしたき
つねの色を使っていたのでいいね!と思いました」などが見られた。鑑賞会の振り返りには「いろ
いろな人の絵がみられてよかったです」「みんな好きな場面は同じような場面だけど,色の塗り方
かき方が違ったのですごいなと思ってしまいました」「みんなの絵やイメージファイルを見てすご
くうれしかったです」という感想が書かれていた。これらのことより,イメージをもって自分の作
品をつくるだけでなく,友達の作品を見る際もイメージを意識することができるようになったと考
えられる。
考察
鑑賞の際にイメージファイルを活用して自分の作品を振り返ることで,色や技法に対する意識
が高まった。また,友達の作品をイメージファイルとともに鑑賞することで,イメージの表現方
法やイメージや技法の多様さ,おもしろさにも気付くことができた。
以上のことから,イメージファイルの活用は有効だったと言える。
(6)学習後のアンケート結果から
授業の実践後,実践前に行った実態調査と同じ調査を行った。その結果,実践前は,全項目におい
て肯定的に答えた児童が平均で 71.8%だったのが 85.2%へと上昇した。
発想や構想の能力に関する「どういう風にしようか考えたり想像したりするのは楽しい」という設
問においては,57%から 82%へと 25%上昇が見られた。これは,イメージファイルの活用によって,
自分のイメージを膨らませたり精選したり整理することで,イメージの仕方や楽しさを知ったことか
らと考えられる。また,創造的な技能に関する2つの設問「材料や形や色を工夫して思いどおりにつ
くることができる」「いろいろな道具や材料を思いどおりに使える」では,ともに 82%から上昇が見
られなかった。これは,主な描画材がパスだったことや低学年でまだ経験が浅いことによるものでは
ないかが考えられる。
57
どういう風にしようか考えたり想像したりする
のは楽しい
82
82
材料や色,形を工夫して思いどおりに表現する
ことができる
82
82
いろいろな道具や材料を思いどおりに使える
82
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100%
表-2
アンケート結果の変容
美‐13
はい
いい
え
さらに, 「造形への関心や意欲,態度」「発想や構想の能力」「創造的な技能」「鑑賞の能力」の
4観点で比較したところ,「造形への関心や意欲,態度」で 14%,「鑑賞の能力」で 22%の上昇が見
られた。これは,第 2 学年の発達段階からこれまでは自己中心的な見方をしていたが,自分のイメー
ジを確認したり,イメージに基づいた表現活動を振り返ったりするというイメージファイルの活用を
図ることにより,イメージと作品を意識し関連づけて鑑賞することができたために鑑賞の能力が上昇
したことが考えられる。また,グループ活動を行ったことから,表現活動の中でも自然な鑑賞が生ま
れたり,一人一人の作品を認め合うことが身に付いたりしたためだと考えられる。
今回,発想や構想の能力や創造的な技能ではそれぞれ5%,4%しか上昇が見られなかった。生活
科の時間を使って飼育小屋のうさぎに十分に触れる活動を行ったことから,パスで表現を工夫する際
に毛並みなどはイメージしやすかった。しかし,普段目にしない動物の形をイメージすることにおい
ては難しさがあった。お話の選定の際の考えを前述しているが,児童がよりイメージしやすいお話を
選ぶ必要があった。イメージファイルを授業の前後や活動中に活用することによって,児童がイメー
ジしたり,教師が作品とあわせてイメージや課題を読み取ったりし,それに対しての個に応じた獅指
導はできたが,児童のイメージをより具現化していくためにもさらなる手だての工夫をしていく必要
があると考える。
74
関心・意欲・態度
88
発想・構想の能力
69
84
はい
創造的な技能
82
86
鑑賞の能力
64
86
0%
20%
40%
表—3
いいえ
60%
観点別変容
美‐14
80%
100%
2
実践2(小学校第5学年)
(1)題材
「想ぞうのつばさをひろげて」
(2)目標
○
心をひかれた場面を絵に表すことに取り組もうとしている。
(造形への関心・意欲・態度)
○
心をひかれた場面の様子や,登場人物の気持ちなどを想像し,どのような画面構成や色で表
現するか構想している。
○
(発想や構想の能力)
場面の様子や雰囲気が表れるように,画面の組み立てや彩色を工夫しながら表現している。
(創造的な技能)
○
友達と絵を見せ合い,自他の活動や作品のよさに気付き,伝え合っている。
(鑑賞の能力)
(3)実態
本学級の児童は,図画工作科学習において,自分の作品をよりよくしようと工夫して,楽しみな
がら意欲的に取り組むことができている。
一学期の題材「感じたことを伝えたい」では,運動会で心に残った場面を絵に表す活動に取り組
んだ。この題材で児童は,自分のイメージを表すために混色や重色を使って,自分なりに工夫して
取り組むことができた。
しかし,イメージを整理できず曖昧だったり,浅かったりして,線がきの段階でつまずいている
児童や,表現の段階で自分のイメージに合う色での彩色ができず,何度もやり直して失敗したり,
イメージとは違う色彩になってしまったりする児童も見られた。
また,アンケートでは「自分が描きたいものを思い通りに描くことができるか」の設問では,58%
の児童が思い通りに描けないと答えており,また,「自分の作品に自信があるか」の設問には,57%
の児童が,自信がないと答えている。このことから,図工の学習が好きであるにも関わらず,自分
のイメージを思い通りに表現することができず,自分の表現に満足できていないと感じる児童が多
いことがわかった。
以上のことから,児童が自分のイメージを思い通りに表現するために,まず自分のイメージを膨
らませたり焦点化したりしながら,表したいことを明確にしていく必要があると考えた。〈イメー
ジの明確化〉。
さらに,様々な表現方法を見つけたり,自分のイメージに合う表現方法を選択したりして自分の
課題を解決する能力を高める必要があると考える〈イメージの具現化〉。
(4)指導の考え方
本題材の指導にあたっては,自分のイメージした物語の世界を,場面構成や彩色の仕方を考えな
がら,思い通りに表現することができるように,「イメージファイル」の活用を通して,「イメー
ジの明確化」と「イメージの具現化」を図る学習指導を行っていく。
ア
イメージの明確化
○
児童の活用
・物語を読んで,心に残った場面のイメージを,付箋紙に簡単な絵や言葉で記録し,イメージ
ファイルに貼っていく。
・付箋紙に記録した自分のイメージを整理し,絵に表したい場面を決める。
美‐15
・記録した絵や言葉をもとに画面構成や色のイメージを考え,アイデアスケッチをかく。
・記録を読み返すことで自分のイメージを確認する。
・学習前,学習後に振り返り,イメージを確認したり付加修正したりする。
○
教師の活用
・イメージファイルに記録された児童のイメージを把握し,児童のイメージに合った画面構成
を提示し,確認させる。
・自分の作品で表したいものについて取材活動をさせる。
・混色表を提示し,記録をもとに自分のイメージに合った色を確認させる。
イ
イメージの具現化
○
児童の活用
・授業の始めに作品と併せて,自分のイメージを確認し,本時の見通しを持つ。
・自分の振り返りや教師の指導を通して,さらに自分のイメージを表現するための方法を見付
けたり選んだりして自分のイメージを具体的な色や形で表現する。
○
教師の活用
・児童の表現や活動についての振り返りと作品から実態を把握し,児童の課題や児童のイメー
ジに合った表現技法を指導する。
・表現技法の資料や混色表などを提示し,児童が確認できるようにする。
(5)指導の実際と考察
ア
出合い,発想・構想
出合いの段階では,まず,『銀河鉄道の夜』という物語を読んで絵に表すことを伝えた。児童は,
朝の音読タイムで物語の一部を練習したことがあり,興味をもって聞くことができていた。
物語は,あらすじを説明した後,音読タイムで練習した「6
銀河ステーション」の本文を配布し,
CD を聞かせながら読んでいった。その際,銀河や機関車の写真や効果音を用意して,イメージをもち
やすくしたり,難しい語句について説明を補足したりした。児童は,心をひかれた場面や言葉に線を
引きながら聞くことがきていた。
話を聞き終えた段階で,イメージファイルの活用を行った。
イメージファイルの活用
(ア)
○
イメージの明確化
児童の活用
・物語を読んで心に残った場面のイメージを,付箋紙に簡単な絵や言葉で記録し,イメー
ジファイルに貼っていく。
・付箋紙に記録した自分のイメージを整理し,絵に表したい場面を決める。
・記録した絵や言葉をもとに画面構成や色のイメージを考え,アイデアスケッチをかく。
○
教師の活用
・イメージファイルに記録された児童のイメージを把握し,児童のイメージに合った参考
作品や画面構成の資料を提示し,確認させる。
美‐16
(イ)
○
イメージの具現化
児童の活用
・授業の始めに作品と併せて,自分のイメージを確認し,本時の見通しを持つ。
○
教師の活用
・児童の表現や活動についての振り返りと作品から実態を把握し,児童の課題やイメージに
合った指導をする。
資料‐13
発想段階のイメージファイル
発想の段階では,心に残った場面(絵に表したい場面)を選び,そ
の場面に入れたいものや場面の様子について思いついたことを付箋紙
に書き,イメージファイルに貼って記録させた。その付箋紙を並び替
えたり取捨選択したりしながら整理することで,自分の表したい場面
を明確にさせた(資料‐13・14)。自分のイメージを文章で表すこと
が難しい児童も,付箋紙を操作しながら言葉を組み合わせることで,
イメージを膨らませながら自分なりの言葉で書きまとめることができ
た。
資料‐14
明確になった自分が表したい場面
物語を聞いた直後
付箋紙を操作した後
構想の段階では,発想段階のイメージファイルをもとに画面構成の工夫を考え,アイデアスケッチ
を描いた。その際,画面構成を考える視点として「位置」「大きさ」「向き」「奥行き」の 4 点を提
示した。児童のイメージファイルから,やはり機関車を中心にしたイメージが多いことが分かったの
で,特に「向き」「奥行き」については参考資料を提示して様々な機関車の表し方を指導した。
また,アイデアスケッチを描く際には,前時に使った付箋紙を貼って位置や大きさを決め,向きや
奥行きを考えながら描くように指導した(資料‐15)。
付箋紙を貼りながら画面構成を考えさ
資料‐15
せることで前時の自分のイメージが膨ら
み,機関車に動きをつけたり,客室の中
から外を見ている構成にしたりする児童
もいた。
アイデアスケッチ後,「付箋紙を貼っ
ていくとアイデアがどんどん出てきては
やく描くことができました。」という振り
返りを書いている児童もいた。
美‐17
付箋紙を使った画面構成(アイデアスケッチ)
考察
発想場面では,思いつくままイメージを付箋紙に書き,それを取捨選択することで,自分のイメー
ジを絞り込むことができた。また,文章で自分の気持ちを表すことが難しい児童も,付箋紙に単語
を書いて操作し,組み合わせることで自分のイメージを表すことができた。
アイデアスケッチを描く場面でも,前時に使った付箋紙を使うことで前時のイメージを意識して
取り組むことができ,付箋紙とスケッチを対応させて描くことができるので,自分の思いを落とさ
ずに描くことができるようになり,自分のイメージもさらに膨らむ児童もいた。さらに,付箋紙を
使うことで,文字を書く手間が省け,その分の時間を活動にあてることができた。
また,教師が児童の実態把握をする際にも,アイデアスケッチ上に付箋紙が貼ってあることで,
児童のイメージを正確に読み取り,事後の指導に生かすことができた。
以上の点から,発想構想段階でイメージファイルを活用したことは,有効であったと考える。
ウ
表現
イメージファイルの活用
(ア)
イメージの明確化
○ 児童の活用
・記録のもとに,自分が持ったイメージをふくらませたり焦点化したりしながら整理する。
・授業の最後に自分の表現について振り返りを行うことによって,自分の表現のよさや課題に
気付く。
○ 教師の活用
・イメージファイルに記録された児童の振り返りをもとに実態を把握・分析し,それをもとに
児童に応じた指導を行う。
(イ)
○
イメージの具現化
児童の活用
・授業の始めに作品と併せて,自分のイメージを確認し,本時の見通しを持つ。
○
教師の活用
・児童の表現や活動についての振り返りと作品から実態を把握し,児童の課題や児童のイメー
ジに合った表現技法を指導する。
資料‐16 ファイルを見直す児童
表現段階では,まず,アイデアスケッチをもとに線がきを行った。
・表現技法の資料や混色表などを提示し,児童が確認できるようにする。
児童のイメージファイルの分析から,自分のイメージが明確でない児
童や,十分に表現できていない児童に対して個別に指導を行った。特
にレントゲン描法で描いている児童や,動きが少ない児童に対しては
参考資料や友達の作品を見せたり自分のイメージファイルをもう一度
確認させたりしながら修正させた(資料‐16)。
彩色の第 1 時では,児童のイメージファイルの
分析(使いたい色・表したい感じ)から,「混色」
「重色」「にじみ」「ぼかし」「スパッタリング」
の技法を中心に指導し,必要に応じて「筆の使い
方」「水加減」を指導した(資料‐17)。「混色」
美‐18
資料‐17
彩色の時間の板書
については混色表を用意し,自分のイメージに合った色を作る
資料‐18
児童の活動の様子
参考にさせた。「重色」「にじみ」「ぼかし」については,同
じ作品を使って,重色を多用して描いた場合と,にじみやぼか
しを多用した場合の作品を提示し,技法によって感じ方が変わ
ることを確認させた。
児童は,様々な技法を知ることで,自分のイメージに合った
方法を選び意欲的に取り組んでいた。自分の納得がいく彩色に
なるように試しがきを行い,中には選んだ技法を自分なりにア
レンジして彩色に生かしている児童もいた(資料‐18)。
彩色の第 2 時からは,児童は,前時の振り返りと作品をあわせて本時のめあてを確認し,彩色に取
り組んだ。そして活動後は本時の学習を振り返り,自分の課題や次のめあてを明確にしていった(資
料‐19)。
資料‐19
児童の活動の様子
教師は児童のイメージファイルと作品を分析し,課題別に児童を集めて指導したり,机間指導を行
ったりして,個々の児童が自分のめあてに沿って活動できるよう指導した。また,活動後には児童の
作品と振り返りを紹介し,友達の作品を見ることで自分の作品を再確認させた(資料‐20)。
資料‐20
児童の活動の様子
彩色を終えて,書かせた児童の振り返りには,「スパッタリングの水加減や力加減が分かってきれ
いにできました」「自分が表したい星空になった」「一番伝えたかった,光る星の中に汽車が走って
いる様子をうまく表現できたのでよかったです」などの感想が見られた。
考察
表現の段階では,教師は児童のイメージファイルと作品から,児童の表したいことやそれに合
った表現技法を分析することで,児童の思いに合った指導を選択して行うことができた。また,
一人一人の児童に何を指導するかが把握できているので,それぞれの児童に的確なアドバイスを
することができた。
児童は活動の中で何度もイメージファイルを見直し,自分のイメージに合った技法や色を選ん
だり組み合わせたりして,自分のイメージを常に意識しながら取り組むことができた。自分が今
日することが明確になっているので,見通しをもって集中して取り組めていた。
美‐19
また,選んだ技法を自分なりにアレンジして表現に生かす児童や,選んだ技法の効果から,さ
らにイメージがふくらみ,作品が変化していく児童もいた。イメージファイルを活用することで,
児童の課題意識が高まり,教師は児童の課題をみとることができた。
以上の点から,表現の段階でイメージファイルを活用したことは,有効であったと考える。
ウ 鑑賞
鑑賞の段階では,初めに「題名」「自分が表した場面」「注目してみてほしいところ」「工夫した
ところ」の4つの視点でイメージファイルに自分の作品の振り返りを書かせた。次に,その振り返り
をもとに,グループで自分の作品について説明しあいながら鑑賞活動を行った。配色や技法を意識し
て表現活動を行ってきているので,「工夫したところ」と「注目して見てほしいところ」については
自信を持って伝え合うことができていた。また,発表者の説明を聞きながら,題名につなげて「不思
議な宇宙の感じがでてるね」や「ジョバンニの表情がすごい」などの感想を伝えあっていた(資料‐
21)。
グループでの鑑賞の後,全体で鑑賞活動を行った。その際,作品の横にイメージファイルに書いた
振り返りを置き,作者の思いを確認して作品を見るようにした。鑑賞後の感想には,「薄い色づかい
だと,さわやかできれいになることが分かった」「汽車がこっちに向かってくるようなかきかたを真
似したい」などの,様々な技法の良さを感じた児童や,「みんなそれぞれ違っていて,みんなの考え
がよく表れていた」「みんなの個性が出ていてとてもよかった。私の絵はみんなと違うけど,自分の
絵ができたのでうれしかった」など,友達の考えや思いに着目して良さを見つけた児童がみられた。
資料‐21
グループでの鑑賞活動
考察
イメージファイルを活用して自分の作品を振り返ったり鑑賞しあったりすることで,学習した
技法の良さや,イメージの多様性とそれを表す技法の違いに気付くことができ,自他の作品の良
さを感じることができた。
以上のことから,鑑賞の段階でイメージファイルを活用したことは,有効であったと考える。
(6)学習後のアンケート結果から
授業の実践後,実践前に行った実態調査と同じ調査を行うと,次のような結果になった(表‐4)。
表‐4
学習後のアンケート結果
絵をかいたり、ものをつくったりするのは
好きですか
図工の時間が好きですか
学習前
89
11
89
95
学習後
80
0%
11
955
5
90 50%
100
110
100%
はい
はい
学習前
いいえ
いいえ
学習後
85
95
0%
美‐20
50%
15
5
100%
はい
いいえ
いろいろ試してみて、色のつけかたを
工夫できる
どういう風にしようか考えたり
想像したりするのは楽しい
85
学習前
15
92
学習後
0%
8
50%
はい
いいえ
学習前
77
23
学習後
80
20
0%
100%
材料や形を工夫して、思い通りに作ること
ができる。
57
学習前
62
学習後
0%
はい
38
50%
いいえ
100%
いろいろな道具を思い通りに使える
69
学習前
43
50%
はい
75
学習後
いいえ
0%
100%
31
50%
25
はい
いいえ
100%
発想・構想に関する項目の結果は,「どういう
作品について感じたことや思ったことを
話し合うのは楽しい
風にしようか考えたり想像したりするのは楽しい」
という項目では 85%→92%と7ポイント増加し
た。また,創造的な技能に関する項目の結果は,
学習前
「いろいろ試してみて,色のつけ方を工夫できる」
学習後
という項目では 77%→80%と3ポイント増加,
72
82
0%
「材料や形を工夫して,思い通りに作ることがで
28
50%
18
はい
いいえ
100%
きる」という項目では,57%→62%と5ポイント増加,「いろいろな道具を思い通りに使える」とい
う項目では,69%→75%と6ポイント増加していて,絵に表す活動において,肯定的にとらえられる
ようになってきている。
以上のことから,絵に表す活動について,「イメージファイル」の活用を行うことで児童は自分の
表現のよさや課題に気付き,各段階で目的意識を持って学習に取り組むことができるようになったと
考える。
「思い通りに表現できる」という部分での伸びが比較的少ないが,これは今まで「できる」と思っ
ていた児童が明確になったイメージを表すために,実際に様々な技法を試すことで自分の技能の未熟
な面に気付くことができたと考えられる。その気付きに対して十分対応できるように,指導の在り方
についてさらに研究していく必要がある。
資料‐22
児童の作品
美‐21
3
実践3(小学校第6学年)
(1) 題材
「墨で描こう心の世界」(絵に表す)
(2) 目標
○
墨と水でできる形や色に興味をもち,絵に表すことに取り組もうとしている。
(関心・意欲・態度)
○
墨の濃淡や表現技法を試しながら,表したい絵のイメージを膨らませたり,整理したりして
いる。
○
(発想や構想の能力)
自分のイメージした心の世界について,墨の濃淡や表現技法・用具を工夫しながら表現して
いる。
○
(創造的な技能)
自分や友人の作品について,墨の濃淡の美しさや表現技法のよさ,面白さに気付き,伝え合
っている。
(鑑賞の能力)
(3) 実態
本学級の児童は,図画工作科の学習において,自分の作品をよりよくしようと工夫したり,粘り
強く活動に取り組んだりすることができる子どもが多い。また,友達の作品のよさを積極的に見つ
け,伝え合っている姿が見られ,図画工作科の時間を楽しみながら取り組んでいる。
1学期の題材「12 年後のわたし」では,将来の自分を想像し,針金や紙粘土等の材料を使って,
自分のイメージを立体に表す活動に取り組んだ。この題材で児童は,12 年後の自分の姿を思い浮か
べ,つくりたい様子のイメージをもつことができた。また,自分のイメージを表現するために,紙
粘土の動きや将来の自分がいる場面を,形や色を生かしながら工夫する姿が多く見られた。
しかし,12 年後の自分の姿を発想することに時間がかかり,アイデアスケッチが進まない児童や
アイデアスケッチを立体に表す際に,針金を曲げて自分のイメージに合ったポーズをつくれなかっ
たり,紙粘土で思い通りに形づくったりすることができない児童も見られた。
さらに,1学期,事前に行ったアンケートでは,
「何をかいたり,つくったりしていいのかイメー
ジすることができない」・
「つくりたいものはイメージできるが,そのイメージを思い通りに表現す
ることができない。
」という項目において,評価が高い児童と低い児童とで二極化していることが明
らかになった。アンケートで把握した実態と学習中の児童の実態にはつながりが見られた。
以上のことから,児童が自分のイメージを思い通りに表現するために,自分のイメージを膨らま
せたり,整理したりすることで,より明確にしていく必要がある〈イメージの明確化〉。さらに,自
分の表現について振り返りを行うことで,自分の活動のよさや課題に気付き,自分のイメージを表
すための表現方法や用具を見付けたり試したり選んだりして表現する能力を高める必要があると考
える〈イメージの具現化〉
。
(4) 指導の考え方
本題材の指導にあたっては, 自分のイメージした心の中の世界を,墨や水の量,表現技法,用具
を考えながら思い通りに表現することができるように,「イメージファイル」の活用を通して,「イ
メージの明確化」と「イメージの具現化」を図る学習指導を行っていく。
ア
イメージの明確化
○
児童の活用
・参考作品を鑑賞し,墨の濃淡や表現技法による感じ方の違いを記録する。
・試しの活動を通して気付いた表現技法や色・形等のイメージを記録し,整理する。
美‐22
・試しの作品をファイルに綴じる。
・自分のイメージを明確に表すことができる主題を決める。
・自分の主題からイメージする形や色等を整理する。
・自分の表現についての振り返りを行い,自分の表現のよさや課題に気付く。
・表現についての振り返りをもとに,次時のめあてを考える。
○
教師の活用
・児童がかいた試しの作品や振り返りをもとに,表現のよさや課題を把握する。
・児童のかいた試しの作品や振り返りをもとに,児童の主題を把握する。
・イメージを明確にするために必要な資料(表現技法・気持ちを表す言葉)を準備する。
イ
イメージの具現化
○
児童の活用
・自分のイメージに合う表現方法や用具を記録する。
・自分の振り返りや教師の指導を通して,さらに自分のイメージを表現するための表現方法
を見つけたり選んだりして,自分のイメージを具体的な色や形で表現する。
・綴じている試しの作品を振り返り,組み合わせたり,新しい発想のもとにしたりして自分
の作品に生かす。
○
教師の活用
・イメージファイルに記録された試しの作品や振り返りから児童の課題を把握し,墨の濃淡
や表現技法についての指導を行う。
・勢いのあるダイナミックな作品にできるように,場の設定を工夫する。
・児童がもつているイメージを把握し,よりよい作品にするためのアドバイスを行う。
(5) 指導の実際と考察
ア
発想
イメージファイルの活用
(ア)イメージの明確化
○
児童の活用
・参考作品を見て,気づいたことや感じたことを記録する。
・試しの作品をファイルに綴じる。
・本時の活動についての振り返りを行い,表現のよさや課題に気付く。
○
教師の活用
・児童がかいた試しの作品や振り返りをもとに,児童の成果と課題を把握する。
・イメージを明確にするために必要な資料(表現技法)を掲示する。
発想の段階では,はじめに単元『墨で描こう心の世界』の特性を伝えた。1つ目は,今回表現
する「心の世界」は形に表せないものを表現する抽象画であること。2つ目は,墨と筆を使って
表していくことである。児童にとっては,墨や筆は書写のイメージが強く,図画工作科の時間に
墨を主材料として使うことは初めてである。そのため,児童は本単元で墨や筆を使って絵をかく
ことに,興味・関心をもつて単元に入ることができた。
美‐23
次に,墨の特性を感じさせるために,自由に試しの活動を
資料-23
試し活動の様子
行った(資料-23)
。今回は,参考作品を提示せずに,児童の
体の動きやリズムを感じながら思いのままに筆を動かすこと
を重視し,十分に体験をさせることから活動を始めた。失敗
することを恐れずに何度もチャレンジできるように,紙は半
紙を使った。
まず全体で墨の濃淡についての指導を行った。はじめは,
何をかけばよいか悩んでいた児童もいたが,活動を続けるう
ちに,伸び伸びと思いのままに体を使ってかくことができる
ようになった。さらに,児童が試しながら発見した技法については,全体に広げるようにした。
児童が試しながら見つけた技法は,
「かすれ」
「散らし」
「にじみ」であった(資料-24)。この段階
では,墨の濃淡や筆の使い方,様々な技法に慣れることを大切することで,墨で絵をかくことに
抵抗をなくすことができたと考える。試しの活動を行うことで,児童の中にぼんやりと「こんな
心の世界にしようかな」とイメージが湧き始めているようであった。
資料-24
試し活動の作品(発想段階)
線の太さを工夫した作品
『かすれ』を使った作品
『散らし』を使った作品
『にじみ』を使った作品
さらに,児童が試した作品の中で,表現技法が異なる作品を参考作品として選び,全体で鑑賞
した。参考作品を鑑賞することで,児童は表現技法によって作品への感じ方が違うことに気づく
ことができた。最後に,イメージファイルに本時の振り返りを書いた。振り返りの中には,成果
として「いろいろなアイデアを思いのままに表すことができて楽しかった」
「墨の濃淡が上手にで
きた」ことや,課題として「友達にかかるので思い切りできなかった」
「墨を薄くつくるのが難し
かった」ことが書かれていた。
考察
発想の段階での児童のイメージファイルの活用において,試しの活動でかいた作品を綴じていく
ことや児童の作品を参考作品として鑑賞させることは,イメージを明確にするために有効な手立て
であったと考える。児童は,その後の試しの活動や表現の段階において,イメージファイルに綴じ
ている試しの作品を見返し,アイデアを付加したり修正したりすることができたためである。児童
は,試しの活動や参考作品の鑑賞を通して「このかすれが悲しい感じがする」
「散らしを使うと,激
しいイメージになる」等形や色,表現技法から感じるイメージの違いに気づくことができた。
また,教師のイメージファイルの活用において,児童がかいた振り返りをもとに,児童の成果や
課題を把握・分析し,課題に応じた手立てを考えることは有効であったと考える。児童の課題とし
美‐24
て多く挙がったものは,墨の濃淡の使い方,さらに友達にかかりそうで思い切り散らしの技法がで
きなかったというものであった。そのため,次回に課題に応じた指導ができるよう,墨の濃淡を表
現することができている児童の作品を鑑賞させることや,場の工夫(「思いっ切りコーナー」の新設)
といった手立てを考えることができた。
イ
構想
イメージファイルの活用
(ア)イメージの明確化
○
児童の活用
・自分のイメージを明確に表すことができる主題を決める。
・自分の主題からイメージする形や色等を整理する。
・本時の活動についての振り返りを行い,自分の表現のよさや課題に気付く。
○
教師の活用
・児童がかいた試しの作品や振り返りをもとに,児童が主題を把握する。
・主題を明確にするために必要な資料(感情を表す言葉)を掲示する。
(イ)イメージの具現化
○
児童の活用
・自分のイメージに合う表現方法や用具を記録する。
○
教師の活用
・イメージファイルに記録された試しの作品や振り返りから児童の課題を把握し,墨の濃淡
や表現技法についての指導を行う。
・勢いのあるダイナミックな作品にできるように,場の設定を工夫する。
構想の段階では,自らの主題「○○な心の世界」として,イメージフ
ァイルに言葉で表現させた。語彙が少ない児童が,自分の心を的確に表
すことができように,「感情を表す言葉の資料」を掲示した(資料-25)。
資料-25
感情を表す言葉
の資料を掲示
野球が大好きで地域のソフトボールチームに所属し,毎日練習を頑張って
いる児童は,
「ホームランを打った時の燃えている心の世界」と書いていた。
また,自学を頑張っていて最近褒められた児童は,
「達成感のある心の世界」
と表していた。また,主題については表現していく段階で,新たなアイデ
アや偶然性のある表現も認めることができるように,変化していってもよ
いことを伝えた。
主題が決まった後は,その主題からイ
資料-26
イメージファイルの活用(構想の記録)
メージすることを4つの視点「墨の色」
「線の形」
「イメージする自然のもの」
「ど
んな時」を言葉や簡単な絵で膨らませた
り,整理させたりした(資料-26)
。本題
材では,アイデアスケッチを行わなかっ
た。その理由は,アイデアスケッチで下
絵を決めてしまうと,墨と筆で表すよさ
である勢いやダイナミックさがなくなってしまうと考えたためである。そのため,イメージファイ
美‐25
ルを活用し,4つの視点についてのイメージを膨らませたり,整理させたりすることで,主題につ
いてのイメージを明確にしていった。
「うれしさがはじける心の世界」を表したい児童は,「星がき
れいな夜に打ちあがる花火」をイメージし,ちらしやかすれの技法を使いながら,まっすぐな線で
かくことをイメージファイルに記録していた。また,
「家に帰ってソファーに座り落ち着いている心
の世界」を表したい児童は,球体や丸をイメージし,外側から段々と薄くしていくグラデーション
を使いながら,いろいろな大きさの丸をかくことをイメージファイルに記録していた。
主題についてのイメージを明確にした後は,表現
資料-27
技法や用具を選びながら試し活動を行った。
場の工夫(思いっ切りコーナー)
構想段階での試し活動では,自分の主題を明確に
表すことができる表現技法や用具,線の形や色等を
試すことを大切にすることを伝えた。さらに,前時
の課題から「思いっ切りコーナー」
(資料-27)とい
う場を図工室の後方に設定し,散らし等の技法が思
い切りできるよう工夫した。児童は,前時よりも勢
いのある技法を試し,ダイナミックに表現していた。また,もう1つの課題である墨の濃淡の活用
では,墨の濃淡を活かした児童の試しの作品を掲示することで,濃い墨と薄い墨の作品内における
バランスを考え,試しの作品につなげることができていた。児童は,墨の濃淡や表現技法を試しな
がら,自分の表したい絵のイメージを広げたり,整理したりすることができたと考える(資料-28)。
資料-28
試しの作品(構想段階)
題『くじけた心』
題『悲しみ(平和集会)』
題『ロックな心の世界』
考察
構想段階での児童のイメージファイルの活用において,自分のイメージを明確に表すことができ
る主題を決めたり,その主題からイメージする形や色等をイメージファイルに整理したりすること
は有効であったと考える。5つの視点(「墨の色」
「線の形」
「表現技法」
「イメージする自然のもの」
「どんな時」
)について,絵や言葉で記録することで,自分の表したい心の世界についてのイメージ
を明確にしていくことができた。
また,教師のイメージファイルの活用において,前時の振り返りで書かれた児童の課題から場の
工夫(
「思いっ切りコーナー」の新設)や墨の濃淡を活用した参考作品の掲示を行うことで,児童
は,墨の濃淡や表現技法を試しながら,自分のイメージを具現化していくことにつながったと考え
る。また,児童の主題を把握することで,グラデーションの技法を使って表したい児童が多いこと
や,これまでの試しの作品や振り返りから薄い墨の作り方の指導が必要なことが分かった。
これらのことから,構想段階でのイメージファイルの活用は有効であったと考える。
美‐26
ウ
表現
イメージファイルの活用
(ア)イメージの明確化
○
児童の活用
・イメージファイルに書かれた前時の振り返りやこれまでの試しの作品を基に,本時のめあ
てを書く。
・イメージファイルを振り返り,表現技法や用具を確かめることにより自分のイメージを明
確にする。
(イ)イメージの具現化
○
児童の活用
・自分の振り返りや教師の指導を通して,さらに自分のイメージを表現するための表現方法
を見つけたり選んだりして,自分のイメージを具体的な色や形で表現する。
・綴じている試しの作品を振り返り,組み合わせたり,新しい発想のもとにしたりして自分
の作品に生かす。
○
教師の活用
・イメージファイルに記録された試しの作品や振り返りから児童の課題を把握し,墨の濃淡
や表現技法についての指導を行う。
・児童がもつているイメージを把握し,よりよい作品にするためのアドバイスを行う。
表現の段階では,まず全体のめあてを墨の濃淡と表現技法の工夫
資料-29
の2点に絞った後,イメージファイルに書いてある前時の振り返り
イメージファイルを
振り返る児童
から自分のめあてを考えさせた(資料‐29)。自分のめあてには,こ
れまでの試しの作品からの課題を書く児童や,自分の表現のよさを
伸ばすための工夫について書く児童もいた。
絵に表す活動では,イメージファイルから把握した課題に応じて
指導を行った。児童の課題は,墨の濃淡や表現技法であることが把
握できていたため,まずは墨の濃淡,とくに薄い墨の作り方とグラ
デーションの技法について課題にしている児童を集め,指導を行
った。
(資料-30)
資料-30
墨の濃淡の指導の様子
作品を表現するにあたって児童は,これまでの試しの活動を生かし
ながら自分の主題を表していった。表現していく中で,生まれた新し
い技法や偶然性のあるアイデア等も自分の作品に加えたり組み合わせ
たりしながら,生き生きとした表現をすることができた。これまでの
活動の中で児童が課題に感じていることは,イメージファイルを把握
することで教師が個別に指導していった。また,イメージファイルを読み返しながら,自分のイメ
ージや試しの作品を振り返ることで,イメージを具現化することにつなげる児童もいた。
それでは,表現の段階においてイメージファイルを活用した児童の例から,イメージの具現化に
ついて考察していく。
美‐27
【イメージファイルで把握した課題をもとに指導したA児】
A児は,アンケートでも図工が苦手で嫌いと答えている児童である。これまでの授業でも,
自分が表したいものをイメージすることができない場面があった。しかし,今回A児は,これまで
の試しの活動の中で,イメージファイルを活用することで自分が表したい主題を明確にすることが
できた。主題は「晴れやかな心の世界」に決め,イ
資料-31
A児の振り返り
メージしたものは『花火』を墨の濃淡を使って表す
ことであった。前時の試しの活動で『晴れやかな花火』
として作品を完成させたが,全体的に薄い色だけで表
していることを課題にしていた。そこで,イメージフ
ァイルに書かれた課題を把握し,薄い墨と濃い墨の作
り方を指導した。すると,花火の円の周りの火花の部分に濃い墨を使うことができるようになった。
特に,濃い色から段々と薄い墨に変わっている部分を褒めると,そのグラデーションを使った線の
かき方にこだわり始め,最終的には『小さな星の下ではれつする花火』という作品を仕上げること
ができた(資料-32)
。A児は,振り返りの自己評価を 99 点にしていて,薄い墨の近くに濃い墨をか
く工夫をしたことを成果として挙げていた(資料-31)
資料-32
A児の作品完成への過程
題『小さな星の下ではれつする花火』
【前時の試しの作品】
【本時の作品①】
【本時の作品②】
花火をイメージしてかいている
教師の指導から,濃い墨を使う
濃い墨と薄い墨で表す線にこだわり,自
が,色が薄いことが課題。
ことができるようになる。
分の主題を表すことができた。
【イメージファイルを振り返ることで,よりよい表現方法を見つけたB児】
B児は,
絵を描くことが好きで図画工作への意欲が非常に高く,丁寧で誠実な性格の児童である。
B児は,自分の主題を「ホームランを打った時の燃えている心」として,
「燃えているもの」をイメ
ージして,墨の濃淡を工夫しながら表そうと考えた。試しの作品では,
「散らし」の技法を使って表
していた。活動に入る前にイメージファイルを振り返り,自分のイメージを明確にする場面で,も
っと「燃えている心」をよく表すことができる技法がないかと考えたB児は,いろいろな技法を試
し始めた。すると活動中に,筆の先を意図的に分けてか
すれさせる技法を発見した。B児は,その新しいアイデ
アをもとにして表現し,自分が表したい主題をより明確に
表すことができた(資料‐34)。B児は,イメージファイル
の振り返りに,
「新しい技法も生まれました。完ぺきでした」
と書き,自己評価を 100 点にしていた(資料‐33)
。
美‐28
資料-33
B児の振り返り
資料-34
B児の作品完成への過程
【本時の活動で】
筆の先を意図的に分けて,かすれさ
【前時の試しの作品】
せる技法を見つける。
「散らし」を使って燃えて
【本時の作品】
新しく発見した技法をもと
いる心を表している。
に,主題を表した。
A児やB児のように他の児童も,児童はイメージファイルを活用することで,自分の主題を明確
にしながら表現することができた(資料‐35)
。
資料-35
題『ワクワク』
児童の作品
題『冷静』
題『はしゃぎまわる龍』
題『苦しみとつらさが流れ,
題『はじける自分』
題『GO!GO!5』
地面に落ちる』
資料-36
墨の濃淡と技法を提示した板書
美‐29
考察
表現段階においての児童のイメージファイルの活用では,児童は,自分の振り返りや教師の指
導を通して,さらに自分のイメージを表現するための表現方法を見つけたり選んだりして,自分
のイメージを表現することができた。また,綴じている試しの作品を振り返り,作品を組み合わ
せたり,新しいアイデアのもとにしたりして自分の作品に生かすことができた。
教師の活用においては,児童の課題を把握したことで,課題に応じた指導を行うことができた
と考える。教師が表したい主題を把握することで状況に応じたアドバイスを行うことができた。
また,新しいアイデアで表した児童については,イメージファイルを振り返らせたり,「それは,
どんな心の世界かな」と問いかけたりすることで,主題に立ち返ることができた。これらのこと
から,表現段階におけるイメージファイルの活用は有効な手立てであったと考える。
エ
鑑賞
鑑賞の段階では,はじめに全体で1枚の作品
資料-37
児童の鑑賞の様子
の作品を鑑賞した。1枚の作品を全体で鑑賞す
ることで,鑑賞の視点である「墨の色」
「線の形」
「どんな心」
「技法」を確認することができた。
次に,グループでの鑑賞活動を行った。まず題
名を隠してグループで作品を鑑賞し,鑑賞の視
点に沿って思ったことや感じたことをイメージ
ファイルに書かせた。その後,書いたことをグ
ループで交流させた。児童は,
「線の色が薄いからやさしい感じがするね」「これは炎をイメージす
るから,やる気の気持ちじゃないかな」
「かすれや散らしを使っていて勢いがあるから,はじけた心
を表していると思うな」と伝え合っていた。さらに,グループでの交流後に書いた人が作品の題名
を発表した後の気持ちを伝え合うようにさせた。
「やっぱりイライラした気持ちだったんだね。かす
れた感じからそう思ったんだ」
「私が思っていた心とは違うからびっくりしたよ」と伝え合っていた。
最後に,
「わたしのおすすめ作品」を全体で発表させた。グループ交流で感じた友達の作品のよさを
全体に伝えることで,学級全体の作品の見方や感じ方が広がり,選んでもらった児童はとても嬉し
そうに絵を見せていた。児童は,自分では気が付かない作品の見方や感じ方を知ることができると
ともに,友達から作品のよさを伝えられたことで,今回の学習に達成感を得ていたように感じた。
(5) 学習後のアンケート結果から
授業の実践後,実践前に行った実態調査と同じ調査を行った結果,以下の項目を中心に肯定的に
答えた児童が実践前よりも増加した(表-5)
。
どういうふうにしようか考えたり想像したりす
るのは楽しい
65.6
学習前
34.4
自分でためしたり工夫したりして
やっていくことが楽しい
59.3
学習前
40.7
はい
74.2
学習後
0%
50%
25.8
いいえ
はい
77.4
学習後
100%
0%
美‐30
50%
22.6
100%
いいえ
いろいろな道具を思い通り使える
材料や形を工夫して思い通りにつくることがで
きる
43.7
学習前
43.7
学習前
56.4
56.3
はい
はい
64.5
学習後
0%
50%
いいえ
35.5
67.7
学習後
0%
100%
50%
作品が完成したときはとてもうれしい
65.6
学習前
32.3
100%
図工が好き
34.4
62.5
学習前
37.5
はい
90.3
学習後
0%
50%
9.7
いいえ
いいえ
はい
77.4
学習後
100%
0%
表-5
50%
22.6
いいえ
100%
授業前後のアンケート結果
「どういうふうにしようか考えたり想像したりするのは楽しい」の項目では,66%から 74%となり
8%上昇したことから,イメージファイルを活用しイメージを明確にしていくことで,児童は考え
たり想像したりすることの楽しさに気づくことができたと考える。「材料や形を工夫して思い通り
につくることができる」の項目では,44%から 65%となり 21%上昇し,「いろいろな道具を思い通
り使える」の項目では,44%から 68%となり 24%上昇したことから,イメージを具現化していくに
あたりイメージファイルを活用することで,自分の課題を解決したり必要な技能を身に付けたりす
ることにつながったのではないかと考える。さらに,「作品が完成したときはとてもうれしい」の
項目が 24%,「図工が好き」の項目が 15%上昇した。
今回の研究では,墨絵の活動において,イメージファイルを活用する学習指導を行っていった。
その結果,児童は自分が描きたい作品についてのイメージを膨らませたり整理したりしながら明確
にしていくとともに,自分の表現のよさや課題に気付き,それを具現化していくための技法や道具
を見付けたり選んだりすることができた。そして,それらの技法を試しながら自分の表現に生かす
ことができた。結果,作品が完成したときの達成感や満足感が高まり,図工が好きであると答えた
児童が増えたことにつながったと考える。
美‐31
第Ⅲ章
研究の成果と課題
本研究室では,絵に表す活動における「イメージファイルの活用」を通して,自分のイメージを思
い通りに表現できる児童を育む指導の在り方を明らかにするために「イメージの明確化」と「イメー
ジの具現化」の2点を柱に研究を行ってきた。その結果以下のようなことが明らかになった。
1
研究の成果
(1) イメージの明確化
児童は発想や構想の段階から,自分の心の中に浮かんだイメージを色や形,言葉でイメージファ
イルに記録し,授業の始めに確認していくことで,自分が表したいものを再確認したり見通しをも
ったりして活動を始めることができた。また,活動の途中で変化していくイメージを記録し積み重
ねてファイルしていくことで,自分のイメージをさらに膨らませたり焦点化したりしていくことが
できた。そして自分のイメージをより明確にしながら最後までそのイメージを大切にして活動する
ことができた。
教師は発想や構想の段階では,イメージファイルをもとに児童がもっている大まかなイメージを
把握することで,児童の実態に応じたイメージを明確にするための資料提示や言葉かけを行うこと
ができた。
表現の段階では,児童がもった変化していくイメージを作品とイメージファイルから把握し,活
動の際に児童の主題に立ち返らせるための言葉かけや資料提示をすることができた。
その結果,児童へのアンケートによると実践の
前後で「どういう風にしようか考えたり想像した
りするのは楽しい」という項目において 69%から
83%へ上昇が見られた( 表-6)。
表-6
(2) イメージの具現化
児童は毎時間の始めや途中でイメージファイルを振り返ることで,自分のイメージを確認し,活
動の見通しをもつことができた。やるべきことややりたいことをはっきりさせることで,それを具
現化するための色や形,表現方法などを選んで具体的に表すことができた。また,毎時間の終わり
に振り返ることで,自分の表現のよさや課題が明らかになり,その後の表現に生かしながら意欲的
に活動に取り組むことができた。
教師は,作品とイメージファイルから児童がイメージをどのように具現化しようとしているのか,
またその表現のよさや課題の分析を行った。その内容に応じて,全体指導やグループ別指導,さら
に個人への指導の具体的な手立てを想定し準
備することで,一人一人の児童の思いに沿っ
た的確な指導を行うことができた。
その結果,児童へのアンケートによると実
践の前後で「材料や色,形を工夫して思いど
おりにつくることができる」という項目にお
いて 64%から 70%,「いろいろな道具や材料を
思いどおりに使える」という項目において 65%
から 73%へ上昇が見られた。
美‐32
表-7
このように,イメージファイルの活用を通して,児童は自分のイメージを膨らませたり焦点化した
りして整理することができ,自らの課題を解決したり自分の表現のよさを伸ばしたりしながら,最後
まで意欲や目的意識をもって表現することができた。作品完成時の振り返りには,「一番伝えたかっ
たことができた」「思ったとおりの絵ができた」「めあてどおりにできたし完璧でした」と書かれて
いた。また,アンケート結果から,「作品が完成したときはとてもうれしい」という項目において,
授業前後で,83%から94%へと上昇が見られた。このことからも,児童の作品への達成感や満足感が
高まり,自分のイメージを思い通りに表現することができたと考える児童が増えたことがわかる。
2
研究の課題
児童が自分のイメージや活動を記録したイメージファイルを活用することにより,児童の課題を
把握し個に応じた指導を行うことはできたが,十分に習得を図ることが難しい技法もあった。技法
によって試す活動の時間配分や,習熟を図るための手だてを工夫する必要がある。
今回の研究では,個人の活動が主になったが,友達の作品を見合う中での気付きや課題が出てき
たのではないかと考える。積極的に意図的なグルーピングでの活動を取り入れていきたい。また,
その際は,よさを深めるためのものなのか,広げるためのものなのか,教師がしっかりと目的をも
って行う必要がある。
美‐33
資料等
引用文献
1
文部科学省
小学校学習指導要領解説
総則編
日本文教出版
(平成 20 年)
2
文部科学省
小学校学習指導要領解説
図画工作編
日本文教出版
(平成 20 年)
3
授業改善の手引き
福岡市教育委員会
(平成 20 年)
4
新しいふくおかの教育計画
福岡市教育委員会
(平成 21 年)
参考文献
1
文部科学省
小学校学習指導要領解説
2
新野貴則・石賀直之
3
栗岡英之助
4
小学校低学年の絵の指導
小学校
図工指導の疑問
図画工作編
日本文教出版
新学習指導要領の展開
図画工作編
これですっきり
黎明書房
栗岡英之助監修
表現教育研究所編著
(平成 20 年)
明治図書出版(平成 20 年)
(平成 20 年)
黎明書房
(平成 20 年)
研修員
持
山
宗
洋
子
(博多小学校教諭)
貞
臣
(多々良小学校教諭)
阿
研究指導者
一
木
信
治
(筑紫女学園大学准教授)
宮
野
直
哉
(研修課主任指導主事)
美‐34
部
健太郎
(美和台小学校教諭)