Vol.36-40 - ebaron.net

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インドネシア雑感記 : 希多 いくと
Vol.36
2007.3.23
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インドネシアの自然、土地、食べ物、生活、社会などを、エッセイ風の雑感記
として、メルマガにて紹介します。当国の理解に役立てれば幸いです。
配信:毎週金曜日
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皆さん、こんばんは。
今日は《社会編 Society4》
、ミュージックのお話です。
■ 36 インドネシアの音楽
ここインドネシアでは古くからの民族音楽に加え、日本の歌謡曲に相当する
いわゆるポップ音楽が盛んです。
今でこそCDが主流ですが、その昔はカセットテープの全盛期で、もちろん
海賊版も広く出まわっていました。
このカセットは今でもこの国の音楽媒体として重要なのです。
一昔前のレコードというものはなく、更に日本で普及しているMDというも
のもありません。
ビデオの世界ではVHSビデオテープの他にLDがありましたが、現在はビ
デオCDにとって代わられています。
ところで、このビデオCD(VCD)*なるもの、日本ではお目にかかるこ
とができません。
ガムラン Gameran はインドネシア音楽の中で歴史のある民族音楽で、種々
の打楽器や笛を中心とした器楽演奏が基本となります。
ガムランはジャワを中心に広く聞かれる音楽で、その地方により特徴のある
形態を有しています。
ドゥグン Dugung はバンドンを中心としたスンダ・ミュージックで、縦笛が
メインのいわゆるガムランです。
比較的早いテンポで、特に縦笛のメロディーからピーヒョロヒョロと詠う感
じはまるでジャズを連想させます。こんな所にもジャズのルーツがあるんじゃ
ないかと思ってしまうぐらいです。
中部ジャワ、特にソロを中心としたガムランは、ゆったりとして悠久の時の
中を流れるよう。しかしここのガムランには唄がよく入るのですが、ちょっと
甲高い女声はあまりぼくの好みではありません。
バリガムランは、ジャワのものに比べリズムが早く、激情的なものが多いよ
うです。ジャワのガムランを聞き慣れると、耳にうるさい感じは否めません。
しかし、そのリズムが種々のバリダンスのバックミュージックとして良く合
うのでしょう。
スマトラにもガムランがあるようですが、まだ聞いたことがないので何とも
言えません。
ダンドゥットはアラビア音楽の融合した土着性のポップとでも言いましょう
か。とにかく自然に腰などが動いてしまう楽しい音楽です。
歌声もちょっと甘ったるい声が多いですね。
音楽は楽しさが基本と考えると、
この国でもう最高の音楽で、ぼくも大好きです。
また、忘れてならないのがクロンチョン。日本に喩えると、古い歌謡曲があ
ります。
クロンチョンの代表が「ブンガワン・ソロ」
。日本の戦後間もない音楽のよう
で古すぎる感が否めませんが、最近ではいろいろの編曲のCDがあり結構楽し
めます。
また、最近ではポップ・クロンチョンとして新しい時代に適応しようとして
います。
少しおもしろい楽器の話をしましょう。
アンクルン Ankulung は竹製の素朴な楽器です。竹の筒が3∼4本並んだ構
造で、揺らして音を出します。
楽器ひとつでひとつの音(オクターブの3音くらい出るので音がとても柔ら
かい)なので、12個ぐらいがワンセットで売られています。
これは幼稚園児から小学生の音楽発表会に最適で、楽しくかつ喜ばれていま
す。一人にひとつ持たせ、曲の構成音に合う音を適宜に出すのです。
またササンドという民族楽器は5千ルピア札にも印刷されています。竹の周
囲に金属弦を張り、周りをヤシの葉で包んだ素朴な楽器です。
最近ヤシの種類がわかったのですが、
それはパルメラヤシ。
別名うちわヤシ、
扇ヤシと呼ばれるように、この葉っぱ(折りたためる)で竹の周りを包んでい
ます。
このササンド、楽器の音色がとても素敵で、西チモールのクーパンのホテル
に宿泊している時にロビーでよく演奏を聞きました。
その後CDを探しましたが見つからず、この時の演奏を録音しなかったのは
残念でした(ネット検索すると、日本の会社が1枚だけ販売してるようです)
。
音楽に戻りますが、先の音楽以外にもいろいろな地域での土着性の民族音楽
がたくさんあります。おそらく打楽器中心の音楽が多いに違いありません。
民族は約300と言われていますから、同じ数の民族音楽があっても不思議
ではないですね。
* ビデオCD(VCD)を音楽CDと間違って買った方々へ:
VCDは音楽再生用CDドライブでは再生できません。だからといってゴミ
箱に捨てないように。
VCDはほとんどのパソコンのドライブで再生可能です。
またDVD機でも再生が可能ですが、中にはできない機種もあり、VCDを持
参して再生を確認して購入した方がいいでしょう。
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【後記】
暖冬続きの後の寒さの中、3月 20 日、全国に先駆けて東京で桜の開花宣言
がされました。いやはや寒さの中でよく桜も頑張って花を開いたものです。
どのような場所でも冬の最中陽だまりがあるもので、そこでは必ず花が早く
咲き始めます。今年は暖冬の中、陽だまりでもないのに2月につつじが咲いて
いたのには驚きました。
でも、靖国神社の桜6輪は気温 12-13℃の中で頑張りましたね。
寒さが戻った時には例年並みかな、と思っていましたが、いつにない早い春
が訪れようとしています。昨日、今日と暖かい陽気が続き、各地で相次いで桜
が咲き始めているようですが、春本番にはまだちょっとという感じですね。
皆さんのお花見はいつですか。
気の早い方は今週花見だとか来週の金曜とか、
すでに決めているかもしれません。今週末は天気が崩れそうだし、まだ開花し
たばかりですから、見ごろは来週末ぐらいでしょうか。
早く満開の桜を見たいですね。桜はまさに日本人の心のような感じですが、
妻も桜が大好き。きれいな花を愛(め)でるのは万国共通です。
では、また来週をお楽しみに。
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インドネシア雑感記 : 希多 いくと
Vol.37
2007.3.30
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皆さん、こんばんは。
今日は《生活編 Life8》
、濁った川での水浴のお話です。
食後すぐの方は、後でお読みになったほうがいいと思います。
■37 赤茶色の川での水浴は楽しいが
東カリマンタン(インドネシア領ボルネオ東部の州)で仕事をした時のこと
です。
州都サマリンダからスピードボートで大河マハカムを遡りました(このマハ
カムについては以前詳しく述べています)
。
サマリンダからマハカム沿いに125km、インドネシア最古の王朝が栄え
たムアラ・カマンに着きます。
そこからマハカム支流を北へほぼ直線距離70km でムアラ・アンチャロン、
さらに北北東へ75km でムアラ・ワホウにたどり着くことができます。
大きく蛇行した川を遡ると、全速力のモーターボートで優に2日の行程。今
思うととても遠いですね。
ジャングルの奥地では、川が道の代わりになります。今では地図を見るとム
アラ・ワホウなど道路が繋がっているようですが…。
当時は道がないので当然ですが、川沿いに村が発達していました。その村へ
の入口は、川面からの丸太階段です。
丸太は至る所に架かり、細いのもあればうまく切り込みの入ってないのもあ
ります。河岸まで高さ5m以上もあり、これを上るのは荷物を持つとかなりの
バランスが必要です。
丸太階段の下の川面には、
ふつう8畳ほどの広さのいかだが組んであります。
そして、このいかだが村の生活の基本となるのです。
言い換えると、いかだの上が炊事・洗濯・風呂(水浴)の場となります。
もちろん、使用する川の水は赤茶色に濁っています。それでも水道などない
奥地では、汚れた川水でも立派な生活水なのです。
こういう所での水浴=マンディは、サロンと呼ばれる腰巻が非常に重宝しま
す。特に女性は胸までサロンを巻きながら、上手にマンディをします。
ぼくもここでは赤茶色に濁った川で朝夕のマンディを楽しみました。でも、
この濁った川で水浴した日本人は少ないのです。
ほとんどの方は、ドラム缶に少し溜まっている雨水などでマンディしたよう
ですね。ぼくなんかジャバジャバ身体に水をかけないと気が済まないので、濁
り水での水浴と相なった次第です。
この奥地の生活では、
飲み水には主に川の水を利用していました。
もちろん、
川水をシュロの繊維・砂・チャコールなどで漉し、その上で沸騰させたものを
冷まして飲料水とするのです。
この国ではふつうアクアと呼ばれるペットボトルを飲料水とするのですが、
さすがにジャングルの奥地までは行き届かないようです。
川でマンディしたぼくですが、さすがに歯磨きはこの煮沸したものを利用し
ました。
また、ドラム缶に貯めておいた雨水を炊事用に使用するのもふつうです。し
かし、乾季で雨が降らない時は、一定の水を確保できない悩みがあります。
さて、いかだの端にはふつう小さな小屋があります。小屋と言っても屋根と
囲いがあるだけの簡素なもので、いかだの床には小さな穴があいています。
もうお判りでしょう。そう、この小屋は川面直結の水洗トイレなのです。当
然下は川ですから水洗ですが、ウォッシュレットは(当時の日本でもそうです
が)もちろんありません。
この水洗の面白いところは、用を足すと小さな川魚がさっと寄ってきて、人
間様の排泄物をたちどころに食べてしまうことです。
後には何にも残りません。
だからと言って、用を足している隣でマンディをしても全く問題がないと考
えるのは早計で、魚が食べるのは大きいのだけですから、小さいのは川の水に
きれいに混じってしまうんですね。
それでも川の水は絶えず流れていますから、上流側の近隣の小屋に人間がい
ないのを確かめて、おもむろにマンディするのです。
遥か上流から流れてくる小水などは川水で薄まり、濃度が限りなく0に近い
ので気にする必要もないでしょう。
水浴中に誰かがすぐ上流で用を足し始めたらどうするかですって。その時は
さっさと逃げるが勝ちですね。
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【後記】
今朝の8時15分頃雨模様の中雷が鳴っていました。そして9時過ぎには雨
も止み、青空も見え始めました。春の天気は本当に気まぐれです。
さあ、東京はそろそろ桜も満開です。明後日の日曜までが見頃とか。皆さん
はどちらへ桜を見に行きますか?
ところで、今ジョグジャカルタの街で日本の「たこ焼き」が流行っているの
をご存知ですか。日本通の王宮の王妃様がたこ焼きを気に入り、ついには店の
オープンとなったようです。
関西のTVで放映されたその「たこ焼き」番組を、先日見ました。そこでは、
たこ焼きをインドネシアのエビせんべい Kerupuk に包んで食べようという試
みもありました。
ジョグジャの「たこ焼き」
、行ったらぜひ食べてみたいですね。
では、また来週をお楽しみに。
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インドネシア雑感記 : 希多 いくと
Vol.38
2007.4.6
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皆さん、こんばんは。
今日の内容は《食べ物編 Food10》
、注意する食べ物・水のお話です。
■38 なま物・生水には要注意
西ジャワ*、特にバンドンでは、野菜は生(なま)食が普通です。唐揚でも、
サテでも皿の脇についているのはすべて生野菜になります。
なんだ、日本と同じじゃない、と言うなかれ。キャベツ、キュウリ、レタス、
トマトならいざ知らず、小さい丸ナス・インゲン・モヤシ・香りのある葉っぱ
など、すべて生なんですね。
インゲンやナスの生なんて食べてみれば判りますが、
はっきり言ってまずい。
キャベツも千切りではなく、ぶつ切りが普通です。
これらの生野菜に辛いピーナツソースをかけたものが、カレドックです。
これをバンドンで初めて食べて、なかなか美味しいねと言いながら何度か食
べたのですが、帰る前の晩にやられてしまいました。
割と立派なレストランでこれを食べたのですが、妻と2人で見事に食中り。
まずくて食べなかった子供たちは被害にあいませんでした。
この西ジャワ特有のカレドックなど生の野菜は、バリ等のレストランにもあ
るかもしれませんが、立派なホテル以外は注意した方がいいですね。
ともかく食中りは野菜自体に問題がなくても、それを洗う水に起因すること
が多いと考えられます。
インドネシアの水道水は日本のように完全殺菌(これも怖いのですが)では
なく、旅行者である日本人は慣れていないのですぐにあたってしまうのです。
ここはとても暑いので、飲料にはどうしても冷たいもの、すなわち氷の入っ
たジュースやかき氷が欲しくなります。
エス・ドリアンは果物の王様をかき氷に入れたもので、たいへんおいしい。
このようにかき氷など食べたくなりますが、これが最も要注意ですね。
氷は市販のミネラルウォーターではなく、まず直接の水道水から作ったもの
です。だからこの氷にあたるとすぐに軟便になったりします。
水道水を沸騰してから製氷したものは比較的安全ですが、大きなレストラン
以外では期待できません。
レストランやワルン(簡易食堂)では、市販のボトル(コーラ・ファンタ等)
を頼むと氷を入れるかどうか聞いてくるのが普通です。もちろん冷蔵庫で冷え
ていれば、それを頼みます。
しかし、小さな店では冷蔵庫などないことが多く、そのような所では氷入り
の飲み物はグッと我慢して、熱い紅茶や氷なしのミネラルウォーターを飲む方
が賢明です。
短い旅行期間中に腹痛など起こしたら予定も狂ってしまうし、最悪の場合、
成田でも足止めを食うことになります。
足止めを警戒して検疫でウソの報告をした後、自分の地元で発病すると、一
般病院にかかれないばかりか保健所送りになるそうです。
その面倒を考えたら、成田では正直に腹痛も報告すべきだし、それ以前にお
腹をこわさなければ良いのです。
ところで、水道水に問題があると書きましたが、歯みがきの後に口をすすぐ
くらいでは何ら問題はありません。
よく歯磨き用にミネラルウォーターを用意しているホテルもありますが、そ
れを利用している人も多いようです。
しかし、そこまで神経質にならなくていいと思います。ミネラルウォーター
を使いたい人は使えばいいし、水道水でいい人はそれで充分でしょう。
ぼくは歯磨き用のミネラルウォーターは冷蔵庫に入れ、すべて飲料に使うこ
とにしています。
注*:以前の西ジャワは、西端のメラク Merak までだったのですが、2000 年
にバンドゥンを州都とする西ジャワ州と、セラン Serang を州都とするバンテ
ン州に分割したようです。
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【後記】
先週の訂正です。ジョグジャカルタのたこ焼きは、王妃様ではなく王女様で
した。間違えてごめんなさい。
サイト検索では、
「ジョグジャカルタ、たこ焼き」でかなりヒットします。ち
ょっと気になる方は、試してみてはいかが。
たこ焼きの食べ方は熱いのを一口に放り込み、フーフー言いながら食べるの
が通のようです。でも、あちらの人は結構「猫舌」の人が多いので、たぶん通
の食べ方はできないんではないでしょうか。
大方の日本人は口の方は熱さに強く、手の方は弱い。それに比べ、インドネ
シアの人は全くの逆です。日本人はお茶など熱いものを飲むのに慣れているか
らでしょうか。でも、あちらでも熱いコーヒーを飲むようですが・・・?
さて、4日(水)の東京で桜を背景に雪が降るという映像を見ましたが、多
摩市では雪は気が付きませんでした。花冷えを通り越し、桜の散り時に雪とは
驚きましたね。とにかくめまぐるしく変わる天気に、体調の方がちょっと戸惑
っています。
昨日は久々のいい天気で、散歩がてら近くの宝野公園で桜を見ました。満開
を過ぎた桜も、地面に折り重なる花びらもきれいでした。
では、また来週をお楽しみに。
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インドネシア雑感記 : 希多 いくと
Vol.39
2007.4.13
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皆さん、こんばんは。
今日は《土地編 Land9》
、バンドンにある山のお話です。
■39 ひっくり返った船と息子
バンドンの北へ25㎞ほどの所に、国立公園に指定されているタンクバン・
プラフ山 G. Tangkubanperahu があります。
スンダ地方の伝説によると、結婚に失敗した王子のひっくり返した船がタン
クバン・プラフとなり、いまだに上がる噴煙はその王子の憤怒なのです。
この山の標高は2,096m、道路はその大きな火口のすぐ脇までついてい
て、週末には地元の人や観光客で賑わっています。
駐車場の周辺では出店やお土産屋等が軒を並べており、客の呼び込みも盛ん
です。
大きなクレーターの周囲は4㎞ほどで、小さい子供連れにはもってこいのハ
イキングコース。当時7歳の息子と5歳の娘を連れ、96年の夏にここを歩き
ました。
反時計回りにコースをとると、歩き始めて間もなく松ノ木にセミの脱け殻を
見つけました。子供らは珍しくて、他にもセミの脱け殻を探しました。
そういえば、日本と違いインドネシアの平地にはふつうセミはいません。山
勝ちの場所でもまず鳴き声を聞かないからです。
その後噴火口内の鞍部(旧噴火口と新噴火口を隔てる尾根)に下りていき、
新しい噴火口をバックに記念写真を撮ったりしました。
噴火口は噴煙が少し昇る程度で、カルデラ湖とは言えないほどの水が多少溜
まっています。
散策しているうち、大きなラジカセやギターを持った学生と思しき一行が、
ポップ音楽テープをけたたましくかけながらぼくたちを追い越して行きました。
やや登りの路となり、さらに上がっていくと、なんと大人がやっと両手を使
ってよじ登れる小崖です。
小さな子供たちをどうして上げようか、ぼくが先に上がるか、妻が先かと思
案していると、近くでたむろしていた先の一行の男の子がさっと回り道して、
上から子供たちを引き上げてくれたのです。
これには驚きと共にえらく感謝しました。はた迷惑な騒音を撒き散らす若者
でも、そう捨てたもんじゃないなと感心したのです。
そこを上がるとほぼ平坦となり、それから火口からやや離れて木の生い茂る
なだらかな山道が続きます。ちょっとジャングル風ですね。
小径をたどるうち、いつの間にか元の車道に戻っていました。子供たちが小
さかったのでのんびりとですが、かれこれ3時間ほどの行程でした。
セミの脱け殻などがなく、また大人だけであれば1時間そこそこのコースか
も知れません。
帰り道、駐車場からやや下ると、道端に果物屋が2・3軒並んでいます。そ
こではインドネシアでは余り見かけないイチゴがありました。
めずらしさで買い求めると、日本の甘いイチゴになれているせいか、その小
さなイチゴは甘くて美味しいとはとても言えない代物でした。
さらに、通り道の中腹部にあるレンバンから、東に5㎞ほどにあるマリバヤ
に寄りました。マリバヤは滝と温泉で有名な観光地。
一帯が公園となっており、散策を楽しみました。滝を下から見上げ、その後
河岸の遊歩道を通って滝の上に出た時です。
河床には岩盤が露出し、水量もほどほどで深くはありません。その川の中で
小2の息子が遊んでいると、なんと滝まで10mほどの所で滑って転んでしま
ったのです。やや苔が生え、滑りやすくなっていたのでしょう。
彼は全身びしょ濡れとなったのですが、ともあれ滝壷に落ちなくてよかった
とまったくの冷や汗ものでした。
幸い天気も良く暑いので、濡れた息子のTシャツ・半ズボンも結構早く半乾
きとなり、マリバヤの駐車場付近では乗馬を楽しんだと記憶しています。
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【後記】
先日、
府中市場に行った時、
魚屋さんでハッカクという魚を売っていました。
顔はワニのよう、細身でひれが長く、ちょっとグロテスクですが、美味そうだ
と直感しました。
始めてみる魚ですが、北海道が有名で刺身で食するようです。昔札幌ではこ
んな魚は見たこともなかったのですが、最近では有名な高級魚だそうです。
家の冷蔵庫がいっぱいで買うのを断念したのですが、夜ネットで調べると、
美味しい・あまり市場に出ない魚とか。今度ぜひ買って食したいですね。
ところで、インドネシアで食する魚はどんな種類だと思いますか。南方です
から当然、日本などからの輸入ものを除き寒流魚はいません。やはり暖かい暖
流系の魚ですね。
スラバヤに住んでいた(家族、ぼくは現場)頃、妻が北西50kmほどの
Paciran の魚市で、アジ、イワシ、マナガツオなどを仕入れていたようです。
アジは本州近海のマアジやムロアジとは異なり、沖縄と同様の身のしまった
ギンガメアジ?でしょうか。
淡水魚では Gulame と Lele が一般的で、前者は淡白で美味しく、後者はナ
マズ風で泥臭いのが特徴。ちなみにサンバルをたっぷり付けて食する Lele は妻
と娘の大好物です。
レストランでは日本では高級魚のハタ(中華料理店に多い)
、カツオ(パダン
料理、ぶつ切り)などが食べれます。
Tulungagung の宿舎では、時々ドライバーがインド洋に面する港まで採れ
たてのカツオの買い出しに行ってました。たぶん刺身で食べるとか、残念なが
らぼくは週末スラバヤに帰っていたので味わうことはありませんでした。
では、また来週をお楽しみに。
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インドネシア雑感記 : 希多 いくと
Vol.40
2007.4.20
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皆さん、こんばんは。
今日は《土地編 Land10》
、高原都市バンドンのお話です。
■ 40 バンドンの素晴らしい街並み
バンドン Bandung は標高700mに位置し、インドネシア第5の大都市で
す。ちなみに人口の多い都市は、ジャカルタ・スラバヤ・メダン・スマラン・
バンドンの順になります。
インドネシアの主要都市を敢えて日本の都市を例えるなら、ジャカルタ=東
京、スラバヤ=大阪、バンドン=札幌(高原都市で適切な所が見当たらない)
、
ジョグジャ=京都といったイメージがぼくにはあります。
まだ行ったことがないメダンは、さしずめ仙台でしょうか。ジョグジャの隣
のソロは、小京都の萩か金沢あたりですね。
以上は勝手な独断ですが、もちろん異論のある方は多いに違いありません。
バンドンはジャワ島の中では最も過ごし易く、27もの大学が集中する学園
都市でもあります。
中でもバンドン工科大学は有名で、キャンバスはきれいだし、建物も重厚な
造りで一見の価値があります。
工科大学構内には自由に入れ、敷地は広く、一流大学の雰囲気が漂っていま
す。スカルノを始め、多くの人材を輩出したところです。
理工学書の洋書は、この国では唯一バンドンの古本屋にしかないようです。
この手の本はジャカルタでもお目にかかれないので大変貴重です。
街中には地質博物館があり、平日でも近郊の小・中学生などが参観に訪れ賑
わっています。インドネシアに産するさまざまな岩石や化石などが陳列されて
おり、大きな恐竜の化石も見事です。
そして、館内には人類最古のジャワ原人のレプリカ(複製品)があります。
本物はジャカルタの国立博物館に保管してあるそうです。
ところで、ジャワ原人は中部ジャワのソロ近郊、サンギランで発見されまし
た。そこには小さな博物館があり、発掘された化石などが展示されています。
ソロからは車で20分ほどのところにあり、興味のある方は行ってみると良
いでしょう。こちらの館前では、ジャワ原人のレプリカやトラの爪だと称する
化石などを売る屋台が数件並んでいます。
バンドンに戻りますが、地質博物館には火山博物館が隣接しています。火山
館では、インドネシアにある数多くの火山に関する資料が揃い、火山の模型や
写真などが目を楽しませてくれます。
バンドンは、市街地でも街路樹・公園など緑であふれ、とにかく素敵な街の
印象を与えます。市内には白亜の建物が多く、ヨーロッパ的です。
これは、オランダ統治時代の名残で、彼らは気候的に過ごし易いバンドンに
居を構え、オフィスも自国風に建てたためなのです。
何度でも行きたいバンドンですが、そのアクセスは不便になってしまいまし
た*1。
飛行機によるアクセスは、ジャカルタからは国内専用のハリム空港からとな
り、国際空港からの便は皆無。ジャカルタからそんなに離れていないバンドン
は、大きなジェット機が上空に上がる暇もないんですね。
ハリム空港のタクシーはメーターを使わず、白タクなど値段は交渉次第なの
で、ジャカルタで降機する場合は気をつけたほうがいいですね。バンドン−ジ
ャカルタのルートは汽車を利用するのも一つの方法です。
2001年5月現在ではジャカルタ(ハリム)からの国内便が一便もなくな
ってしまいました。1998年からずっとないようですが、なぜか不思議でな
りません*2。
何度か飛行機事故を新聞やTVで目にしているので、そのせいかもしれませ
ん。バンドンは地形的に盆地状になっているため、飛行機の離発着が困難なの
でしょう。
*1:現在ではおそらく高速道路が全面開通し、ジャカルタからのアクセスは
車で3時間かからない位だと思います。車が便利でしょう。
*2:2001年後半になって、ジャカルタ便が再開されました。スラバヤ便
は、まだ週3便とのこと。
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【後記】
以前配信の■8【日中の温度・体感温度】
(2006/10/15)でスラバヤの水田
にコブラが出没することを書きました。
最近「爬虫類と両生類の写真図鑑(日本ヴォーグ社、2001 年発行、2500
円)
」を入手*したので、例のコブラ科のマルオアマガサヘビを早速調べてみま
した。
(*近くの大型、最大級ブックオフでよく 100 円の掘り出し物を探します)
・マルオアマガサヘビ Banded Krait(コブラ科、猛毒)
:
胴体には黄色と黒色の縞模様があり、胴の断面は三角形。
日中は大変臆病で咬みつこうとはしないが、夜間は非常に危険である。
と、およそ見慣れているコブラとはちょっと違う写真が掲載されています(上
部からの写真で、コブラ特有の襟元のフードがあるかどうかは不明)
。
それで、学内で蛇を見たことのある当時小学3年の息子に写真を見せると、
「これは違う」と言うのです。
二種類の蛇を見たが、小さいのは白っぽく(縞模様は不明)
、大きい蛇はすで
に死んでいて、3mほどもあり、茶色単色とのこと。
「大きいのは3mくらい。キングコブラじゃないかな」
「キングコブラは森林に生息するとあるので、水田にはいないだろう」
そこで、彼はおもむろに図鑑を全部眺め、
「たぶんこれだ」と指さしました。
それは、
・ナンダ Dharman Ratsnake(ナミヘビ科、1.3∼3.7m、無毒)
:
非常に大型のネズミヘビ。胴の前部は褐色、後部は暗褐色。アジアに分布し、
雨林から開けた森林までさまざまな環境に生息。キングコブラに類似する。
キングコブラは黄褐色ないし緑灰色なので、学校付近に生息していたのはナ
ンダということになりそうです。よく覚えていない白っぽいのは、先のマルオ
アマガサヘビ(低地の草原や水辺の森林に生息)かと思われます。
ということは、ぼくは無毒のナンダのために日本から「毒蛇用スプレー」を
持ち帰ったことになりそうです。なんだこりゃ…?!
臆病のコブラでもまあいいとしましょう。
では、また来週をお楽しみに。
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